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<ショートショート②>

<ショートショート②>

 これを言うとみんな「うそだあ~~」なんて言うけど、ホント
なんだよ。
 
 夏休みのとある一日、僕はオヤジさんと一緒にドライブしてた
んだけど、オヤジさん方向音痴で道に迷っちゃった。

 仕方なく山の中にある田舎の橋の上で停車。地図を見直すこと
に……。(当時はカーナビなんて結構なものはないから地図だけ
が頼りだ)

 その時、助手席にいた僕は橋の下を流れる川の中で男の子たち
がはしゃいでるのは知ってたけど、そんなものに興味はなかった。
 『お父さん、熱いんだから、さっさと出発してよ』
 って思ってた。(当時の車にはクーラーなんか付いてないんだ)

 ところが、そこへ女の子たちが数人やってきて「泳ごう」って
言い出したんだけど、そのうちの一人が水着を持ってなかった。

 もちろん、家に取りに行けばあるんだろうけど……彼女、何を
思ったのかショーツまで脱いでスッポンポンで泳ぎ始めたんだ。

 こちらは目が点。
見たいような、見てはいけないような、
 で、結局、割れ目までしっかり見ちゃった。

 目があったもんだから、彼女、思わずしゃがんだけど、それに
しても近くには男の子もいたわけだし、僕らの常識では考えられ
ない行動だった。

 白昼夢だと思いたいけど、とにかくその光景がリアルすぎて、
鼻血もので車は再出発。
 オヤジさんは運転席で地図と格闘してたからこの事は知らない。

 今にして思うんだけど……その女の子にしてみたら、川で遊ぶ
のは生まれながらに兄弟みたいにして付き合ってた子供たちだけ
で、僕みたいなよそ者とは滅多に遭わないから安心しきってたと
思うんだ。

 話の内容からその子、小5らしいんだけど、僕がその時小2で
弟分だからそこは若干救いなのかもしれないけど、それにしても
さ、その歳でも裸の付き合いが可能だなんて……今じゃあ……と
いうより、その当時の僕の家周辺でもさすがに考えられなかった。

 これが本当の『牧歌的生活』っていうんだろうね。
 地域の子供たちは生まれながらに本当の兄弟みたいな身内同然。
よそ者は滅多に現れないし、性の知識を授ける本もテレビもない。
(当時のテレビは健全で今みたいにHな内容は放送しなかった)

 今回は僕みたいなよそ者とたまたま目が合っちゃったもんから
しゃがんじゃったけど、この村の中だけでなら裸でいたって危な
いとか、恥ずかしいなんて思わないんだろうね。

 もちろん今は全国どんな田舎に行ってもそんな子はいないはず
です。(当たり前か……)

***********************

大昔のお話

<ショートショート>

 あれは今を去ること半世紀以上前。小4の時です。
 私、悪ガキの家に遊びに行っておりました。

 最初はゲームなんかしておとなしく遊んでいたのですが、その
うち何のきっかけか、鼠小僧よろしく屋根に上ろうということに
なり、物干し場づたいにそいつん家の屋根に上がったんです。

 すると、眺めいいでしょう。ついつい調子こいちゃいまして、
お隣も、そのお隣りもと跳ね回って大はしゃぎ。その日は何事も
なく帰ったんですが、後日、そいつの家の近隣から雨漏りがする
とクレームが……

 そこで、私も呼び出され、その友達がおふくろさんから大事な
処にお灸をすえられるところを見せられるはめになったという訳。

 私もそいつと一緒だったんだから本当は同罪なんだろうけど、
さすがによその子にそれはできないということで「見てなさい」
ってわけ。

 公開処刑の見学なんてあんまり気持の良いものじゃないけど、
当時はそんなこと珍しくなかったのよ。

 もちろん。私も家に帰ったら母親に大目玉だった。
 殺されるんじゃないかって思うくらい怒られたんだから。

 昔の親はホントやることがきつかった。

*************************

小暮男爵 << §20 >> 放課後

小暮男爵

***<< §20 >>****

 長い長い園長先生へのお別れのご挨拶がすんで部屋を出ると、
そこに六年生クラスの子たちが待っていました。

 私たちと同じように六人の子どもたちを担任の栗山先生が引率
していらっしゃいましたが、こちらのご用は、おそらく社子春と
いうことではないみたいです。
 だって、栗山先生、タイトスカートでしたから……。

 私はその中にいた遥お姉様と笑顔でご挨拶。
 相手もこの時は笑顔でしたが、その顔はすでに引きつっていて、
無理に笑おうとしているのが子供の私にもよく分かります。
 そのあたり女の子は相手の表情を敏感に感じ取るものなのです。

 『お姉様たち、やっぱり、あれで呼ばれたのよね』
 私は思います。あれというのは自習時間に起きた乱痴気騒ぎ。

 あれは昼休み、お父様たちによってお仕置き済みなはずですが、
それはあくまで家庭での事。彼女たちに対する学校でのお仕置き
はまだこれからでした。
 そこで、それが今、ここで行われる。私はそう読んだのです。

 すると、とたんに楽しい想像がいくつも頭に浮かびます。
 お姉様たちがこれからどんなお仕置きを受けるのか。
 その様子が走馬灯のように頭のなかを駆け巡るのです。

 リンゴと同じくらい真っ赤になるまでお尻を叩かれ、失神寸前
までお浣腸のウンチを我慢して、歯が折れそうになほど熱いお灸
に耐えます。

 『うっふ』
 その悪魔チックな妄想は一つ一つ私の頬を緩めます。

 園長先生や小宮先生、いえ、他の多くの先生方が私たちを天使
のようだなんておだてますが、これは真っ赤な嘘です。生身の私
たちは人の不幸が三度のごはんより大好きな悪魔の心を持つ少女。
ただそれを顔の外に出さないだけでした。

 ところが不覚にもそんなにやけた顔をした瞬間、誰が私の肩を
叩きます。
 「五年生のご用はもうすんだの?」

 振り返ると、河合先生が立っていました。

 「はい」
 顔面蒼白でのご返事。
 もちろん、河合先生に私の心の内が読めるはずありませんが、
それでもその顔は一瞬青ざめていました。

 「遅くなればマイクロバスで送ってもらえるでしょうけど……
遥ちゃんと一緒に帰る?」

 「はい、そうします。ちょっとだけ心配だから……」
 これも嘘です。
 本当は、お尻をぶたれて泣き顔で出てくる遥お姉ちゃんが見て
みたいだけでした。

 「そう、それじゃあ食堂でチョコレートパフェでも食べようか」

 「やったあ~~」
 河合先生のお勧(すす)めにテンションが上がります。
 こちらはもちろん本当でした。

 放課後の食堂。一般の学校ならランチが済めばもう用はありま
せんから、調理のおばさんたちもすでに帰宅している頃かもしれ
ませんが、ここは学校の先生だけでなく、家庭教師やお父様方、
臨時の先生たち、OB、OGなど色んな方が利用されますから、
午後も軽食や喫茶をやっていました。

 子供たちも大人が注文してくれれば飲食できます。
 チョコレートパフェは当時の私にしたら十分なご馳走でした。

 そのパフェを頬張りながら、私はぼやきます。
 「今日、園長先生になにされたと思う?」

 「お仕置き?」

 「そう、スカート上げて、パンツまで下げさせられて、全~部
丸見えだったんだから……その格好で10分も立たされたのよ。
……あの人、絶対、変態よ。……ヘンタイ……」

 私はチョコレートパフェのせいでテンションが上がりっぱなし。
四方のテーブルみんなに聞こえるような大きな声で自分が下半身
を裸にさせられた話を叫んでいたのでした。

 河合先生は、犬のような食べっぷりでパフェを頬張る私から、
園長室での出来事を順を追って尋ねていきます。

 「…………なるほど、そういうことだったの」

 パフェがきいたのか、私は密室での出来事を洗いざらいぶちま
けたのでした。
 そしてそれは、やがて今日の出来事を離れて、普段の生活での
不満にまで及びます。

 「だいたい、うちはなぜ月に1度身体検査があるの。あんなの
年に一回やれば十分よ。それも校医の黒川先生の前でお股開いて
あそこまで見せるなんて。だいだい黒川先生がヘンタイなのよ。
嬉しそうにニヤニヤしながらアソコ触ってくるんだもん」

 と、そこまで絶叫した時でした。
 聞きなれた声が耳元でします。

 「誰が変態なんだい?」

 「あっ、お父様」
 私は思わず『やばっ』と思いましたが手遅れでした。
 ちなみに、『お父様』とか『お姉様』とかいう仰々しい言葉が
気になってる方がいるみたいなんで断っておきますが、これって
特別相手を敬ってそう言ってるんじゃないんです。『お父様』は
私たちにとっては単なる名詞。ごく幼い頃に、「この人のことは
『お父様』と呼びなさい」「この人はあなたの『お姉様』なのよ」
って教えられたから未だにそう呼んでるだけなんです。

 そのお父様が……
 「誰が変態なんだい?」
 大きな顔をパフェのそばへ寄せてきます。

 「いえ、それは……えっと……」
 私は一瞬息が詰まって心臓がどぎまぎ。ここでは理由のいかに
関わらず大人批判は禁じられていますからびっくりでした。

 河合先生の場合は日頃から『何でも私に打ち明けてちょうだい』
って姉御肌を見せていましたから心安いのですが、誰にでもそう
できるわけではありません。目に余るようなら、当然、お仕置き
でした。

 「美咲ちゃん、目上の人を変態扱いしてはいけないよ。まして
ここは食堂、色んな人が近くにいる場所で大声で話をしたら他の
人たちだって不快な思いをするからね」

 「ごめんなさい」

 「君の場合はまだ世間も道理も知らない子供の立場なんだから、
まずは、目上の人の愛情を余すところなく受け入れるところから
はじめなきゃ。お父さんは、君に悪影響が及ぶような人とは接触
させていないつもりだ。園長先生も、小宮先生も、もちろん黒川
先生だって君が批判できるような底の浅い人物ではないはずだ」

 「ごめんなさい。本当にごめんなさい」
 私は平謝りでした。

 「先生、どうしたんだね、美咲がだいぶ興奮してたみたいだが、
何かあったのかね」
 お父様は河合先生に事情を尋ねられます。

 「…………そういうことか」
 河合先生の説明をすっかり聞き終えると、お父様は『なるほど』
と納得なさったみたいでした。そして、こうおっしゃったのです。

 「美咲ちゃん、君も学級委員をやっていたからわかるだろう。
リーダーというのは孤独なんだよ。部下は自分のことを信頼して
くれているだろうか、自分は愛されているだろうかって、いつも
気になってるんだ。だからそれを確かめたいんだけど、上下関係
があるとまともに尋ねても下の者はなかなか本心を打ち明けくれ
ないから、勢いこんな方法をとるんだ」

 「こんな方法って?」

 「だって、今日はみんなで社子春をやったんだろう?」

 「トシシュン?」

 「知らないかね、社子春というお話を……」

 お父様の言葉に私は頭をめぐらします。すると、昔読んだこと
のある童話がヒットしました。

 「君たちにとって小宮先生は単なる担任の先生じゃないんだ。
入学以来ずっと面倒をみてもらっているお母さんでもあるんだ。
だから、お母さんとしては、自分が困った時、この子たちは本当
に助けてくれるだろうかって心配になるんだったんだと思うよ。
それを試したかったんじゃないかな」

 「私たちが先生を助けるの?」

 「そうだよ。困難であればあるほど下の者が一致団結して上の
人の指示に従って行動してくれないと、難局はのりきれないもの。
どんな時でもお母さんを助けてくれますか?って試しているのさ」

 「お母さんを助ける?…………それで、社子春…………じゃあ、
なぜ園長先生は私たちのパンツを脱がせたの?」

 「それは、君たちがまだこんなに小さな子供なんですよって、
小宮先生に見せつけるためじゃないかな」

 「ん?……だって、私たち子供じゃない」
 私は意味が分かりませんでした。だって、私たちが子供なのは、
べつに裸にならなくても分かってるはずですから。

 「そりゃそうなんだけど、君たちくらいの年齢になると、世間
常識や分別はなくても知識だけは相当ついてくるから、大人の方
もついつい子供と分かっていても大人と同じように扱ってしまう
ことがあるんだ。でも、そうやって任せても、結局は気まぐれで
責任感のない対応に終始する事が多くて思うように結果がでない。
ストレスは溜まる一方ってわけさ。……そこで園長先生は原点に
戻って『ほら御覧なさい。この子たち、まだこんなに子供でしょ』
ってやったんじゃないのかな。あくまで想像だけどね、そう思う
んだよ」

 「…………」

 「分からないか?ま、無理もない。大人になったらわかるよ。
……それにだ、周りにいたのはどうせ女の先生だけなんだし……
いいんじゃないのか、そのくらいは……」

 「そのくらいじゃないよ。乙女の純情を踏みにじられたのよ」
  私がむくれてみせると……

 「そうか、乙女の純情かあ~~、それじゃあ、お父さんも今夜
あたり、お家でその乙女の純情とやらを見せてもらおうかな」

 お父様は冗談めかしにそう言ってのけますが、それって小学生
にとっては現実の危機なのです。ですから、私は慌てて河合先生
の陰に隠れるのでした。


 1時間ほどして三人は遥お姉様を迎えに行きます。

 そこには私たち家族だけでなく他の家族もいました。六家では
おおむね各学年に一人ずつ子供がいますから、各家のお父様たち
だってそこには顔をみせています。
 下級生の姉妹やその家庭教師、お父様たちで園長室のドアの前
はごった返していました。

 「ねえねえ、美咲ちゃん、聞いてよ。さっきまで凄かったんだ
から」
 「そうそう、もの凄い悲鳴があがってたの」
 「あれ、ケインじゃない。風切る音が聞こえたから」
 「嘘おっしゃい。こんな厚いドアの外からそんな音が聞こえる
わけないでしょう」
 「聞こえました。私、ドアに耳を近づけてずっと聞いてたもん」
 「ばかねえ、ケインなんて私たち小学生には使わないわよ」
 「使います」
 麗華ちゃんがむきになります。

 私が現れたとたん、話を聞いてもらえる相手が現れたと思った
んでしょうね、クラスメイトたちから速射砲のような言葉の連射
で襲い掛かってきます。

 でも、彼女たちが明かす、ドアの外からの諜報活動はこれだけ
ではありませんでした。

 「ねえ、中でお浣腸があったみたいよ。黒川先生入っていった
もん」
 「それだけじゃないの。中井先生まで呼ばれたんだから、……
きっとお灸よ」
 「すごいでしょう、トリプルのお仕置きだったみたいよ」
 詩織ちゃんは満面の笑み。
 どうやら悪魔の心を持つ少女は私だけではないようでした。

 そうやって、女の子たちがわいわい騒いでいるうちに、ドアが
開きます。

 すると、お友だちは自分のお姉様の顔を見つけて擦り寄ります。
すると先ほどまで笑顔から一変、その顔は深い同情心に包まれて
いました。
 どうやら女の子が天使なのは、女の子として営業中の時だけの
ようです。

 私も人だかりのなか遥お姉様を探します。
 『あっ、いたいた』
 ドアから最後に出てきました。

 下唇を噛んで必死に泣き顔を見せないようにしているのがよく
分かります。

 「お姉様~~」
 私が呼びかけると、気が着いて笑い返してきました。
 
 「大変だったね」
 私はねぎらいのつもりで言ったんですが……
 「大したことじゃないわ」
 首を振って前髪を跳ね上げます。

 『無理しちゃってえ~』
 とは思いますが、そこがまた遥お姉様の良い所でもあります。

 ところが……
 「遥、大丈夫か?」
 お父様がそこへ現れたとたん、お姉様はお父様の胸の中で泣き
始めたのでした。

 「痛かった。先生、ひどいことするんだよ。こんなこと今まで
一度もされたことなかったのに……」
 私に対してなら絶対に出さない甘えた声が、大きな胸の中から
聞こえます。でも、これが女の子でした。

 「仕方がないじゃないか。お仕置きだもの。辛くないお仕置き
ってのはないよ。それも年長になれば、段々きつくなってくる。
身体が大きくなった子に幼稚園時代と同じことをやっても効果が
ないだろう」

 「ねえ、お昼休みにお父様にやられたのとどっちが凄かったの?」
 私が不用意に尋ねると、お姉様はそれまで隠していた顔を私に
向けて睨みつけます。

 「…………」
 ですから、それ以上は聴けなくなってしまいました。

 お父様は、「食堂で少し休んでいこうか」と提案しましたが、
お姉様が「すぐに帰りたい」と言うので、そのままリンカーンに。

 自宅までの1時間近い道中、遥お姉様はその車内で自分の体を
両手で支えながら座っていました。いえ、なるだけお尻がシート
に着かないようにしていたわけですから、正確には立っていたと
いうべきかもしれません。

 ポンコツリンカーンのシートはすでに中のクッション材が飛び
出す始末でしたから、決して乗り心地のよいものではありません
が、それでもこんな姿で乗っているお姉様を見たのは初めてです。
 何があったかは一目瞭然でした。

 そして、家に帰ったあとも……
 お姉様は私と一緒にお風呂に入ることを拒否します。
 普段そんなことをしたら「家族が多いのに、そんなわがままは
認められません。後の人に迷惑がかかるでしょう」って河合先生
に叱られるところですが、それも今日はありませんでした。

 「あなたは先に宿題をすませてらっしゃい」
 遥お姉様がお風呂の間、私は勉強部屋へ追いやられます。

 その時河合先生が普段より優しくお姉様に接しているのがよく
わかりました。
 きっと、お尻は出血していてもおかしくないくらい腫上がって
いるはずですから、そこを洗う時はとても神経を使っていたんだ
と思います。そして、お姉様の愚痴も聞いてあげてたんだと思い
ます。お姉様のお風呂はいつもより長い時間がかかっていました。

 ちょうど宿題をすませた頃、私にお風呂の番が回ってきました。

 私は、お姉様のことについてお風呂の中で……
 「お尻真っ赤になってた?」
 「ずっと泣いてたでしょう?」
 「ねえ、みんな、お浣腸があったって言ってたけど、ホント?」
 「お灸もあったって……どこにすえられてた?」
 いくつも質問を繰り出しましたが、河合先生の答えは一つだけ。

 「知りません」

 でも、あまりにしつこく尋ねますから、私の身体を洗いながら
……
 「それはあなたに関係のないことでしょう。そういうことはね、
プライバシーと言って無理にこじ開けて見ようとしてはいけない
ものなの。あなたも自分がされたお仕置きを根掘り葉掘り尋ねら
れるのは嫌でしょう。自分がされて嫌な事は他人にもしてはいけ
ないわ。確かにここのお仕置きはよそと比べても厳しいでしょう
けど、それは、ここが他所の何倍も大きな愛情に包まれてるから
それができるってことなの。だから遥ちゃんも、どんなに厳しい
お仕置きがあってもそれを恨むことはないはずよ。あなただって
そうでしょう。お父様に厳しいお仕置きされたらお父様を恨む?」

 「それは……」
 私は返事に困ります。私だってその直後は確かに恨みますが、
お父様が相手だとすぐに忘れてしまうからでした。

 「でしょう、あなたの場合はまだまだお父様大好きだものね」

 最後はちょっぴり私を腐します。
 でも、それはそうでした。当時の私はまだまだ『お父様ラブ』
の時代。たとえお仕置きがあってもここではその後のフォローが
ありますからお仕置きが憎しみに変わることはありませんでした。

 その日の夕食。
 遥お姉様の席はいつもの場所とは違っていました。
 普段は小学生同士私とおしゃべりしながら食事をするのですが、
こんな時、お父様はご自分の席の隣にその子を席を用意させます。
罪を犯した子はその日お父様の隣りで食事しなければなりません
でした。

 それだけではありません、まずはその席の脇に立って、普段は
しないご挨拶を……

 「今日は、学校で自習の時間に騒ぎを起こしてお仕置きを頂き
ました。これからは良い子になりますから、お姉様、美咲ちゃん、
また今までどおり仲良くしてください。お願いします」

 頭をペコリとさげて反省のご挨拶が済むと姉妹みんなから拍手
してもらえますが、こんな拍手、嬉しくも晴れがましくも何でも
ありません。
 でも、『ご飯いらないからやりたくない』というわけにはいき
ませんでした。

 それだけじゃありません。この時座るイスなんですが、これも
普段の物とは違っていたんです。

 お尻の痛みを和らげる円形のクッションが座面に敷かれている
のはいいとして、問題はその椅子の形です。まるでレストランに
置かれた幼児用の椅子のようで、そこに座るとバーが下ろされ、
簡単には脱出できないようになります。
 ちょっとした拘束椅子でした。

 さらに問題はその食事の仕方。隣りに座る河合先生が親切にも
胸元に大きな涎掛けを掛けてくれるのですが、これは『あなたは
今、幼児なんですよ』という目印。ですから、食事そのものも、
この時は一人で楽しむことができませんでした。

 「あ~~ん」

 河合先生が、そのたびに料理の乗ったスプーンを幼児となった
お姉様の口元へ運びます。

 「ほら、遥ちゃん、あ~~~ん」
 時にはお父様も参加して二人で赤ちゃんごっこです。

 ですから、お姉様の食事はそのスプーンをパクリとやるだけ。
 まるで離乳食を口元へ運んでもらって食べる幼児のような食事
風景です。

 でも、これってお仕置きなんでしょうか?
 お父様にしたら、『お前はまだ幼児と同じなんだぞ!』という
戒めだったのかもしれません。
 実際、プライドの高い遥お姉様は渋い顔でご飯をを食べていま
したから。

 でも、私の場合、これはお仕置きになっていませんでした。
 普段からお父様ラブの私にしたらこんなのは大歓迎なんです。
喜んで赤ちゃんを引き受けて食べ物をこぼしたりミルクをわざと
口の周りに着けたりしてお父様の注意をひきつけます。
 ここぞとばかり甘えに甘えてむしろ本人はご満悦でした。

 実際そうやってみてもお父様が私を叱ったことが一度もありま
せんでしたから。


 食事が済むと、今度はそれぞれ自分の部屋に戻ってお勉強。
 普段なら河合先生が小学生二人の面倒を一緒にみるところなん
ですが、その日はあいにくとお姉様が厄日でしたから、お父様も
遥お姉様の応援に出かけます。

 これはお仕置きでショックを受けている遥お姉様を慰めるため、
あるいは叱咤激励するためでした。

 私の経験から言ってもこの時のお父様はとてもやさしくてお膝
に抱っこしてもらいながら、河合先生とマンツーマンで勉強する
ことになります。
 お父様の抱っこは子供の私には格別の安心感で、よく居眠りを
しては叱られていました。

 お姉様だってその事情は同じだと思います。普段、私と一緒に
いる時は『私はあなたとは違うの、もう大人なの』ってな感じで
すましていますが、彼女にとってもお父様はいまだ特別な存在で
あるはずです。
 実際、二人きりの時、お姉様が幼い子のようにお父様に甘える
姿を私は何度も見ていました。

 一方、その時の私の方はというと……こちらも一人で勉強して
いたわけではありません。
 隆明お兄様と小百合お姉様が私の面倒をみるようにお父様から
言いつかっていました。

 このお二人はそれぞれ高三と高二。小学生の私からみればもう
立派に大人です。ですから同じ兄弟姉妹といっても、同類とか、
ライバルといった関係ではありませんでした。
 私は、他の大人の人たちと同じようにこの二人にも甘えます。

 最初は、「ほら、甘えないの」って叱られますけど、めげずに
甘えていると、私も遥お姉様と同じように隆明お兄様のお膝の上
でノンノしてお勉強することが許されます。

 「やったー」
 私はどんなに乱暴に跳ね回ってもびくともしない筋肉質の椅子
に大喜び。
 『これで、お姉様と一緒にお勉強できるわ』
 そんな嬉しい思いでした。

 とはいえ、勉強はノルマ制。一応2時間とはなっていますが、
時間がきたから終了ではありません。全ての課題が出来るまでは
その人間椅子から開放してもらえませんでした。

 二時間半後、お父様と遥お姉様が、私の勉強部屋になっている
お父様の書斎にやってきます。

 「そちらは、まだ終わっていないのか?」
 「いえ、こちらも、もうすぐ終わりますから」
 「大丈夫てせす。もう少しですから……」

 お兄様お姉様は私を急がせて、ほどなく私の方も今日の勉強が
終了します。
 このあと、二人の残る仕事と言えば、お父様と一緒に寝るだけ
でした。

 私たちは、洗面所へ行って歯を磨くと、お父様の書斎に戻って
素っ裸の上にパジャマだけを身につけるとお父様のベッドの中へ
飛び込みます。

 この時、二人は11歳と12歳。今の基準でならもう親と添い
寝する歳ではないのかもしれませんが、当時は小学校を卒業する
まで親と添い寝をしている子も、そう珍しくありませんでした。

 こんな時のお父様は愛情の大盤振る舞い。
 ベッドの中でも私たちの身体を触りまくります。

 頭をなでなで。
 ほっぺをすりすり。
 お背中トントン。
 お尻よしよし。
 お手々をモミモミ。
 あんよもモミモミ。
 果ては、オッパイの先を指の腹でスリスリしたり、お股の中に
手を入れたりもします。

 お父様も、私も、遥お姉様も、コチョコチョ攻撃に大笑いして
身もだえます。

 こんなこと他の人なら許しませんけど、お父様の場合は特別。
 実際、こういうことって、二人にとっては決して嫌じゃありま
せんでした。

 ベッドインした三人の濃密な時間が過ぎていきます。
 Hじゃありませんよ。赤ちゃん時代からの習慣がその時もまだ
続いていただけでした。

 お父様は、どんな罪でお仕置きされた場合も、それが終われば、
一定時間、私たちを最大限甘やかして、辛い心が癒されるように
配慮してくださったのです。

 こうしたベッドの中での秘め事は親しい友人や他の姉妹にさえ
決して語られることがありませんが、私にとっても、遥お姉様に
とっても、それは今まで生きてきた中で、一番楽しい瞬間だった
のかもしれません。


***************

<これまでの登場人物>

 学校を創った六つのお家
小暮
 進藤(高志)
 真鍋(久子)
 佐々木
 高梨
 中条

 小暮男爵家
 小暮美咲<小5>~私~
 小暮遥 <小6>
 河合先生
 <小学生担当の家庭教師>
小暮 隆明<高3>
小暮 小百合<高2>
小暮 健治<中3>
 小暮 楓<中2>
 小暮 朱音(あかね)<中1>

 学校の先生方
 小宮先生<5年生担当>
 ショートヘアでボーイッシュ小柄
 栗山先生<6年生担当>
 ロングヘアで長身
 高梨先生<図画/一般人>
 創設六家の出身。自らも画家
 桜井先生<体育/男性>
 小柄で筋肉質。元は体操の選手
 倉持先生<社会/男性>
 黒縁メガネで頭はいつもぼさぼさ
牧田<お隣りの教室の担任の先生>
 大柄な女の先生。陰で男女(おとこおんな)
なんて呼ばれることもある怖い先生。
 中井先生<家庭科/女性>
 本来の仕事のほかに頼まれるとお灸のお仕置きも
こなす生徒には怖い先生。
 黒川先生<校医/男性>
 温厚なおじいちゃん先生

 6年生のクラス
 小暮 遥
 進藤 瑞穂
 佐々木 友理奈
 高梨 愛子
 中条 留美
 真鍋 明(男)

 5年生のクラス
 小暮 美咲
 中条 由美子
 高梨 里香
 真鍋 詩織
 佐々木 麗華
 進藤 広志(男)

*************

Appendix

このブログについて

tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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