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ヤマトでの暮らし<1>

********  ヤマトでの暮らし<1> ********

 (ご注意)女の子がお浣腸とお灸のお仕置きを受けるお話。
 煽情的に書いたつもりはないけど嫌な人は見ないでください。


 <序1>~ブラックホールの調査でベガ星近くにやって来たカーク星人の宇宙船~
 「左舷15.223度、距離20000マイルにsu合金の救命艇。救命信号を発信中です」
 「カーク星のものか?」
 「いえ、そうではありませんが、信号はアンドロメダ系列に準拠しています」
 「生命反応は?」
 「いまだ不明。今、探索中です」
 「船長、救命艇がブラックホールの影響下に入るまであと128秒、本船は180秒
です」
 「船長、救命艇に生命反応があります。…………ん?……ヒューマノイドです。
…………ん?……しかもこれは……PCは地球人の可能性が最大と示しています。
しかも成人ではなく幼体の可能性が65パーセント」
 「どういうことだ、観察地球人の赤ん坊がテリトリーを脱出したというのか。
まあいい。とにかく時間がない。回収しよう。……電磁アンカを打って救出する。
電磁アンカ発射準備」
 「目標物を捕捉。準備完了しました」
 「よし、発射!!!」

 <序2>~カーク星の軍事基地~
 船長が捕獲した救助艇から子供を取り出し、調査した結果を上官に報告に来た。
「乗っていたのは本当に赤ん坊だけか」
 「はい、しかも生後6カ月位とのことです」
 「冷凍装置のデータは?」
 「それがあの船にはそもそも冷凍装置が付いていないのです」
 「冬眠装置がない?どういうことだ。あの子は起きてあの船に乗っていたのか?」
 「そういうことになります」
 「信じられんな。どういうことだ?」
 「しかも、我がテリトリーにはこの子を産む可能性のある遺伝子が存在しない
との報告も受けております」
 「?????ということはあの子は本巣の地球人ということか?」
 「素直に考えてそういうことになるかと……」
 「ますます信じられん。やつらいつからそんな知恵が着いたんだ」
 「いかがいたしましょう」
 「……ん……その赤ん坊、人種は分っているのか?」
 「PCの解析では遺伝子骨格等からみて98%以上日本人かと思われます」
 「わかった、ならばヤマト(星)の長に頼んで引き取ってもらえ」
 「はい、承知しました」



 春山の家に預けられて二年ほど経過したある日の夜だった。防音装置のついた
ベッドで僕は突然、目を覚ます。いつもならたとえ地震が来ても朝までぐっすり
というお気楽な性格の僕がその日はなぜか夜中に起きてしまったのだ。

 自らルーフを開け、外へ出てしまうと、そこには異様な空気が流れているのが
わかった。

 「どういうことかしら?このお家では、突然お鍋の底に穴があいてコンロから
納戸へとそのお鍋が逃げ出すって、ちょっと変じゃないかしら?」
 ママの声が聞こえたのでその声を頼りに廊下をよちよちと歩いてみる。

 「そういうこともあると思うけど……」
 自信なく弱弱しい円華(まどか)お姉ちゃんの声が聞こえる。
 でも、その声はすぐにひと際甲高いママの声にかき消されてしまった。

 「おだまりなさい!!!」
 強烈な声には僕もびっくりだ。
 でも、おかげでママの居場所がわかった。

ママの部屋の襖をそっと開けてみたら三人のお姉ちゃんたちが全員、畳の上に
正座させられているのが見える。僕はまだ三歳で詳しいことは分らなかったが、
子供たちにとって今ある状況がとても怖い状況なのはわかった。

 僕の家はお父さん、お母さん、お兄ちゃんまでが軍隊に所属している軍人さん
一家。普段はとっても優しいけど規則や決まりごとに従わない子がいると厳しく
て、女の子にもお仕置きや体罰が当たり前という世界だ。だから僕のような短い
人生経験しかない子でも、お姉ちゃん達がパンツを脱がされて恥ずかしい場所に
お灸をすえられているところとか裸のお尻が真っ赤になるまで叩かれ続ける様子
なんかをかつて何度も目撃していたのである。

 そこで純粋に怖くなった僕は寝床のある部屋へと帰ろうとしていたのだが……

 「あら、真ちゃん。起きたの?」
 お母さんに見つかってしまった。

 『やばい!』
 僕はとっさにそう思ったが手遅れだった。

 僕はお母さんに捕まり、抱っこされてお姉ちゃんたちが正座しているお部屋の
中へ一緒に入った。
 すると、その瞬間。何だかぷ~~んと匂うものがあるのだ。
 
 そこであたりを見回すと……
 お姉ちゃんたちが正座しているあたりにそれぞれオマルが一つずつ見える。
 しかも、どうやら、どれも役目を終えてそこに置かれているようなのだ。

 石鹸浣腸で出たうんちはたっぷり水分を含んでいるから本来あまり匂わないの
だが、さすがに三人分ともなると僕の鼻でも感じることができた。

 実はお母さん、子供たちに厳しい罰を与える時にはまずこれを行うのが習慣で、
お姉ちゃんたちの運命はこの時すでに決まっているようだった。

 お母さんのお仕置きは有無も言わさぬ『石鹸水によるお浣腸』が最初で、まず
これで機先を制した後、場合によっては『グリセリン浣腸』を追加して我慢させ、
次に『平手や固いゴムのスリッパによるお尻叩き』……さらには尾てい骨の上や
お臍の下の膨らみ、会陰なんて場所にもたっぷりと『お灸』がすえられることに
なる。

 いずれも子供たちにしてみたら拷問というか極刑のたぐいで、お姉ちゃんたち
にしてみたら生きた心地がしないままそこに座っていたに違いなかった。

 もちろん僕だってこのあと何回もお母さんからお仕置きされたけど、この時は
まだ赤ちゃんに近いということもあって、一度もお仕置きを受けた経験がない。
 これはヤマトに限らないだろうが、乳飲み児(ヤマトでは三歳まではそう呼ば
れている)はたとえ何かやらかしてもお仕置きってことにはならずにすんでいた。

 「あっ、ママ」

 母は私を抱き上げると一旦は私の寝床の方へ向かいかける。恐らくこういった
修羅場を幼い子に見せたくなかったのだろう。ところが、何を思ったのか途中で
引き返してしまい、修羅場の待つさっきの部屋へ逆戻りというわけだ。

 それって僕にしたら意外なことに違いないのだが、お姉ちゃんたちにとったら
それはもっともっと意外なことだったに違いないと思う。

 というのも、赤ん坊の前でのお仕置きなんてこれまでママが絶対に避けてきた
ことなのに、今になってなぜ?という思いがあるからだ。
 だから……

 「…………」
 僕がお母さんに抱かれて登場するとお姉ちゃんたちの顔は狐に摘ままれたよう
にあんぐりだった。

 でも、この理由は簡単だった。要するに、ママにとって僕はすでに赤ん坊では
ないと判断されていたようなのだ。
 でもお姉ちゃんたちにしてみたらまさに青天の霹靂。迷惑千万なお話だけど、
今はこんな状況だし、ママに面と向かって弟を連れてくるなとも言いにくい。
 どうやらママはそんなことも見越して僕を修羅場に連れてきたようだったのだ。

 「薫、玉手箱を持ってらっしゃい」
 お母さんはこの時11歳だった薫お姉ちゃんにいきなり御用を言いつける。

 実は、玉手箱というのはいつも救急箱と同じ棚に置かれている柳行李のことで
中にはピストン式の浣腸器やおむつ、お灸をすえるためのお線香、お尻叩き用の
竹製の物差しなどおよそ子供たちにとっては目をそむけたくなるようなしろもの
ばかりがぎっしりと詰まっているのだ。

 薫お姉ちゃんは自分の身体より大きなその柳行李を正座した母の膝小僧の脇に
置くとそうっと蓋を開ける。小さな子供にとってはこれだけでも一仕事だ。
 もちろん、こんなこと子供にやらせずとも母がやれば造作のないことだろうが、
母はこうした仕事をあえて罰を受ける子供たちにやらせて反省を促すようにして
いた。

 この瞬間、覚悟はしていたものの、三人のお姉ちゃんの顔が一様に青くなる。

 「円華(まどか)、薬箱を……」
 お母さんは続けて今年14歳になる長女の円華お姉ちゃんに用を言いつける。
 こちらも決して小さな箱ではないが、長女である円華お姉ちゃんはここにいる
兄弟の中では身体が一番大きいからこれは難なくだ。
 ただ、棚から下ろす時、その身体全体が震えていたのを僕は見逃さなかった。

 こちらにはお浣腸で使うグリセリン溶液やお尻の穴に栓をする脱脂綿、切り艾、
お尻叩きの後にできた傷を治すための軟膏などが入っていた。

 これもやはり母の膝のあたりに置かれて準備はだいたい整ったようだった。

 「こうして集まってもらったのは、お母さん、今日はみんなにお仕置きしよう
と思ったからなの」
 お母さんは三人の娘を前に単刀直入に切り出した。

 「わかってると思うけど、うちは木造住宅なの。火がついたらあっという間に
燃えるのよ。それ、みんなも分ってるわよね」
 母の言葉に神妙に正座していた三人がほんのちょっとだけ顎を引く。本当なら
『はい』という大きな声が期待されるのかもしれないが、三人ともとてもとても
そんな雰囲気ではなかったからこれが精いっぱいなのだ。

 女の子というのは常にこの先の展開を先読みしたがる生き物で、それに合せて
その場その場で対応も変えて活路を見出していく。
 世にいう口八丁手八丁というやつだ。

 ただ、それでも、それがどうにもならないほど絶望的だと悟ると……今度は、
今はまだ何も言わない方がよいと悟って押し黙ったまま時が過ぎるのを待つ戦術
へと変化させる。そのあたり我が前面に出る男の子と違ってとても狡猾だった。

 「……咲子ちゃん……あなた、プリンを自分で作りたいと思うのは立派だけど
……その時、お姉ちゃんたちに断ったかしら?」

 「…………」
 咲子ちゃんお姉ちゃんはおかっぱ頭の首を横に振る。
 三女咲子お姉ちゃんは8歳。三人の姉妹の中では一番年下だったが、それでも
僕から見れば別の世界で生きる人、立派なお姉ちゃんだった。

 「私、あなたには、『ガスコンロの火をつける時は必ず薫か円華お姉ちゃんに
やってもらいなさい』って、普段から口をすっぱくして注意してるわよね。……
それ、守れたの?」

 「…………」
 咲子お姉ちゃんは再び首を横に振る。すると、切り揃えられたおかっぱ頭の髪
の毛が纏のように舞う。

 これ小さな命令違反だが、共働きの春山家は子供たちだけで留守番をする事も
多く、春山家ではかなり重大な約束違反なのだ。

 咲子お姉ちゃまはこの時まだ八歳、春山家のルールでは、ガスコンロの着火は
薫お姉ちゃまか円華お姉ちゃまに任せないといけないことになっていた。

 「あなた、一人でやって、もし火事になっていたらどうするつもりだったの?
お姉ちゃまたちが逃げ遅れたらどうするつもり?このお家が燃えてしまったら、
あなたのお小遣いでは弁償できないのよ」

 お母さんの追求にうつむいたままの咲子お姉ちゃまはこの時すでに涙を流して
いた。

 「お姉ちゃまに断りもなくガスコンロに触ったんだから、これは火遊びという
ことになるわね」

 「えっ…」
 その瞬間、咲子お姉ちゃまの顔が思わず上がったけど、できたのはそれだけ。

 本当は『だって、それはお姉ちゃまたちが喜ぶと思ったからで火遊びじゃない
もの』と言いたかったのだ。
 でも、八歳の少女はお母さんに反論しなかった。

 「薫、あなたもよ。咲子がガスコンロに火をつけたのをあなた知らなかったの
かしら?」

 「えっ!……それは……ご本読んでて……」

 「若草物語ね、それは聞きました。でも、咲子は私が作ったプリンをあなたに
一番に食べさせるんだって張り切って作り始めたそうじゃないの。当然、コンロ
に火を着けなきゃいけないのはわかっていたはずよね。一番近くにいたあなたが
いてどうして焦げ臭いには気づかなかったのかしら?」

 「それは……咲子がはしゃいでるのがうるさくて、ご本をもって自分の部屋に
行っちゃったから……それで……」

 「いいこと、咲子のように幼い子は何かやり始めてもすぐに気持ちが別の事に
移っちゃうの。今度もお鍋をガスコンロにかけたまま自分の部屋へ漫画を読みに
行ったみたいだけど……だからこそお姉ちゃんたちのサポートが必要になるの。
ガスコンロの火はお姉ちゃん二人で必ず確認してちょうだいって、私、あなたに
も口を酸っぱくして何度も何度も注意してるわよね。忘れちゃったのかしら?」

 「…………」
 薫お姉ちゃまもお母さまに反論できなかった。ヘタに反論してお仕置きが増え
たら元も子もない。そう考えるとこれ以上は何か言わない方が得策と考えたよう
なのだ。

 母は普段おとなしいタイプの人だが、いったん怒りだすと手が付けられない。
それは生まれてこの方ずっと彼女と同居している子供たちにとったらみんな百も
承知していることだったのだ。

 「薫さんめそめそしないの。うっとうしいわよ。今さら泣いてごまかさないの。
そして円華さん。もちろんこうした場合、直接的な責任は咲子にあるんだけど、
こうした不始末の責任の一端は、あなたにもあるの。そこのところは分っている
わよね」

 「………………」
 「………………」
 二人は黙ってしまう。
 というのも、二人は母が留守の間はお家の指導責任者として咲子お姉ちゃんや
僕の面倒を見るよう普段からいいつかっていたのだ。このため母の前ではかなり
『ヤバいことになったなあ』と感じていたに違いなかった。

 実は、ヤマトの家庭では大半が共働きなので年長者の兄や姉が妹や弟の面倒を
みている事が多く十代半ばともなればお仕置きの権限も与えられている。ただ、
一たび妹や弟たちが問題を起こせば、兄や姉も監督責任を問われて妹や弟たちと
一緒にお仕置……なんてこともヤマトの家庭では珍しくなかったのだ。

 「ただいま」
 その時、長男の陽翔〈ひかる〉お兄ちゃまの声がした。

 「あっ、陽翔〈ひかる〉グッドタイミングよ。この子、お願いね」
 お母さんは開いた襖の方を振り返ると、早速の笑顔で、間髪を入れず、そこに
立っていた陽翔お兄ちゃんに僕を差し出したのである。

 陽翔お兄ちゃんは専門学校を出た21歳。お姉ちゃんたちとは違いすでに学校
を出て空軍で働いている。
 空軍といってもパイロットではなく今は整備工だけど、立派な軍服を着ていて
一日一回は優しく抱いてくれるから僕にとってもお気に入りのお兄ちゃんなのだ。

 その胸で語られるのは大空のこと、宇宙のこと。お母さんとは違うお話に僕は
いつもうっとりと聞き惚れていた。
 両親共に将来は父の跡を継ぐパイロットになるものだと期待しているみたいだ
けどそれは僕も同じだったんだ。

 と、そんなこんなで僕はご満悦だけど、お兄ちゃんの胸の中から眺める下界は、
なんだか騒々しい事になっていた。

 「円華、この子を見てて」
 僕という小荷物が離れて身軽になったお母さんはすぐに新しい小包に手をかけ
三女の咲子お姉ちゃんを長女の円華お姉ちゃまにを引き渡します。

 細々とした説明はしませんが、これには、『これから咲子をお仕置きするから
この子の身体を押さえててちょうだい』というメッセージが込められていました。

 私もやがてそうなるのですが、子供というのは長年母と顔を突き合わせている
とその表情や物腰でこの先の展開が簡単に読めてしまうもの。

 『お母さん、きっと私たちをお仕置きしたいんだろうな。でももし反論なんか
したら、さらに最悪の事態(お父さんからの超恥ずかしいお仕置き)にだってなり
かねない』
 こんな時三人の娘たちにとってバラ色の未来なんて見えません。今はただただ
我慢しかありませんでした。

 「…………」
 実際、円華お姉ちゃんに抱かれている咲子お姉ちゃんはすでに涙目になってる
し鼻をすすっています。姉妹の中で人生経験が一番少ない咲子お姉ちゃんにして
そこは了解しているようでした。

 とはいえ、お母さんが艾を丸め始めると、さすがにもう平静を装っていること
はできないみたいで……
 「だめ、お灸嫌!」
 思わず、声が出ます。

 「仕方がないでしょう、あなたがママとの約束を破ったんですもの」
 お母さんの冷静な声が幼い子をかえって怖がらせます。

 「もうしません。もう絶対にしませんから」
 かすれ声の咲子お姉ちゃまは最後の抵抗。でも、お母さんはあくまで冷静です。

 「もちろん、こんなことが二度とあっては困るけど、そうならないためには、
これがどんなに悪いことだったかをようくその身体に覚えておいてもらわないと
私も困るの。火事になってみんなの住む家がなくなってからでは遅いでしょう」

 「…………」
 口を真一文字に結んで歯を食いしばってる咲子お姉ちゃんに、お母さんは畳み
かけます。
 「……どうなの?咲子!そうじゃなくて?!」

 「…………」
 お母さんに凄まれるとまだ幼い咲子お姉ちゃまは声がでなくなるみたいでした。

 そんな咲子お姉ちゃまにお母さんは容赦ありませんでした。
 「円華、浣腸するからその子のパンツを脱がして膝の上であんよを万歳させて
頂戴」

 「あっ、いやあ!だめ!だめ!だめ!だめ!」
 突然、咲子お姉ちゃんは円華お姉ちゃんの膝の上で暴れ始めますが……。
 でも、その必死の抵抗がお母さんに伝わることはありませんでした。

 「ほら、静かにしなさい!」
 咲子お姉ちゃんを叱る声。

 お母さんの要求は円華お姉ちゃまにとっても大変だったみたいで、いくら相手
が幼児で自分は中学生といっても、大人に比べれば正座したその膝の上は狭いで
すし、腕力だって大人にはかないません。

 「円華、早くなさい!」
 円華お姉ちゃんにもお母さんからの叱咤激励が……

 「いやあ、お姉ちゃん、やめてえ~~~」

 妹の必死のお願いを聞きながらも、もしも、やりおうせなければ今度は自分の
お仕置きが増えかねません。円華お姉ちゃんにしてもそこは必死だったのです。

 「いやあ、やめてえ~~」
 咲子お姉ちゃんはさらに暴れますが、結局のところ力の差は如何ともしがたく、
円華お姉ちゃんのお膝の上でパンツが剥ぎ取られると身体が二つ折りにされ両足
が万歳の状態に。

 短いスカートが腰のあたりまでまくり上がって、スカスカのお股の中はみんな
みんなから丸見えになってしまいます。

 「ごめんなさい、もうしません。もう絶対しませんから~~」
 咲子お姉ちゃんはさっきから叫びっぱなしです。

 「何でもします、ごめんなさいします。お皿洗い手伝います。だからいや」
 咲子お姉ちゃんのお顔は真っ赤。引き裂かれたお股のはうんちの出てくる穴も
将来は赤ちゃんが出てくる予定の穴も、はっきりみんなに見られています。

 もちろんこんな恰好、恥ずかしいってこともあるでしょうが、でもそれ以上に
お線香を立て、艾を丸めて小さな塊を作っていることが、今、大問題でした。

 これがこの先どんなことになるか、咲子お姉ちゃんだけじゃありません。他の
お姉ちゃんたちだってこぞってその悲劇は体験済み。それぞれの身体でよ~~く
知っています。

 「お灸しないで……やめて、ごめんなさい。いい子にしてますから~~」
 咲子お姉ちゃんの声はすでに枯れています。
 それはまだお灸の経験のない僕にとっても可哀そうな出来事でした。

 お灸のお仕置きは地球ではすでにすたれてしまっていますが、ここヤマトでは
いまだ現役のお仕置きです。むしろお嫁に行く時は『私は実家でこんなにちゃん
と躾けられてきました』という証明書代わりになるところがあって、この星では
女の子にお灸のお仕置きをしない家の方がむしろ稀だったのです。

 もちろん春山家にあっても事情は同じで、二人のお姉ちゃんもこれは経験済み。
8歳の咲子お姉ちゃんにはまだ経験がありませんが、それでもお姉ちゃんたちの
様子は何度も見ていますから恐怖心はMAXでした。

 「いいこと、咲子。これはあなたが蒔いた種ですからね。他の人のせいには、
できないのよ。自分で刈り取らなくちゃいけないの。わかってるわね。しっかり
我慢するの。いいわね!」

 「あああああああ」
 お母さんの最後通牒とともに咲子お姉ちゃんの大声はやみます。
 もうこれ以上ママを困らすとどうなるか、わずか八歳でもそこは骨身にしみて
分っていました。

 ヤマトの子供たちはお灸に限らずどんなお仕置きでも騒いだり暴れたりしては
いけない事になっていたのです。

 「…………」
 艾とお線香を手にしたお母さんは咲子お姉ちゃんのお尻にににじり寄ると……
その可愛らしい肛門と小さなヴァギナの間にある狭いエリアに艾を乗せます。

 「××××××」
 その瞬間、円華お姉ちゃんが咲子お姉ちゃんの両目を覆ってしまいます。
すると……

 「いやあ~~~~~」
 恐怖にかられた咲子お姉ちゃまのものすごい声が部屋中に木霊します。

 でも、……次の瞬間、

 「はあ、はあ、はあ、はあ」
 その荒い息とは対照的に部屋全体の空気は和んでいました。

 というのも、お母さんがこの瞬間にやったのは、艾に火をつけたのではなく、
爪楊枝でその部分をひっかいただけでしたから。

 自分のことではないとはいえ二人のお姉ちゃんたちの顔に安堵の表情が浮かび
ます。そのほっとした空気は抱かれている僕にも伝わるほどでした。

 「さあ、もあういいわよ」
 お母さんの指示と共に円華お姉ちゃんの戒めが解かれます。

 すると、膝の上から畳の上にお尻をついた咲子お姉ちゃんが、真っ先に自分の
股間に手をやって確かめます。
 その姿がおかしかったのか薫お姉ちゃんだけが独り笑っていました。

 ただそうやって笑っている薫お姉ちゃん、今度は自分の番だということをどう
やら忘れていたみたいでした。

 「薫、次はあなたよ」
 だから、お母さんにこう言われると顔が青くなります。

 「えっ、私も?」

 「何を言ってるの。そりゃそうよ。あなたには咲子が危ないことをしないよう
注意しておいてねって言いつけておいたでしょう。わすれたの?」

 「それは……円華お姉ちゃんが……」

 「円華お姉ちゃんって?……私はあなたにもはっきり頼んでいたはずよ。もう
忘れたの?!」

 「そ……それは……」
 薫お姉ちゃま、どうも歯切れが悪かった。
 しかも……

 「それと、昨日、算数のテストが返ってきてるはずだけど……あなた、あれは
どうしたのかしら?」
 お母さんは、突然、この場面には関係のないことを持ち出す。
 でも、これ、お母さんにとっては珍しいことではなかった。

 何かを叱るついでにあの時はああだったこうだったと言い出すのだ。きっと、
これが女の性ってやつなのかなあ。僕もその後そういうことが何度もあって閉口
した。

 「えっ、…………」
 虚を突かれた薫お姉ちゃんは目を白黒。その声を聞いたとたん、絶句して目が
泳いでた。

 「今日、担任の先生からお電話があって『昨日、お返しした算数のテストの件
で学校へ来て欲しい』ということだったけど……実は私、そのテストをまだ見て
ないのよね……どうなってるのかしら?」

 ぎょろっと睨まれて、薫お姉ちゃまの顔が真っ青になったのを覚えている。

 うちは女の子に学校での成績をうるさく言う方ではないんだけど、それでも、
一定の点数は取らなきゃいけないし返されたテストはその日のうちにお母さんに
見せなければならないことが一応ルールとして決まっていたのだ。

 で、この約束違反は、当然、お仕置きという流れになっていく。

 「薫、このテストはどうなったの!」

 どすの効いたお母さんの声に……
 「…………」
 お姉ちゃんは身をすくませてだんまり。

 でも、ずっとそのままというわけにはいかない。

 「あるんでしょう!!ここへ出しなさい!!」
 兄弟みんなそうだけどお母さんに睨まれるとそれだけで体が浮き上がった気が
するから不思議だ。

 「は……はい」
 蚊の鳴くような声を残して薫お姉ちゃんは席を立つ。
 どうやら、物(ぶつ)は自分の部屋のどこかに隠してあるらしかった。

 やむを得ない仕儀となり薫お姉ちゃんは自分の部屋へと戻ったわけが、問題は
これにとどまらなかった。
 薫お姉ちゃまがいなくなった部屋で……

 「ところで、円華。あなた、このところ薫のお勉強みてやってるみたいだけど
……それ、うまくいってるのかしら!?」

 「えっ?……まあ……」
 突然、お母さんに振られた円華お姉ちゃま。こちらも心臓をわしづかみされた
みたいで顔が真っ青だ。

 「そうなの?……」
 お母さんの目ときたらまるで青大将が獲物のカエルを飲み込む時のような陰険
そのものの目だ。

 ヤマトでは親にこんな目をされてすくまない子供なんて誰もいない。
 ごく幼い時から親や教師にこの目で睨まれ、もし嘘をついていると判断される
と、問答無用でお尻を叩かれてきたからだ。
 もちろん、そうした親や教師の判断が事実と異なる事なんて滅多になかった。

 「あなた、最近、薫の宿題を手伝ってるでしょう?」

 「えっ!……まあ……」
 歯切れの悪そうな円華お姉ちゃまの答え。

 「私、最近のあの子の宿題、チェックしてるけど、よくできて一つも間違いが
ないから『わあ、あの子も頑張ってるなあ。円華が熱心にやってくれてるのね』
って安心してたのよ。……ところが、それにしては肝心のテストが落第点ばかり
……これって……どういうことかしら?」
 お母さんは事実をすでに知ってて真綿で円華お姉ちゃんの首を締め続けます。

 「どういうって……」

 「つまりあなたの場合は、薫を手伝ってるというより薫に弱みを握られた結果、
脅されてやらされてるんじゃないのかって思ったの……違う?」

 「脅されてって…………」
 円華お姉ちゃまは否定したかったようですが、すでにネタは上がっていたよう
でしたからどうしようもありません。

 「違う?」
 お母さんに強く念押しされると……

 「…………」

 「やっぱり図星みたいね。……ああいうことは、ドアに鍵をかけてやらないと
……あなたも大胆というか不用心ね」

 お母さんの『ああいうこと』という意味が当時の僕に分ろうはずもありません。
ただ、円華お姉ちゃんがまずい立場に追い込まれているのは、幼い僕でもすぐに
わかります。

 そんな気まずい雰囲気の中にあって、薫お姉ちゃまが部屋へと戻ってきます。

 「ほう35点に45点か……なるほど、これはまたずいぶんと派手なお点ね。
とても日頃から宿題を完璧に仕上げてくる子が取るお点じゃないわね」

 「…………」

 「あなた、このテストの時、体調が悪かったかしらね」
 お母さんは素知らぬ顔で尋ねます。

 もちろんこんなのひっかけに決まってますが、でも藁にもすがりたい気持ちの
子供たちにとっては効果があるみたいで……

 「えっ?…………それは…………すこし、風邪気味で……」
 薫お姉ちゃまは申し訳なさそうに答えたけど……返ってきたのは……

 「嘘おっしゃい!!!!!」
 って、この時は僕でも驚くものすごい雷だった。

 「…………」
 僕がお兄ちゃんの胸に顔を隠してしまうくらいだから、当然、薫お姉ちゃんも
円華お姉ちゃんも肩をすぼめて固まってしまっている。

 「私ね、あなたが宿題のドリルをやりながらこっそりTVアニメを見ていたの
は知ってたの……だけど、その時はまさか円華姉ちゃんにやってもらった答えを
丸写していただけなんて知らなかったから『へえ、算数がずいぶん上達したのね』
なんて思ってしまったけど、このテストの出来を見る限りことの真相はどうやら
そういう事じゃなかったみたいね」

 「…………」

 「仕方がないわね、宿題は円華に頼めても、まさかテストの教室にお姉ちゃん
を連れて行けないもの」

 「…………」

 「まったく、どんなネタで円華お姉ちゃんを脅していたか知りませんけど……
実の姉を脅して自分の宿題をやらせていたなんて、あなたも相当な悪党ね」
 お母さんは震えあがる薫お姉ちゃまの顔ににじり寄ります。

 「……あなた、そんなにあのアニメが見たかったのかしら?」

 「…………」
 薫お姉ちゃんは申し訳なさそうに小さく頷きます。

 「こんなことしてもテストをやれば結局はバレるって分らなかったの?」

 「…………」
 薫お姉ちゃんは黙ったまま。というか、お母さんにどう言っていいのかわから
ないまま呆然って感じだった。

 「あなたがそんなにそのアニメを見たいのなら見せてあげてもいいわよ。その
代わり、そのTVは孤児院で見なさい。私はあなたのような子と一緒に暮らす気
はありませんから!!!」
 きつい最後通牒です。

 すると……
 「いや、そんなの嫌」

 今度はとっさに薫お姉ちゃまが身を乗り出します。
 そりゃあ色々と厳しい家なんだけど、兄弟みんなここで生まれてずっと暮らし
続けていますからね、僕だってそんなこと絶対に嫌でした。

 「そう、嫌なの?……でも、もしそうだったら、今日はここでお仕置きを受け
なければならないけど、その方がいいのかしら?」
 こういう場合、大きな子なら家出っていう選択肢があるかもしれませんけど、
薫お姉ちゃんくらいの女の子にそんな選択の余地はありませんでした。

 「はい」
 結局、小さな声で承諾します。薫お姉ちゃまに限らず女の子みんなそうですが、
まだ寄る辺なき身の上ですから仕方がありませんでした。

 「(ふん)」
 お母さんは鼻息を一つ。これって勝利宣言だったみたいです。

 「円華、今からこの子にお浣腸しますから、準備して頂戴」
 お母さんは厳しい調子で円華お姉ちゃんに薫お姉ちゃんのお仕置きを命じた後、
それまではほったらかしだった僕を気遣うように頭を撫で始めます。
 そして、大人しくしているのを確認すると笑顔を一つ投げかけただけでしたが
その顔はどうやらご機嫌の様子でした。

 そんなお母さんの背中で声がします。
 「いや、だめ、お浣腸はしないで!私、もう11なのよ。恥ずかしいでしょ」

 薫お姉ちゃんは電気ショックでも受けたかのようにお母さんの息が掛かる所に
まで詰め寄ったんだけど、振り返ったお母さんの顔は冷静そのものという感じで
……。

 「何言ってるの。小学生の小娘が恥ずかしいなんて生意気言うんじゃありません。
そんなのは大人の身体になったら言うの。いったいあなたのどこが大人なの?」

 「…………」
 お母さんにそう言われて、薫お姉ちゃんは前かがみになって迫っていた身体を
思わずのけぞらせます。

 「どうしたの?胸はツルペタ、腰は縊れてないしお尻も小さいまま。お臍の下
にだって何もはえてないじゃないの。これのどこが大人なの?」
 表現がダイレクトなのは同性からかもしれません。

 「そんなこと言ったって……恥ずかしいから」

 トーンダウンした声をお母さんは拾います。

 「何もそもそも言ってるの!もし、あなたにどこか大人らしい処があったら、
ここで裸になって私に説明して頂戴」

 「そんな……(私に初潮があったの知ってるくせに!)」
 薫お姉ちゃまは不満そうな顔をしましたが声はでません。
 このケンカは容易に買えません。これ以上やりあってみても自分の方が恥ずか
しい思いをするだけですから仕方がありませんでした。

 ヤマトは地球とは異なります。ここでは14歳未満は一律に子供扱い。たとえ
胸が膨らみ初潮があったとしても、だからといって、それだけで大人とは認めて
もらえないのです。

 「私にしてみたらあなたはまだ赤ちゃんと同じなの。もし赤ちゃんが便秘なら、
お浣腸するでしょう。たとえ穿かせたおむつにべっとりとうんちが付いていても
綺麗にしてあげるわよ」

 「そんなこと……だって、私はもう赤ちゃんじゃないし……汚いから……」

 「そうなの?私の方はあなたのものなら何でもないことだわ。だって、身体は
大きくなったけど十年前までは実際に私があなたのおむつを取り換えていたんだ
もの……遠慮しなくていいのよ……」
 お母さんの言葉は丁寧ですが、鼻息は荒く、上から目線で薫お姉ちゃまの事を
覗き込みます。

 「…………」
 それを聞いた薫お姉ちゃまはすでに涙目だったけど、どうすることもできませ
んでした。

 ヤマトでは14歳になり『女子適性試験』を受けて合格するまでは全員が幼女。
そんな幼女のうちは、親がお仕置きとして娘を裸にすることもお浣腸することも
ごく自然な行いとされ、躾や懲罰、お仕置きとして親や教師から裸にされた時は
大事な部分を隠すことさえ許されていませんでした。

 「今日はあなたがこれまでやってきた悪い行いを全て洗い流すために二度目の
お浣腸をします」
 お母さんは薫お姉ちゃんに向かって高らかにお仕置きを宣言。

 「…………」
 お姉ちゃまは何か言いたそうな顔ですが、それを制するように……

 「はい、わかったら一分以内にお洋服を全部脱いで頂戴……」
 お母さんの強権的な指示が飛びます。

 「えっ?!」
 薫お姉ちゃまは驚き、そして慌てます。

 「えっ、じゃないでしょう!お仕置きのお約束。下着ももちろん全部よ」

 仮に一分以内に服が脱げなかったらどうなるか。
 相手は幼児ですから、そんな事があっても珍しくはありませんけど……。

 「いやあ、いやあ、だめ、だめ、ごめんなさい」
 薫お姉さまはうろたえながらも必死で服を脱ぎます。
 これって薫お姉さまには悪いけどはた目にはとってもコミカルでした。

 実は、こんな時、もたもたしているとお母さんが手伝ってくれるのです。
 ただ手伝ってはくれますが、その後、熱い蝋燭の雫を垂らされて全身くまなく
洗い清められることになりますから、幼児は何をおいても必死に脱ぐしかありま
せん。

 もし、それでも抵抗するようなら、さらに恥ずかしい場所、会陰やお臍の中、
恥丘やお尻のお山を割って尾てい骨の上といった服を着ていれば隠れそうな場所
にお灸がすえられることになりますから大変です。
 しかもその瞬間って、たいていパニックになっていますから、お母さまに命じ
られると、もかくも脱ぐしかありませんでした。

 「いやあ~~、待って!待って!」
 薫お姉ちゃんは家じゅうが揺れる程の大声を上げながら必死に今着ている全て
の服をこの場で脱ぎ続けます。
 ヤマトの子供たちにすればそれ以外の選択肢はありませんでした。

 お母さんから『一分以内』という言葉がでた途端、恥ずかしいなんて言ってる
暇さえなかったのです。

 「……できました」
 震えかえる薫お姉ちゃま。もちろんそれは寒いからという事ではありません。

 「ほら、麗々しく胸なんて隠さないの」
 お母さんは手荒く胸を隠す右手を払いのけます。
 「何、隠す必要があるの!ほら、まだ赤ちゃんの時代と何も変わってやしない
じゃないの」
 こうなると、もう情けは無用です。
 
  「ほら、左手ものけて!……ほら、まだ隠すようなことをする!……あなた、
まだ何も始まってないでしょう。本当に恥ずかしがり屋さんなんだから」

 嫌も応もない対応。
 今、ここにいるのは大半が女性。男性は兄貴と僕だけなんですが、その視線が
気にならないと言ったら嘘になります。11才だって恥ずかしいことに変わりは
ありませんでした。

 だけど、薫お姉ちゃま、こうなったらもう恥も外聞もありません。
 お母さんの目の前に裸で正座して頭を下げます。

 「お仕置きをお願いします」

 「そう、お願いされたのならやってあげなきゃいけないでしょうね。そうね、
あなたにはこれからお浣腸を15分間だけ我慢してもらいます」

 「えっ!」

 「何が『えっ!』よ。アニメ見たさに姉ちゃんを脅して宿題をやらせるような
破廉恥な子にはぴったりのお仕置きよ。何より、あなたのようにやりたいことが
あってもそれを我慢することができない子には『我慢』ということをまず最初に
教えなきゃいけないわ。アニメより宿題。これは家でも学校でも変わらない常識
なの。わかる?」

 「そんなあ~~」

 「何がそんなあ~よ。それに、姉ちゃんにどんな弱みがあるかしれらないけど、
それをネタに自分の宿題をやらすなんて、破廉恥すぎてご近所でも聞いたことが
ないくらいよ。開いた口が塞がらないってやつね。……そんな腹黒い子のお腹は
まず綺麗にしてあげなくちゃ。それにはお浣腸でお掃除するのが一番よ」

 「…………」

 「何なのその不満そうな顔は?……嫌ならここを出て行っていいのよ。孤児院
ででも暮らすといいわ」
 お母さんからいつもの最終兵器が飛び出します。

 「…………」
 これ、薫お姉ちゃまでなくても『はいそうですか』とは言えませんよね。

 「さあ、それが嫌ならここに仰向けに寝て両方の足を高く上げるの」

 「えっ……四つん這いでいいでしょう。だってそれだと全部見えちゃうから」

 「全部見えちゃう?甘えるんじゃないわよ!!何が見えるって言うの!?」

 「…………」

 「隠すものなんて何もないくせに……」

 「だって、お兄ちゃんがいるから……」

 「いいじゃないの。陽翔さんはあなたの実のお兄さんでしょう」

 「だから嫌なの!」

 「どうして?……それ以外、周りはみんな女の子なのよ。…どうなの!あまり
お母さんをてこずらせると、お灸の量を増やすわよ」

 「えっ、お灸も……」
 薫おねちゃんは絶句します。

 「当たり前でしょう。私があんなに咲子の様子を見といてねって頼んだのに、
自分はさっさと二階に上がって行っちゃって……」

 「あれは……お姉ちゃんがいたから……」

 「何言ってるの。私、あなたにも頼んだでしょう。お姉ちゃんお姉ちゃんって
何でもお姉ちゃんに頼るんじゃありません!!今回はお鍋に穴が空いただけじゃ
なくて火事になりかけたんだもの。その分のお仕置きも追加して当然じゃなくて
……」
 お母さんの鼻息は荒い。

 「ごめんなさい」
 薫お姉ちゃんは諦めて小さくつぶやくけど……。

 薫お姉ちゃんとしてはこれ以上は手が付けられなかったということなんだろう。
こんな時、ヤマトの子供はひたすら静かにしているしか方法がなかった。もし、
これ以上お母さんの機嫌を損ねたらどうなるか……我家の絶対君主は次にどんな
罰を追加してしてくるか……

 「…………」
 想像すらしたくなかったに違いない。

 一方、お母さんはというと、現実を受け入れるしかない薫お姉ちゃんが黙って
うつむいている間に着々とお仕置きの準備を進めていきます。

 「さあ、さっさと済ませないと風邪をひくわ。まずはお浣腸からよ。……さあ、
このお布団に寝て頂戴」
 お母さんのすぐ脇には古びた小さめのお布団が敷いてあり、これを叩きながら
薫お姉ちゃんをせかせます。

 この他にもガラス製のピストン式浣腸器やグリセリンの入ったこげ茶色の薬瓶。
バスタオルやシッカロール、大き目の紙おむつも予備も含めて五枚ほどあります。
 準備はすでにしっかりと整っていました。

 「…………」
 声が出ない薫お姉ちゃま。動きだって機敏なわけがありません。
 女の子にとってこんな辛い儀式はありませんでした。

 しかもそれだけではありません。
 「……(お灸!)……」
 これを見れば薫お姉ちゃんでなくとも顔色が変わるのは仕方がないでしょう。

 声は出しませんでしたが、ショックはこちらの方が大きかったかもしれません。
 お母さんが正座する腰のあたりには艾をいれた袋やお線香の箱、お線香立てが
ちらちら見え隠れしています。
 もちろん、お浣腸は辱めの恐怖でしたが、お灸はその強烈な熱さが時を超えて
脳裏に刻印される恐怖のお仕置きです。

 やられた経験のある子なら誰だってそうなるんじゃないかと思いますが、見た
だけで全身の毛穴が開き鳥肌が立ちます。呼吸が浅く早くなり、『夢よね、絶対
夢よね』うわ言のようにつぶやいてはその場に居たたまれなくなります。

 薫お姉ちゃまは、たとえ素っ裸でもこの場から逃げ出したかったに違いありま
せんでした。

 お浣腸とお灸。こんなに厳しい体罰は本家の地球上でならSMと呼ばれている
のかもしれませんが、ここヤマト星ではいまだに子供を懲戒するためのお仕置き
です。

 そうたびたび行われるものではありませんでしたが、たとえ幼稚園児でもこの
程度のお仕置きはこの星ではありなのです。しかも、一罰百戒ということなんで
しょうか、これが行われる時には家にいる姉妹全員がこの厳しいお仕置きを見学
させられるのが通例だったのでした。

 「さあ、ここに仰向けに寝て、両足を高く上げるの」
 お母さんは小さな古いお布団を叩きます。

 「…………」
 当然ですが、薫お姉ちゃんは生きた心地がしなかったと思います。

 ごく幼い頃『ごめんなさい』といってお母さんの胸に抱き着いたら、奇跡的に
許してくれたこもがあったのでほんの一瞬試してみようかとも思ったみたいです
が、この歳になるとそれも恥ずかしくてできなかったみたいです。

 「さあ、早くなさい。風邪ひくわよ」
 お母さんはこんな時とても冷静です。でも、そうした目は子供たちから見ると
とても冷たく映っていました。

 「……はい……」
 薫お姉ちゃん、遅ればせながらボソッと返事をして……あとはやるしかありま
せんでした。

 「………………」
 想像してみてください。素っ裸の女の子が仰向けに寝て、両足を高く上げると
どうなるか。

 「…………」
 女の子にとっては恥ずかしい処が全てが丸見えになりますよね。
 しかもお母さんはさらにその両足を思いっきり開かせますから、心がどっかへ
飛んで行ってしまいそうなくらいショックです。

 「……(~~~~)……」
 今の薫お姉ちゃんは下唇を噛んで声を出さないでいるのがやっとでした。もし、
悲鳴を上げれば、お母さんがさらに逆上するのはみえてますから必死に辛抱する
しかありません。

 僕を除けばここには女の子ばかり。とはいえこんな姿、誰だって恥ずかしいに
決まってますから自然に涙が溢れます。でも、お母さんに容赦ありませんでした。
 『女の子のお仕置きは、ぶったり叩いたりより辱めの方が効果がある』という
のがヤマト人の持論でしたから、三人姉妹もが年に数回はこの姿勢になることが
あるのでした。

 そしてその効果をさらに高めるために……
 「これから準備にとりかかりますからね、その姿勢を崩しちゃだめよ」
 お母さんは何かと準備があるからと理由をつけて、この姿勢を10分はキープ
させます。

 その間には……

 「お灸はどこにすえようかしらねえ……」
 お線香に火をつけてお尻やお臍の辺りをうろうろ。お灸をすえる時の予行演習
をしてみたり……

 「こうしたところは黴菌が着いたら大変だもの。消毒がも必要ね」
 アルコールを湿らした脱脂綿で大事な場所を拭ったりなんてこともします。

 お母さんは子供たちがお仕置きの緊張感を持ち続けられるように演出する事も
忘れませんでした。

 全てが整うと……
 「あなたたちはこんな恥ずかしい姿勢を取りたくないわよね」

 「…………」
 他の子が僅かに頷くと……

 「よかったわ。……だったら、お母さんの言いつけはちゃんと守りましょうね。
……いいですね!」
 お母さんは薄笑いを浮かべます。こういうのを為政者の貫禄というのでしょう
か、お母さんの言葉は柔らかですが、お部屋の中はとてつもない緊張に包まれて
います。

 このようにお母さんが主導する我が家のお仕置きで、もし、そこに女の子しか
いない場合はお仕置き開始前にあえてお仕置きを受けない子にも罰を受ける子の
恥ずかしい姿を強調して見せるというのが我が家のやり方のようでした。

 「……あっ、イヤッ……」
 たっぷりとグリセリンを吸い上げたガラスの浣腸器が薫お姉さまのお尻の穴に
触れると、もう瞬間反射的に声が出ます。

 その薫お姉さまの声って本当に小さなものなんですが、こんな時のお母さんの
耳は信じられないほどの高い性能を発揮します。

 「何がイヤなの。あなたのお尻の穴を触ってる私の方がよっぽどイヤよ。……
ほら!!お尻の穴を緩めて……さあ、嫌がってたらお浣腸できないでしょう」

 お母さんの叱責に薫お姉ちゃんは努力しているようでしたが、理性はお尻の穴
を開けようと命じていても、少女の本来の本能がいうことをきいてくれません。

 「しょうがないわね」
 お母さんはそう言った瞬間、薫お姉ちゃまのある場所をさっと撫でます。

 「……あっ!……」
 するとその一瞬、悩ましい声と共にお姉ちゃまのお尻の筋肉が緩んで、入口で
待っていたガラス管の先が身体の中に分け入ります。

 「まったく、初めてじゃあるまいに世話をかけて……そんな聞き分けのない子
にはお尻の穴と赤ちゃんが出てくる穴の中間あたりにお灸という印をつけるのも
手だわね」

 「!!!!!」
 お母さんの言葉は薫お姉ちゃんをさらに強く震撼させます。
 思わず反射的に起き上がろうとしましたが、すんでの所で思いとどまります。

 『あんな恥ずかしい所にまたお灸をすえられたら私どうなるのよ!!』
 今度は反射的な恐怖に、どうやら理性の方が勝ったようでした。

 「さあ、お尻の力を抜くの。いつも言ってるでしょう。我が家ではお母さんの
お仕置きを受けることがみんなに愛される条件だって。それは分っているわよね」

 「………」

 「いいのよ、私にやられるのが嫌いならそれはそれで…こんなのはお父様でも
できるんだから……その方がいいの?」

 「…………」
 薫お姉ちゃまは激しく首を振ります。それはとんでもない提案でした。

 「だったら我が儘は言わないの。あなたを守ってくださる神様にもお父様にも
お兄様にも兄弟たちも……もちろん私に対しても、すべての人を信じて受け入れ
なければ女の子の幸せは訪れないわ。……そういうこと、わかってるわよね」

 「はい、ごめんなさい」
 薫お姉ちゃまは鼻声で答えます。

 この瞬間、薫お姉さまのお尻の門が緩んだみたいでした。
 するとすかさずガラスの先端が押し入ってきます。
 そして、ガラスの中のお薬がお姉さまの体の内側へ……
 
 「……(ああああああ)……」
 思わず切ない吐息と涙が共に身体の外に吹き出します。
 お尻の中が満たされていく何とも言えない不快感。これはやられたことのない
人には分らない屈辱感です。

 さて……
 ヤマトの日本人たちは元をたどれば日本で生活していた人たちをカーク星人が
拉致して連れてきた人たちでしたから地球に住む日本人とは血筋こそ同じですが
時間の経過とともに生活習慣は大きく異なってしまっていました。

 ヤマトで女性の自立があまり声高に叫ばれないのも、お灸のお仕置きが習慣と
して残っているのも彼らの日常生活をあまり変化させたくないカーク人が監視と
援助を続けてなるべくそれまでと同じ生活スタイルを維持させたからなんです。

 江戸時代に拉致されてきた人たち、明治時代に拉致された人たち、そうした人
たちの発言権が未だに強いこの社会では女性が一人前と認められるためには結婚
して子供を産むことが大事な条件の一つとなっています。

 それでも、今あるこの社会は戦争や飢餓とは無縁ですからある意味幸福な社会
なわけです。つまり不幸を感じる女性たちがほとんどいないという事は社会変革
を望む声だって起きないわけで薫お姉さまも今はまだ必死にお母さまのお仕置き
を耐えるしかありませんでした。

 「……(ああああああ)……」
 浣腸液が全て身体の中に入り込むと、お姉さまのお尻にはその恥ずかしい恰好
のままおむつが当てられ始めます。

 でも、もうその時はお姉さまのお腹はぐるぐると鳴り始めています。
 最初に受けた石鹸水とは違ってグリセリンは即効性があるのです。

 「トイレ」
 お姉さまは思わずそう叫びましたが……
 この時、お母さんが目の前に出してくれたのは可愛いスワンのオマルだけ。
 しかも……

 「すぐにはだめよ。5分間は頑張らないと、お腹が完全に綺麗にはならないわ」
 お母さんはそう言うと薫お姉ちゃまの身体を正座したままの状態で抱きかかえ
ます。

 全身鳥肌のおむつ娘は大きな体の赤ちゃんと同じです。
 「あっ、いやあ、だめえ~~」

 恥ずかしいという気持ちは勿論あるのでしょうが、僕がみるところその時点で
は、それは薫お姉ちゃんがお母さんに甘えているようでした。

 「あっ……だめ……出る……もう出るから」
 震えの止まらないお姉ちゃんは5分はおろか3分も持たず涙を流して泣き言を
言い始めます。

 「お願い、お願い、おトイレ行きたい」
 必死に掴んだお母さんの襟元はこれを掴んでるからお漏らししないですんでる
といった感じで悲壮感が漂います。全身鳥肌、もし、手を離してしまったら……
その瞬間、おむつの中にうんちが漏れてしまいそうで恐ろしくて仕方がない……
そんなところだったと思います。

 実はこのあと何年かして僕もこのお仕置きを受けましたけど死ぬほど恥ずかし
かったのを覚えています。赤ちゃん以外でおむつにうんちをするなんてそりゃあ
イヤですから。

 たった1分後……
 「………………アアアアア」
 お姉ちゃんはもうどうにもならないくらい体が硬直して、ただただ必死に耐え
ていました。もうちょっと赤ちゃんに近ければ、もうとっくにお漏らしだったと
思いますけど、小学校も高学年になったら恥ずかしさだけでなくプライドという
のもありますからそりゃあ必死だったと思います。

 でも……
 「………………アアアアアあああああ」
 4分がもう少しで終わる頃、お姉ちゃんのプライドは崩れ落ちました。
***********

 それはお母さんがお姉ちゃんの下腹を揉んだからで、必ずしも薫お姉ちゃまの
せいではないのですが、それは理由にはなりませんでした。

 「残念だったわね、もうあと15秒だったのに、あなたの堪え性のないところ
が災いしたみたいね」
 お母さんはおむつが少し生暖くなって膨らんでいくのをお姉ちゃんを抱いた左
の掌で感じながら冷静に言い放ちます。

 「いや、お灸いや、ごめんなさい。もう一度やったら絶対に我慢するから」
 我が家では約束の時間までお浣腸を我慢できなかった子には、お灸の追加罰が
待っています。だから必死にお願いするわけですが……

 「だめよ。規則は規則なの。それに、今回はどうしてもあなたを許すつもりは
ないわ。お姉ちゃまの弱みを利用して自分の宿題をやらせておいて自分はアニメ
を見てるなんて、妹の……いえ、天使のすることではないわね」

 「えっ……だって、私は天使様じゃないもの」
 薫お姉さまは全身を震わせて思わず小声でぼそぼそっとつぶやきますが……

 「あっそうなの、私はあなたが私のお腹にいる時からずっと司祭様にこの子は
神様から授かった天子様ですよって言われ続けてきの。たから今日まであなたを
天子様だと思って大事に育ててきたけれど、どうやら私の勘違いだったみたいね。
いいわよ、そうじゃないって言うのなら。ただ、その代わり我が家に置いておく
必要もないわけだし、今日限りお家を出て行ってもらいましょうか」

 「そんなあ」
 薫お姉さまは畳に落としていた視線を上に上げて悲しそうに答えます。
 本当はお母さまの顔を見たかったのでしょうけど、それは涙に隠れて見えない
みたいでした。

 薫お姉ちゃまは子供と言ってもすでに10歳を越えていますから世間のことも
少しずつ理解し始めています。お母さんが自分を家から放り出すようなことは、
絶対しないとは本心で思っているのですが、それでもそこは子供です。お母さん
に言われるとやっぱりどこか不安だったりするのでした。

 「私とお父さんは、たとえあなたがいなくなっても、すでに子どもを4人育て
た実績があるから国からの報奨特別年金が出て、老後資金は大丈夫みたいなの。
今さら我儘なあなたを育てる必要はわ。だから、あなた、もう、いらないわね」

 冷たく言い放つお母さんに薫お姉ちゃまは目が点……

 「あたし……イヤ」
 薫お姉ちゃまは涙の雫を畳に落として叫びます。
 彼女の立場ではそう答えるしかありませんでした。

 ヤマトでは親に捨てられた子の行く先はお寺や修道院が経営する孤児院と相場
が決まっていて、薫お姉さまだってお母さんを本気で怒らせたらそういうことに
なるのかもしれません。

 「…………そんなの……」
 薫お姉さまはもちろんそんな事は絶対にイヤでした。

 だから……
 「ごめんなさい。私は本当に悪い子でした。どんな辛い罰でも受けますから、
私をもう一度天使としてここにおいてださい。私もお家で一緒に暮らせるように
してください」
 寄る辺なき身の上の子供たちの悲しさ。薫お姉ちゃんだけではありません、誰
だってこう言うしかありませんでした。

 この言葉はいわば子供たちが親の前で言わされるごめんなさいの慣用句みたい
なものなので必ずしも本心と言うわけではないんでしょうが、もし言わなければ
もっと酷いお仕置きが待っていることだけは間違いありませんでした。

 「そうやっと私の天使ちゃんとして暮らす気になったみたいね。汚いうんちも
出てしまったみたいだし、確かめてみましょう」
 お母さんはこう言うと、浣腸お仕置き用の小さな薄手の布団に薫お姉ちゃまを
寝かしますが……

 「いや!!!」
 お姉ちゃまは慌てたように身を翻そうとします。

 ただ、たっぷりの浣腸液とそれが引き連れてきたこれもたっぷりのうんちたち
がおむつの中をたっぷんたっぷんといわせていて、おむつはしていてもその隙間
からみじめなものがはみ出しそうでした。

 『あっ、だめ……いや、恥ずかしい』
 薫お姉ちゃまは今のままでも十分恥ずかしいのですから、自ら機敏に動いたり
しません。最悪の結果はそれを想像するだけでもいやでした。

 でも、そんな強がっていた薫お姉ちゃまが唯一身につけていたいた着衣(おむつ)
にお母さんの手が伸びます。

 「いや!」
 お姉ちゃまはほとんど反射的にお母さんの手を払いのけますが……

 「薫!!!!」
 お母さんのひと際強い鼻息混じりの声が部屋中に響き渡ると、薫お姉ちゃまの
ささやかな反乱もそれで決着したみたいでした。

 「…………」
 何しろバリバリの現役軍人(戦車隊の小隊長)とまだ世に出て11年目の娘。
それはまりに大きな違いでしたからどうにもなりません。

 薫お姉さまも最後はなすすべはなく覚悟を決めるしかありません。今はお人形
としてその汚れた正方形の布団に仰向けなっているしか仕方ありませんでした。

 「そうね、女の子は突っ張って生きるより先生や親の愛を信じて従順にしてる
のが一番よ。だって、このヤマトには善人でない人は一人もいないんですもの」
 薫お姉さまのおむつが取り去られ、お姉さまは思考停止状態に……お母さんの
ご機嫌もここでようやく直ります。

 「…………」
 やがて他の姉妹が見ている中でおむつが剥ぎ取られ、たっぷりと汚れたお尻が
現れ……そして、冷たいタオルや熱いタオルで丁寧に拭き取られていきます。
 女の子にとってはぶたれることより辛い時間なのかもしれません。

 そりゃあここに男の子は、大人の仲間入りをしたお兄ちゃんとほぼ赤ちゃんの
僕だけしかいませんが10歳を越えた女の子にとってこれが恥ずかしくないはず
がありません。
 これって、薫お姉さまにとってはもう拷問以外の何物でもありませんでした。

 『いやあ、やめて、死んじゃう』
 こうなると薫お姉さまにできることは今ある現実を忘れ去ることだけ。
 『これは悪い夢をみているだけ』と自分に言い聞かせ、信じ込ませることだけ
でした。

 「ほら、もうすぐ終わりますよ」
 ショック状態の娘を尻目にお母さんはてきぱきと仕事を片付けます。その声は
どこか楽しそうにも聞こえます。

 ほんの1、2分でしょうか、新しいパンツやおむつを穿かせればそれで終了と
いうところまではあっという間でした。

 ところが、そこからがまた時間がかかります。
 というも、お母さんは薫お姉ちゃまにもう一つのお仕置きを用意していたから
でした。

 「……?……!!!!」
 突然、お線香の香りが鼻をつきます。
 もとより、この家に生まれて11年、それが何を意味するのか分らないはずが
ありません。

 『いや、やめて、お灸怖い、ごめんなさい』
 もし、許されるなら薫お姉さまはその瞬間にこう絶叫していたと思います。
 でも、お姉さまはその泣き言を必死に我慢します。

 だって、そんなことしたら今度はどんなお灸のお仕置きが待っていることか。
艾の大きさ、すえられる場所、……いえ、一回で終わる保証だってありません。

 「………………」
 そんな思ひが脳裏をよぎり、嘆きの言葉は喉から先に出ませんでした。

 「そうね、薫ちゃんも少しずつ大人に近づいてるせいか聞き分けがよくなった
みたいね」
 お母さんからお褒めの言葉をいただきます。

 「そうよ、後先のことを考えて女の子は我慢することがが一番大事なの。嘘を
つかず、見栄をはらず、目上の人たちからのお言いつけをちゃんと守っていれば
不幸になる事は絶対になんだから……わかった?男の子なんかより全然楽ちんな
人生なんだから」

 「はい、お母さま」
 薫お姉さまは嗚咽が止まらないままだけどお母さんに相槌を打ちます。

 一方、お母さんはご機嫌で……
 「まあ、いいご返事ね。じゃあ、今日の出来事を忘れないようにちょっとだけ
頑張りましょうね」
 そう言うと薫お姉ちゃんの両足を再び持ち上げます。

 そして……
 「円華、ぼうっとしてないで手伝って!」
 それまで震えてみていただけの円華お姉ちゃまを呼びつけると、薫お姉ちゃま
の両足を任せます。

 「45度くらいに開いて、その子の足を頭の方へゆっくりと傾けてちょうだい。
要領はわかってるでしょう。……そう、赤ちゃんのおむつ替えと同じポーズよ」

 母の指示をそのまま実行すれば女の子の大事な処は全て丸見えです。
 本心を言うと、妹がこんな無様な恰好をしているんだからちょっとからかって
みたいところなんですが、円華お姉ちゃまはすでに中学生です。お仕置きだって
色んな経験をしてきています。その経験から言うと、次はわが身という事をよく
わかっていましたから、単純にそんな気にはなれませんでした。

 『今日は薫にまでこんなことをするのかあ……って事は、次はわが身ってこと
よね』

 実は会陰へのお灸はヤマトでは珍しくありません。妹の薫がやられていれば、
次は私ってことです。それは円華お姉さまにとってショック…いえ、大ショック
だったに違いありませんでした。

 「さあ、しっかり歯を食いしばって我慢するのよ。もし、暴れるようなことが
あったら続きは修道院でやってもらいます。いいですね」

 お母さんは最後通牒を突き付けます。

 『もし、熱さに我慢できなくて修道院でのお仕置きなんてことになったら…』
 そんなことは二人とも考えたくないことでした。

 「…………」
 「…………」
 『修道院』という言葉が出てきて、薫お姉さま、円華お姉さま共々声には出し
ませんけど心中穏やかではありません。というのも、修道院でのお仕置きは家族
とはまるっきり違うからなんです。

 赤の他人に大事な所を見られたうえに、もしシスターの機嫌を損ねれば素っ裸
で晒し台に括りつけられます。もちろん男性は猫の子一匹そこにはいませんが、
それがどんなに恥ずかしいことか。そんな可哀そうな子の噂を耳にするたびに、
私ならショックで死んじゃうかもと姉たちが噂しあっていました。
 本心かどうかは知りませんが……(笑)
 
 「さあ、いきますよ」
 お母さんの一声で薫お姉ちゃまの顔は一瞬にして真っ赤。
 もう、やるしか、いえ耐えるしかありませんでした。

 「いやあ~!!!」
 薫お姉ちゃまの顔が恐怖と絶望に変わり、全身鳥肌で震えているのがこうして
抱っこされている私の目にもはっきり分ります。

 後日、私もおチンチンの根っことおチンチン袋の根っこに、同じようにお灸を
すえられたことがありましたが、男女の差こそあれ位置関係的には同じような処
です。その時は僕もきっと薫お姉ちゃまと同じような顔をして震えていたに違い
ありませんでした。
 ただ自分のことは事態を客観視できないためか意外と恥ずかしくなかったのを
覚えています。

 「ひぃ~~~~」
 会陰へのお灸は他の場所よりことさら熱いわけではありません。ただ、こんな
所にお灸をすえられたという精神的なショックの方が大きくて、まるで手込めに
された気分がずっとこの後も続くのでした。

 「(いやあ~~~~やめて~~~~)」
 その時、薫お姉ちゃんの顔は真っ赤。反対に身体全体はガタガタ震えています。
 でも、悲鳴は上げられない。矛盾した気持ち、極度のストレスです。

 ましてや相手は子供。こんなお灸はまさに三重苦、四重苦、だったのでした。

 「よし、今日はこれだけにしておくけど、もし同じことがあったらお臍の中や
その下の小山、そうそうお尻の谷間を押し開いて尾てい骨ってのもお肉がついて
いないぶん熱いって気持ちが直接脳天に届いて反省するには効果的な場所だけど、
あなた、やってみる?」

 「…………」
 薫お姉ちゃんは、お母さんの声を聞いた瞬間から何かに間取りつかれたように
首を振り続けます。

 お母さんは円華お姉ちゃんにからめとられて身動きのできない薫お姉ちゃんの
すぐそばまできて火のついたお線香を次に悪さをした時には『ここにすえますよ』
『ここにもすえますよ』とその場所に近づけていきますからそりゃあ怖かっだと
思います。

 もちろん皮膚へ直に火を着けたりはしませんが、それでも小娘を教育するため
には十分に効果があるみたいでした。

 お仕置きは虐めや虐待とは違いあくまで戒めであり教育の一環ですからできる
ことにはそもそも限界があります。ですから思い入れたっぷりに演技はしますが、
実際に肉体を虐める行為は最小限に留めるのがどの家庭でも一般的だったのです。

 とはいえ、おてんば娘が成人する頃には体じゅうにお灸をすえられた痕が点々
とあるというのがヤマトでは常識になっていました。
 ただ、それがために親子の関係がおかしくなるようなこともありませんでした
から、これはこれで一つの文化なのかもしれません。

 ヤマト星では親や教師に限らず目上の人には絶対服従が子供の掟でしたから、
それに逆らっては生きていけないのです。

 しかも、ここはカーク星人が管理しているコロニーですから、ありとあらゆる
場所が最先端技術に管理、監視されています。街中はもちろん畑や森……どこへ
逃げても……いえ、家の中、トイレでさえも隠れる場所はありませんでした。

 そう、カーク星人による完全監視社会のヤマトでは地球上になら必ずある侵略
戦争や貧困がない代わりにプライバシーという概念がないのです。
 事細かな生活の指図までも命令したりはしませんが、親や教師が羽目を外して
子供を虐待していると判断すれば子供の周囲にバリアを張って保護します。
 そう判断されない限界点で親は子供にお仕置きをすることになっていました。

 お灸がここで許容されているのも、それが拉致した当時の日本でごく一般的に
行われていた子供へのお仕置きだったからで、彼らは日本人を生きた標本として
ありのままの姿で観察したかったからなのです。





 <人物>

 春山静香〈母>/普段は路面電車の運転手として働いているが、有事ではその
電車自体がわずかな改造で戦車となって戦闘に参加する。役職は小隊長中尉。
 春山智〈さとし〉父/通常は旅客便のパイロットだが、有事では航空部隊の
中隊長。大佐。
 陽翔〈ひかる〉長男/21歳/航空機、戦闘機の整備士。

 上記3名は通常は民間業務をしているが、訓練と有事の時だけは軍人として
働いている。もっともヤマトの世情は安定しており3名共戦闘経験はない。

 下記4名は春山家の子供たち。
 円華〈まどか〉/長女/14歳(中学2年生)/成績はよいが大人しい性格
 薫〈かほる〉/次女/11歳(小学5年生)/勝ち気だが怠け者。
 咲子〈さきこ〉/三女/8歳(小学2年生)/甘えん坊。
 光治〈こうじ〉次男/2歳半/救命艇で漂流中カーク星人に保護され春山家に
預けられたが、とても2歳とは思えない理解力がある。

 母の教育や躾はスパルタで厳しいが、子供たちは母を慕っている。
 父は子煩悩で優しい人だが怒ると怖い。
 陽翔は外では頼もしい存在だが、家の中では母に頭が上がらず、よく娘たちの
お仕置きを手伝わされる。

Appendix

このブログについて

tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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