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第三話 おすけべ神社

        第三話 おすけべ神社

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『お灸』を題材にしたSM小説です。
恐ろしく下手な小説ですが、
いつも書いているものとは、世界が違いますから
その点だけ、老婆心ながら、ご注意くださいませ。
**********************

          <あらすじ>
 村のフーテン三人娘の一人ナオミは、興味半分で村祭りの夜に
おすけべ稲荷と呼ばれる神社に願掛けを行うが、精力が余ってい
る彼女は逆に妖怪にたぶらかされることになってしまって大事な
処から指が抜けなくなってしまう。
 最後は大人たちの協力でめでたしめでたしとなるのだが……


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            おすけべ神社

 村には三人のフーテン娘がおりました。髪を紫に染めたナオミ、
赤く染めたエミ、金髪のキミエの三人です。三人はほとんど学校
にも行かず、親ともめったに口をききませんでした。

 夜はその日の気分で仲間の家でごろ寝して、昼は町へ出て万引
かカツアゲか援交(いえいえ、一人を囮にしての美人局なのです
が……)。そんなこんなで稼いでは、夜更けまでゲーセンに入り
浸っているのが常でした。

 ですが、そんな彼女たちもお祭りの日だけは別だとみえて村で
おとなしくしています。
 おとなしくといっても、昔の友達を見つけては、人気のない処
に誘い込み、たばこの火をその子の顔や胸にちらつかせてはお小
遣いを借りるということはするのですが、そんなことは彼女たち
にしてみれば、たわいのないこと、ご愛敬のうちだったのです。

 そんな三人娘ですから村の人たちだって好意的ではありません。
少しは楽しい事、刺激的なことが起こるんじゃないかと期待して
いた三人にとってお祭りは村人の冷たい視線を感じるだけのつま
らないものになってしまったみたいでした。

 「あ~~あ、つまんねえなあ、子供の頃はもっとたのしかった
のに~」
 「だめよ。こんなちんけな村祭りじゃあ何もおこらないって」
 「あ~あ、こんなことならゲーセンにいた方がよかったなあ」

 ナオミたち三人は祭りがはねて露天も店じまいする頃になって
鎮守の森へとやってきます。そこは若いカップルのデートスポッ
ト。あわよくばそいつらをからかって、またお金のむしんを考え
いてたのですが、それも空振りだったのです。

 そんな欲求不満の三人がタバコをふかしウンコ座りをしている
と、中でキミエの目にあるものが映ります。

 彼女はそれに吸い寄せられるように友達から離れていきました。

 「どうしたのさあ」
 気がついた二人が後を追ってみると、キミエはお稲荷様の小さ
な祠(ほこら)を守る白く小さな狐の像の前に立っています。それ
はとても可愛いもので、高さも彼女たちの腰の辺りまでしかあり
ませんでした。ただ彼女が不思議がったのはその二匹の狐の頭に
パンティーやらブリーフが何枚か掛けてあったことでした。

 「なあんだ、おすけべ稲荷じゃない」
 エミが事情を知っているらしく答えます。

 「この狐にパンティーをかけておくと、感じなくなったものが
また感じるようになるんだって……昔、ばあちゃんに聞いた事が
あるの。こっちが雌の狐で女用、あっちが雄の狐で男用なの」

 「へえ~~、おもしろそうじゃない。やってみようか」
 ナオミは乗り気でしたが、エミが注意します。
 「何言ってるのよ。あんた昨日だって私たちとウハウハだった
くせに」

 「なにウハウハって……私、知らないわよ」

 「…………」
 「…………」

 「何よ、二人とも、そのいやらしい目は……。いいでしょう。
私はもっともっと絶頂感が欲しいの」

 「でも、本当にだめよ。これは精力が衰えた人でじゃないと、
やっちゃいけないんだって、うちのじいちゃんも言ってたから。
まだ元気な人がやると、あり余った精気を森の妖怪が吸い取りに
くるそうよ」

 「ばかばかしい。そんなの迷信に決まってるじゃない。あたし、
やってみるからね」

 ナオミはさっさと自分のショーツを脱ぎ去ると、妙ににやけた
顔をした狐の顔にかぶせます。

 「ねえ、あんたたちもやりなさいよ」
 ナオミは誘いましたが、二人は首を振ります。

 「あたしまだそんなに困ってないし……」
 「だって、明日、これブルセラに売って5000円稼ぐだもん。
もったいないじゃない」

 二人は理由はともかくその場の雰囲気が異常なことに気づいて
いたのです。なま暖かい風がスカートの中をはい上がり、背筋を
ぞくっとさせます。
 三人の他には誰もいないはずなのにどこがで見られているよう
な気がします。

 でも、そんな霊感をナオミは感じていないようでした。
 そして、ご丁寧にもナオミが柏手を打ったときでした。

 祠(ほこら)から強烈な青みがかった白い光が四方八方に飛び散
ったかと思うと、狐の目が赤々と光り。その瞬間、ナオミの体は
祠(ほこら)の中へと吸い込まれていきます。

 「ナオミ~~~」
 一瞬の出来事。光が消え去った後になって取り残された二人が
慌てて祠(ほこら)を調べましたが、ナオミの姿は影も形もありま
せんでした。

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 祠(ほこら)で強烈な光を浴びてからいったいどのくらいの時間
がたったのかわかりませんが、ナオミは気がつくと、大きな木に
背中を張り付かせるようにして立っていました。両手を万歳する
ようにしてあげ、やや自身が伸び上がるようにつま先立っている
のがわかります。違和感を感じてお腹のあたりに目を落とすと、
そこには張り付いた大木の太い枝が一本、股の間を貫いているの
がわかります。

 『あっ、ああああああん』
 浮き上がっているかかとを地面に着けようとしましたが、その
たびに太枝が彼女の股間を持ち上げて邪魔します。べつに縛られ
てはいないのですが、何一つ体の自由がききません。

 『え?!私、どうして、こんな格好になっちゃったのよ……』
 わけのわからないままにあたりを観察し始めたナオミは、あら
ためて自分が素っ裸でいることに気づきます。

 『いやあ~~~恥ずかしいよ~~~』

 それだけではありません。太い枝と格闘するうち、張り出した
胸の先端は次第に緊張し始め、やがてはち切れんばかりになって
乳頭のあたりが細かく震え出しました。

 『いやあ~~~』
 頭のてっぺんからお臍の下へと伸びる一本の太い神経に電気が
走ったかと思うと、後は、子宮へ子宮へと痛がゆくも切ない電気
信号を送り続けます。

 『ああ~~~~いやあやめてえ~~~~~』

 子宮が激しく伸縮し、子宮口へ、膣口へとたっぷりのおつゆを
絞り出したその切ない刺激は、子宮での役目を終えると、再び、
お腹の中心線を駆け上がって、細いあごの先端を振るわせたり、
涙腺を開けて歓喜の涙を流させたしながら、両手の指先や足の指、
乳頭、顎、歯、あるいは脳天、とにかく身体の尖った部分なら、
どこでも、そこから放出されるでした。

 「あっあっ~~~~~~~~」
 電気が放出される時、ナオミは絶頂を感じます。ナオミの瞳は
そのたびに涙に潤んでいました。自分のものであっても触れられ
ないもどかしさも、逆に情欲の感情を高めます。

 抑えようとしても沸き起こる愛の感触で、ナオミの心と身体は
パニックになっていました。

 「やめてえ~、もうだめえ、許して……ごめんなさあああああ
あああ~~」

 ナオミは哀願の声をあげます。それでも、キュートにしまった
腰や形のいいお尻へは絶え間なく官能の電気信号が送られ続けま
す。快感の信号に痺れたまま、ナオミは腰に力がなくなり、もう
立っていられないほどでした。今の彼女を支えているのは、股間
から伸びる一本の太い枝だけ。

 『あっ……濡れてる』
 ナオミはたまらずその太股を自分のもので濡らしてしまいます。

 「なんじゃ、もうお漏らしか。察するにお主、まだ精力は存分
に残っておるな」

 見れば、くねくねと曲がった木の枝で出来た杖をつき、白髪で
ざんばら髪の老婆が一人。ナオミの足下に立っています。

 とても小さな体で、四頭身の大きな頭は身動きできないナオミ
のお臍のあたりまでしかありませんでした。

 「何よ、あ、あんた、こんなことして無事にすむと思ってるの。
警察、呼ぶはよ」

 ナオミは他人が口にしても自分では滅多に口にしないこの言葉
で目の前の老婆とやりあおうとしましたが……

 「ははははは、おまえに警察が味方してくれるとは思わんがな。
まあよい、いずれにしても無駄なことじゃ。ここは魔界の森じゃ
からな。お前がどんなに大声を出そうと人間が聞く気遣いはない
のじゃ」

 「魔界って?あんた、誰なの?」
 ナオミは満たされない快感の為に今は気が遠くなりそうになり
ながらも気丈に尋ねます。

 「わしは稲荷の化身じゃ。といっても普通の稲荷ではないぞ。
神より『精気をなくした者を助け、子孫繁栄に繋げよ』との命を
受けて、あの祠に棲んでおるのじゃ。しかるに最近はろくに精力
も衰えておらんくせにより多くの快楽をむさぼらんがために参る
やからが増えて困っておる。見れば、おまえもその口じゃろうて。
精気も十分にあるのにその歳で願をかけるとは、けしからん限り
じゃ。そのような娘には……仕置きが必要じゃな」

 肩まで伸びたざんばら髪を掻き分け、老婆は、緊張して一杯に
張りつめている乳頭の先を、持っていた杖でほんのちょいとだけ
触れます。

 すると、たちまちそこかしこから光の矢が彼女の子宮をめがけ
て襲うようになります。

 「だめえ~~~~もうだめえ~~~~~いゃあん~~~もうだめ、
いかせて、いかせて、お願い」

 ナオミは我慢我慢を重ねていましたが、ついに口にしたくない
言葉を発してしまいます。
 しかし、無慈悲にも老婆はその瞬間ぷいっと姿を消してしまい
ました。


 それからもナオミは地獄を見続けることになります。足の裏、
内股、背骨、今まで感じたことの臓器までもがその血を沸き立た
せ、最後は子宮へと殺到します。

 本当なら、体全体を反り、足の指や手の指を曲げ、恥ずかしい
処へも中指と人差し指を押し入れて、体の中を思いっきりかきむ
しりたいところですが、一センチたりとも身動きならない身では
どうにもなりません。

 「はあ、ああん・・・・・いやあはあ、・・・・あああああ」

 呼吸は荒くなり、目がうつろになってもナオミは満足を得られ
ないのです。すでにねっとりとした蜜が太ももを伝い、体の中で
は「ぴちゃ、ぴちゃ」とイヤらしい音をたてているのが自分でも
わかります。

 「こんなのいやあ~~~」
 ナオミの雄たけびが夜空に轟きます。

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 そして、一昼夜。
 東の空が開け始める頃になって異変が訪れたのでした。

 それまで望んでもどうにもならなかった場所で何やらうごめい
ているのです。ナオミはその正体が知りたくなって下を見ました
が、見えません。

 でも、確かにそれはナオミの体の一部ではなく何かなのです。
 『芋虫?』
 そうかもしれません。しかし、それは徐々に大きくなっていき
ます。

 「だめえ~~だめえ~~~」
 神経が過敏でなくなったぶん、今は徐々に落ち着き始めていた
快楽の地獄がこの芋虫のせいでふたたびよみがえってきたのです。

 ナオミは当初それを拒絶しながらもやがて無意識のうちに受け
入れようとし始めました。

 『これで生かしてもらえる』
 大きくなった芋虫が膣の穴から顔出し、そこで体全体をしきり
にくねくねとさせたあと、湿り気を帯びた尿道口をなめつくし、
勃起して芽を出したクリトリスをしきりにそのざらざらした頭で
こすりつけます。

 『あ~~~~し・あ・わ・せ……』
 ナオミがそう感じた瞬間でした。

 脳のどこかに小さな穴があき、そこからこれまでとは比べもの
にならないほどの光の束が無数の細かな針となって健康な子宮へ
と殺到します。

 荒い呼吸にあわせて何度も何度も歓喜のエクスタシーが訪れ、
そのたびにこれまで感じたことのないオルガスムスへといざなう
のです。

 『よかったあ~~~』
 静かな吐息とともにナオミは深い眠りへと落ちていきます。
 芋虫が自分のクリトリスを噛んだことを知ったのはその眠りへ
の直前でした。

**************************

 それからさらにどのくらいの時間がたったでしょうか。余韻を
楽しむには十分な時間が過ぎてから、ナオミは肩を叩かれます。

 「ほれ、ほれ」
 どこか聞き覚えのある声です。ですからナオミは目を開けたの
ですが……

 「………………いやあああああ~~~~~~~~~」
 ナオミはけたたましい声をあげます。

 目の前にいたのは先ほどの老婆でした。
 しかし、その姿は先ほどとは違っています。

 老婆の顔が、ナオミ体の三倍も四倍も、いえいえもっと大きい
のです。

 その顔がいきななり目の前にあるのですから、恐怖におののき
震えるのは当たり前でした。しかも、落ち着く間もなく、老婆は
その大きな顔からさらに大きな舌を出し、ナオミの裸の体をその
足先から頭のてっぺんまで『ぺろり』とひと舐めにします。

 一瞬の出来事。
 でも、足先から太もも、乳房、乳頭、顎の下、ほっぺた、鼻の
穴、頭のてっぺんまで、いえいえお臍の下のお豆さんまで、舐め
られた感触がはっきりと残っています。

 「ぎぁああああ~~~~」
 ナオミは半狂乱になって叫びましたが、どんなに力一杯叫んで
みてもその感触が消えることはありません。

 あまりの恐ろしさに目を閉じてしまったナオミが再び目を開け
ると、そこに髪振り乱した恐ろしい老婆の顔はありませんでした。
しかも、今は手も足も自由に使えます。大木に張り付いていなく
てもよいのです。

 解き放たれたナオミは、ふいに自分を縛っていた大木を見あげ
てみました。
 するとどうしょう。その木にはナオミの股間を貫いていた枝が
一つあるだけ。枝も葉っぱも付いていません。
 ただ、雲に届くほど高いその幹の先が斜めになって膨れていて、
それから下はだらしのない靴下のようにいびつな皺がついていま
す。

 「いやあ~~~」
 わけもなく叫んでしまったナオミ。でもそれは間違いなく過去
に見たことのある形でした。

 「だめ、もうだめ」
 ナオミは腰砕けになりながらも、とにかく逃げます。木々の間
を抜け、下草に足を取られながら必死に逃げます。どこへという
あてなどありません。
 とにかくこの場から離れたかったのでした。

 すると、30分ほどあてどなく走り続け逃げ続けるうち、急に
視界が開けました。

 「助かったわ!!!」
 思わず安堵の声を上げたナオミに住み慣れた村の風景がどんな
に美しかったことか。
 彼女は、今自分がすっぽんぽんであることさえ忘れて我が家へ
と走り出します。

 『見ないで、見ないでよ。誰にも会わない。会わないからね』
 青々とした田圃の真ん中を一心に祈りながら全力で駈け抜ける
少女。そのあまりにも美しいストリーキングを農作業の傍ら遠く
から眺める人はいましたが、幸いなことに実家にたどり着くまで
正面から出会った人は誰一人いませんでした。

 「ただいま!」
 ナオミは土間を駆け上がり自分の部屋へとなだれ込みます。
 『ショーツ、ショーツ、ショーツ』
 彼女は下着タンスを引っかき回しますが、いつもの場所にショ
ーツがありません。やっと見つけた木綿のショーツを穿き、シュ
ミーズを身につけると畳の上に大の字になってようやく弾む息を
整えることができたのでした。

 と、そんな安らぎもつかの間、彼女の体に再び異変が起きます。

 「……!……」
 彼女は下腹を押さえて立ち上がります。急な差し込みで、ふた
たびトイレへと駆け出さなければなりません。

 ところがです。トイレへ行くと、そこには母親がすでに入って
いました。

 「ちょっとお母さん出てよ。私大変なの。代わってよ。すぐに
終わるから。お母さんはあとでゆっくりやればいいじゃない」
 そう言って懇願しのですが、母親はいつになく冷たく、

 「いやよ。そんな恥ずかしいことできないわ」
 と、にべもなく断るのでした。
 ナオミは仕方なく、外へと出ます。農家だったナオミの家には
水洗ではありませんが、農作業用のトイレが建っていました。

 ナオミはそこに駆け込んだのでした。とにかく臭いなんて言っ
てられません。そのくらいせっぱ詰まっていたのですから。

 「ふう、……」
 ナオミはとりあえずお腹を整理して吐息を一つ漏らします。

 と、その時です。彼女の毛穴という毛穴、いえ、穴という穴を
すべて脈打たせるあの声が聞こえたのでした。しかも、すぐ近く
で……

 「どうやらすっきりしたようじゃな」
 ナオミの体を一舐めにした老婆が金隠しの前に座っています。
今度はナオミと同じくらいの体ですが、雷に打たれたようなショ
ックに変わりはありません。

 「ほれほれどうした。口がきけぬのか」
 老婆の言うとおり、ナオミは口がきけませんでした。

 「ほれ、ここには紙がない。これで拭いたらどうじゃ」
 老婆の渡す白い一枚の紙。ナオミはもうそれを拒否することも
確かめることもできないでいたのです。
 そして、催眠術にでもかかったみたいに言われるままにそれで
お尻を拭いてしまいます。

 ですが、その紙が彼女の大事な処へ触れた瞬間。自分でもなぜ
そうするのかわからぬまま、ナオミは力強くその落とし紙を自分
の体の中へねじ入れてしまいます。

 「ははははははは」
 突然老婆が笑い出しました。

 「おぬしは若いのう。あれだけ搾り取っても、まだまだ精力が
有り余っとる」
 老婆はそれだけ言うと姿を消してしまいます。

 あとに残ったナオミが正気を取り戻したとき、彼女はまだその
紙を大事な処へ突っ込んだままにしていました。
 そして……、

 「えっ、抜けない。どうして?どうして抜けない。どうしよう。
抜けないよ」
 彼女がどんなにもがこうと、いったん突っ込んだ指はその落と
し紙を巻き込んで、まるで接着剤で固定されたようにぴくりとも
しなくなってしまったのでした。

 「どうしよう。どうしよう」
 ナオミの顔に次第次第に不安の色が濃くなります。
 そして、自分を落ち着かせるように、
 「夢よ。こんなの夢に決まってるじゃない」
 と何度も心に確かめてみるのですが、板戸に触れる手の感触や
夏の熱気、トイレの臭気はどう考えても夢とは思えないのです。

 「どうしたのナオミ、いつまでそんな処に隠れてるの」
 自分を呼ぶ母の声はやはり現実の世界だったのです。

 無論、それはナオミにとってあまりにも悲しい現実でした。
 母親にありのままを告げても信じてもらえませんし、困難な右
手に石けん水を塗って試してみても効果はありませんでした。

 しかもこの右手、ナオミの意志とは関係なく膣の中でいやらし
い動きを繰り返しますから、母親の前でさえ幾度となくよがり声
をあげることになります。こんな姿を他人に見せられませんから
……、

 「やめてえ!お医者さんになんか電話しないで」
 ナオミは医者に連れて行こうとする母親を必死になって止めま
す。しかし、ずうっとこうしているわけにもいきませんでした。

 「仕方がないでしょう」
 結局は、タクシーが呼ばれ、お医者様へ診察を受けに行く事に
なります。母親は娘を気遣って、裏口から入るから誰にも会わせ
ないようにしてくれと病院側に念をおして出かけたのでした。

 ところが、診察室に入ると、たまたま居合わせた絹ばあさんと
鉢合わせになります。彼女は老人で動作がのろく、診察を終えて
もすぐに服を着ることができず、その場に留まっていたのでした。

 「なんだ、助蔵さんとこのナオミじゃねえか。どうした、そん
な青い顔して……」
 絹ばあさんはナオミの様子をうかがいます。
 そして、すぐに結論をだしてしまうのでした。

 「おめえ、若い身空でおすけべ稲荷に願掛けしたろう」
 こう言われた瞬間、ナオミは心臓が止まったかと思えるほどに
驚いたのでした。図星を指されたナオミの顔は真っ青に変わり、
言葉には出さなくても当然、態度にでます。

 「そんなことするから妖怪にたぶらかされるんじゃ。…………
だったら、お股がかゆいじゃろうて」

 絹ばあさんの言葉に母親までが救いを求めるようにこう言い
ます。
 「ええ、それに指がぬけないとか言ってまして……」

 「そりゃあ、おこんこん様によっぽど気に入られたんじゃな」
 少し軽蔑した表情が上目遣いにナオミを見据えてぼそりと一言。
 「こうなったら『やいと』以外にはないかもしれんな」

 「やいと?」

 「お灸じゃよ。おすけべ稲荷の前でな、お股と悪さをする右手
にたっぷりすえるんじゃ。おこんこん様はどういうわけかやいと
の臭いがお嫌いでな。こうすると離れてくださるんじゃ。ほれ、
ようく見てみい。おまえのお股には、おすけべ稲荷のお札がまだ
挟まっとるはずじゃ」

 絹ばあさんに言われてあらためてお股をのぞき込むと、間違い
ありません。
 「あら、ほんと、言われてみれば……」
 「これ、ただの広告の紙じゃない。お札だよ……」
 「こんなこと初めてだ。聞いたことがないねえ」
 母親も看護婦もそしてお医者様まで駆けつけてナオミのお股を
のぞき込みます。おかげでナオミは途中から泣き出す始末。

 絹ばあさんの話は具体的で説得力がありましたが、それでも、
みんなの気持ちの中に『こんな科学の世の中にそんな馬鹿な話』
という思いは残っています。
 そこで……、

 「早い方がええ。今からおこんこん様の処へ行けば、今日中に
取れるかもしれんからやりにいこう」というおばあさんをなだめ、
まずはお医者様のやり方でやってみようと、ひとまずお引き取り
願ったのでした。

 しかし、結果はというと。
 どんなお薬や注射を打って筋肉の緊張を解いてもナオミの指は
抜けません。最後は高圧浣腸までやったのですが、結局、お手上
げでした。

 その間も繰り返されるオナニーで、ナオミの膣口は赤く爛れて
いきます。

 「ああっ……ああっ……」
 ナオミの口をついて出るうめき声も快感から来るよがり声では
なく、苦痛に満ちたものに変わっていくのでした。

 さすがにこうなっては絹ばあさんを頼るしかありませんでした。
夜中、遅く訪れると、ばあさんは艾の用意をして待っていました。
 待ってはいましたが、しかし……、

 「夜中はいかんのじゃ。他の魔物が入れ替わるかもしれんからな。
明日は宮司さんも修験者も呼んであるから間違いないはずじゃ」
 こう言って断ったのです。

 翌朝は駐在所のお巡りさんまで頼んで、お稲荷様の周りに紅白
の幕を張り巡らし、他の人が中に入り込まないようにしてから、
儀式が始められました。

 祠の高さに合わせたテーブルが用意され、ナオミがそこに乗せ
られます。
 鎮守の森の宮司さんが祝詞をあげ、山から下りてきた修験者が
護摩を焚いて祈祷を始めます。テーブルの上のナオミは、まるで
そのための供物のようでした。

 そして、いよいよ絹ばあさんのお灸が始まります。

 まるで赤ちゃんがおむつを替える時のように、仰向けになって
両足を高く上げるのはいくらヤンキー娘にだって抵抗があります。
おまけにこの日は、エミやキミエまでが手伝いとしてかり出され
ていますから、彼女としては友達の前で恥をかく羽目になったの
でした。

 「おまえらも悪さばかりしてるとこうなるからな」
 絹ばあさんの捨てぜりふを二人は神妙な顔をして聞いています。

 ナオミは友達にまでこんな醜態を見られ、身の置き所がありま
せんでした。ですから、テーブルに乗った時からずっと、あいた
左手で顔を押さえながらその時を待っているしかありませんで
した。

 「さあ、始めるからな」
 ここで元気なのは絹ばあさんだけです。
 彼女はあらかじめ切り分けてお盆に乗せておいた艾を一つずつ
丁寧に1センチほどの大きさに丸めて、それに唾をつけて湿り気
をくれてから、恥ずかしい処へ差し込んで抜けなくなった右手は
それぞれ指の股に一つずつ、お股の中は大陰唇に三つずつと会陰
にも二つ、そしてなぜか菊座にまで丹念に艾を詰め込むのでした。

 「熱いけどがまんせえよ。おまえが悪いんじゃけんな」
 そう言ってこの十三個の艾にいっぺんに火をつけて回るのです
から、そりゃあ大変なことです。

 「いやあああああ。熱い。待って、ごんなさい。熱い。だめ、
ごめんなさい。だめえ~~~、駄目だと言ってるのに、やめて~
やめて死ぬから、ぎゃあ~~いやあ~~~」

 ナオミはもう半狂乱になって叫び続けます。でも、母親だけで
なく父親や宮司さん、山伏のおじさん、はてはエミやキミエまで
がナオミの体を押さえていますから、どんなに暴れようと思って
もその体はテーブルの上でピクリともしませんでした。

 「人殺しい~~~~~」
 荒い息の下からようやく聞き取れる程度の弱々しい悪態が聞こ
えます。お灸になれた人でも大変なこの儀式。ましてやナオミは
お灸初体験ですから、そりゃあ驚くのも無理ないことでした。


 13個の小さな火が落ちて、一息ついたのもつかの間、絹ばあ
さんは早速次を準備します。

 「さあ、落ち着いたらもう一度やるよ」
 無慈悲な宣告にナオミは慌ててテーブルを下りようとしました
が、間に合いませんでした。絹ばあさんの号令一下、ナオミの体
は一瞬にして大人たちの圧倒的な力の前に押さえ込まれてしまい
ます。

 おまけに、普段はおとなしいナオミの父親までもが見せしめと
なっているお尻を平手で「ピシッ、ピシッ、ピシッ」と続けざま
三回叩きます。

 「みんなおまえのためにやってんだぞ。我慢しないか!」
 ドスのきいた声がお腹までに響きます。ナオミにとってそれは
お灸と同じく生まれて初めての出来事でした。

 「さあ、もう一回」
 さきほどと同じ処へ13個の火の粉がふり注ぎます。

 「………………………………………………………………」
 今度は先ほどと違って素っ頓狂な奇声がまったくあがりません。
でも、熱いのは初回以上でした。

 それが証拠にナオミのお股からは、ちょろちょろと黄色い水が
漏れ出します。母親が可哀想に思ってタオルで拭き取りますが、
その水はチョロチョロとだらしなく流れ出すばかりでいっこうに
止まらにないのです。

 テーブルに池を造り、やがてそれが溢れて落ち、砂地の地面は
そこだけ色が変わってしまいます。唯一の救いは、ナオミ自身が
このことに全く気づかないでいることぐらいでした。


 そして、三回目。

 「うっん……ううううん」
 荒い息の中でくぐもった声がしたかと思うと、それまで周囲に
漂っていたやいとの煙が一気に祠の中へと吸い込まれていきます。

 と、同時に、あれほど頑強だったナオミの右手がヴァギナから
するっと抜けたのです。

 「おい、抜けたぞ!」
 両親も宮司さんも山伏のおじさんもエミもキミエも絹ばあさん
も、とにかくみんな大喜びです。けれど、当のナオミはその瞬間、
気を失ってしまいあとのことは覚えていませんでした。

 人の話によれば、彼女が粗相をした地面の上にはおすけべ稲荷
のお札と芋虫が一匹転がっていたとか。
 でも、これも一瞬にして消えてしまったそうです。

 ナオミのお股と右手の指の股には、今もその時のやけどの痕が
はっきりと残っています。けれど、彼女はこれ以後、専門学校に
通って、立派な美容師になったということですから、払った代償
以上のものは得たのかもしれません。

めでたし、めでたし、

*******************<了>****

Appendix

このブログについて

tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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