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α201

α201<3>

シャワー室から戻ったパティーはすでに相当に憔悴しているように
見えた。
 にもかかわらず、お仕置きは当然のように強行されていく。

 『浣腸だけで十分だろう』
 私は思った。私のように男の支配する社会で育った者にとって女性
をいたぶるような行為は恥ずべきものとされているからだ。

 しかし、ここは男が支配する国ではない。主体はあくまで女性なの
だ。女性が自ら土木工事を行って都市を築き、一旦事が起きれば銃を
持って前線に赴くことが当然とされる社会なのだ。
 ましてや男性に比べ体力的にハンディのある女性は、何をやるにも
集団で取り組まなければならない。

 男の組織同様と言いたいが、それ以上に規律が厳しくないと成果も
得られないし、ヘタすれば組織が空中分解ってことにもなる。
 そのため幼い頃から長幼の序や身分の差は絶対で違反者はちょっと
したことでも、即、お仕置き。それも周囲に異性、つまり男が少ない
こともあるのだろう、破廉恥な体罰には事欠かなかった。

 この時も私は……
 「もう、憔悴してるみたいだし、許してやってもいいんじゃないか」
 と隣の母親に進言してみたのだが……

 彼女の反応は……
 怪訝な顔で一瞬私を見つめたかと思うと、次の瞬間は笑いだして…
 「大丈夫よ。女ってね、ちょっとしたことでもすぐに『参りました』
『ごめんなさい』って素振りを見せるの。これは習性。……でもね、
そんなことに付き合っていたら、女の性根は治らないのよ」

 「でも……」

 「大丈夫、私だって色んなお仕置きされて大人になったんだもの。
どこが限界かぐらいのことはわかるわ」

 「そうは言っても……」

 「あらあら、こんな事に引っかかるなんて……男性って……ホント、
フェミニストなのね」

 彼女の言葉にはどこか侮蔑的な意味が含まれていた。

 パティーの次なる試練は鞭打ち。シーソーのような傾斜のある板に
うつぶせになって辱めを受け、苦痛に耐えるお仕置きだ。

 板の低くなった側には横棒の長いT字バーがとりつけてあり、この
バーを握ってうつぶせになればパティーの仕事はそれで終わり。後は
助手を勤める二人のシスターの仕事。

 高くなった側のテーブル板の端にはクッションが置かれパティーの
下腹がそこにくるように調整される。さらに余った両足はこれでもか
というほど大きく開かれて足首が細い丸太に固定。
 当然、後ろから彼女の恥ずかしい部分が丸見えになるわけだが……
パティーも慣れてきたのだろう慌てた様子も悲鳴もなかった、

 ただ、あらためて見るパティーのお尻のお山には他の子に比べても
大きなお灸の痕が目につく。きっと何かとこれまでお仕置きを受ける
機会が多かったのだろう。
 こうした言い方には賛成したくないがそれだけ母親に可愛がられて
いるということでもあった。

 そんな大きな灸痕も含めて上級シスターはパティーのお尻を丹念に
アルコールに浸した脱脂綿で拭き取り始める。
 これは子供の鞭打ちに際してこの星ではよく儀式で、お尻の体温を
奪われた子はそれまで手が付けられないほど暴れていてもその瞬間、
身を固くして観念するのだそうだ。

 「いいこと、人は節度というものを持っていなければなりません。
オナニーを絶対にやってはいけないとは言いませんが、やり過ぎれば
記憶力が低下し健康を害します。だから自制することが求められるの
です。お父様お母さまとその回数についてお約束があったでしょう?」

 「…………」

 「……それを守れないのであればお仕置きはやむをえませんね」

 厳とした物言い。その事にパティーは反論することができなかった。
男性が圧倒的に少ないこの星ではお楽しみはレスボスの愛が一般的。
オナニーも許されていたから決して禁欲主義ではない。

 ただ、子供には制約があって、レスボスにしろ独り遊びにしろ親が
相手や日時などを承知している事が条件で、思い付きによる身勝手な
行為は許されていない。
 レスボスの愛も親の知らない処で楽しめば参加者全員がパティーの
ような憂き目にあうことになるのだ。

 上級シスターはこれでもかというほどたっぷりとパティーのお尻に
アルコールを塗りつけると、おもむろに革紐鞭を取り出した。
 六十センチくらいの細身のなめし皮で幅は五センチ位か。真ん中に
深いスリットが入っていて木製の握り手がついている。
 この星で未成年者のお仕置きに使うのは大半がこれだった。

 「ピシっ」
 「あっ」
 お尻のお山にそれが振り下ろされた瞬間、パティーの顔がゆがむ。

 私は確かに彼女と血縁が繋がっているわけではないがそれでも顔を
そむけた。
 やはり長く男社会を生きてきたからだろうその光景が残酷でならな
かったのだ。

 しかし、鞭音がやみ目を開けると母親はしっかりとその様子を冷静
に観察しているのがわかる。

 再び……
 「ピシっ」
 「あっ」
 パティーが両手を添えていたT字のバーを必死に握りしめる。

 今度は私も目をそらさなかったが母親は相変わらず冷静にその様子
を見ている。その姿が、私にはまるでつまらない映画を仕方なく観て
いるように見えて複雑な心境だが、彼女は決して冷たい人間ではない。

 「ピシっ」
 「いやっ」
 冷静に的確にパティーの心の中を読み解こうとしているのだ。

 「ピシっ」
 「いやっ」
 後で聞いた話だが女性はこんな事態になっても、ほんのわずかでも
よく見られようとする。今ある現実を受け入れず、自分の心の中だけ
ではなかったことにしようとする。

 「ピシっ」
 「いやっ」
 それが少しでも感じられるうちはお仕置きは終わらないのだそうだ。

 「ピシっ」
 「いやあ~っ、ごめんなさいもうしません」
 六回目でやっと本心が飛び出すと母親はもう一段厳しい顔を造って
から私の方を見て笑った。

 「この子も、やっと、いい子になる産声をあげたわ」

 「?」
 私が訳が分からず悩んでいると……

 「女の子ってね、男の子と違ってなかなか本心を外に出さないの。
しかも年齢が上がるほどその意識が強くなって……ほおっておくと、
しまいにはね、自分の本心がどこにあるのかさえわすれてしまうから
やっかいなのよ」

 「まさか」

 私が驚くと……
 「本当よ。あなたにしてみれば可哀そうだという気持ちの方が先に
たつかもしれないけど、女の子ってこれくらいしないと本当の自分と
向き合おうとしない生き物なんだから」

 「ピシっ」
 「いやあ~っ、やめてえ~ごめんなさい、もうしませんから」
 隣の部屋からは悲鳴だけでなくパティーを縛り付けているロープや
机のきしむ音までが伝わって来る。

 「大丈夫でしょうか、健康を害してしまっては元も子もないと思う
んですが……」
 頼りなげに母親に尋ねると……

 「大丈夫よこのくらい。女の子ってね、このくらいでくたばったり
はしないものなのよ」

 「ピシっ」
 「いやあ~っ、いやあ~、死んじゃう~」

 「ほら、元気に叫んでるじゃない。ああして大声が出ているうちは
問題ないの。女の子の体ってぶったり叩かれたりすることには男の子
よりむしろ丈夫にできてるの」

 「ピシっ」
 「いやあ~っ、いやあ~、いやあ~、いやあ~、」

 「何?まだ心配してるの?私だって子供の頃はあんなものじゃない
お仕置きを沢山受けてきたんですもの。限界になった時ってのは見て
いればわかるわ」

 「ピシっ」
 「いやあ~っ、いやあ~、いやあ~、いやあ~、もうだめえ~~」

 「あなたには見えないでしょうけど、あれであの子、どうにもなら
ない恥ずかしい部分を今でも隠そうとしているの」

 「健気ですね」

 「いえ、健気じゃなくて……あんなことができるうちは女の子って
元気そのものなのよ」

 結局、パティーは一ダースの鞭を受けて傾斜のついた机からは解放
されたが、これは裏が終わっただけの話。
 鞭のお仕置きは、まだ表が残っていたのだった。

 傾斜のついた机からは解放されたパティーだったが、次のステージ
は、1m四方、高さ50cmほどの台の上。ここに乗せられて左右の
腕をそれぞれ天井からつり下がったベルトに戒められる。

 「あっ、いや」
 助手をつとめる二人のシスターによるあっという間の出来事。
 鞭打ちで疲れていたパティーにとっては『えっ、何するの』『だめ、
いや、やめて』という言葉を発する暇がないほどの早業だった。

 その動けないパティーの身体を上級シスターが触れてまわる。
 傷んだお尻はもちろん、泣きはらした顔、鳥肌の立つ両腕、震える
両足も、まだ可愛らしい胸のふくらみも、キュートなお臍も、さらに
その下に連なる緩やかな丘も例外ではなかった。

 自然にしていればそこに茂みができるパティーだが、今はすべすべ
に剃り上げられていて剃り跡すらない。つるつるで赤ん坊と同じ姿の
パティーだが、そこにはひと際大きなお灸の痕、灸痕があった。

 もちろん、これは彼女に限らず女の子全てが持っている火傷の痕に
違いないが彼女のそれはお尻のお山に一つずつ据えられたものも含め
ひと際大きかったのである。

 「では、今度は前のお仕置きです。しっかり歯を食いしばって頑張
りましょう。いいですね」

 「はい」
 上級シスターに宣言されるとパティーは蚊の鳴くような声で答える。
 これが彼女の精いっぱいの声だった。

 そんな緊張した雰囲気のなか、
 「びたっ」
 最初の一撃がパティーのお臍の下の膨らみに当たる。

 『これはずいぶん違うな』
 私は思った。
 お尻を叩いていた時のそれとは勢いが明らかに違っていたのだ。

 ささやかな膨らみがあるとはいえ膀胱や子宮まで距離が短い前側の
お尻(この星では恥丘のことをよくそう呼んでいた)への配慮だそう
だが、だからといってこのお仕置きが軽いものというわけではない。

 素っ裸、それも万歳しているような姿勢で立たされているのだから
女の子にとっての恥ずかしさは半端なものではない。
 大切なことは痛みではなく、自分の恥ずかしい場所をすべてさらけ
出させるということ。
 
 だから、鞭の役割も痛みを与えるというより放っておくと夢の世界
に逃げてしまう女の子の意識をつねに現実に引き戻しておく小道具と
して重要だったのである。

 鞭打ちの合間、両足を開き、他人に股座のなかにある自分の性器を
確認してもらうなんていうのは、うら若い少女にはとってはさぞかし
辛いお仕置きだったに違いない。

 「さあ、目をつぶらないの。自分のものなんだから恥ずかしくない
でしょう」
 上級シスターはパティーの股座にカメラを入れ前にあるモニターを
指さしながら自分の持ち物を確認させる。

 「あらあら、襞もだいぶよれてるから、ここにも相当手を入れてる
みたいね」
 上級シスターにこう言われるとパティーの顔が真っ赤になった。

 そして、お尻をぶたれていた時にもこれほど大量にはと思えるほど
大粒の涙を大量に流し始めたのである。

 「あなた、今に生まれて幸せよ。大昔は焼き鏝で大事な処を焼いた
こともあるったんだから……」

 「…………」
 上級シスターの脅しにパティーは息を飲む。

 「これからはせいぜい自重することね。でないと……お仕置きは、
もっともっと厳しくなるし、何より大人にしてもらえないわ」
 上級シスターは笑顔でパティーを諭す。

 実際、この星では年齢がいけば自動的に大人になれるのではなく、
大人委員会と称する組織の承認が必要だった。そこではとりわけ倫理
がうるさく、自分の心をしっかり制御できない者を大人社会の一員と
して加えることはできないとされていたのである。

 つまりオナニーを自制するというのもそのことの一つなのだ。

 仮に、大人と認められなければどうなるのか。
 たとえ身体だけ大人になっていても、いつまでも子供扱いのまま。
悪さをすれば幼い子供たちたと同じように素っ裸で枷に括られる運命
を受忍しなければならない。
 それが生活していく上でどれほど恥しいことか、辛いことなのかを
大人たちはみな知っていたからこそ、大人たちはハイティーンの娘に
厳しかったのである。

 パティーは上級シスターの長い説教の後やっと許されたが、これで
お仕置きの全てが終わったわけではなかった。
 このことを忘れないための教訓を与えなければならなかったのだ。

 その事で上級シスターが再び私たちがいる金魚鉢へとやってきた。

 「お嬢さんの灸痕は他の子と比べて少し大きいに感じますが、お家
ではどのようにされているのでしょうか?」

 上級シスターが尋ねる。確かにパティーの灸痕は他の姉妹と比べて
も少し大きかった。それを心配したのである。

 「ああ、あれですか。あの子、ああ見えてけっこうお転婆なところ
がありましてね、幼い頃、何かあるとよくお灸で矯正していたことが
あったんです。あの子にはお尻叩きや鞭よりお灸の方が効果的でした
から……」

 母親の言葉は私には初めて聞く情報だった。確かに子供と言っても
その性格は千差万別。矯正するための手段も、その子によって効果に
差があるもの頷ける。
 だからこそ、それぞれの子に最も効果のある罰を与えるのは当然の
ことなのだろう。

 灸痕は前にも説明したが医学の進んだこの星では簡単な手術で治る
ため子供の勲章として親もあまり罪悪感を持っていなかった。
 そんなことより、日々、子供が親の望むように行動してくれること
の方がはるかに大事だったのである。

 「そうですか、では普段お宅では艾は大き目のものを……」

 「ええ、この子にはいつも標準的なサイズの1.5倍程度のものを
使っていましたから………ああ、でもあえてそのサイズにすることは
ありませんよことよ。今日はしっかり骨身に応えてるみたいですから、
普通サイズで結構です」

 「わかりました」
 上級シスターは納得して帰ろうとしたが、それを母親が呼び止める。

 「ああ、お待ちを……これはあくまでこちら側の勝手なお願いなん
ですが……」
 彼女の言葉に上級シスターが振り向くと……

 「艾の大きさはそのままでいいんですが、お灸をすえる場所をもう
二か所ほど追加していただけないでしょうか」
 
 「二か所と申しますと……」

 上級シスターが尋ねると、いつもははっきりものを言うこの母親に
しては珍しく少しためらった様子で……
 「実は……この子、前にも申しましたように他の子に比べてお灸が
効果的ですので、我が家では通常の三か所の他にもお仕置きのしめに
据えてる場所がございまして……」

 「そうですか、どちらでしょう?」

 「クリトリスの根元と会陰です」

 「ああ、あれやっぱりそうだったんですね。小さいものでしたけど
ひょっとして思っていたのですが……」

 「あれ、あの子には結構効果があるんです。……微妙な場所ですし
……形ばかりでいいんですが」
 彼女にしては歯切れの悪い物言いだった。

 「わかりました。やってみます。こういう処にも据えられたという
精神的なショックを期待なさっているんですね。わかります。私たち
も例外的に行うことがありますから。もちろん過去にグレートマザー
からの禁止指令はでていませんでしょう?」

 「ええ、それはもちろん」

 「わかりました。では、やってみましょう。お宅でのやり方と同じ
かどうかはわかりませんけど、やってみます」

 上級シスターは約束して部屋を出、母親は「お願いします」と頭を
下げたのだった。

 呆気に取られている私の顔を見て母親は笑う。
 「どうしたのよ、その顔は。大丈夫よ。家では幼い頃からやってる
ことだし彼女はプロなんだから……」

 「でも、そんなところに……」
 私はこう言うだけが精いっぱいだった。

 「あなたは女の身体を知らないから大変な事って思うかもしれない
けど、あそこって触れられることには敏感だけど、熱には意外に鈍感
なんだから。上級シスターも言ったでしょう。大切なことは『こんな
ところにも据えられた』っていう精神的なショックだって。単に痛み
だけのお仕置きならその痛みがひけばすぐにまたやりだすわ。でも、
これって、お仕置きの効果がけっこう長続きするのよ」

 「…………」

 「なあに、その疑い深い目は……」

 「疑ってるわけじゃないけど、大丈夫かなって思ってさ」

 「男性は少女には肉欲がないと思ってるみたいだけど……とんでも
ない。男性と同じくらいあるの。オナニーだってやり始めてしまった
らもう止まらないんだから。そこは男の子と同じ」

 「そうなのか」
 私はあっけらかんと話す母親に調子を合せるしかなかった。


 さて、そうこうするうち隣の部屋ではパティーの最後のお仕置きが
始まろうとしていた。

 お灸のお仕置きは、もともと今はこの星の住人となっている彼らが
流浪の末にたどり着いたこの地で始めた医療行為で医学科学の進んだ
今となっては特に何かに役立っているというわけではないのだが……
今なお子供のお仕置きとしてだけその習慣が残っていた。

 艾の香りが部屋に充満していくなか、パティーの顔が青ざめる。
 もちろん、浣腸だって鞭だって彼女にとって嫌なことに違いないが、
お灸のお仕置きは格別だった。全身に鳥肌が立ち、両足が震え、唇が
青ざめて、心臓が飛び出すんじゃないかと思うほど胸を打ち始める。

 たまらず、パティーは上級シスターの前に膝まづく。
 「……お、お願いです。お灸だけは許してください」

 もちろん、大人絶対のこの社会で子供がそんなことを言う立場には
ない。そんな事は百も承知しているが、パティーはすでに恐怖で押し
つぶされそうになっていたのである。

 『なるほどね、親の言う通りだわ』
 上級シスターは思った。もちろん他の子だってお灸が好きだなんて
子はいない。しかし、ここまで恐れる子は珍しかった。

 ただ、だからと言って『今回はやめてあげる』とは言えなかった。

 「どうしたの。そんなにお灸が嫌い。熱いから?痕が残るから?」

 「…………」
 これにはパティーが答えない。

 「だめよ、この星の子供たちのお仕置きのしめは、昔からお灸って
知ってるでしょう。あなたのお家では違っていたのかしら?」

 上級シスターがこう言うと……
 「いいえ、」
 ぼそぼそっとした不承不承といった声が返って来る。

 始めから無駄だとわかっていたから、断られたショックはそれほど
強くないようにも見えたが、やはり落胆の様子はこの金魚鉢の中から
でもはっきりわかった。

 「さあ、ここへいらっしゃい」
 上級シスターは、小さな椅子に座り、人目もはばからず泣きはらす
パティーを膝の上に引き寄せた。

 パティーはこの時体操服を着ていたが、その気持ちは素っ裸でいる
時とそれほど変わらなかった。
 今は、『お灸』『お灸』『お灸』『お灸』とそのことばかり。
 それ以外のことは何も考えられなかった。

 涙目を拭いて見れば、サイドテーブルには火のついたお線香、艾も
円錐形に綺麗に成形されたされたものが五つ六つ平皿の上に置かれて
いて、準備は全て整っている。

 『見るんじゃなかった』

 「あら、震えてるじゃない。どうしたの?怖いの?だって、初めて
じゃないんでしょう?これまでも何回だってやってきたんでしょう。
さあ、試練は勇気を持たなきゃ乗り越えられないわ」
 上級シスターはそう言ってブルマーをずり下ろす。

 「試練を乗り越えられなきゃ前には進めないでしょう。……あなた、
ずっとこのまま子供でいるつもり?……大人試験ではどのみちもっと
大きなお灸を据えられるのよ。知ってるでしょう」

 「…………」
 上級シスターに諭されてもパティーの震えは止まらい。

 大人試験の時にもこれが行われ、誰もがその熱さに歯が折れるほど
の我慢を強いられる試練だったのである。

 「さあ、行きますよ」
 上級シスターの声に、助手の二人がすかさずパティーの肩と両足を
押さえる。

 もうこうなってはパティーも、どうすることもできなかった。

 上級シスターの膝の上にうつぶせ。幼い頃ならお尻叩きとなるその
姿勢でブルマーが下ろされ可愛いお尻が顔を出している。

 鳥肌が立ち、震えているお尻のお山に円錐形の艾が乗せられると、
お線香の火が移される。

 「いやあ~~」
 パティーは大声と一緒にその場を跳ねのこうとしたが、頭も両足も
助手二人に厳重に抑え込まれていて果たせない。

 残ったのはパティーの嗚咽だけだった。

 こう書くと、何やら長い間パティーが灼熱地獄にさらされたようだ
が、お灸の所要時間は15秒から20秒程度。あっという間に終わる
話なのだが、幼児体験でショックを受けていたパティーには、これが
トラウマになっていたのである。

 「さあ、今度は表よ」

 上級シスターに促されて今度は仰向け。

 「いやあ~やめてえ~~もうしないから~~」

 艾が灸痕のある恥丘に乗せられ、火がつけられてそれが燃え尽きる
まで、パティーは騒ぎっぱなし。もし、二人の助手が頭と両足を必死
に押さえてくれなかったら、このお仕置きは失敗していたかもしれな
い。そのくらいパティーは必死だったのである。

 ちなみに、銀河系にある地球という星の一部でもこれと同じような
ことが行われているが、これはこの星の先祖が未だ文明開けぬ地球で
たまたま知り合った知能の高いサルに応急処置の治療を行ったものが
きっかけと言われている。

 さて、それはともかく、パティーは許されてシスターの膝を降りる。
 ブルマーを穿くこともいったん許されるが、これで本日のパティー
のお仕置きはすべて終了とはいかなかった。

 彼女にはまだ辛い現実が待っていたのだ。

 「パティー、これで一応あなたへ当初課したお仕置きは終わった事
になるけど、お灸のお仕置きの時に少し反抗したから追加のお仕置き
をするけど……いいわね」

 上級シスターは形の上ではパティーに承諾を求めているが、勿論、
パティーの側にそれを否定する権限はない。仮に否定したところで、
その先に見えるのはさらに厳しいお仕置き。
 『はい』と言う他はなかった。

 「はい、シスター」
 だから、この時のパティーの顔がどんなだったか、それは一口では
とても言えないほどだったのである。

 パティーは再び用意されたテーブルに仰向けになると、やっと身に
つけたブルマーを再び脱がなければならない。
 『これで何度裸になったなったことだろう』
 確かに女しかいない場所での出来事には違いないが恥ずかしくない
と言えばそれも嘘になる。まるで着せ替え人形のようにもてあそばれ
ている自分が情けなくてしかたがなかった。

 そんなことをぼんやり考えていると、再び両足が大きく開かれる。
鞭打ちの時に使ったのと例の細い丸太で両足首を縛られ……そのまま
持ち上げられるのだ。

 もし、何の説明もなくいきなりこんな事をされていたら、誰だって
きっと大声を出していたに違いない。

 でも、この時のパティーはすでに次から次に襲う試練に慣れてきて
いた。
 否、『疲れていた』『諦めていた』という言葉の方が正確かもしれない。

 『もう、なるようにしかならない』
 そんな気持ちの彼女の鼻を再びあの香りがくすぐる。

 「いやあ~だめえ~~」
 諦めていたはずのパティーの脳裏で再び警鐘が鳴る。

 パティーは慌てて起き上がろうとしたが時すでに遅かった。
 起き上がろうとする上半身も細い丸太に固定された両足も、二人の
助手によって1センチたりとも動かないのだ。

 『いやあ~、やめて~、だめ~』
 そればかりではない。あの忌まわしい香りが自分の最も大切な場所
にまとわりついて離れないのだ。

 「いやあ~~やめてえ~~」
 パティーはやっとの思いで声を出す。
 しかし、それだけしか言えなかった。

 「いやあ~~!!!!!」
 やがて脳天を突き抜けるような熱さが襲ってきて……
 それは、さながら焼け火箸をヴァギナから差し込まれたような衝撃
だったのである。

 もちろん、これは彼女の思い。実際に肉体に起こる衝撃は先に説明
した通りだ。

 『こんなことされた』
 放心状態の彼女は何回も何回も頭の中でつぶやく。

 そして、そのショックからようやく一息ついた頃になって……
 「いいこと、自分で自分を律することのできない子には、何度でも
大事な処を焼いてあげるから、楽しみにしていて頂戴。いいわね」

 上級シスターの厳とした物言い。パティーは……
 「はい」
 と小声で頷くだけだった。


*******************************


 金曜日の翌々日。日曜日の午前、パティーは懲戒所人たちと一緒に
教会のミサに参加し、それが終わると解放された。
 
 たった二泊三日の苦行だったが、さすがに堪えたとみえてさっそく
人目もはばからず母親に飛びつく。
 彼女のお仕置きは私たちが見学した最初のあの日が最もきつくて、
以後は反抗しない限り少しずつ緩やかになっていった。

 ただ、彼女の懲戒所での苦行はお仕置きだけではなかった。
 お仕置きのない昼間も常に拘束衣の下着を身につけいなければなら
ないしトイレで用を足す時も監視役のシスターが傍について見ている。
夜は夜で大事な処にたっぷり促淫剤が塗られるから拘束衣を着せられ
た後は悶絶しながら夜中じゅうベッドをのたうち回ることになる。

 こうやって懲戒所にいる時はお仕置きだけではない。昼夜問わず、
絶対にオナニーをさせない。一歩踏み込んで薬で高まったオナニーを
やりたいという気持ちを押さえる為の訓練まであるのだ。
 これで疲れないはずがない。家庭に帰りたくないなんて思う子は
いなかった。

 パティーばかりではない。そんな懲戒所を出所してきた子供たちが
まず感じるのは家庭の温かさ、帰るべき場所のある安堵感だった。
 だから当初は誰でもが親のいう事を二つ返事できくようになる。

 『あんな処に比べたらここはまだまし』
 というわけだ。

 そんな瞬間を利用して母親はパティーにダメを押した。
 「パティー、あなたは今日からお父様のベッドで一緒に寝なさい」

 母の厳命にパティーは思わずのけぞる。
 『この歳で父親と同じ布団で練るなんて』
 生理的な恐怖感を覚えたのかもしれない。

 ただ、自分の立場を考えると、嫌とは言えない現実もわかっていた
ようで……。
 「はい、お母さま」
 と素直に答えたのである。

 しかし、それは私も同じだった。この星の習慣で普段から娘たちと
一緒には寝てはいるが、それはみんな幼子。
 こんな大きな子は初めてだ。

 無論、間違いなど起きるはずがないとは思っていても、二つ返事で
『いいよ』とも言えなかった。

 そこで、パティーと距離ができた場所で母親に真意を確かめる。

 「どうして、私がパティーとベッドを共にしなければならないんだ」
 小声で尋ねると……

 「あら、いいじゃない。親子なんですもの。問題ないでしょう。…
…それともあなたの方に何か問題があるのかしら」

 「いや、そういうわけじゃあ……」

 「じゃあいいじゃない。懲戒所に行ったと言っても、三日じゃまた
すぐに戻っちゃうわ。あなたが一週間を三日にしたんだから隣に寝て
その分、監視してもらおうと思ったの。だって、いくら気の強いあの
子でも父親と同じベッドのなかじゃできないでしょう」
 母親は軽やかに笑うが……。

 「そういうことか。でも、それならお前の方が適任なんじゃ……」

 「馬鹿ねえ、今のあの子にとって私は自分を地獄へ落とした大魔王
なのよ。そんなベッドで寝られるわけないでしょう。まずは懲戒所で
鍛えてもらった身体を冷まさなきゃいけないけど……それに私は適任
じゃないわ」

 「僕が適任だって言うのかい?僕は男なんだよ」

 「だから何?……だからいいんじゃない。普段あまり抱かれた事の
ないお父さんに抱かれるんだもの、悪い気分じゃないはずよ」

 「また、そんな冗談を……」

 「冗談じゃないわよ。あの子はあなたを好いてるもの。こんな時に
慰めてくれたらそりゃあ嬉しいはずだわ」

 「まさか……年頃の娘が父親を……」

 「どうして?そんなこと言うの?年頃の娘だって父親が好きな子は
たくさんいるのよ。あの子はね、あなたに慰めてほしいのよ」

 「え~~」
 私は懐疑的な顔をして驚く。

 「これは私が同性だからわかるの。女性は直接好き嫌いを言わない
から男性にはわからないかもしれないけど、女性はその仕草の端々で
その人をどう思っているかがわかるものなのよ」

 「う~~ん」
 私はこの時多くの不安を抱えていたが結局はこの母親に従うことに
なったのだった。

 ******************************
 
 懲戒所から帰宅して最初の夜、パティーは私たち夫婦(?)だけが
そこにいる居間に呼ばれる。
 他の子供たちは全員自分の部屋に下がらせていて、ここへは立ち入
らせなかった。

 「懲戒所はどうだった?大変だった?」
 ソファに腰を下ろした母親が自分の前に立つパティーにありきたり
な質問をすると……。

 「はい、お母さん」
 声は小さいが素直に答えた。

 「なら結構よ。もし、平気の平左ですごされてたら私たちの努力が
水の泡になっちゃうもの」
 母親は含み笑いを浮かべ、それを私にも見せて同意を求めてるよう
な仕草だった。

 そして……
 「だったら、受難の跡を見せてもらいましょうか」
 
 パティーに対してだけではないのだが、この母親は私だってギクリ
とするようなことをさらりと言ってのけるのだ。

 「えっ!……」
 パティーの驚きは当然だろう。

 「わからない?裸になりなさいって言ってるの。わかるでしょう?
懲戒所での成果を見たいのよ」

 「ここで?」

 「そうよ。ここにいるのはお父さんとお母さんだけだもの。別に
裸になっても恥ずかしくなんかないでしょう?」

 「えっ!?……あっ……はい」
 彼女は傷ついた自分の体をもうこれ以上誰にも見せたくなかったが、
母親の要求を否定しなかった。というか否定できなかったのである。

 二十歳未満の子供は幼児もハイティーンも同じ扱いというこの星に
あって母親の要求をはねつけるなんて勇気は、パティーでなくても、
誰にも湧いてこないに違いない。
 
 「はい、お母さん」
 パティーにはこの言葉しか残っていなかった。

 若い娘が異性である私を前にしての全裸は、相当に勇気がいること
だろうが、この星に生まれた以上それも仕方がなのだ。

 その勇気を母親は慎重に大胆にめでる。
 二つあるお尻の山の鞭の跡やさらに大きくなったお灸の痕。お臍の
下の様子も細かく観察した後は、ソファに仰向けに寝かせて、両足を
広げさせた。

 「ん……ここも丁寧な仕事がしてあるわね。結構だわ」

 母親は大変満足げだったが、この時ソファに寝ころんだパティーは
すでに大粒の涙を流していた。

 残酷な仕打ちにも思えるがこれがこの星の流儀。長幼の序、身分の
上下は絶対というテーゼをこの星に生まれた女の子たちは頭ではなく
身体に覚えさせられるのだった。

 「服を着ていいわ。……あっ、それから……いいから服を着ながら
聞いてちょうだい。あなた、これから一週間、お父様のベッドで一緒
に寝るの」

 「えっ!」
 その瞬間、パティーの手が止まる。

 「だってそうでしょう。これであなたを一人で寝かせたらまた同じ
事になりそうだもの。暫らくは様子をみてみないと……」

 「…………」
 母親の命令にパティーの口は開かない。

 『ほら、見ろ。ショックで口もきけないじゃないか』
 私は思ったのだが……母親の感覚は違っていたのである。

 『嬉しいのね。それをどうやって打ち消そうかまよっいるのね』
 と、こうだった。

 『無茶苦茶な事言いやがって、どういう精神構造をしているんだ』
 私は母親の理屈を純粋にそう思ったが……ただ……

 「はい、お母さん」
 力のないパティーの最後の返事。いつものように判で押したような
答え方だったのだが、ただその瞬間、私にはパティーの頬がうっすら
笑ったように感じたのだった。

 ****************************

 「お尻はもう痛くないのか?」
 私はぎこちない態度でベッドに腰を下ろす。すでにマークは夢心地。
仕事の半分はすでに終わっていたが問題はこれからだった。

 別に下心があるわけではないが、ハイティーンの娘とベッドインだ
なんて前いた星では考えられない事だったからパティーがというより
私の方がよほど緊張していたのである。

 「大丈夫、最初は大変だったけど、後の四回はそんなでもなかった」

 「お前も大変だなあ」

 「仕方ないよ。約束破っちゃったから」

 「でも、懲戒所では色々やられたんだろう?」

 「そりゃあねぇ」

 「でも、我慢できたんだ」

 「しなきゃしょうがないでしょう。どこにも逃げられないんだもの」
 高い鼻が天井を向く。

 「パティーは……今、幸せかい?」

 この問いにも彼女は即答した。
 「もちろんよ。お母さんも学校の先生方もやさしいもの」

 意外な言葉が返ってきた。
 何かあるたびに素っ裸の尻を叩かれている人たちを優しい人たちと
パティーは表現するのだ。

 ……しかし、
 『そりゃそうだ』
 と私は思った。

 誰もが生まれる場所を選べない。新天地を求めたくともそのコミュ
ニティを抜けられないことだってある。そこが理想の天地でなくとも、
そこで産まれてそこで生きてそこで楽しみを見つけなければならない。
 そうした意味で女の子は男の子より優れているようだった。

 「前のお父様……つまり、司祭様とは一緒に寝たことがあるの?」

 「小学校時代はね、だって週に一回は必ず順番がまわって来るもの。
家ではお父さんとお母さんで週二日くらい添い寝してたかな。ベッド
に入るといろんな処をさすりながら色んなことを話すの」

 「ん?……司祭様も?」

 「そうよ、お仕置きされて痛い処が早く治るようにって……年寄り
だからちょっと臭かったけど、色んなこと知ってて物知りだったし、
お母さんとうまくいかない時は何度も愚痴を聞いてくれたわ。だから
慰めて欲しい時は、本当は私の順番ではない時だってそうっとお父様
のベッドに潜り込んだりしたんだから……」

 『そうか、この星の父親は娘のなぐさめ役だったのか……でも……
今は、違うんだろうなあ。身体もおおきくなったし第二次成長期にも
はいってるしな』

 そんなことを思っていると、いきなり。パティーがきょとんとする
ような事を私につぶやくのだった。

 「お父様、今日は私を抱いてくれるんでしょう」

 その言葉は額面通り受け取ればもの凄くショックな言葉だった。
 しかし、パティーには何の他意もない。19の娘でも純粋に子供と
して扱われるこの星にあって親とのベッドインは特別な事ではない。
身体のありとあらゆる処をさすってもらい。昼間は言えなかった愚痴
をきいてもらうのだ。
 
 「おいで……」
 私はためらいながらもパティーを自分のベッドに誘ったが、この時
怖かったのはパティーではなく私の方だったのである。

 「お邪魔しますね」
 彼女はそう言ってネグリジェを脱ぎ捨てると、この時唯一身につけ
ていたショーツまでも脱ぎ捨ててベッドシーツに包まる。

 「ふう~」
 私は大きく一つ息をつく。
 幼い子も同じように全裸でベッドに入って来るが、ハイティーンと
もなると受け手の側の気持ちはまた格別だった。

 そして、いきなり……
 「私ね、お父様のことが好きだよ。司祭様も決して悪い人じゃない
けど、おじいちゃんだったもん」
 その明るい声にびっくりした。

 「怖くないのかい?」

 「どうして?私だって12の頃までは毎日お父様やお母様に抱かれ
てたんだから、今さら驚くような事じゃないじゃないでしょう?」
 
 パティーはどうしてそんなこときくのかって言わんばかりだったの
である。

 こうして、最初はぎこちない関係だったが、パティーが常に陽気に
振舞ったせいで私の心も次第にほぐれていく。
 
 「そうか、大人にはなりたくないのか」

 「なりたくないってわけじゃないのよ。だって、大人になれないと
いつまでもお仕置きを受けて暮らさなきゃならないでしょう。若い頃
ならまだご愛敬ってところもあるけど、おっぱいやお尻が垂れてきた
いい歳をした女が枷に捕まってみんなに見られてるなんて、さすがに
ぞっとするもの」

 「そんな人いるのかい?」

 「中にはね。さすがにああはなりたくないと思うわ。だから、今が
私にとって一番いい時かもしれないわね。今回は失敗したけど、幼い
頃のようにいつもいつもお仕置きされることもないし、大人のような
責任もまだないから」

 「なるほど」

 「ねえ、お尻さすって。指を谷間の奥に潜らせてもいいのよ」

 「えっ!」

 「ほら、またそうやって驚く。お父様はまだこの星に来て間がない
からわからないかもしれないけど、このベッドだって本当はお母さん
が懲戒所で頑張った私にご褒美としてセッティングしてくれたのよ」

 「…………」
 私は、言葉を失ってしまった。

 「私たちって女だけの世界でしょう。だから、オナニーもレスボス
もそれ自体禁止されているわけじゃないの。だって、それがなくなっ
ちゃったら人生にのお楽しみなんて何もなくなっちゃうもの。ただ、
自制心を失っちゃいけないってだけ。わかる?」

 「ああ、わかるよ。私もここへ来て色々勉強したから……」
 私はパティーが私と言う男を求めているんだとわかった。
 もちろん、この星でも親子でのファックはできない。しかし、それ
以外の事にならこの星はとても鷹揚なのだ。

 「あっ、そう。わかってるならいいの。じゃあサービスしてね」
 あっけらかんと言われて私の顔が赤くなった。

 「今日は頑張った私にお母さんがご褒美をくれたんだから……ね、
わかるでしょう?」
 私の身体にのしかかるパティー。もう主客は完全に転倒していた。

 「やったあ、だから、お父様って好きよ」

 ま、それから先のことについてはあまり細々としたことを書き連ね
たくはないので省略するが、この小悪魔は、私の手や指がどこにどう
入ろうとお構いなしで連れまわす。

 「お尻がまだ痛いの。さすってえ~」
 「お臍の下ってすぐかゆくなるのよ」
 「私のおっぱい小さいけどとっても感じやすいんだから」

 パティーは自分が感じることのできる全ての場所に私の指先を連れ
て行くと、そのたびにはしゃいでいる。その感触を楽しんでいる。
 私は何もする必要がなかった。
 そして、男の精気を全て吸い取った後に、静かに寝息を立てて眠て
しまったのである。

                   <第三話/終了>

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tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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