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初めてのお仕置き<4>

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 §4 鞭

 「お灸のお仕置きありがとうございました」
 正座する両親を前に私も正座してご挨拶。

 心の中はちっともありがたくないんですが、とにかく、やらな
ければお仕置きは終わりませんから仕方がありません。清美さん
もその下の双子のチビちゃんたちも、この家の子どもなら全員が
お仕置きの時にやらされる儀式でした。

 「はい、これからはいい子になりましょうね」
 お母さんのこの一言があって、やっと一息です。

 お灸のお仕置きのあとは、すえられた場所に軟膏を塗ってもら
い、またまた白いブラウス、紺のプリーツスカートに着替えます。
思えば、お仕置きのたびに着せ替えられて、この時の私は両親の
着せ替え人形でした。

 でも、大切なお人形ですからそこは大事にはしてもらえます。
お仕置きが終わった私は、しばらくの間、両親から代わる代わる
にだっこされて過ごします。

 「ほら、高い、高い」
 お父さんは相変わらず幼稚園児ののように私を扱います。
 もうそんな事されても素直に喜べない歳になっていましたが、
お仕置きから開放された安堵感からでしょうか、この時はなぜか
素直に笑顔がでます。まだ、ちょっぴりぎこちないですが、他の
子供たちと同じようにお父さんにもお母さんにも甘える事ができ
たのでした。

 すると、その抱っこの中で二人は意外なことを私に打ち明けて
くれたのでした。

 両親は私の扱いについて、最近まで悩んでいたそうなんです。

 歳もすでに11歳。他人に気を使うおませな女の子ですから、
今さら清美のように子ども扱いするより、このまま自立した少女
として育てた方がいいんじゃないかと当初は考えていたんだそう
です。
 けれど、私の成績が下がり始めたことで……

 「しっかりしてるように見えても、やはり、子供は子供だよ。
とにかく、一度、身も心も私たちが抱いて育ててやらないと……
このまま思春期に入ったらもっと大変なことになるんじゃないか」
 って、お父さんが心配したことから、このお仕置きが決まった
そうなんです。

 ところが、いざやろうという段になったら、お父さんが逃げ腰
になっちゃって、それをお母さんは「ずるい」って怒ってました。

 「でも、こうして、お仕置きも無事すんだことで、一安心だわ。
ほら、この子の目、私に甘えてるもの」
 お母さんが私を赤ちゃんのように抱いて嬉しそうに言います。

 「本当かい?そんなふうには見えないけどなあ」
 お父さんは懐疑的ですが、お母さんには確信があるようでした。

 「恵子ちゃん、あなたもいずれはお母さんになる身だから覚え
ておきなさい。どんなに厳しいお仕置きにもしっかりついてきて、
終わると、すぐに甘えられるのが本当の親子なの。あなたはそれ
に合格したの。だから、これで名実共に、あなたは清美と何一つ
変わらないこの家の娘になったのよ。あとは、たくさん甘えて、
……たんさんお仕置きをされて、……また、たんさん甘えて……
を繰り返すだけ。子どもの生活はその繰り返しだもの。それが、
何より幸せな子どもの生活だし、そうやって大人になっていくも
のなのよ。お仕置きを経験しない子は、羅針盤を積み込まないで
船出するのと同じ。幸せな航海はできないわ」

 お母さんのこんな言葉が今でも記憶に残っています。


 私とお父さん、お母さんとのじゃれあいは、その後小一時間も
続いたでしょうか。その間、お父さんは私を肩車したり、さっき
やった飛行機でお庭を走り回ってくれましたし、お母さんとは、
次の発表会で着るドレスの品定めなんかをして過ごします。

 実は経験としては前にも同じような事をした記憶があります。
 ですが、その時はまだ心が開放されてなくて、こんな晴れやか
な気持にはなれませんでした。

 今は……
 とっても厳しいお仕置きがあって、無理やり「私たちがあなた
のお父さんとお母さんです」というのを承認させられて……私は
それに何も言えなくて……
 悪い言い方をすれば、この時の私って、お父さんお母さんから
手篭めにあった娘みたいなものなんです。
 でも、そうやって自分の居場所が定まると、不思議な事ですが、
全てのことが吹っ切れて『こんなにも幸せなんだ』と感じる事が
出来るようになったのでした。


 ですが、楽しい時間というのは永遠には続きません。
 突然、お母さんとお父さんがこんな事を言い出したのです。

 「あなた、今日から始めるんでしょう」

 「そうだな、早い方がいいだろうから、今から始めようか」

 「鞭は……ケインになさいますか、それともトォーズの方が」

 「いや、一通り全部持ち込んでくれ、この子は初めてだから、
どれが合うかもまだ分からないから、一通り全部試してみよう。
あ、それから眠気覚ましのローソクは忘れないように……」

 「わかってますよ。大箱で用意しましたから大丈夫ですわ」

 いきなり始めた二人の会話が具体的に何を言っているのか私に
はわかりませんでしたが、それが私のお仕置きに使われるんだと
いうことだけははっきりとわかりましたから、私の顔はたちまち
青くなります。

 『どうしてよう。お仕置きはすんだはずでしょう』

 私の不安な顔に気づいたのでしょう。お母さんが……

 「これから、お父さんがあなたの為に勉強をみてくださる事に
なったの。三箇所もあった講演を全部キャンセルして、あなたに
つきあってくださるんだから、あなたも気を引きしめて頑張って
頂戴ね」

 「一日に三箇所も?」

 「一日って?……何言ってるの、一日であなたが元に戻るはず
ないでしょう。あなたの面倒をみる二週間で三箇所よ」

 「二!?……二週間も……(聞いてないわよ。そんなこと)」

 「その間は、あなたもお父さんと一緒にここで寝泊りするのよ」

 「えっ、私、ここで寝るの?」

 「そうよ。お父さんと一緒のお布団よ」

 「おとうさんと一緒!?」

 「そうよ、親子なんですもの。べつに問題ないでしょう」

 お母さんは簡単に片付けますが、思春期の入口に差し掛かった
娘としては、それは大いに問題です。

 『実の父親だって今なら一緒のお布団なんて無理だと思うのに』

 「嫌なの?」
 私の曇った顔を見て、お母さんが尋ねます。

 「えっ……」
 私は下を向いてしまいました。

 普段だったら『嫌です』ってきっぱり言えてたかも知れません。
でも、たった今、本当のお父さんになったばかりの人の願いを、
今度は『嫌です!』とは言いにくかったのでした。

 「やってあげなさいな。お父さん、あなたのために講演を全部
キャンセルして、一週間も前から下調べなさってたわ。……私が
『そんなことなさるより家庭教師を雇った方が安上がりだと思い
ますけど…』って申し上げたら、怖い顔なさって、『馬鹿、お金
の問題じゃない。目の前で娘が崖から落ちそうになっているのに
他人を頼んでどうするんだ。責任のない他人に任せられる話じゃ
ないだろう』ですって……久しぶりにお父さんの怖い顔を見たわ」

 お母さんがお父さんをプッシュします。
 すると、そばで聞いていたお父さんが乗り出してきて……

 「どうしても、嫌だったらそれは無理にとは言わないよ」

 見かねたお父さんが譲歩してくれたのですが、今度は私が……

 「大丈夫です。……でも、変なことしませんよね?」
 なんて言いますから……

 「変なこと?」
 お父さんは少し考えてから……
 「当たり前じゃないか。そんなに私が信用できなければ、また
お尻叩きから始めてもいいんだよ」
 と、笑顔です。

 ですから、その件は仕方がありませんでした。

 ただ、問題はこれだけではなかったのです。
 むしろ『お父さんと一緒に寝る』なんてことはささやかな問題
なんだと…私は、その後、気づかされることになるのでした。


 私はお父さんにお姫様だっこされて書斎へ戻ります。
 すると、お父さんから下ろされた処に、ちょっと小ぶりのテー
ブルが用意されていましたから、私はてっきり、これで勉強する
ものと思ったのです。

 ところが……
 「何してる、こっちだよ」
 お父さんが、『こっち』と言って指差すのは、お父さんが普段
使っているデスク。大きな天板の上に普段だったら沢山の資料が
山積みになってる場所だったのです。

 でも、気がつけば、そこは綺麗に取り片付けられていました。
さらに近づくと……いつもの資料の代わりに、今日は、私が普段
やっている参考書や問題集なんかが置いてあります。

 「さあ、座って」
 椅子も普段お父さんが使っているものでした。そこに、何枚も
座布団が敷いてあります。

 恐る恐る座ってみると、目の前にはお父さんが手書きした国語
や算数の問題が数枚並べてありました。

 「椅子の高さはどうだい?君がお勉強しやすい高さにするから
ね」

 お父さんの声がすぐ隣りからするのでそちらを向くと、そこに
お父さんの顔の、どアップが……

 「(わあ!ビックリした)」

 お父さんは普段お母さんが使わない足踏みミシンの椅子を隣り
に持ち込んで座っていたのです。その距離30センチ。普通の息
だって顔に掛かりそうな至近距離でした。

 お父さんとの距離があまりに近いので、椅子の高さより本当は、
『もう少し、離れて』って、言いたかったのですが、たった今、
お仕置きされたばかりの私はその言葉を飲み込んでしまいます。
 おかげで、それから先も親子はお互いこの体勢で勉強する事に
なるのでした。

 「いいえ、これでいいです」
 私は少し遅れて椅子の高さの返事をします。
 すると……

 「だったら前にある問題を解いてごらん。時間は気にしなくて
いいから……ゆっくりでいいよ」
 お父さんはご自分で作成した問題を私に解けと命じるのです。
もう、椅子に座ったらさっそくテストでした。

 ところが、コレ……
 「……えっ……」
 私は問題を読んで面食らいます。

 学校で受けているテストでは解ける問題の方が多いのにここに
ある問題は、どれも習ったことのある単元で、見覚えのある問題
なのに全然解けないのです。

 「……(えっ、これどういうことよ)……」

 「8割といいたいけど、7割解ければ合格にしてあげるからね」
 お父さんは言いますが、とても、そんなにたくさん解けそうに
ありませんから慌てます。

 私は段々泣きそうになりました。いえ、泣いてしまいました。
 だって、こんなに解けないテストを受けたことがありませんで
したから……

 でも、そりゃそうなんです。
 だって、お父さんは一週間も前から私のテスト結果を解析した
上で、担任の先生にも面会して、私のウィークポイントを徹底的
に洗い出し、さらに一ひねり加えて問題を作ったのです。
 つまり、これは今の私専用のテストだったわけです。

 ですから……

 「35点に……こちらは45点。とても100点満点のテスト
結果とは思えないな。……こっちはちょっとましで……それでも
60点か。……お母さん、こりゃあ二週間じゃ足りないかもしれ
ないよ」
 何だか勝ち誇ったようなお父さんの声を、私は恥ずかしそうに
聞くはめになるのでした。

 いえいえ、事はそれだけではすまなかったのです。

 「大丈夫ですよ。この子、まだ寝てるのよ。ここらで少し目を
覚まさせた方がいいわ」
 背後にお母さんの声がしますから、振り返ると……

 お母さんは部屋の中央に置かれたテーブルの脇にいました。
 さきほど、私が自分の勉強机じゃないかと思ったあれです。
 その時はテーブルだけポツンと置いてありましたが、今度見た
時は、テーブルの上に毛布が丸めて置いてありますし、隣りには
キャスター付きのワゴンがあります。

 「……(あれは、お浣腸の時の)……」

 そうなんです。このワゴン、お浣腸の時、節さんが押して荷物
を運んできたあれだったんです。
 当然、嫌な予感がします。

 ワゴンには、籐でできた細いステッキのような棒や幅広の革の
ベルト。さらには、大きめのおしゃもじや使い古しのヘアブラシ
なんかも乗っています。

 それを見た私は……
 『よかった、お浣腸じゃないんだ。でも、あれ。何だろう?』
 と思ったのです。

 私はともかくここでお浣腸が行われないことだけが喜びでした
から自然と笑顔がこぼれます。でも、私にとって事態はそんなに
楽観できるものではありませんでした。

 「そうだな、初日のことだし、今日の予定は潰れてもあとから
取り返しがきくから、最初はとびっきりのをやってみるか」

 お父さんのこの一言で私の運命が決まってしまいます。

 その直後、私はお母さんに呼び付けられますから、怪訝な顔で
行ってみますと……
 「これ、穿きなさい」
 いきなりニットのパンツを渡されたのでした。

 「えっ?……まだ、寒くないからいらない」
 こう言って断ると……お母さんは笑いながら、
 「そういう事じゃないわ。寒さからじゃなくて、お父さんから
あなたを守りたいの」

 「?????」
 私にとってお母さんの言葉はまったく意味不明でした。

 というのも、私は一度としてお鞭のお仕置きを経験したことが
ありません。あのワゴンに乗っていたお道具が私のお尻を励ます
ものだなんて知らなかったのです。

 清美さんは鞭の経験者でしたが、私はそのお仕置きを手伝った
ことがありませんし、清美さん自身もその事をあまり語りたがり
ませんから、私にその情報は伝わりません。

 というわけで、私はこの日までお鞭のお仕置きに関する限り、
ヴァージンだったのです。

 「いいから、穿いて。ショーツの上からじゃ、あなたが可哀想
だわ。……お父さんのはもの凄く痛いのよ」
 お母さんの言葉で、私はこの時初めて自分がこれから鞭打たれ
ようとしていると気づくのです。

 「えっ!嘘でしょう!」
 今頃驚いても手遅れなのですが……

 「だって、お仕置きは終わったって言ったじゃない」
 お母さんに泣き言を言いますと……

 「これはお仕置きじゃないもの。お父さんがあなたを励まして
くださるの」

 「だって、罰を受けるの同じじゃない」

 「同じじゃないわ。お仕置きは罪の清算だから、今さら謝って
も取り返しはつかない。どのみち決められた罰は受けなきゃなら
ないけど、励ましの方はこれからの事だもの。あなたが注意さえ
していれば、新たな罰にはならないわ。あなたの頑張りで減らせ
ることだもの。同じではないのよ」

 変な理屈です。お仕置きとどこがどう違うのか、狐につままれ
たみたいなのですが、でも、これって両親の間では筋が通ってる
みたいでした。

 「恵子、おいで」

 お父さんに呼ばれて行ってみると、さきほどのテストで、私が
ケアレスミスをした処ばかりを指摘します。その箇所3箇所。

 「今度から、こんな事が起きないように注意するんだよ。注意
さえしていれば間違わずにすむところなんだから……」
 と、ここまでは穏やかに話しを聞いていたのですが……
 次の言葉に衝撃を受けます。

 「この三箇所を忘れない為に、鞭を三つ。お尻に受けるんだ。
これからもこんな間違いをしでかすたびに鞭を受けなきゃならな
いからね、気をつけるんだよ」

 「えっ!!!!そんなの聞いてないよ」
 私は甘えた声を出しますが……

 「大丈夫だよ。清美だって、下のチビ二人だって、そうやって
お勉強してるんだよ。恵子にできないはずないじゃないか」

 お父さんにこう言われると、たしかに思い当たる節がありました。
そうなんです。これまで私だけが特別扱いだったから気づかない
だけ。それが取り払われただけだったのでした。

 「さあ、いいから、あのテーブルでうつ伏せになるのよ」

 お母さんは私をせき立てます。
 私のつかの間の天国はあっという間に地獄へと逆戻りでした。

 仕方ありません。覚悟を決めて、私はテーブルに乗った毛布を
どけようとしましたが……

 「それはどけちゃだめよ」
 お母さんがたちまち注意します。
 「そこにお臍を乗っけて、うつ伏せになるの」

 私はお母さんの言う通りにします。
 すると、私のお尻が他の部分より高くなって、お父さんの方は
お尻に狙いを付けやすくなります。
 一方私はというと、踏んづけられたヒキガエルみたいに絶望的
で屈辱的な心持ちでした。

 「まだ慣れない事だから、ビックリして間違いがあってもいけ
ないだろうし、ハンカチを噛まして、両手を押さえておいてくれ」

 お父さんはお母さんに対して冷静に指示を出します。

 おかげで、私はハンカチで猿轡を噛まされ、両手を拘束されて
惨めさが加速してしまいますが、安全のためには仕方のないこと
でした。
 実際、私の両手を押さえたお母さんがこんな事を言います。

 「しっかり、歯を喰いしばって頑張るのよ」

 そして、その通りになったのでした。

 お父さんは、私の短いスカートを捲って跳ね上げると、先ほど
穿いたばかりのニットのパンツに、ケインの先をチョンチョンと
当てます。
 それが不安をかきたてた次の瞬間。

 「ピシッ」
 鞭が一閃(いっせん)して私のお尻に当たります。

 「ひぃ~~~~~」

 目から火花。背筋に電気が走り、それが頭のてっぺんから抜け
ていったと思ったら、身体が海老ぞりになっていました。

 11年の短い人生ですけれど、今までに、お尻がこれほど強い
衝撃を受けたことはありません。
 その衝撃があまりに凄かったので、私は泣くことさえすぐには
できなかったのでした。

 幸いニットのパンツのおかげで、この時は、ケイン特有のヒリ
ヒリする痛みや火ぶくれ水ぶくれにはならずにすみましたが、二
階から落ちて尻餅をついた。そんな感じの衝撃だったのです。

 そして、もう一閃(いっせん)……
 「ピシッ」

 「ひぃ~~~~~」
 
 その衝撃は一発目の余韻がまだお尻に残っていますからさらに
強烈です。お尻を叩かれただけなのに、身体が一瞬浮き上がった
気がしたほどでしたから。
 
もちろん、目からの火花も背筋の電気も一発目と同じでした。
ただ、二回目はそれが両手両足の神経にも作用して、電気の抜け
る場所が頭のてっぺんだけでなく、手の指、足の指からも抜けて
いったのです。

 「……(死ぬ~~~もうしないで)……」
 私は心の中で叫びましたが、無駄でした。

 さらに、もう一閃(いっせん)……
 「ピシッ」

 「ひぃ~~~~~」

 今度は歯が浮いてジーンとしびれて電気が顎からも抜けて行き
ます。
 いえ、もう一つ、私の大事な処にもその衝撃はやってきたので
した。

 一旦外に向った電気が今度は別のルートから子宮へ向って殺到
します。
 『子宮がジンジン痺れてる』
 それが分かるなんて、もちろんこれが初めての経験でした。


 この時のお父さんの励ましは約束通り籐鞭で三回だけ。
 終わったから、お母さんが猿轡を外してくれたのですが……

 「もう、しない。ごめんなさい。お父さんにもうしないように
言って、お願い、お願い」

 私は怯えて震えて目の前のお母さんに泣きつきます。
 こんな醜態見せたくありませんが、自然にそうなってしまった
のです。これはそのくらい怖いくて痛いお仕置きでした。

 ですから、テーブルを離れると、すぐにお母さんに抱きついて
そこで抱かれて小さくなっていました。
 もちろん、お父さんの顔なんて絶対に見たくありません。

 そんな私を気遣ってお母さんは一時期とっても優しくしてくれ
ました。泣きついた私の身体を優しく抱いてくれましたし、その
手で私の目を被い、お父さんの姿が見えないようにもしてくれた
のです。
 しかし、それもまた長い時間ではありませんでした。

 「あなたをこのままずっと抱いててあげたいけど、そうはいか
ないわ。あなたにはお父さんの力が必要なの。お父さんの力なし
にあなたは生きていけないわ。怖いからって、縮こまってくても
幸せにはならないのよ。飛び込まなくちゃ。『男は度胸女は愛嬌』
って言うけど、本当は女の子の方こそ度胸がないと生きてはいけ
ないのよ」

 私はお母さんに説得されて、お父さんのもとへ戻ります。

 いえ、正確には戻る決心をしただけ。どうしても自分の力では
そこへ行けないから、お母さんに抱かれたまま、お父さんの膝の
上に移されたのでした。

 お母さんから私を受け取ったお父さんは怒ったりしません。

 「痛かったかい。今度からはもうそんなに強くぶたないからね」

 椅子に座ったお膝の上に私を乗せて何度も何度もなだめてくれ
ました。
 そうやって、一時間。お勉強はしないでひたすら頭をなでなで、
ほっぺすりすり、お手々やあんよをもみもみ、といいった時間を
過ごしてから、また勉強を始めるのでした。


 それから二週間。
 私は、朝から晩まで、寝床までもお父さんと一緒という生活で
した。それだけでもきっと拷問なのかもしれませんが、勉強して
いる時は事態がもっと深刻でした。
 
 鞭だって、初日ほどきつくはなくても毎日のようにテーブルに
しがみつかなければなりませでしたし、ちょっとでも眠気を催す
と、蜀台で燃えている蝋燭の蝋涙が手の甲に落ちてきます。

 勉強時間中はお父さんとの真剣勝負。ちょっとした気の緩みも
許されなかったのです。

 蝋涙ってお灸ほどではありませんが、そりゃあ熱いです。揺ら
めく炎の下から垂れてくるのは不気味です。
 ですから、大人になってSM雑誌にこれと同じような事が載っ
ているのを見て時は笑ってしまいました。思えば親子のお仕置き
ってSMみたいなものなのかもしれません。

 だって、お父さんと一緒にそんな拷問の時間を過ごすうちに、
最初は嫌いだった狭くて葉巻臭いその空間が次第次第に居心地が
よくなっていったのですから。

 そして二週間が終わる頃には、お父さんのふかふかなお膝の上
と飛び切り痛い鞭と熱い熱い蝋涙がなければ勉強できない身体に
なっていたのでした。

 ですから、今度はそんなお父様中毒から抜け出るのに、また、
苦労する羽目になるのでした。


******************(4)****

初めてのお仕置き<3>

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 §3 お灸


 お義父様はお尻叩きの終わった私の両脇を持ち上げて高い高い
したり、頬ずりしたり、くすぐりっこしたり、まるで幼女のよう
にスキンシップします。

 すると、まだ子供だったんでしょうね。お尻叩きのお仕置きの
直後ですが、それによってお義父様が嫌いになったわけではあり
ませんから、それにはたっぷりの笑顔をお義父様にサービスして
お付き合いしたのでした。

 「さあさあ、いつまで甘えてるの。そんなに抱っこして欲しい
なら私が隣りの仏間でたっぷりやってあげるわよ」

 お義母様にこう言われて、私の心臓がその瞬間「ドキッ!」と、
特別な脈を打ちます。
 反応したのは、『仏間』という言葉でした。

 今は仏間のある家も少なくなりましたが、昔は仏様やご先祖様
を祀る部屋が必ずあって、その仏壇の引き出しにはこれまた必ず
艾が常備されていました。

 そう、反応したのは仏間から連想されるお灸のお仕置きです。

 昔の子供にとって『仏間』という言葉は『お灸のお仕置き』と
同義語みたいにして脳裏にインプットされていましたから『仏間』
と聞いただけで反応する子も少なくありませんでした。

 この建物はもともとお義父様のおばあさまにあたる方が隠居所
として使っておられたので隣りには立派な仏間があります。実際、
その部屋で清美さんがお灸がすえられたのも一度や二度ではあり
ませんでした。

 私たち子供にとって仏間へ連れて行かれるということはお灸を
すえられることを意味します。ですから……

 「さあ、恵子ちゃん、仏間へ行ってパンツをとり替えますよ」
 とお義母様に言われても、私の耳には……
 『さあ、恵子ちゃん、仏間へ行ってお灸をすえますよ』
 としか聞こえなかったのでした。


 楽しい時間は長続きはしないものです。
 私はお義父様のお膝を降りると、渋々お義母様のもとへ……

 すると、お義父様が……
 「私も行くのかい?」
 と言いますから……

 「何、おっしゃってるですか、今さら……普段の事なら私でも
やってしまいますけど、今日はこの子にとって初めてのお仕置き
なんですよ。『私はここの家の娘になったんだ』って実感させる
大事な日なんです。一家の主人であるあなたがやらなきゃ示しが
つかないじゃありませんか」

 お義母様のボルテージはあがります。
 お義父様はそれに呑まれたみたいでした。

 「あなたはここでパジャマを着替えて、10分くらいしたら、
隣の部屋へ来てください。それまでに全てこちらで用意しておき
ますから」

 お義母様は私の手を引くと、鼻息荒く部屋を出ます。

 一見すると、男の強い時代ですから逆のように感じられるかも
しれませんが、実際は、多くの家で父親より母親の方が女の子の
お仕置きには積極的だったのです。

 生理の違う男性は女の子が泣けば嘘泣きでもすぐに真に受けて
『可哀想、可哀想』ってしてくれますが、同性である母親は自分
も同じ経験をしてきていますから、そうは簡単には騙されません。
 娘が何を考えているのか、男性よりはるかによくわかるんです。
ですから、腹黒い娘の言動に怒りがこみ上げることも多くて……

 『お父様が帰ったらお仕置きします』
 なんて、お父さんを持ち出しては脅しをかけてきます。これは
実の母もお義母様も同じでした。

 ただそのためには、娘にとってお父さんという存在が怖くなく
ては意味がありませんから、何か理由のある時に、母親がこんな
怖いお仕置きを企てるのでした。

 一方、お父さんはというと、『娘を厳しく躾けなければ……』
なんて考える人はむしろ稀で、大半の人はただただ娘が抱きたく
て仕方がないみたいでした。

 ただ、そんな大人たちのからくりに私が気づくのはもっと成長
してからのこと。
 11歳のこの時は、お父さんもお母さんも…いえいえ、大人は
皆『大きくて』『強くて』『偉い人』だと思い込んでいました。

 仏間に入るなり、そんな偉い人の一人であるお義母様から…
 「これに着替えて……」
 って、またも体操服を渡されます。

 もちろん、濡れたパンツももちろんお取替え。女同士ですから
着替えそのものに問題はないのですが……
 やはり気になるのは、節さんが私たちのそばで準備している艾
やお線香の匂い。

 『いやだなあ』
 節さんを恨んでも仕方ありませんが、明るい顔の節さんを見る
と、憎しみがこみ上げてきます。
 幼い頃に一度でも経験したことのある人はたいていこの匂いに
トラウマを持っていますから敏感です。

 私はまだ何もされていないのに、涙が溢れてきてこぼれそうに
なっています。
 立っているだけでまたオシッコを漏らしそうです。
 実の母にこれをやられたのははるか昔の幼稚園時代。
 あれから六年も過ぎているのに、恐怖の記憶は決して色あせる
ことなく、まるで昨日のことのように思い出すことができるので
した。

 そんな私に気づいたのでしょう。お義母様が声をかけます。
 「どうしたの?…怖いの?……怖くないって言ったら嘘よね。
私だって、母から何度もやられたのよ。お風呂に一緒に入った時、
あなたも私の背中見たでしょう。あれって一回や二回じゃあんな
にならないのよ」

 『えっ!あれって……そうなんだ』
 私は声を出さずに驚きます。
 確かに一緒にお風呂に入った時それを見かけたのは事実です。
でも、それはあまりに見事な灸痕でしたから、きっと別の何かだ
と思っていたのです。
 それに比べれば、私の火傷の痕なんてちっぽけなもの。近くに
顔を近づけなければ見えないほどでした。

 「どうしたの?今頃驚いてるの?……昔は保険制度がなくて、
お医者様の治療費がとっても高かったから、僻地に住んでいたり
貧しかったりするとそうたびたびお医者様にかかれないでしょう。
自分たちで何とか治療しようとしてこうなったの。べつにこれが
全部お仕置きでついた訳じゃないのよ」

 「…………」
 私は少し胸をなでおろします。

 「何だ、安心しちゃった?……自分も、あんな風ににされるん
じゃないかと思ったのね。……大丈夫よ。昔は毎日のようにすえ
られる子もいたけど、今は『お医者様と旦那様以外にお尻は見せ
ない』なんて時代じゃないもの。ビキニの水着だって、ちゃんと
着れるわ。……それにね、そうたびたびやっていたら、慣っこに
なってしまって、お仕置きの効果が薄れるでしょう。……だから、
お灸のお仕置きはここぞと言う時だけのとっておきなの。………
分かったかしら?」

 お義母様はこう言っておいて私の顎を二本の指で持ち上げます。

 「……ただし、今日がその『ここぞという時』なのよ……」

 お義母様は不安げな眼差しの私の顔を覗き込んで微笑みます。
 すると、女の直感でしょうか。背筋が寒くなります。
 『この子、まだお灸でいけそうね』
 ひょっとしたらそんな事を思ったのかもしれません。
 お義母様に見つめられると、なぜか白雪姫の継母のイメージが
だぶるのでした。

 「大丈夫よ。ほかの子もみんなやってきたことだもん。あなた
だけ耐えられないなんてことはないわ」
 こう言われれば……

 「はい」
 こう答えるしかありません。

 そうこうするうち……
 「もう、いつでもいいですよ」
 という節さんの声。準備はすっかり整ったみたいでした。


 私が節さんの声の方を振り向くと……そこには子供用の小さな
敷布団が敷かれ、傍らには仏壇から拝借したお線香や線香たて、
マッチなどと共にお盆の上に金平糖ほどの小さな艾が十個ほど、
三角錐の形に綺麗に整えて並べてあったのです。

 そのお盆をお義母様に見せながら節さんが尋ねます。
 「奥様、大きさとしてはこのようなものでよろしいでしょうか」

 「ええ、けっこうよ。このくらいの年恰好の子にはそんなもの
でちょうどいいわ。……あと、主人を呼んできてちょうだい」

 お義母様は艾の大きさを納得して、節さんがお義父様を呼びに
行かせます。いよいよ私へのお灸が始まるのでした。

 「恵子さん、ここでもご挨拶がありますよ。ちゃんと正座して、
両手を着いて、頭を下げるの」
 お義母さんは畳の上でのお辞儀の仕方を教えてくださいます。
 「言葉は同じ。『私の不始末にお灸のお仕置きをお願いします』
って、これだけでいいわ」

 たしかに子供の方から『お仕置きをお願いします』だなんて、
変かもしれませんが、これは我が家では大事な儀式でした。
 もし、拒否すると別のお仕置きが追加されますから、子供達に
してみれば否応なしだったんです。


 緊張した空気の中、お義父様が部屋に現れます。
 いつものようににこやかな表情。まるで、ここで何が行われる
のかを知らないようなやさしい笑顔でした。

 そう言えば、私、このお義父様が怒った顔をしたのをほとんど
見た事がありません。いつでしたか……

 「私はこのお家で一番偉い人だから、私が怒ってしまったら、
子供たちの逃げ場がなくなるでしょう。それはお仕置きより辛い
ことだからね。なるだけ怒らないようにしてるんだ。…お父さん
だって子供たちを叱りたい時はあるんだよ。だけど、そういう時
はね………たいてい『お母さんに頼むんだよ』」
 私を抱き上げて、嬉しそうにこうおっしゃっていました。
 最後の言葉は小声で耳元で内緒話をするように……

 もともと、我が家のお仕置きは、お義父様やお義母様が激情に
駆られて子どもを折檻するというケースはほとんどありません。
約束事を守らない子が約束に従って罰を受ける。大半がそんな形
のものだったのです。

 さて、話を戻しましょう。

 正座した私の前にお義父様とお義母様が並んで正座します。
 もちろんこれは私がご挨拶するのを期待してのことですから、
私はその期待に応えなければなりませんでした。

 「『私の不始末にお灸のお仕置きをお願いします』」

 私は三つ指をついてお仕置きをお願いします。
 すると、お二人は顔を見合わせてお互い微笑んでいらっしゃい
ましたが、そのうちお義父様の方が……

 「頼まれてしまいましたね。それでは仕方がないので、やって
あげますか」
 少し悪戯っぽい笑顔で立ち上がります。
 そして、まだ座っていたお義母様に向って……

 「どうします?私が最初に押さえましょうか?」
 と尋ねますから、お義母様も……

 「そうですね。最初の方がきついですから、お父さん、やって
いただけますか」
 こう言って、立ち上がったのでした。

 話が決まったみたいなので、『私はどうすればいいのかしら』
と思って、お義父様の姿を探して後ろを振り向こうとしたまさに
その時です。
 何の前触れもなく、私は背後から襲われます。

 「いやぁ!!」
 悲鳴は不可抗力です。

 後ろから私の両脇に両手を入れてきたお義父様が、私の両方の
太股を鷲掴みにして抱き抱えます。

 「えっ!」
 驚きと同時に私の身体がたちまち宙に浮き上がります。

 「…………おとうさま!」

 後ろを振り返ってお顔を確認しましたから驚きは一瞬ですが、
心臓が止まるほどの衝撃を受けました。
 おまけに、その格好は幼児がおトイレをする時にやってもらう
のと同じ姿なのですから、恥ずかしくて仕方がありませんでした。

 そんな私の気持を知ってか知らずかお義父様はその格好のまま、

 「ブ~~ン」

 飛行機のつもりでしょうか、部屋を一周してから敷かれていた
子供用の布団の上に胡坐をかいて座ったのです。
 そして、その胡坐の中に私を置いて、こんな事を言うのでした。

 「これからお灸をすえるけど、それがすんだら、私のことは、
『おとうさん』だ。『さま』を付けちゃいけない。お義母様も、
これからは『おかあさん』だよ」

 「???」
 私はその意味がわかりませんでした。私は、よかれと思って、
『お義父様』『お義母様』と呼んでいたのですから。
 でも……

 「『様』ってつけるのは丁寧でいいのかもしれないけど、それ
って『本当のお父さんお母さんとは別の人』って意味で使われて
るみたいで余所余所しく響くからね。私も、お母さんも、そんな
呼ばれ方、本当は好きじゃないんだ。私たちはね、恵子ちゃんの
本当の『お父さん』『お母さん』でいたいから、私たちのことは
『おとうさん』『おかあさん』って呼んでほしいいんだ。………
いいかい?」

 「はい、おとうさま…いえ、お父さん」
 私は痛いところをつかれました。
 亡くなった両親とお二人を分けて呼びたいという思いが私の心
の中にあったのはたしかなのですから。

 「これから、お灸をすえるとね、君の身体には火傷の痕が残る。
それは小さいけど生涯消えないから、君はこれから先、私たちを
ずっと恨み続けるかもしれないけど…その傷は、私とお母さんが
背負い続ける十字架でもあるからね。私たちが、君を本当の娘と
して生涯守り続けるという証でもあるんだ」

 「…(えっ!うそ!この傷って消えないの?嫌だそんなの)…」

 私は、この時、お義父様から何か凄いことを言われているとは
思っていたのですが、11歳の馬鹿娘に理解できたのは……これ
からお義父様の事は『おとうさん』お義母様の事は『おかあさん』
と呼ばなければならないという事とこの傷が生涯消えないという
こと。この二点だったのです。

 「これからは、甘えん坊するのも、お仕置きで泣くのも、私と
お母さんの二人だけだ。私たち二人だけが、この世で唯一の君の
お父さん、お母さんなんだからね」

 「……(そんなこと言ったって、本当のお父さんとお母さんを
忘れられないよ)……」
 私はそう思いましたが、女の子の世界というは、何事によらず
融通とお付き合いの世界ですから、後先考えず、あっさりとこう
言ったのです。

 「はい、おとうさん」

 「ありがとう。これからはずっとそう呼んでくださいね」
 私はお父さんの満足そうな顔を見るとほっとします。
 そして…

 「お母さんもいるよ。……これからは、お義母様じゃなくて、
『おかあさん』だ」

 「はい、おかあさん」

 すると、お母さんも笑顔で……
 私はこれで八方丸く収まったと思って安堵したのですが、当然
のことながらこれからが大変だったのです。

 「それでは始めましょうか。……まず、あんよを前に出して」

 お母さんの指示に従ってお父さんの胡坐の中でも正座していた
足を投げ出すと、お父さんがいきなり私の上半身を羽交い絞めに
してお母さんがブルマーとショーツを太股へ引きずり降ろします。

 「(あっ)」
 両親のあまりの早業に私は声をたてる暇さえありませんでした。

 「(あっ)」
 今度は、いきなりお母さんが私の身体を裏返しにします。
 私は、『お尻が危ない』と思いましたが、そうではありません。

 「ああ、これね。あなたが、昔、すえられたっていうのは……」
 お母さんは、かつて実母にすえられた灸痕を確認したかったの
です。

 そして、そこを指で何度もなでなですると……

 「ここは、残しておきましょうね」
 そう言って、再び私の身体をひっくり返します。

 当然、私のお臍の下は、二人に丸見え。割れ目だってくっきり
見えていますが……

 「…………」
 でも、私にはどうすることもできませんでした。泣くことも、
笑うことも、ひょっとしたら驚いた表情さえしていなかったかも
しれません。
 ただ、ただ、成り行きを見守るしかない。この時はそんな感じ
だったのです。

 昔の事ですから、お灸を子供のお仕置きに取り入れている家は
何も私の処だけではありません。身体検査の日には、女の子でも
お灸の痕が見られる子が何人もいました。
 ただ、うちはここからが厳しかったのです。

 お母さんは脱脂綿に消毒用アルコールを含ませると、私のお臍
の下の膨らみを丹念に拭き清めます。

 「あっ……」
 思わず声が漏れました。

 これって直接的なお仕置きではありませんが、そこを拭き取る
事で『お灸をすえるのはここですよ』と宣言されてるようなもの
ですし、子どもは体温が高いので大人以上にアルコールを塗られ
た処がスースーします。

 おかげで、まだ艾も乗せられていないというのに緊張感だけは
MAXで、私は思わず起き上がろうと上半身に力を込めましたが、
そこはお父さんの太い腕が羽交い絞めにして押さえ込んでいます
から、それこそピクリともしませんでした。

 この時、上半身はお父さん。腰の辺りはお母さん。足首もすで
に節さんによって抑えられていましたから、私の体は大人三人に
よってどのみちどうにもならないほど完璧に押さえこまれていた
のでした。

 「あなたも、清美のお灸を見学したことがあるから知ってるで
しょうけど、我が家ではお灸のお仕置きの時は懺悔をする決まり
なの。私の言う通り、懺悔するのよ…………」

 「………………」
 私はおかあさんに言われて、頷いてみせましたが……

 「なあに、その横柄なお返事は…ちゃんと『はい、おかあさん』
って言えないのかしら?」

 お母さんに睨まれましたから、慌てて……
 「はい、おかあさん」

 「でしょう。わかってるじゃない。だったら、そんな横柄な事
しないの。そんな事してると、ここへ乗せる艾の数が増えますよ」

 お母さんは私のお臍の下、もうすぐ下草がはえ始める膨らみを
指でじらすようになで続けています。
 それは、お灸をすえられる子供にとってはくすぐったくて怖い
出来事だったのです。

 「『私は、1学期、怠けていて、お父さんお母さんをがっかり
させるような成績を取ってしまいました』…………言ってごらん
なさい」

 「私は、1学期、怠けてお父さんをがっかりさせる……」

 「お父さんだけじゃなくお母さんもよ」

 「あっ……お母さんをがっかり……」

 「最初からよ」

 「私は、1学期、怠けていて、お父さんやお母さんをがっかり
させるような成績を取ってしまいました」

 「『二度とこんな事が起きないように、沢山お灸のお仕置きを
して、私が目が醒めるようにしてください』」

 「沢山お灸のお仕置きをして……」

 「『二度とこんな事がおきないように』が抜けたわよ」

 「……二度とこんな事が起きないように、沢山お灸のお仕置き
をして…………」

 「『私が目が醒めるようにしてください』」

 「私が目が醒めるようにしてください」

 「『お願いします』」

 「お願いします」

 私はようようのことで、おかあさんからの口移しの懺悔を言い
終えます。

 すると、おかあさんはすでにべそをかいてる私の顔を刺すよう
な鋭い視線で睨みつけると、節さんが用意してくれた艾の一つを
指で摘んで、私のお臍の下の膨らみに乗せます。

 「(あっ!!!)」
 私はもうこの時点で、身体じゅうに震えがきていました。
 もちろん寒かったからではありません。怖かったからなんです。

 最初の艾は、身体の中心線、蟻の門渡りと呼ばれる場所に置か
れます。
 そして、すでにお線香立てで煙を立てていたお線香を一本摘み
上げると…吐息で灰を落とし、火のついた赤い部分をさらに赤く
してから艾の小山に移しかえます。

 「(あっ!!!)」

 艾のお山は頂上が一瞬赤くなり、それがすぐに黒くなって消え
たように見えますが、火の手はお山の中を通って、やがて私の肌
に食いつきます。

 「いやあ~~~~」

 柔肌を直接焼かれるわけですから、そりゃあ熱いです。
 いえ、熱いというよりむしろ痛いと言うべきかもしれません。
錐で揉まれているような強烈な痛みが10秒ほど続きます。

 「ひぃ~~~~~」
 たった10秒。でも、それは強烈な10秒でした。

 「どう、少しは応えたかしら?……でも、一つじゃわからない
わね。……もう一ついきますよ」

 お母さんはすでに嗚咽でひくひくやっている私の事など眼中に
ないとばかり、二つ目の艾を一つ目の右横に置きました。

 やり方はさっきと同じです。やはり、お線香を一度吐息で吹い
て熾(おこ)してから…………

 「いやあ~~~~もうしません。もうしません。……」

 私は無駄な泣き言を繰り返しましたが……

 「そうよ、もう二度とこんな恥ずかしい成績取らないで頂戴。
でも、そのためには、今の惨めな自分をよ~~く覚えといてもら
わないと……そのためには、二つじゃ足りないわね」

 お母さんはさう言って三つ目を最初の灸痕の左横に置きました。
 あとは同じです。

 「いやあ~~~~ごめんなさい。悪い子でした。もうしません。
許して、許して、許して、ごめんなさい。ごめんなさい。……」

 私は最初こんな惨めな雄たけびをあげるつもりはありませんで
した。我慢できると思っていたのです。でも、もうこれは自然に
そうなったといった感じで、自分の決心とは関係なく、途中から
は『ごめんなさい』の連呼になったのでした。

 そして、四つ目。元に戻って最初の灸痕の処でもう一度です。

 「いやあ~~~~もうしないで、ごめんなさい。悪い子でした。
もうしません。許して、許して、ごめんなさい。ごめんなさい…」

 結局、お母さんが四つ。
 選手交代で、今度はお父さんからもお母さんがすえたすぐ下に
四つ。同じ要領ですえられます。

 二人で合計八回。
 私は艾に火がつけられるたびに『ごめんなさい』を連発。七転
八倒の火炎地獄を経験するはめになるのでした。


 最後に…
 「あらあら、あなたってよっぽどおしもにしまりがないのね」
 お母さんの声が遠くで聞こえていましたが、もうその時は何も
する気力がありませんでした。

 普通なら恥ずかしさのあまり両手で顔を被うところでしょうが、
そんな事さえもせず、私はただぼんやりと天井を見つめるだけで
した。

 「よく頑張ったね」
 お父さんが私の頭を撫でて微笑み、お母さんが濡れたショーツ
を取り替えます。
 されるがままの赤ちゃん状態ですが、その時はそれが不思議と
楽しいと感じてしまうのでした。

*****************(3)******

初めてのお仕置き<2>

       << 初めてのお仕置き >>

 §2 お尻叩き

 私はお義母様(おかあさま)から身なりを整えてもらいます。
 
 まだ少し放心状態の私に任せていたらいつまでかかるか分から
ないと思われたのでしょう。てきぱきと体操服が脱がされ、通学
の時によく着る白いレースのブラウスと丈の短いフリルスカート
が次の衣装です。

 丁寧に櫛を通して髪がセットされ、涙に濡れて腫れぼったい顔
も蒸しタオルが消し去ってくれました。

 そこにはお浣腸の時の修羅場はどこにもありません。
 お義父様の書斎へ行く前、お義母様が私を普段の恵子に戻して
くれたのでした。

 それだけではありません。お義父様の処へ行った時のご挨拶を
この場で予行演習させられたのです。

 「いいこと、お父様の前に出たら……まず足元に膝まづいて、
両手を胸の前に組むの。清美もやってたら見て覚えてるでしょう。
……ここで、やってごらんなさい」

 私はお義母様の足元に膝まづくと、ゆっくりと両手を胸の前で
組みます。

 「……(え~~と、何て言うんだっけ)……」
 清美さんはもの凄く真剣に何か懺悔してたみたいですが、言葉
は思い出せません。仕方がないのであたりをキョロキョロしだす
と……
 仕方ないといった顔でお義母様が教えてくださいました。

 「『お父様、私の不始末に対してお仕置きをお願いします』よ。
人間、自分に関わらないことは覚えないわよね」
 お義母様はすでに笑っておいでです。

 「あ、はい…『お父様、私の不始末に対してお仕置きをお願い
します』」

 「そう、それでいいわ。……自分で『お仕置きをお願いします』
なんてお芝居じみてるけど、男の人って、こういう時代がかった
ことが好きなの。相手が好きな事はやってあげるにこしたことが
ないでしょう」

 「はい……大丈夫です」

 「ただし、お父様の前では今みたいに決して笑っちゃだめよ。
あなた、今、ほほが緩んでた。それじゃ台無しね。こういうもの
は悲しいって顔をして言わなきゃ意味がないの」

 「はい、お義母様」
 私の顔はさらに緩んでしまいました。

 「今日は初めてのことだし、ちゃんとご挨拶できれば、あまり
荒っぽいことはなさらないと思うけど……」
 お義母様はそこでしばし考えてから…
 「それでもお仕置きはお仕置きなんだから、それなりに覚悟は
しておきなさい。あなただって亡くなったお父様からお尻くらい
は叩かれたことあるんでしょう?」

 「……は、はい、平手でなら何回か……」

 「鞭は?竹のものさしとかスリッパなんかでは……?」

 「いいえ」

 「そうね、まだ、幼い時だったからね……鞭は遠慮なさったん
でしょうね」

 「ごめんなさい」
 私は暗い顔をなさったお義母様を見てその場の空気から思わず
謝ってしまいますが……

 「べつにあなたが謝ることではないでしょう。でも、お父様の
ご判断は賢明よ。幼い頃に鞭を使うと疎外感を持つからできれば
避けた方がいいの。家のチビちゃんたちは今でもお父様のお膝の
上でお尻ぺんぺんだけよ。鞭のお仕置きはまだヴァージンなの。
……でも、あなたの場合はもう11歳だし……ひょっとしたら、
決断なさるかもしれないわね」

 「清美さんには私より年下だけど、もう鞭を使っていらっしゃ
いますものね」

 「(はははは)あの子は特別。世間様から見れば凄い事をして
いるように見えるかもしれないけど、あれはあれで、お父さんと
二人してじゃれあってる時間が大半なんだから……」

 「あれで……」
 私は小声でつぶやきます。

 「そう、あれでよ。……あらあら、脅かしちゃったかしら……
そんな深刻な顔しないでちょうだい。あの子は特別なの。お転婆
なくせにお父さんとは仲がいいもんだから、何かやらかしても、
お父さんの前に出るとすぐに甘えぐせがでちゃって……それで、
いつも逆に厳しくされちゃうのよ」

 「お灸とかも……」

 「そう、それもすでにあちこちすえられてるわ。女の子だから、
親としては、できるだけ目立たない処に…とは思ってるんだけど
あの子の場合は手遅れね」
 お義母様は明るく笑います。そして、思い出したように……
 「……そうだ、あなた、お灸は未経験かしらね?」

 「いえ、一度だけ……」

 「そう、気がつかなかったわ。どこ?」

 「お尻です。幼稚園の時、悪さして……」

 「そうなの、でも小さいものでしょう。私、あなたとお風呂に
入ったこと何度かあるけど、気づかなかったもの……うちはね、
チビちゃんたちも含めてすでに全員が経験者よ。本当は痕が残る
から、できたらやりたくはないんだけど、他のお仕置きと比べて
も効果が絶大なもんだから……親はついつい頼っちゃうのよ」

 「そうなんですか」

 「あなたも親の立場になってみればわかるわ。でも、大丈夫よ。
お義父様の逆鱗に触れるようなことになっても、痕の残るような
艾はつかわないように頼んであげるわ」

 「……(なんだ、やめるように頼んではくれないのか)……」
 私は図々しいことを思います。

 「安心した?」
 お義母様はそう言ってすぐに私の顔色に気づきます。
 「……あら、どうしたのそのお顔は…『母親だったらどうして
やめるように頼んでくれないんだろう』ってお顔かしら?」

 「いえ、違います」
 私は慌てて否定しましたが、図星でした。

 「今日は初めての本格的なお仕置きだから、『家のお仕置きは
こんなですよ』『こんな怖い事もしますよ』『こんな恥ずかしい
事だってありますよ』というお披露目なの。だから、一通り全部
やらされるとは思うんだけど、本格的なのは、『お尻ペンペン』
くらいで、鞭やお灸なんかは、この次だわね」

 「……(簡単に言わないでください)……」
 私はお義母様があまりにあっさりおっしゃるので心の中だけで
ちょっぴりすねます。
 すると……

 「そんな深刻な顔しないでちょうだい。大丈夫よ。ああ見えて、
お父さんって、女の子には優しいの。そもそも暴走するような人
じゃないわ……さあ、もう行きましょう。お待ちかねよ」

 「……はい」
 私は心なしか元気を取り戻して出発します。


 二人は長い廊下を通り抜け、お義父様の書斎が見える中庭へ。

 赤い三角屋根の書斎が目に飛び込んで来ると思わず足を止めて
しまいましたが、その後は中庭の石畳をお義母様に肩を抱かれる
ようにして歩き、ようやく『麒麟堂』という額まであがっている
いかめしい黒塗りの玄関ドアの前に立ちます。

 お義父様の書斎は一部屋というのではありません。一戸建住宅
のように独立したもので、当然、玄関と呼べるものがありました。
 そこで……

 「いいこと、中に入ったらまず最初に悲しい顔で膝まづいて、
『お父様、私の不始末に対してお仕置きをお願いします』って、
懺悔よ。……いいこと、笑っちゃだめよ」
 私は耳元でお義母様から最後のレクチャーを受けたのでした。

 私達は玄関で靴を脱ぎ、スリッパに履き替えて書斎のドアの前
まで来ます。ここまで来れたのも、お義母様の付き添いがあった
から。私一人だったら逃げ出していたいたかもしれません。
 お仕置きのために書斎を訪れるって、そのくらい怖い事だった
んです。

 私は一つ大きく深呼吸すると、体中の勇気を振り絞ってドアを
叩きます。
 「コン、コン」

 「どうぞ、入りなさい」
 それはいつもと変わらない穏やかなお義父様の声でした。

 「失礼します」
 恐る恐るドアノブに手をかけると、古い蔵書のカビ臭い匂いが
まず鼻を突きます。

 「うっ!」
 私は思わず顔を背けます。
 何度かお邪魔していますから部屋の中の様子は知っているはず
なのに、ここへ来るたびに同じことをしてしまうのでした。

 厚い絨毯の上には、玄関にあったものとは別のスリッパが用意
されていて、その中の小ぶりなものに足を滑り込ませると、遠く
逆光の中で声がします。

 「待ってたよ。さあ、入って」

 びっくりするほど広い部屋ではありませんが、子供の私には、
その部屋は広くて、暗くて……お義父様がお仕事をなさっている
処にだけ窓があってそこだけ明るいのです。でも、そこまでは、
なぜかとても遠く感じられたのでした。

 お義父様は、この時、窓辺の事務机で何か書き物をされていた
ご様子でしたが、すぐに立ってソファの方へ移ります。

 「こっちへいらっしゃい」

 私はお義父様の声に引っ張られるように歩き出しはしましたが、
天井までも届く大きな本棚を右左と見ながらゆっくりと進みます。
 お義父様のご本に興味なんかありませんが、とにかく怖かった
からまっすぐお義父様の方を向けないのです。

 どんなにやさしい声でも、お義父様はお義父様。自分より遥か
に体が大きくて、遥かに力の強い男の人です。そして、何より、
11歳の少女にとっては、自分よりはるかに偉い人です。
 そんな偉い人から、今まさに叱られようとしているのですから、
その顔を直視する勇気がなかったとしても不思議ではありません。

 これは私と実の父との関係もそうでしたし、清美さんだって、
そこは同じはずでした。普段はどんなに仲良しな親子でも、父親
が一旦怖い顔をみせると、娘たちはたちまち唇を震えさせて怯え
ます。

 そのあたりは今のフレンドリーな父親とは大きく違っていたの
でした。

 私はお義父様と視線を合わさないように進み、すでにソファで
腰を下ろして待っていた父親の足元まで辿り着くと、さっそく、
お義母様との約束を果たします。

 どぎまぎしていた私はスリッパも脱がずその場に膝まづいて、
胸の前で両手を組み…とにかく、声を振り絞りました。

 「お父様、私の不始末に対してお仕置きをお願いします」
 と、やったのでした。

 棒読みの台詞はまるで感情なんてこもっていません。
 『こんなんで、反省してるって言えるのか!』
 って、お芝居ならお客さんから物を投げられそうですが…でも、
お義父様は私の気持をわかってくださったみたいで……

 「『ごめんなさい』だね。わかったよ。その作法はお母さんに
習ったの?…………そう……いい子だ。おいで……」
 お父様の両手が目の前にやってきました。

 「…………」
 もし、これが本当のお父さんの手なら、私はすぐに抱きついた
はずです。
 でも、私はその手に逡巡してしまいます。

 『お尻をぶたれるかもしれない』などと、深読みしたからでは
ありません。純粋に怖かったからでした。
 お世話になっている人です。可愛がってもらっている人です。
でも、大きな人です、男の人です、偉い人です……そういう人は
少女にとってはやはり怖い人でした。

 『でも、そんな人の誘いに、女の子はこの床でへたり込んでは
いけない』
 それを教えてくれたのはお義母様でした。

 「あっ!」
 とたんに私の身体が浮きます。

 お義母様の両手が私の両方のわきの下に差し入れたかと思うと、
私の身体は簡単に宙に浮いてしまいます。

 「ほら、お父さんがせっかく抱いてくださるって言うんだから、
そういう時は、ちゃんと抱いてもらわなきゃ。あんたはまだ子供
なの。大人より赤ちゃんの方に近いんだから、嫌々なんかしたら
損するよ」
 お義母様はそう言ってソファでくつろぐお義父様の膝へと私を
運びます。

 「(はははは)」
 顔の引きつったお愛想笑い。
 お義父様と久しぶりに目が合います。でも、どんな顔をしたら
いいのかがわかりません。

 ただ、その優しい声は相変わらずです。

 「私のお膝は嫌かい?」

 「……」
 私は激しく首を振ります。それまで散々避けておいて、今さら
『嫌いじゃありません』とは言いにくいのですが、私はお義父様
が本当に嫌いではありませんでした。
 ただ、実の父のように何でも許せるかというと、そこには当然
問題があったのです。

 「震えてるね。怖いんだ。無理もないよね。『お仕置きするよ』
なんて言って呼んだんだもの。そりゃあ怖いよね」
 お義父様は私の頭を優しく撫でてくれます。

 ただ、その時の私はというと……
 確かに体は震えていたかもしれませんが、すでに覚悟は出来て
いました。もう、こうなってはどうにもなりませんから……
 『どうにでもなれ!』だったのです。

 それより……
 『あっ!お義父様、パジャマ穿いてる』
 って思いました。
 『上はちゃんとセーターなのに……』
 私がお義父様に抱かれて気にしたのは、その服装の事でした。

 今、私を抱きしめているお義父様の上着は、肘あてに軟らかな
駱駝の皮を使った高級なカシミアのセーター。
 でも、下は普段着のパジャマです。
 このアンバランスが、女の子の私には気になったのでした。

 「恵子ちゃん、私は嫌いかい?」
 お義父様が尋ねますから、私は首を横に振ります。

 「ありがとう、私も恵子ちゃんが好きだよ。頭はいいし気立て
はいいし。啓治(私のお父さん)は果報者だな。………でもね、
女の子はお嫁に行くと、そこの家のお姑さんをお義母様お義父様
って呼ばなきゃいけないんだ。赤ちゃんの時からのお父さんだけ
がお父さんじゃないんだ。そのことは知ってるよね?」

 「……はい」

 「女の子はお婿さんは選べても、そのお姑さんまでは選べない。
神様に与えられた場所で、神様から与えられた人達と幸せになる
しかないんだ。そこの人たちを喜ばせてね」

 「…………」

 「ここも同じだよ。私たちは君の為に精一杯の事をしてきた。
これからだって、不満があれば何でも言っていいんだよ。できる
限りのことはしてあげるからね。だから君も、私たちを喜ばして
欲しいんだ。君の精一杯で……でも、君の精一杯って、こんな物
じゃないだろう?」

 「……だから、お仕置きなんだ」
 私は小さな声でつぶやきました。
 抱かれた胸の中では、お義父様がよく吸う葉巻の匂いが残って
います。

 「そうだね、さっきは僕も、お仕置きって言葉を使ったものね。
でも、それって体罰とか折檻って意味じゃなくて、本当は、君を
励ましたいだけなんだ。『恵子ちゃん、頑張れ!』ってね………
言葉だけでは伝わらない事も少し強い刺激が加わると伝わり易く
なるからね、お母さんと相談してやってみようって決めたんだよ」

 お義父様は、ゆっくりとした口調で話し、膝の上に抱いた私の
頭をゆっくりと撫で始めます。

 それは最初の頃、逆に私の緊張を高めていました。
 『いつ、ぶたれるのかしら』
 と、そればかり考えていましたから、そこは居心地の悪い空間
だったのです。

 でも、蒼いセーターに染み付いた高級な葉巻の香りを嗅ぐうち
に、何だか、この膝が安らぎの場になってしまって、私の目蓋を
しだいしだいに重くしていきます。

 「……(眠い)…………」
 お義父様のお話が十一歳の少女には難し過ぎるというのも原因
だったのかもしれません。

 でも、私だって肝心なことだけは分かっていました。

 『今さら無事じゃすまない。お義父様にお付き合いしなきゃ』
 難しいことは分からなくても、これだけわかっていれば女の子
は十分だったのです。

 それだけわかって、私はお義父様のお膝で半分寝てしまいます。
 遠くで大人たちの会話が聞こえてはいるのですが、まるで音楽
を聞き流しているように話の中身に興味はありませんでした。
 お義父様の胸の中で、私はそれほどまでにリラックスしてしま
ったのでした。

 「まあ、肝の据わった子だこと。これからお仕置きされようと
いうのに……あきれたわ」
 お義母様の声が遠くで聞こえます。

 「いいじゃないか、このまま寝かせとこう」
 お義父様はこう言ってくださったのですが……

 「いけません。二人で話し合ったじゃありませんか……それで、
今日は、お尻叩きとお灸と、最後は鞭も経験させようって……」

 「わかってるさ」

 「分かってたら、逃げずにちゃんとやっていただかないと…」

 「別に逃げてはいないよ。ただ、今でなくても、もう少し私に
慣れてからの方がいいかと思って……」

 「いいえ、今じゃなきゃいけないんです。先月、家族で行った
温泉旅行でこの子も私達と一緒にお風呂に入ったじゃありません
か。あなたの布団で一緒に寝たでしょう。それは私たちとの生活
にも慣れてきた証拠ですわ。むしろ、最近では自分一人が家族の
中で浮いてることを気にし始めてるんです。こんな時こそ、あな
たの力が必要なんです。あなたが父親の威厳を示せば、あの子も
自分の居場所がはっきりして、勉強にも実が入るはずですわ」

 「そういうもんか?」

 「そういうものです。あなたに女の子の心を解説しても仕方が
ありませんけど、自分の居場所が定まらなくて不安でいるより、
心置きなく暮らせる家庭があるなら、お仕置きなんてされても、
その方がずっと楽なんですから……」

 「でも、あまり強引なことしたら、泣くんじゃないか?」

 「当たり前じゃないですか。そのためにやってるんですから。
女が泣くのは呼吸してるのと同じ、いちいち気にしてたらきりが
ありませんよ。それに、清美の方はいつも泣かしてるじゃありま
せんか」

 「あれは、昔からの甘えん坊で、私にもなついてるから……」

 「この子だって、それは同じ。あなたにすでになついてます」

 「そうかなあ……」

 お義父様は懐疑的でしたが、お義母様は断言します。
 「私が言うんだから間違いありません。さあ、お願いしますよ。
今日は最初ですから、きつめにやってくださいね。それが何より
この子のためなんですから……」

 お義母様はここまで言うと、すやすや顔の私のほほを軽く指で
叩きます。

 「ほら、おタヌキさん。起きてくださいな。お義父様がやって
くださるそうよ」
 お義母様は目をつぶったままの私に声をかけてきました。

 お義母様にしてみれば、私はタヌキ寝入りを決め込むずるい子
という事になるのでしょうか?
 でも、私だって、今さらここでタヌキ寝入りしたところでどう
にもならない事ぐらい分かっていますから、罰を免れようとして
お義父様のお膝で居眠りしていたわけではありません。

 このお膝が純粋に気持よかったから、うとうとしていただけな
のです。
 ですから、お義母様の、『……今日は最初ですから、きつめに
やってくださいね。……』という言葉だって私の耳にはちゃんと
届いていました。

 「さあ、もう一度、最初からよ。今度は、ご挨拶したらすぐに
お仕置きですからね」
 お義母様は、プロデューサー気取りで指図します。

 そして、二度目のご挨拶。

 「お父様、私の不始末に対してお仕置きをお願いします」

 お義父様の足元に膝まづいた私を、今度はお義父様自身が抱き
かかえて、ご自分の膝の上でうつ伏せにします。

 車に轢かれたヒキガエルみたいにお義父様のお膝の上で身体を
押しつぶされると……
 「これから、『お尻、痛いたい』するけど我慢するんだよ」
 幼い子を諭すようにそう言って、私の丈の短いスカートが跳ね
上がります。

 その時、白い綿のショーツが、お義父様からもお義母様からも
丸見えになったはずでした。

 もし、これが清美さんなら……
 「ごめんなさい!もうしません」
 「いい子になるから、やめてお願い」
 「だめえ、お尻壊れるから~~」
 と、ぶたれる前からこんな調子で大音響が部屋中に響き渡りま
す。

 もちろん身体だってじっとなんてしてません。無駄と分かって
いても、あらん限りの力を振り絞ってジタバタやって、お義父様
お義母様をてこずらせたことでしょう。

 私はそんな妹の様子を思い出して思わず笑ってしまいました。

 いえ、こんなこと、女の子にとっては凄くショックな出来事の
はずですから、最初からこうださったら私だってお義父様のお膝
でジタバタしていたかもしれません。
 でも、お仕置きが間延びしてしまったせいで、私には、今起き
てることにまるで現実感がありませんでした。何だか、みんなで
お芝居をやってるみたいだったのです。

 「パン……パン……パン……パン……パン……パン……パン…」

 やがて、お義父様の平手が私のショーツの上に炸裂します。
 でも、それもそんなに力が入っていませんでした。軽くお尻の
泥をはたくような、そんな感じでしたからから、私も……

 『何だ、大したことないじゃない』
 なんて軽く考えていたんです。

 もちろん、実の父からもお尻を叩かれたことはありましたが、
その時は三つ四つ強烈なのが飛んできて、すぐに大泣き。
 「ごめんなさい」「ごめんなさい」「もうしません」を連呼する
うち、いつの間にか抱っこよしよしされていて、それでおしまい
だったのです。

 ところが、お義父様のお仕置き、お尻ペンペンは、一つ一つの
威力こそ小さいものの、五回が十回、十五回でもやむことはあり
ませんでした。

「パン……パン(あっ)……パン(あ~)……パン(いや)……
パン(だめ)……パン(痛い)……パン(いやあ、痛いよう~)」

 十回を過ぎてほんの少しずつ痛みを感じ始めたお尻の状態は、
回数が重ねるごとに辛くなっていきます。
 十五回を過ぎる頃から、顔が歪み始め、二十回を待たずに私の
口から悲鳴が漏れ始めます。

 「パン」
 「いやだあ~~やめてえ~~~」
 泣き言を言うのは悔しかったけど仕方がありませんでした。

 「パン」
 「いやあ~~痛いよう~~」

 「パン」
 「ア~~~もうしない、もうしない」

 「パン」
 「ごめんなさいもうしません」

 「パン」
 「やめて、やめて、やめて~~~」

 結局、三十回。
 終わった時の私は全身鳥肌で毛穴全開。体中に悪寒が走るなか、
お尻だけが火照っていました。

 お義父様は決して途中で力を込めたりはなさいません。最初も
最後も同じ力だったはずなのですが、二十回を過ぎたあたりから、
私のお尻は地獄を経験します。

 一つぶたれるたびに……
 「もうしません」
 「ごめんなさい」
 「やめて、やめて」
 の連呼。
 とにかく大声で何か叫んでいないと痛くて気が狂いそうでした。

 身体だってそうです。
 お義母様に両手を、いつの間にかやってきていた節さんに両足
を押さえていただかないと、とてもお義父様の膝の上には乗って
いられないくらい手足をジタバタさせるお転婆娘だったのです。

 何の事はない、私もまたお義父様の前で清美さんと同じ醜態を
晒すことになったのでした。


 「よしよし、よく頑張ったね。偉いよ。よ~く我慢したもの」
 お義父様は私を膝の上に抱いて慰めてくれます。

 『それにしても、お義父様のお胸はなんて心地いいんだろう』
 私は泣きながら、心ひそかにお義父様の胸の感触を楽しみます。
 火照ったお尻がお義父様のお膝に触れて少し痛いけど、それは
私にとっては幸せな時間でした。

 少し落ち着いてから、お義母様が赤ちゃんみたいにお義父様に
抱きついている私の顔を覗きこんで尋ねます。
 「どうかしら?ペンペンされたお尻は?……落ち着いた?」

 「はい」
 私はお義父様の膝に抱かれて、べそをかいて答えるしかありま
せんでした。

 「あなたは、清美のお尻ペンペンを見てて、このくらいの事で
ジタバタしてみっともないと思ってたみたいだけど……お尻ペン
ペンも結構大変なのがわかったでしょう。これが中学になったら、
五十回、七十回って引き受けなければならないの。………でも、
そのたびにお漏らしじゃ。お父様も大変だわ」

 私は、最初、お義母様の言葉の意味がわかりませんでしたが、
そのうち、自分のショーツが濡れていることに気づきます。
 そこで、恐る恐るそうっと下の方を確認すると……私のシミは
お義父様のパジャマにまで……

 「……(お義父様、それでパジャマ穿いてたんだわ)……」
 私は恥ずかしくてお義父様の胸の中へ顔を隠してしまいます。

 「よし、よし、いい子、いい子」
 お義父様は私がその事に気づいたのを承知で、それでも濡れた
パジャマのまま、謝りもしない私を抱いてくださったのです。

 「……(甘えすぎかなあ)……」
 でも、女の子にとってこんな幸せがあるでしょうか。
 この時の私はもう完全に幼女の昔に戻っていました。


******************(2)******

初めてのお仕置き<1>

        << 初めてのお仕置き >>

 §1 お浣腸

 父と母が事故で亡くなったのは私が小学3年生の時、もちろん
それは悲しい出来事でしたが、あまりに突然のことだったので、
しばらくは何が何だかわからない日々でした。

 葬儀の後は、叔父さんの家にお世話になったのですが、家の前
で自動車がブレーキを踏むたびに、『お父さんが帰って来た』と
思って表に飛び出す日々でした。

 もちろん父母が私のもとに帰ることはなく、最初は『預かる』
という形だった叔父さんとの関係が1年後には正式に養女となり、
その家の子供達とは兄弟姉妹となりましたが、そうして生活して
いても私の立場は依然、お客様のままでした。

 おばさんは実の子を呼ぶときは呼び捨てなのに、私を呼ぶ時は、
『恵子ちゃん』と必ず敬称をつけます。おじさんも私と一つしか
違わない清美さんとは一緒にお風呂に入りますが、私を誘った事
は一度もありませんでした。

 もちろん叔父さんと一緒にお風呂に入りたいなんて思った事は
ありませんが、湯船から妹のはしゃいだ声が聞こえて来ると……
それが親密さのバロメーターのような気がして……
 『私はこの家の子ではないから……』と、寂しい気持になった
こともありました。

 そんな事からでしょうか。私が正式に佐々木家の養女になった
日、おばさんは……
 「これからは、あなたもお客さんじゃないの。他の兄弟と同じ
立場なんだから、お仕置きだって他の子と同じようにやるからね。
覚悟しといてね」
 と、笑顔で宣言したんです。

 ところが、それから1年経っても私が体罰を受けた事は一度も
ありませんでした。

 佐々木家は江戸時代から続く旧家で、町の名士と呼ばれる親戚
知人が多数おられます。当然、躾だって厳しく、従わない子には
体罰も厭いませんでした。ですから、この1年間も他の兄弟達は
お養父様(おとうさま)やお養母様(おかあさま)からたくさんの
お仕置きを受けています。

 もちろん、私の場合は、お世話になっているという思いから、
それなりに注意して生活してはいました。お仕置きに繋がるよう
な事は実のお子さんたちより少なかったかもしれません。
 でも、私だってその時はまだまだ子供ですから、まったく何も
ないはずがありませんでした。

 勉強、習い事、目上の人への言葉遣いや自分の部屋がきれいに
片付いているかどうかなんかもこの家ではチェックの対象だった
んです。
 それを私がすべて完璧にこなしていたとは、とても思えません
でした。ですから、私へのお咎めなしは不自然だったのです。

 佐々木家の体罰は、幼い子への閉じ込め、締め出しに始まって、
平手や竹のものさしによるお尻叩き、浣腸、お灸……今日でなら
『ソフトなSM』『虐待』などと評されるかもしれない厳しいも
のです。

 おまけに、男の子たちはもちろん、私とは一つしか違わない妹
の清美さんにさえご両親は容赦がありませんでしたから、二週間
に一度くらいは清美さんの悲鳴が私の部屋にも届きます。
 そのたびに『私もいつかは……』と怯える日々でした。


 そして、五年生になった夏休み。ついにその日は来たのです。


 その日は清美さんが林間学校、一年生の双子の兄弟、剛士君と
智志君もおばあちゃんの家へ泊りがけでお出かけしていて、家を
留守にしていました。
 そう、養父母は他の兄弟が家にいないこの日を選んで私に話を
切り出したのでした。

 居間に呼ばれた私は、叔父様いえ、お養父様(おとうさま)と
お養母様(おかあさま)が、お二人して二つ折りの紙を覗き込み
ながら何やら話しあってる姿に出会います。
 二人が覗いている紙は、数日前、学校の終業式で渡された私の
通知表でした。

 もちろん通知表そのものは、終業式当日、すでにお二人にお渡
しましたが、その学期は清美さんの成績もよくなくて……
 終業式の当日、ご両親はまず清美さんから始められたのです。

 お義母様によるお浣腸に始まって、お義父様の平手によるお尻
へのスパンキング。下半身へのお灸、最後は革のベルトによる鞭
打ちまで、私たち兄弟はその一部始終を見学させられていました。

 しかも、私の場合は養女とはいっても年長の女の子ですから、
そうしたお仕置きへのお手伝いもさせられます。
 鞭を嫌がる清美さんの身体を押さえつけたり、お浣腸で汚した
オムツの処理までしなければなりませんでした。

 おまけに、もうお仕置きはすんだとばかり思っていた夕食後、
断続的にもの凄い悲鳴が私の部屋にも届きます。
 それは兄弟にさえ見せたくないようなもう一段厳しいお仕置き
を清美さんがご両親からされているということで……私は自分が
されているわけではないのに、心臓が締め付けられるような思い
でそれを聞いていたのでした。

 『きっと、普段はやられないようなお仕置きを受けたんだわ。
でも、何をされたんだろう。ここへ来たら聞いてみよう』
 私は心ひそかにそう思っていました。

 ところが、普段ならお仕置きが終わるとまっさきに私の部屋へ
駆け込んでひとしきり愚痴を言ってから帰る清美さんがその夜に
限っては、お養父様の書斎を出た後、すぐに自分の部屋に戻って
寝てしまいます。
 こんなことは初めてでした。

 それから1週間後、今度は、私が清美さんの立場に立たされる
はめになるのでした。


 「恵子さん。これを拝見すると……あなた、いくつかの教科で
成績が下がってしまってるみたいね。国語の5が4に……算数の
4が3になってるわね」
 おばさんは私の通知表を見ながら確認します。

 私は、消え入りたいほどの恥ずかしさでした。

 「優秀なあなたが、これはどうした事かと、今お父様と一緒に
首を傾げたところよ。あなた、私達に何か不満があるのかしら?
あるんなら、怒らないから言ってちょうだい。心の中におさめて
しまうのが一番よくないわ」

 「……(不満だなんて)……」
 私は答えに窮します。

 着るもの、食べるもの、学用品、玩具、すべて他の兄弟と差別
はありません。これまでいつも優しく接してしていただきました
から……
 子供のことですから、感謝の念は薄かったかもしれませんが、
天涯孤独となった私にあれもこれもと手を差し伸べてくださった
お二人に不満なんてありませんでした。

 ただ、最初は緊張してスタートとした生活も二年が経ち、この
家での生活に慣れてくると、私にも甘えが出てきたのです。
 成績にしても、実の両親が生きていれば、こんな成績になる前
に、お仕置きを受けて渋々またネジを巻き戻していたはずですが、
緊張感のない叔父さんの家では、伸びきったパンツのゴムのよう
に元に戻らないまま、お仕置きはがない事をいいことに一人だけ
特別な子供として暮らすようになっていたのでした。

 そんな私に、お養父様(おとうさん)は静かに話し始めます。
 「佐々木の家はね、恵子ちゃん。……本家は造り酒屋だけど、
他の家はそれぞれお医者さんや弁護士さん、学校の先生なんかを
生業としてきたインテリが家業の家なんだ。だから、お父さんの
跡を継ぐ男の子は当然ある程度の成績が求められるし、君の場合
も、女の子だけど一人娘だからね……本来は、君がお父さんの跡
を継がなきゃならないんだ。弁護士というのは嫌かね?」

 「いいえ」

 「となるとだ、学校の成績だって、どんな成績でもよいという
わけにはいかないんだよ」

 「はい」

 「君は女の子だから、お嫁に行って、直接家業は継がないかも
しれないけど…ただ、その時でも、優秀なお婿さんに来てもらう
ためにはこちらもある程度の水準でないと、釣り合いがとれない
からね、うまく話が進まないんだよ。今の成績では、お父さんも
心を痛めると思うよ。君は清美なんかと違って元々優秀な頭脳の
持ち主だからね。この成績は、それにそぐわないんだ。…何より、
このままじゃ、弟が化けて出そうでね、私も怖いんだよ」

 「…………」
 私はお養父様の笑えないジョークに返す言葉が見つかりません
でした。

 次に、お義母様が切り出します。
 「そこで、あなたにも、もう少し、シャキっとしてもらおうと
思って、お父様にあなたへのお仕置きをお願いしてみたの。……
どうかしら?」

 「……(『どうかしら』って言われても)……」
 私はお仕置きの打診に戸惑います。

 いえ、私だって実の両親からはお仕置きを受けたことが何度も
ありましたが、そういうことって、問答無用でやられるものです
から、ぶたれる前からもう泣き叫んでいました。

 「恵子ちゃん、あなたにとって実のご両親でない私たちに何か
されるのは嫌でしょうけど、あなたはすでに正式に私達の子供で、
この家の子供たちが、どんなお仕置きを受けてるかも知っている
わよね」

 「……は、はい」

 「あなたにも、家の子供たちと同じ罰を受けて欲しいの。……
ね、あなただけが、いつまでも特別というわけにはいかないわ」

 お義母様の言葉には説得力があります。
 でも、『はい』とは言えませんでした。
 すると、お義父様が……

 「無理にとは言わないよ。君が嫌なら、私は無理強いはしない
よ。女の子にはいつも明るく笑っていて欲しいもの。私だって、
嫌われ者になんてなりたくないからね。でも、その時は私たちに
約束して欲しいんだ。私たちの力を借りるまでもなく、2学期は
四年生の頃の成績を取り戻しますってね。………言えるかい?」

 「……それは……」
 私は、口ごもります。
 こんな時は、はったりでも『できます!』って言ってしまえば、
ひょっとしたら済むのかもしれませんが……

 「自信がないみたいだね」

 「………………」

 「仕方ないね。じゃあ、私に任せてくれるかい?勉強のこと…」

 「……は、はい」
 私は蚊の泣くよう小さな声で答えます。
 当時五年生の私に自分を律する力なんてまだありませんから、
そう答えるしかありませんでした。

 「………そう、それじゃあ、今日からは清美たちと同じように
お仕置きを受けてもらうけど、いいんだね」

 こう念を押されても、答えは一つだけだったのです。
 「……は、はい」

 そりゃあ、お仕置きなんてされたくはありません。ましてや、
清美さんの厳しい姿を目の当たりにしてますから、正直言うと、
この場所から今すぐ逃げ出したい気持でした。
 でも、私にも、成績を下げて叔父さん(お養父さん)に迷惑を
かけたという負い目がありますし、これ以上お仕置きから逃げて
しまっては、せっかく仲良くなった他の兄弟達からも『どうして
あいつだけ特別なの』って恨まれそうです。

 もし、お義父様、お義母様、兄弟たちから仲間外れにされて、
この家での居場所を失ったら……そんな光景がふいに頭に浮かび
ます。女の子としてはこんなに辛い絶望はありませんでした。

 それに比べたら、お仕置きは清美さんだって受けてることです
から、私にだって耐えられないことはないでしょう。

 そんなこんなが頭の中を駆け巡り、最終的には『私もここの子
なんだし、仕方がないか』というお付き合い感覚で、お仕置きを
受け入れたのでした。

 で、結局……
 「よし、それじゃあ、書斎で待ってるから、お母さんにお浣腸
をしてもらったら、来なさい」
 お義父様はそう言って席を立ったのでした。

 「……(お、かんちょう)……」
 自分で決めておいて、今さら女々しいのですが、お義父様の口
から『お浣腸』という言葉を聞いた時は、もうそれだけで、この
部屋から消えてなくなりたい思いでした。

 清美さんの様子を見ていて、それがどんなに辛いことか知って
いましたし、実は私も、お仕置きではないのですが、病院でそれ
を一度受けたことがありました。
 恥ずかしさとその強烈な効果にパニックになった私は、看護婦
さんを突き飛ばしておトイレへ走った記憶があります。

 『そんな経験をまたここで……』
 と思うと、今さらながら、
 『何て馬鹿なことしてしまったんだろう』
 とも思いました。
 でも、優柔不断な私にいったん動き出した歯車を止めることは
できませんから、その時は涙を一筋ほほに溢すだけだったのです。

 そんな私にお義母様がこんなことを言います。
 「あなたは偉いわ。まだ11歳だというのに、ちゃんと分別が
あるもの。もしこれが清美だったら、こんなに素直にはならない
はずよ。あなたのお母様は娘にとても立派な躾をなさってるわ。
そんな立派なお母様の後を受けて、私がどれほどの事をあなたに
してあげられるか、正直、私だって自信がないけど、精一杯の事
はするつもりだから、あなたも着いてきてね」

 「はい、おかあさん」
 私はこの時初めて素直に『おかあさん』という言葉を口にしま
した。

 「今日の事は、あなたにとっては辛い体験だけど、いつまでも
裃を着て一緒にご飯を食べるだけの家族じゃいけないわ。お互い
隠し事なしで暮らさないと家族は窮屈よ。今のあなたの義務は、
その身体の全てと心の中の全てを私たちの前にさらけ出すこと。
その為にはちょっと手荒なこともするけど、それは必ずあなたの
ためになることだから、我慢してね」
 お義母さんは私の両肩を抱いて微笑みます。

 「はい、おかあさん」
 私は素直にそう言いましたが、正直言って心の中はやけっぱち。
 『しょうがないわ。もう、どうにでもなれ!』
 だったのです。

 「あなたは自分の部屋に戻っててね、そこでお浣腸しますからね。」
 そう言ってお義母さんは部屋を出て行き、お手伝いの節さんを
呼びに行きます。

 「節さん、ちょっとお手伝いお願いします」

 私はその声を聞きながら自分の部屋へ戻りましたが、それから
節さんを伴ってお義母さんが部屋へ訪れるまでの時間、僅か5分
か10分のはずなのですが、それがどれほど長かったか……
 私はベッドに腰を下ろすと、あの病院でのショックな出来事を
思い出しながら溜息ばかりついていました。


 ガタゴトと手押しワゴンの車の音が廊下から聞こえてきたかと
思うと……

 「さあ、始めますよ」
 そう言ってお義母様が入ってきます。

 お義母様は大きな洗面器を抱えていましたが、その中に入れら
れたタオルなどに隠れて、かつて病院で見かけた大きな注射器の
ようなピストン式の浣腸器が顔を覗かせていますから……

 「……(ゴクン)……」
 私は思わず生唾を飲み込みました。

 『また、あれをお尻の穴に……』
 なんて思うと、もう、それを見ただけで心臓は誰かに鷲づかみ
にされたようでした。

 怯える私に、お義母様が……
 「大丈夫よ。これは誰でもやってきてることだもの。……さ、
それより、これ、着てちょうだい。うちではね、お仕置きの時は
男の子も女の子も体操服と決まってるの。これなら汚れてもすぐ
に洗えて便利でしょう。今度から、お仕置きを言われたらこれに
着替えて待っててね」

 「はい、おかあさん」
 私は学校でも使っている自分の体操服を受け取ります。当時の
事ですから、おしゃれなものじゃありません。上は白いシャツ、
下は紺のブルマーでした。

 そうやって、私が着替えている最中にも大人たちは準備に余念
がありません。
 私のベッドには大きなビニールシートが広げられ、オムツやら
大判のタオルやらが整然と並べられていきます。

 でも、何より私の視線を釘付けにしていたのは……やはりあの
浣腸器でした。

 あれをお尻の穴に差し入れられた時のショック。グリセリンが
直腸を満たしていく不快感。おまけに、やり終えた後も、お腹が
渋って鈍痛のようなものがしばらく残りますから、病院では何も
いいことがありませんでした。

 そんな不幸の塊のような器具を前にして、私は、一瞬固まって
しまいます。

 「さあ、早くしましょう。…恵子ちゃん。お仕置きはこれだけ
じゃないのよ。お父様もお待ちかねだわ」

 お母さんの言葉で私は、ハッとして我にかえります。
 でも、余計な一言を……

 「お義父様はここにはいらっしゃらないんですか?」

 「そうよ、お尻を叩かれる時には、それは仕方がないけど……
これは恥ずかしいといっても、格別だもの。うんちでべっちょり
汚れたオムツをお父様にお見せするなんて、あなただって嫌じゃ
なくて?」

 「えっ????……」
 私は目が点になりました。

 『(ははははは)それって、失敗したらそうなるって意味よね。
……まさか、最初から、オムツに……だなんて、そんな馬鹿な事
ないわよね』
 私は自分を励ましながらも心に不安がよぎります。

 けれども、お母さんにそれを確かめようとはしませんでした。
『恥ずかしいから…』そして何より『怖かったから…』でした。
そして何よりこの悪い思いつきは間違っても当たってほしくない
からだったのです。

 ところが……

 「あなた、お浣腸されたことあるかしら?」

 「ええ、一度だけ……病院で……」

 「その時は、おトイレ使えた?……それともオマルにしたの?」

 「お医者様が後でそのウンチを調べたいからっておっしゃった
のでオマルです。とっても恥ずかしかったけど、仕方なくて……」

 「そう……でも、ここではおトイレでもオマルでもないわよ。
……ウンチは全部オムツにするの」

 「……(ウ、ウソでしょう!?)……」
 私の目は再び点になります。

 でも、私に出来たのはそれだけ。あとは大人たちの思うがまま
でした。

 仰向けにベッドに寝た状態でブルマーとショーツをいっぺんに
脱がされて、両足を高く上げさせられれば……何のことはない、
昔、病院でやられた処置と同じ姿勢。当然、私の恥ずかしい処は
全てみんなに丸見えですが、周囲が女性ばかりというの事だけが
唯一の救いでした。

 「……(あっ、!!!)……」
 ガラスの突起がいきなりお尻の穴に当たります。

 昔はカテーテルなんて面倒なものは使いませんから、ちょっと
でも嫌がって動くとすぐにお尻の穴から外れてしまいます。
 もちろんそんな事になれば『お仕置きを嫌がった』として罰が
また増えることになりますから、子どもたちはこんな恥ずかしい
格好を必死で維持しなければなりませんでした。

 「……(あっ、入ってくる)……」
 ひんやりした感触が直腸を刺激して、お薬が入ってきたことが
わかります。
 この瞬間は何度やられても、気持悪くて、恥ずかしくて、泣き
たくなります。

 「……(あっ、また、入ってくる)……」
  50㏄の浣腸器ですが、二回に分けて60㏄。それが完全に
お尻の奥へ納まるまでは、ガラスの突起とお尻の穴がランデブー
できるように、この恥ずかしい姿勢を続けなければなりませんで
した。

 そして、終わるとさっそくオムツが当てられます。
 これも昔のことですから今のような紙おむつではありません。
浴衣の生地を裂いて作ったお義母様お手製のオムツです。

 「……(あっ、だめ、もうしたい)……」
 私はまだオムツもはめ終わらないうちに、もうそこを動こうと
します。グリセリンというお薬は即効性があって、効果がでるの
に1分と掛からないのです。
 でも……

 「ほら、動いちゃだめよ」
 お義母さんが私の身体を押さえにかかります。

 それはもの凄い力というわけではないので、跳ね除けることも
可能ですが、この場面で私がそんなことできるはずがありません。

 「ほらほら、だめよ。今日のあなたはどこにも行けないの」
 お義母様はそう言って、私のベッドへ上がりこむと、オムツを
つけ終わったばかり私の上半身をまるでお人形のようにして抱き
あげます。

 「……あっ、いや」
 すでに全身に鳥肌のたっていた私はとっさにそう叫んでしまい
ました。

 でも、抱きかかえられた瞬間の私は決して不快ではありません
でした。赤ん坊時代に戻った時のような不思議な安らぎが全身を
支配したのです。

 「わあ、いい子ねえ~。今日はおかあさんと一緒にウンチしま
しょうね」
 お義母様にはこんなことを言われて、その胸の中へ納まったの
です。
 でも、そうなると、またさっきの鳥肌が戻ってきます。

 「あっ、だめ~~」
 私は、思わず私を抱くお義母様の太い腕を乗り越えようとしま
したが……

 「あらあら、逃げないで。何も心配いらないわ。あなたは私の
子供になって初めてのことをしてもらってるから戸惑ってるのね。
でも、大丈夫よ。怖いことは何もないのよ。………恵子ちゃん。
子どもがお母さんに初めてしてもらうことってなあに?」
 お義母さんはまるで幼児をあやすようにして笑顔で尋ねます。
 
 「…………」
 私はそれには答えませんでしたが……

 「ミルクとオムツ。それはあなたも同じなの。お母さんになっ
た人はまずミルクとオムツのお世話をしてあげなきゃ」
 そう言って太い腕が私を押さえ込もうとします。

 「だって、トイレ!」
 私は全身に力を込めましたが、何しろ爆弾を抱えていますから、
本当の意味で全力は出せませんでした。

 もし、そんなことをしたら、力を込めた瞬間に……
 「………!………」
 その先は想像するだに恐ろしいことだったのです。

 「今はまだ頑張ってね。すぐに出しちゃうと、お薬の効き目が
ないのよ」
 お義母さんがやってることはかつて看護婦さんが私にした事と
同じでした。看護婦さんもまた、お薬の効き目が十分になるまで
私を抱いていてくれたのです。

 病院では看護婦さんの隙を見てトイレに走ることができました
が、トイレにはすでにオマルが用意されていて、結局は、そこに
跨ることになります。
 でも、今日はそれさえできない雰囲気でした。

 「さあ、もうちょっとですよ。頑張りましょうね」
 お義母様だけでなくお手伝いの節さんまでが、時折大きな顔を
私に近づけてきて赤ちゃんになった私を監視しているのです。

 「******ああああ!!!*******ああああ!!!」
 ピンチは周期的に襲ってきて私の下腹を翻弄します。寄せては
返す大波の凄さは言葉では到底あらわせません。

 「もう、堪忍して……」
 脂汗を流し、全身鳥肌をたて、身体の芯から悪寒が走ります。
絶え間ない苦闘の時間は無間地獄でした。

 そんな私にお義母様は冷静にこう言います。
 「まだ5分よ。もうあと5分くらいは頑張ってね。そしたら、
今日はそこにそのままやっちゃってちょうだい」

 「……(そこにそのままってどういうことよ。トイレ!トイレ!
トイレ!なの。トイレへ行きたいの!)……」
 私は心の中で叫びます。
 本当は声に出して叫びたいのですが、大人二人の顔がアップに
なり、その二人にまるで赤ちゃんのようにあやされると、恥ずか
しくて、怖くて、声になりませんでした。

 「****あああ!!!!*****あああ!!!!****
あああ!!!!*****あああ!!!!****あああ!!!」
 私は、大波が襲うたびにお義母様の腕を必死に掴んで抱きつき
ます。きっと、お母様の腕にはその時の痣がくっきりついるはず
でした。
 でも、その時はそうするより仕方がありませんでした。
 
 やがて、いくつかの大波の後、お義母様は私に優しく語りかけ
ます。
 「もう、出してもいいわよ」

 「えっ!?」
 私はとっさにトイレへいけるのかと思いましたが……

 「いいから、そこに出しちゃいましょう。せっかくオムツして
るんだし……」

 「!!!!」
 私は青くなって首を激しく振ります。
 『できるわけないじゃないか!私は赤ちゃんじゃないのよ!」
 怒りと悲しみが同時に心を支配して、私の心はパニックです。

 「いや!!!!」
 何度も何度も頭を激しく振り、必死で耐えて、お義母様の胸の
中でその腕に胸にしがみつきます。

 「いやって言っても……どうにもならないわ。今日のあなたは
ここでこのままウンチをすることに決まってるのよ。もちろん、
あとは私があなたのお世話をしてあげるのよ」

 「いや、わたし、トイレでなきゃ…………」
 私はそう言って身体をひねると、お義母様の膝から降りようと
しますが……その瞬間、再び大波に襲われて……

 「きゃあ~~~」
 慌てて、お義母様の胸に抱きつきなおします。
 我慢するのも、今はもうお義母様が頼りでした。

 「ほらほら、もうどうする事もできないでしょう。聞き分けの
ないことはしないのよ。我を張ってみても恥の上塗りになるだけ。
お仕置きって親に降参することだもの。無駄な抵抗はしない方が
あなたにとっても得策よ」

 「…………………」
 私を襲う大波は、その瞬間、僅かに小康状態を保っていました。
でも、怖くて、私は後ろが振り向けません。もう、どの様に体を
動かしても堰が切れそうです。
 今の私は、母とは違う匂いのするこの義母の胸にすがり付いて
泣いているほか、どうにもできなかったのでした。


 「!………………」
 その瞬間は、お互いに声はありませんでした。


 しばらくして、お義母さんは私に諭すようにこう言います。
 「いいのよ。これでいいの。プライドも見栄も外聞も、すべて
捨てて自分を愛してくれる人の処へ飛び込むのがお仕置きなんだ
から……愛も同じ。プライドにこだわったり、物惜しみする人は
決して手にすることのできない物なのよ。……そのことを教える
のが、お仕置きでもあるの。……だから、お仕置きは愛と同じ物
で出来てるの。人を憎んだり蔑んだりする為のものじゃないわ」

 「………………」
 白旗を上げた私は、お義母様に頭を優しく撫でられるうち……
『親切な人』以上の親しみを感じるようになるのでした。

 「それじゃあ、取り替えましょうか」
 お義母様は抱き上げていた私を再びベッドに仰向けに寝かしつ
けます。この時はもうほとんど無抵抗でした。

 そして、それは仕方がない事とはいえ、それまで封印していた
恥ずかしい場所をこれ以上ないほど恥ずかしい姿で開放します。

 「久しぶりにこんな事されて気持いいでしょう」
 お義母様の手が忙しく動き、節さんが用意した蒸しタオルで、
私の恥ずかしい場所を清めていきます。

 それは、正直に言って、恥ずかしくても気持いい時間でした。
 『赤ちゃんに戻ったみたい』
 ある瞬間は、本当にそう感じていました。
 ただ、長くは続きません。

 「さあ、一度起きて、オマルに跨って用を足してちょうだい。
まだ、残ってるのを完全に出してしまわないと、今度お父様の処
で恥をかくことになるわよ」

 私はお義母様の言葉に再び緊張します。
 そうなんです。ハンドスパンキング、鞭打ち、お灸、お仕置き
は、むしろこれからが本番だったのでした。


*******************(1)*****
 

Appendix

このブログについて

tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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