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10/31 御招ばれ(14)

10/31 御招ばれ(14)

*)ソフトなソフトなお仕置き小説です。私的には…(^◇^)

***************************

 <主な登場人物>
 春花……11歳の少女。孤児院一のお転婆で即興ピアノが得意
 美里……11歳の少女。春花の親友。春花に乗せられて悪戯も
    するが、春花より女の子らしい。絵が得意な少女。
 大西泰幸……中世史の研究をする大学の先生。実の子はすでに
    医者として独立、『茜』という養女をもらっているが、
    春花や美里も養女にしたいという希望を持っている。
 大西一枝……大西泰幸の妻、専業主婦。茜を厳しく躾けるが、
    茜は彼女を慕っている。
 大西茜……大西泰幸の養女。13歳で春花や美里よりお姉さん
    だが、楚々とした感じのお嬢さんとして躾けられている。
 高瀬先生……古くから大西家に出入りしているお医者様。特に
    子供達へお仕置きがある時は浣腸や導尿などでお手伝い
    もする。
 明子さん……長い間大西家に仕えている住み込みの女中さん。
    大西家の生き字引。

****************************

 「茜さん。お父様が教えてくださるって、よかったわね」

 お母さんは『めでたしめでたし』みたいなことを言いますが、
茜さんにしたら、これからしばらくはお父さんに管理された憂鬱
な日が続くわけで、素直に喜べるわけがありませんでした。

 そんな気持、もっと大人になればうまくセーブできるんでしょ
うが、13歳になったばかり茜さんには自分の気持を素直に表現
することしかできませんでした。

 「何がよかったのよ!!ちっともよくないわよ!!」
 口をへの字にすると、眉間に皺を寄せ、お母さんを睨み返して
しまいます。

 「あかね!」
 お父さんは即座に厳しい顔をして茜ちゃんを睨みますが……

 「あ~あ」
 出るのはため息ばかり。お母さんへの謝罪の言葉はいっこうに
ありません。

 でもそれは、親しい関係なんだから、親子なんだから、すねて
も許されるはずでした。少なくともこれまではそうだったのです。

 「しょがない子だなあ、あまえはもう小学生じゃないんだよ」
 お父さんにこう言われても……

 「は~~い」
 気のない返事をするのが精一杯だったのです。

 「茜、やる気がないのならやめてもいいんだよ」

 お父さんの突然の言葉に、茜さんは心臓に杭を刺された思いが
します。

 「えっ!?」
 目を丸くした茜さん。そのまま声が出ませんでした。

 いえ、お父さんの家庭教師なんてやめてもらいたいというのは
本音なんですが、それが許されない立場にあることも、茜さんは
十分感じていたのでした。

 『そんなのやりたくありません。やめたいです』
 素直にそんなこと言ったらどうなるでしょうか。
 お父さんからぶたれるでしょうか。
 いえ、ぶたれるよりもっと辛いことが起きやしないか……
 茜さんはそっちを心配していたのでした。

 『妹たちもやがてこの家に来るというし、このまま無視され、
スポイルされ、自分だけがこの両親から相手にされなくなったら
どうしよう』
 茜さんの心配は、もちろん実の親子だって起こり得ることです。
でも、血の繋がりのない茜さんにとってはより深刻な問題だった
のでした。

 「茜。お前は頭もいいし私でなくても里親はすぐに見つかるよ」
 案の定、お父さんは茜さんの気持を見透かして、わざとこんな
事を言います。

 もちろん、お父さんは茜さんを愛しています。誰かが茜さんを
欲しいと言ってきても、絶対にどこへもやったりはしません。
 でも、時たまこうして脅してやれば、茜はより強く私を求めて
くるはず……大人は、そう読むのでした。

 実際、これまではこういった脅かしが不首尾になることは一度
もありませんでした。

 この時も、茜ちゃんはお父さんに擦り寄ります。
 そして、お父さんが手を出せば、茜ちゃんの身体に触れられる
距離にまで近づいてから…

 「お父さん、私のこと、嫌い?」
 と言います。

 「どうして?…大好きだよ。今も昔も、子どもの中で茜が一番
大好きだって言ってるだろう」
 お父さんはそう言って、茜ちゃんを身体ごと抱き上げて膝の上
で頬ずりします。

 お尻の痛みが遠のいた今は、気持ちよさだけが茜ちゃんを包み
ます。それは親子の儀式のようなものでした。

 「何で泣いてる?私がお前をどっかにやるとでも思ったのか?」

 幼い時からの習慣。茜ちゃんは、いまだにこの頬ずりから逃れ
られないでした。

 ところがこうなると、お父さんのペース。
 次はとんでもないわがままだって茜ちゃんは飲まなければなら
なくなるのでした。


 「それでね。茜。お父さんとしては今日の事をお前が忘れない
ために鞭を使おうと思うんだ」

 「………………………………お尻、ぶつの?」
 茜ちゃんはそれだけ小さく言って生唾を一つごくんと飲みます。

 「ああ、お父さんはその方がいいと思うんだ。言葉ってのは、
時間が経つと忘れちゃうからね。茜には、もっと忘れない方法で
心に刻んでおいてもらいたいんだ」

 「パンツも脱ぐの?」

 「ああ、パンツも脱いだお尻に竹の物差しでね。……嫌かい?」
 お父さんの声は穏やかでした。

 「……………………………………」
 『嫌かい?』って……そりゃ嫌に決まってます。茜さんは声が
ありませんでした。……でも、『嫌』と言ってみても結果が同じ
なのも分かっていました。

 いえ、茜ちゃんだってこの家の子、2歳からこの家でお父さん
と一緒に暮らしています。裸でベッドを共にした事だって何度も
あります。気心の知れた親子です。

 ですから、お父さんがこんなことを言い出すことぐらい、その
流れの中から読めます。べつに、青天の霹靂というわけじゃあり
ませんが、それでもあらためてお父さんにお仕置きを宣言される
と、子供としてはどう返事をしてよいのかわかりませんでした。

 そもそも幼い頃のお仕置きはこんなことを打診しません。茜が
悪いことをすれば、お父さんもお母さんも、いきなりスカートを
捲りあげて茜のお尻をぶち始めます。
 それが、前回、小学5年生の時のお仕置きでお父さんが初めて
こんな事を尋ねたような気がします。

 『あの時、私、どうしたっけ?』
 茜ちゃんは考えますが、昔の事で思い出せませんでした。
 困っていると、その答えをお母さんが耳元で教えてくれました。

 「茜、そんな時は『はい、お受けします』と言うの。お父様は
あなたの覚悟をきいてらっしゃるんだから、しっかりご挨拶しな
ければいけないの。いいこと、あなたも中学生、もう幼い子じゃ
ないんだから、自分の罪を償う勇気を持っていなきゃいけないわ」

 「はい、お母さん」

 お父様にも当然聞こえているお母さんの助言を受けて茜ちゃん
は、あらためてお父さんにご挨拶。

 「はい、お受けします」

 茜ちゃん、お父さんに抱っこされたままでご挨拶でした。
 でも、お父さんは怒りません。とっても満足そうな笑顔を浮か
べて茜ちゃんの頭を撫でるのでした。


 大西家での子供たちへの鞭打ちは、ごく幼い時は、お父さんや
お母さんが膝に抱きかかえてヘアブラシやパドルを使って行われ
ますが、その子が大きくなると、それ専用の拘束台を使って行わ
れます。

 それは普段お父さんの書斎においてあり、まわりの家具に調和
して一見ライティングデスクにしか見えませんが、部屋の隅から
引き出されてソファの代わりにそこへ置かれると、受刑者はその
姿に恐れおおののくことになります。
 一度でもその台に乗ったことのある者はそれがどれ程の物かを
知っているからでした。

 茜ちゃんのずっと上のお兄様たちでさえ、その時の強烈な痛み、
恥ずかしさをいまだに忘れられずいました。ましてや茜ちゃんは
女の子ですから、小学5年生の時にこの台に張り付けられた記憶
はまだ心の中に鮮烈に残っていました。

 大人たちが拘束台の準備をするさなか、茜ちゃんは呆然として
その様子を見ていたのですが、過去の辛い思い出に縛られたので
しょう。拘束台を見つめたままパンツを穿くことさえ忘れていま
した。

 「何してるの茜。パンツくらい穿きなさい。みっともないわよ」

 気がついたお母さんがやって来て呆(ほう)けた顔の茜ちゃん
にパンツを穿かせようとしますが、その時、あることに気づいて
手じかにあったタオルで茜ちゃんの太股を手早く拭きあげます。

 『まったく、この子ったら……』
 お母さんは心の中で思います。

 茜ちゃんはお漏らしをしていたのです。すでにお浣腸も済んで
いましたが、最後にお腹を洗った時の残りがいくらかまだ膀胱に
残っていたのでしょう。
 二筋三筋太股を雫が伝っていたのです。
 茜ちゃんはそれも気づかぬほどぼんやりしていたのでした。

 お母さんは、そんな茜ちゃんに何も言いませんでした。
 お母さんは、茜ちゃんにパンツを穿かせると、皺になっていた
白いワンピースの裾を整え、髪を手ぐしでセット、ハンカチで涙
を拭き、鼻をかんで、茜さんを元のお嬢さんの姿へと戻していき
ます。

 「よし、できた。どこ見ても立派なお嬢様よ」
 お母さんは完成した茜さんを前にして満足そうです。
 そして、こう言って励ます……いえ、叱るのでした。

 「茜、お父様の鞭はあなたの為に振り下ろされるの。だから、
あなたはお尻だけじゃなくそれをあなたの身体全体でしっかりと
受け止めなければならないわ。悲鳴なんか上げて、そこから逃げ
ようとしちゃいけないの。ただただお父様の鞭の痛み耐えるの。
分かるかしら」

 「…………」
 お母さんの力説にも関わらずこの時の茜ちゃんはまだお人形で
した。

 「あなたはまだ幼くて詳しい理屈は分からないでしょうけど、
この鞭は刑罰の鞭ではないの。お父様の鞭が強ければ強いほど、
痛みが強ければ強いほど、お父様があなたを愛してらっしゃると
という事なのよ。……わかった?」

 「…………」
 茜さんは小さく頷きます。

 すると……
 「わかったんなら、さあ、行ってらっしゃい」
 お母さんは茜ちゃんを送り出します。
 もちろん、そこに待っているのはお父さんでした。

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10/29 御招ばれ(13)

10/29 御招ばれ(13)

*)ソフトなソフトなお仕置き小説です。私的には…(^◇^)

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 <主な登場人物>
 春花……11歳の少女。孤児院一のお転婆で即興ピアノが得意
 美里……11歳の少女。春花の親友。春花に乗せられて悪戯も
    するが、春花より女の子らしい。絵が得意な少女。
 大西泰幸……中世史の研究をする大学の先生。実の子はすでに
    医者として独立、『茜』という養女をもらっているが、
    春花や美里も養女にしたいという希望を持っている。
 大西一枝……大西泰幸の妻、専業主婦。茜を厳しく躾けるが、
    茜は彼女を慕っている。
 大西茜……大西泰幸の養女。13歳で春花や美里よりお姉さん
    だが、楚々とした感じのお嬢さんとして躾けられている。
 高瀬先生……古くから大西家に出入りしているお医者様。特に
    子供達へお仕置きがある時は浣腸や導尿などでお手伝い
    もする。
 明子さん……長い間大西家に仕えている住み込みの女中さん。
    大西家の生き字引。

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 「さあ、お父様のお膝へいらっしゃい」
 お母さんが強い調子で茜さんの腕をとります。
 慌てた茜さんは突然のことに嫌々をしますが、それはお母さん
の腕を振りほどくほどではありませんでした。それが後々どんな
結果になって自分に跳ね返ってくるかを知っていたからでした。

 「おいで……目が覚めるから」
 お父さんがご自分の膝を叩いて指示します。

 「!」
 もう、こうなったらダメです。
 茜さんはそこへ行くしかありませんでした。

 幼い頃からお尻を叩かれていた茜さんにとってお父様のお膝は
世間で言う『お尻ペンペン』なんて生易しいものではありません。
ギロチン台並みの恐怖です。
 でも、そこへ行くしかありませんでした。

 「お父様、お仕置き、お願いします」
 茜さんはお父さんに一声掛けてその膝にうつ伏せなって寝ます。

 『お仕置き、お願いします』なんて、ぶたれる子供の側が言う
セリフじゃないかもしれませんが、これも大西家のしきたりです。
大西家では、朝、『おはようございます』を言うのと同じでした。

 「恐がらなくてもいいからね。茜は女の子だから私からの経験
があまりないかもしれないけど、私もお尻叩きは上手なんだよ」
 お父さんはそう言って、まずスカートの上から叩き始めます。

 リズミカルに軽快に……
 「……パン……パン……パン……パン……パン……パン……」

 茜ちゃん、最初は『あれ?これって、お父さんの方が楽だ』と
勘違いしたのですが、すぐにその間違いに気づきます。

 最初の数回はまだそんなに痛くありませんでした。
 でも、10回を過ぎる頃から辛くなります。         
 「パン……パン……パン……パン(あっいや)……パン(ひぃ)
……パン(あっ、だめ)……パン(あっ)……パン(痛~~い)」

 普段お母さんからやられているスパンキングは、お尻の表面が
ピリピリするような乾いた感じの痛みなのですが、お父さんのは、
一発一発がお尻の肉の奥まで届く感じの重い痛みです。
 しかもお父さんのスパンキングは、お母さんと違って短い時間
では終わりませんでした。

 徐々に、徐々に蓄積されていく痛みの中で、茜ちゃんのお尻は
しだいに悲鳴を上げ始めます。

 「パン(あっ、いやあ~~~)……パン(だめえ~~~)……
パン(お願い、お母さんやめさせて~)……パン(あっいやいや)
……パン(ひぃ~~~)……パン(ああん、お母さん許して~)」

 茜ちゃんは、お父さんにお尻をぶたれていたのですが、許しを
求めたのは自分の両手を握るお母さんでした。

 ところが、そのお母さんは……
 「何やってるの。これくらいのことで、両足をバタつかせたり
して、幼い子じゃないの、みっともないことはやめなさい」
 と、逆に茜ちゃんを叱るのでした。

 いえ、それだけではありません。
 今度はお父さんが茜ちゃんのスカートを捲りあげようとします
から……

 「いやあん、しないで!!パンツ見えちゃう!!いや!!ダメ
エッチ、レディーに失礼よ」
 茜ちゃんは慌てて抵抗を試みますが、できたのは口だけでした。

 本当は右手でお尻をかばいにいきたいのですが、お父さんの膝
の上で万歳した格好の茜さんはその両手ともお母さんにしっかり
握られていてピクリとも動かせません。

 「あ~~ん、イヤだって……」
 その間にもお父さんのお尻叩きは再会します。
 今度はショーツの上から。当然スカートの上からより痛いこと
になります。

 「パン(あっ、いやあ痛い痛い~~~)……パン(だめえ~~~)
……パン(お願い、お母さんやめさせて~ホントに痛いんだって)
……パン(あっいやいやいやいや)……パン(ひぃ!ごめんなさい)
……パン(ああん、お母さん許して~誰でもいいから許してよ)」
 茜ちゃん、まだまだ口だけは達者でした。

 いえ、こうして必死に叫んでいないとお父さんの平手の痛みに
耐えられないから……というのが本当の理由かもしれません。

 ところが、真っ赤な顔をして奮闘する茜ちゃんの苦労をよそに
お父さんは涼しい顔。おまけに、茜ちゃんの最後の砦にまで手を
かけるのでした。

 「……!!!……」
 白い綿のショーツが剥ぎ取られてしまいますが、なぜかその時、
茜ちゃんに大声はありませんでした。

 妹分の二人がさっきから笑いを堪えながら見ているのは知って
いますから、もうこれ以上恥の上塗りをしたくないと思ったので
しょうか。

 もちろん、そんなことにはおかまいなく、二人は固唾を飲んで
茜ちゃんの裸のお尻を見ています。
 男の子でないのがまだしもなのかもしれませんが、女の子にと
ってはこれ以上ない屈辱でした。

 それに、当然のことですが、何の防御もない生のお尻はさらに
堪えます。

 「パン(いやあ~~もうぶたないで~~~ぶたないで~~~)
……パン(痛い、痛い、痛い~~痛いんだって~~お願~~い)
……パン(ひい~~~だめえ~~~壊れるから~~お願いよ~)
……パン(お母さんやめさせて~ホントに痛いんだってえ~~)
……パン(ああ~ん、お母さん許して~何でもする、何でもする
から~~~)」

 痰を絡ませながら必死に哀願する茜ちゃん。
 でも、お父さんからは、なかなかお許しが得られませんでした。

 「パン(いやあ~だめえ~)……パン(痛い、痛い、痛い~)
……パン(ひい~~)……パン(だめえ~壊れるから~~)……
……パン(お願い、やめてよ~)……パン(お母さんやめさせて)
……パン(ホントに痛いんだってえ~~)……パン(ああ~ん)
……パン(いやいやいや)……パン(お母さん許して、お願い、
お願い~何でもする、何でもするから~~~)」

 70回を超え、茜ちゃんはひところより口数が少なくなってい
ました。
 泣き疲れ、声も枯れて、もう大声も出なくなっていたのです。
 そして、その頃になってやっと許されます。

 茜ちゃんは床に転がると必死でお尻をさすりましたが、痛みは
すぐには引かず、5分くらいは床に泣き崩れたままただただ自分
のお尻をマッサージしていました。

 やがて、少し落ち着いた頃、お父さんと目と目があって初めて
自分の姿に気がついたみたいで……慌ててお父さんの足元に膝ま
づくと、両手を胸の前で組んでご挨拶します。

 「お仕置き、ありがとうございました」

 これも『お父様、お仕置きお願いします』という最初のご挨拶
同様、大西家のしきたり(躾と呼ぶべきかもしれません)でした。


 もっとも、これはほんの序の口。
 これはあくまで眠そうにしている茜ちゃんの目を覚まさすため
で、本当のお仕置きはこれから……ということのようでした。

 「目が醒めたかい?」
 少し仏頂面のお父さんの顔がいきなり茜ちゃんに迫ってきます。

 大人のそんな顔、恐いですからね。
 「はい」
 嗚咽の収まらない茜ちゃんでしたが小さな声が聞こえます。

 すると、お父さんはとたんに笑顔になって茜ちゃんを膝の上へ
抱き上げます。

 「お~~しばらく抱かないうちに重くなったなあ」
 お父さんの言葉はまるで幼児か赤ちゃんを抱いた時のようです。

 でも、お尻がお父さんの膝に乗っかると茜ちゃんは顔をしかめ
ます。そこはまだ完全に癒えていませんから、お愛想でも笑顔は
難しかったのでしょう。

 「どうした?まだ痛いか?……だったら、静かにして私の話を
聞きなさい。いいね」
 『動くとお尻が痛いよ』というわけです。

 お父さんは、茜ちゃんの頬にご自分の息がかかるほど強く抱き
しめます。
 普段ならタバコの臭いお父さんの顔に嫌々をするところですが、
今は、お父さんのお膝をお尻が摺れただけで飛び上がるほど痛い
ですから、おとなしくタバコの臭いを嗅ぐことになるのでした。

 「いいかい、茜。人はいろんな家に生まれる。農家もあれば、
八百屋さん、鍛冶屋さん、サラリーマン、人それぞれだ。でも、
どんな家に生まれようと、その家を盛り立てなければならない。
お父さんお母さんをお手伝いしなきゃいけない。それが子どもの
義務なんだよ。農家の一樹君も、八百屋さんの真理子ちゃんも、
鍛冶屋の高志君だって、みんなお家のお手伝いをしてるだろう。
それは、茜、君だって同じなんだよ」

 「……私もお手伝いするの?」
 茜ちゃんはぽつんと独り言のように言います。それはそれまで
一度も考えた事がなかったからでした。

 「茜ちゃん、お父さんの仕事は何だい?」

 「大学の先生」

 「そう、お家で商売してるわけじゃないよね。でも、お父さん
は茜ちゃんに手伝って欲しいんだ」

 「どんなことお手伝いするの?……お父さんの助手さんとか?」
 茜ちゃんは首を傾げます。

 「いや、それはまだ無理だろうけど、大学教授の娘らしくして
いて欲しいんだよ。茜ちゃんは世の中の事はまだ分からないかも
しれないけど、大学の先生、お医者さん、弁護士さんなんて仕事
は世間での信用が大事なんだ。『普段偉そうなこと言ってても、
あいつの娘、学校じゃ劣等生らしぞ。娘一人満足に育てられない
奴にこんな仕事頼んで大丈夫かなあ』なんて、思われちゃうと、
お父さんもお仕事がやりにくいからね」

 「つまり私はお父さんの娘にはふさわしくないってことなの?」

 「そんなことはないよ。私はお前を施設から引き取ってから、
ずっと愛してきたし、これからだって、お前がどんな成績でも、
嫌いになることなんて事ないはずだよ。だって、お父さんはお前
を見初(みそ)めてここへ連れて来たんだから……」

 「……うん」

 「でも、お前はどうなんだい。私とは血の繋がりもないし……
こんなお尻をぶつようなお父さんは嫌いかい?」

 「…………」
 茜ちゃんは首を横に振りました。

 理由は簡単です。
 今日はたまたまお尻をぶたれていますが、普段の茜ちゃんは、
お父さんに甘えてばかりいます。お父さんとは楽しい時間がほと
んどなのです。ですから、短い時間のお仕置きのために、楽しい
時間を犠牲にするという選択はありえませんでした。

 茜ちゃんは考えます。
 『要するに、お父さんを愛しているなら成績を上げなさいって
ことよね。でも、私、頭悪いし、頑張っても成績あがるかなあ』

 そんなことを思っていると……
 「よかった、茜も私を愛しているんだね。よし、だったら明日
からは私がお勉強の面倒みてあげるから、また一緒に頑張ろうね」
 お父さんがこんなこと言うのです。

 「えっ、(お父さんと一緒に!!)」
 茜ちゃんは驚きます。

 いえ、小学校時代の茜ちゃんはお父さんのお膝の上で勉強して
いました。お父さんにしてみれば相当に重いお荷物だったと思い
ますが、何しろこれが最も効率的だったからお父さんも仕方なく
続けていたのでした。

 そんな昔の姿が頭をよぎったので驚いたのでした。
 今さらお父さんにだっこされて勉強するなんて、嬉しいけど、
恥ずかし過ぎます。

 すると、そんな茜ちゃんの心の中を察するように……
 「もう、抱っこはしないよ。こんな重い荷物、いつまでも膝の
上に乗せて置けないからね……でも、それ以外は今までとおりだ。
集中心を欠いたような態度なら、すぐに竹の物差しで目覚ましだ。
あんまりだらしがないなら、お灸だってまたすえるよ。それに、
日曜日の朝は必ずお浣腸。便秘なんかしてるとそれが気になって
頭の回転も鈍くなるからね」

 『また、始まるのか。お父さんと一緒のお勉強。何だか体よく
言いくるめられちゃった感じだなあ』
 茜ちゃんは心の中でため息をつくのでした。

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10/27 御招ばれ(12)

10/27 御招ばれ(12)

*)ソフトなソフトなお仕置き小説です。私的には…(^◇^)

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 <主な登場人物>
 春花……11歳の少女。孤児院一のお転婆で即興ピアノが得意
 美里……11歳の少女。春花の親友。春花に乗せられて悪戯も
    するが、春花より女の子らしい。絵が得意な少女。
 大西泰幸……中世史の研究をする大学の先生。実の子はすでに
    医者として独立、『茜』という養女をもらっているが、
    春花や美里も養女にしたいという希望を持っている。
 大西一枝……大西泰幸の妻、専業主婦。茜を厳しく躾けるが、
    茜は彼女を慕っている。
 大西茜……大西泰幸の養女。13歳で春花や美里よりお姉さん
    だが、楚々とした感じのお嬢さんとして躾けられている。
 高瀬先生……古くから大西家に出入りしているお医者様。特に
    子供達へお仕置きがある時は浣腸や導尿などでお手伝い
    もする。
 明子さん……長い間大西家に仕えている住み込みの女中さん。
    大西家の生き字引。

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 現れた茜ちゃんはトレードマークだった三つ編みを解いていま
した。自由になった髪がストレートに肩へ流れると、今までとは
印象が少し違って見えます。ほんのちょっぴりですが、お父さん
にもその姿は大人に見えました

 茜さんはお約束の白いレースのワンピースをさらりと着こなし、
白い短ソックスに黄色いアヒルのスリッパを履いていました。
 そして、お母さんが自分のものをおまじないに振りかけたので
しょうか、ほのかに薔薇の香りが漂います。

 「何だか大人の人みたいに見えるね」
 春花が言えば……
 「ほんと、キレイ」
 美里の思いも同じでした。

 ただ、妹たち二人を見た茜さんはというと、心穏やかではあり
ませんでした。

 そんな不安げな茜さんの肩を抱くように、今度はお母さんまで
が現れます。

 「なんだ、父兄同伴かい」
 お父さんはお母さんに皮肉を言いますが……

 「仕方ありませんよ。この子は女の子。しかもまだ幼いんです
からね。あなたが恐いんですよ。誰かが着いててやらないと……
こんな処でお漏らしでもしたら大変でしょう」

 お母さんは茜さんを擁護したつもりなんでしょうか?
 茜さんは顔を赤らめます。

 いずれにしても、大西家では二親がともに子供へ厳しく接する
ということはありませんでした。
 今日はお父さんがお仕置きをするというのですからお母さんは
茜さんのサポート役だったのです。

 「あのう、あの子たち、ずっと、ここにいるんですか?」
 茜さんは、さっそく目障りな二人につけて尋ねますが……

 「いけないかい?」
 お父さんから薄情な答えが返ってきます。

 「そうだよ。……実は、今日も施設の院長先生からこの子たち
を里子にお願いできないかというお話があってね、今、考えてる
ところなんだ」

 「そうなんですか……」
 茜ちゃんは気のない返事を返します。
 茜ちゃんにしてみれば、家族の中だけならいざ知らずお仕置き
をこんな子たちに見せるなんて…という思いが心の中で渦巻いて
いたに違いありませんでした。

 「ついてはね、この子たち、これまではお客さんとしてうちに
来ていたから、うちの楽しいところしか知らないでしょう。でも、
うちにも辛いことはたくさんあるよね。それを今回見せてみて、
それでもうちに来たいというなら呼んであげようかと思うんだ」

 「えっ、それじゃあ、私のお仕置きをこの子たちに見せるの?
私、生贄なんですか?」
 茜ちゃんは歯切れ悪く尋ねますが……

 「生贄なんて人聞き悪いなあ。……ところで、茜は、今日何か
おいたをしたのかい?」
 お父さんは皮肉たっぷりにこう尋ね返す始末でした。

 「…………」
 これには茜ちゃんも返す言葉がありません。お父さんの前で、
茜ちゃんは下唇を噛むことしかできませんでした。

 「そんなに深刻にならなくても大丈夫だよ、たとえこの二人が
うちに来ることがなくなっても、ここでのことは街には漏れない
から……」

 「どうしてですか?」

 「この子たちは『教会の子供たち』だからね。私たちとは住む
世界が違うんだ」

 お父さんは、茜さんを安心さそうとしてこう言ったのですが、
その言葉が、どれほど茜さんを励ますことになったかはわかりま
せん。
 分かっているのは、今日はこの妹分二人の前でこれから醜態を
晒さなければならないという現実だけでした。

 ちなみに『教会の子供たち』という用語はその子たちが単なる
捨て子ではなく、教会関係者が神に背いて創ってしまった子ども
たちのことを言います。このため、一般の孤児たちとは異なり、
親からそれなりの養育費も出ていますし、シスターたちの扱いも
丁寧です。
 ただ、その将来は決められていて大半が聖職者。子どもたちは
隔離された世界の中で大人になり、世間で注目されるような職種
につくことは認められていませんでした。


 「じゃあ、始めようか。……こっちへ来て座りなさい」
 少し顔の表情を引き締めてお父さんが茜さんを呼び寄せます。

 茜さんに与えられたのは、妹分二人が座っているようなソファ
ではありませんでした。どこの学校にも置いてあるような座面が
硬い木でできた粗末な椅子。
 そこに今の茜さんの立場が現れていたのです。

 「先日、学校から今学期の中間テストの結果をみせてもらった
んだけど……芳(かんば)しくなかったみたいだね」

 「ちっ、やっぱり、そのことなんだ」
 茜さんは思わず舌打ちをします。実際、お母さんからその事で
お父さんが怒っているみたいだとの情報を得ていましたから本当
は自制しなければならないのでしょうが、お父さんとの間の気安
さが顔を出してしまいます。

 「何だか不満そうだね。『何だ、そんなつまらないことで私を
呼びつけたのか』って顔をしているよ」
 お父さんの顔は笑っていますが、舌打ちされた側の人が面白く
ないのは誰でも同じことです。もちろん、相手がお父さんでも、
それは同じでした。

 「今学期の始め、私は茜の為にスケジュール表を作ってあげた
けど……あの通りできなかったみたいだね」

 「そんなことは……」
 茜さんは伏し目がちに小さな声で否定しようとしましたが……

 「手元の記録ではたしかにやったことになってるけど、もし、
本当に私の指示通りにやっていたのなら……こんな結果にはなら
ないはずだよ」

 「それは……」

 「それは、やってもいない勉強をやりましたと私に報告してた
ってこと……つまり、私に嘘をついていたということだよね」

 「えっ……」
 茜ちゃんは『嘘』という言葉にひっかかりを覚えて顔をあげま
すが、『じゃあ、どれほど真剣にやっていたんだ』と問われたら、
それには自信がありませんでした。

 「小学校の頃はどうだったか覚えているかい?」

 「『どうだった』って何が……」

 「勉強だよ。どうしてお勉強してたか、覚えているかい?」

 「それは……」
 茜ちゃんは再び頭を下げて嵐の過ぎ去るのを待ちます。

 「えっと……」
 俯くその顔は確かに申し訳なさそうな顔にも見えますが、内心
は、『あ~あ、お小言早く終わらないかなあ』と思っていただけ。
 何よりこうしていればお父さんの恐い顔を見ずにすみますし、
お小言が頭の上を通り過ぎていきますから楽だったのです。

 そんなことですから……
 「茜、聞いているのかい?」
 なんてお父さんに強く言われちゃいます。

 「えっ?」
 茜ちゃんは思わず顔を上げましたが、その時すでにしっかりと
寝ぼけ眼でした。

 「忘れちゃったかな。小学校の頃のことは……」
 「あっ……はい……あっ、いいえ」
 お父さんは相変わらずの笑顔ですから茜ちゃんはその顔を見て
ほっと一息です。

 でも、お母さんは大人ですし、何より長らく夫婦ですからね、
お父さんの気持は茜ちゃんよりよくわかっていました。

 「覚えてます。テストのお点が悪いと、そのたびにお母さんが
家庭教師をやってくれて……もし、そこでも答えを間違えると、
お尻をぶたれてました……」
 消え入りそうな声で茜ちゃんは答えます。

 「そうだね、小学校では単元ごとにテストがあるから、各教科
一学期で10回はテストがある計算だもんね。茜ちゃんも、毎日
毎日痩せる思いだった訳だ」

 「…………」

 「その点、中学校では一学期に行われる主なテストは、中間と
期末の二回だけだもんね。今はずいぶん楽になったと思ってるの
かな。……それで気が抜けちゃったというわけだ」

 「(えっ、何が言いたいのかしら?)」
 茜ちゃんはお父さんの言葉に身の危険を感じます。
 それって、女の第六感というやつでした。

 「茜。これはテストのことに限らないけど、幼い時というのは
何かにつけてお仕置きが多いんだ。……それも、おいたをしたら
すぐにぶたれる。覚えてるだろう?」

 「…………」
 茜ちゃんは小さく頷きました。

 「それが大人に近づくと、お仕置きの回数は減るものなんだ。
勿論、分別がついておいたの回数が減ったというのもあるけど、
私たちもまた、大きくなった子に、些細なことまでとりあげてお
仕置きをするより、もう少し様子をみようと思うんだ。……その
間に自分で心を入れ替えてくれることを期待してね」

 「…………」

 「だけど、それって、いつまでもってわけにはいかないんだ。
一定の期日を区切って、それまでに成果が見えない時は…………
頭のいい茜だったら、お父さんの言ってることわかるよね」

 「…………」
 茜ちゃんにはお父さんの言っている事が分かるのですが、その
結果どうなるかは認めたくありませんでした。

 「テストも同じ。一学期に二回しかテストがないからその間は
遊んでいてもいいってことにはならないんだ。中間や期末までの
計画を自分で立てて勉強しておかないと……あとでこうむる罰は
小学校の時のお尻ペンペンぐらいじゃすまないんだよ」

 お父さんのお説教を、相変わらず申し訳なさそうな顔で居眠り
しながら聞いてる茜ちゃんでしたが、これではまずいと思ったの
でしょう。お母さんが割って入ります。

 「そうね、ちょうどいい機会だから、今日は中学生のお仕置き
がどんなものか経験してみるのがいいかもしれないわね」

 その瞬間、茜ちゃんの目が一瞬にして醒めます。
 というのも、幼い頃からお仕置きの大半はお母さんによるもの。
お母さんがお仕置きについて話せば、たとえ自分のことではなく
ても緊張します。お母さんの声は茜さんにとっては起床ラッパと
同じだったのでした。


***************************

10/24 御招ばれ(11)

10/24 御招ばれ(11)

*)ソフトなソフトなお仕置き小説です。私的には…(^◇^)

***************************

 <主な登場人物>
 春花……11歳の少女。孤児院一のお転婆で即興ピアノが得意
 美里……11歳の少女。春花の親友。春花に乗せられて悪戯も
    するが、春花より女の子らしい。絵が得意な少女。
 大西泰幸……中世史の研究をする大学の先生。実の子はすでに
    医者として独立、『茜』という養女をもらっているが、
    春花や美里も養女にしたいという希望を持っている。
 大西一枝……大西泰幸の妻、専業主婦。茜を厳しく躾けるが、
    茜は彼女を慕っている。
 大西茜……大西泰幸の養女。13歳で春花や美里よりお姉さん
    だが、楚々とした感じのお嬢さんとして躾けられている。
 高瀬先生……古くから大西家に出入りしているお医者様。特に
    子供達へお仕置きがある時は浣腸や導尿などでお手伝い
    もする。
 明子さん……長い間大西家に仕えている住み込みの女中さん。
    大西家の生き字引。

****************************

 用事をすませたお父さんは、茜ちゃんをお母さんや高瀬先生の
待つ部屋へと送り届けます。

 「入るよ」
 そう言って障子を開けると……

 「あら、あなた、下りてらっしゃったんですか?」
 お母さんが驚いて出てきました。

 「窓から茜の戸惑ってた姿が見えたものだから……」
 茜ちゃんの肩を抱いて立っているお父さんに、部屋の中の人は
みなびっくりです。

 「さあ、入って……もう大丈夫だから」
 お父さんは、縮こまった小さな肩をそっと押して、茜ちゃんを
そっと部屋の中に入れてあげるのでした。

 「でも、本当に大丈夫なんですか?上の二人」
 お母さんの心配は茜ちゃんではなく、春花と美里がまた降りて
こないかというものでしたが……

 「大丈夫だよ、今度は部屋を出ないように言いつけてきたから
……茜、さっきはすまなかったね」
 お父さんは茜ちゃんにも素直にお詫びを言います。
 普段のお父さんはとても優しい人でした。

 「先生、グリセリンで100㏄石けん水で500㏄ほどかけて
洗っといたが、ついでに導尿もしておくかね?」
 高瀬先生がお父さんに尋ねます。

 その瞬間、茜ちゃんの背筋が凍りますが……お父さんはその時
の茜ちゃんの顔だけで十分だったみたいで……

 「いや、そこまではしなくていいですよ。今回、それはとって
おきましょう。これから先また色々とやっかいなことができれば
使うことがあるかもしれませんから……」
 高瀬先生の提案を断ってくれたのでした。

 すると、今度はお母さんが……
 「あなた、衣装はどうしましょう?体操服でいいですか?」
 と、言ってきます。

 「そうだな、体操服でもいいけれど、お浣腸もすでに済んでる
ことだし、白のワンピでいいんじゃないか」
 お父さんが提案します。

 大西家では、お仕置きの時の衣装はお父さんが決めるしきたり
になっていました。

 「わかりました。それでは、準備ができしだい二階に上げます
から……」
 「ああ、そうしてくれ。すぐにでもかまわないよ」

 お父さんはこうして一旦その場を離れます。

 『やれ、やれ……』
 障子を閉めてほっと一息。二階の書斎に戻ろうとしたその瞬間
でした。

 「ガラガラガラ……」
 戸車のついた二階の窓が閉まる音がします。

 お父さんはとっさに『しまったあ!』と思いましたが後の祭り
でした。
 そう、今の今まで春花と美里が下の様子を見学していたに違い
ないのです。お父さんは二人に階下には下りてこないように注意
していましたが『窓を開けてはいけない』『外を見てはいけない』
とは言っていませんでした。

 「こりゃあまた茜に借りを作ってしまったか」
 お父さんはぼやきながら階段を上がります。


 「待たせたね」
 お父さんが春花と美里の待つ書斎に帰ってくると、さっそく…

 「ねえ、おじさま。茜お姉ちゃんをお仕置きしたの?」
 「ねえ、したよね。私たち窓からずっと見てたんだから……」
 「ねえ、お浣腸のお仕置きしたんでしょう」
 「ねえねえ、お姉ちゃん泣いてなかった?」
 「ばかねえ、泣いてる決まってるじゃない。赤ちゃんみたいに
してオシッコさせられたんだもん」
 「ねえ、あれが私たちに見せたいっていうお仕置きなの?」
 「ねえ、だったら言ってくれたらいいのに……」
 「ホントよ、危うく見逃すところだったんだから……」

 お父さんは部屋に入るなり二人から矢継ぎ早の質問を受けます。
 しかもこの二人の声は明るく弾んでいて、茜ちゃんのお仕置き
をまるで楽しいショーのように思っているみたいでした。

 『おや、おや、こちらさんたちときたら、まだまったくの子供
だな』
 先生は思わず苦笑い。可愛い少女二人にあるいは抱きつかれ、
あるいはその腕にぶら下がられてお父さんはモテモテでしたが、
心は晴れません。

 実際、子どもというのは恐ろしく楽天的です。大人のように、
『その災いがやがて自分にも降りかかるかもしれない…』なんて
ネガティブな考えは持ちません。今が楽しければ笑い。悲しけれ
ば泣く。目の前のことにしか興味がありませんでした。

 ですから、自分に関わりがなければ誰がお仕置きされていても
それは楽しいショーなのです。もちろん、女の子の世界では友達
甲斐に同情して泣いてくれたりもしますが、それもつきつめれば、
自分が善い人と思われたいからそうするだけで、内心は別にある
みたいです。

 二人はすでに何度かこの家に遊びに来ています。でも、二人に
とって茜ちゃんはそんなに近しい距離ではありません。
 『茜ちゃんがお仕置きされる』と聞いて、それが楽しいものに
感じられたとしても無理からぬこと。子供なら仕方のないことで
した。

 先生は、春花と美里をひき連れてソファへ向かい、そこに腰を
下ろします。
 すると、二人はすぐに先生のお膝の上に乗ってきました。

 先生が二人に頬ずりしてもお尻に手がいっても嫌がりません。
 何回かのお泊り経験で、先生は自分たちには優しい人だと学習
しているみたいでした。

 「お浣腸は、お仕置きの前にやるんだ。ここでお仕置きしてて
粗相なんかされるとせっかくの絨毯にシミがついてしまうからね」
 「でも、あれもお仕置きなんでしょう?」
 「そう、だって茜お姉ちゃん泣いてたもん」

 「見えたのかい?」
 お父さんが不思議そうに尋ねますと……
 「うん」
 春花は首を縦にしますが……

 二階から遠い暗がりのトイレを見ても、見えるのはぼんやりと
した人影だけ。お父さんが茜ちゃんを抱っこしているのは何とか
分かったとしても、お父さんがパジャマのズボンを下ろしたのさ
え、ここからでははっきりと見えませんでした。

 春花が、『お姉ちゃんが泣いていた』というのはあくまで想像
にすぎませんが、先生は咎めませんでした。
 女の子から空想の翼を取り去ることは女性を裸にするのと同じ。
紳士たるもの、そんな無粋なことをしてはならないと考えていた
のです。
 先生は春花の嘘を微笑みの中に封印します。

 「ねえ、お姉ちゃんのお仕置きって、どうするの?」
 「どうって、鞭でぶつんだよ。君たちはずっとよい子だったから
そんなことは一度もなかったかい?」

 「んんんん」
 「んんんん」
 二人は首を横にします。

 「うちは四年生から鞭なの。それまでは平手だけだったけど…」
 「院長先生のはもの凄く痛くて、ほかの先生に抑えられながら
やるの」
 「みんな悲鳴あげるもん」

 「そうか、院長先生って恐いんだ」
 お父さんがこう言うと意外な答えが帰ってきました。

 「そんなことないよ。やさしいよ。私、好きだもん」
 「そう、いつもはとっても優しいの。規則を破ったり怠けたり
すると恐いけど……その時だけ」
 子どもたちの話は、信頼している、愛されてるからこそ、その
範囲内ではぶっても虐待ではなくお仕置きという事のようでした。

 「ねえ、お姉ちゃん、いくつぶたれるの?」
 「さあ、いくつになるかなあ。……いくつになるかは茜しだい
だな」

 「どういうこと?」
 「うちでは鞭の数を最初に決めないんだよ。『この子反省して
るな』ってわかるまで続けるんだ」

 「じゃあ、反省しないと、ずっとぶたれるの?」
 「ま、それはそうだけど、いつまでもじゃないさ」
 「どうして?」
 「だって、親の鞭で反省できない子なんて誰もいないもの……
そんないい加減な教育や躾はうちでもしていないからね。だから
みんな立派に育つんだ」

 お父さんが自信たっぷりに話すと、二人はさっそく耳元でコソ
コソ話。
 「ねえ、恐いね」
 「ホント」
 「私たちここの子じゃなくてよかったね」
 「うん」
 それは先生の耳にも届いていましたが笑っていました。

 「ねえ、おじさま。……今ここにはいないけど、おじさまには
お医者様になった二人のお兄ちゃんがいるって、明子さんが言っ
てたけど、ホント?」

 「ああ、ホントだよ。彼らだって僕からたくさん鞭を受けた。
二人とも男の子だったからね、茜より多かったんだよ。だけど、
それで恨むようなことはなかったんだ。茜を施設から引き取る時
だって……『私はお前たちに知識や知恵や常識は授けた。それが
親の責任だからだ。しかし、私の財産はあてにするな。「児孫の
為に美田を買わず」という言葉があるように、男ならそうした物
は自分の力で作り出すものだからだ』って言ってやったんだよ。
僕はね、自分の子どもに残す財産があるなら、一人でも二人でも
血縁を頼れない子を世に送り出したいんだよ」

 先生は幼い二人にはとうてい理解できないことをポロリ。
 思わず、本音がでてしまったのでした。


 そうこうしているうちにドアがノックされます。
 もちろんやって来たのは茜ちゃんでした。

 「そうだ、君たちはそっちのソファに座って見てて欲しいんだ。
見てるのが辛いような事が起こるかもしれないけど、できるだけ
声を出さないようにしてね。君たちには決して何もしないから…」

 先生は春花と美里に小声で指示を出すと、おもむろにノックに
返事を返します。

 「誰だい?」
 とはお父さんの声。
 「茜です。お呼びでしょうか?」
 と、茜ちゃんの声は少し緊張しているみたいでした。

 「お入りなさい」

 お父さんの声に厚い木製扉が開く音がします。これからがいよ
いよ本番でした。

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10/22 御招ばれ(10)

10/22 御招ばれ(10)

*)ソフトなソフトなお仕置き小説です。私的には…(^◇^)

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 <主な登場人物>
 春花……11歳の少女。孤児院一のお転婆で即興ピアノが得意
 美里……11歳の少女。春花の親友。春花に乗せられて悪戯も
    するが、春花より女の子らしい。絵が得意な少女。
 大西泰幸……中世史の研究をする大学の先生。実の子はすでに
    医者として独立、『茜』という養女をもらっているが、
    春花や美里も養女にしたいという希望を持っている。
 大西一枝……大西泰幸の妻、専業主婦。茜を厳しく躾けるが、
    茜は彼女を慕っている。
 大西茜……大西泰幸の養女。13歳で春花や美里よりお姉さん
    だが、楚々とした感じのお嬢さんとして躾けられている。
 高瀬先生……古くから大西家に出入りしているお医者様。特に
    子供達へお仕置きがある時は浣腸や導尿などでお手伝い
    もする。
 明子さん……長い間大西家に仕えている住み込みの女中さん。
    大西家の生き字引。

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 茜ちゃんは、グリセリンのお浣腸が終わるとパジャマ姿になり
ました。水玉ピンクのパジャマは茜ちゃんのお気に入り。でも、
これでお浣腸が全てすんだわけではありません。

 「さてと、茜、お浣腸の最後にお腹を綺麗にしておきましょう」
 お母さんの言葉は茜ちゃんを再び震撼させます。

 「せっかく、パジャマ着たのに……」
 茜ちゃんが文句を言うと……

 「大丈夫よ。今度は石鹸水のお浣腸だから、刺激も強くないし、
我慢もしやすい。服を汚す気遣いはないわ」
 お母さんが言えば、高瀬先生も……
 「そうだよ。茜ちゃん。今日はグリセリンの量が多かったから
ね。残ったお薬を完全に身体の外へ出すためにもお腹の中をもう
一度洗った方がいいんだよ。洗濯する時、すすぎをやるだろう。
あれと同じだよ」
 こう言って茜ちゃんを説得します。

 もちろん、茜ちゃんがたとえ嫌がっても最後は脅しつけてやる
つもりでしたが、お母さんにしろ高瀬先生にしろ、できれば納得
ずくでやりたかったのでした。

 抵抗してもしなくても結果は同じです。
 そのことは当の茜ちゃんも承知しています。ただ彼女としては
この機会にもう少しお母さんに甘えたい。
 茜ちゃんの望みはむしろそちらにあったのでした。

 ですから、茜ちゃんも今回は比較的短い説得で観念します。
 何より今度は赤ちゃんのオムツ替えポーズではありませんから、
それだけでも心はとっても楽でした。

 「それじゃあ、お布団に横向きになって……」
 先生は茜ちゃんに命じます。

 今回の茜ちゃんは、身体の左側面を下にして横向きに寝ると、
左脚をまっすぐ右脚を曲げた姿勢で待ちます。シムズの姿勢とか
側臥位と呼ばれるこの姿勢は、直腸検査やお浣腸を受ける患者が
やらされる定番の姿勢でした。

 何よりこの方が患者にとって楽ですし大量の浣腸液も無理なく
体に入ります。高瀬先生もこれが茜ちゃんのお仕置きと気づいて
いなければ最初からこうしてやっていたはずでした。

 ただ茜ちゃんに対する見せしめ刑は相変わらずで、高瀬先生は
茜ちゃんを側臥位の姿勢にすると、パジャマのズボンを脱がして
からこう言うのでした。

 「明子さん、石けん水を作ってきてほしいじゃが……そう1L
もあればいいから……」
 先生は明子さんに注文を出します。

 もちろん茜ちゃんのパジャマのズボンを下ろしてから言わなく
てもいいことなんですが、あえてそうするのは茜ちゃんに恥ずか
しい思いをさせるためでした。

 茜ちゃんは……
 昔、同じような事があった時、自分でパジャマのズボンを引き
上げたら、『もうじき始まるから…』と、高瀬先生に止められた
ことを思い出していました。

 「点滴台(イルリガートル台)もお持ちしましょうか」
 明子さんは気を利かせてそう言いましたが……

 「それにはおよばんよ。……あっ、急がなくていいからね」
 高瀬先生はそう言って明子さんを送り出します。

 その時。茜ちゃんは一度は握ったズボンのゴムを離します。
 茜ちゃんはこのズボンは引き上げちゃいけないんだと悟ったの
でした。

 高瀬先生もまた、そんな茜ちゃんの小さな行動を見逃しません。
 「お母さん、茜ちゃんも大人になっりましたね」

 言われたお母さんも頬を赤らめて……
 「ありがとうございます」
 と応じます。

 「人の心を察することができるようになるのが大人への第一歩
ですから……」
 高瀬先生は何だか嬉しそうにそう言うと、茜ちゃんの裸のお尻
にバスタオルを一枚かけてあげるのでした。


 5分ほど、高瀬先生とお母さんは茜ちゃんがまだ幼い頃の昔話
に花を咲かせます。

 日頃、男の子とばかり遊んでいて、木登りは得意だけどお勉強
はさっぱりだったことや、お転婆に手をやいたお母さんが初めて
お灸を据えた日のこと。大の甘えん坊で夜は必ず両親どちらかの
布団に入って寝ていたこと。さらには幼稚園時代すでにオナニー
を覚えてしまいお母さんを慌てさせたことなど……その大半は、
茜ちゃんが赤面することばかりでした。

 これもお仕置きでしょうか?
 いえ、これは、きっと違うでしょう。
 だって、茜ちゃんはその間必死に笑いをこらえていましたから。

 もし、これが愛情や信頼関係のない親子だったら、茜ちゃんは
自分の恥ずかしい過去を話題にされて笑ったりできないはずです。

 同じ事をされても、相手のことをどう思っているかで、受ける
心持はまったく違うもの。他人からは虐待に思える行為も、その
親子にとってはまったく別のものだったりします。

 恥ずかしいお仕置きも実は相手次第。赤の他人なら許されない
虐待も、信頼関係のある親子ならお仕置きということだって……
昔はそんなこと、よくあることでした。


 やがて、明子さんが石鹸を溶いたぬるま湯をなみなみとお鍋に
入れて持って来てくれました。
 
 「これはたくさんだな。こんなにいらなかったのに。500㏄
もあればよかったんだ」
 高瀬先生はそう言いながらも、明子さんからのお鍋を受け取り
ます。その顔は笑っていました。

 いえ、高瀬先生だけではありません。お母さんも明子さんも、
そして、当の茜ちゃんですら、深刻な顔はしていませんでした。

 「さあ、いくよ」

 高瀬先生はさきほどグリセリンを入れて使った浣腸器を使って
今度はお鍋の中の石けん水を吸い上げます。
 今回は50㏄ではありません。100㏄全部吸い上げてから、
その先端を指で押さて、それをそのまま茜ちゃんのお尻へ……

 「ほれ、もう1本……じっとしてるんだよ」
 そう言って一回一回脱脂綿で栓をしてから次を準備します。

 結局、100㏄が5回で500㏄。全ての石けん水が茜ちゃん
のお尻に納まると、そこで許してくれました。

 「さあ、いっといで」

 高瀬先生に送り出させて茜ちゃんがむかう先。それは昼間春花
と美里が遊んでいたあのお外のトイレ。

 茜ちゃんが縁側に出るとお母さんが障子を閉めてしまいます。
高瀬先生もお母さんも、茜ちゃんのトイレタイムまで覗こうとは
思っていませんでした。

 夕闇が迫り、周りを高い生垣に囲まれた中庭はすでに真っ暗。
内庭ですから泥棒でも入ってこない限り誰の目も届きませんが、
ここで用を足すのは、さすがに茜ちゃんにとっても辛いものが…
 でも、仕方がありませんでした。
 だって、これは大西家の昔から習慣だったのですから。

 実のお子さんもお仕置きでここへ連れてこられた伝統のトイレ。
 でも、茜ちゃんには単に恥ずかしいというだけでなく別の不安
もあったのです。
 というのも、足を踏ん張るこの板、乗るとたわんでとても大き
く揺れます。

 『いやだなあ』
 茜ちゃんはできるだけ板を振動させないようにそっと乗ります
が、それでも板は自分の体重で揺れ始めます。

 不安定な足場におっかなビックリというわけです。
 すると、人間不思議なもので、そんな足元の揺れるところでは
出そうとしても出ないんです。

 お腹はすでにだぼだぼ、パンパンにはっています。
 石けん水は効き目が穏やかなのでグリセリンのような強い刺激
や切迫感はありませんが、それでも時間の経過と共に恥ずかしさ
だけでなく苦痛も増してきます。

 『早く、おトイレしなくちゃ』

 今さら恥ずかしいなんて言ってられませんから、ここで出して
しまいたいと思うのですが……でも、いざ出そうとすると……

 「いやっ!」
 揺れ動く足元に気を取られて、止まってしまうのでした。

 『どうしよう、どうしよう』

 まるで糞詰まりチンみたいにその場をやみくもに回り始めた茜
ちゃん。本来ならこんな姿だって他人には見せたくありません。
 ところが……次の瞬間、ビックリするようなことが起こります。

 「いやあ~」
 茜ちゃんは悲鳴もろともその身体が空中に浮かび上がったので
した。

 振り返った茜ちゃんは叫びます。
 「やめて、お父さん」
 犯人はお父さんでした。

 茜ちゃんは抱かれたままの姿勢で慌てて身体をよじりますが、
その大きな腕の中にすっぽり入った身体はどうにも身動きが取れ
なくなっていたのでした。

 「何だ嫌いなのか?」

 「当たり前じゃないの!!」
 茜ちゃんは大きな声を出しますが……お父さんは動じません。

 「大きな声を出すと、部屋の中の人に聞こえるよ」
 こう言うだけだったのです。
 そして茜ちゃんの意向は聞かずにパジャマのズボンとショーツ
をずり下げます。

 「いやっ……やめて……」
 茜ちゃんが出した大声は最初の『い』の音だけ。とっさに先の
事を考えると出なくなってしまったのです。

 悲鳴をあげれば、お母さんのお部屋の障子が開いて、中にいる
大人たちがこちらを見るでしょう。パジャマのズボンとショーツ
を脱がされてお父さんに抱っこされている私を……
 それは絶対に避けなければならない。茜ちゃんはとっさにそう
判断したのでした。

 お父さんは茜ちゃんを赤ちゃんにおしっこさせるように抱いて
板の上に乗ります。

 「どうするの?」
 「どうするって、ウンチとおしっこするんだろう」
 「いやよ、こんなの」
 「嫌でも、ここしかないんだよ。それはお約束のはずだよ」
 「だって、ここ揺れるもん」

 たしかに最初はお父さんの体重で板が大きくたわみましたが、
お父さんがじっとしゃがんでいると、その揺れは次第に収まって
いき、茜ちゃんの身体も安定します。

 でも、だからって……
 「…………」
 茜ちゃんは無言です。もちろん、ウンチも我慢していました。

 すると、お父さんが……
 「早くしなさい。鞭の数を増やしたいのかね」
 と、脅かします。

 「えっ!?」
 茜ちゃんは驚きます。
 でも、だからって……
 「…………」
 茜ちゃんは決断できません。

 すると。今度は……
 「しょうのないやつだなあ」
 お父さんが左手だけで茜ちゃんの太股を支えて、右手でお腹を
揉み始めます。

 「これでどうだ」
 「いやあ、だめえ~~そんなことしないで!そんなことしたら
出ちゃうよ~~」
 悲しい声で訴えますが…でも、それだけじゃありませんでした。

 「いやあ~~~~ん」
 お父さんは、何と茜ちゃんのお尻の穴にまで指を入れたのです。

 これには、茜ちゃんもどうすることもできません。
 「やめて、やる、ウンチするから……本当にするから……もう
しないで~~」

 とうとう降参です。

 「見ないでよ!!」
 茜ちゃんは悪態をついてからお父さんのお膝の上でお尻の筋肉
を緩めます。

 「………………」
 滝のような激しい音が夜のしじまに流れます。
 それは一度浣腸が済んでいますから、出てくるのはオシッコも
ウンチもほとんどが水でした。

 こんなことって何年ぶりでしょうか。
 鼻水をすすりながら、涙を流しながら、茜ちゃんはお父さんの
お膝の上で用を足します。

 もちろんそれって、屈辱的で恥ずかしい瞬間なわけですが……
茜ちゃんは笑っていました。
 親にも、友だちにも、とにかく誰にも言えませんが、こうして
いると、自分の心が温かいのに気づきます。嬉しいさがこみ上げ
てくるのです。

 『私、変態だわ……きっと……』

 自分の笑顔を俯くことで隠しながら、茜ちゃんの心はいつしか
幼児に戻っていたのでした。

 「終わったか?」
 お父さんの野太い声がして、茜ちゃんの目の前に白いティシュ
が現れます。

 もちろん、茜ちゃんはこれが何をする為の物かはわかっていま
した。不自由な姿勢ですが、出来ない事はありません。
 ところが、茜ちゃん、この期に及んでもたもたしているのです。

 とうとう堪忍袋の緒がきれたのでしょう。
 「もういい。ここで四つん這いになるんだ」
 お父さんは芝生の上に茜ちゃんを下ろします。

 この地域では『モーモーちゃん』と言われて、まだごく幼い子
が用を足した後に親からお尻を拭いてもらう時に取る姿勢でした。

 「まったくしょがないやつだ」
 お父さんは不満そうでしたが、やってくれます。

 大きな手が自分の大切な処にティシュと一緒にやって来て荒々
しくかき回します。少し痛いです。
 でもこれ、茜ちゃん自身が望んだことだったのです。

 女の子は恥ずかしくて素直に自分の希望を伝えられないときも
好きな人から何かしらして欲しいと思っています。
 そう、口にはださなくても茜ちゃんにとってお父さんは、まだ
まだ好きな人だったのでした。

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10/20 御招ばれ(9)

10/20 御招ばれ(9)

*)ソフトなソフトなお仕置き小説です。私的には…(^◇^)

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 <主な登場人物>
 春花……11歳の少女。孤児院一のお転婆で即興ピアノが得意
 美里……11歳の少女。春花の親友。春花に乗せられて悪戯も
    するが、春花より女の子らしい。絵が得意な少女。
 大西泰幸……中世史の研究をする大学の先生。実の子はすでに
    医者として独立、『茜』という養女をもらっているが、
    春花や美里も養女にしたいという希望を持っている。
 大西一枝……大西泰幸の妻、専業主婦。茜を厳しく躾けるが、
    茜は彼女を慕っている。
 大西茜……大西泰幸の養女。13歳で春花や美里よりお姉さん
    だが、楚々とした感じのお嬢さんとして躾けられている。
 高瀬先生……古くから大西家に出入りしているお医者様。特に
    子供達へお仕置きがある時は浣腸や導尿などでお手伝い
    もする。
 明子さん……長い間大西家に仕えている住み込みの女中さん。
    大西家の生き字引。

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 「先生、お薬は普段うちで使っているのでよろしいでしょうか」
 お母さんはおずおずとこげ茶色の薬壜を先生に差し出します。
 それは大西家に常備されていた200㏄入りのガラス壜でした。

 「もちろん結構ですよ。……おお。これはうちでお渡しした物
ですね」
 先生はうやうやしく受け取ります。

 この時代、お浣腸は便秘の為だけにするものではありませんで
した。お腹の具合が悪い時、とりわけ子供に熱がある時などは、
家庭内でも広く行われていましたから、街の薬局でイチヂク浣腸
を購入するだけでなく、病院の薬局からも光を遮断する色つきの
ガラス壜に入れて多めに持ち帰る家庭が少なからずありました。
 そう、お浣腸って、今よりずっと身近な医療行為だったのです。

 「さあ、行きますよ」

 高瀬先生は、おもむろに半透明な茶色のガラス瓶の蓋を取ると、
50%のグリセリン溶液を吸い上げ、最近、肉付きのよくなった
茜ちゃんの二本の足付け根を押し開きます。そして、緊張の為か
ヒクヒクと動いているまだ可愛らしい菊座を確認して、ガラスの
先端を差し入れます。

 「……(うっ)……」
 小さな衝撃ですが、とても恥ずかしい一瞬です。
 慣れない子の中には思わず拒んでしまう子も……でも茜ちゃん
のお尻は先生のガラスの突起を拒否せず受け入れます。

 「よし、いい子だ」
 満足そうな高瀬先生の声がしました。

 こんなこと普段は看護婦に任せている仕事。ここでも、恐らく
お母さんか、明子さんの方が場慣れしているかもしれませんが、
あえてそれを先生がやるのは、やはり先生が男性だから…つまり、
茜ちゃんに辱めをくわえるためでした。

 「ようし、その調子。……さあ、もう一ついくよ」
 先生は本来なら100㏄入る浣腸器にあえて全量をいれません。
 50㏄ずつ二回に分けて行います。
 それもこれも、このお浣腸がお仕置きとして行われているのを
知って、わざと時間をかけているのです。

 十分に時間をかけることで、高瀬先生は茜ちゃんをじっくりと
辱めることができます。
 そして、グリセリンを全て入れ終わると……

 「あえて栓はしないからね、自分の力で頑張るんだ。頑張って
頑張って、悪かったことを反省してごらん」

 高瀬先生はそこまで言ってから、それまで足元に脱ぎ捨てられ
ていたショーツをを足首に穿かせます。

 「!」
 すると、茜ちゃんの反応は早いものでした。

 こんなに長い時間、大人たちに恥ずかしい姿を見られていて、
今さら急いでみてもどうにもならないはずですが、茜ちゃんは、
自分の足首にショーツが引っかかったのを感じると、すぐさま、
それを引き上げました。
 どんなに長い間辱めを受けていても、その時間を一秒でも短く
したいというは少女の素直な気持なのかもしれません。

 その慌てぶりを見て、大人たちは思わず苦笑していたのですが、
茜ちゃんはそのことに気づいていたでしょうか。


 さて……
 これで恥ずかしさだけは若干緩和されることになりましたが、
だかといって、グリセリンの効果まで緩和されるわけではありま
せんでした。
 このお薬は即効性が顕著なお薬なのです。

 「ひぃ~~~~」
 ショーツを引き上げた直後には、もう茜ちゃんの顔色が変わり
ます。

 信じられないほどの強い下痢がいきなり茜ちゃんを襲います。
 お腹の急降下というやつです。
 「……(おなかが痛い)……」
 たちまち芋虫のように布団の上で丸まって、後は身の置き所の
ない地獄でした。

 栓はしてない。オムツもしてない。もしこのまま爆発したら、
他人に見せたくないものがあたり辺り一面に広がって薄い布団を
汚していきます。
 そんなこと、想像するだけで気絶しそうです。
 女の子にとってはとても耐えられそうにない現実でした。

 「いやあ、いやあ、だめえ~~出る出る出る」
 うわ言のような訴えが続きます。
 それを受け止めたのはお母さんでした。

 お母さんは身体を丸めた茜ちゃんをしっかりと抱きしめます。
 こんな大変な時ですから、茜ちゃんにはほとんど冷静な判断が
できません。お母さんに抱きしめられている今の今でさえ、少女
にとっては新たな罰を受けているように感じられて暴れるのです。

 「いや、いや、こんなのイヤ!!」
 茜ちゃんは熱病患者のようにお母さんの胸の中で何度も叫びま
した。
 でも、その身体はお母さんに押さえられてどうにもなりません。

 「あっ、だめ~~」
 大津波に反応して、思わず奇声が上がります。

 もし、これがお薬の影響のない普段なら、あるいは茜ちゃんは
全力を出してお母さんの抱っこを跳ね除けていたかもしれません。
 でも、今、その全力を出したらどうなるか……

 最悪の事態が頭をよぎります。
 そう考えると無理は出来ませんでした。

 だから、お母さんの力が勝って、茜ちゃんは次第にお母さんの
胸の中で締め付けられていきます。自由の利かない絶望の中へ。

 「あ~~ん、お母さん、いやいやいや……」
 半狂乱のようになった茜ちゃんは必死になってお母さんの中で
訴えますが、どうにもなりませんでした。

 『あっ、だめえ~~~私、壊れちゃう』
 窒息するほど圧迫されたお母さんの胸の中で、茜ちゃんは自分
の進退が窮まったこと悟ります。

 『今さら開放されても、もうどこへも行けない。ここでやって
しまうしか……』

 そんな絶望が心に広がるなか、茜ちゃんはそれまでとはまった
く違う感情が自分の心の奥底にあるのを感じるのでした。

 『どうしてだろう。どうしてこんなことしてるのに気持いいの。
こんなに苦しいのに……どうして?』
 『不思議な気持。苦しいことが気持いいなんて初めて……変よ、
変。絶対に変だけど、そんな気がするわ。私、壊れちゃったの?』
 『ああ~、まるで赤ちゃんに戻っていくみたい。とろけそう。
こんなに気持いいことって、何年ぶりだろう。こんなこと、誰に
話しても信じないだろうなあ』
 『ああ~、あまえていたい。このままずっとお母さんに甘えて
いたい』

 そんな娘の変化をお母さんも感じていました。
 それまで、お薬の入った不自由な身体ながらも必死にここから
這い出ようと手足をバタつかせていた茜の身体が今はすっぽりと
自分の胸の中におさまっているのです。抵抗しない分、膝の上も
軽くなります。
 それは茜が自らお母さんに抱かれたいと思っているからでした。

 『し・あ・わ・せ……こんな幸せもあるんだ』

 恥ずかしさに打ちひしがれながらも、それでいて安らぎを見出
した茜。でもそれは、二十数年前、茜のお母さんが自身で感じた
ことでもあったのです。
 そう、お母さんもまた娘時代、そのお母さん(茜ちゃんの祖母)
からお浣腸を受けて、その胸で泣いたことがあったのでした。

 「どうしたの?……落ち着いた?……苦しいでしょう?出して
しまっていいのよ」
 お母さんは茜さんに優しく声を掛けます。
 もちろん、お母さんはすべてを承知の上で茜ちゃんを抱きしめ
続けていましたからそれでもかまわなかったのです。

 とはいえ、お浣腸には波があります。小康状態の次には大波が
……

 「いやあ、だめえ、やめてえ~~トイレ、トイレ、トイレ」
 茜ちゃんの突然の大声。

 まるで目覚めて泣き出した赤ん坊のように声を荒げることも…
 ただ、そんな時も、お母さんはそ知らぬ顔で我が子を抱き続け
たのでした。

 「ああ、いい子、いい子、いい子ね。恐がらなくていいのよ。
あなたは私の赤ちゃん。それは今も変わらないわ。私が、ずっと
あなたを守っててあげるから大丈夫よ。何が起こっても大丈夫よ」
 お母さんは再びすっかりおとなしくなった茜ちゃんの頭をなで
つけながら囁きます。

 『何が起こっても大丈夫』
 お母さんの言葉には、『ここで用を足しなさい』という意味も
含まれています。
 ですから……

 「トイレ、トイレ行きたい」
 茜ちゃんがいくら頼んでも結局トイレは与えられませんでした。


 10分が経過した頃、そのトイレの代わりに用意されたのは、
最初からそういうお約束だったオムツ。

 もう、この頃になると、恥ずかしいと言って抵抗することすら
できないほど事態が緊迫していました。
 おかげで、大人たちが茜ちゃんのショーツを脱がせ昔ながらの
浴衣地を裂いて作ったオムツに履き替えさせるのにも、それほど
苦労はいりませんでした。

 すると、ここで先生が……
 「もういいよ。茜ちゃん、やってごらん」
 と言うのです。

 『やってごらんって言われても……だからって、できる訳ない
じゃない』
 茜ちゃんは悲しく思います。
 でも、一方で……

 『そんなこと絶対にできない。絶対にできないけど……もう、
限界。やってしまうかもしれない』
 茜ちゃんは自分の胸に語りかけるのでした。


 オムツをしてさらに10分後。茜ちゃんはそれでも必死に我慢
を続けていましたが、ついにその時がやってきます。

 「ほら、ほら、これ以上は身体に悪いからやめようね」
 高瀬先生はそう言って茜ちゃんの下腹を揉み始めます。
 すると、これが最後でした。

 「…………………………(!)……………………………………」

 その瞬間は静かでした。
 茜ちゃんは言葉も発せず身体も動かさずでした。
 いえ、むしろその瞬間は身体の動きが全て止まっていました。

 というのも、茜ちゃんにこれいった感情がなかったのです。
 『とうとう、やっちゃった』
 というほかは……

 まるで、白昼夢を見ているようなぼんやりとした意識の中で、
周りの大人たちが忙しく働いているのだけがわかります。

 『これって、どういうことだろう?』
 茜ちゃんは思います。

 さっきまであんなに恥ずかしいこと、嫌なことだと騒いでいた
自分が、今はまるで他人事のようにそれを冷静に見ているのです。
……これって、心の不思議としか言いようがありませんでした。


 茜ちゃんは、お母さんと明子さんにお股のなかを蒸しタオルで
綺麗に拭き取ってもらい、天花粉をたくさんはたいてもらって、
最後はショーツまで穿かせてもらいます。
 そうやってもう一度、茜さんはお母さんに抱かれます。

 「よく頑張ったわ」

 お母さんは抱きしめた茜ちゃんに頬ずりします。
 すると、茜ちゃんもまるで幼稚園児のように笑ってお母さんの
頬ずりを受け入れるのです。

 「あらあら、ご機嫌だこと。でも、随分と大きな赤ちゃんだわ
ね」
 明子さんがイヤミを言いますが、茜ちゃんはそれさえも笑って
答えるのでした。

 「お母さん、好き」
 茜ちゃんの小さな小さな囁きがお母さんの耳に届きます。

 すると……
 「ありがとう」
 お母さんもまた満足そうに答えます。

 成長するとともに大人へ大人へと向かっていた茜ちゃんの心が
この瞬間だけは赤ちゃんへ逆戻りということでしょうか。
 でも、それも高瀬先生に言わせると……

 「恥ずかしいなんてのは、所詮相対的なもんじゃ。信頼できる
親がおればこそ、こんなこともできる。茜ちゃんにとってもいい
息抜きになったはずじゃよ」
 となるのでした。

 でも、これで『一件落着、めでたしめでたし』とはいきません。
 茜ちゃんには、これからまだまだ新たな試練が待ち受けている
のでした。

************************

10/18 御招ばれ(8)

10/18 御招ばれ(8)

*)ソフトなソフトなお仕置き小説です。私的には…(^◇^)

***************************

 <主な登場人物>
 春花……11歳の少女。孤児院一のお転婆で即興ピアノが得意
 美里……11歳の少女。春花の親友。春花に乗せられて悪戯も
    するが、春花より女の子らしい。絵が得意な少女。
 大西泰幸……中世史の研究をする大学の先生。実の子はすでに
    医者として独立、『茜』という養女をもらっているが、
    春花や美里も養女にしたいという希望を持っている。
 大西茜……大西泰幸の養女。13歳で春花や美里よりお姉さん
    だが、楚々とした感じのお嬢さんとして躾けられている。
 高瀬先生……古くから大西家に出入りしているお医者様。特に
    子供達へお仕置きがある時は浣腸や導尿などでお手伝い
    もする。
 明子さん……長い間大西家に仕えている女中さん

****************************

 「先生、では、お浣腸の方もお願いできますでしょうか」

 お母さんの一言で、いよいよその時がきます。
 茜ちゃんにとっては最初の正念場でした。

 「よろしいですよ。だいぶ溜まっているみたいなので、多めに
いたしましょうか」
 高瀬先生はそう言いながら往診かばんの中をまさぐります。

 出てきたのは100㏄も入るピストン式のガラス製浣腸器。
 この家の子供達を昔から散々脅かしてきた悪名高い代物でした。
 形状が痛い痛い注射器と同じで、おまけにこれは特大サイズと
きていますからね、子供達が怯えるわけです。

 茜ちゃんも事情は同じ。いまだに、これを見ると背筋に電気が
走ります。最初は『あんな大きなお注射!』と思って驚き、実際、
お浣腸を受けてみると、その恥ずかしさ、苦しさ、後味の悪さ、
(グリセリン浣腸は終わったあともお腹が渋ったようになります)
にショックを受けるというわけです。

 いずれにしても、この注射器のような浣腸器は、子供たちの…
とりわけ女の子たちの天敵でした。

 「どうでしょう、今回は100㏄お願いできないでしょうか」
 お母さんが高瀬先生にお頼みすると……

 「そうですか……本来、成長途中の子供に大量のお薬は負担が
大きいので避けたいところですが、無理のない程度にやってみま
しょう」
 先生はあっさり応じてしまうのでした。

 もしこれが見ず知らずの先生だったら断っていたでしょうが、
高瀬先生は幼い頃からずっと茜ちゃんを診て知っています。その
経験と自信から大丈夫と判断なさってやっていただいたのでした。

 お医者様をお仕置きに巻き込むなんて凄い家でしょう。
 でも、昔は全てがおおらかな世の中だったせいか実際にこんな
家庭も少なからずあるみたいでした。

 ただ、この時高瀬先生は一つだけ条件を出します。
 それは……
 「今回は、茜ちゃんにオムツをあててあげてください。そして、
その中にさせるようにしてください。オマルに跨ったり、へたに
トイレへ行くよりその方が安全ですから」

 でも、これもお母さんにしてみたら願ったり叶ったりでした。
 オムツへの排泄はいい見せしめになるからです。
 「承知しました」

 そして、お浣腸は始まります。

 茜ちゃんは先ほど受けた下半身の健康診断の時と同じように、
仰向けで、ショーツを脱がされ、両足を高く上げさせられます。
 要するに赤ちゃんのオムツ替えのポーズ。

 とても他人様にはお見せできない姿ですが、周囲にはお母さん
と明子さん、それに昔から茜ちゃんのことをよく知る高瀬先生と、
親しい人たちしかいませんから、そこは少しは気が楽なのですが、
ただ、こうした親しい人たちというのは親しいだけに無理難題を
吹っかけてきます。
 ですから、子どもたちは、大人たちの言いなり。どんな格好に
でもさせられのが普通だったのでした。

 いえ、茜ちゃんもこの格好になる前に、一応、お母さんに……
 「前は、横向きでなさったけど、それじゃいけないんですか?」
 と、言ってはみたんですが……

 「だめよ」
 あえなく一言で却下されてしまいました。

 実際、お浣腸の施術は茜さんの言うとおり横向きにしてやるの
が合理的でした。楽に大量に入りますから……
 ですが、お母さんだけでなく高瀬先生もまた、これが実質的に
大西家のお仕置きだと知っていますから応じてくれないのです。

 そうこうするうち、ぐずぐずしている茜さんを見てお母さんの
雷が落ちます。

 「何ぼそぼそ言ってるの!子供のくせに生意気言うんじゃない
の。ぐずぐす言ってるとお仕置きを増やしますよ」

 「……………………」
 と、これで決着。茜ちゃんはまたしても先ほどと同じポーズを
とることになるのでした。


 ところが……
 全ての準備が整ったようにみえてから、高瀬先生が思い出した
ようにこう言うのです。
 「あっ、そうだ、明子さん。これを蒸し器の中入れて五分ほど
蒸していただけませんか。先をアルコール消毒しただけでも十分
だとは思うんじゃが、煮沸消毒した方が安心じゃろうから……」

 この時になって、先生は浣腸器を蒸し器で蒸して欲しいと言う
のです。

 いえ、消毒なんて口実。これは茜ちゃんに対する高瀬先生から
のお仕置き。
 今やってるポーズを嫌がった茜ちゃんに大人の言いつけに従わ
ない子がどうなるか、そうやって考えなさいということでした。

 おかげで、茜ちゃんは自分で自分の両足を支える恥ずかしい姿
のまま、5分以上放置されることになります。

 こうしたことは、お母さんが先生に頼んだわけではありません。
すべては大人たちの阿吽の呼吸なのです。

 『大人は常に正しくて、子供はいつも間違いだらけ』
 それが当時の常識ですから、よほど酷い虐待でもしてない限り、
親が子供をお仕置きしていてもそれは常に正しいと誰もが思って
くれます。ですから、親に協力することだってやぶさかではない
というわけでした。
 オント、『子供はつらいよ』という時代でした。


 ところが、茜ちゃんにとって事態はさらに悪化します。

 まあ、間の悪い時というのはそういうものかもしれませんが、
それまで二階の書斎でお父さんから色んなご本を見せられ愉快な
お話をたくさん聞かされて楽しんでいたはずの春花と美里が急に
階段を駆け下りてきたのです。

 目的は極彩色に彩られた中世の時祷書の挿絵を茜おねえちゃま
にも見せたいという思いつきでした。

 もちろん二人は、階下でそんなはかりごとが展開されていよう
などとは夢にも思っていませんから、声も掛けません。いきなり
元気よく襖を開け放ってしまいます。

 「!!!?」
 「!!!?」

 その二人の視界に飛び込んできたのは、普段なら絶対に見られ
ない茜お姉様の恥ずかしい姿でした。
 このチビちゃんたちでさえ、そんな姿になったのは遠い昔の事
ですから覚えていないくらいです。

 「ほら、二人とも今はダメだと言っただろう」
 ほんの少し遅れてやって来たお父さんが珍しく二人を叱り付け
ますが、すでに手遅れ。
 二人は、すでにその映像をしっかりと頭の中に刻み付けてしま
っていました。

 「さあ、帰るよ。……今、お姉ちゃんは忙しいから、また後に
しなさいって言ってるだろう」
 お父さんはさっそく襖を閉め、二人の頭を回れ右させて部屋の
外へ向けさせます。
 これで茜さんの痴態は二人からは隔離されたことになるのです
が……

 「ねえ、茜お姉ちゃん何してるの?」
 「あれ、何かのゲームなの?」
 「お病気よ。だって、裸だったもの」
 「そうそう、まるでオムツ替えてもらう赤ちゃんみたいな格好
してた」
 「ねえ、私たちも仲間に入っていい?」
  さっそく二人からの矢継ぎ早の質問攻めが始まります。

 「ああ、わかったわかった、分かったからお部屋に行ってから
話そう」
 お父さんは慌てて二人を二階へ追い上げます。

 お父さんにとってこれは意図したことではありませんでした。
お父さんは、茜のお仕置きをこの二人にも見せる予定をたてては
いましたが、それはあくまで最後のスパンキングのシーンだけ。
その前段階であるお浣腸は含まれていません。

 お浣腸をこの二人にまで見せるのはさすがに娘に残酷と考えた
お父さんは、その間は、二人を書斎に呼び、珍しいご本や物語で
時間を稼ぐつもりでいたのでした。

 でも、一瞬とはいえ見られてしまったのなら仕方がありません。
お父さんは決心して、二人には大西家で行われるお仕置きの本当
の姿を話してしまうことにしたのでした。

 もちろん、その結果、二人がこの家に来るのが嫌になり里子の
話が破談になってもそれは仕方のないこと。バラ色の夢ばかりを
見せておいて後でショックを受けるより、その方がよほどこの子
たちの為だとお父さんは考えていたからでした。


 やがて明子さんによってお部屋へ蒸しあがったばかりの浣腸器
が届けられます。

 「あれ、どうかなさったんですか?」
 明子さんは自分がここを留守にした前と後でお部屋の雰囲気が
微妙に違うことを鋭敏に感じ取ります。

 「何でもないわ」
 お母さんは毅然として言い放ちますが、事故とはいえ茜ちゃん
の気持を考えるとお母さんの気持は晴れませんでした。

 それだけではありません。頬を伝う涙さえ拭うことも出来ない
茜ちゃんに対して見せる高瀬先生のその軟らかな表情だって……
それはどこまでも茜ちゃんを気遣ってのものだったのです。

 ただ、だからといって『今日のお浣腸はやめましょう』という
ことにはなりません。これもまた大西家の常識でした。
 そして、そのことは、もちろん茜さんだって承知していること
だったのです。

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10/16 御招ばれ(7)

10/16 御招ばれ(7)

*)ソフトなソフトなお仕置き小説です。私的には…(^◇^)

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 <主な登場人物>
 春花……11歳の少女。孤児院一のお転婆で即興ピアノが得意
 美里……11歳の少女。春花の親友。春花に乗せられて悪戯も
    するが、春花より女の子らしい。絵が得意な少女。
 大西泰幸……中世史の研究をする大学の先生。実の子はすでに
    医者として独立、『茜』という養女をもらっているが、
    春花や美里も養女にしたいという希望を持っている。
 大西茜……大西泰幸の養女。13歳で春花や美里よりお姉さん
    だが、楚々とした感じのお嬢さんとして躾けられている。
 高瀬先生……古くから大西家に出入りしているお医者様。特に
    子供達へお仕置きがある時は浣腸や導尿などでお手伝い
    もする。
 明子さん……長い間大西家に仕えている女中さん

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 「お母さん、高瀬先生、お願いします」
 茜さんは正座して両手を畳に着けて頭を下げます。

 「やっと、素直になったみたいね。女の子がふてくされた顔を
人様にみせてはいけません。何度も言い聞かせてることでしょう。
あなたももう子供じゃないんだからそのあたりは分別をつけない
と……」

 お母さんの言葉に、高瀬先生は……
 「茜ちゃんも最近は恥ずかしいんでしょう。近くに女医先生が
おられればいいのだが、あいにくこの辺りは男医者ばかりだから」

 「まさか、そんなこと。……お仕事でみえられた先生にそんな
失礼なことを思っていたら、今度あらためて、キツイお仕置きを
しなければなりませんわ」
 お母さんの鋭い視線ときつい言葉に茜さんはひるみます。

 誰だって家族でもない中年男に自分の大切な部分を見られたり
触れられたりするのは心地よくありません。…ましてや、これが
お仕置きに繋がる事となれば、茜さんに同情する余地は沢山ある
と思います。

 でも良家の子女はそんな感情を一切表に出してはいけませんで
した。お医者様や学校の先生やもちろん親に対しても、反抗的な
態度は一切許されていません。
 これもまた一つの厳しい現実(躾)だったのです。

 お母さんは躾けた通りに振舞う茜さんの態度に満足したみたい
でした。

 「では、ここへ来て、いつものように先生の健康診断をお受け
なさい」

 お母さんは敷かれた薄いお布団を叩きます。
 もちろんそれは否応なしでした。

 ブラウスもスカートもスリップもそこで脱いで綺麗にたたんで
から布団の上に上がります。
 身につけているのは、ジュニア用のブラとショーツだけ。つい
1年ほど前まではショーツだけでした。

 「茜、先生の診察のお邪魔になるわ。ブラも取りなさい」
 お母さんの声が聞こえましたが……
 「大丈夫ですよ、お母さん。そのままで」
 高瀬先生はそこはお母さんを制して茜さんを膝まづかせた姿勢
でご自分の前に立たせます。

 最初は聴診器で心音を聞き、肺や内臓にも異常がないかをチェ
ック。お腹を揉んだり、背中に回って肩甲骨の下辺りを叩いたり、
そこにも聴診器を当てたりします。

 そうやって型どおりの触診をすませた先生が次になさったのは、
茜さんの上半身のチェックでした。
 頭の天辺から腰の辺りまで、傷はないか、湿疹、吹き出物など
できていないか、皮膚は健康な肌つやをしているか、そんな事を
細かく見て回ります。

 そして、その最後に、茜さんに頭の後ろで両手を組ませると、
ブラをほんの少し捲り上げて、乳房の様子も確かめます。

 「……(あっ~~、あっ~~、いや、いや、気持悪い)……」
 茜さんは口にこそだしませんが、その瞬間は身体をよじりたい
気持で一杯でした。

 決して長い時間ではありません。先生が触れていたのは、一つ
十秒ほど、二つあわせても三十秒と掛かっていないと思いますが、
茜さんは先生から自分の乳房を揉みほぐされ、さらには、もっと
敏感な乳頭までも先生の指先で刺激されることになります。

 「……(あっ!いやあ!!)……」
 その瞬間は、顔をゆがめ、思わず大声を出しそうになります。
 できることなら先生の頭に空手チョップをお見舞いしたいとこ
ろです。でも、我慢するしかありませんでした。

 こんなこと、今が初めてじゃないから我慢できるのかもしれま
せん。幼い頃から定期的にやられてきたことで諦めがあるのかも
しれません。
 ただ、春の目覚めとともに茜さんには昔と同じ場所を触られて
いてもその心の奥底に微妙な変化が生じているのも確かでした。


 もちろん、身体検査は上半身だけではありませんでした。

 「上半身、どこも問題ないようですな。湿疹、吹き出物のたぐ
いもありませんし、触診による異常もありませんでした。いやあ、
綺麗な肌をしておられる。鮫肌の私などは羨ましい限りだ」
 先生は水差しのお湯をご自分で継ぎ足して再び洗面器のお湯で
手を洗います。

 「先生、茜は少しおっぱいの発達が遅いようにも感じられるの
ですが……」

 「(はははは)それは心配いりません。乳房の発達には個人差
が大きいですから………そういえば、うちの大学なんか、女子の
学生は揃いも揃ってみんなAカップでしたよ。……比較的偏差値
の高い学校でしたから、『あいつら頭に栄養がいるぶん、胸には
まわってこないんじゃないか』なんて男どもが戯(ざれ)ごとを
言ってたくらいです」

 「そういうものなんですか」
 お母さんが真顔で心配すると、高瀬先生は慌てたように……
 「いえいえ、戯ごとです。医学的な根拠があっての事ではあり
ませんよ」
 部屋中に響くような高笑いで先生は打ち消します。

 そんな大人たちの会話を聞きながら、茜さんは黙って上着だけ
を着始めます。
 でも、下半身は相変わらずショーツ1枚。
 いえ、茜さんにとってはむしろこれからが問題でした。

 明子さんが用意してくれた二つ折りの座布団の上に腰を乗せて
仰向けに寝ると、高瀬先生の顔が急に真剣になります。

 「お、準備できたかな……じゃあ、いつもの通りね」
 高瀬先生のその言葉が合図でした。

 いつも通り明子さんが茜さんの顔にタオルが掛け、お母さんが
ショーツを剥ぎ取ります。

 普段風の当たらないところに当たる風は冷たく感じられますが、
お母さんと明子さんによって両足が高く持ち上げられ、さらに、
その足が左右に引き裂かれると、少しずつ芽生え始めた茜さんの
少女としてのプライドも、一緒にどこかへ飛んでいってしまった
ようでした。

 真空状態の頭の中では何も考えられません。でも、茜さんは、
しばしの間こうしているより仕方がありませんでした。

 「……………………………………………………………………」

 高瀬先生が少女の奥の院を観察している間、大人たちは一様に
無言です。冷やかしも励ましも何もありませんでした。
 柱時計の時を刻む音だけが部屋中に響いて、それだけが茜さん
の耳にも届いていました。

 やがて……

 「……(あっ、いやあ)………(だめ、くすぐったい)………
(あっ、冷たい)………(やめてえ~~)……(だめえ~~)」

 ドーナツ状の丸い鏡を頭に巻いた高瀬先生が、茜さんの感じる
部分を次々と素手で触り始めます。今日からみると随分と乱暴な
ようですが、当時はまだこんな時にまでゴム手袋をはめる習慣が
ありませんでした。

 「……(あっ、いやあ~出ちゃう)……」

 一番最初に触れられたオシッコの出口は、ほんのちょっと触れ
られただけでオシッコが漏れそうでしたし……まだまだ未開発の
小さな突起も、先生の指が触れただけで電気が走ります。

 「……(あっだめ、くすぐったい)……」

 ウンチの出る穴には、先生の人指し指が無遠慮に入って来て、
これでもかというほどかき回してから出ていきました。

 「(うっっっ、もうやめてよう、芋虫が入って来たみたいよ。
気持悪いんだから)……」

 さらに、赤ちゃんの出口に拡張器が当てられると、その瞬間は
金属の冷たい感触に身体が反り、声が出そうでした。

 「……(いや、冷たい)……(やめてえ~)……(だめえ~)」


 苦行の時間は実際には5分程度です。
 でも……
 「もう、いいよ」
 先生の言葉がなんと嬉しかったことか……

 両足が布団の上に下ろされ、ショーツを引き上げます。
 脱がされるときはお母さんでしたが、引き上げる時はたいてい
茜さん自身でした。

 「お母さん何も心配いりませんよ。茜さんは健康そのものです。
13歳としては何の問題もありません。男の子は特にそうですが、
女の子もあと一年、14歳になる頃には劇的に変化しますから、
安心してください」
 先生は例によって洗面器のお湯で手を洗いながらお母さんには
嬉しい報告をします。

 「私は、茜が身体だけ大きくなっていくようで、ひょっとして
発達障害なのかと……」
 「(ははは)それは取り越し苦労というものです。この程度は
遅れのうちに入りませんよ。人によって発達のスピードというの
は違うものです。問題はありませんから」

 にこやかな大人二人の雑談は茜さんの耳にも届きますが、でも、
そんなこと、今の茜さんにしてみたらどうでもよいことでした。

 『何言ってるのよ。私の体がいつ大人になろうとお母さんには
関係ないじゃない。そもそも、そんなことをお医者様まで使って
なぜ調べなきゃならないのよ』

 茜さんは、お腹の中では苦々しくそう思っていましたが、例に
よって大人たちに向かってそんな事、声に出す勇気はありません。
 いえ、そんな事より、茜さんにとっては、次に控えるお浣腸が
何より心配でしたから、今はそのことで頭が一杯だったのでした。

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10/15 御招ばれ(6)

10/15 御招ばれ(6)

*)ソフトなソフトなお仕置き小説です。私的には…(^◇^)

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 <主な登場人物>
 春花……11歳の少女。孤児院一のお転婆で即興ピアノが得意
 美里……11歳の少女。春花の親友。春花に乗せられて悪戯も
    するが、春花より女の子らしい。絵が得意な少女。
 大西泰幸……中世史の研究をする大学の先生。実の子はすでに
    医者として独立、『茜』という養女をもらっているが、
    春花や美里も養女にしたいという希望を持っている。
 大西茜……大西泰幸の養女。13歳で春花や美里よりお姉さん
    だが、楚々とした感じのお嬢さんとして躾けられている。
 高瀬先生……古くから大西家に出入りしているお医者様。特に
    子供達へお仕置きがある時は浣腸や導尿などでお手伝い
    もする。
 明子さん……長い間大西家に仕えている女中さん

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 その人は、いきなりお母さんや茜さんがいる部屋へと現れます。
玄関の呼び鈴も押さず、誰にも声を掛けず、長い廊下をつかつか
と歩いて、茜さんのいる部屋に顔を出すなり、帽子を取って……
 「こんにちわ」
 と言うだけでした。

 そして、お母さんもまたそんな失礼なお客様を咎めたりはしま
せん。
 むしろ……

 「まあ、先生。よくいらっしてくださいましたわ。ちょうど、
お迎えに上がろうかと思っていたところなんですよ」
 お母さんは恐縮したように座布団を勧めます。

 「ちょうど往診のついでがありましたから、立ち寄ってみたん
です」

 茜さんは大人の会話に耳を傾けながらも、白衣姿の先生の顔を
見たとたん、血の気がうせて呆然と立ちすくんでしまいます。
 こう言うのを茫然自失というのでしょうか、茜さんはお母さん
に……
 「ほら、何、突っ立ってるの。先生にご挨拶なさい」
 と言われるまでその場から一歩も動くことができませんでした。

 「先生、こんにちわ」

 ぶっきらぼうなご挨拶でしたが、気を取り直して茜さんが正座
すると、高瀬先生はそんな少女のあれこれに気を回すことなく、
笑顔で受け答え。

 「はい、こんにちわ。茜ちゃん、元気だったかい。相変わらず
赤いほっぺして元気そうだね。今はどうですか?お腹の調子は?」

 「…………」

 茜さんが答えにくそうなので、代わってお母さんが答えます。
 「それが、最近、また便秘がぶり返してきたみたいで……」

 「そんなことないもん」
 茜さんは、一旦正座して踵に着いていたお尻を浮かし、思わず
身を乗り出して反論します。
 それは、この便秘がお浣腸へと繋がることを恐れたからでした。

 「保健の先生が三四日なら問題ないって……」

 「何言ってるの。あなたの場合は、一週間も出ないことがある
でしょう」
 「そんなの、たまたまじゃない」
 「たまたまなんかじゃありません」

 「まあ、まあ、一度や二度ならそう問題ないでしょうが、毎回、
毎回となると、ちょっとやっかいかもしれませんね。茜ちゃんの
場合は習慣性になっているかもしれませんから……」

 高瀬先生の言葉にお母さんはわが意を得たりとばかり、
 「ほら、ごらんなさい」
 と言うのでした。

 「先生、今日で五日目なんで……そろそろ出してしまいたいん
ですが……」

 「わかりました。……茜ちゃん、ここに寝てごらんなさい」

 高瀬先生はいつものように茜さんを仰向けに寝かせると座布団
を腰の下に当てさせ、お腹を押してその張りをチェックします。

 「なるほど、少し張ってるかな」

 先生は茜さんのお腹を触診すると、用意された洗面器のお湯で
手を洗います。

 そんな先生を見ながらお母さんは尋ねました。
 「浣腸はどのくらいの量、やった方がいいでしょうか?」

 「そうですねえ、30㏄から50㏄もあれば足りると思います
が、ご心配なら100㏄でもかまいませんよ」

 「そんなに、大丈夫なんですか?」

 「心配要りませんよ。茜ちゃんも、もう体が大きいですからね、
100㏄くらいは耐えられますよ」

 高瀬先生とお父さんとは古くからの友人。この家にも茜さんが
生まれる前から出入りしていますから、大西家の家庭の事情にも
精通しています。ですから、部屋に入った瞬間の茜さんの表情を
見て、『今夜は、お仕置きだな』と悟ったのでした。

 そして、もし、お仕置きとしてやるのであれば、30や50㏄
では親御さんも物足りないはずだから、どの程度が上限かを知り
たいはず。そう読んだのでした。

 「それでは、100㏄でお願いできますでしょうか」
 「よろしいですよ。ただ、看護婦は帰してしまいましたので、
私でよければ…ですが……」
 「もちろんですわ」

 大人たちの会話は茜さんには残酷に響きます。でも、13歳の
少女なんて、世間の大人たちにしてみたらまったくの子供。何を
どうされても「年端も行かない小娘のくせに偉そうに口答えする
んじゃありません」とすごまれればそれで終わりだったのです。

 中学生になったといっても、大人たちの扱いは小学生のまま。
時折、『茜ちゃん』だった呼び名が『茜さん』に変化しますが、
それだけでした。
 どうしようもない現実が茜ちゃんを支配します。

 「明子さん、明子さん、……ここにお布団敷いてちょうだい。
茜にお浣腸しますから」

 お母さんが女中の明子さんに指示する声を茜さんはどこか遠く
の出来事のように聞いていました。

 明子さんが部屋に現れると……
 やがていつものように薄い布団が持ち込まれ、目の前に敷かれ
ます。タオル、オムツ、天花粉……もちろん、グリセリン溶液の
入ったこげ茶色の薬壜や50㏄入りのガラス製ピストン浣腸器も
洗面器に入れられて大事そうに目の前を通り過ぎていきました。

 もちろん、これって始めての経験ではありません。幼い頃から
二ヶ月に一回は必ず受けてきた習慣なのです。ですが、茜さんが
これに慣れるということはありませんでした。
 むしろ、それが次第に辛い行事になってきたのです。

 もちろん、年齢と共に恥ずかしいという気持が増してきたのは
事実ですが、それよりも、これをやらされるたびに、自分自身が
世の中から否定されてしまったようで辛かったのでした。
 まるで赤ちゃんのように何も出来ない、何もさせてもらえない
自分は家族の厄介者のような気がして嫌だったのでした。

 「準備ができたわよ。いらっしゃい」
 お母さんは高瀬先生がいらっしゃるので猫なで声で茜ちゃんを
呼びます。

 もちろん、茜ちゃんは目の前の布団に寝そべるしかありません。
今さら何か反抗できるわけではありませんが……

 「さあ。早くなさい」
 お母さんに催促されてから、恐る恐る敷かれた敷布団に近づき
ます。

 そこではお医者様の高瀬先生、女中の明子さん、お母さんまで
もが正座したままの姿勢で近づく茜ちゃんを見ています。
 それって、何だか映画のワンシーンのようです。

 もちろん、そんなの気持のいいことではありませんが、でも、
心の底のどこかには『悲劇のヒロイン』になった気分もあります。
そう考えると、不思議に勇気も沸いてくるのでした。

 やっとの思いで布団の縁まで辿り着くと、お母さんは……
 「まず、そこへお座りなさい」
 と命令しました。

 もちろん正座で、茜さんがその場に座ると……
 「いいですか、これからお浣腸を行いますけど、これは便秘の
治療だけでなく、お父様からお仕置きを頂いた時に、粗相が起き
ないようにするためのものでもありますからね。十分な量で行い
ます。……言ってる意味、わかりますね?」

 「はい、お母さん」

 茜さんは小さな声でしたが、お母さんは満足したみたいでした。
 「よろしい。今日は50㏄の浣腸器で二本分、100㏄を我慢
しなさい。我慢がお仕置きになりますからあえてお尻の穴に栓は
しませんけど、万が一ここで粗相などあったら困りますからね、
オムツをあてます」

 「(えっ、オムツ)」
 茜さんの顔が思わず歪んだのは、それが予想外だったからかも
しれません。

 「20分たったらオムツを外してあげますから、お外のトイレ
で用を足しなさい」
 お母さんは凛とした態度で宣言しますが、茜さんは自信があり
ませんでした。そこで……

 「私、そんなに我慢できないかもしれないと思うんですけど」

 怯えた様子でお伺いをたてると、お母さんは冷静です。
 「あなたも、もう小さな子供じゃないの。中学生なんだから、
そのくらいは我慢しないといけないわね。……もし、どうしても
ダメだったらオムツになさい。私が片付けてあげるから……」

 「えっ!それは……」
 もちろん、茜ちゃんはそんなことされたくありませんでした。
 十三にもなった子がたとえ身内のなかだけとはいえ、ウンチの
着いたオムツを母親に換えてもらうなんて、惨め過ぎます。

 「……どうしたの?嫌なの?仕方がないでしょう。何一つ根気
や根性のないあなたにはお似合いのお仕置きだと思うわよ。……
ちょうどいい訓練になるでしょうから……」

 「…………」
 茜ちゃんは心臓が締め付けられる思いでした。

 「もし、そんなこと、死ぬほど恥ずかしいことだと思うのなら
死ぬ気で頑張ることね。そうすれば、お灸のお仕置きだけは堪忍
してあげるわ」

 「(えっ!お灸も?)」
 茜さんの頭の中で何かが光ります。
 それは究極の恐怖でした。

 幼い子にもお尻ペンペンの罰はありますが、そんな場合だって
親は本気で叩いたりしません。でも、お灸は誰がやられても強烈
な熱さは同じでした。ですから、幼い子の場合、お灸のお仕置き
はより強烈な恐怖の記憶として成長しても心の奥底に残ります。
 茜さんも、その昔の思い出がフラッシュバックしたのでした。

 「(お母さんに泣きつこうか?)」
 恥も外聞もなく、『ごめんなさい』を言ってお膝にすがる。

 幼い日ならきっとそうしていたでしょう。でも、中学生になる
と、悲しいかな逆にその勇気が沸いてきませんでした。

 『今さらそんな子供じみたこと……』
 余計なプライドが邪魔をします。

 もう、残された道は一つしかありませんでした。


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10/8 御招ばれ(5)

10/8 御招ばれ(5)

*)ソフトなソフトなお仕置き小説です。私的には…(^◇^)

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 <主な登場人物>
 春花……11歳の少女。孤児院一のお転婆で即興ピアノが得意
美里……11歳の少女。春花の親友。春花に乗せられて悪戯も
    するが、春花より女の子らしい。絵が得意な少女。
 林先生……舎監の先生。普段から生活指導は厳しく、孤児達が
    お仕置を受けない日はないくらいだが、子供たちからは
    からは慕われているシスター。
 院長先生……おばあちゃん先生。めったに怒らない優しい人。
    このため、友達から虐めにあったり、林先生からきつい
    お仕置きを受けたりすると駆け込む避難所になっている。
 大西泰幸……中世史の研究をする大学の先生。実の子はすでに
    医者として独立、『茜』という養女をもらっているが、
    春花や美里も養女にしたいという希望を持っている。
 大西茜……大西泰幸の養女。13歳で春花や美里よりお姉さん
    だが、楚々とした感じのお嬢さんとして躾けられている。

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 「ねえ、茜お姉様はお浣腸されてからあのトイレでウンチする
の?」
 春花はお風呂で自分の体を洗っている女中の明子さんに尋ねま
すが……

 「知りません!」
 当初はそっけない返事が返って来るだけでした。

 「やっぱり、口止めされてるのよ」
 それを見ていた美里が湯船の中から訳知り顔で語りかけます。

 すると、今度は明子さんが春花のつるぺたの胸をゴシゴシやり
ながらこう言うのでした。

 「考えてごらんなさい。自分がウンチしてるところを他人に見
られるのがどんなに恥ずかしいか。あなたたちはまだ小さいから
それほど感じないかもしれないけど……」

 「わかるわよ、それくらい……私なら死んじゃうかもしれない
くらい恥ずかしいもの」

 「相変わらずオーバーねえ、美里は何でも大げさなんだから…」
 春花は美里の物言いに『また始まった』というような呆れ顔を
します。

 「何よ、じゃあ春花は恥ずかしくないの!」
 「そりゃあ、そんなことされたら私だって恥ずかしいけど……」
 「けど、何よ」
 「だって、私たちもみんなの前でお尻だしたことあるじゃない
の。院長先生怒らしちゃって……」

 「そりゃそうだけど、あれはお鞭をもらっただけで……ウンチ
なんてしてないもの」
 「そりゃそうだけどさあ……」

 「ねえ、ウンチって、どのくらい我慢するの?」
 美里はやはり興味津々といった様子です。

 「そんなこと聞いてどうするんです?」
 明子さんは最初にそう言いましたが、仕方ないと言った表情で
説明してくれました。
 「お子さんの歳にもよりますし、お父様やお母様をどのくらい
怒らしたかにもよりますけど……せいぜい20分くらいかしらね」

 「20分!?」
 それまで比較的冷静だった春花の方が目を丸くして驚きました。
 「えっ、そんなに!……無理、無理、無理、私、絶対に無理」
 もちろん美里も……こちらはあまりのことにむしろ顔が笑って
います。

 二人はお仕置きではなくともグリセリン浣腸そのものは受けた
ことがあります。ですから、それが途方もないことだとわかるの
でした。
 そんな自らの経験からみて20分はあまりに常識外れだと分か
ります。ですから、お互い顔を見合わせ笑ってしまったのでした。

 でも、明子さんの方は真剣で……
 「菜に笑ってるの!人間、なせばなるですよ。女の子はねえ、
こんな処で恥をかきたくないと思ったら、自然と、我慢ができる
ようになるんです。…茜お嬢様だって、最初の頃は当然のように
オムツにお漏らしでしたけど、あなたたちぐらいの歳には、もう
ちゃんと我慢できて、お外のトイレでなさってましたから……」

 「でも、結局はウンチしているところは見られるんでしょう?」

 「そりゃそうですけど、見ているといってもお父様かお母様、
それに私のようなごく幼い頃からお世話もうしている者だけです
から……」
 と、ここまで言ってから……

 「あっ、高瀬先生がしらっしゃるか」
 と、明子さん。小声で付け足したのですが、それを二人は聞き
逃しませんでした。

 「高瀬先生って?」
 「ね、誰?」
 二人の小娘が湯船の中ではしゃぎだします。

 困惑気味の明子さんでしたが、もう、こうなったらすべて話す
しかありませんでした。
 いえ、本当は、彼女、話したかったのかもしれませんが……

 「お子様たちがいつもお世話になってる小児科の先生ことよ。
ここにもよく往診にみえるの。特にお仕置きのある時は脅かしに
大きな浣腸器をもってみえられるから、ご兄弟とも部屋中を逃げ
回って効果てきめんでしたよ」

 「ご兄弟?」
 「お子様たちって、おじさまの子供って茜お姉様だけでしょう」
 怪訝に思って尋ねると、二人にとっては意外な答えが返ってき
ます。

 「違いますよ。茜お嬢様は2歳まで施設で育ったあと、ご夫婦
が女の子を育ててみたいとおっしゃって養女になさったんです。
お二人の本当のお子様方は二人とも坊ちゃんで、すでに独立され、
今は年に二回ほどしかご実家には戻られませんけど、共にお医者
様をなさってます」

 「なんだ、そうなのか」
 春花は単純に納得しましたが、美里は気になる事がありました。
 「ひょっとして、その先生って、お仕置きの時もここへ来るの?」

 恐る恐る尋ねたことが、不幸にして当たってしまいます。
 「ええ、そうですよ。ちょうどいい機会ですからね、健康診断
をしていただいたり、発育状況を診てもらったり、お浣腸の量も
先生がお決めになってご自身がなさる事もありますし……お導尿
なんて素人ではやりにくいことも先生がやってくださいますから。
……そうそう、茜お譲様はこれが大変にお嫌いで、いつも大泣き
されてました。そうだ、あなた方も頼んであげましょうか?」

 明子さんに言われたとたん、二人は湯船の中へ……
 導尿がどんなことなのか二人は知りませんが、とにかく、今は
そこしか隠れる処がありませんでした。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 処変わって、こちらはおばさまのお部屋。
 茜さんはお母さんに呼ばれていました。

 「先週、二学期の中間テストの結果をみせてもらったけど……
これ、あまり芳しくないみたいね。お父様にも、当然お見せした
けど、渋い顔なさってたわ」

 「ごめんなさい」

 「あなたの場合は女の子なんだから、男の子のようにクラスの
中でも抜きん出た成績でなきゃならないというわけではないけど、
……それでも、ある程度の成績は残してもらわないと……」

 「…………」

 「変な言い方だけどね、うちはインテリであることが家業の家
なの。だから、あなたの成績は、あなただけのものではないわ。
それはこのお家の看板でもあるのよ。そこの処、何度も説明して
きたからわかるわよね」

 「はい」

 「『あれが東都大の教授の馬鹿娘か』なんて世間で後ろ指でも
さされるようになったら、私もお父様も立つ瀬がないわ」

 「ごめんなさい」

 「まあ、それがわかってるなら、もっと頑張ってもらわないと
………これは何よりお父様の体面にも関わることなのよ」

 「はい」
 茜さんはもう涙を流していました。
 こんなお説教を過去に何度も聞かされていたからなのです。

 「もちろん、これがあなたの側に何か障害があってというなら、
それは仕方がないことだけど……大病したわけでもなし、虐めに
あってたわけでもないわよね。……強いて原因を考えると………
(ふう~)」
 お母さんは一つため息をついて……

 「マンガの読みすぎ、テレビの見すぎ、お友だちとの長電話、
休日のたびにお友達と街をぶらついて、勉強は犠牲にしても好き
な映画やコンサートは外さない……これじゃあ、勉強している暇
がないわね。だいたい、お父様から頂いたスケジュール表通りに
過ごした日が何日あったかしらね?……(ふう~)」

 お母さんがため息をつくたびに茜さんは背筋がゾクッとします。
 「…………」

 「これじゃあ、成績が下がっても当たり前よね。お父様もね、
今回はご自身で作成されたスケジュール通りに茜が勉強していな
かったことをお知りになって、とっても憤慨されてるのよ」

 「えっ……」
 茜さんはこの時『意外な』という顔になります。
 というのも、ここ数日出会うお父さんは、何時も通り穏やかで
普段と何も変わらなかったからでした。

 そんな茜さんの気持をお母さんが察したのでしょう。
 「どうしたの?お父様が怒ってるなんて信じられないかしら?
……でも、たしかに怒ってらっしゃるわ。それも、カンカンよ。
いつぞやは、『どうして、私の作ってやったスケジュール通りに
茜にやらさせないだ』って取り付く暇がなかったわ」

 「そうなんだ」
 茜さんはお父さんの怒りに初めて気がついたのでした。

 「それでね、お父様と二人で考えたんだけど………あなたには
久しぶりにお仕置きを受けてもらうことにしたの。……分かって
くれるわね」
 お母さんは茜さんを見つめると、抑揚を抑えた感じではっきり
宣言します。

 「えっ……」
 青ざめた顔の茜さん。ここに呼ばれた時にいくらか覚悟はして
いましたが、あらためてそう言われると、やはりショックだった
のです。

 「あなたへの本格的なお仕置きはいつ以来かしらね。そうそう
前はまだ小学5年生だったから2年ぶりになるわね。6年生の時
も怪しいことはあったけど、受験の時期だったし、目をつぶって
いたのよ。でも、その受験も終わって、さあ、これからって時に
気が抜けてしまったんじゃ何の意味もないわね」

 「…………」

 「あら、どうしたの?いきなり震えだしちゃって……恐いの?
(フフフフ)ま、お仕置きが恐くないと言ったら嘘でしょうけど、
あなたも大西家の一員である以上、こればかりは逃げられないわ」

 お母さんは茜さんのおでこをチョンと指ではじきます。
 ちょっぴりからかわれて、茜さん、むしろ落ち着いたみたいで
した。

 「はい、お仕置きお願いします」
 茜さんは畳の上に正座しなおすと、両手をついてご挨拶します。
 これもまた大西家の作法だったのです。

 「そう、わかりました。あなたも一歩一歩大人に近づいている
みたいね」

 「えっ?」

 「あら、忘れたの。あなたが前回お仕置きを宣言された時は、
散々泣き叫んで、私の腰に抱きついて『ごめんなさい』『ごめん
なさい』って連呼したのよ。あなたが『お仕置きをお願いします』
と言えたのは、私がとても恐い顔をして脅しつけてからだったわ。
それが今は、自らご挨拶ができるんですもの。大人になったなあ
って感心してるの」

 「そんな……ただ、今さらどうしようもないことですから……」

 「そうね、確かに……でも、それが大切なのよ。女の子は……」

 「…………」

 「女の子は男性とは違うの。自分に与えられた場所で力を発揮
しなければならないわ。男性のようにその場所が嫌なら自分の気
に入るようにそこを変えてしまおうだなんて、なかなかできない
ことだもの」

 「どうしてですか?」

 「単純なことよ。女性は男性に比べて、肉体的にも生理的にも
ハンデが大きいもの。力強くないでしょう。……それより、その
場所に留まって、自分の存在を認めてもらえるように頑張った方
がずっと楽だし、成功する可能性も高いわ。そのためには、まず
相手の心を掴まなきゃ。相手が猛烈に怒ってるのに『私、嫌です』
なんて、すねてみても始まらないでしょう。我慢するってことが
大事だわ」

 「それって、お仕置きのことですか?」

 「そうよ、……もし、これが私とあなただけの生活だったら、
私はあなたに体罰なんか求めないと思うけど……ここはお父様の
お家なの。そして、あなたはその娘。怒りに震えるお父様の溜飲
を下げる必要があるわ。わかる?」

 「はい」
 茜さんは小さな声で答えます。

 「大丈夫。お父様は立派な方だから、どんなお仕置きをなさる
にせよ。あなたが耐えられない事はなさらないわ。あなたとして
は、そんなお父様を信じて必死にしがみついていればいいのよ。
そうやって耐え抜けば、あなたは今まで以上にお父様から愛され
ることになるわ」

 「本当ですか?」

 「もちろん本当よ。お仕置きってね、愛を確かめ、これからを
誓う儀式なの。お父様はあなたを愛したいの。それを、あなたと
ご自身とで確かめたいのよ。だから、同じようなことはしていて
も、虐待とはまるで違うことをしているのよ」

 「………………」

 「とにかく、私とお父様を信じなさい。そして、あなたは必死
になってお父様からいただくお仕置きに耐えるの。健気なあなた
の姿をご覧になれば、お父様だって決して悪いようにはなさらな
いわ。だって、みもともとあなたは、お父様から誰よりも愛され
てる子どもなんですもの」
 お母さんはそう言って茜さんを励ますのでした。

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10/6 御招ばれ(4)

10/6 御招ばれ(4)

*)ソフトなソフトなお仕置き小説です。私的には…(^◇^)

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 <主な登場人物>
 春花……11歳の少女。孤児院一のお転婆で即興ピアノが得意
美里……11歳の少女。春花の親友。春花に乗せられて悪戯も
    するが、春花より女の子らしい。絵が得意な少女。
 林先生……舎監の先生。普段から生活指導は厳しく、孤児達が
    お仕置を受けない日はないくらいだが、子供たちからは
    からは慕われているシスター。
 院長先生……おばあちゃん先生。めったに怒らない優しい人。
    このため、友達から虐めにあったり、林先生からきつい
    お仕置きを受けたりすると駆け込む避難所になっている。
 大西泰幸……中世史の研究をする大学の先生。実の子はすでに
    医者として独立。『茜』という養女をもらっているが、
    春花や美里も養女にしたいという希望を持っている。
 大西茜……大西泰幸の養女。13歳で春花や美里よりお姉さん
    だが、楚々とした感じのお嬢さんとして躾けられている。

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 三時のおやつが終わると、二人は茜お姉ちゃんやおばさま達と
遊びます。トランプをやったりゲームをしたり、指人形をはめて
即興の劇に興じたり、お庭に出てピンポンなんかも……

 とにかく思いついたことで遊びます。それは、これまでと一緒
の時間。おじさまが孤児院で深刻ぶって話したことなどすっかり
忘れてしまうくらい楽しい時間だったのです。

 お招ばれした子がやることは、楽しく遊ぶこと、美味しく食事
をすること、愉快にお風呂に入ること、そしておじさまおばさま
のベッドで一緒にご本を読んでもらって眠ること、ただこれだけ
だったのです。

 幸薄い孤児達に少しでも家庭的な雰囲気を味わってもらいたい、
そう思って大人たちが始めた慈善の催しでしたから、孤児たちも
最初からここで勉強しようなんて気はありません。

 よく遊び、よく遊べの週末だったのです。

 でもそんな二人が、お庭で奇妙なものを見つけてしまいます。

 「なんだろう、あれ?」
 草むらに隠れるようにして肋木(ろくぼく)が立っています。
でも運動するにはそれは中途半端な高さしかありませんし、その
下は窪地になっていて、二本の板が渡してあります。

 何かの残骸でしょうか。
 恐らく大人たちが見つけてもそうとしか思わないでしょうから
それから先には進みません。
 おばさまも……

 「何でもないわ」
 とそっけない一言でした。

 でも、二人は違っていました。
 「あそこへ行ってみる」
 と言ったのです。

 すると、今度はおばさまが慌てます。
 「だめよ、危ないから」
 そう言って引き止めようとしたのですが……

 「大丈夫です。おばさま。……美里、行こう」

 春花が美里の手を引きますから、おばさまは、さらに慌てて、
本当の事を話すことにしたのでした。
 おばさまにしてみたらそれは見つけてほしくないものだったの
です。

 「あれは、おトイレよ。汚いから行かない方がいいわ」

 こう説得したら諦めると思ったのです。
 ところが…

 「えっ!あれ、おトイレなの」
 「うそ!!あれって、二枚の板が並べてあるだけだよね。あれ
じゃあ、外から丸見えだよ」
 二人はさらに食いついてきます。

 「いいのよ、家族だけで使うものだから……」
 「でも、腰掛ける便器もないし……いちいち持って来るの?」
 「そんなもの最初からないわ。あそこにしゃがんでやるのよ」

 「しゃがんで???」
 「しゃがんで???」
 二人にはしゃがむという言葉の意味が分からないみたいでした。

 「……ねえ、水はどこから出てくるの?」
 「……ねえ、腰掛けないで、どうやってウンチするのさあ」

 二人の興味はつきません。おばさまは、言葉を濁してどうにか
ごまかしたかったのですが、お手上げでした。

 「やっぱり探検してみる」
 好奇心を抑え切れない二人はとうとうその場所に目指して行っ
てしまいます。

 「わあ、これトイレなの?何だか臭そう……」
 「ここにしゃがんでウンチを落とすんだよね。でも、これって、
葉っぱしか見えないよ」
 「きっとその下にウンチがあるのよ」
 二人は板の上に膝まづくとそこから窪地になった穴を覗き込み
ます。

 「もし、落ちたらどうするんだろう?」
 「きっと、ウンコまみれね」
 春花がほがらかに笑います。春花にしても美里にしても自分達
が汚いものに触れているという意識はまったくありませんでした。
 実際、そこには今現在ウンチなんてなかったのです。

 「いやだあ、押さないでよ。ほんとに落ちたらどうするのよ」
 二人はたわむ板の上でふざけあっています。

 そして、それに飽きると今度は肋木によじ登って、その上から
二枚の板へ飛び降り始めます。
 着地の時、板に滑って尻餅をつくこともありましたが、遊びの
楽しさに比べればそれって平気なことだったのです。

 「でも、これ何だろうね」
 「だから肋木でしょう。学校にも寮にもあるじゃない」
 「でも、こんなに低くないでしょう。これ、私たちの身長より
低いのよ」

 すると、そんな遊びを始めた二人がちょっぴり心配になったの
か、おじさまがやって来ました。

 「さすがに孤児院にはこんなものはなかったとみえるな」

 「うん、初めて見た」
 「これトイレなの?……私、こんなドアも壁もない処じゃ恥ず
かしくてできないわ」
 「私も……」
 二人は笑っていました。

 「そうか…君たちの処ではないだろうな」
 「どうして?」
 「だって、これは我が家専用。お仕置き用のトイレだもん」

 「…………」
「…………」
 二人は子供ですから、『お仕置き』という言葉には敏感に反応
します。その言葉を聞いたとたん二人から笑顔が消えてしまいま
した。

 「脅かしちゃったか。ごめんね」
 おじさまは二人の心が和むように穏やかに笑います。

 「君たちの孤児院がどんなに面倒見がいいといっても、そこで
暮らす人たちはみんなは他人だからね、そこまで厳しいお仕置き
はできないかもしれないけど、ここは家庭の中だからね、お外で
は絶対にできない恥ずかしいお仕置きもあるんだよ。……ほら、
いいから、しゃがんでみてごらん」

 「えっ、……」
 おじさまの求めに美里が応じました。理由はありません。その
時、春花は肋木の上、美里は板の上にいたからでした。

 「ほら、この二枚の板に片方ずつ足を掛けて、腰を落とすんだ」

 「……こうですか?」
 春花や美里たちは、生まれた時から様式トイレで用を足します
から、そもそもしゃがむという習慣がありませんでした。

 「そう、そう、それでウンチするんだ」

 「えっ!こんな格好で?……だめ、私、キツイもん」

 「だって、昔の日本人はみんなそうやってウンコしてたんだよ」

 「えっ!?うそ!こんな格好で」

 「嘘じゃないさ。みんなそうやってたんだから、できないはず
ないよ。……慣れれば、君にもすぐにできるようになるよ」

 「無理、絶対に無理」

 「そうかあ、無理かあ……でも、それじゃあ困ったなあ。……
だって、こうやってウンチができるのは、うちのお仕置きでは、
まだ軽い方なんだよ」

 「えっ!?」
 「(どういうこと?)」

 二人はおじさまの言葉に、まるで豆鉄砲を食らった鳩みたいに
きょとんとしてしまったのでした。

 「美里ちゃん、そこに膝まづいてごらん。………そう、そう、
その方が楽だろう。……そうしたら、両手を前に……ちょうど、
肋木の横木が掴めるだろう。……どの高さの横木でもいいんだよ。
それに掴まって……そう、そうやってお浣腸のあとウンチを我慢
するんだ」

 「(えっ!!)」
 「(えっ!!)」
 そりゃあ驚きます。やらされてる美里だけでなく、肋木の天辺
に腰掛けてその様子を見ていた春花だって、驚きで声がでません
でした。

 いえ、この二人が暮らす孤児院にもお浣腸のお仕置きはありま
した。でも、それは少しの時間我慢してからおトイレを許される
ものだったのです。

 こんなお外で……しかもたわむ板の上で……何よりみんなから
見られるかもしれないこんな場所でウンチを我慢するなんて……
ありえないことでした。

 「…………」
 「…………」
 二人にとってはあまりにも現実感のない話だったのでした。

 「ほら、あなた、そんな話、よそ様にしないで頂戴!二人とも
怯えてるじゃないの」
 おばさまが遅れて中にはいります。

 すると、おじさまは……
 「大丈夫さ、この子たちは孤児院で暮らしてるんだから外には
漏れないよ。それに、この子たち自身、うちの子になりたいって
言ってるみたいだし……もし、そうなったら……いきなりこんな
ことしたらショックも大きいだろうし、ここで少しだけ我が家の
やり方にも慣れておいた方がいいんじゃないかと思ってね、それ
で今日は連れて来たんだ」

 「それはわかりますけど、この場所は二人には見せませんよ。
さすがに、それでは茜が可哀想ですから……」
 おばさまはきっぱり。

 「わかってるさ、ここは君の管轄だ。それをどうこうするつも
りはないよ」

 どうやら、おばさまの意見が通ったみたいで……二人はこの先
まずお風呂へ入ることになったのでした。

***************************

Appendix

このブログについて

tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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