2ntブログ

Entries

真紅の薔薇の蒼いトゲ <3>

********** 夜の御勤め① ***********

 新入生が汚れた自分のお尻とオムツを洗った……というか同室
の先輩二人に無理やり洗わされたんですが……後日、その場所に
立ってみてビックリしまいました。

 そこは寮の裏庭にあって山清水が滾滾と湧く自然な泉になって
いました。飾り気はなく公園や花壇になっているわけではありま
せんが、高い崖の上には白亜のマリア様が祀られていて、下から
見上げると、さながらマリア様がこちらを覗き込んでおられる様
に見えて思わず赤面してしまいます。

 『こんな神聖な処でオムツなんて洗って罰があたらないだろう
か』って、ちょっぴり心配にもなりますが、先輩の話ではここは
その昔、貧しい洗濯女がマリア様を見た奇蹟の場所なんだそうで、
学園もそれにちなんで今もここを洗濯場にしてるんだとか。

 実際、湧き出る泉の水は豊かで、絶え間なく流れていますから、
どんな汚物も短い時間で下流に流れ下ってしまいます。
 ですから、洗濯が終われば、そこはいつも清らかです。

 「大事なことはあなたの心と身体が清いかどうか。あなたの心
が清いのなら、あなたの身体も清いはず、そこから出たうんちも
汚いものであるわけがないでしょう。それもこれも含めて全ては
神様がお創りになられたものなのよ」

 とは、舎監である百合子先生の言葉ですが、この言葉は学園の
ポリシーをも表しています。

 学校や寮のトイレ掃除はもっぱら生徒に任された仕事。それも
上級生の仕事だったのです。
 ここでは上級生が率先して辛いきつい汚い仕事をこなします。

 ですから、日頃は口うるさくて、何かにつけてお仕置きの権限
をちらつかせる上級生を疎ましく思ったりもしますが、さりとて、
そんなお手本を見て暮らすうち下級生は上級生のことを慕うよう
になります。

 同室の子は全員ファミリー。新入生だって当然家族の一員です。

 確かに上級生は下級生に対して体罰の権限を持っていますが、
それが実際に行使されるのは一学期に三四回くらいでしょうか、
その時はもちろん大変ですけど、普段は女の子同士たわいのない
話で盛り上がり和気藹々の雰囲気でいつも笑い声が響いています。

 ですから、たまに同室の先輩たちからキツイお仕置きがあった
としても、罰が終われば、すぐにいつもの妹役に戻って甘えられ
ますから疎外されたなんていう不安はありませんでした。

 思い返せば、私なんか先輩にはお世話になったといういう印象
しか残ってなくて、いつも先輩の優しい胸に抱かれて幼児の様に
甘えていました。

 そんな私にとっては、お姉様が下すお仕置きだって、お姉様に
甘えるための試練と捉えてそれを楽しんでしまうようになるので
した。


 さて、話がそれましたが……
 新入生は自分達が汚したオムツを屋根のある干し場の物干しに
引っ掛けると、やっと自分の部屋に戻ることができます。

 『これで、やっと自由になれる。ゆっくり寝られる』
 そう思ったのは、私だけじゃないと思います。

 ところが新入生は奴隷の身分。この日のお勤めはまだ終わって
いませんでした。

 「……?……」

 部屋に戻った私がまず最初に目にしたのは大きな盥。
 そう、今さっきまでオムツを洗っていたあの盥がいつの間にか
部屋の中央に持ち込まれていたのです。

 『!!!!』
 ホント、嫌な予感がしました。

 本当はすぐにでも逃げ出したいところですがそれもできません。
 さっきオムツを洗濯している時に逃げ出した子がどうなったか、
そんなことが頭をよぎります。

 そのうちに……
 「さあ、もう一度、裸になって……本来はシャワーなんだけど、
今日は特別に私があなたの身体を洗ってあげる……いいでしょう。
お姫様気分よ」

 私に声を掛けたのは、すでにネグリジェ姿になっていた室長の
霧島遥先輩。

 霧島先輩は高等部の二年生。私のような子ども体形とは違い、
すでに胸も豊か。お尻も大きくて、引き締まったウエストが女性
らしさを強調しています。

 小学校を卒業してきたばかりの私から見たら、先輩はもう十分
大人の女性です。
 それに、生徒の身分ではあるのですが、物腰といい、言葉遣い
といい、お姉様を飛び越し、すでにお母様みたいに風格がのあり
ます。

 一方、香山先輩はこの時はまだ私と同じ中等部の三年生です。
ショートカットの髪で日焼けしていましたからボーイシュな感じ
に見えますが、それでも赤ちゃん体形の私に比べればずいぶんと
大人の雰囲気です。

 そんな大人二人に迫られて、何も知らない私は怯えます。

 「えっ!……け……けっこうです」
 恐る恐る答えてはみましたが……

 「ふう」
 霧島先輩はため息を一つつくと、肩まで伸びたストレートヘア
の先端を小さくカールさせながらこちらを見て微笑みました。

 すると、ただそれだけなのですが、先輩の視線には落ち着きが
あって、私は蛇に睨まれた蛙のようにもう何もできませんでした。

 見かねた香山先輩が……
 「ここでは、そうはいかないの。前に教えてあげたでしょう。
ここでは先輩が何かしてあげるとおっしゃったら、それをお断り
する事はできないの。特に新入生は……」

 「はっ、はい……知ってます」
 すでに私の膝小僧が笑っています。

 「もう一度言うわね。学校や寮での新入生は上級生に絶対服従。
だから、上級生の言葉では『してあげる』だけど、実際の意味は
『しなきゃいけない』ってこと……わかった?」

 理沙(香山)先輩の声は穏やかですが、近づいてきた笑みには
凄みがあります。

 もう、こうなったらなされるがまま、哀れな子羊は先輩たちに
身を委ねるしかありませんでした。

 私は直径が一メートル以上もある大きな盥の中心に立ちます。
 そこには盥の深さの半分ほど乳白色のお湯が張ってありました。

 すると、突然、頭の上から……

 「ガラガラガラ」
 何やら変な音が聞こえてきたので天井を見上げますと、二枚の
板が降りてきます。

 『いやあ、危ない』
 思う瞬間しゃがみ込みましたが、それと同時に視界が遮られて
……

 「えっ!」
 誰かにアイマスクを掛けられたのでした。

 「えっ?どうしたの?」
 私は気が動転し、不安になって尋ねますが……

 「大丈夫、怖がらなくていいのよ。ここではあなたの体を洗う
ついでにちょっとした身体検査をするの」
 意味の分からない答えが香山先輩から返って来ます。

 ただ、私の置かれている状況は理解できました。
 目隠しされる前、最後の映像を思い出したのです。

 目隠し前の最後の映像は、大きな滑車や太いロープ……そんな
中をチェーンに吊るされた二枚の板が天井から降りてきたところ
でした。
 でも、工場ならいざしらずここは女の子の部屋です。寝室です。

 『何なのよ、アレ?何であんなものがあるのよ!!』
 こんな不気味な展開に驚かない子はいないと思います。

 でも、驚いている暇もなく先輩たちは次ぎの指示を出しました。
 
 「さあ、立ってちょうだい」
 「……そう、そしたら両手を高く上げて」
 「……そう、手首が首と同じくらい高さに来ればそれでいいわ」
 「……OK、……そしたら、そのまま爪先立ってね……」
 「……そうそう、それでいいわ」

 二人の指示に私は逆らいません。質問もしません。

 もちろんこんな姿勢とらされたらもう十分に異常事態なわけで、
普段の生活でこんなことがあったら、きっと色々と尋ねていたと
思います。悲鳴を上げていたかもしれません。

 でも、今までだって尋常じゃない事ばかり。次から次に起こる
急展開にもう感覚が麻痺していたというか心の余裕がなくなって
いたようでした。

 代わりにこの時、考えていたのは……
 『早く終わりたい』ということだけ。
 『早く眠りにつきたい』とだけ思っていました。

 たてついたところでどうにもならないと悟った私は先輩たちと
のトラブルは時間の無駄、それだけ苦痛が長引くだけだと考える
ようになっていました。

 盥の中で爪先立ちになると、二人の先輩たちは天上から降りて
きた二枚の板に私の首と手首を挟み込みます。

 この二枚の板は枷と呼ばれる身体の自由を奪う呼ばれる器具で、
ここでは見せしめのお仕置きでもよく使われる刑具でした。

 使い方はとても簡単。二枚の板には最初から首と手首の大きさ
にあわせて切れ込みがありますから、二つの板を首と両方の手首
に挟み込めばどんな力自慢の子でも外すのは不可能です。しかも
肌の当たる部分にはフェルトが着いていましたから暴れない限り
痛くも痒くもありません。

 ただ難を言えば、フェルトがチクチクして首の周りが痒くなる
ことぐらいでしょうか。

 最後に、二枚の板を繋ぐ蝶番が掛けられてロック。

 でも、そうなって初めて、私は自分がとても不自由な姿でいる
ことに気づきます。

 もちろん、万歳した状態で首や手首を挟まれてるのはとっても
辛いことですが、踵を盥の底に着けようとすると首がつっかえて
首吊り状態になってしまいますから、枷をかけられている間は、
どうしても爪先立ちの姿勢を維持しなければなりません。それが
ここでは大変でした。

 『何なの、これ?』
 理不尽と言ってこんなに理不尽なお風呂はありませんでした。

 「ちょっと、不自由だけど頑張ってね」
 「こうしないと、暴れる子がいるのよ。ごめんね」

 二人の声は明るくて、目隠しされていても笑っている顔が目に
浮かびます。こちらの不安はそりゃあ半端じゃありませんでした。

 「何するんですか?」
 鼻をすすりながら尋ねると……

 「まず、あなたの身体を綺麗にしてあげて……」
 と、香山先輩。
 その先は霧島先輩が……
 「あとは、あなたの身体検査ね」

 「えっ?……わ、わたし自分で……」
 私が顔を引きつらせながら答えたのですが……

 「身体ぐらい自分で洗えるってことかしら?」

 「ええ、まあ……」

 「もちろん、そんなことわかってるわよ。あなた赤ちゃんじゃ
ないんだもん。でもね、、新入生っていうのは、基本的に自分で
自分の体を勝手に洗えないの」
と、霧島先輩。

 「????」

 続けて香山先輩も……
 「ここでの新入生は、最初は幼児というか赤ちゃんと同じ身分
なの。何をやるにも先輩の許可がいるのよ。登校する時の髪型も
下着もみんな同室の先輩……つまり私たちが決めることなのよ。
おトイレだって勝手には使えないんだから……」

 「えっ?……お……おトイレも……」

 すると、今度は霧島先輩のフォローが入ります。
 「そう言うと何だか窮屈に聞こえるかもしれないけど、慣れる
と何でもないことよ。あなたは我を張らず流れに身を任せてれば
いいだけなんだから」

 「要するに、赤ちゃんになってればいいのよ」
 とは香山先輩の声。

 その投げやりな言い方に、その時はまだ意味が分かりませんで
したが、確かにそうでした。

 「ここでの私たちはあなたのお母さん。でも、見方を変えれば
あなたの方がこの部屋の主人みたいなものなの。……さあ、これ
からまだ身体検査が残ってるし、まずは身体を綺麗にしてあげる
わね」

 その瞬間、さっきの言葉が頭をよぎります。
 『してあげる』は、世間では好意による言葉ですが、ここでは
きっと『命令』なんだろうなあ、と察したのです。ですから……

 「ありがとうございます」
 と、お礼を言ってみると……

 私の心を見透かしたように霧島先輩が……
 「あら、感謝されちゃった。どうやら察してくれたみたいね。
いい傾向だわ。女性にとって相手の気持を察して動くというのは
男性以上に大切な資質の一つよ。あなた、立派なレディになれる
見込みがあるわね。……さあ、始めましょう」

 二人は、穴あきのプラスチックボールに紐の着いた猿轡を私の
口に押し入れると首筋から静かに静かに水をかけて洗い始めます。

 板の上の頭や顔は、水をかけると部屋中にしぶきが掛かるので
枷から上は免除でしたが、時間が経つにつれ首と両手首を挟まれ
万歳して爪先立ちというのは、姿勢を維持するだけでとても苦痛
だったのです。

 「…………」

 もとより、ここは部屋の中。いくら盥の周囲に大きなビニール
が敷かれているとはいっても、よほど慎重にやらないとたちまち
部屋中が水浸しになってしまいますから私もそうならないように
私も協力しなければなりませんでした。

 不思議な緊張感の中、先輩たちは少量の水を少しずつ私の肩に
流しては、そこを両手がなぞります。
 それは洗うというよりクリームを全身に塗りこめている感じで
しょうか。
 くすぐったくて仕方がありませんが、それも我慢するしかあり
ませんでした。

 爪先立ち、首の枷、目隠し、全てをさらけ出しての万歳……
 ストレスは溜まる一方でした。

 やがて……
 二人の手が私の身体のありとあらゆる場所を侵食していきます。

 「あっ……いや……だめ……お願い」
 私は声にならないほどの声で抵抗しますが仕事に没頭している
お姉様二人は無視です。

 「あ~~、いやあ~~、だめ~~」
 オッパイ、お尻のお山はもちろん、お臍の下、さらにその谷間
の奥だって例外ではありませんでした。
 女の子の穴という穴には全てお姉様二人の手に落ちていきます。

 「いやあ~、だめえ~~、そんなことしないで……」
 今度は少し強い調子で訴えますが、やはり聞いてはくれません。

 それって、無数のヘビが体中を這い回っているみたいです。
 お姉様たちの手がほんの少し触れるだけで、こちらは全身鳥肌
です。

 「………………」
 思わずオシッコが漏れそうになって私の方が口をつぐんでしま
います。

 「………………」
 私にできたのは身をよじることだけ。。
 くすぐったさに悲鳴を上げたいくて仕方がありませんでしたが
そんな勇気も湧きませんでした。

 もし、感情に任せて姿勢を崩し、叶わぬまでも暴れたりしたら
……
 その答えがすぐに隣の部屋からやってきます。

 「ピシッ……ピシッ……ピシッ……ピシッ……ピシッ…ピシッ」

 ゴム製の鞭でしょうか、六回ものねっとりした鞭音です。

 「あらあら、お隣さんこのくらいのことも我慢できないのね。
ああいうのは親御さんの躾の問題ね。女の子は親の愛を離れたら
ただ可愛いだけでは生きていけないに親が甘やかすからいけない
んだわ」

 「私も……暴れたら……」
 私はあまりに当たり前なことを尋ねます。
 尋ねたというより独り言だったのかもしれません。

 「もちろんそうよ。ここでいくら泣き叫んでもお父様やお母様
の耳には届かないでしょう。助けはこないわ。だからお仕置きが
大事なの。どう生きたらいいのか、そこいらを幼い頃にちゃんと
したお仕置きをいただいて辛抱や我慢を教そわらないと、あとで
本人がもっともっと苦労することになるわ」
 とは、霧島のお姉様。

 すると、香山お姉様が……
 「でも、安心して。ここでは私たちがあなたのお母様の代わり
なんだけど、私たちは優しいから妹の粗相を何でも鞭で解決した
りしないの。要するにあなたが心を開いて私たちの胸に飛び込み
さえすれば、どんな問題も即刻解決よ。だからくれぐれも言って
おくけど一人で悩んだらダメ。私たちの胸に飛び込む勇気が大事
なの……わかった?」

 「おやおや、ついこの間まで私の膝でお尻を叩かれてた子が、
妹が一人できたと思ったら、随分お姉さん風吹かせてくれるじゃ
ないの」

 「そういうわけじゃあ」

 「ま、いいわ。お互いそれは義務だから、仲良くやりましょう」

 霧島さんが言う義務というのは、新入生の面倒見がよかったか
どうかはお姉様たちの成績に大きく跳ね返るって意味でした。

 ここで行われる新入生への指導は決して美徳ではありません。
学科と同じように評価が着きます。特に、系列大学へ推薦入学を
希望する場合、この評価が大きくものを言うのでした。

 「……西村さん、今日は驚くことばかりあって気が動転してる
から何が何だか分からないと思うけど、私たちはあなたを虐める
ためにここに一緒にいるわけじゃないの。私たちはあなたの味方。
そこは絶対に忘れないでね」

 「そういえば隣りで泣いてる子、洗濯場から脱走した子よね。
秋山先輩(秋山祥子)も大変なじゃじゃ馬を押し付けられて苦労
してるみたいですね」
 香山先輩は隣室の秋山先輩を心配します。

 「……その点、うちの子は優秀だから助かるわ」

 「ほんと、姿勢が微動だにしないんですもの。これは、きっと
ご両親から厳しく躾けられてきた賜物ね。お尻叩きも、お浣腸も、
お灸もなしでこんな子は育たないわ。……探してごらんなさいな、
どこかにきっとお灸や鞭傷の痕があるはずよ」
 霧島のお姉様は自信たっぷりにおっしゃるのです。

 「…………」
 そして、それは香山のお姉様の手でしょうか、私のお尻のお山、
お灸を据えられた場所を細い指がぐるぐると回り始めます。

 「えっ!?」
 私は顔が一瞬にして火照り、すぐに青くなって頭の中は真っ白
でした。

 それは、私にもお灸の痕があって、それを今の今、人様の前に
晒していると気づいたからでした。
 幼い日、両親から受けたお灸のお仕置きは事実ですが、決して
両親から虐待されたなどとは思っていません。自分ではたくさん
の愛情に囲まれていたと思っているのです。
 ただ……

 ならば体罰のようなお仕置きはなかったのかというと、それも
またそうではありませんでした。

 特に家の中では母が私を取り仕切っていて、お仕置きすること
にも何のためらいもありませんでした。

 たまらず、ある時……
 「だって、私、女の子なのよ」
 なんて言ってみたのですが……

 「だから何なの?私で不満ならお父様にお願いしてもいいのよ。
お父様の前でパンツ脱ぐほうがいいの?」
 と、こうです。

 学校で先生に叱られた日は家でも同じ事で叱られますし、学校
で鞭をいただいた日は家でも同じ鞭のおさらいが待っています。

 学期末は通知表の成績によって休暇中の罰が決まっていました
し、ミサの途中で友だちとおしゃべりしていて注意された時など
裸のお尻が真っ赤に染まるほどぶたれて二三日はイスに座ること
さえ困難なほどだったんです。

 お浣腸は便秘の時だけでしたから、それ自体直接的なお仕置き
ではないのかもしれませんが、母はこの時とばかりに、あらゆる
過去の失敗を持ち出してきては、我慢の最中チクチクとイヤミを
言い続けます。

 あげく私がどうにかこの窮地を逃れたいという気持を利用して
『次にまた同じ間違いをしでかしたら前にやったお仕置きの二倍
の鞭を我慢します』なんて約束をさせられたりもするのです。
 親とはいえ生理現象を利用したあまりに卑劣極まりないやり方
でした。

 お灸も、大半は脅かしだけですが、機会をとらえて二三ヶ月に
一回程度なら行われていました。
 今はお灸のお仕置きなんて死語でしょうけど、当時は女の子で
あってもお仕置きに利用している家は私のところだけではないと
思います。

 私はお転婆で、幼い頃から男の子と一緒に遊んでいましたから、
屋根に登ったり、高い木から飛び降りたり、沼で溺れかけた事も
……とにかく危ない遊びもしょっちゅうで、たまりかねた親から
幼稚園や小学校時代に死ぬかと思うようなお灸をすえられた痕跡
が今もまだ残っています。

 「調べてみましょうか?まだ他にもどこかにあるはずよ」
 霧島のお姉様までもが私のお尻を開き始めましたから慌てます。

 『うっ、うそでしょう。何でそんなことされなきゃならないの』
 私にとっては心臓を外に持っていかれるほどの驚きです。

 「ほら、あった。ここにあったわ。これ火傷のあとよね」

 香山お姉様の弾んだ声。
 それを霧島お姉様が私の太股をさらに押し開いて確認します。

 「間違いないわね。これ灸痕といってお灸の痕よ。この大きさ
だと、かなり幼い頃から据えられてたはずよ」

 「やっぱりお灸されてたんだ。それもこんなに大きいやつ……
この子、庶民の出かしら?」
 香山お姉様の甲高い声が私の心を傷つけます。

 「どうしてそうなるのよ?」

 「だってそうでしょう。こんな事されるなんて、きっと無教養
な親に虐待されたからだもん」

 「バカね、違うわよ。庶民の子がこんな辱めを受けて暴れない
はずがないもの。この子は良いところの出よ」

 「ふう~~ん、そうなんだ」

 「同じお金持ちといっても旧家のお嬢様の場合はこんな場所も
お仕置きの対象なの」

 「うそだあ~~」

 「本当よ。こんな場所、未来の旦那様かお医者様ぐらいにしか
見せることがないから、親御さんもここは安心とばかりついつい
据えてしまうのよ」

 「どうして?好きな男の子ができたら、どのみち見られちゃう
じゃないの?」

 「あなた、見せちゃうの?」

 「いやねえ、変なこと言わないで。そういうわけじゃないんだ
けど、マンガのお嬢様はたいていそうなんだもん」

 「まったく、あんたって子は何も知らないのね……それでいて、
何でもマンガで分かった気になってるんだから」

 「そうじゃないの?」

 「そんなわけないでしょう。本物のお嬢様は、お酒もタバコも
口にしないし、大半が結婚式までバージンなの」

「結婚式までバージン?……嘘?そんな天然記念物みたいな子、
今でもいるの?」

 「バカね、マンガはその方が面白いからお嬢様ってみんな不良
みたい描くけど、実際のお嬢様は大半が親のいいなりなんだから」

 「でも結局、旦那様やお医者様にはわかっちゃうんでしょう?」

 「そりゃ、そうだけど……別にそれはそれで傷にはならないの」

 「へえ~~~じゃあ、この子、お嬢様なの?」

 「そうみたいね。私の見るところ、私たちよりグレードの高い
家柄みたいよ」

 『そんな事どうでもいいじゃない。勝手に値踏みしないでよ』
 私の我慢はとうに限界を超えていましたが、どうしようもない
のでこれまで耐えていたのです。本当はこの時点でも発狂したい
くらいでした。
 だって、こんな惨めな辱めを受けたことなんてこれまで一度も
ありませんでしたから、ただただ呆気にとられていたというのが
本当なのかもしれません。

 そんな思いで必死に頑張っているに……さらに……
 「さあ、さあ、お嬢様。アンヨがお疲れでしょうから、これに
足を乗っけてね」

 香山のお姉様が私の右足を勝手に持ち上げて……
 『えっ?……何?……』
 箱らしい物の上にその持ち上げた右足を着地させます。

 つまり、これまでは両足をぴったり閉じたままにできたのです
が今度は右足だけが階段を登る時のように少し高くなるわけです。

 これが何を意味するか、そりゃあ幼い私だって分かります。

 目隠しされて、両手を万歳させられて、枷をはめられ、つま先
立ちで……この上なく不安で、この上なく辛い姿勢で……今度は
とてつもなく恥ずかしい格好させられて……。

 私は今起こっていることが夢であることを願うばかりでした。

 二人はおしゃべりしながらも枷に掴まれた私の首から下の部分
をスポンジを使って丁寧に洗っていきます。

 まだ大きくなり始めたばかりの硬い乳房や乳頭、お臍や脇の下
へそれがやって来ると、反射的に身体をよじって一応逃げようと
試みますが……

 「ダメよ、じっとしてなきゃ。枷が首や手首に擦れて痛いわよ」

 確かにそうでした。ちょっとでも体をねじれば首も手首も板に
擦れてチクチクします。そういった意味でも我慢するしかありま
せんでした。

 「そうそう、良い子ね。我慢は女の美徳なんだから、新入生は
まずこれを覚えなきゃいけないの」

 「つらいかもしれないけど、これはここの生徒がみんな通って
来た道なの。別にあなただけに意地悪してるわけじゃないのよ」

 「そういうこと。私たちだって新入生の初日は同じことされた
んだから。それに、今頃はどこの部屋でもここと同じ事をしてる
はずよ」

 二つのスポンジは、いったん上半身に戻ってから、再び下半身
へと降りてきます。すると……

 「あら、この子、意外におませさんかもよ」
 突然、霧島お姉様の思わせぶった声が……。

 私は嫌な予感がしました。
 というのも、その声が聞こえた時、霧島お姉様の指が私のある
場所に当たっていたからなのです。

 実は、そこにはもう一人の私がいたのです。

 「お姉様、確かにそれって当たってると思いますよ。だって、
そちらに連動して、今、乳首がすぐに勃起しましたから……」
 相変わらず香山お姉様の声が弾んでいるのがショックでした。

 「あら、そうなの。わかったわ。だったら詳しく調査した方が
いいみたいね」
 霧島のお姉様の指が私の最も敏感な場所を撫で回します。
 他人の話ではここには数多くの神経が集まっているんだとか。

 「やめて!!!!」
 私は悲鳴を上げて腰を引きます。

 その拍子に踏み台の上に乗せていた右足が滑って宙ぶらりんに
……。

 「いやっ!!」

 つま先だけがやっと盥の底に着くこの姿勢で苦しんでいる私を
尻目に二人は再び話し始めます。

 「詳しく調査してみないとわからないけど、これだけ感度よく
反応するってことは、ここ最近はじめたわけじゃないと思うわ」

 「幼児オナニー?」

 「多分ね。この子のクリちゃん立派だったもの」

 「そんなに厳しい家なのにオナニーなんかしてたんだ」

 「逆よ。お嬢様ってご両親の躾が厳しい分、ストレスも溜まり
やすくて、誘惑から逃げられなくなるのよ」

 「へえ~~そのはけ口にやっちゃってるんだ。こんな可愛い顔
して……」

 「顔は関係ないでしょう」

 『ヨウジオナニーって?……クリちゃんって?』
 この二人の会話、当時の私には意味がまったくわかりませんで
した。

 いえ、カマトトぶってるんじゃなく本当に知識がなかったの。
 だって、アレは幼い頃に偶然始めたけど、知識なんかなくても
ああしたことはできますから。

 ただ、この上ないほど不自由な姿勢を強いられてる私にとって、
何やらまずい展開になってきた事は幼い肌にも感じるのでした。

*****************************

Appendix

このブログについて

tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

最新記事

カテゴリ

FC2カウンター

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR