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子供は宝物じゃない? (4/27)

*** < 子供は宝物じゃない? > **** 4/27 ***

ある日、母が私に尋ねた。
外人さんの母親は膝の上に子供を抱いて何と言っているのかと…

my little treasure
「この子は私の可愛い宝物」だってさ。

すると、彼女は怪訝そうな顔をしてこう言うのである。

「外人さんというのは、随分と子供に冷たいんだね」

今度は私が怪訝な顔になる。
『意味が通じてないのか?』って思った。
そこで、もう一度……

「だからさ、スミスさんはトーマス君を宝物のように大事にして
ますって言っているんだよ」

ところが……
「だから、自分の息子が宝物なんだろう?」

「そうだよ」

「冷たいじゃないか。私はお前がお腹の中に居る時から今まで、
お前を宝物だなんて思ったことは一度もないよ」

「じゃあ、どう思ってたのさ」

「あなたは、私のお腹を出たあとも、今でもずっと、私の身体の
一部なの。物なんかじゃないわ」

「えっ!?」

「その宝物がいくらするか知らないけど、物と子供を一緒にする
なんて外人さんは薄情だよ。宝物なら、ぶっても自分は痛くない
だろうけど。日本じゃ、子供をぶって痛みを感じないような親は
いないもの」

普段から言いにくいことをズバズバ言ってしまう人だから仕方が
ないけど。周囲の人はただただ苦笑い。誰も英訳しなかった。
そりゃそうだ。(^^ゞ

当時は11歳。母親の言ってることが恥ずかしかった。
でも、今にして思うと、『これが西洋人と日本人の子供感の違い
かな』とは思うのである。

***********************

庄屋の奥様 (ご注意/あらすじ)

<ご注意>
 これは恐ろしくも下手な文章ですけど、一応はSMです。
 内容も私にしては珍しくM/Fと大人の世界。
 ですからSMに耐性のない方はご遠慮ください。
 逆に耐性のある方は馬鹿馬鹿しいので欠伸が出ます。(^^ゞ
 ただ、これも見ようによっては「お仕置き小説」なんですよ。
それでここに飾ってみようかと思いました。
 あっ、それと、お話の中にカトリック系の名称が出てきます
けど、勿論これはフィクションですから、いかなる宗教宗派とも
何の関係もありません。



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庄屋の奥様<あらすじ>
 庄屋の奥様が建てた礼拝堂で繰り広げられる秘密の儀式を覗き
見た左官(私)は独りになった奥様の寝床に降りて行き……
 10年後、二人は同じ左官と奥様として言葉を交わすが、そこ
には娘が一人できていた。

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庄屋の奥様 (1)

***** 庄屋の奥様 (1) *****

村には庄屋様がおりました。たくさんの田畑や山林を持っていて
村一番のお金持ちでした。戦後は農地改革があったために田畑は
少なくなりましたが、それでも、村一番のお金持ちであることに
違いはありませんでした。

その庄屋様の現在の当主様はそりゃあ立派な方で、戦後、隣町に
大きな縫製工場を建てて農地改革で失った田畑以上の利益を得て
いました。その当主様の元へ隣町の分限者からお嫁入りなさった
のが現在の奥様でして、今もお綺麗ですが、嫁入り当時は天女様
天女様と噂がたつほどの器量よしでございました。 

 おまけに嫁入り先の庄屋様も何不自由ないお暮らしぶり。同じ
百姓というてもお肌はすべすべ、日焼けのシミ一つありません。
奥様もよくできた方で、偉ぶったところがどこにもなくて村では
奥様を悪く言うものは誰もおりませんでした。

そんなある日のこと、庄屋様のお屋敷のはずれに妙な建物が出来
ておりますから聞いてみますと、なんでも奥様のご要望で礼拝堂
を建てたとのこと。
私どもはその時になって初めて奥様がクリスチャンであることを
知ったのでした。

村に耶蘇さんはおりませんでしたが、もちろん信ずる処は人それ
ぞれですから、それ自体は何の問題もありませんでしたが……
しばらくして妙な噂がたち始めたのです。

「奥様は金曜日になると礼拝堂に中年男やらまだ幼い少年たちを
そこへ連れ込んでるらしい」
とか……

「いやいや、金曜日の夜は、あの礼拝堂の近くで女の悲鳴がする」
とか……いうものでした。

それが奥様の耳に入ったのでしょう。奥様は私のような出入りの
職人にまでそのことを説明してくださいます。

「あのお方は、私たちの教会では司祭様と言って、とても地位の
高い坊様なの。少年たちはそのお弟子さんたちですわ。土日は、
お忙しいので金曜日にお招きして、ご一緒に祈りを捧げていただ
いているのですよ」

奥様の説明はこんなものでしたが、金曜日の夜に女性の悲鳴が聞
こえるという説明は最後までありませんでした。

それでも村人はそれで納得したみたいでした。金曜日の夜に聞こ
えていたという女の悲鳴も最近は噂を聞かなくなっていました。
もともと娯楽の乏しい村のことです。誰それがきつねの鳴いたの
を勘違いして尾ヒレをつけて話したのだろうということになった
のでした。

ですから、そのことについては私もすっかり忘れていたのです。

『お美しく、お優しく、何不自由ない暮らしをなさっている』

そんなイメージの奥様像が私の脳裏にはすでに定着していました。

***********************(1)**

庄屋の奥様 (2)

***** 庄屋の奥様 (2) *****

ある日のことです。

私は礼拝堂の壁の塗り替えを頼まれて、それを終えたところでした。
奥様は相変わらす熱心な耶蘇さんの信者ですからとても喜ばれて、
お酒をだして私をねぎらってくださいます。

すっかり、いい気持ちになった私はごちそうのお礼を言っていった
んは外へ出たのですが、外はちょうど寒い時期で雪がちらつき始め
ています。私の家は遠いですし、こう酔っていては車を走らすこと
もできません。

私は、戻って宿を無心しようと考えたのですが、もうすでに母屋
に電気はついていませんでした。困った私は、今仕事を終えたば
かりの礼拝堂に行ってみます。あそこに藁がつんであったことを
思い出した私は、勝手知ったる他人の家とばかりに、藁の布団に
くるまるとそのまま寝てしまったのでした。

一眠りすると時間は真夜中になっていました。酔いもさめ、帰ろ
うか、朝までここに泊まろうか、と迷っていた、その時です。
 礼拝堂の扉が開く音がします。

 『えっ、こんな真夜中に?』

 しかも、入ってきた足音は一人二人ではありませんでした。朝
の早い百姓の家ではこんな時間に働く者はいません。それは庄屋
様の処でも同じはずでした。

『さては、どろぼう』

そう思った私は心を引き締めます。ですが、藁を積み上げた土間
へ差してきたのは百目ローソクの明るい光。しかもそれがやがて
何本も立ち並び、まるで真昼のように輝いています。
コソ泥が仕事をするにはあまりに大胆な光の量でした。

節穴を通して広がる先には、奥様と顎髭を蓄えた中年紳士。それ
に12、3歳位でしょうか、まだ可愛らしいという形容で十分の
少年が二人見えます。

私はとっさにこれが奥様のおっしゃってたミサなのかと思いま
した。

奥様は白いケープを被った薄絹のワンピース姿、中年紳士は、金
モールの刺繍も鮮やかなガウンを纏っています。二人の少年は共
に白いシャツに白いホットパンツ姿。

赤毛でそばかすだらけの顔をしている方がやや体も大きく年長
でしょうか、金髪の方は今でも母の乳を恋しがる子供に見えま
した。

この二人が、それぞれに長い鎖のついた香炉を振り回すなかで、
祈りの儀式が始まります。

香炉はとても強い香りでたくさんの煙もでます。もう奥様の顔さえ
判別できないほどの煙が部屋中に立ちこめる中で奥様は跪いたまま
何かの教典を読んでおいでのようでした。

それが終わると、かの司祭の声がします。

「神のご加護がそなたとそなたの夫、この家のすべてにもたらされ
んことを」

彼はそう言うと仰々しい飾りの付いた杖を取り出して、奥様の肩に
宝石に飾られたその先端を押しつけます。

すると、さも今の動作で気づいたかのような物言いでこう言うので
した。

「何か悩み事はござらんか。心の震えがこの杖に伝わってくるが…」

奥様は両手を胸の前で組んだまま首を横に振りますが、男は腰を
落とすや、奥様の目を見つめて離しません。

「ありませぬか。隠し事はなりませぬぞ。神の前にあっては純潔
こそが救いの証しなのです。純潔でない者の望みを、神は絶対に
お聞き届けにはなりません。自らに巣くう悪しき妄念を赤裸々に
告白し、魂の浄化を受けることこそ救いの道なのです」

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庄屋の奥様 (3)

***** 庄屋の奥様 (3) *****

 神父は芝居がかった物言いで奥様の手を取って立ち上がると、
祭壇の脇にある小部屋へと誘(いざな)います。そして、その部屋
の中にある小さな椅子の埃を払い、これに腰を下ろすようにと、
丁重に勧めてから、自らは白いガウンを脱ぎ去り、中に着込んで
いた真っ赤なローブ姿のままで、奥様の入った小部屋とは反対の
部屋へむかうのでした。

 私は、建築当時からここに関わっていて知っているのですが、
奥様の入った部屋と、今、男が回り込んで入った奥の部屋とは、
小さな窓で繋がっています。
二人はその窓にお互いの顔を寄せ合い、そこで何やら密談を始めた
みたいでした。

奥様の声はとても小さく、聞き取りづらかったのですが、少年二人
が香炉を振り回すのをやめてからは私の耳へも届きます。
ただ、それは私のような者が聞いてはならない内容でした。

「それでは、あなたは昨夜、夫に求められたにも関わらず、理由
もなしに拒んでしまったのですね」

「はい、とても頭が痛かったものですから」

「それは理由にはなりません。夫婦和合は神の恩寵であり、夫が
求めるのは明日の働きに備えてのこと。夫の働きは神のご意志な
のですからそれを遠ざけることは神のご意志に背くことでもある
のです」

「お、お、お許しを……さりながらあの時は本当に頭が痛くて…
…私の頭痛は神のご意志ではないのでございますか」

「これまた何たる不見識。罪ななき者に災いをもたらすは悪魔の
仕業。だいいち、あなたはその夜、夫に身をまかせても明日にな
れば昼までも寝ていられる身。どちらが神のご意志か、はたまた
悪魔のささやきか、わかりそうなものを……」

「では、私の頭痛は悪魔の仕業だと……」

「もとより自明のこと。そのようなことも即座に分からぬでは、
この家も危うき限りじゃ。よろしい、口で分からねば、別の場所
を説得いたそう」

「あああっ、口が滑りました。どうか、お許しを。私が悪うござ
いました。どうかお鞭ばかりは……先月頂いた分の御印も、まだ
取れてはおりません」

哀願する奥様の声は真に迫っています。しかも香炉の煙が晴れる
につれて、小部屋のドアが開いているのが分かります。私は眠気
を忘れ、その先の展開を求めて、さらに目と耳をとぎすますので
した。

「いやいや、こうしたことは自らの懺悔だけでは落ちませぬ。体
の中と外を丹念に洗い、悪魔が吐き散らかした毒素を聖なる鞭で
たたき出さねばならなぬのです」

「そんなこと……私にはとても……」
司祭の決定に奥様は落胆して、その場に倒れこみます。
すると、司祭はすぐさま部屋を飛び出て奥様のもとへと駆け寄る
のでした。

「何も心配いりませぬ。私にお任せあれば今夜は心地よくお眠り
になりましょう。明日は、天国もかくあらんと思えるほど爽快に
お目覚めできましょうほどに……」

「本当に……」

「奥様はすべてを神のしもべたる私めにお任せあればよいのです。
さあ、お気を確かに……」

「あなたに任せてよいのですね」

「何よりそれが肝要かと……」

**********************(3)***

庄屋の奥様 (4)

***** 庄屋の奥様 (4) *****

時代錯誤した二人の会話が妙に心に残ります。

『と、そういえば少年二人は?……』
あたりを見回すと、これがすでに、礼拝所には二人の姿がありま
せんでした。

奥様ばかりに気を取られて見失ってしまったのです。

『あれは?……』
ところが、そんな彼らの居所が、またすぐに知れることになります。
祭壇の脇にあるドアの先、そこには司祭のために居室が二間続き
で用意されていたりですがが、そこから新たなローソクの光が…。
二人がそこにいるのはほぼ間違いありませんでした。

司祭は今にも倒れそうな奥様の手を取ると、狭い部屋から抜け出
します。
そして少年たちがすでに何やら始めている自分の居室へと奥様を
いざなうのでした。

あまりに芝居がかって浮世離れした光景に、『私は夢を見ている
のか?』とさえ思いましたが頬をつねっても太ももをつねっても、
しっかりと目が覚めているのが分かります。

となれば、その先も覗いてみたくなるのが人情。

私は悪い事とは知りながらも、そうっと屋根裏部屋へと這い上が
ると、天井裏を司祭の居室の方へと向かったのでした。

おあつらえ向きに小さな節穴からローソクのゆらめく光が漏れて
います。
私はそこへ腹這いになって陣取ると、その小さな穴を商売用の鑿
(のみ)で広げて覗き込みます。

と、いきなり飛び込んできたのは全裸でテーブルに横たわる白い
女体でした。形よく盛り上がった乳房の先にはまだピンクの乳頭
がピンと立ち、柔らかくカーブを描いてくびれる腰の中央に形の
良いお臍があって、その下は本来なら太く縮れた茂みがある処で
すが、奥様はあえて剃ってしまわれたのか、生まれたままの姿に
なっていました。

プロポーションは七等身くらいでしょうか、小顔で首筋の柔らか
なフォルムからして女を感じさせる均整の取れた体には、当然、
すらりと伸びた手足がついていて、男なら誰もがむしゃぶりつき
たくなるような体です。もちろん角質化した皮膚やシミ皺などは
微塵もありませんでした。

『天女様じゃあ。庄屋さまは幸せもんじゃなあ』
村人の誰もがそう言って褒めそやす体は、まさに天女が降臨して
きたよう。私は流れ落ちる汗やよだれと同じように股間の動きを
止められないまま、見ほれていまったのでした。

すると、先ほどの少年たちが司祭と一緒に部屋へ現れます。

司祭は奥様の枕元に立ってその額や髪の毛を優しく撫でているだ
けでしたが、傍らでは少年たちが何やら忙しく働いていました。
10リットル入りの樽や漏斗、水道ホースなどはすべて少年達が
用意した物のようです。

「司祭様、これは、私、とても耐えられそうにないのです。」

奥様が少年たちの動きに不安そうに泣き言を言うと、司祭は冷静
にこう言って励ますのでした。
「大丈夫です。先週も奥様は立派に耐えたではありませんか……
案ずることは何もありません。神がきっとお守りくださいます。
身体は未熟な魂の支配を嫌い、すぐに邪悪なものに浸食され安い
のです。若い婦人はことさらその傾向が強い。だから浄化せねば
ならぬのです。大量の聖水を使い汚れた体のすべてを洗い流さね
ばならぬのです」

***********************(4)**

庄屋の奥様 (5)

***** 庄屋の奥様 (5) *****

司祭のやさしく握ってた手が、言葉の最後ではしだいに熱を帯び、
やがて、奥様の手を強く握るようになっていきます。

そのうち、少年たちが準備を整えたみたいでした。
彼らの一人が鼻つまみ用のピンを神父に渡すと、さっそく、あの
上品な鼻がつまみ上げられ、息ができずに開いた口へ漏斗が差し
込まれていきます。

「あっぁぁぁぁぁ」

その瞬間、奥様は何か言いたげでしたが言葉になりませんでした。

「決して、息をしてはなりませんぞ」
司祭が最後の注意を与えると、いよいよコックが開いて大量の水
がでてきます。

「ううううっ……うううううっっっ…………うっっっっっっ……」
奥様は苦しい息の合間にその水を口の中へと入れていきます。

そして、ロートが水で溢れそうになると、高い位置に置かれた樽
のコックが閉じられるようでした。
ただし漏斗の水がなくなれば、一度だけ息を吸うことが許される
だけで、またロートから流れ込む大量の水と格闘しなければなり
ません。

ウエーブのかかる濃い茶の髪が激しく揺れて漏斗の水がテーブル
にこぼれ落ちます。奥様はそれなりに激しく抵抗しているように
も見えましたが、司祭も少年たちもそれにはお構いなしです。

「はあ、はあ、はあ、はあ、はあ」
やがて、回を重ねるたびに息継ぎの時間が長くなります。

奥様の髪がびしょびしょに濡れ、溢れた水がテーブルを落ちて滝
のように床を叩きつける頃には奥様のお腹は見事なまでに膨れて
いました。

「う~~んうううん」
苦しい息の奥様に向かって司祭の言うことはまたも同じです。

「聖水を大量に体に入れねば、その身は浄化されませんぞ。今が
踏ん張り時です。お子さんをお産みなるつもりで耐えるのです」

30分後、根気よく続けた作業の結果ついに樽の水が底をついた
ことで、この苦行は終了したようでした。

しかし、それは責め苦の第一弾に過ぎませんでした。

「さあ次は四つんばいに…その重荷を軽くしてさしあげましょう
ほどに」
神父の命令が下りましたが、

「ああ、もうよろしいです。私、今でも…出てしまいそうで…」
奥様は青い顔で訴えます。しかし、司祭の判断は冷徹そのもので
した。

「今、聖水がせっかく邪悪なものを捕らえているのです。これを
完全に体の外へと出し切るためには浣腸によらなければならない
のです。さあ、子供のようなことを申されますな」

**********************(5)***

庄屋の奥様 (6)

***** 庄屋の奥様 (6) *****

奥様の希望はことごとく断ち切られ、少年たちによって、あられ
もない姿のままテーブルに四つんばいにされてしまいます。
しかも、金髪の少年によって奥様のお尻は大きく割られてしまい
ましたから男たちからは菊門が丸見えになっているはずでした。

「では、お覚悟を願います」
赤毛の少年の声はハスキーで、ちょうど変声期を迎えた頃なので
しょうか。彼は水枕のような物から伸びるゴムの管の先を奥様の
菊門へ差し込むもうします。

ところが……

「あっぁぁ……ぁぁあっ……あ~~……うぅぅぅ……ぁぁぁぁ」

金髪の子が両手で割って露わにしていたその菊座はあまりに可愛
らしくて、さして太くもないゴム製の先端でさえ、容易に中へは
入れてくれませんでした。

「はあ、あぁぁぁぁぁぁ」
奥様の吐息は痛いと言うよりこそばゆいと言っているのでしょう。

少年二人がもたついていると、見かねた神父が少年たちからカテ
ーテルを取り上げ、『もたもたするな』と言わんばかりに彼らを
睨み付けます。

そして、左手で奥様の太ももひとなですると、それまで固く締ま
っていた菊の門が一瞬緩みます。その期を逃さず、神父は右手に
持った管の先を一気にねじ込んでしまったのでした。

その間わずかに数秒。まさに電光石火の早業でした。
この時、四つんばいにされ、細い尾っぽをつけられた奥様の頬に
一筋の涙が光ります。奥様は身体を震わせすべてのことに耐えて
いるようでした。

「美しい」
私は思わず知らず感嘆の声をあげます。

『うんこを我慢している姿がこんなに美しいなんて……』

羞恥に赤く染まった素肌がこの暗がりから、この隙間から、くっ
きりと浮かび上がります。

「あ~~~」

押し殺すような吐息は実際に奥様の身体に浣腸液が侵入してきた
何よりのあかしでした。
わずかにお尻を振るのは、新たに侵入してきた浣腸液の蓄え場所
を探しているのでしょうか。そのたびに天に向かって伸びる細長
い尾っぽが揺れます。

ほぼ一分半で終了したこの作業。しかし、厳重な紙栓の代わりに
尾っぽをとってもらった奥様に笑顔はありませんでした。

全身脂汗でテーブルの上にうずくまり、そこを一人で下りること
さえできないのです。おそらく意識さえも朦朧としていることで
しょう。

ただ『ここで奥様に粗相をさせたい』とはさすがの司祭も思って
いないようでした。

彼は、目配せで次の指示を少年たちに与えます。

まず、それに応えて奥様の両手を赤毛の少年が細いロープで縛り
上げます。たいそう手慣れた様子でしたから、身重の奥様は抵抗
する間もありませんでした。

そして、滑車に通されていたもう一方の紐の端を神父ともう一人
の少年が、二人して引き下ろしますから、奥様の上半身は、両手
を天井に向けたまま、たちまちにして伸び上がります。

おまけに、奥様の両手を戒めた少年が、今度は伸び上がる奥様の
様子を見ながら程良い加減でテーブルを引いてしまいますから、
あっという間に奥様の全身は、両手を高々と上げた状態で吊し下
げられることになるのでした。

奥様の体はつま先がわずかに床に着くだけで、天井に向かいその
身体は一直線に伸びています。

***********************(6)***

庄屋の奥様 (7)

***** 庄屋の奥様 (7) *****

「奥様、悪魔は暴れておりますかな」
神父の陰険そうな問いかけにも奥様はけなげな表情で答えます。

「はい、もう十分に……ですから、おまるを……おまるをお願い
します」
奥様にしてみれば『おまる』という言葉を使うことすら恥ずかっ
たに違いありません。

神父への懇願は本当に悲痛なものと見えます。
しかし神父にしてみれば、それがあまりに悲痛で切迫していれば
いるほど喜びは深いのです。
顔が笑っているのではありません。儀式を楽しんでいるといった
様子が、門外漢である私の目にも十分に伝わってくるのでした。

神父は新たに一振りの剣を取り出しました。

「聖なる剣です。これをかざせば、悪魔もあなたの体を出なくて
はならなくなるでしょう。……これは作り物ではありませんよ。
緊張するように」

そう言って、剣先を奥様の顎に突き刺し、十分に緊張させてから
それをゆっくり下ろしていきます。

「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

喉から胸の谷間、お臍を通って蟻の戸渡りまで這わせると……

「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

太股から股間の奥へ……

「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

今度は後ろへ廻り、お尻の谷間、尾骶骨、背骨をまっすぐに這い
上がります。

やがて、うなじまで達した剣は役目を終えてもとの鞘へと戻りま
すが、剣をのど元に突き立てられた時に生じた奥様の全身を包む
生理的ともいえる細かな震えがこれによってやむことはありませ
んでした。

「よろしいでしょう」
神父はそう言うと二つばかり手を叩きます。

それが合図で電動式の滑車が動き出し、奥様はそれに引っ張られ
て部屋の隅へと追いやられます。その先には洋式トイレがありま
した。

ロープが少し緩み、そこに座ることを許された奥様は両手を戒め
られたまま、用をたします。

「ああああああああ」
赤毛の少年によって紙栓が取り除かれたの同時に、もの凄い音と
ともにそれは始まりましたが、ほとんどは水だったと思います。
あまりにも量が多すぎてむしろ悪臭もありません。

「あっ……あ~~……うううううん……あ~~……ううううん」

ただ、ご自分の力で排出できたのは最初の1分間だけでした。
奥様はまだお腹に残る水分を出そうとしていきみましたが……

「あっ……あ~~……うううううん……あ~~……ううううん」

以後は三十秒休んではちょろちょろ、また三十秒休んではちょろ
ちょろだったのです。

「おまえたち、お手伝いして差し上げなさい」

神父の言葉に少年たちが動きます。二人は便器の前に跪くとその
豊満な乳房に顔を埋め、まるで幼子のように仲良くその一つずつ
をむしゃぶりつきます。
すると不思議なことに、奥様のお小水が、前よりも元気よく便器
の中へ音をたててそそがれるのでした。

「もういいだろう」
神父の言葉は次への合図でした。

奥様の体がバンザイをしたまま再び持ち上げられ、丸まった足先
が、かろうじて床を掃きながら厚手の敷物の中央へとやってきま
す。

ただ、その間も少年たちは奥様への奉仕をやめませんでした。

「……いやあ~……だめえ~……いやあ~……いやあ~……」

それどころか、奥様が立ったことで自由になったお臍の下の谷間
にまでも手を入れて、前と言わず後ろと言わず、その喜びが倍加
するように勤めます。
まだ幼い指が谷間の中の穴という穴をすべて解放し、柔らかな内
太ももを徘徊しているのが見て取れます。

**********************(7)***

庄屋の奥様 (8)

***** 庄屋の奥様 (8) *****

「だめ、だめ、だめよ、ぁぁぁぁぁ」

うわ言のような呟き。浮遊感の中の悦楽に、奥様はすでに意識が
ないように見えます。そのせいでしょうか、お小水が漏れ、便器
から敷物の間にもその恥ずかしい水が光っていますが、奥様も、
少年も、そして神父さえもその事には無頓着でした。

やがて、目的地に着くと、バンザイをさせにられていたロープが
緩められ、敷物の上に横たえられた奥様は久しぶりに両手を下ろ
すことができましたが、これで自由になったということではあり
ませんでした。

両手の戒めが一旦解かれますがすぐに両足が片方ずつ革のベルト
で固定されます。
革ベルトから伸びる細身のロープが滑車に通されていて、これを
巻き上げれば、うつぶせのまま奥様の下半身は宙に浮く仕掛けで
した。

わずかな休憩を挟み、いきなり、両足が自分の意志とは関係なく
大きく開いて宙に浮き始め両手の戒めも今一度巻き上げられます。
おかげで奥様はうつ伏せのまま、自分の体を空中に浮かせること
になるのでした。

「あああああ」
奥様は少し驚きの声をあげましたがこの時はまだ途中までの高さ。
エビぞりになった奥様の下半身の角度は30度くらいでしたか。
胸から上はほんの数センチで床につくほどだったのです。

「奥様、これより悪魔をおびき寄せます。が、いかなる時も平静
さを失ってはなりませぬぞ」

神父の言葉が終わるや、全裸となった少年たちが奥様に再び寄り
添います。

二人とも仰向けに寝て、赤毛の少年は奥様の股間の谷間に顔を埋
め舌の妙技を披露。金髪の少年は垂れ下がった乳房と乳頭を両手
と口を使って愛撫です。

そしてその作業がもっともやりやすいように奥様の上半身と下半身
の高さを調整するのは神父の仕事でした。

それが終わる頃には、奥様の息も荒くなりかけています。
神父はころ合いを見計らい、七本もの大きなローソクが並ぶ燭台
を取り上げると、こう言って奥様の反った背中にふりかけたので
した。

「悪霊退散、悪霊退散、神のご加護を与えたまえ。…悪霊退散。
悪霊退散。神のご加護を与えたまえ。悪霊退散、悪霊退散、神の
ご加護を与えたまえ。…」

当然、奥様の体はもだえ苦しみます。しかし、神父に呵責の念は
ありません。笑顔も憎しみもない超然とした顔で燭台を降り続け、
蝋涙を奥様の背中へと浴びせ続けます。

気がつくと、金髪の少年の体は一部が変化しています。
まだ幼い彼の体は完全にはむけきれずにいましたが、奥様はその
幼い一物を渇望しているご様子なのです。

「あっ、あっ、あっ……」
まるで幼児がおもちゃやお菓子を欲しがる時のような声。しかし、
手が使えない今は、その甘いお菓子に口だけでは届きません。

***********************(8)***

庄屋の奥様 (9)

***** 庄屋の奥様 (9) *****

この潤んだ瞳や物欲しげな口元に神父の目が届かないはずがあり
ません。
彼は事情を察して金髪の少年の位置をずらして奥様の口元に合わ
せます。
そしてその可愛らしいものに口をつけたことを確認するや、両手
の戒めを一つずつはずしてしまったのでした。

それから先の奥様は、もう私の知ってる奥様ではありませんでした。
爪を立て、少年のお尻を両方の手で鷲づかみにすると、化け猫が
皿の油を舐めるように、怪しくも愛おしく歯と唇と舌を上手に使
いこなして、まだ完全に剥きあがっていないピンクの卵を剥いて
しまいます。

少年も、どんな事になっても騒いではいけないと教育されている
のでしょうか、顔をゆがめながらもおとなしくしています。

しかし巻き起こる生理現象までは止めることができませんでした。

「あ~~~」

ややとろみがかった精液で奥様の顔は汚れます。しかし、それに
奥様が動じる様子はありませんでした。

気を取り直し、なえた一物に再び刺激を与え始めます。
すると、若い彼の体は、再び反応して奥様のおもちゃとしての用
をはたすのでした。

そして、ついに奥様にも歓喜の時が……それは金髪の少年を三度
昇天させた直後でした。

すべてが脱力し、赤毛の少年も金髪の少年も神父さえもしばしの
休憩へと入ります。この時奥様の背中には厚く蝋涙が降り積もり、
背中だけでなくお尻も太腿も真っ白になっていました。

今、月に一度の幸福な余韻が奥様を包んでいます。

こんな時奥様の体に触れられるのはやはり金髪の少年だけでした。
奥様が差し出した手を大事そうに受け取った少年は、ちろちろと
その指先だけ舐め始めます。
すると、奥様の体には、今一度、幸福な快感がよみがえったよう
でした。

それから20分。
ひょっとしてこのまま夜明かしをするのではないかと思うほどの
時間が過ぎ去ってから、神父が動き出します。この時も彼は突然
動き出すのでした。

いきなり滑車の紐を巻き上げて、大きく開いた奥様の両足を高々
と上へ上へと上げていきます。その角度は70度くらい。もう垂
直に近いほどでした。こんな姿勢では神父からも奥様の大事な処
が丸見えです。
ですが、この時、奥様は何も言いませんでした。
抱き枕を一つ顎の下に挟みこんだだけで、穏やかな表情で神父を
見つめています。彼女にはすでに次の事態が分かっているようで
した。

「私はあなたに平静でいるように求めた。しかし、それは赤ん坊
にミルクを飲むなと命じるほど無謀なことのようだ」
神父はナインテールを手にしている。が、奥様はそれを見ようと
しません。その代わり……

「申し訳ありません。神父様。私は弱い女なのです」
と、それだけ言って抱き枕を一段と自らに引き寄せます。

**********************(9)***

庄屋の奥様(10)

***** 庄屋の奥様 (10) *****

「では、この鞭で悪魔を叩き出すことになりますが、よろしいかな」

「あ~~~お願います」
奥様は深い吐息とともに神父に願いましたが、それは悔恨という
のではなく、憧れや願望からくる切ない響きを私に感じさせます。
こうなることは分かっていた。いや、こうなって欲しいと願って
いたということでしょう。さすれば、彼女の歓喜にも似た悲鳴の
謎もとけます。

「ピシッ」

巻き付くような革の鈍い音がしたかと思うと、雪のように降り積
もった蝋が弾け、白い奥様の肌に数本の淡いピンクの筋が残ります。

「あ~神様。お許しください。私の体に巣くう悪魔を追い出して
ください」

懺悔の言葉が終わるのを待って、もう一撃。

「ピシッ」

「あっ、あ~、神様。このか弱き女に愛のお慈悲を。孤独に負け
ない勇気を」

「ピシッ」

「ああ~、後生です。すべてあなたのなすがままに。私はあなた
に使えるしもべでいたいのです」

鞭はその後も続き、背中やお尻だけでなく、太股や当たればただ
ではすまない谷間の中にまでもおよびます。

「ぎゃあ、………………」

そこに当たった瞬間だけは、女性らしい悲鳴のあと、しばらくは
息が詰まるのか、懺悔の声がすぐには出てきませんが、しばらく
して痛みが治まると……

「この痛みと引き替えに安らかな心がとりもどせますように」

それまでと同じような懺悔が続きます。

「ピシッ」

「あ~、私はこうしている時にしか幸せを感じられない。それは
罪なのでしょうか。煉獄の炎に焼かれてもよいのです。神よ、私
に安らぎを」

神父も奥様の長い懺悔に必ずつき合っていました。そして、それ
が終わったのちでなければ、次は絶対に振り下ろさなかったのです。

たっぷり時間をかけ、たっぷり三ダースの鞭が振り下ろされるや、
奥様の口からは懺悔の言葉がとぎれます。
最後は、みみず腫れで真っ赤になったお尻にさらにもう一振り、
赤い嵐が舞い降りて……、

「ピシッ」

「このあたりで神の国へまいりましょう」
一言、こう言っただけでした。

すると、その言葉が合図だったのでしょう。神父はナインテール
を片づけます。
次に、待ちくたびれて居眠りを始めていた二人の少年を起こして、
二人に手伝わせて、高々と上げていた奥様の足を静かに下ろして
いきます。
そして、奥様を敷物の上に丁寧に寝かせると毛布をかけてから、
三人は静かに部屋を出て行ったのでした。

*********************(10)***

庄屋の奥様(11)

***** 庄屋の奥様 (11) *****

『…………………………』

私はローソクの明かりがすべて消され、真っ暗になった礼拝所を
見つめながら、そこに横たわる白い影を探しまわります。でも、
それはあまり意味のある行為ではありませんでした。あまりにも
浮世離れした光景に頭が混乱して、まずはその整理をつけたかっ
ただけだったのです。

『この一連のミサ自体はお芝居?でも、誰が?何の目的で?……
神父が首謀者?……いや、違うな。この劇の主役は奥様だった。
彼女がイニシアティブをとっていた。…………でも、なぜ?……
夫婦仲はよいと聞いていたのに?…それは外面だけの事なのか?
……庄屋様はこんなこと、ご存じなのだろうか?……知っていて
なおこんな事を許すことなんて、あるのだろうか?』

あれこれ考えるうちに、目が暗さになれて奥様の顔の位置までが
はっきりと分かるようになります。

私はいつしか屋根裏部屋を下りていました。そうっと足音を立て
ないように礼拝堂に入り込み、奥様が寝息をたてる敷物の前まで
やってきてしまったのです。

部屋は真っ暗。でも私の目の奥にはローソクの揺らめきに映し出
された奥様の痴態がフラッシュバックして頭を離れません。
あとは私の理性が関知するところではありませんでした。

****************************

その後のことは噂で聞いたことですが、奥様の御乱行は庄屋様の
知るところとなり、奥様は庄屋様からかなり手ひどい折檻を受け
たようです。でも、その時すでに奥様のお腹には赤ん坊があった
ために、夫婦別れはしなかったということでした。

私は十年後、再びあの礼拝堂の修理を任されます。

その作業の途中、三時のおやつを奥様が自ら持っていらっしゃい
ました。

「ごせいがでますね。あなたは10年前とちっとも変わらないわ」

「私はしがない左官職人ですから、変わり様がありませんけど、
奥様はあの時よりお美しくなられた」

「まあ、うれしいこと。あの時は新興宗教に入れあげてて、我を
忘れてたけど……」

 「では、もうあの神父様とは……」

 「今は、主人が教祖様ですわ。だからね、ここも改装したの。
教祖様に合わせて……」

見れば、かつての礼拝堂は近在のどこにもない立派なSMクラブ
に変身していました。

「女は自分を愛してくださる教祖様しだいで幸せにも不幸せにも
なるのよ」
奥様がそこまで言うと庭先で遊ぶ一人の少女に目を向けます。

「私は、あの子ができたから今の幸せがあるの。わかるでしょう」

私は意味深な目で見つめる奥様の視線を避けるように、幸せそう
な少女に視線を移します。

「あの子には、毎週、お灸と浣腸はかかさないの。物差しでお尻
を叩くのもしょっちゅうよ。女は愛される人のもとで耐える喜び
を知らないと幸せにはなれないわ」

「えっ!」
私は思わず奥様の顔をうかがい。そして、あらためて少女を見つ
め直します。

「でも、お嬢様は明るいですね」
調子を合わせてこう言うと、奥様は……
「そりゃそうよ。私はあの子を誰よりも愛してますからね。女の
幸せは自分を愛してくれる人がいるかどうか。そんな人がいれば、
その人の為には何でもしたいと思うのが女なのよ」

「それで厳しいお仕置きを……」

「あの子から愛と信頼を得ているから、私もあの子にお仕置きが
できるの。あの子だってお仕置きされても明るく振舞えてるの。
……母親としては、愛と信頼があるうちに、どんな人と出会って
も愛されるように娘を躾てやらなければならないわ」

「躾ですか……」

「そうよ、娘が幸せに暮らすために一番大事な躾なの。…………
そうだ、ちょっとこっちへ来てくださる?」

彼女は今気づいたように立ち上がりました。
そして、自慢のSMルームへと私を引っ張って行くと、その天井
を指さして……

「ね、あそこに大きな穴が空いてるでしょう」

「あっ、そうですね。塞ぎましょうか」
私はさも今、気づいたように応対します。

「いいの。あの穴は塞がないでね。私ね、あの穴から見られてる
と思うと、よけいに燃えちゃうたちなの。それに、また一晩だけ、
すてきな王子様が現れるかもしれないでしょう」

私はその言葉を聞いて10年まえと同じことがしたくなりました。

「………………」
でも、今回は体が動きません。

庄屋の奥様は奥様、私はしがない左官の職人。そんな当たり前の
事を、改装前からそこに祀られてるマリア様の像が、私にそっと
教えてくれたような気がしたのです。


****************<了>***(11)***

4/25 蛇足ながら一言

4/25

 < 蛇足ながら一言 >

 昔から機械ものには弱くて中学時代も「技術」とか言ったかな、
そんな名前の教科でトランジスターラジオを作らされたんだけど、
なんと音がならなかったのはクラスで僕の製作した物だけ。
 理科系が特別嫌いというわけではなかったけど、手先は昔から
不器用だった。
 そのトラウマのせいかパソコンも思うように操れない。何か、
新しい事を始めるたびにパソコンの調子がおかしくなるのは僕の
中では七不思議の一つだ。
 そんなわけでこのブログもただ文字が並んでいるだけの殺風景
なものにしかなっていない。
 こんな風采の上がらない代物だから訪ねる人がいないのも当然
といえば当然で…これまでは「どのみち相手にされていないのだ
から」ということで気楽に自分の好きなことを好きなように書い
てきた。
 ところが、先日どなたか知りませんけど奇特な方がいらっしゃ
って拍手のボタンを押してくださったので、「わあ、見てる人が
いる!」って今さらながら驚いたしだいです。
 それで、小説なんかはどうでもいいんですが、エッセイについ
ては以下の一文だけ付け足しておきます。

 「私は、今の親が子供に体罰を加えることには反対なんです。
今は、そういう環境にはないと思っていますから。ただ、体罰を
否定した今の姿が健全で理想的だとも思ってはいないのです」

4月24日

2015年4月24日

どちら様か知りませんが「拍手」をいただきました。
ありがとうございます。

私はこうした電子機器の操作が苦手で、そもそもこのブログの
操作や各項目の意味もよくわかっていないんです。

どうしてお礼を言ったらいいかもわかりませんので、この場を
借りてお礼を申し上げます。

                 tutomukurakawa

〘 第 1 回 〙 亀山愛育院

          亀山物語
                     合沢啓治(著)

<作品について>
 「亀山からの手紙」の原本みたいな作品です。
 昔の作品なので、SMチックで過激な場面も多々ありますが、
本人はあくまで「お仕置き小説」だと思って書いています。
 お仕置き場面でさかんに登場する『お灸』は作者が古狸だから。
現代人には馴染みのない分野で、理解は難しいかもしれませんが、
あくまで参考資料として置いておきます。

〘 第 1 回 〙 亀山愛育院
***************************

<主な登場人物>

私(合沢啓治)/亀山愛育院の孤児。由美子の弟。

小島先生   /私の家庭教師であり、実質的には僕のママ。

大石胤子   /亀山村の村長さん。(三代目)女王様。

榊原 美里  /同級生の恋人。片想い。

森下景子先生 /由美子お姉様の家庭教師(ママ)であり、
       /かつ、学校では担任の先生でもある。

合沢由美子  /私をリンチにかけたお姉様の一人。私の姉。

小川静子   /泣き虫。リンチ四人組の一人。

桐山香織   /おっちょこちょいで早とちり。四人組の一人。
       途中でお灸をすえられそうになる。

安西遥香   /優等生だが、今回の事件に関与。四人組の一人。
途中でお漏らしをしてオムツ替えをさせられる。

美代子と彰子 /今回私のリンチには加わらなかったお姉様。

 お義父様  /亀山の子供たちは誰もがお義父様の子供として
(合沢徹)   /その家で家庭教師(ママ)と一緒に暮らしている。

 お義母様  /お義父様の奥さん。元々はお義父様のお付き合い
(合沢早苗)  /で亀山に来たのだが、今は子供たちにも優しい。

桐山高志 /幼稚園児(5歳)。由美子のお友達、香織の弟。 

 大原先生/高志君のママ。

 おばば様/亀山のお灸担当係。子供たちの実母を知る老婆。

****************************
****<1>*********************

 私は生まれて間もなく亀山愛育院という処に預けられ、そこで
15の歳まで生活しました。母は、当時売れっ子芸者だったそう
ですが、許されぬ間柄の子を産んでしまったために自分では育て
られず噂で聞いた亀山を訪ねたんだそうです。

 ここのシステムはすでに他の人達が何度も説明していますから
あえて説明は省きますが、母(実母)もその例外ではありません。
おばばによって身体中にお灸がすえられ、それと引き替えに私は
ここへ預けられたのでした。

 もちろん私はそんな事は露ほども知りません。私の記憶に残る
最初の風景は合沢邸の美しい庭の緑。そこに向かって突き進んで
行くところでした。途中で身体がふわりっと浮いて景色が家の中
へと大きく変わりましたから、おそらくその瞬間ママ(小島先生)
が私を抱き上げたのでしょう。

 亀山の家庭はどこもそうでしょうが私たちの家庭教師は(小島)
先生ではなくてママなのです。ミルクやオムツの世話はもちろん
箸の使い方から着替えの仕方もすべて彼女に教わりました。

 何より、赤ん坊の頃の私は四六時中彼女のそばで暮らしていま
したから、恐らく昨今見受けられる保育園に預けて働くお母さん
方より私の方がママと一緒にいた時間がずっと長かったと思いま
す。

 もちろん彼女にも教師としての仕事がありましたが、ご存じの
ように亀山の先生方は預かった赤ん坊と同伴で出勤して、授業も
その子と一緒に教室で授業をやってしまうというお土地柄でした
から、私も生まれてすぐに学校へ通うことになります。

 教室には大きなメリーゴーランドがつり下げられ、時折、お姉
さんたちの笑い声が聞こえてきます。私が泣けば、授業は中断。
オムツ替えの時などはお姉さんたちが手伝ってくれたりしました。

 実にのどかなものです。もちろんこんな光景、私だけのもので
はありません。ここでは誰もがこうして育つものですから、他の
教室にはまた別の赤ちゃんがいました。

 ただ、私は男の子でしたから、それなりに人気がありました。
よく用もないのに他のクラスからもお姉さんたちがやってきて、
ミルクを飲ませたがります。見かねたママが「この子にミルクを
与えないように」というおふれを出したほどでした。

 女社会の亀山にあって男の子というのはよく言えばアイドル、
悪く見ればオモチャでした。女の子たちはことあるごとに、私を
おままごとのゲストとして招き入れ、私の身体をあちこちいじり
まわしては事あるごとに裸にしたがったのです。

 世間ではお医者さんごっこというと、男の子の邪心がからむ、
Hな遊びのようですが、ここではむしろ、男の子の方が女の子の
お道具になっていました。彼女たちは、お医者さんの治療だと称
して、私のお尻に円柱形の積み木を押し入れたり、洗濯ばさみで
おちんちんを挟んだりしたのです。

 もちろんそんなところをママに見つかれば大目玉ですが、何度
注意されても結構しつこくやってきました。(^^ゞ

 事ほどさようにここでは男の子の力は弱く、私の他にも男の子
は数人いましたが、いずれも幼い頃から女の子に圧倒されてしま
って世間で見かけるような荒々しい子というのはいませんでした。

 そのせいでしょうか、何かの原因で男女に諍いがあったとして
も怒られるのはたいてい女の子。お仕置きも女の子に対して特に
厳しくて、巷ならそこまでは……と思うような過激なお仕置きも
しばしばでした。

 学校では毎日のように少女達の悲鳴が聞こえてきますし、校庭
にはピロリーと呼ばれる晒し台なんかもあって気候がよい日には
誰かしらがそこに引っ掛かっていました。

 この備え付けの枷は、首と両方の手首を一枚の大きな板で固定
するもので、厚い板は存在感がありますから幼い子などはここへ
連れてこられただけで泣いたりします。罰を受ける時は、通常、
着衣のままですが、たまに、ショーツだけが許されていてそこに
跪くことも。さらに、おいたが過ぎれば、その最後の布きれさえ
剥ぎ取られることだって……そう、すっぽんぽんのさらし者です。

 正確に言うと、直射日光を遮る帽子と足下を冷やさないための
靴下だけは身につけてますけど、そりゃあ、恥ずかしいですよ、
そんな時は……

 まさに幼児虐待。こんなことされたらさぞや心の傷はいかばり
かと、今の親御さんなら心配なさるでしょうね。でも、意外にも
本人たちは罰が終わるとケロッとしていました。

 それは物心ついて以来、裸にならなきゃならない罰がここでは
他にも色々あったからで、親や教師だけじゃなく司祭様や現役を
退いた老女たちも、公園で少女たちの不埒な素行を見つければ、
その場で公園に設置してあるピロリーに少女たちを繋ぐことがで
きたのです。

 そう、亀山という処は少女たちの裸を見たいなら街をぶらつき
さえすればそれでよかったんです。教育には直接携わっていない
大人でもちゃんとした理由があれば少女のお尻をむき出しにして
平手で叩くことぐらいはできましたから、少女たち(もちろん、
少年も同じですが)にとって大人は最初から怖い存在だったわけ
です。

 ならば、子供たちは日々大人の影に怯えて暮らしていたのかと
いうと、それも違っていました。

 街の住人たちは子供たちをことのほか気にかけていましたし、
事あるごとにその小さな身体を抱きたがりました。ママや先生達
からも『誰であれ大人たちからの愛を拒絶してはならない』と、
口を酸っぱくして教えられていましたから、子供たちはごく自然
に大人たちからの愛撫を受け入れて暮らすようになります。

 『知らないおじさんに着いて行っちゃダメよ』
 世間でいう親の金言はここではまったくあてはまりませんで
した。

 自分を抱いてくれる。オモチャを買ってくれる。一緒に遊んで
くれる。知らないことを教えてくれる。それは大人たちが子ども
たちに対してごく自然にやってくれる事であり、見知らぬ大人の
背中で顔見知りの子供が眠っていたとしても誰からも咎められる
ことはありませんでした。

 そんな濃密な社会のためでしょうか、子どもたちは大人たちを
疑いません。

 仮にこの街で出会う見知らぬ大人が、戯れに「裸になりなさい」
と命じたしましょう。それでも、ここの子どもたちなら誰一人逆
らわないはずです。

 えっ、信じられませんか?でも本当のことなんです。それほど
までに子供たちは大人に対しては絶対服従でした。(^^ゞ

 もちろん、大人たちにもしっかりとした分別がありますから、
いくら子供が自由になると言っても邪な心を抱いて一線を越える
ような事はありません。揺るぎない理性と深い愛のもと、大人は
子どもに対して強い権限を持っていました。

 一見ハレンチに見える子供へのお仕置きも、そんな分け隔ての
ない愛に支えられて成り立っていました。

 市井の人ですらそんな状態ですから、ママ(=家庭教師)は、
お義父様から預かった子どもたちに対して実の母親以上に献身的
でした。

 それは時としてうっとうしいと思えるほどの過干渉でしたが、
いざ自分が親になってみると『自分はそこまではできないな』と
実感してしまいます。そのくらい彼女は私を愛していましたし、
兄弟も分け隔てなく愛していました。

 そのせいでしょうか、私はママから幾度となく厳しいお仕置き
を受け入れましたが、それを恨んだ事は一度もありませんでした。
 ママと僕の距離はそれほどまでに近くて、何か不都合なことが
起きても『ママだから』という理由だけで心が簡単に許してしま
うのです。

 要するに、みんな超マザコンというわけです。

 彼女は、僕の体重が重くなりすぎてどうしても膝の上には乗れ
なくなるまで、私を抱いて勉強をみてくれましたし、事あるごと
に抱きしめ、頬ずりしてくれます。おかげで、添い寝には体重が
かかりませんから、これは小学校高学年になっても毎晩でした。

 私も私で、赤ちゃんの時からの習慣でしたから、そんな濃厚な
スキンシップが当たり前のように思っていました。当然、恥ずか
しいなんて感じたことは一度もありません。

 ただ、中学二年生の頃になると私の方がママを女として感じる
ようになってしまい、一時距離を置くようになっていたのですが、
そんな時もママの方は相変わらずで「今日は一緒に寝ましょう」
なんて平気で言います。どうやら、私の体が男となっていっても
抵抗感はないようでした。

 もちろん、怪しい関係なんて一度もありませんよ。(^_^;)

 そんなべたべたスキンシップは昔からのこの街の伝統のような
ものでした。男の子も女の子も、家庭だけでなく、学校でも教会
でも、町中至る所で子供たちは大人たちから事あるごとに抱かれ
続けます。

 それは、『どんな時でも子供を見つけたら抱き上げなさい』が
街の掟だったからです。
 街には子供たちには直接関わらない庭師さんや大工さん、魚屋
さんや八百屋さんなんて職業の人たちも沢山いましたが、女王様
から『それもあなた方の仕事』ということで雇われていました。

 おかげで街の誰もがとりたてて用もないのに子供たちを見つけ
ると挨拶代わりに抱き上げます。ただ、それは当の子供たちにと
っては心地よいことばかりではありませんでした。

 髭がもじゃもじゃな人や体臭のある人なんかがいますから。

 でも、それをあからさまに『嫌』と拒否することもできません。
子供の方は子供の方で、大人に抱いてもらうことが義務みたいに
なっていたからなのです。露骨にイヤイヤをすれば最悪お仕置き
だってされかねませんから、それなりに気を使います。

 まあ挨拶と思えば我慢できますから私はそう思っていつも作り
笑顔で耐えていました。

 あっ、そんなこと誰が決めたのか?ですか(^^ゞ

 それは亀山の村長さんです。この孤児の町を造った初代の女王
様、大石胤子さんが……
 『本当の母親がいない孤児だからこそ、実の母親以上のスキン
シップが必要なんです』
 と言って決めたみたいです。
 偉い人なんですが、女性なんでみんな女王様なんて呼んでいる
んですよ。

 今の村長さんは三代目。代々一族の女性がその地位を受け継い
でいて、ママや先生、司祭様やお義父様なんていう大人たちも、
彼女にはだけは頭が上がりません。何しろ『女王様』というのは、
大人たちの行いを見ていて、『この人は不適格』と判断すれば、
どんな人でも辞めさせることができるんですから大変な権力者
です。

 普段はみんなに尊敬され威張っているお義父様でさえ女王様が
「不適格」と言えばここを出ていかなければなりませんでした。
もちろん子どもたちとの力の差は月とすっぽん以上なわけですが、
私たち子どもにはとても優しい人でした。

 そんな人ですから、大人たちから理不尽な仕打ちを受けると、
女王様の処へ駆け込む子もいました。大人たちの方が正しければ
女王様にこっぴどく叱られることもありますがクリスタルパレス
(女王様の住まい)に行けばたいてい味方になってくれました。

 といって私が女王様を頼ったことは滅多にありませんでした。
そんな必要がないほどママと私は良好な関係にありましたから。
 恐らく実の親子でもここまではと思うくらいママは私を抱いて
育ててくれたのです。小学校3、4年生までは赤ちゃんが離乳食
をほおばるようにママの差し出すスプーンで食事をしていました
し、お風呂でも身体は自分では洗いません。おちんちんも含め、
身体はすべてママが洗うものだったのです。
 そう、大変な甘えん坊さんだったわけです。

 ただ、これは私が男の子だったからかもしれません。とにかく
亀山は女の子がメインの社会。男の子はお客さんみたいなもので、
勉強さえある程度できるなら他のことはあまり強く強制されませ
んでした。

 結果、ママは私を可能な限り赤ちゃんとして扱い、私もまた、
女ばかりの社会の中にあって毒気を抜かれてしまったのか男の子
らしい猛々しさはどこにもありませんでした。

 あれは小学四年生の初夏でしたか、上級学校(小学四年生から
中学三年生までの学校)に進学したばかりの私はクラスメイトの
美里という子に気があって、事あるごとにからかっていたのです
が、そのうち彼女の機嫌を損ねてしまい、反対に上級生の女の子
たちから吊し上げられてしまったのです。

 ところが泣きはらした私の顔を見て今度はママが怒りだします。
私の腕をむんずと掴かむと気乗りしない私を引きずるようにして
学校に乗り込んでいきました。

 私は争い事は嫌いですから、ママに思いとどまるようにお願い
したのですが、無駄でした。

 放課後の静かな学校に吹き荒れたママ台風によって、職員室は
大荒れ。結局、翌日に私が上級生のクラスに行って首実検をする
はめになったのです。

 「どの子にやられたの?」

 教室へ現れた私とママを見て当の上級生たちも戦々恐々の様子
で、その青ざめた表情は幼い私にさえわかるほどでした。

 ママは頑張ります。担任はもとよりその子たちのママに直談判。
必要ならその子たちのお義父様にも手紙を書いて、私を泣かせた
女の子たちが二度と私にちょっかいを出さないように厳しい懲罰
を与えて欲しいと迫ったのでした。

 こんな場合、世間では……
 『そうは言っても相手は女の子ですから』
 なんて割を食うのは力の強い男の子と相場が決まっているよう
ですが、ここではまったく逆です。私の方にちょっとぐらい非が
あっても罰せられるのは決まって女の子の方だったのです。
 まして、今回は年下の男の子を集団でリンチにかけたわけです
から事は重大です。

 そんなわけで担任の森下先生が下した結論は『土曜日の午後、
修道院の裏庭で特別反省会を開きます』というものでした。

 特別反省会というのは名前は反省会ですが要するにお仕置きを
公開でやりますということでした。ごく幼い頃ならいざ知らず、
このくらいの歳の女の子になると恥をかかされることには敏感
です。単にぶったり叩かれたりすること以上に辛い事になります。

 そのためそうたびたび行われるものではありませんが、犯した
罪が特に重い場合は、お仕置きに関わりのないクラスメートにも
お仕置きを見せて戒めにすることがありました。

 ただ、その場合でも、異性の参加を認めるというのは希でした
から、私が被害者という立場でそこに立ち会ったのは、この時の
ママの怒りがいかに強かったかという証明でもありました。

 『あとで復讐されたらいやだもん。もう帰りたいなあ』

 そんなことを思い続けながら私は舞台の袖で公開処刑の様子を
観察していました。
 以下はその記録です。

 あっ、本日はこれまでですか。(^o^ゞ
 では、続きは次回といたしましょう。m(__)m

***************************

〘 第 2 回 〙 「特別反省会」開幕

          亀山物語
                     合沢啓治(著)
〘 第 2 回 〙 「特別反省会」開幕
***************************

<主な登場人物>


私(合沢啓治)/亀山愛育院の孤児。由美子の弟。

小島先生   /私の家庭教師であり、実質的には僕のママ。

大石胤子   /亀山村の村長さん。(三代目)女王様。

榊原 美里  /同級生の恋人。片想い。

森下景子先生 /由美子お姉様の家庭教師(ママ)であり、
       /かつ、学校では担任の先生でもある。

合沢由美子  /私をリンチにかけたお姉様の一人。私の姉。

小川静子   /泣き虫。リンチ四人組の一人。

桐山香織   /おっちょこちょいで早とちり。四人組の一人。
       途中でお灸をすえられそうになる。

安西遥香   /優等生だが、今回の事件に関与。四人組の一人。
途中でお漏らしをしてオムツ替えをさせられる。

美代子と彰子 /今回私のリンチには加わらなかったお姉様。

 お義父様  /亀山の子供たちは誰もがお義父様の子供として
(合沢徹)   /その家で家庭教師(ママ)と一緒に暮らしている。

 お義母様  /お義父様の奥さん。元々はお義父様のお付き合い
(合沢早苗)  /で亀山に来たのだが、今は子供たちにも優しい。

桐山高志 /幼稚園児(5歳)。由美子のお友達、香織の弟。 

 大原先生/高志君のママ。

 おばば様/亀山のお灸担当係。子供たちの実母を知る老婆。

****************************
****<2>*********************

 舞台となったのは修道院の裏庭。ここは礼拝堂の裏口から続く
通路を50mほど行った先にあって俗世と聖域を分ける緩衝地帯
みたいな処でした。木の柵で仕切られてますが、昼間はシスター
だけでなく子供たちや街の人たちも自由に立入ることができます。

 ただその先が修道院の建物で行き止まりになっていますから、
あえてここを訪れようという人以外、普段ほとんど人の出入りは
ありません。目立たず声も届きにくいこの場所は、修道院のシス
ターたちの協力も得やすいことから子供たちをお仕置きする場所
としてよく使われていました。

 そんな庭はシスターたちによって丹精された草花が一年中咲き
乱れています。ちょうどこの時期は赤やピンク、黄色などの薔薇
があたり一面満開でした。天気もよく、少し汗ばむくらいの気温
をさわやかな五月の風がさましてくれます。

 公開処刑にはまたとない好条件です。もしこれが寒い時期だっ
たり、雨がふっていたりしたら仕方なく物置だった地下の納戸を
使うことになりますが、あそこだと少女たちの悲鳴が冷たい壁に
反響して悲惨さを必要以上に増幅してしまいますし、汚物の臭い
も篭りますからお義父様たちが眉をひそめてその大権を使い早々
と娘たちを許してしまう恐れがありました。

 えっ?『許されるならラッキーなんじゃないか』ですって……
(^^ゞ

 たしかにその瞬間は……
 でも、たいてい物足りなさを感じる先生たちによって、その後、
子供たちはよりキツいお仕置きを受けるはめになります。
 実際、子どもをお仕置きする口実なんてどこにでも転がってい
ますから。

 女の世界というのは、罪の重さと罰の重さが必ずしも比例しま
せん。大事なことは罰を与える側の溜飲をいかに下げさせるかと
いうこと。それが実現しないうちはお仕置きが終わらないのです。
お父義様がせっかく許してくれても子供たちにとっては実質的な
困難がまだまだ続くことになるのでした。

 ところでこの日は最初から舞台にはデンと大きなベビーベッド
が四つも並んでいました。

 その横には罪を問われたお姉様たちがそれぞれママたちに肩を
抱かれるようにして立っています。もし、この時ママがお姉様を
抱いていなければ、ひょっとして卒倒したり失禁したりする子が
いたかもしれません。

 いえ、オーバーではなく本当に……。

 この時のお仕置きは普段から体罰には慣れっこのお姉様たちに
しても全身の震えが止まらないほど厳しいものだったのです。
 ですから、こんな時頼りになるのは、やはり赤ちゃんの時以来
ずっと寝起きを共にしてきたママだけ。それは私にしてもお姉様
たちにしても同じことでした。

 「いやよ、こんなの。ごめんなさいするから許してもらって…」
 風に乗ってお姉様の泣き言が舞台袖の私の耳にも届きます。

 でも、ママの答は厳しいものでした。
 「仕方がないでしょう。あなたが蒔いた種なんだから。………
私だってあなたとのお付き合いはごめんだわ。だいたい下級生の
…それも男の子を全裸にしちゃうなんて呆れてものが言えないわ」

 「全裸じゃないわ、下だけよ。オムツ穿かせようって由美子が
言うもんだから………由美子が悪いのよ」
 「でも、あなただって手伝ったんでしょう」

 「それは、そうだけど……」
 「だったら同じじゃないの。そういうのを集団リンチっていう
の」

 「そんな恐ろしいことしてないわよ。ちょっとからかっただけ
だもん」
 「からかった?……おや、おや、いい歳をしてお浣腸までして
おいて……今さら森下先生(担任)に何を訴えるつもり?」

 「それは……」
 「そんなハレンチなことしておいて、今更助けてくださいなん
て言ってもそんな子に誰も助け船なんか出さないわ。ママだって
ごめんよ」

 「え~~」
 「何が、え~よ。そんなこと当たり前でしょう。私が小島先生
をなだめるのにどれだけ苦労したと思ってるの。…それよりも、
これからのお仕置きをちゃんと受けることね」

 「え~~」
 「そうすれば、あなたは元のエリート天使に戻れるわ。何より
お義父様はね、誰よりもあなたを愛しておられるの。その愛は、
しっかり受けなきゃ損でしょう」

 「私、お義父様の天使になんかにならなくていいわ」
 「どうして?…あなた忘れたの。ここはお義父様の天使だけが
暮らすことを許された御國なのよ。天使でない子どもはそもそも
いらないの。すれっからしの子に用はないの。そんな子はここを
放り出されるわ。それこそすっぽんぽんでね」

 「…(それでもいい)………」
 本当はそう言い放ちたいところですが、この時のママの言葉は
重かったと思います。実際、大人たちに反抗して全裸で放り出さ
れた先輩をつい先ごろ私も見たことがありました。
 いえ、それだけならまだいいのですが、二週間後、一旦は別の
孤児院に行ったその先輩が再び全裸で私たちの前に現れたのです。
先生方に許しを乞うために……。
 あんな惨めなこと、そりゃあ誰だってしたくはありませんから
ね……

 ママは娘の耳元で強い調子で囁きます。
 「いいこと、ここではあなたはお義父様の天使でなければ生き
ていけないの。それは良い悪い、好き嫌いは関係ないことなのよ」

 現実はママの言う通りでした。食べるもの、着るもの、文房具、
オモチャ、確かにここには中流家庭にあるものは何でもあります。
けれどそれらはお義父様からの愛を失えば一瞬にして消え去る物
ばかりでした。

 そのお義父様たちはというと、娘たちのそれぞれのベッドを前
にして藤椅子を並べ、すでに着席しておいででした。
 四人それぞれにお嬢様が違いますからここには四人のお義父様
がいらっしゃいます。
 それぞれのお父様たちはご自分の娘が罪に怯える様子をご覧に
なりながら他のお義父様たちと何やら談笑しておいででした。

 このお義父様方は亀山を下りればその世界で知らぬ人がいない
ほどの有名人ばかり。すでに功なり名を遂げた人たちが人生最後
の楽しみとして選んだのがこの亀山だったのです。

 ですから、いずれも年齢的にはお爺さま世代なのですが、これ
までエネルギッシュな人生を送ってこられたせいか、皆様お歳の
割にはお若い方ばかりでした。

 もっとも、お義父様は資金の提供だけでなくお義父様としての
お仕事もありますから、あまりにも老けこんでしまったら女王様
から引退勧告を受けてしまいます。好きな子どもたちを抱き続け
るためにも老け込んではいられませんでした。

 そんなお義父様のお仕事。まあそれが生き甲斐でもあるのです
が、それはひたすら自ら引き取った娘を愛し続けること。笑顔の
娘を膝の上に抱き上げ、頬ずりして、頭を撫でてご飯をスプーン
で口元まで運んだりします。まるで幼児にでも接するような愛情
表現をここでは13歳の娘にも行いますが、娘の方がそれを拒否
することはできませんでした。

 と同時に、子供たちが何か悪さをした時はそのお仕置きを手伝
わなければなりません。お義父様のなかには、娘のお仕置きには
あまり積極的でない方もいらっしゃいましたが、女王様とのお約
束ですから知らんぷりもできません。特に、こんな重大な事件が
あった時はお義父様としての威厳を保つためにも、愛する娘に、
ちゃんとしたケジメ、つまり、恥をかかさなければなりません。
 その手始めが、今まさに始まろうとしていたのでした。

 「さあ、みなさん、準備できましたか」
 四人の生徒をご自分の足下に集めて明るい声が響きます。声の
主は森下先生。タイトスカートを穿きモデルのようなスレンダー
な体つきはこんな山深い里には不似合いな都会的な香りが漂って
いる生徒に人気の先生です。

 この時、先生は象徴的な意味で乗馬鞭を手にしていましたが、
これで生徒たちのお尻を叩くということではありませんでした。

 「乙女の祈りを……」

 女の子たちは憧れの先生の指示に従い、跪いて両手を胸の前に
組んで目を閉じます。
 この姿勢は『乙女の祈り』と呼ばれ、亀山では子供たちが大人
たちから何かにつけて求められるポーズでした。神様へのお祈り
はもちろん、お義父様への朝夕のご挨拶や司祭様への懺悔の時、
先生からあらたまった内容のお話しを聞く時やこんなお仕置きを
いただく時もすべてこのポーズで始まります。

 もちろん乙女ではありませんが男の子も同じでした。(^^ゞ

 このポーズは子供たちが目上の人に恭順の姿勢を示す為に取る
ポーズでしたから、このポーズをとって怒る大人はまずいません。
ですから、大人たちに叱られそうになると、慌ててこのポーズを
とることが多く、結果許されることも多かったのでこのポーズを
取ると今でもなぜかほっとしたりします。

 私も亀山にいた頃は一日に何回となくこの姿勢になりました。

 「あなたたちは罪を犯しました。それがとても許されないほど
大きな罪であることは承知していますね。どんなことをしたの?」

 「啓治君をお医者さんごっこに誘いました」
 か細い声で答えます。

 「あなたたちには何か理由があったようですが、この学校では
理由のいかんを問わずいじめは認めていません。……由美子さん。
それは承知しているわね」

 「はい、先生」

 「そこで、あなたたちは啓治君に何をしたの?」

 「何をって………………」
 言い渋る由美子さんに先生が話を続けます。

 「全裸にしたんでしょう」

 「全裸って……おむつを履き替えさせただけです」

 「それだけ?お浣腸はしなかったの?」

 「…………」
 一同はうつむいたまま黙ってしまいます。だってこの四人は、
嫌がる私を押さえ込んで保健室からくすねたイチジク浣腸を入れ
たんですから……でも、こんな悪戯、ここではそう珍しい事では
ありませんでした。女の子というのは自分達にはない物をもって
いる男の子が羨ましいのか、自分たちより幼い子をターゲットに
してHな遊びを繰り返していました。巷では男の子がやりそうな
危ない遊びを、ここでは女の子たちが平気な顔でやってのけるの
です。

 「小島先生にお聞きした時は呆れたわ。13歳にもなった子が
こんな危ないおままごとをやるなんて……小島先生でなくても、
放ってはおけないわね」

 と、その時でした。

 「ねえ、もっと幼い子ならいいのかしら」

 森下先生のお説教を観客席で聞いていた彰子が隣の子の耳元で
ささやきます。もちろん、小さな声でしたが……

 「彰子さん、何ですって!」
 森下先生の声が急に厳しくなります。

 『普段からおしゃべりで、一言多い彰子さんがまたよけいな事
を……』
 その場にいる子供たちはみんな同じ思いでした。

 もちろん、睨まれた彰子さんは黙ってうつむいてしまいます。

 ちなみに、この時の観客は、お義父様たちや私を除けばクラス
メイトの彰子さんと照子さんの二人だけ。クラスメート七人のう
ち四人が関係者でしたから公開処刑なんて言っても、全校生徒の
前でとか、街の広場で繰り広げられるハレンチな刑罰とは違って
内容はごく内輪のお仕置き会だったのです。

 とはいえ、年頃の女の子にとってそれほど親しくない人の前で
恥ずかしい思いをするわけですから、それはぶたれて痛いのとは
まったく違ったショックです。いくら、天真爛漫に育てられたと
言っても他のお家のお義父様に自分の恥ずかしい姿を見られるの
は耐え難いことに違いありませんでした。そんなわけで、こんな
場合も女の子たちは恐れを込めて特別反省会のことを公開処刑と
呼んでいたのでした。

 「男の子は女の子以上に心が純粋で傷つきやすいものです。…
…わかるでしょう?」

 これはあくまで亀山の理屈です。でも、ここの男の子に関して
言えば、確かにそんな感じでした。私を含め少数派である男の子
たちは借りてきた猫みたいに怖い女の子たちの言いなりになって
いましたから。

 でも、女の子たちの考えは違っていたようで……
 『男の子が純粋?傷つきやすい?何言ってるの……男の子って
いうのは、粗野で不潔で怠け者なだけじゃない』
 お姉様の心の中には先生とは別の考えが渦巻いています。

 「…だいたい、そんな繊細な男の子を女の子がもて遊ぶなんて
許されないことです。お義父様たちの天使にあるまじきことです。
こんなことを繰り返すようなら、この楽園(亀山)からの追放も
ありますよ」

 森下先生のお説教を聞いていた観客の一人美代子が隣の彰子に
耳打ちします。
 「亀山追放?結構じゃない。そうしてよ」
 すると今度は彰子が美代子に耳打ち。
 「でも、どうせまた連れ戻されるんでしょうけど」
 二人はお互いの顔を見合わせて、にこっと笑います。

 でも、それを見ていた森下先生はご不満のようでした。
 再び、語気を強めて…

 「あなたたち、私語は禁止したはずですよ。できないなら乙女
の祈りで見てなさい」

 とうとう、クラスメート全員が乙女の祈りをやることになりま
した。

 それに納得したのか森下先生はあらためて足下の四人に向かって
話を続けます。

 「最初は、全校生徒の前でトリプルをしてから追放しようかと
いうお話も出たんですよ」

 これは教師特有の嘘ですが、聞かされた方は、人生経験もまだ
少ないですから驚きます。
 その驚いた子羊たちの顔に満足して先生は話を進めました。

 「でも、幸いにしてあなた方のお義父様は心の広いお方ばかり
ですから、あまり果断な処置は望まれません。本来なら全校生徒
の前でお鞭やお浣腸、おやいとなどをしてもよかったのですが、
啓治君のお義父様も今回だけは特別に許してくださることになり
ましたので事は穏便に済ませたいと思います」

 『やったあ』
 生徒達の顔に思わず安堵の笑顔が……でも、一瞬でした。

 「けれど、何もしないというでは、あなた方の心に誤解が生じ
かねませんから。今日はお義父様方にもご協力いただいて純粋な
心を取り戻す訓練を行います。……いいですね………いいですね」

 森下先生は常に穏やかにお話しされていましたが、最後にきて
語気を強めます。つられて四人が……

 「はい、先生」
 と答えますが、もちろんこれも本心ではありませんでした。

 えっ?『純粋な心を取り戻す訓練』が何のことだか分からない。
(^_^;)

 確かに回りくどい表現ですものね。要するに『赤ちゃんの心を
取り戻すためのお仕置き』ということなんです。
 どの子も以前に何度か同じ様なお仕置きを受けていますから、
これからどんなことが起こるか、おおよそ想像がついていました。

 「それではそれぞれのお義父様の前に行ってご挨拶をなさい」

 森下先生に命じられた四人の乙女たちは先生の足下を離れると、
それぞれのお義父様のもとへ。

 子供たちを迎え入れるお義父様たちは、娘たちを『困った奴だ』
とは思っていられたかもしれませんが、どなたも一様に、笑って
おいででした。

 お姉さまたちはお義父様の足元まで来ると、その場に膝まづき
再び乙女のポーズをとります。

 「由美子は啓治君にとってもいけない悪戯をしてみんなを困ら
せてしまいました。……(えっと)」

 さっそくお義父様への反省の言葉を始めますが、それは大半が
カンニングの文章だったのです。

 こんな時、自分で言葉を選んで話せるほど亀山の女の子たちは
器用ではありませんでした。この子たちは、もの凄く綺麗な字を
書きますし縫い物も得意です。これは今の子たちより上でしょう。
でも、自分の意見を言うとなるとそれは今の子にはかないません。
ですから、こうした時には黒子(ママ)の助言は欠かせませんで
した。

 「(いいこと)……このままではお義父様の天使としてお仕え
できません」
 「このままではお義父様の天使としてお仕えできません。……
(それから)」

 「でも、由美子はこれからもお義父様にお仕えしたいんです」
 「でも、由美子はこれからもお義父様にお仕えしたいんです…」

 「ですから、どうぞいけない由美子の罪を精算させてください」
 「ですから……そのう、…どうぞ、いけない由美子の罪を精算
させてください」

 棒読みのセリフ、つかえるたびに耳元でママに囁いてもらって
の反省の言葉でしたが、由美子のお義父様はそれをにこにこした
顔で聞いておいででした。

 「いいかい、由美子。お前たちは昨日もおやつを公園に持ち出
して食べていたそうだな」

 「えっ……」

 いきなり場違いの詰問。由美子お姉様の顔が一瞬『マズい』と
いう顔になります。いえ、僕たちだってやってしまうのですが、
亀山は躾が厳しくて、おやつを外で勝手に食べてはいけない事に
なっていました。家の外でおやつを食べるのはピクニックのよう
な場合だけ。大人が認めない限り、おやつは家の中でテーブルの
あるところでなければだめなんです。

 「それにだ、先生のお話だと今週は宿題をやってこないことが
3回もあったそうだな」

 お義父様がちょっぴり渋い顔を作ります。本当は、どのくらい
困ったことだと思っているのかは定かでありませんが、普段笑顔
ばかりのお義父様にいきなりこんな顔をされたら……亀山の子は
誰だってドキッとします。

 「まだあるぞ、先週は、ピアノのお稽古をすっぽかして四人で
ピクニックに行ったそうじゃないか」

 「…………」
 由美子お姉様からは何一つ反論がありません。そりゃそうです。
だってすべて事実だから仕方がないのです。

 ピアノは課題曲を一週間練習してから先生の処へ行かなければ
ならないのですが、由美子お姉様はその練習時間がとれなくて、
先生の処へレッスンに行っても叱られるだけですから仮病を使っ
てしまったのでした。
 すると、そこへ同じように、バレイや日舞、フルートの練習を
さぼっていた他の三人が由美子お姉様の部屋へお見舞いにやって
来たのです。
 「なんだ、あんたたちもそうなの」
 意気投合した四人は体のあいた者同士、気分転換にピクニック
と洒落込んだのでした。

 「私は、おやつも宿題もピクニックの件も先生方から見せしめ
のお仕置きをやりたいからと許可を求められたが許可しなかった。
どうしてだかわかるかね」

 「…………」

 「そのくらいのことは自分で軌道修正できると思ったからだ。
由美子は賢い子だからな」

 「…………」
 「しかし、こう立て続けに色々やらかしたのでは先生の言い分
も認めてあげないとな」

 「…………」
 「お前ももう13歳だ。いくら赤ん坊と同じ身分と言っても、
少しぐらいの過ちでいちいち恥ずかしい思いをさせるのは可哀想
だと思ったんだが……やはり、私の考えが少し違っていたようだ」

 お義父様は小さくため息をついて、
 「今回は他のお父さんたちとも意見が合致したので、赤ちゃん
仕置きをすることにした。……いいね……いいね」

 「あっ……は、……はい」
 お義父様の再度の念押しに、お姉様は、『はい』と答えるのが
精一杯でした。

 「今日はお前のすべてをほかのお父さん方にも見てもらうこと
にした。そしてもう一度、自分がここで何者なのか自覚するんだ。
いいね」

 「は、はい」
 か細い声が私の耳にも届きました。

 今の子なら、たとえ屁理屈でも自分なりの反論をするところで
しょうが、赤ん坊として、お人形として、育てられた彼女たちは
とても心がうぶなのです。まだ、お義父様のような方に反論する
すべを知りません。ですから何を言われても「はい」という以外
に言葉はありませんでした。

 私は自分の場所から一番近い処にいた由美子お姉様たちの様子
を観察していましたが事情は他の三家族も同じだったみたいです。


****************************

〘 第 3 回 〙 お義父様のお尻叩き

          亀山物語
                     合沢啓治(著)
〘 第 3 回 〙 お義父様のお尻叩き
***************************

<主な登場人物>


私(合沢啓治)/亀山愛育院の孤児。由美子の弟。

小島先生   /私の家庭教師であり、実質的には僕のママ。

大石胤子   /亀山村の村長さん。(三代目)女王様。

榊原 美里  /同級生の恋人。片想い。

森下景子先生 /由美子お姉様の家庭教師(ママ)であり、
       /かつ、学校では担任の先生でもある。

合沢由美子  /私をリンチにかけたお姉様の一人。私の姉。

小川静子   /泣き虫。リンチ四人組の一人。

桐山香織   /おっちょこちょいで早とちり。四人組の一人。
       途中でお灸をすえられそうになる。

安西遥香   /優等生だが、今回の事件に関与。四人組の一人。
途中でお漏らしをしてオムツ替えをさせられる。

美代子と彰子 /今回私のリンチには加わらなかったお姉様。

 お義父様  /亀山の子供たちは誰もがお義父様の子供として
(合沢徹)   /その家で家庭教師(ママ)と一緒に暮らしている。

 お義母様  /お義父様の奥さん。元々はお義父様のお付き合い
(合沢早苗)  /で亀山に来たのだが、今は子供たちにも優しい。

桐山高志 /幼稚園児(5歳)。由美子のお友達、香織の弟。 

 大原先生/高志君のママ。

 おばば様/亀山のお灸担当係。子供たちの実母を知る老婆。

****************************
****<3>*********************

 と、そんな絶望的な宣告を受けてしょげかえっている由美子
お姉様の顔に一瞬赤みが射したようにみえました。

 「(えっ、何だろう?)」

 思う間もなく私の両肩が鷲づかみにされます。驚いた私が振り
返ると…

 「こんにちわ、啓ちゃん」

 「(お、お義母様!)」

 私を捕まえたのはお義母様でした。由美子お姉様はこのお義母
様に反応したのでした。

 お義母様はお義父様の奥さんです。お義父様ほど熱心ではあり
ませんが、お義父様と同じ様に私たち里子をとっても可愛がって
くださいます。特に、お仕置きなんかされそうな時は大人たちの
中で唯一私たちをかばってくださったことが何度もありました。

 そんなことからでしょう。
 「(ひょっとして今回も助け船をだしてくれるかもしれない)」
 お姉様はそう思ったに違いありません。

 お義母様は私に「あなたは帰りたければ帰ってもいいのよ」と
告げて、すでに膝小僧がガタガタと震えている由美子お姉様の処
へと向かいます。

 ひょっとしたら「(これで助かった)」と思ったのかもしれま
せん。私の目には、この時お姉様の頬がほんの一瞬緩んで笑顔に
なったように見えました。

 ところが……
 「先生、始めてくださって結構よ。今日は色々やることがある
からさっさと始めないと日が暮れますでしょう」

 お姉様の淡い期待は一瞬にして崩れ去ります。しかもそれだけ
ではありませんでした。

 「まったく、幼い子をハレンチな遊びに誘ったあげく怪我まで
させるなんて、きっとあなたの心には悪戯好きの小悪魔が入り込
んでしまっているのね。だったらそんなものは一刻も早く追い出
してしまわないと、あなたの将来にかかわるわ……あっ、お浣腸
の量は多めに加減してくださいね」

 お義母様の穏やかな口調とは対照的に、厳しい眼差しが由美子
お姉様の胸をえぐります。

 「……」
 万事休すってことでしょうか。(^^ゞ

 でも、それでも今の事態が信じられないのかお姉様はしばらく
は狐に摘まれたような顔をしていました。

 「さあ、何してるの!あなた、スカートを上げなさい!」

 凛とした声が辺りに響きます。命じたのは、ママでもお義父様
でもありません。普段は一番温厚なお義母様でした。

 「は、はい」
 もちろん、亀山の子供たちは、目上の人たちの命令には絶対に
逆らったりはしませんから言われた通りにはしますが、お姉様の
手はとてもぎこちないものでした。

 もたもたしていると……
 「さあ、早くなさい。他の子たちはもう始めてるわよ」
 そう言ってお義母様はお姉様のスカートを自らまくり上げます。
そして……

 「よし、これでいいわ」
 裾が再び下がって来ないよう手早くピンで止めてしまいます。
これは本来ママがやるはずの仕事なのですが……

 「なかなか、いい格好ね」
 満足そうなお義母様。

 当然、お姉様の白いショーツが露わになりますが、そんなこと
に関心を示す人は誰もいません。

 「…………」
 由美子お姉様は鳩が豆鉄砲を食ったみたいに今度はお義父様を
見ていました。

 「さあ、ほら、何、ぼーっと突っ立てるの。まずはお義父様に
ご挨拶でしょう」
 お義母様に促されて…

 「お義父様、お仕置きをお願いします。再び天使のお仕事が…」
 そこまで言ってお義母様が嘴を挟みます。

 「不束(ふつつか)なが抜けましたよ。不束な私にお仕置きを
お願いしますでしょう」
 今日のお義母様はとことん意地悪です。お姉様がまるで目の敵
にされているみたいでした。

 「お義父様、不束な私にお仕置きをお願いします。神様、再び
お義父様のために天使としてのお仕事ができますように」

 由美子お姉様は、籐椅子に腰を下ろすお義父様の足下に跪いて
胸の前で両手を組み頭はうなだれてお仕置きを請います。それは
男性の目にはとても美しいものに映るみたいです。
 いえ、お義父様だけじゃありませんよ。当時十歳の僕の目にも
それは同じでした。

 「じゃあ、いいんだな」
 お義父様の落ち着いた声が合図でした。

 「……」
 お姉様が小さく頷くと、お義父様はお姉様を立たせて…

 「……」
 一瞬のうちにお姉様のショーツを足首まで引き下ろします。

 好奇心に駆られた私は、その瞬間を後ろで覗いていましたが、
お姉様はそんなことされても顔色一つ換えませんし、お義父様は
いつになく厳しいお顔でした。

 やがてママに促されるようにしてお姉様はお義父様の膝を被う
テーブルに俯せになろうとしました。このテーブルはお年寄りが
多いお義父様方が大きくなった子を抱く時にその子の体重が直接
かからなくて大変重宝する家具なのですが、お義父様は、あえて
そのテーブルをどけてご自分の膝を叩いてみせます。
 ここへ直接という合図でした。

 「よろしいのですか?」
 ママの心配に…
 「大丈夫だ。わしだって男だぞ」
 お義父様は笑ってお姉様を引き寄せます。

 もちろんお姉様の方は嫌も応もありません。なされるままに、
お義父様のお膝の上に横たわると、下唇を噛んで恥ずかしさにも
耐えていした。

 「この子だって木の上でぶたれるより人の膝の上でぶたれる方
が良いに決まってるじゃろう。女は特にそうなんじゃ……」

 お義父様はそう言いながらお姉様の白いショーツを足下からも
取り去ります。おまけに、両足を目一杯開かせたものですから、
普段は絶対他人には見せられない処まで十分に光が入って、お姉
様の御印が誰の目にも鮮やかに見えます。

 「(!!!!!)」

 そんなご自分の状況が分かったのでしょう。お姉様は、この頃
からしきりに後ろを気にするようになりますが、お姉様が両足を
閉じようとするたびにお義父様から太股をぴしゃりとやられます
からそれは叶いませんでした。

 ただ、私は当時十歳。それが見えたとしても興奮するような事
はなく……『変なもの』ぐらいにしか思っていませんでした。

 やがてその変なものをお日様に晒しながらお姉様へのお尻叩き
が始まります。

 「どうだ、久しぶりに私のお膝に乗った気分は?」
 お義父様はパンパンとお姉様のお尻を右手で叩き始めましたが、
それは決してキツい調子のものではなく、軽くゴミでもはたいて
いるくらいの強さ。お義父様の顔も笑っていました。

 だからお姉様だって最初はそんな深刻な顔はしていません。

 「いつの間にかずいぶんと由美子も大きくなったな。ついこの
間までオムツをして、ほ乳瓶をくわえて、私の膝でぴょんぴょん
飛び回っていたみたいだったが……」

 お義父様は昔話をしながらもお姉様のお尻を一定の速度と強さ
で叩き続けます。

 「あの頃は、何かにつけてお義父様の処へ行くんだってだだを
こねてましたわ」
 ママが言えば…

 「まあまあ、そんなのいつのお話しかしらねえ?忘れちゃいま
したよねえ」
 お義母様もお姉様を皮肉ります。

 そこでは、お姉様を除きまるで何事もなかったかのような笑顔
でした。

 でもそのうち由美子お姉様は亀さんのように手足を微妙にばた
つかせるようになります。

 それがしだいに大きくなって……

 「おいおい、少し静かにしなさい。最初からそんなに暴れたら
しまいに私の骨が折れてしまうよ」

 お義父様の軽口です。最初のうちは誰も由美子お姉様をキツく
問いつめたり叱ったりはしませんでした。

 大人達は世間話をしたり、むしろお姉様の利発で姉御肌の性格
を褒めたりします。これは他の子の場合も同じでした。

 お仕置きは子供たちにとっては辛い体験に違いありませんが、
同時に家族内での出来事ですから、その全ては必ず愛に包まれて
います。ですからお仕置き中も叱咤だけでなく、逆に励ましても
らったり特別に許してもらったりもできるわけです。

 そして何より、自分をぶったその手が夜は優しく自分を抱いて
くれることを子供たちは過去の体験で知っていますから、これを
虐待と呼ぶべきではないでしょう。

 とはいえ、お尻をぶたれてる最中はそんな悠長なことは言って
られません。始めの頃は何ともなかったお尻叩きも、ものの2分
とたたないうちに額には脂汗が浮かび始め、3分を越える頃から
は呼吸も荒くなってしきりに後ろを気にし始めるようになります。

 「(痛い!)」
 今は、恥ずかしいからではなく純粋に痛いからなのです。

 ですから、本当はお尻に手を回してお義父様の平手を防ぎたい
のですが、そんなこと許されてはいません。何よりママが右手を
しっかり押さえ込んでいますからそれは叶いませんでした。

 「いやあ、いやあ」
 その代わりと言ってはなんですが、無意識に声が漏れ始めます。

 「あらあら、はしたない声を出さないの。大きい子がみっとも
ないわ」
 お義母様に注意されても、こればかりはどうにもなりません。
むしろ蓄積し続けた軽い鈍痛は今や塗炭の苦しみとなってお姉様
を襲い始めます。

 「いやあ、ためえ~~、許して~~ごめんなさい、~~~もう
しませんから~~~~」
 声だけでなく必死に体をよじってお義父様のお膝から降りよう
と試みます。

 「さあ、さあ、暴れちゃだめよ。このくらいの痛みじゃ悪魔は
退散しないわ」
 ママと一緒になってお姉様の身体を押さえつけるのは聞き覚え
のあるシスターの声。

 由美子お姉様はいつの間にか現れた中年のシスターに体を完全
に押さえつけられていたのでした。おまけに……

 「はい、プレゼント」
 お義母様からはお口の中へハンカチのプレゼント。鼻をつまま
れ、苦しくなって開いた小さな口の中に、大きなハンカチがねじ
入れられます。

 「んんんんんんんんんん」

 もう、こうなると唯一自由になるのは両足の膝から下だけ。
 両方の足を必死にばたつかせて少しでもこの痛みから逃れよう
としましたが……

 「ようし、これから仕上げだぞ」
 お義父様のこの言葉と共に始まった少しだけ強めのスナップ……

 「ピシャ!」
 「んんんんんんん(いやあ~~~)」

 悶絶…>_<…ってこういうことでしょうか。
 最初の一撃だけでお姉様の両手足が硬直。まるで車に轢かれた
ヒキガエルみたいにお義父様の膝の上で水平になりました。

 ですから、ひょっとしたら今の一撃で失神したんじゃないかと
思ったほどなんです。

 「ピシャ!」
 「ヒィ~~~~」

 二発目で正気を取りもしたのか硬直した両手両足は元の位置に
戻りましたが、体中の血が沸騰して毛穴から吹き出したみたいに
全身が真っ赤です。そうお尻だけじゃなく全身が真っ赤になった
のです。

 そして三発目。
 「ピシャ!」
 「あっあああああ」
 お姉様は心の中で悶絶し無意識に入った渾身の力で胸を張り、
頭を上げて弓なりになります。

 僕は他の子のお仕置きにはあまり興味がありませんが、それで
もこんな姿を見たらやっぱり同情してしまいます。

 「ねえ、やめて」
 僕は思わずお義父様の腕を取ったのですが、周囲の大人たちは
そんな僕をにこやかに見つめるだけ。

 お義母様が…
 「大丈夫よ。お姉ちゃまはもう少しの辛抱だから…」
 こう言って僕をお義父様から引き離します。
 ただ、それでもお義父様はお姉様へのスパンキングをやめては
くださいませんでした。

 「おう、小悪魔が暴れ出したぞ。それ、もう一踏ん張りだ」
 こんなことを言ってお義父様は笑っていますし、取り囲む大人
たちも誰一人同情している様子はありませんでした。

 そして、第四弾が被弾します。

 「ピシャ!」
 「んんんんんんん(いやあ~~~)」

 再びエビぞり。

 「おや、まだそんなに元気があったのか。それじゃあもう一つ」
 と、さらに一発。

 「ピシャ!」
 「んんんんんんん(いやあ~~~)」

 何しろ、大人三人から完全に体を押さえつけられてのお尻叩き
ですからお姉様だってそうそうあらがう元気も残っていません。
エビぞりだって最初の一撃に比べればぐっと小さくなります。

 「由美子ちゃん、小悪魔なんかに負けなさんな」
 まるで運動会の応援のような声がとびます。

 そしてまた一発。
 「ピシャ!」
 「んんんんんんん(いやあ~~~)」
 お姉様はそのとてつもない痛みを自身の身体にため込んで耐え
続けます。

 エビぞりもなくなり、ただただお義父様のお膝にしがみついて
嵐の過ぎ去るのを待つのみ。今のお姉様にはもう、そうするしか
ありませんでした。

 それでもお義父様は続けます。というのも、ここからが本当の
お仕置きだったからです。

 「これでもか」
 そう言ってまた一発。
 「ピシャ!」
 「んんんんんんん(いやあ~~~)」

 頭はからっぽ。体中を電気だけが駆け抜けていきます。

 今まで何発当たったのか。僕は数えていませんしお姉様も数え
てなんかいなかったと思います。

 「ピシャ!」
 「んんんんんんん(いやあ~~~)」
 お姉様はもう何の抵抗もしません。お義父様の平手のすべてを
お尻から体の中に受け入れるだけでした。

 「さてと…どうやら、小悪魔は退散したみたいだな」

 お義父様はお姉様を膝の上から下ろすと、おどけたような笑み
を見せてから真顔に戻って…

 「わかったか、自分のしたことがどんなにいけないことだった
か」

 お姉様にそう言って諭します。ただ、由美子お姉様の耳にそれ
は届いていなかっかもしれません。お姉様は、その時はとっても
グロッキーでしたから。
 でも、それでも良かったんです。お義父様のお小言は真っ赤に
なったお尻から十分に由美子お姉様に伝わったはずですから。

 「あああああああん…もう~~~~だめえ~~~~~いやあ~」

 お姉様は、悲鳴とも嘆きともつかない、みょうちくりんな声で
しばらく泣いていましたが、よっぽど痛かったんでしょう、大量
のよだれを拭おうともせず、何度も何度も両手でお尻をさすって
いました。

 でも、そのうち自分を励ますように、変なうめき声をあげます。

 「う~~~~ややややややややや……いやよ、いやよ、いやよ、
なんでこんなに痛いのよ。最悪よ。最悪。ううう、もうしらない
から…………(えっ(◎-◎;)」

 結局お義父様からいただいた特別なのが12発。息もたえだえ
になったお姉様は、やっとの思いで起きあがることを決意したみ
たいだったんですが、その前向きな決心は、ある光景を目の当た
りにした時、一瞬にして消え去ります。


***************************

〘 第 4 回 〙 幼稚園児の乱入

          亀山物語
                     合沢啓治(著)
〘 第 4 回 〙 幼稚園児の乱入
***************************

<主な登場人物>


私(合沢啓治)/亀山愛育院の孤児。由美子の弟。

小島先生   /私の家庭教師であり、実質的には僕のママ。

大石胤子   /亀山村の村長さん。(三代目)女王様。

榊原 美里  /同級生の恋人。片想い。

森下景子先生 /由美子お姉様の家庭教師(ママ)であり、
       /かつ、学校では担任の先生でもある。

合沢由美子  /私をリンチにかけたお姉様の一人。私の姉。

小川静子   /泣き虫。リンチ四人組の一人。

桐山香織   /おっちょこちょいで早とちり。四人組の一人。
       途中でお灸をすえられそうになる。

安西遥香   /優等生だが、今回の事件に関与。四人組の一人。
途中でお漏らしをしてオムツ替えをさせられる。

美代子と彰子 /今回私のリンチには加わらなかったお姉様。

 お義父様  /亀山の子供たちは誰もがお義父様の子供として
(合沢徹)   /その家で家庭教師(ママ)と一緒に暮らしている。

 お義母様  /お義父様の奥さん。元々はお義父様のお付き合い
(合沢早苗)  /で亀山に来たのだが、今は子供たちにも優しい。

桐山高志 /幼稚園児(5歳)。由美子のお友達、香織の弟。 

 大原先生/高志君のママ。

 おばば様/亀山のお灸担当係。子供たちの実母を知る老婆。

****************************
****<4>*********************

 「…………(う、うそでしょう(○_○)」

 お姉様の口からはあの奇妙なうめき声や自分を励ますような声
が聞かれなくなり、しばらくはその場を動けませんでした。

 いくらその口がだらしなくて大量のよだれが垂れたとしても、
こんな海にはならないと気づいたのでしょう。
 お姉様はすでに失禁していました。それに、今気づいたのです。

 「まあ、まあ、あなた何てだらしないことしてるの。お義父様
のおズボンが台無しじゃないの……」

 ママとお義母様が慌てて懐からハンカチを取り出し、争うよう
に汚れたズボンのシミを拭おうとしますが、お義父様は泰然自若
としておいででした。

 「よい、よい、他の者ならともかく由美子のものなんだから…
…気にするな」
 こうおっしゃって由美子お姉様を再び自分の前に引き寄せ…

 「痛かったか?」
 とおたずねになったのでした。

 「はい、お義父様」
 泣きべそ声の由美子お姉様は恐る恐る答えますが、あろう事か、
お義父様のごつごつした右手がお姉様のお臍の下をすり抜けて、
ワレメ付近で何かを入念に調べているのが見えます。

 お義父様はこの時何のためにそんなことをしたのかおっしゃい
ませんでしたが、ひょっとしたら、今のスパンキングでお姉様が
何やら性的な興奮を覚えたんじゃないか、そんな事を心配された
のかもしれません。

 でも、大丈夫。その水はやはりお姉様のお小水だけだったよう
です。(^^ゞ

 お義父様はこのあと他の子と同じようにお姉様をベビーベッド
の前で跪かせると、両手を頭の後ろで組ませて、真っ赤になった
お尻を展示します。

 ずらりと並んだ四つの赤いお尻。それはここにいる誰もが見る
ことができる壮観な眺めでした。

 実はこの時、私もお義父様に肩車されて、一緒にお姉様たちの
熟れたお尻を観察して回ったのですが、それはとってもとっても
不思議な優越感で、この先この由美子お姉様に意地悪されたり、
虐められたりするたびにこの時のことを思い出すのでした。

 ところで、13歳という年齢は今日的には大人に足を踏み入れ
る年頃となるかもしれませんが、当時の亀山では……
 『それはまだほんの子供』
 『体だけが一足先に変化し始めているものの心は幼児と同じ』
 『小学生と同じ。だから親や教師の意思には絶対に従わせなけ
ればならない』
 と考えられていました。

 実際、孤児とは言っても亀山の子は何不自由ない暮らしぶりで
大人たち親の愛情にも恵まれて育ったお嬢様タイプの子ばかり
ですから、13歳になっても親や教師を疑うということを知りま
せん。
 むしろ成長して幼児の頃より分別がありますから、何を言われ
ても従順で「はい、お義父様」「はい、お義母様」「はい、先生」
でした。

 そのあまりの従順さに呆れて(私は男でしたから日頃そこまで
できません)彼女たちはこれ以外の言葉を忘れたんじゃないか、
と思ったほどだったのです。

 『その使い分けこそが女の才覚』と知るのは私が大人になって
からでした。(^^ゞ

 そんな従順なお姉様たちですから、お義父様たちに真っ赤っか
のお尻をこちらに向けて跪いていろと命じられれば、一時間でも
二時間でもそうしているでしょう。でも、それが恥ずかしくない
かと言われれば、そりゃあ恥ずかしいに決まっていました。

 ただ、ここに集っている人たちは私を除けばいずれも目上の人
たちばかり。しかも、いずれも親しい関係にある人たちばかりで
したから、それがお姉様たちとしては救いだったのです。

 ところが、そんな予定調和の内輪の会に、突如、思わぬ珍客が
舞い込んできます。

 何だか甲高い声が聞こえてきたかと思うと……
 幼稚園児のチビちゃんたちが、一斉に庭の中へと乱入してきま
した。

 「(えっ、何よこのチビ!)」
 お尻を出したままにしているお姉様たちの心配をよそにみんな
駆け足で思い思いの場所へと散らばります。
 もちろん、見れば面白い出し物をやっているわけですから、そ
こに人が集まらないわけがありません。

 この時も数人の女の子が前に回って由美子お姉様の困った顔を
覗き込みました。

 「この人、知ってる?」
 「由美子お姉様よ」
 「知ってるの?」
 「ご近所に住んでるの」
 「どうしてお尻出してるの?」
 「お仕置きだからでしょ」
 「お仕置きって……どんなおいたしたの?」
 「知らないわ」
 「ねえ、ねえ、お姉様、どうしてお尻出してるの?」

 幼い子供たちは無遠慮に色んなことを知りたがります。

 「さあ、さあ、みなさん、お姉様たちのお邪魔になるわ。離れ
なさい」
 チビちゃんたちの先生がやってきて、女の子たちを解散させま
したが、事態はそれだけでは収まりませんでした。

 「痛い!」
 由美子お姉様が、突然、頭から右手を離してお尻に当てます。
 原因は男の子が打った銀玉鉄砲がお姉様のお尻に命中したから。

 「バキューン」「バキューン」「バキューン」「バキューン」

 反応があって嬉しかったのか男の子は次から次に小さな銀の玉
を乱射します。

たまらず小島のママが「やめなさい」と叫びましたが、今度は
そのママやお義母様、はてはお義父様にまで発砲する始末。手が
つけられないでいると……

 「ほら、人に向けて打っちゃいけないと言ってるでしょう」
 慌てて坊やからピストルを取り上げたのはその子のママ、大原
先生でした。実は彼、高志君と言いまして由美子お姉様のお友達
である香織さんの弟なんですが、やんちゃ坊主でみんな手を焼い
ていたみたいです。もっとも、この時彼はまだ五歳。可愛い盛り
ですから誰からも人気がありました。

 そんな事からでしょうか私を抱いていたお義父様が一つ提案を
します。

 「そんな言いつけを守れない子は裸になってお詫びしてもらわ
ないといけないな」

 こんな提案、巷ではまずないでしょうが、亀山では幼い子のお
仕置き(?)の一つとして一般的に行われていました。

 もちろん高志君に対しても、それは否応なしに行われます。

 ママによって素っ裸にされた彼は、私に代わってお義父様の膝
の上に……

 「ごめんなさい」
 は言えたのですが、お義父様は高志君をなかなか解放しません。

 いえ、実は真の目的はこちらにあったのです。お義父様は柔ら
かで張りのあるすべすべの肌をご自分のあらゆる処にこすりつ
けて、まるで石鹸で体中を洗っているかのように楽しみます。

 それはお義父様には快楽。高志君にとってはこれこそが何より
辛いお仕置きだったみたいでした。

 実は、亀山で厳しいお仕置きを受けるのは上級学校に入学する
9歳からで、幼稚園と小学校3年生までを受け入れる初級学校の
頃まではあまり厳しい体罰はありませんでした。

 この頃に厳しくし過ぎると、親や教師を恐れて子供の顔が暗く
なるというのがその理由で、思い起こせば確かにその通りです。
ですから幼い頃は悪戯しても怠けていても目の玉が飛び出るほど
何かをされたという記憶がありません。

 三つ子の魂百までもじゃありませんが、幼い頃厳しいお仕置き
を受けなかったせいで、私たちは『大人はみんないい人なんだ』
という思いが、自然と脳裏にすり込まれることになり、その後、
誰にお仕置を受けてもその人を恨むということがほとんどありま
せんでした。

 この時の由美子お姉様だって、『あいつら、こんなことさせや
がって』という恨み節はなかったと思います。ただただ、自分が
悪いと思っていたはずでした。

 とにかく『純真』『勤勉』『清楚』がお義父様に愛される条件
であり、みんなそれに向けて努力していたんです。
 本当ですよ。

 さて、話を戻しますが、由美子お姉様の受難はこれからが本番
になっていきます。

 お尻の火照りが幾分収まった頃、四人の女の子たちは着替えを
命じられます。今着ているのは学校の制服。これは汚れると困り
ますし、何より今ここに用意されているベビーベッドには似合い
ません。

 そこで用意されたのがタオル地で作られた赤ちゃん用のカバー
オール。もちろん、この子たちの身体のサイズに合わせて大きく
作ってあります。

 これはおおよそ着ぐるみみたいな衣装ですから、背中のファス
ナーを開ければ一人で着ることもできますが、後ろのファスナー
を閉められてしまうと自分一人では簡単に脱げません。おまけに
袖が袋地で両手が外に出ませんから、せっかくおトイレをする為
にお尻付近がボタンで開くようになっていても、独りではそこを
開けて自力で用を足すことはできませんでした。

 一度着てしまったら大人たちに全てを委ねなければならない。
そんな悲しい服だったのです。

 「さあ、さあ、ベッドに上がったら制服を脱いできちんと畳ん
でちょうだい。女の子なんですからね、脱ぎ散らかさないのよ。
今度はショーツも靴下も全部ぬいで着替えますからね。わかって
るわね」

 四人の女の子たちはこの拘束衣みたいなベビー服を素肌の上に
直接着せられます。つまり、一度はベッドですっぽんぽんになら
なければならないわけです。それって、今までだったら仕方ない
と思って諦めるところでしょうけど、チビちゃんたちやその引率
の先生の目があるこの場所では抵抗感がありました。

 「さあ、何してるの!さっさと脱ぎなさい!」

 どのママたちも、娘たちが何故ためらっているかは百も承知で
強い言葉を投げかけます。

 お姉様たちは渋々追い立てられるようにストリップ。おまけに
着替える直前にはまだ豊満とは言い難いその身体を気をつけさせ
てお義父様に見てもらわなければなりませんでした。

 それはもう見飽きるほど娘の裸に接しているお義父様にとって
は何気ない生活の一コマなのでしょうが、見られる側の娘たちに
してみれば、『これだって立派なお仕置きじゃないの』と感じて
しまう一瞬だったのです。

 「さあ、着替えが済んだらこれからお馬さんに乗りますよ」

 森下先生の号令で、女の子たちはベッドの脇に置かれた木馬へ
跨ります。これは底板が丸くたわんでいてそこだけ見れば幼児が
よく遊ぶ木馬に似ていますが、女の子たちが乗る部分には腰掛け
られるような鞍は付いておらず幅の狭い跳び箱のような処へ抱き
ついて俯せになります。前の低い位置に、突き出た棒があります
から、それを両手で掴むことで体を支えるようになっていました。

 ちょうど競輪選手が最後のコーナーを走ってくる時のような、
前のめりの、あんなポーズになります。

 ちょっと窮屈そうに見えますが、その姿勢そのものはそんなに
苦しいというほどではありません。あとはその姿勢を保ってさえ
いればそれでよかったのです。そして、静かにさえしていれば、
先生は満足でした。

 ただ、そんな簡単なことが、この場合、女の子たちにとっては
けっこう大変なことだったのです。

 「これからみなさんには、今回の過ちがどれほどのものだった
かをこのトォーズで実感してもらいます。難しいことは何もあり
ません。あなたたちは何もしないでいいのです。楽チンでしょう」

 お姉様たちは先生の皮肉に顔の筋肉を引きつらせています。

 「ただその際、一つだけお約束があります。決して悲鳴を上げ
たり、むやみに身体を揺すったりしてはいけません。あなた方は
もう幼い子ではないのです。体を揺すったり悲鳴をあげることで
痛みから逃げるのではなく、一発一発しっかりその痛みをお尻で
受け止めて自分たちの過ちを心に刻み反省しなければなりません。
……分かりましたね。…………あれ、ご返事は?」

 「はい、シスター」
 お尻を突き出した格好の四人は最後に語気を強めたシスターに
驚いて瞬時に返事を返します。その様子は理科の実験でひき蛙の
足に電流を流した時のようでした。

 「はい、よいご返事でした」

 シスターは始め四人を前にして話していましたが、最後は一人
一人を回り、その目の前に革ひも鞭のトォーズをかざして確認を
とります。

 「いいですね、由美子さん。あなたも来年は少女になるんです
もの。お仕置きも毅然とした態度で受けなければね」

 「はい、シスター」

 「静子さん、泣き虫は卒業できそう?少女試験の時は泣いてる
だけで不合格になることもあるのよ」

 「はい、シスター」

 「香織さん、あなたはおっちょこちょいと早とちりを治さない
とね。大人になって損をすることになるわ」

 「はい、シスター」
 「遥香さん、あなたはこの年齢にしては立派だけど、立派すぎ
るというのも考えものだわ。たまにはママやお義父様からめちゃ
くちゃにお仕置きしてもらって、心を解放してもらうというのも
大切よ。あなたはまだ若いんですもの。一人で何でもかんでも背
負い込まないようにしないといけないわ」

 「えっ?……あっ、はい、シスター」

***************************

〘 第 5 回 〙 お馬での鞭打ち

          亀山物語
                     合沢啓治(著)
〘 第 5 回 〙 お馬での鞭打ち
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<主な登場人物>


私(合沢啓治)/亀山愛育院の孤児。由美子の弟。

小島先生   /私の家庭教師であり、実質的にはママ。

大石胤子   /亀山村の村長さん。(三代目)女王様。

榊原 美里  /同級生の恋人。片想い。

森下景子先生 /由美子お姉様の家庭教師(ママ)であり、
       /かつ、学校では担任の先生でもある。

合沢由美子  /私をリンチにかけたお姉様の一人。私の姉。

小川静子   /泣き虫。リンチ四人組の一人。

桐山香織   /おっちょこちょいで早とちり。四人組の一人。
       途中でお灸をすえられそうになる。

安西遥香   /優等生だが、今回の事件に関与。四人組の一人。
途中でお漏らしをしてオムツ替えをさせられる。

美代子と彰子 /今回私のリンチには加わらなかったお姉様。

 お義父様  /亀山の子供たちは誰もがお義父様の子供として
(合沢徹)   /その家で家庭教師(ママ)と一緒に暮らしている。

 お義母様  /お義父様の奥さん。元々はお義父様のお付き合い
(合沢早苗)  /で亀山に来たのだが、今は子供たちにも優しい。

桐山高志 /幼稚園児(5歳)。由美子のお友達、香織の弟。 

 大原先生/高志君のママ。

 おばば様/亀山のお灸担当係。子供たちの実母を知る老婆。

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****<5>*********************

 四人へのお説教が終わると、今度はママたちがやって来て娘の
腰に着いているボタンを外します。四角い窓が大きく開いてお尻
がいきなり外気に触れますと、もうそれだけで女の子たちは悲鳴
を上げたい気分でした。でも、ここではそれを自分の心で必死に
押さえなければなりません。

 でも、それって不思議でしょう。ついさっきまですっぽんぽん
の身体をお義父様にお見せしたばかりなんです。それに比べれば
今回はお尻だけなんですから、もっと落ち着いてても良さそうな
ものなんですが……(^^ゞ

 でもそれには女の子ならではの理由があります。というのも、
普段トイレなどで秘め事のようにして自身がやっている行為を、
今は他人がやっているのです。その非日常的な違和感が女の子に
はたまらなく嫌なようでした。

 おまけに外の風がいきなり感じやすいお尻に当たりますから、
思わずそこで声をあげてしまったなんてことも……

 この時は幸いにもそれはクリアできましたが、次の瞬間、香織
さんが思わず声を上げてしまいます。

 「いやあ~~」

 彼女の悲鳴は庭じゅうどこにいても聞こえるほど大きなもので
した。
 勿論、この場で悲鳴なんかあげちゃいけないことは百も承知な
彼女ですが、アルコールを含ませた脱脂綿がお尻をなでた瞬間、
ほとんど生理的に声を上げてしまったのでした。

 もともと亀山では、お尻への鞭のお仕置き時などにアルコール
消毒する習慣がありますから香織さんだってそれを知らないわけ
ではないのですが、彼女の場合は、運悪くそこに最近すえられた
お灸の痕があって、脱脂綿でふき取る際かさぶたが取れ、他の人
にはない余計な刺激が加わったみたいでした。

 勿論、それが飛び上がるほどの痛みというわけではありません
が、緊張感がマックスなこんな時です。予期しない刺激を受ける
と、女の子は生理的反射的に声をあげてしまうもののようでした。

 でも、お仕置きのこの場面でそれは理由にはなりません。

 「なんですか!はしたない声をあげて」
 シスターが飛んできて叱ります。

 「ごめんなさい」
 もちろん、香織さんは謝りましたが、余計なことも言ってしま
ったのです。

 「実は私、三日前お尻にお灸をすえられてそこがしみたみたい
なんです」

 こう言うとシスターは…
 「あっそう、では、もう一度そこにお灸をすえましょう。三日
前に粗相をしておいて、今日もまたこんなお仕置きをいただいて
るなんて、他の子以上に特別な反省が必要な子だわね。……先生、
お灸の準備はおありでしたね。もう一度すえてあげてください」

 シスターはそこで一つ大きく息をつくと、「これまでにない位
大きいのがいいですわよ」とまで宣言したのでした。

 「いやあ、ごめんなさい。もうしませんから、お灸だけはしな
いで、お願い」

 香織さんはたまらずシスターに直訴しますが、シスターは聞く
耳もたずと言った顔で香織さんの顔を睨みつけるばかり、命じら
れたママもあきれ顔でさっさと準備にとりかかって香織さんへの
助け船は出してくれそうにありません。

 やがて再度アルコール消毒がなされ、ふき取られたお尻は熱を
奪われて香織さんの心も冷やしていきます。

 「(いやいやいやいや)」
 艾を乗せられる部分が軽くつまみ上げられると、まるで自分の
心臓がつまみ上げられたようでした。

 「(だめ~~~)」
 香織さんは心の中で叫びます。
 でも、つまみ上げられたお尻の上に艾が乗り、お線香の香りが
鼻をくすぐると、もう観念するしかありませんでした。

 そんな香織さんの様子は他の子たちにしても気になりますから、
不自由な身体をねじっておのおの事の成り行きを見ていました。
いえ、彼女たちだってお灸に関しては無傷ではありません。特に
お臍から下にはいくつものお灸の痕があります。当時にあっても、
女の子の場合は火傷の痕が残るという理由からお灸のお仕置きは
敬遠されがちでしたが、亀山の場合は、ある事情からどの子にも
広く行われていました。

 今日、お灸といえば、千年灸ぐらいしかすえたことがない人が
ほとんどで、その恐怖というのが今一つピンとこないでしょうが、
ここでいうお灸は艾を肌に直接乗せて焼くわけですから、煙草の
火を押しつける根性焼きと理屈は同じ。子供にとってその熱さは
半端じゃありませんでした。

 「はい、いくわよ。歯を食いしばりなさい」
 とはママの声。とうとう艾にお線香の火が移されましたが……

 「…………あっ!」
 艾の火が下りて直接肌を焼く寸前、ママは艾の火をもみ消して
しまいます。

 「さあ、もう良いでしょう」とはシスターの声。
 「今度変な声をあげたら本当にただではすみませんよ」はママ。
 どうやら二人とも最初から本当にお灸をすえるつもりはなかっ
たようでした。

 この脅かしが効いたのかトォーズによる鞭打ちは順調に進んで
いきます。

 「さて、誰を最初にしましょうか」
 シスターの声に四人全員の体に鳥肌が立ちます。

 こうした場合、最初に誰がやられるのか、次は誰の番なのか、
まったくわかりません。すべてはシスターの気まぐれなのです。

 自分の番になると、ママがアルコールをたっぷり染みこませた
脱脂綿でお尻を丁寧に拭いてくれますからそれで覚悟を決めます
が、そうなったらなったで、幼い頃悪さをするたびにお医者さん
から必要もないビタミン注射をされた記憶が呼び起こされてまた
鳥肌です。

 もちろんシスターが振り下ろすトォーズの鞭は一回一回がとて
も痛いで、もちろんこれが一番の災難ではあるのですが……

 「ぴしっ~~」
 乾いた、それでいて鈍い音が園内に響き渡ります。
 「(ひぃ~~~~いたい~~~~)

 「ほら、身体を動かさない」

 そんなこと言われても身体の方が勝手に反応してしまいます。
下の板が丸いのでちょっとでも身体を動かせば木馬は大きく揺れ
ます。そのたびに『約束を破った』『約束を破った』とみんなに
知らせているようでした。

 「ぴしっ~~」
 「(ひぃ~~~~やめてえ~~~~)
 心の中で必死に叫びます。

 「ほら、もう一つ」
 冷徹な声が頭から降り注いで……

 「ぴしっ~~」
 「(いやあ~~~だめえ~~~~~)
 話相手は今抱きついているお馬さんだけです。

 「ようく、その痛みを身体の中に染み込ませるの。わかった」
 シスターは男のような低い声で命じます。
 「…………」
 由美子お姉様は僅かに頭を縦にしたみたいですが、無言です。
本人としては「はい」という気持なんですが声がでませんでした。

 「ぴしっ~~」
 「(ああああ~~~死んじゃう~~~~)

 「よし、いいわね、その気持が大事なの。さあ、もう一つよ」
 シスターは何も言わない由美子お姉様の気持が鞭でぶたれてい
る姿だけでわかるようでした。

 「ぴしっ~~」
 「(~~~~~~~)

 私も経験者だからわかるのですが、本当に痛いと何も頭に浮か
ばなくなるんです。無の境地ってやつでしょうか。
 シスターはそんな由美子お姉様の様子をつぶさに観察してから
……
 「……どうやら、私の気持があなたにも通じたみたいね。では、
これで最後にしましょう」

 「ぴしっ~~」
 「(~~~~~~~)

 結局、六回で由美子お姉様はシスターに許してもらいましたが、
これは少ない方です。鞭の回数は人それぞれ。とにかくシスター
が「この子は反省したな」と感じるまではやめてくれませんから
長い子は12回ももらうことがありました。

 さて……
 最後の子の試練が終わる頃には四人みんなが泣いていました。
 こんな姿勢では身体を使って痛みを逃がせません。ですから、
女の子には泣くこと以外方法がありませんでした。

 ただ、遥香さんだけは無意識に身体が別の方法を試したみたい
でした。

 「なによ、遥香、あなた、またお漏らしなの」
 ママの困惑した声が遥香さんの顔を赤らめます。でも、これも
また仕方がないことでした。何しろ身体が勝手にやってしまった
ことなんですから……。

 とはいえ、遥香さんはせっかく着替えたベビー服を再び着替え
なければなりません。
 おまけに今度はみんなが見ている前で……

 素っ裸にされ、仰向けに寝かされるとお尻バンザイです。
 これは仰向けになった赤ちゃんがオムツを取り替える時に両足
を高く上げるあのポーズのこと。亀山では14歳になって、少女
試験に通らなければ『少女』とさえ認めてもらえませんでした。

 13歳の子はまだ赤ちゃん。たとえ胸が膨らみお臍の下に下草
が茂り始め初潮があったとしてもここでは『赤ちゃん』のまま。
 だからこんなに恥ずかしいポーズだって当然でした。

 まず蒸しタオルでお股を綺麗に拭き清められ、ベビーパウダー
が、これでもかというほどはたかれます。そこへ浴衣地で作った
オムツとビニールのオムツカバー。当時は、まだ紙製の使い捨て
オムツなんてものは一般的ではありませんでした。

 香織さんは顔を隠そうとしますが、ベビーベッドを取り巻いた
他の友だちがそれを許しません。香織が顔を隠そうとするたびに
執拗にその手を払いのけます。
 しかも同情するというのではなく…

 「ねえ、久しぶりに赤ちゃんになった気分はどう?」
 「久しぶりじゃないわ。三日前もオムツしてたもん」
 「えっ、そうなの。わあ良いこと聞いちゃった」
 「何よ、どうせ今日はあなた達だって穿くんでしょう」
 「そりゃあそうだけど……あなたの場合はわざとじゃない」
 「えっ、わざとなわけないでしょう」
 「だってあなた、今でも毎晩ママからオムツ換えしてもらって
るんでしょう」
 「変なこと言わないでよ」

 子どもというのは残酷で、自分に関わらないことには無頓着。
友だちの嫌がることも平気で言い放ちます。ですから、男の子で
あれ、女の子であれ、友だちでいるためにはそれに耐えなければ
なりませんでした。

 ただ、香織さんがママからのオムツ換えを『変なこと言わない
でよ』と否定しましたが、それは普段おすまししている香織さん
の見栄が言わせた言葉で、彼女に限らず、ここではかなり大きく
なってもママに甘えてわざとお漏らしする子が珍しくありません
でした。

 きっと、香織さんとしては『自分はそんなにだらしのない子供
じゃない。もう立派な少女なんだ』と言いたかったのでしょう。

 香織さんのオムツ替えが終わると他の三人にもオムツが与えられ
ます。次はいよいよお浣腸の時間でした。

****************************

〘 第 6 回 〙 お浣腸のお仕置き

          亀山物語
                     合沢啓治(著)
〘 第 6 回 〙 お浣腸のお仕置き
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<主な登場人物>

私(合沢啓治)/亀山愛育院の孤児。由美子の弟。

小島先生   /私の家庭教師であり、実質的には僕のママ。

大石胤子   /亀山村の村長さん。(三代目)女王様。

榊原 美里  /同級生の恋人。片想い。

森下景子先生 /由美子お姉様の家庭教師(ママ)であり、
       /かつ、学校では担任の先生でもある。

合沢由美子  /私をリンチにかけたお姉様の一人。私の姉。

小川静子   /泣き虫。リンチ四人組の一人。

桐山香織   /おっちょこちょいで早とちり。四人組の一人。
       途中でお灸をすえられそうになる。

安西遥香   /優等生だが、今回の事件に関与。四人組の一人。
途中でお漏らしをしてオムツ替えをさせられる。

美代子と彰子 /今回私のリンチには加わらなかったお姉様。

 お義父様  /亀山の子供たちは誰もがお義父様の子供として
(合沢徹)   /その家で家庭教師(ママ)と一緒に暮らしている。

 お義母様  /お義父様の奥さん。元々はお義父様のお付き合い
(合沢早苗)  /で亀山に来たのだが、今は子供たちにも優しい。

桐山高志 /幼稚園児(5歳)。由美子のお友達、香織の弟。 

 大原先生/高志君のママ。

 おばば様/亀山のお灸担当係。子供たちの実母を知る老婆。

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****<6>*********************

 香織さんはすでに一度お漏らししていますから高圧浣腸。他の
子は躾浣腸でした。

 高圧浣腸は点滴と同じ要領で高低差を利用してお薬を体の中に
入れるもので、濃度は薄いものの大量にお浣腸液を入れられます
から最初から我慢することは期待されていません。漏らしたら漏
らしたで仕方がないぐらいに思って放っておかれます。ですから、
しばらくはべちょべちょの汚物の海の中にお尻を漬けて我慢しな
ければなりませんでした。

 これに対し躾浣腸はさっき香織さんがオムツ換えした時のよう
にお尻バンザイの姿勢からイチヂク浣腸器やガラス製の浣腸器で
お薬を入れられます。こちらはそれが可能ということで、必ずお
トイレを一定時間我慢させられます。もし規定時間内に粗相すれ
ば、たいてい次のお仕置きが待っていました。

 三人はベビー服を脱がされて再び素っ裸になると自ら仰向けに
寝て自分の両足を自分で持ち上げます。ママが「自分でお尻バン
ザイをしなさい」と言ったからでした。

 「まあ、よく仕付けられてますね。これならママも楽ね」
 シスターからはお褒めのお言葉をいただきましたがこんな姿勢
誰だって恥ずかしいに決まっています。おまけにシスターがメン
トール系の傷薬をお尻の穴に塗りますから…

 「(いやあ、いやあ、いやあ、やめて~~~)」

 声は極力出さず身体をよじってはそのヒリヒリに耐えることに
なります。
 由美子お姉様はそれまで必死に我慢していましたが、これには
涙がこぼれたみたいでした。
 おまけに……

 「どうですか、歳相応に成長してますか」
 聞き覚えのある声がすぐそばでします。

 「(いや、お、お義父様!、どうして?いやだあ~~)」
 きっとそう思ったに違いありません。お姉様の顔が一瞬真っ青
になったかと思うと、ほどなくして今度はゆで蛸みたいに真っ赤
になりましたから。

 お浣腸は普通左横向きに寝かせて左右の足を少しずらしてから
お尻の中にお薬を入れるのですが、これはお仕置きですから辱め
を加えるという意味であえてお尻バンザイの姿勢でやらせます。
この姿勢だと女の子の大事なところは大半が丸見えでした。

 そこで、せっかくの機会ですから娘の下の成長も確認しておき
たいということだったのです。

 ですから……
 「さあ、由美子ちゃん、もっと大きく足を広げて」
 なんてことも言われてしまいます。おかげで、お尻の穴だけで
なく膣も尿道口もクリトリスもその全部をお義父様にお見せする
ことになったのでした。

 「まだ、独り遊びはしていませんか?」
 「まだ大丈夫だと思います」

 こんな会話の後、いよいよお尻の穴に、浣腸器の先が突き立て
られるのですが、こんな恥ずかしい姿勢の中ですから、お尻の穴
だってなかなか言うことを聞いてくれません。

 「ほら、お尻に力をいれないの。それじゃあお薬が入らないで
しょう」

 本人だって、お浣腸を受け入れなければならないのはわかって
いるのです。決してわざとやっているわけではないのですが、お
義父様に恥ずかしい処を全部見られて動転しているお姉様はもう
本能的にお尻の穴をキツくしてお薬がお腹の中に入ってくるのを
拒否してしまうのでした。

 でも、その分お尻バンザイの姿勢を長くとり続けなければなり
ません。
 そんなこんなで躾浣腸は女の子には辛いお仕置きの一つでした。

 さっきお友だちが香織さんにあなたわざと漏らしたでしょうと
言ったのはこの躾浣腸を避けたかったんじゃないか、そんな意味
だったのです。

 躾浣腸組はお腹の中にお薬が入るとすぐにオムツを厳重にされ
て再びベビー服を着せられます。

 「さあ、いいわよ。お義父様からおやつをいただいてらっしゃ
い」

 ママの声に送られ子供たちはそれぞれにお義父様のお膝に乗っ
てチョコレーやクッキーそれにミルクなんかをいただきます。

 えっ、お仕置きは終わったのか?(^^ゞ

 いえ、いえ、そんなことはありませんよ。もちろん、おトイレ
だってまだ許されませんから。
 こんなさなかにと思われるでしょうが、次は給食(?)の時間
でした。

 由美子お姉様も当然お義父様のお膝で差し出されるチョコレー
トをほおばります。
 ただお姉様のベビー服は袖の先が袋地になっていて両手を外へ
出すことができませんから必ずお義父様や先生がその手やスプー
ンで口元まで運んで来てくれたものを、パクリとやるだけ。それ
以外の方法ではどんなに切迫していても給食を食べ終えることが
できませんでした。

 ですから、過去にはお義父様に意地悪されてなかなかチョコを
口元へ運んでもらえず、とうとうお膝の上で爆発なんてことも…
………

 私たちのお義父様は普段娘たちにそんな意地悪をなさる方では
ありませんでしたが、この時ばかりはお姉様たちも必死だったと
思います。

 「ありがとうございました」
 お姉様は一口食べさせてもらうたびお義父様にお礼を述べます。
それでもすぐに次がやってくるわけではありません。お義父様の
頬ずりを受け、頭を撫でられ、肩や背中をさすってもらってから
でないと次のスプーンはやって来ません。

 「あっ…は、はい、あり、ありがとうございます」
 お礼の言葉が震え、息づかいも荒くなっていきます。『ひょっ
としてここで爆発!』
 なんて心配も頭をよぎります。

 私はお姉様を手伝ってチョコレートを盗み食いしてあげようか
とさえ思いましたが、なかなか勇気が湧きませんでした。

 「啓治ちゃん、あなたはこれはだめよ」
 ママに言われてやっぱり遠慮してビスケットをほおばることに
しました。というのも、このチョコレート、実は中に下剤が仕込
まれていましたから、これを食べると2時間後にはトイレへ急行
しなければならなくなります。

 そんなことは由美子お姉様だって当然ご存じですから、本心を
言えば「そんなのいりません」って宣言しておトイレに駆け込み
たいに決まっています。けれど今はお仕置き中の身、それができ
ないことも私たち子供の悲しい現実でした。

 いえ、それだけじゃありません。子供たちはお義父様が差し出
すこんなチョコレートだって美味しそうに食べなければならない
のです。嫌々ながらとか顔をしかめてなんてのは礼儀に反します
から許されませんでした。

 私はこんな時にもお姉様がさも美味しそうに食べているを見て
感心してしまいます。

 『さすがは女の子』

 僕なんかお芝居が下手で、感謝の言葉を言わなければならない
時も、いつも顔を引きつらせ無理矢理顔を作って笑っていました。
 女の子なら失格でしょうね。きっとまた別のお仕置きが待って
いるはずです。

 でも、そんな僕をお義父様はよくかばってくれました。
 この下剤入りのチョコレートを食べさせられた時も、時間が来
てトイレに行きたくなるまでずっと一緒にいてくれたんです。

 もしあの時お義父様が一緒でなかったら……
 『啓治ちゃん、今日の態度は何です!せっかくお義父様やお義
母様からチョコレートをいただいているのに噛みつきそうな顔を
したりして……』
 『だってあれはお浣腸されてたから……』
 『そんなの理由になりません。あれではお仕置きの効果があり
ませんからね、お家に帰ってもう一度やり直しましょう。いいで
すね』

 こんな会話になりかねません。それを察して、お義父様は私を
抱き続けてくれたのでした。

 「さあ、これが最後だよ。よく頑張ったね」
 お義父様が差し出す最後のスプーンをパクリとやってようやく
すべてのチョコレートとコップ一杯のミルクを平らげた由美子お
姉様でしたが、これで終わりではありませんでした。更なる試練
がお姉様を襲います。

 「ありがとうございます。御前。あとは私たちが行いますので
……」
 そう言ってママが由美子お姉様を引き取ろうとします。他の子
はベッドでベビー服を脱がされておトイレを許されているのに、
お姉様だけが未だにベビーベッドの上だったからです。
 ところが……

 「由美ちゃん、今日はここでなしなさい」
 冷たいお義父様の宣言が幼い少女の頭をガーンと叩きつけます。

 「だって、もう限界なんです。出ちゃいます」
 必死のお願いにも…

 「だから、いいから、ここで出してしまいなさい」
 要するに今日は今穿いているオムツがおトイレというわけです。
これにはさすがのお姉様も悲しい顔をなさいましたが、お腹には
一刻を争う爆弾を抱えていますから、あらがう力もありませんで
した。

 「啓ちゃんにも同じことをしたんだろう。だったら、自分でも
体験してみたらいいじゃないか。おむつにうんちをするのがどん
な気持なのかを……」
 お義父様はどうやら本気のようです。

 「でも、そんなことをしたらおズボンが汚れます」
 お姉様も最後の抵抗を試みますが…

 「そんなこと、君が心配しなくていいことだよ。由美ちゃんは
私の大事な娘なんだからね。ズボンの一着二着どうってことない
さ。それより、今日は私がお前のオムツを換えてあげたいんだ。
普段は先生方に預けてるけど、オムツの取り替えぐらい私にだっ
てできるんだから……上手なんだよ。君がここへ来た頃は、私も
たびたび取り替えてあげたもんだよ」

 シスターとお義母様にも見守られながらオムツを穿いた大きな
赤ちゃんはとうとう進退が窮まってしまいます。

 「さあ、もういいわよ」
 「いいから、ここでしなさい」
 「もう我慢しなくて良いのよ。後は私たちがやってあげるから」

 女性陣にそう言われたからって、こればかりは『はいそうです
か』というわけには……

 お姉様は下唇を噛みます。涙がしたたり落ちます。
 お義父様はそんな不憫な子をしっかりと抱いておいででした。

 もちろん、彼女の両手もしっかり押さえられていますしたが、
よしんばその手が自由になったところで背中のファスナーはもち
ろん、お尻部分をあけるボタンも外すことなんかできませんから
自分でおトイレへ行けたとしても普段通りに用を済ませることは
もう絶望でした。

 「おトイレ、行かせてください」
 お姉様は蚊の泣くような声でお姉様は訴えますが…
 「だめよ。ここでしなさい。あなたはここでうんちをするの」
 最初はお義父様の意向に驚いたママも今は冷静で冷徹です。
 「いやです。いやなのはいや」
 「いや?……だったら弟にどうしてあんなことするの。やって
ることはあなたと同じでしょう」

 僕としてはもうそんな昔の事どうでもよかったのですが、お義
父様の意向には逆らえませんからママは決断したみたいでした。

 「だってみんな見てるし……」
 お姉様の声は鼻にかかって泣いています。

 「それは仕方がないでしょう。そもそもあなたは、今、どんな
身分なのかしら?」

 「赤ちゃんです」
 亀山の子はそう答えるしかありません。

 「だったら大丈夫、笑う人はいないわ」

 「(そんなあ~~~)」

 何が大丈夫なのか分かりませんが、ママは自身満々に説得しま
す。恐らく、『このことが街の噂になったりしないから』と言い
たかったのでしょうけど、コレって本人の心の問題ですからね。
たとえ噂がたたなくても乙女としては一大事なわけですよ。

 でも、ここではそんなこと関係ありません。大人たちはお構い
なしでした。

 「いやあ~~やめてえ~~~」
 「さあ、いいから、早く出しちゃいなさい」
 「変に我慢してると体に良くないわよ」
 「だめえ~~お嫁にいけない」
 「オーバーなこと言わないの。時期が来ればお義父様がいい人
を見つけてくださるわ」
 「人の噂も七十五日。あっという間に終わるわよ」

 大人たちは、寄ってたかってお姉様のお腹をさすり始めます。
方向が決まった以上早く出してやった方が本人のためだと考えた
ようでした。

 でも、こちらも乙女の意地なんでしょうか。お姉様は大人たち
の誘惑に耐え続け容易には陥落しません。

 そのうちお義父様が…
 「もうよいでしょう。みんな離れなさい。私がいったんこの子
をベッドへ運ぶから、それからにしましょう」

 お義父様は周囲の心配をよそにお姉様をそのままお姫様だっこ
の形でベビーベッド迄運ぶと、無造作に着ているベビー服を脱が
せ始めます。

 「…………」
 それって、どんな気持だったのでしょうか。お姉様としたら、
『ほっといてよ!』とはねのけるわけにもいかず、さりとてこの
ままではあまりに自分が惨めすぎます。

 「御前、それは私が…」
 慌てたシスターが代役を申し出ますが、お義父様は笑顔のまま
にそんなものは無用とばり手を休めません。

 あっという間にカバーオールの服が剥ぎ取られるとお姉様の体
はオムツ一つを残して裸に……

 「!」
 一瞬、間があり、それから慌ててお姉様はご自分の胸を両手で
覆い隠したみたいでした。

 ところが、お義父様の手はさらに休みませんでした。
 「ほら、もうすぐ楽になるからな」
 次はいよいよオムツが剥ぎ取られます。

 「……」
 すると、由美子お姉様はその瞬間、石像のようになってしまい
ます。目が点になるというのはまさにこのことなのでしょうか。
お姉様の瞳は青空の一点を見つめたまま微動だにしませんでした。

 幸い剥ぎ取られたオムツに汚物はありませんでしたが、汗びっ
しょりのオムツはあたりに女性特有の汗の臭いを振りまきます。
 すっぽんぽんになったこと、汗びっしょりのオムツをみんなに
見られたこと、お腹が爆発寸前なこと、色んなことがお姉様には
ショックでしたが、それだけではありませんでした。

 「あっ!」

 再度、お姉様の身体が浮き上がります。両方の太股をお義父様
の大きな手が持ち上げ、人間椅子のような形でその体がおまるの
置いてある舞台中央まで運ばれます。
 何のことはない、大人が赤ちゃんにおしっこをさせるあの光景
でした。

 「だめえ~~~だめえ~~~だめえ~~~~いや、いや、いや、
やめて~~お願い」

 事態を察したお姉様は必死にお願いしましたが、今度は許して
もらえませんでした。

 舞台の中央、みんなの視線が集まる場所でのおトイレです。

 「だめえ~~~だめえ~~~」
 でも、ここは乙女のプライドがそうさせるのでしょうか脂汗を
かきながら必死に抵抗します。とうとう他の三人がすっきりして
トイレから帰ってくるまで頑張り続けたのでした。

 「どうしたの?」
 「ここでやりなさいって……」
 「由美子だけ?」
 「らしいわよ」
 「仕方ないか首謀者だもんね」

 他のお姉様は武士の情けということでしょうか、少し離れた処
で事の成り行きを気にしています。でも、チビちゃんたちにその
遠慮はありませんでした。しばらくおとなしくしていたちびっ子
ギャングが再び現れたのでした。

 「ねえ、お姉ちゃまどうしたの?お病気」
 森下先生に尋ねますから…
 「そうね、お病気よ」
 と答えたのですが……
 「嘘だよ。これってお仕置きでしょう」
 「うんち出すんだよね。べちゃべちゃなやつ」
 「臭いの?」
 「浣腸液で薄まるから匂いはそんなにしないんだって」

 相変わらず幼い子は正直です。ぼくだって、お姉様だから遠慮
してるけど、よそのお姉様だったらこんなこと言ったかもしれま
せん。

 チビちゃんたちは再びやって来た引率の先生が引き取って行き
ましたが、お姉様の受難がこれで終ったわけではありません。

 「さあ、チビちゃんたちも行っちゃったしもういいでしょう」
 「いいかげん、観念なさい。さあ、出してしまえば、すっきり
するわよ」
 「恥ずかしい思いをするのもお仕置きよ」
 大人三人は由美子お姉様に決断を迫ります。

 でも、お姉様はもう固まってしまってそんな誘惑には負けない
とばかり顔をこわばらせています。
 これはけっこう長期戦かなと思ったその時でした。

 「ぷう~~~」
 という音が聞こえました。おならです。お姉様がたまらずおな
らをしたのです。大人三人が一斉に吹き出し、遠くではお友だち
の笑い声までします。

 「いやあ~~~」
 そんなことに動揺したんでしょうか、お姉様の顔が、ひときわ
歪んだかと思うとみんなから視線をそらすように横を向いてしま
います。

 「………………」
 その瞬間、再び目が点になってしまったお姉様。ほどなく横顔
をお義父様の胸板に押しつけたまま固まってしまいます。

 周囲を囲む大人たちはやれやれといった顔でした。

 堰を切った洪水はおまるの底を一杯にします。
 でも、最初、大人たちはお姉様に手を出しませんでした。
 『これくらい出たら終わり』
 それが分かっていたからお腹のものが大半出るまで待っていた
のでした。

 お姉様はもう人形のようになって何もしません。表情も変えま
せんけど出るものは次から次に出て来ます。

 『こんなの私じゃない。夢よ、こんなの夢だわ』
 そう思って耐えてるようでした。

 ようやく落ち着いたので大人たちは仕事に取りかかりますが、
これが不思議とちっとも嫌そうじゃないんです。和気藹々という
か、まるで長屋のおばさんたちが井戸端で鍋や茶碗を洗っている
ような、そんな賑やかさです。

 昔、夜泣きや疳の虫で悩まされたとか、どんな悪さをしてどん
なお仕置きをされたかなどお姉様の昔話に花が咲きます。そんな
ことを楽しげに話ながら汚いものを取り去ってお尻もお股も綺麗
に拭いてまた新しい服をあてがいます。

 今度の服は体操服でした。当時のことですから、白いシャツに
黒のブルマースタイルです。

 これは他の躾浣腸組も同じ。高圧浣腸ですでにお尻がべちょべ
ちょだった遥香ちゃんも、シスターたちに手伝ってもらって綺麗
な身体にしてもらうと、同じ衣装でベッドに入ります。

 ここでしばしの休憩が入り、四人はベビーベッド越しにお互い
顔を見合わせて笑っていましたが、もちろんこれで終わりという
わけではありませんでした。

 「おう先生方、遅れてすまんかったのう。急な仕事が入って…
……待たせたかいのう」

 庭じゅうに鳴り響く老婆のガラガラ声。これを聞いた四人は、
それまでの笑顔が一変、表情がこわばり身体が凍り付きます。

 「ほう、これはお嬢ちゃんたち。今日はなにやら勇ましいのう。
体操服なんぞ着て」
 彼女たちにとってこの元気すぎる老婆の声は悪魔のささやきに
違いありませんでした。


*****************************

〘 第 7 回 〙 お灸のお仕置き①

          亀山物語
                     合沢啓治(著)
〘 第 7 回 〙 お灸のお仕置き①
***************************

<主な登場人物>


私(合沢啓治)/亀山愛育院の孤児。由美子の弟。

小島先生   /私の家庭教師であり、実質的には僕のママ。

大石胤子   /亀山村の村長さん。(三代目)女王様。

榊原 美里  /同級生の恋人。片想い。

森下景子先生 /由美子お姉様の家庭教師(ママ)であり、
       /かつ、学校では担任の先生でもある。

合沢由美子  /私をリンチにかけたお姉様の一人。私の姉。

小川静子   /泣き虫。リンチ四人組の一人。

桐山香織   /おっちょこちょいで早とちり。四人組の一人。
       途中でお灸をすえられそうになる。

安西遥香   /優等生だが、今回の事件に関与。四人組の一人。
途中でお漏らしをしてオムツ替えをさせられる。

美代子と彰子 /今回私のリンチには加わらなかったお姉様。

 お義父様  /亀山の子供たちは誰もがお義父様の子供として
(合沢徹)   /その家で家庭教師(ママ)と一緒に暮らしている。

 お義母様  /お義父様の奥さん。元々はお義父様のお付き合い
(合沢早苗)  /で亀山に来たのだが、今は子供たちにも優しい。

桐山高志 /幼稚園児(5歳)。由美子のお友達、香織の弟。 

 大原先生/高志君のママ。

 おばば様/亀山のお灸担当係。子供たちの実母を知る老婆。

****************************
****<7>*********************

 みんなから『おばば様』と呼ばれているこの老婆は、亀山では
超有名人で、普段は山の麓で若い助手と一緒に暮らしをしていま
すが、子供たちにお灸のお仕置きがある時だけは必ず山を登って
手伝いに来ます。

 というのも、ここに暮らす子供たちの多くは、実の母親と同じ
場所にお灸がすえられています。それは、後日実母が現れて親子
関係を判断する時に重要な証拠となりますから、常に灸痕の位置
がずれないよう確認する必要があるためでした。

 つまり、彼女が来たということは、これからお灸のお仕置きが
始まるということ。それは、どの子にとっても平常心ではいられ
ない出来事でした。

 「どうしたね、由紀子ちゃん。また弟を虐めたそうじゃないか、
二度三度と同じおいたを繰り返すとお仕置きがキツくなるぞ……」

 おばば様が最初に目をつけたのは由美子お姉様のベッド。

 「どうせお前さんが首謀者じゃろうが……」
 しわくちゃの笑顔が雪駄を脱いでベッドに上がり込むと、隅で
小さくなっている由美子お姉様ににじり寄ってあけすけに女の子
が嫌がるようなことを命じます。

 「ほれ、シャツの前を捲ってみい。おっぱいがどれほど大きく
なったか、見てやろうほどに……」

 「えっ!」

 「なんじゃ、生意気に恥ずかしいのか。恥ずかしがるほどの物
をもっとるのか?」
 おばば様は馬鹿にしたように笑います。

 お姉様の胸はまだ小さい丸みでしかありません。いえ、小さい
胸だからこそ恥ずかしさは人一倍だったのかもしれません。おか
げでその手はなかなかシャツを引き上げられませんでした。

 「ほれ、ほれ、どうした。言うことが聞けんようならお仕置き
がまた重くなるぞ」

 「えっ……」

 今までのお仕置きでも散々ご自分の裸を披露してきたお姉様で
したが、それはすべて先生やお義父様が勝手にやったこと、無理
矢理やられたことだからという諦めもつきます。
 でも、自分で脱ぐとなると、それはそれでまた格別の羞恥心で
した。

 だから、そこは躊躇してしまうのですが、でも、そんな乙女の
事情なんておばば様には関係ありません。

 「ほれ、さっさとせんかい」

 ちょっとだけ強く言われた一言で、お姉様は、瞬間的に自分の
シャツをたくし上げます。
 でも、これを単純に脅されたからだというのは少し違っていま
した。

 実は、おばば様は亀山に赤ん坊を預けに来る母親と受け入れる
女王様やお義父様たちとの間を取り持つ仕事をしていました。

 もし、女王様やお義父様が赤ん坊を受け入れてくだされば、母
親はおばば様の家で我が子とお別れです。
 その後、赤ん坊はおばば様に抱かれて亀山を登って行きますが
母親はこの山を登ることが許されませんから、亀山で実母の顔を
見知っているのはおばば様だけだったのです。

 悪さをするとお灸をすえられる怖い人でしたが亀山で唯一実の
母と繋がりのある人物ですから、どんなに嫌いになろうとしても
どこかで親しみを感じてしまいます。そのためでしょうか、私は
ママやお義父様と同じようにおばば様にも命じられるままに二つ
返事だった気がします。

 いえ、これは僕だけじゃなく由美子お姉様も、それ以外の子供
たちも、みんな同じだったじゃないでしょうか。由美子お姉様が
おばば様の「ほれ、さっさとせんかあ」の一言であっさりシャツ
の前を捲ったのはそのためでしょう。

 いずれにしても、現れたのは相変わらずのぺちゃぱいでした。
 僕が三ヶ月前にお風呂で見た時よりはいくらか成長したみたい
ですが、それにしても貧乳と呼ぶにふさわしい男の子のような胸
です。ただ乳首だけが蜂に刺された程度には大きいので、そこだ
けでかろうじて『女の子なんだ』と分かる程度でした。

 「ほれほれ、お前たち何をぼーっと見てるんじゃ。お前たちも
同じじゃぞ。正座してシャツの前を捲ったままにして待っておく
んじゃ」
 おばば様の指示で女の子たちは全員ベッドの上で正座すると、
自分の成長途中の胸を白日の下にさらします。

 「くれぐれも下ろすんじゃないぞ」
 おばば様は四人が全て同じ格好になっているのを確認すると、
いったんは始めたお灸の準備を中止して何か思いついた様子で、
森下先生やお義父様たちとひそひそ話。なかなか艾の準備を始め
ません。

 「(どうしたんだろう?)」と思っていると、さっきまで離れて
遊んでいたチビちゃんたちがまたまた現れました。それも今度は
有志数人ではなく十数人全員でそれぞれ好きなベッドを取り囲み
ます。

 「わあ~~おっぱいおっぱい」
 男の子がはやし立てると女の子も指を指して笑い出します。
 どうやらこれは子供たちが自発的にやって来たというより引率
の先生の誘導によるもののようでした。

 「どうでもいいでしょう」
 「うるさ~~~い」
 「あなたたち、先生にいいつけるわよ」
 「何よ、あっちへ行きなさいよ」

 お姉様たちはいずれも今にも泣き出しそうな声で追い払おうと
しますが無駄でした。それどころかいたずらっ子の中にはベッド
に上がり込んでちょんちょんと指でおっぱいを突っつく子まで。
 お姉様たちはたくさんのちびっ子にからまれているというだけ
でも、もうパニックになっているようでした。 

 私も経験がありますが自分の身体が子供から大人に変化する頃
って人に見られるのがとっても恥ずかしんのです。
 どうやら、おばば様はそのことは百も承知で四人のお義父様達
に新たなお仕置きを提案したみたいでした。

 となると、最初のターゲットはやっぱり由美子お姉様という事
になります。

 「ほう、由美子ちゃんは相変わらず小さい子に人気があるのう」

 再び現れたおばば様はいつものお線香ではなく小さな密壺を手
に持っています。

 「どうじゃお姉様のおっぱいは?綺麗じゃろうが、日々磨いて
おるからな」
 「ちっちゃい」
 「ちっちゃいか。でも、お前たちより大きいぞ。それにじゃ、
これからもっともっと大きくなるんじゃ」
 「ほんと?」
 「本当さ、お前たちが手伝ってあげればもっともっと成長する
ぞ」
 「おっぱいが大きくなるとお姉様は嬉しいの?」
 「ああ、おなごは嬉しいもんじゃ」
 「おっぱい大きくするお手伝いって、どうするの?」
 「おっぱいを舐めてあげるんだ」
 「舐めるの?いやだあ~~汚い」
 「汚くなんかあるもんか、お前たちだって夜はママのおっぱい
を吸ってるんだろう?」

 「えっ、……それは……」
 男の子は口ごもります。子供たちは幼稚園児。亀山の常識では
ママの本物のおっぱいを毎晩のように吸っていてもおかしくない
年齢でした。

 僕だって今になるまで戯れに舐めたり吸ったりしたことが幾度
となくありますが……
 『もう、赤ちゃんじゃないんだからやめなさい!』
 なんてママが拒否した事は、これまで一回もありませんでした。

 女の子の場合はママが同性なので乳離れは男の子より早いので
すが、それでも幼稚園児ならそれも亀山では常識の範疇です。
 それもこれも、パトロンであるお義父様が理知に富む子よりも
お人形のように扱いやすい子を好むからで、それにママも先生方
も、もちろん子どもたちだって、右へ倣えだったのです。

 「どうだ、やってみるか。蜂蜜を塗ってやるから甘いぞ~~」

 おばば様は蜜壺のはちみつをさじで伸ばして子供たちに見せま
す。そして少しは気のありそうな男の子にほんのちょっぴり舐め
させてみます。

 「どうじゃ、あきら、やってみるか」
 おばば様が再び勧めると…
 「うん」
 男の子は首を縦に振りました。
 「よし、じゃあベッドへ上がって来い」

 こうして話はまとまったのですが、当然ながら由美子お姉様の
心中は穏やかではありません。
 その青ざめた表情を楽しみながらおばば様はお姉様の小さな胸、
とりわけ乳頭の辺りへ蜜を塗りつけます。

 「どうした浮かぬ顔して?…由美子ちゃんはこんな遊びが好き
なんじゃろう。……こういうことが…」

 その瞬間、おばば様はお姉様の左のおっぱいをひと舐めに……

 「あっっっっ」
 思わず弓なりに身体が反るお姉様。
 ざらざらした得体の知れない生き物が、おっぱいだけでなく、
後頭部を通って頭のてっぺんから抜けて行きます。

 「いやあ~~~~ん」
 お姉様が庭じゅうの木々を揺らすほどの大声を上げたのはその
直後でした。

 「何じゃ、そんなんに嬉しいのか。お前はこういうことを啓治
にもやらせとったそうじゃないか」

 そうなんです。あの日はお姉様たちが私を赤ちゃんにしてママ
ゴト遊びをしていたのですが、その際四人は私に浣腸してオムツ
替えしただけではあき足らず、うんちがしたかったら自分たちの
生のおっぱいを舐めろと言ってきたのでした。

 おばば様としてはその時と同じことをここで再現しようという
わけです。

 「ほら、やってみるか?」
 おばば様が促すと、あきら君は先ほどの大声にちょっぴりびび
っていましたが、おばば様に抱いてもらうと、安心したのか正座
したお姉様の膝に馬乗りになって、目の前に広がるお姉様の生の
おっぱいを舐め始めます。

 最初は、少し遠慮がちに舌先でちょんちょんと突っつく程度で
したが…
 「ほら、もっと大きくゆっくり舐めるんじゃ」

 おばば様がレクチャーしますからだんだんに慣れてきて、舌を
いっぱいに出して縦横無尽にべろべろと舐め尽くします。

 「(あっっ、……いや、……いや、……いや、やめてよ)」

 当然、お姉様は渋い顔。くすぐったくてくすぐったくて仕方が
ない様子でした。
 窮屈に身体をねじってみますがどうにもなりません。

 そのうち耐え切れず青筋がたちます。
 「(いい加減やめなさいよ。あんまり調子に乗るとあとが怖い
からね)」
 お姉様の声が聞こえてきそうでした。

 でも、今はまだお仕置き中の身、あきら君を突き飛ばすことも
罵声を浴びせることももちろんシャツを下げることもできません。
のけぞっていく自分の身体が後ろに倒れてしまわないように我慢
するだけで精一杯でした。

 「よし、もうええじゃろう」

 最後はおばば様があきら君を後ろから抱きかかえて終了となり
ましたが、お姉様の方は肩で息をしながら目には涙があふれてい
ます。それは端で見ている限り残酷なお仕置きのようにも見えま
す。何しろ人前でおっぱいを見せてくすぐったいことさせられて
るのですから。でもお姉様の心の内は必ずしも純粋な苦痛という
だけではありませんでした。その本心をおばば様はえぐります。

 「どうじゃ、気持よかったじゃろう。こいつはママのと違って
まだ小さいからな唇で摘むことはできんがな。お姉ちゃんもな、
気持ちよかったと思ってるぞ」

 「ホント?」
 「本当じゃ、お前のママだってお前におっぱいを吸ってもらう
と気持がいいんじゃ」
 「ホント?……じゃあ、真里ちゃんも」
 真里ちゃんはあきら君と同じ歳のお友だちです。
 「真里ちゃんはまだわからないな。でもこのお姉ちゃんくらい
になるとわかるんだ」
 「ふうん、もっとやりたい」
 あきら君が言うと他の女の子まで…
 「私もやりたい」
 と言い始めます。
 「また、今度な。お姉ちゃんはこれからお灸のお仕置きを受け
なければならんのでな」
 おばば様は一旦は断りましたが…
 「そんなのずるいよ。あきら君だけ」
 ベッドにあがれなかった女の子から不満が漏れます。
 「そうよそうよ、私もやりたい」
 「私も……」
 「私も……」
 とうとう他の子も全員で大合唱。

 「わかった、わかった。それじゃあやってみい」
 たまりかねたおばば様は、結局そこにいた六人全員を一人ずつ
ベッドにあげてお姉様が気持ちいいことをさせてあげたのでした。

 すると、チビちゃんたちはさらに頭に乗ります。
 「ねえ、お姉様って、これからお仕置きなの」
 「そうじゃ。このお姉ちゃんたちは悪さばっかりしておるんで
な、これからお仕置きされるんじゃ」
 「ふうん、見てていい」
 「いいぞ、だけどベッドに上がってはいかんよ。危ないからな」

 とうとうお姉様はチビちゃんたちの前で本当に公開処刑される
ことになりました。観客はチビちゃんだけですが、恥ずかしい事
が苦手な女の子たちにはこれがけっこう堪えます。たしかにこれ
までだってお友だちのお義父様お義母様、担任の先生やシスター、
そしておばば様などたくさんの大人たちの前で恥ずかしいところ
を見られてきましたが、これらの人たちは、普段から自分たちに
優しく接してくれた大人世界の人たちです。物心ついた頃から、
何かにつけて抱いてもらってきた身としては、今回たまさか怒ら
れ裸にされたとしても、もともと大人にお仕置きされるのは子供
なんだから仕方のないと思える人たちだったのです。

 ですからこれらの人たちの前では裸になっても、実はそれほど
大きなショックはありませんでした。これまでで気になる観客と
いえばこのお仕置きに参加しないクラスメート三人だけだったの
です。

 それが気になる観客がこんなにいっぺんに増えたもんですから
お姉様は心穏やかではいられませんでした。

 「ほれ、いつシャツを下げていいと言った。おっぱいに着いた
蜜をぬぐってからじゃ」

 おばば様にこう言って叱られても、気持ちは早くシャツを下ろ
したくて仕方がありませんでした。

 そんな由美子お姉様の気持ちを知ってか知らずか、おばば様は
念入りに濡れたタオルでお姉様の蜜の付いたおっぱいを拭います。

 でも、それは傍目に見ても、ぬぐうというより、タオル越しに
おっぱいを揉んでいるようでした。

 「どうじゃ、……ん?……気持がいいか?」
 おばば様の問いにお姉様は答えません。顔は『そんなことあり
ません』というような怒った顔だったんですが、しばらくして、
その顔が一瞬だけ崩れます。
 どうやらそちらが本心のようでした。

 「よし、それでは始めようかな。由美子ちゃん、もうおっぱい
を隠してもいいぞ」

 おばば様はこう言うと周囲にいた人たちにてきぱきと指示をだ
します。
 「アキちゃん。上やって……」
 おばば様は助手のアキさんにお姉様の上半身を任せます。それ
まで正座していたお姉様が仰向けに寝てその枕代わりに正座した
助手のアキさんの膝に頭を乗せます。

 腰やお尻のあたりには座布団が3枚丸めて敷かれ、その辺りが
少し高くなるように作られます。

 「ほれほれ、誰か手の空いてる者はおらんかい」

 こう言って見回すおばば様の目に乙女の祈りをしている美代子
ちゃんと彰子ちゃんが止まります。二人は私語を注意されてから
ずっとこの姿勢のままでした。思えばこれだって立派なお仕置き
ですから二人は喜んで由美子お姉様のベッドに上がります。

 「よし、美代子ちゃんは由美子ちゃんの右手、彰子ちゃんは、
左手を押さえておくんじゃ。思いもよらず強い力で暴れ回ること
があるからな、しっかり押さえておくんじゃ。もし、お前らのせ
いでお灸がうまくいかなかったら、お前らにも同じようにお灸を
すえるからな」

 おばば様に脅されて二人の浮かれ気分の顔色が変わります。

 お灸のお仕置きがどんなに辛いか、亀山で知らない子はいませ
んでした。ですから、たとえ脅かしと分かっていてもお灸という
言葉を聞いただけで緊張します。

 もちろん実際にやられる由美子お姉様の緊張はもっと凄いこと
になっていました。

 「(ああ、神様、どうかお漏らしだけはしませんように………
お漏らししなかったらあとはどんな罰でも受けますから)」

 自分の足首を森下先生とママが押さえ込むのを見た瞬間そんな
ことを神様と約束したみたいです。

 それにしても凄いでしょう。わずか13歳の小娘にお灸をすえ
るだけで5人もの人がその体を押さえ込むんですから。こちらの
方が私がやられた事よりもよほど集団リンチの様相です。

 でもそれには理由がありました。
 もちろん、ただ単にお灸をすえるだけなら修道院にも拘束具は
いくらでもあります。でもそんな無機質なものでは女の子に大人
の愛は伝わりません。お仕置きというのは刑罰ではなく愛の一部
ですから『罪を犯した君を今でも愛してるよ』というメッセージ
が必ず必要なんです。その為には、とにかく親しい人をたくさん
そばに置いておくのが一番効果的でした。本人が恥ずかしがろう
が、嫌がろうが、拒否しようが、そんなことは関係ありません。
女の子はどんな逆境よりも孤独でいることの方が辛いのですから。

***************************

〘 第 8 回 〙 お灸のお仕置き②

          亀山物語
                     合沢啓治(著)
〘 第 8 回 〙 お灸のお仕置き②
***************************

<主な登場人物>


私(合沢啓治)/亀山愛育院の孤児。由美子の弟。

小島先生   /私の家庭教師であり、実質的には僕のママ。

大石胤子   /亀山村の村長さん。(三代目)女王様。

榊原 美里  /同級生の恋人。片想い。

森下景子先生 /由美子お姉様の家庭教師(ママ)であり、
       /かつ、学校では担任の先生でもある。

合沢由美子  /私をリンチにかけたお姉様の一人。私の姉。

小川静子   /泣き虫。リンチ四人組の一人。

桐山香織   /おっちょこちょいで早とちり。四人組の一人。
       途中でお灸をすえられそうになる。

安西遥香   /優等生だが、今回の事件に関与。四人組の一人。
途中でお漏らしをしてオムツ替えをさせられる。

美代子と彰子 /今回私のリンチには加わらなかったお姉様。

 お義父様  /亀山の子供たちは誰もがお義父様の子供として
(合沢徹)   /その家で家庭教師(ママ)と一緒に暮らしている。

 お義母様  /お義父様の奥さん。元々はお義父様のお付き合い
(合沢早苗)  /で亀山に来たのだが、今は子供たちにも優しい。

桐山高志 /幼稚園児(5歳)。由美子のお友達、香織の弟。 

 大原先生/高志君のママ。

 おばば様/亀山のお灸担当係。子供たちの実母を知る老婆。

****************************
****<8>*********************

 「いや、恥ずかしい」

 お姉様はブルマーをずり下ろされる時に思わず叫んでしまいま
した。本当はお灸を受ける時は一言もしゃべってはいけなかった
のです。身体をよじっても、泣いても、叫んでも、いけませんで
した。ただ静かに灼熱の儀式が終わるのを待っていなければなら
ないのです。ところが…

 「大丈夫よ。すぐ終わるから」
 「心を静かにして、何にも考えないの」
 普段は厳しいことばかり言ってる森下先生やママがこの時ばか
りは励ましてくれます。

 そんななか、お臍の下、よく三角デルタなんて呼ばれるあたり
に6個の艾が手際よく置かれます。置いたのはもちろんおばば様。
かつてお姉様の本当のお母様にすえたのと寸分狂わないように、
慎重に置いていきます。その時の艾の種類や大きさ、すえ方など
もおばば様はすべて記憶していました。

 この亀山に子供を預けようとする場合、お金などはいりません
が、おばば様から体の13カ所にお灸をすえてもらうのが条件で
した。もし、娘や息子が18歳になって、実の母親に会いたいと
言った時、それが本物の親子かどうかを判別するためにそうする
のだそうです。(今ならDNA鑑定でこと足りるでしょうが当時
はそんなものありませんから……)

 それと、この時、母親の体には娘以上の大きな灸痕が残ります
から、それを覚悟の証としたのでした。

 「犬猫じゃあるまし、おのが不始末を他人の世話で何とかしよ
うというんじゃ、このくらいの覚悟は当たり前じゃろうが」

 おばば様が子供を預けに来た母親を叱っているのを私は偶然耳
にしたことがあります。私の母親も同じことを言われたんだと思
いました。悲しい親子の宿命というか性です。
 でも、そのお灸があったればこそ、親子は再びまみえることも
できるわけで亀山とお灸は昔から切っても切れない関係にあった
のでした。

 当然、子供たちもおばば様によって母親と同じ艾で同じ場所に
お灸をすえられます。悲しい身の上ですが幸いここにいるみんな
は同じ境遇の孤児。しかもみんな同じ灸痕を持っています。です
からそういう意味で仲間意識が芽生えていました。

 ……というか、友達同士お互い仲が良過ぎてしまって、エッチ
なことをやってもやられても、まったく抵抗感というか罪悪感が
ないんです。

 中一の子(お姉様)が11歳の男の子(私)を浣腸して自分の
おっぱいを吸わせてみたなんて言ったら、きっと巷でなら、もの
凄い事件なんでしょうね。でも、ここではそんな事、おままごと
が、ちょっぴりすべった(やりすぎた)くらいにしか感じていま
せんでした。

 ただ、大人たちが騒ぐので『そんなものなのか』と思うくらい
なんです。私自身も、深刻な被害者だなんて思ってはいませんで
した。

 とはいえ、現実は厳しくて……

 「…(あっ、痛い、痛い、ひ~~やめてえ~~~)…(あっ、
ひぃ~~やめてえ~~~)……(あっ、いやあ~~~、ひ~~~
やめてえ~~~)……(あっ、ああああ、ひ~~だめえ~~~)
……(あっ、ああああ~~~~)……(あっ、ああああ~~~)」

 お姉様は必死に顔をゆがめて頑張ります。まるで火事場の金時
みたいに顔は真っ赤々です。もし、誰も押さえていなければお臍
の下の艾を払いのけてこの庭から一目散に逃げ出していたかも。

 でも、それを見ていた私はというと、満面の笑みです。
 もちろん、たまには感情移入することだってありますが、基本
的に私は、自分に関わらないことには残酷な生き物でした。
 お姉様のこんな大変な場面も楽しい見世物の一つだったのです。

 お姉様のお仕置きはお臍の下のお灸が六ヶ所。そんなに大きい
ものはなくて、小豆ほどですが、おばば様が、一つ一つお線香で
火をつけては、それが消えるまで待ってから次の艾へと移ります
から終わるまでに時間がかかります。

 「どうじゃ由美子ちゃんこたえたか?今日はたっぷり反省する
時間があったじゃろう」
 とはおばば様ですが、でも、こんなに時間をかけたのにはもう
一つ理由がありました。

 実は、艾に火がついてお姉様がひぃーひぃー言っている最中、
アキさんは体操服の中に両手を入れてお姉様のおっぱいの先を、
おばば様もお臍の下の窪みに手を入れて何やらこちょこちょ。

 私はまだ幼くてその意味がわかりませんでしたが、お姉様はご
自分のことですからいかにお灸の最中でも二人の指を感じていた
と思います。

 でも、このお二人、お姉様に対して程度の低い悪戯をしたわけ
ではありませんでした。

 お臍の下のお灸が終わると、これを見ていたお義父様がおばば
様に耳打ちします。
 「どうですか?由美子は…」

 その問いに振り返ったおばば様が…
 「大丈夫じゃ。まだそんなところまでいっとらんよ。この子が
感じとるのは『熱さ』と『恥ずかしさ』だけじゃ。心の方はまだ
まだ純粋な天使じゃわい」
 と答えると…

 「そうですか」
 お義父様は安堵の様子。しかし、おばば様はこうも付け加える
のでした。

 「今はそうじゃが、歳も歳じゃからな、いつ大人になるかは、
誰にもわからんよ。半年後かもしれんし、三月後かもしれん。…
…あるいは、これが契機になってというのもありじゃ」

 「それは承知しています。この子ももう13歳ですし……」
 「お楽しみじゃな。可愛がってやるがよい。多少嫌がる素振り
をみせるかもしれんが、そんな時は尻の三つ四つも叩いてやれば
おとなしくなる。おんなごの本心は素振りとは別の処にあるもん
じゃから気にせんことじゃ。この子はあんたを本気で嫌がったり
はせんよ」
 「いやあ、それを聞いて安心しました」
 「心配することはないわさ。先生方を信じとけばよい。由美子
はあんたの天使になるように始めから育ててある。今でもあんた
を慕っとるよ。……………さあ、次をやるよ」

 おばば様は、あらためて号令をかけると、次のステージを準備
します。

 次はお姉様のお尻でした。

 由美子お姉様はアキさんに背中を向け、それまで枕にしていた
アキさんの膝に今度は跨ってベッドに俯せになります。両足は、
アキさんの腰を挟みつけるようにして後ろへ投げ出されおりお尻
だけがアキさんのお膝に乗った形です。

 こんな形でももちろんおばば様はお灸をすえることができます
が、この場合一番やりやすいのはやはりアキさんですから、今度、
由美子お姉様のお尻にお灸をすえるのはアキさんでした。

 アキさんは、当時30半ばくらいだったでしょうか、縦も横も
大きなスポーツマンタイプ。小柄なおばば様とは好対照です。
 もしこのアキさんに捕まったらたいていの子は逃げられません。
由美子お姉様も決して小さい方ではありませんが、こうして押さ
えつけられると、まるで大人と子供。観念するしかありませんで
した。

 やがて、いったん穿きなおしたブルマーとショーツがいっぺん
に脱がされ、ふたたびお姉様の大きなお尻が顔を出します。

 「いや」

 ブルマーがずり下ろされる時またぽろりとお姉様の独り言が出
ます。女の子なんだから仕方がないとも思えるのですが……でも、
おばば様はそんなささやき声まで聞き逃しませんでした。

 「何が『いや』じゃ。みなさんお忙しいさなかお前たちの為に
こうしてお仕置きに来ていただいておるんじゃぞ。ありがたく、
思わねばならんのに、お前は口に締まりがないのう……さっきも、
『いや、恥ずかしい』とかなんとか言っとったろうが」

 「ごめんなさい」

 「ごめんなさい?それだけか?」

 「もう言いませんから許してください。お願いします」

 「何だか誠意の伝わらん『ごめんなさい』じゃのう」
 お姉様は涙声で訴えます。けれどおばば様の答えはNoでした。

 「二度あることは三度あると言うてのう。克己心のない子は、
また繰り返す。…アキ、その子には水戸様を追加してやるんじゃ。
少しは効果があるじゃろう」

 おばば様は決して残忍な性格の人ではありませんが、昔気質の
人ですから、ある程度年齢が上の子たちが泣いたり悲鳴あげたり
するのは好きではありませんでした。

 ちなみに水戸様は水戸黄門ということで、肛門へのお灸を意味
します。

 さて、身体はひっくり返りましたがやり方はお臍の下を焼いた
時と同じです。クラスメート二人がそれぞれ左右の手首を押さえ
森下先生とママが足首の担当です。ただ前と違うのはその様子を
自分で見ることができないことでした。

 『今、火がついた』『もうすぐ熱い』って分かればその瞬間に
テンションを高めることができますが、今回の熱さは、いきなり
やって来ます。しかも、お臍の下より大きな艾が乗ってますから
そのぶん熱さもひとしおです。
 そのため、たいていの女の子が、その瞬間にほんのちょびっと
ですけど、お漏らしするようでした。

 「(いやあ~~~だめえ~~~~取って!取って!おねがい~
~~もうしませんからいやあ~~死ぬう~~許して死んじゃう~
~もうしません~~もうしませんから~~~許して許して~~)」

 お姉様がこう思ったかどうか定かではありませんけど、みんな
同じようなことを念じながら必死に耐えるしかありませんでした。

 「(ちくしょう、おばばの奴こんなことさせやがって、今に見
てろ)」
 なんてね、そんなことを思いながらこの苦行を受けられる子は
ここにはいません。というのもそんな恨み言を思っている余裕が
その時間はないのです。そのくらい熱いお灸でした。

 お姉様は僅かに動く腰と太股を必死に震わせて耐えていました。

 「よし、次は尾てい骨じゃ」

 おばば様の指示通り尾てい骨に乗った艾にお線香の火が移され
ると、それはもうお尻のお山の比ではありません。ここは背骨に
近いですからね、その熱さが背中を這い上がって脳天にまで達し
ます。

 「(ぎゃあ~~~だめえ~~~~取って!取って!おねがい~
~~もうしませんから~~死ぬ、死ぬ、死ぬ、死んじゃう~~
許して死んじゃう~~もうしません~もうしませんから~~~)」

 文章力がないので文字ではこの時の修羅場をうまく表現できま
せんけど、お姉様は大げさじゃなく失神寸前でした。
 それが証拠に……

 「おまえ、また、漏らしたんか。おまえという奴は、いつまで
たっても下の方が子供じゃのう」

 おばば様の愚痴がお姉様の顔を赤く染めます。この時のお姉様
はちりぢりに乱れた髪やびっしょりの汗、涙も鼻水も分からなく
なった顔でぼんやりとベッドにへたり込んでいました。

 まるでふぬけの人形のようになったお姉様ですが、アキさんに
立つように両脇を抱え込まれると、それには抵抗します。きっと、
ブルマーを下ろした状態では周囲の人たちに自分のお臍の下が見
えてしまう。そう思ったに違いありません。でも、そんなこと、
この亀山では許されません。

 「ほれ、何をいちいち隠しとるんじゃ。これしきのお灸で粗相
するネンネのお前が生意気に前なんぞ隠すんじゃないわい」

 おばば様はそう言って叱ると前を隠していた両手を外しその場
に立たせます。そして平手で二発お尻を叩くと…
 「ピシッ」「ピシッ」という甲高い音がお姉様の悲鳴のように
してそこら中に響きます。

 おかげで、否が応にもお姉様にみんなの視線が集まりますが、
亀山ではこんなことは当たり前のこと。何しろ14歳になって、
少女試験に受かるまでは、どの子もみんな、赤ちゃんという身分
なんですから、その間は、大人たちからどんなポーズを求められ
ても決して恥ずかしがってはいけないというのが亀山の掟でした。

 赤ちゃんは、恥ずかしがること自体が罪でありお仕置きの対象
だったのです。

 「ほれ、アキはお前の粗相を片づけたんだぞ、ぼ~っとしとら
んでお礼を言わんかい」

 おばば様に指摘されてお姉様は慌ててベッドに頭をこすりつけ
ます。
 「アキお姉様、ありがとうございました」

 しかも、由美子お姉様の場合、試練はこれで終わりではありま
せんでした。さきほど、おばば様が水戸様を追加するようにアキ
さんに命じていましたからお姉様はさらにもう一カ所大事な箇所
へのお灸を我慢しなければならなかったのです。

 「いらっしゃい」
 アキさんは正座してお姉様をご自分の膝に招き入れようとしま
すが…

 「どうしたの?いやなの?怖いのね。でも大丈夫よ、そんなに
熱くしないから……」

 アキさんはそう言いますが、お姉様はさすがに容易に近づけず
にいました。
 いえ、私も経験者だからわかるんですが、あれって恥ずかしい
んですよね。
 そうこうしているうちに、おばば様からはまた雷です。

 「ほれほれ、何をしとるんじゃ。お仕置きはお前さんだけじゃ
ないんだぞ。他の子もああして待っとるんじゃ。早うせんか」

 確かにそうです。お姉様はもちろん大変でしょうけど、ほかの
三人だって正座したまま体操服の前をはだけさせて膨らみ始めた
おっぱいをずっと見せ続けなければならないのです。
 恥ずかしいし、手は疲れてくるし、お姉様の悲鳴を聞くたびに
小さな胸はプレッシャーを受けます。

 「なんなら、お尻バンザイにしてすえてもいいんじゃぞ。その
方がいいのか?」

 「…………」
 お姉様から返事が返ってきません。お尻バンザイは、やっぱり
女の子にとっては強烈な脅しのようです。

 お姉様は仕方なく教えられた作法通りに…
 「お仕置き、お願いします」
 正座して三つ指をつきます。それからアキさんに背を向ける形
でその膝に跨ると前のめりになってベッドに顔を着けます。

 前と同じ姿勢ですが、ただアキさんの膝には座布団が二つ折り
になって敷かれていました。ですからベッドに頭をつけたお姉様
のお尻は今度はアキさんの胸のあたりです。

 このあたりがちょうど作業しやすいとみえてアキさんは無造作
にお姉様のブルマーを引き下ろすと現れた谷間を二つに引き裂き
ます。そして現れた健康的なピンク色の菊座をアルコールで消毒、
菊座そのものではなくその周辺に小さな小さな艾を自分のつばで
張りつけてはお線香で火をつけていきます。

 「(ひぃ~~~~~~いやあ~~~~~~だめえ~~~~~)」

 全部で五カ所。小さいとは言ってもお灸ですからそりゃあ熱い
わけですが、お姉様は今度は誰の拘束も受けず自分の意志だけで
耐え続けたのでした。

 「お仕置き、ありがとうございました」
 お姉様は再びアキさんの前で正座してご挨拶します。世間じゃ
子供がお仕置きした大人に向かって「ありがとうございました」
なんて、ありえませんでしょうね。でも、ここではこれが正しい
お仕置きの作法でした。

 『お仕置きは親や目上の人からの愛、それはじっくり噛みしめ
て受けなければならない。もちろん愛を受けたんだから感謝する』
 これは古くからの亀山の理屈だったのです。

****************************

〘 第 9 回 〙 お灸のお仕置き③

          亀山物語
                     合沢啓治(著)
〘 第9回 〙 お灸のお仕置き③
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<主な登場人物>


私(合沢啓治)/亀山愛育院の孤児。由美子の弟。

小島先生   /私の家庭教師であり、実質的には僕のママ。

大石胤子   /亀山村の村長さん。(三代目)女王様。

榊原 美里  /同級生の恋人。片想い。

森下景子先生 /由美子お姉様の家庭教師(ママ)であり、
       /かつ、学校では担任の先生でもある。

合沢由美子  /私をリンチにかけたお姉様の一人。私の姉。

小川静子   /泣き虫。リンチ四人組の一人。

桐山香織   /おっちょこちょいで早とちり。四人組の一人。
       途中でお灸をすえられそうになる。

安西遥香   /優等生だが、今回の事件に関与。四人組の一人。
途中でお漏らしをしてオムツ替えをさせられる。

美代子と彰子 /今回私のリンチには加わらなかったお姉様。

 お義父様  /亀山の子供たちは誰もがお義父様の子供として
(合沢徹)   /その家で家庭教師(ママ)と一緒に暮らしている。

 お義母様  /お義父様の奥さん。元々はお義父様のお付き合い
(合沢早苗)  /で亀山に来たのだが、今は子供たちにも優しい。

桐山高志 /幼稚園児(5歳)。由美子のお友達、香織の弟。 

 大原先生/高志君のママ。

 おばば様/亀山のお灸担当係。子供たちの実母を知る老婆。

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****<9>*********************

 「さあ、もういいわよ。でも最後にもう一つあるれど、それは
わかってるでしょう」

 「……は、い」
 お姉様の『はい』はちょっと重苦しい『はい』でした。

 でも、これでしばらくはほっとできます。アキさんが一足早く
隣のベッドへ移ったおばば様を追ってベッドを離れると、由美子
お姉様は崩れ落ちるようにその柵にもたれかかります。

 「大変だったね」
 それを拾ったのはお義父様でした。お義父様はベビーベッドの
上であぐらをかくと、お姉様を抱き上げようとしましたがお姉様
はその手を振り払うと慌てて乙女のポーズをとって……

 「あっ……はい、ごめんなさい。…今回はお仕置きありがとう
ございました」
 たどたどしく棒読みのご挨拶をします。いかにも気持が入って
いないのはみえみえですが…

 「はい、ありがとう。それより、お尻は大丈夫かな」

 「大丈夫です」

 「そう、それなら、ここへおいで」
 お義父様は再びご自分のあぐらの中へ由美子お姉様を招き入れ
ます。

 お義父様はお姉様とおでこを合わせ、髪をなで、背中をさすり
ます。両手と両足を柔らかく揉み、頬ずりをしてから……

 「ああ、この感触。私の天使は健在だ」

 恍惚としておっしゃいます。
 そこにはそこはかとなく男の性の匂いがありましたが、勿論、
お姉様はそれに抵抗なんかしません。お義父様のなされるままに
身を任せます。

 私たち子どもとお義父様との関係は、ママほどべったりとくっ
ついてはいないものなんです。
 『偉い人、色んな希望を叶えてくれる頼れる人、身近な神様』
 そういう存在として愛し愛されていました。

 大きな権威をバックにしたお付き合いで、ちょっぴり緊張感も
ありますが、嫌いとか、怖いといったことはありませんでした。
誰だって赤ちゃんの時からずっと抱いてもらっていますからね、
今さら不快ということにはならないのです。

 ですから、お義父様に体操服を脱がされ、学校の制服に着替え
させられた時も、お姉様はまるでお人形のようにおとなしくして
いました。

 「ようし、これでいい」
 お義父様は着替えが済むと再びあぐらをかいた膝の上でお姉様
を抱き上げます。
 
 「ばあ」

 お義父様は大きな体を抱き上げていますが、やっていることは
赤ん坊と同じ。愛おしくて愛おしくて仕方がない、そんな感じで
した。

 これに対して由美子お姉様の方は、どこか恥ずかしそうです。
でもいつもはこんなではありません。お義父様を見つければ必ず
抱きついて抱き上げてくれるまで離しません。まるで本物の親子
のように仲がいいんです。

 もちろん、原因はこの日の出来事でした。痛くて、苦しくい、
恥ずかしいことが沢山ありましたから、お姉様の中にお義父様へ
の営業活動をするだけの心の余裕が戻っていなかったのです。

 由美子お姉様はお義父様の胸の中というかお腹の中に収まって
眠たそうにしています。どうやら今はここが一番居心地がいい、
そんな感じでした。

 二人はしばらく黙ってただ抱き合っていましたが、そのうち、
お姉様の方からぽつりとこんな言葉が飛び出します。

 「私の本当のママって生きてるのかなあ」
 答は期待していない、そんな感じでお姉様は一段と深くお義父
様の胸の奥へ頭を埋めてしまいます。
 こんなことをお義父様の前で言ったのは初めてです。

 しばらくして、お義父様から答えが……

 「わからない。それは私にもわからない。ここでは赤ん坊の時
に預けた子は18歳になるまで会えない規則になっているからね。
……お前も知ってるだろう?」

 「うん」

 「どうした?会いたくなったのか?お仕置きされて…」

 「そんなんじゃないけど……」

 お姉様は否定しましたが、やっぱりお義父様の言うとおりだと
思います。お仕置きされたからことさらってわけじゃないけど、
何かあるたびに孤児たちは『やっぱり本当の母親じゃないから。
本当の母親だったら、こんなことしないだろうなあ』と思ってし
まうのです。

 孤児にとって実の母親というのは、一緒に暮らしてみない限り
永遠の憧れなんです。だから実母のことを想う時、それは綺麗で
優しくて何でも言うことを聞いてくれる理想的なママとしてしか
夢に出できません。当然、亀山で暮らす人たちとは比べるべくも
ない絶対的存在でした。

 この時のお姉様も、自分が理想化した母親の夢をみていたはず
です。

 そんなお姉様にお義父様がこんなことを言います。
 「今度、女の子を泣かずに確認したらみんなでゴルフに行こう
か。今は新緑の季節だから横浜のゴルフ場も気持がいいぞ」

 それは唐突な提案でした。ですからそばにいた大人たちが一様
に『おや?』という顔になりました。

 確かにゴルフは子供たちもみんな芸事の一つとして手ほどきを
受けています。ただ、普段は亀山に隣接する打ちっ放しの練習場
かショートコースでお遊びする程度。本格的なコースへ出ること
は滅多にありませんでした。

 だいいち、家族だけで山の外へ外出するとなると女王様の許可
が必要になります。なぜ、今、そんな手間のかかることまでして
ゴルフなのか、大人たちには理解できなかったのでした。

 『女の子を泣かずに確認したらご褒美にゴルフ場に連れて行っ
てくれるってこと?……私、お友だちとゲームでもやっていた方
がいいなあ』

 お姉様はこう思ったに違いありません。ゴルフなんてお父様の
お付き合いでやるものでしたから。でも、そんな事が言える立場
にないことも重々承知している年齢ですから……答は…

 「はい」

 お父義様の提案にお姉様は静かに承諾します。
 ただ、その時はこのお話を深く考えてはいませんでした。
 今はしばしの休息を楽しみたかったのです。
 ただ、お義父様だけがお姉様の答えにとても満足げな御様子だ
ったのです。

 時は流れ、他の三人にもお灸をすえたおばば様が戻ってきます。

 「さてと、それでは女の子たち、これから最後のお誓いをして
もらおうかな」

 おばばの声にそれまで落ち着いていた由美子お姉様の顔が再び
真っ青へと変化します。

 「由美子、まずはおまえからじゃ。他の子もやったことは同じ
じゃが、お前の場合は、同じ釜の飯を食っとる弟を手込めにした
んじゃからな、罪は、一番重いはずじゃ」

 おばば様がこう言って迫った時、お姉様はすでに、お義父様に
よってそのショーツが下ろされていました。
 続けて、スカートを捲られ、お義父様の股ぐらを枕に仰向けの
姿勢でお尻バンザイの姿勢になります。

 お義父様にバンザイした両足首を高々と持ち上げられて、女の
子の大事な処はすべて初夏の日差しの中で日光浴です。

 でも、これってどんな気持なんでしょうか。男の僕にはわかり
ませんが、大事なところをアルコールを湿した脱脂綿でぬぐわれ
るとその場にいられないほどぞくぞくっとするところは同じよう
でした。

 「ひぃ~~~~」

 その瞬間はお姉様だってやっぱり身体をよじります。
仕方がないことなんですが、おばば様はそれを許してはくれま
せんでした。

 「お前、名前は?」
 おばばが指先で艾を丸めながら尋ねます。

 「えっ!?(名前って何よ?)……合沢由美子です」
 おばば様が自分の名前を知らないはずがありませんから不思議
に思っていると……

 「合沢由美子。知らんな、そんな子は……ここにいる天使さん
たちの中にはそんな名前の子はおらんはずじゃ」

 おばば様は小さな小さな塊を四つこしらえると、さも、今気づ
いたと言わんばかりに…

 「そうじゃ、そう言えば先日、合沢の御前様からうちにできの
悪い子がいるが、何とか天使にできぬかと相談を受け取った事が
あったが、……お前のことじゃったか。……ところで、お前は、
男の子か?」

 「えっ!いえ、女の子です」

 「女の子?そうじゃなかろう。その子はおままごとと称して、
年下の男の子を裸にしてお浣腸までかけたというからな。御前様
(お義父様)に『この亀山にそんなぶっそうな女はおりませんよ』
って話したところじゃ」

 「…(何度、同じことを言えば気がすむのよ)………」
 由美子お姉様が何と答えていいかわからず押し黙っていると…

 「ほれ、お前、この辺りにおちんちんを隠し持ってるじゃろう。
確かめてみんとあかんな」

 おばば様は不敵な笑顔を浮かべてお姉様の大陰唇に艾を乗せて
いきます。

 「(あっ!)」

 その恐怖感にお姉様は思わず体をよじって逃げようとします
が、気がつけばすでに大人たちから腰やお腹を押さえ込まれてい
ますから、どの道その時点で、体は5センチはおろか1センチも
動きませんでした。

 それに、こんな処で逃げ出せば後でどんなお仕置きになるか、
それを思うと、本気になって体を動かす事など最初からもできま
せんでした。

 「さてと……」
 艾を女の子の微妙な場所に並べ終わったおばば様は、大股開き
のお姉様の目の前、それこそ黒い瞳から5センチと離れていない
距離まで火のついたお線香を近づけます。

 「よいか、本当のことを言うんじゃぞ」

 「………………」
 おばば様の詰問にお姉様は怯えながら頷きます。

 「……お前は、どこの子だ?」

 「か、亀山の子です」

 「そうかな?この辺に山に住む狸狢(たぬき・むじな)の子で
はないのか?」

 「ちっ違います」

 「お前、ずいぶん乱暴そうだが、男の子か?」

 「いえ、女の子です」

 「そうか、お前は亀山の子で女の子なんだな。………そうか、
それで安心したわい。だったら、このくらいのお仕置きは平気な
はずじゃな」
 おばば様はそう言って艾に火をつけます。

 お臍の下にある唇への折檻。そんな狭い処へお灸をすえるのは
お浣腸の時以上に大変な作業でした。ですから、お姉様の身体は
お浣腸の時以上に窮屈に九の字にまげられ、何人もの人によって
押さえつけられています。
 もう、一ミリも身体は動きません。
 ですから、熱いなどと言う前に、その姿勢を維持するだけでも
相当に苦しかったのです。

 「(あっ熱い!)」
 火が回った瞬間は、身体全体が黒こげになったんじゃないかと
思うほどのショックだったそうです。

 しかも、一度火が収っても……
 「何じゃ、狸、狢はまだ正体を現わすさんのう。ではもう一度
じゃ」
 おばば様はこんな意地悪を言って再び艾を大きな唇に二つずつ
唾で張りつけていきます。

 「(いやあ~~~)」
 次は最初のより熱かったみたいでした。

 「おう、狸狢が熱がっとる。ならばもう少しじゃな」
 こう言ってさらに3回目を用意しようとしますから、さすがに
お姉様も本気になって逃げようとしたらしいのですが……本気で
逃げようとすると周囲の大人たちも本気で押さえ込みます。

 結局…
 「(あああああああああ)」
 
 「ようし、ようし、今、狐と狸が山へ逃げ帰って行ったわ」
 おばば様のこの言葉でやっと許されたお姉様でしたが、精神的
には黒こげになったみたいでした。

 お姉様は、このあと大人たちの呪縛を解かれてしばらくはその
場に横たわっていましたが、しばらくしてから、また、おばば様
が尋ねます。

 「どうじゃ、ちっとは思い出したか?……ん?お前が女の子で、
この亀山の子だという事を……」

 「は、は、はい、おばばさま」
 震える唇はお姉様の偽りのない本心だったと思います。

 「どうじゃ、これで、確かに自分が女の子じゃと感じることが
できたじゃろう」
 「は、はい」
 「忘れちゃいけんよ。お前はお仕置きの厳しい亀山の子。合沢
御前がお前のお義父様だ。良い悪いはない。それが現実じゃ」
 「はい」
 「お義父様の名前は?」
 「合沢徹」
 「そうじゃ、お義母様は?」
 「合沢早苗」
 「家庭教師の先生は?」
 「森下景子先生」
 「お前はそんな人たちに愛されるのは嫌か?」
 「いいえ、嫌じゃありません」
 「嫌じゃなかったらなぜ悪さをする?」
 「…………」
 「悪さをするたびにお仕置きされるのは辛いじゃろう?…ん?
それとも何か、どんなにお仕置きされても平気なのか?」
 「……は、はい……あ、いえ、違います」
 「おや?わしの話を聞いとらんな。本当はここに居たくないん
じゃろう?出るか裏門から……亀山から出してやってもいいぞ。
素っ裸で……」
 「……いいえ」お姉様は激しく首を横に振ります。
 「本当か?本当にここでいいのか?」
 「本当です」
 おばば様は疑い深そうに由美子お姉様を覗き込みました。
でも、この時はすでにその目は笑っています。そして……
 「いいんだぞ、出たければ出ても。公立の孤児院なんてこの世
にいくらでもあるんじゃから……なんだ?その面は?生意気に、
悲しいのか?」
 「…………」
 「だったら、よ~く覚えておくことじゃ。お前は、世界で一番
お仕置きの厳しい亀山の子なんじゃ。だから愛されなきゃ損じゃ」
 「はい」
 「……ほれ、おまえは男の子じゃったな?」
 「いいえ、女の子です」
 「そうじゃ、だから、ここにお灸をすえると熱いじゃろう」
 おばば様はお姉様のお股を叩きます。

 「いやあ、やめてえ~~」
 「なんじゃ、今頃になって気づいたのか。おぬしはな、おなご
じゃから、ここが熱いんじゃ。よう覚えとけ!」
 「は、はい、ごめんなさい」
 「いいか、お前のお義父様はな、他の誰よりもお前を愛してお
られる。ところが、お前がまだそれに気づかぬ。可哀想な事じゃ。
いいか、考えてもみい。どこの馬の骨ともしれんお前にこれだけ
大金をだして育ててくれるお人がどこにおる?世の中のどこにも
おりゃあせんのだぞ」

 おばば様は再びお姉様を仰向けに寝かせると、さっきと同じ様
に大股開きにしてから先ほどと同じ場所にお灸をすえます。
 しかも、今度は誰も自分を押さえつけてくれません。

 「今度は自分の力だけで我慢するんじゃ」
 「…………」
 当然、お姉様の顔は不安でいっぱいですが……
 「大丈夫、そこはそんなに熱うはない。熱いと思うから、特別
な場所だから、そう思うから熱いんじゃ。歯を食いしばって我慢
すればわかることじゃて……」

 そして……
 「…………………………」

 お姉様はこの時初めて、悲鳴を上げず、おばば様のお灸を乗り
切ったのでした。

 「ようし、じゃあ、もう一度言ってみろ。お前はどこの子だ?」
 「亀山の子です」
 「誰の…」
 「合沢お義父様の子です」
 「男か女か」
 「女の子」
 「ここが好きか、ずっと居たいか?」
 「ずっとここに居たいです」
 「ようし、…いいか、忘れかけたら、お股を自分で触って思い
出すんじゃ『ああ、自分は女の子なんだ、亀山の子なんだ、合沢
お義父様の子なんだ』ってな」

 最後はおばば様がお姉様をダッコしていつもの言葉を言います。

 「よいか、由美子ちゃん、ようく聞くんじゃ。……おなごはな、
今ある幸せを幸せと感じられる者だけが幸せになれるんじゃ」
 これがおばば様の口癖だったのです。

 おばば様は僕たち孤児にとっては厳しい人です。怖い人です。
でも、それは籠の鳥である私たちの幸せがここにしかないことを
忘れさせないためでした。

 ま、いくら亀山でもこんなお仕置き経験そうたびたびあるもの
ではありませんが、だからと言って、一度もなくここを卒業する
ことも不可能だったのです。

 女の子たちに話を聞くとお股の中にすえるお灸は実はそれ自体
それほど熱いものではないみたいなんですが、大人たちからがん
じがらめにされて窮屈な姿勢を取り続けなければならないのと、
やはり、女の子の一番大事な処にお灸をすえられたという精神的
なショックが『このお仕置きは二度と受けたくない』と思わせる
みたいでした。

 えっ、お前は男の子だからこんな経験はないだろうって?
(^_^;)

 とんでもない、ありますよ。私のおちんちんの竿の裏と袋の裏、
根元付近には今でもその時の痕がはっきりと残っています。
 私だって亀山の子なんですから経験なしにここは出られません
もの。(^^ゞ

 これがお姉様が被ったお仕置き(公開処刑)の顛末なんですが
これにはちょっとした後日談があるのでそこまで語ってみたいと
思います。

****************************

〘 第10 回 〙 一週間のオムツ

          亀山物語
                     合沢啓治(著)
〘 第10回 〙 一週間のオムツ
***************************

<主な登場人物>


私(合沢啓治)/亀山愛育院の孤児。由美子の弟。

小島先生   /私の家庭教師であり、実質的には僕のママ。

大石胤子   /亀山村の村長さん。(三代目)女王様。

榊原 美里  /同級生の恋人。片想い。

森下景子先生 /由美子お姉様の家庭教師(ママ)であり、
       /かつ、学校では担任の先生でもある。

合沢由美子  /私をリンチにかけたお姉様の一人。私の姉。

小川静子   /泣き虫。リンチ四人組の一人。

桐山香織   /おっちょこちょいで早とちり。四人組の一人。
       途中でお灸をすえられそうになる。

安西遥香   /優等生だが、今回の事件に関与。四人組の一人。
途中でお漏らしをしてオムツ替えをさせられる。

美代子と彰子 /今回私のリンチには加わらなかったお姉様。

 お義父様  /亀山の子供たちは誰もがお義父様の子供として
(合沢徹)   /その家で家庭教師(ママ)と一緒に暮らしている。

 お義母様  /お義父様の奥さん。元々はお義父様のお付き合い
(合沢早苗)  /で亀山に来たのだが、今は子供たちにも優しい。

桐山高志 /幼稚園児(5歳)。由美子のお友達、香織の弟。 

 大原先生/高志君のママ。

 おばば様/亀山のお灸担当係。子供たちの実母を知る老婆。

****************************
****<10>********************

 由美子お姉様はこのあと一週間ほどお義父様の邸宅で寝泊まり
する事になりました。
 お姉様に対する公のお仕置きは済みましたが、お義父様として
は何か物足りなく感じておられたのでしょう。とりわけ姉と弟が
仲良くしているところを見てみたい、そんな欲求から、お姉様に
ここへ泊まり込むようお命じになったようでした。

 当然、私も一緒。とんだとばっちりでした。

 ちなみに私たち里子はいわば居候(?)の身ですから、普段は
お義父様の邸宅ではなく、同じ敷地内にあるママ(家庭教師)と
一緒の建物で暮らしています。

 私のママは小島と言い、お姉様のママは森下という姓でした。
つまり二人は同じ敷地内であっても別々の建物で暮らしています。
腹違いならぬ、先生違いの姉弟なんです。ただ、合沢のお義父様
にしてみれば、そこに区別はありません。

 今回の事件も、お姉様が単によその子を虐めたというだけなく、
手下を使って弟をリンチにかけたのがお気に障ったみたいでした。

 「えっ!一週間もお義父様の処で寝るの!」
 私はママに対して不満を口にしましたが、もちろん請け合って
もらえるはずもありませんでした。

 お義父様の処へ行ってお泊まりするのは何もこれが初めてでは
ありません。家の子には月に一回や二回お泊まり当番みたいなの
があってその晩はお義父様の布団に一緒に寝ます。だからそれは
いいのですが一週間は長すぎると思ったのでした。

 というのも、私は大の甘えん坊でマザコン。寝る時も常にママ
と一緒に寝たかったのです。
 ただ、お義父様の処へ行ってのお泊まりは何も悪いことばかり
ではありませんでした。

 お義父様の処へお泊まりした子は朝夕の食事もお義父様たちと
同じテーブルに着く事ができます。そこには普段私たちが座る席
には並ばない豪華な料理が並んでいましたから、子どもたちには
楽しみの一つでした。

 私はお義父様のお膝の上から好きなものを指さして取ってもら
います。それはちょっとした優越感で、特にデザートはお義父様
におねだりして何でもかんでもちょっとずつ運んでもらっては、
結局全部食べていました。

 飽食の時代となった今日では食事で子どもを釣るなんてピンと
こない話かもしれませんが、当時は日本もまだまだ貧しい時代。
子供にとって美味しい食べ物は魅力的だったのです。

 それともう一つ大きいのがテレビです。テレビはすでにママと
一緒に住んでる長屋(コテージ)にもありましたが、これは有線で、
マンガさえも事前に検閲されて届きます。つまりビデオ。

 亀山には、当時まだ高価だったビデオ装置が司祭様の執務室に
設置してあって、刺激的な場面や子供にとって好ましくない内容
は司祭様がみんなカットしてしまうのです。

 「今週はなぜ鉄人28号が映らないの?」
 「司祭様が見てはいけないって判断なさったからよ」
 「来週は?」
 「さあ、はっきりとは言えないけどたぶん大丈夫でしょ」
 こんなママとの会話がしょっちゅうでした。そのたびに悔しい
思いをします。

 それがお義父様の居間では生の放送を見ることができるんです。
これは子供たちにとっては友だちに自慢できるまたとない情報で
した。とりわけ番組がカットされた週にそこに居合わせたりした
ら、翌日はヒーロー間違いなしだったのです。

 ことほどさように亀山の情報管理は徹底しています。もちろん
性に関する本や雑誌などは子供の目の届くところには一冊も置い
てありませんでした。

 こうして情報管理を徹底しているからこそ、天使の心を持った
子供たちが親や教師に絶対服従で暮らすことができるのでした。

 そんな絶対服従はもちろんお姉様だって同じことです。その日
お義父様のお屋敷に行ってまず私の目に飛び込んだのは、そんな
絶対服従の場面でした。

 居間に通された私はいきなり由美子お姉様がオムツ一つの姿で
お義父様にごめんなさいをしているところを目撃します。

 お姉様は厚い絨毯の上に正座すると、頭を床にこすりつけてい
ます。

 「私が悪うございました。どうぞお許しください」

 立会人は森下先生。つまり彼女のママです。ママは自分が預か
った子がお義父様たちに嫌われないよう細心の注意を払います。
お姉様に対する公のお仕置きはすでに済んでいましたが、それで
お義父様やお義母様の溜飲が下がったかどうかは分かりません。
ですから、あらためて由美子お姉様にお義父様の前でオムツ一つ
で謝るよう言いつけたのでした。

 「よい、もうよいよ。今日は寒い。風邪をひくから早く何か着
なさい。ただな、お前は今回の首謀者だ。公のお仕置きは四人が
みんな同じになったが、お前には、もう少し何かしてもらわんと
釣り合いがとれんじゃろう」

 「はい、承知しています」

 「そこでだ。お前には今日から一週間、オムツを穿いてもらう。
うんちもおしっこもそこにしてもらう」

 「……」
 この時、お姉様は一言も発しませんでしたが、思わず冷や汗が
こめかみを流れるのと一緒に唾を飲み込むのが分かりました。

 当たり前です。いい歳をして今さらオムツに粗相なんてできる
はずがありませんから。
 そんなお姉様の気持ちをもてあそぶように笑顔のお義父様は、
次にはこうおっしゃるのでした。

 「……もし、オムツにするのが嫌なら私たちの前でしなさい。
ここでやってもいいよ。赤ちゃん時代に戻ってオマルに跨って、
オシッコやうんちをするんだ。それはどちらでもいいよ。ただし、
無理に我慢するようなら躾浣腸をして家じゅうの人に見てもらう
からね、そのつもりでいなさい。いいね」

 「………………」
 お姉様はしばらく口を開きませんでしたが、ママが…
 「ご返事は?」
 と言って促すと、ようやく重い口を開いて、
 「はい、お義父様。承知しました」
 とぼそぼそっと口ごもるように答えます。

 「それとだ、この一週間の間は毎日二時間、啓治の勉強をみて
やってほしい。いいね」
 「はい」
 それは突然のことで私もびっくりです。

 こうして、私とお姉様の一週間がスタートしたのでした。

 私の場合はお義父様の処から学校へ通うというだけで、生活に
特別大きな変化はありませんが、お姉様はオムツ生活ですからね、
やっぱり大変だったようでした。

 朝、女中さんから新しいおむつを穿かせてもらうと、私の手を
引いてお義父様お義母様へのご挨拶。これいつもはママの仕事で、
私の場合、朝はママの胸の中で目を覚ますと、まずは顔を洗い、
パジャマを私服に着替えてママと一緒にお義父様の母屋へご挨拶
に行きます。

 居間にはここで暮らす12人ほどの孤児たちが上は15歳から
下はゼロ歳まで一斉に集まってきますからとても賑やかです。

 「おはようございますお義父様。今日もよい子でいます。元気
な子でいます。お義父様の天使として頑張ります」

 小学生ならこんなご挨拶を例の乙女の祈りポーズで行うと、ご
褒美にお義父様が頭を撫でてくれたり、お膝に抱っこしてくれた
りして、『おめざまし』と呼ばれるお菓子を握らしてくれます。

 これはチョコレートやビスケットがほんの一欠片(ひとかけら)
入っているだけの包みなんですが、これにもちゃんとお礼を言わ
なければなりませんでした。

 「ありがとうございました」

 お義父様へのご挨拶が済むと、おめざましを食卓へ持って行き、
席に着いてから食べます。もちろん一欠片ですからあっという間
になくなりますが、それでも朝から甘い物を口にできますから、
子供としてはルンルン気分です。

 食堂は奥の一段高いところがお義父様やお義母様が食事をされ
る細長いテーブル席で、そこには昨日お泊まりした子どもたちも
一緒に座っています。
 他の子供たちは各先生方、つまりママと一緒に丸いテーブルを
囲むのがしきたりになっていました。

 ですから、この日は母親代わりのお姉様に手を引かれて居間で
お義父様にご挨拶を済ませるともらったおめざましをお義父様の
席で食べていました。

 「だめよ、啓ちゃん、そこはお義父様のお席でしょう」

 お姉様にそう言われて、右手を強く引っ張られましたが、私は
居座ります。実際、お義父様は自分の席に子どもがいたとしても
それを叱るような人ではありません。この日の朝も、こどもたち
からの朝の挨拶を受けたお義父様が食堂へやってくると、私をみ
つけて……

 「おう、啓ちゃん、おめざましは美味しかったか?」

 そう言って、ゴボウか大根でも引き抜くように私を持ち上げる
と、膝の上に抱いてくれたのでした。

 昨日の夜お泊まりしたのは私より年下の子が一人だけ。その子
はお義母様の膝に乗りますから、お義父様のお膝はまだ空いてる
わけで、子供としては利用しない手はありませんでした。

 ただ、こんな風にお義父様やお義母様のお膝をありがたがるの
はごく幼い子か小学生くらいまでの男の子で、女の子は小学校も
高学年くらいになると一人で食事したくなるみたいでした。

 私は女の子ではありませんから、お義父様の膝の上からあれが
欲しいこれが欲しいと言っては手当たり次第に料理を食い散らか
します。おかげで食事が終わる頃には口の周りが料理の油でべっ
とりと汚れていました。

 それをお義父様にナプキンで綺麗にぬぐってもらってから自分
の顔をお義父様の胸でぐりぐりこすりつけます。
 まるで幼児がやるようなことですが、ここではそういった事は
いっこうに構わないことでした。

 規則を守ってさえいれば、甘える分には誰にどれだけ甘えても
よかったのです。自慢にはならないでしょうが私はこの時期まで
家に『マイほ乳瓶』なるものを隠し持っていて気が向けばママに
授乳してもらっていたのです。
 (つまりママも応じてくれていました)

 もちろん授乳自体は親子のお遊びですが、それが許されるほど
亀山の子供たちは大人に甘えていました。

 なのにお姉様ときたらお義父様に媚びを売ることもなく背筋を
伸ばして取り澄ました顔で食事をしているじゃありませんか。
 私の目にはむしろその事の方がよほど不可思議な光景と映った
のでした。

 で、食事が終われば、お姉様は再び私の手を引いて部屋へ戻り
ます。お義父様の処へお泊りする時は南西側に突き出した一部屋
が二人の勉強部屋でした。ここにすでにランドセルを始めとして
主だった学用品がすべて運び込まれています。

 でも、普段、お姉様とは離れて暮らしていますから僕には勝手
の違う事ばかりです。
 まごまごしているとお姉様がランドセルに時間割通りの教科書
やノートなんかを詰めてくれました。これも普段はママがやって
くれていたことなのです。

 当然、私服から制服に着替えるのも彼女の仕事です。
 「ほら、バンザイして…」
 「ほら、ズボンに足を入れて…」
 「ハンカチはこれを持って行きなさい」
 もう何から何までお母さんと同じ仕事を彼女は引き受けていた
のでした。

 その仕事が終わって僕の準備ができてからお姉様は自分の事を
始めます。亀山の男の子は大人たちに甘えるだけで何もできませ
んが、女の子たちは後輩の面倒をみることができるように厳しく
仕付けられていました。

 こうして二人の通学準備が整ったところへお義母様がやってき
ます。
 お義母様は私の通学準備が完璧なのを見て大変満足そうでした。

 「これはあなたがしてあげたの?」

 「はい」

 「良い心がけね。女の子はこうでないといけないわ。それじゃ、
これをお持ちなさいな」
 お義母様は二通のお手紙をお姉様に渡します。そこにはオムツ
少女が困らないよう、色々な配慮を求める文面がしたためられて
いました。

 「一通は担任の先生。もう一通は保健の先生にお渡しなさい。
そして学校に行ったらまず保健室へ行ってオムツを脱がしてもら
いなさい。それは放課後下校する時に、また穿いて帰ってくれば
いいからいいから……」

 「でも…」

 「大丈夫、心配いらないわ。だいいちこの暖かいのにそんな物
で体育なんかやったらお尻じゅうあせもだらけよ。そのあたりは
お二人に手紙を書いたからうまく取りはからってくれるはずよ」

 「はい、ありがとうございます」

 「お礼にはおよばないわ。あなたへの罰はすでに終わってるん
ですもの。今さらオムツを穿くことはないわ」

 「はい、お義母様。感謝します」

 「ただ、おばば様からすえられたお灸の痕は、三四日治療しな
きゃならないので、夜は私たちの前でお尻バンザイをしなければ
ならなくなるわね。それと、お義父様の見える位置で、オマルに
跨っておしっこをしなければならないわ」

 「あっ、はい」
 由美子お姉様にとってお義母様の提案が好ましくないのは確か
です。ですからその顔はちょっぴり曇りますが、すべてはお義父
様とお義母様の間で起こることですから、まずはよしとしなけれ
ばならないと思ったのでしょう。すぐに笑顔を取り戻して、それ
ほど暗い影はありませんでした。

 「だって、『丸一日、娘がおしっこをしませんでした』なんて変
でしょう。分かるわね」
 「はい、お義母様」

 お姉様は笑顔で答えます。13にもなった娘が親の前でオマル
を使うなんて巷の常識では考えられないでしょうけど、普段から
学校でも家庭でもうんちの時は必ず大人に見てもらう習慣になっ
ている亀山ではそれはそんなに変なことではありませんでした。

 このうんちの量が記録されてその後その子にお浣腸のお仕置き
があった時どのくらい浣腸液を入れるかの参考になります。

 ちなみに、お尻を拭く時も自分でトイレットペーパーは使いま
せん。先生やママから「さあ、モ~さんになりますよ」と言われ
ると、四つんばいになってお尻を高く上げ、その姿勢のまま待っ
ていると拭いてくれます。これは「今でもあなたは赤ちゃんなん
ですよ」という戒めで、自分がまだ子供であることを確認させる
ためでした。

 「あなたも何かと大変だけど、もうちょっと頑張ってみなさい。
来週の日曜日はきっと良いことがあるから…」

 「えっ、来週の日曜日ですか」
 お姉様が念を押しましたから、お義母様は慌てて…
 「ばかねえ、その時はお仕置きも終わってるし、何より気持ち
が晴れるでしょう。それだけよ」
 こう言ってごまかしたのです。その時はその日曜日に何がある
のか、私はもちろん、お姉様も全く理解していませんでした。

 お義母様は部屋を出ていこうとしましたが、思い出したように
振り返って…
 「あっ、それから……この一週間は謹慎期間ですからね、もし
粗相があれば、どんな小さなものでもみんなお仕置きの対象よ。
それと昼食が終わったら保健室でメンタムをお股に塗ってもらっ
て百行清書。終わらなければ放課後やればいいわ」

 「はい、お義母様」

 「まあ、あなたはそんな事ないでしょうけど、中にはお仕置き
が終わったうれしさに後の事をすっかり忘れてしまってお仕置き
のやり直しを受けた子もいるの。気をつけてね」

 「はい、お義母様」

 お姉様は殊勝な顔でご返事しましたが、中にはくどい物言いに
じれて…
 『そんなの分かってるから言わなくていいわよ』
 なんてうそぶく子もいます。でも、それは決して本人のために
はなりませんでした。

 いえ、そんなに露骨な返事をしなくても、不愉快な思いが顔に
出てしまっただけでも、そんな子には、あとで別のことを理由に
してキツいお仕置きが待っています。

 女の子の世界では長々とくどくどしいお説教を申し訳なさそう
に聞くのもお仕置きの一つでした。


***************************

〘 第11回 〙 ピロリーの二人

          亀山物語
                     合沢啓治(著)
〘 第11回 〙 お仕置きのあとは……
***************************

<主な登場人物>


私(合沢啓治)/亀山愛育院の孤児。由美子の弟。

小島先生   /私の家庭教師であり、実質的には僕のママ。

大石胤子   /亀山村の村長さん。(三代目)女王様。

榊原 美里  /同級生の恋人。片想い。

森下景子先生 /由美子お姉様の家庭教師(ママ)であり、
       /かつ、学校では担任の先生でもある。

合沢由美子  /私をリンチにかけたお姉様の一人。私の姉。

小川静子   /泣き虫。リンチ四人組の一人。

桐山香織   /おっちょこちょいで早とちり。四人組の一人。
       途中でお灸をすえられそうになる。

安西遥香   /優等生だが、今回の事件に関与。四人組の一人。
途中でお漏らしをしてオムツ替えをさせられる。

美代子と彰子 /今回私のリンチには加わらなかったお姉様。

 お義父様  /亀山の子供たちは誰もがお義父様の子供として
(合沢徹)   /その家で家庭教師(ママ)と一緒に暮らしている。

 お義母様  /お義父様の奥さん。元々はお義父様のお付き合い
(合沢早苗)  /で亀山に来たのだが、今は子供たちにも優しい。

桐山高志 /幼稚園児(5歳)。由美子のお友達、香織の弟。 

 大原先生/高志君のママ。

 おばば様/亀山のお灸担当係。子供たちの実母を知る老婆。

****************************
****<11>********************

 お姉様は学校へ出かける間際、女中さんからメンタム(メント
ールの入った傷薬)をお股に塗ってもらいます。これは私も何度
かお世話になりましたが、塗られた直後は何でもありませんが、
すぐに全身をかきむしりたくなるようなもの凄い衝撃が走ります。
ま、二三分もすれば落ち着きますが、30分くらいはメントール
特有のすうすうする感じが残って、『今はまだ謹慎中なんだ』と
思い知らされることになるのでした。

 お姉様は謹慎中の一週間こんな薬を一日六回も女の子の大事な
処に塗らなければなりませんでした。もちろんこれを自分で塗る
ことなんて許されていませんから、誰かしら大人の人の前でお尻
バンザイをしなければならないことになります。

 お姉様だってその時は『今はまだ謹慎中なんだ』という思いが
強くしているはずです。
 そんな思いを胸にお姉様は私の手を引いて登校するのでした。

 一方私はというと当時11歳。手を引いてもらわなくても十分
登校できる歳になっていましたがそんな事とは関係なくお姉様は
姉として、弟である私の面倒を見なければならなかったのです。
ですから、もし登校途中に私に何かあるとお姉様の責任になりま
す。

 それを知った私はお姉様を困らしてやろうと、わざとお姉様の
手を振りきり、塀をよじ登ったり高い崖のふちへ行っておどけた
りしてみましたが、さすがにそんな時はお姉様も怒ってしまって、
捕まると平手のスパンキングが待っていました。

 お姉様は私の半ズボンを脱がすと、あたり構わずお尻をピシャ
ピシャ叩き始めます。時にはクラスメートのいる前でもやるもの
ですから、さすがに私の方が観念してしまいました。

 学校では二人とも学年が違いますから別の教室で勉強していて
互いの様子は分かりません。ですが、真面目に授業を受けていた
と思います。とにかく厳しい学校で、授業中の私語はもちろん、
わき見やあくびですら見つかると助教師がそばにやって来て、手
の甲を軽く叩きます。こうなったら求めに応じて叩かれた右手を
そこへ差し出すしかありませんでした。

 すると、助教師は持っていた蝋燭を傾けてその手の甲に蝋涙を
垂らします。

 「…………」

 本来なら『熱いじゃないか!』と言ってやりたいところですが、
亀山の学校でそんなことを言ったら、今度は起立を求められ、教室
から連れ出されて教務の先生の処へ連れて行かれます。そこで待ち
受ける厳しいお仕置きのことを考えると、ここはやせ我慢して黙っ
ているほかありませんでした。

 特にお姉様の場合は謹慎中の身の上ですからね、普段だったら
お手々が白くお化粧するだけで済んだものが、いきなりお仕置き
部屋へ直行なんてこともありえます。あげく教務の先生から痛い
お土産をもらって教室へ戻ってくると、クラスメートが失笑する
中を通って自分の席へ戻らなければなりませんでした。

 月曜、火曜とそんなことがなかったみたいなので、お姉さまも
きっと緊張していたのでしょう。

 ところが人間慣れてきた頃が怖いというのは本当で、このまま
何事も起こらないみたいだな思っていた矢先、僕はお姉様を校庭
の裏庭で見かけてしまいます。

 彼女、しょうこにもなくピロリーに捕まっていました。しかも、
お義母様がせっかく免除してくださったオムツまで着けて。

 この時お姉様は一応制服を着ていましたが、スカートはすでに
捲り上げられていました。そこに飴色のオムツカバーに包まれた
お尻を発見したというわけです。

 「何々『この生徒、休み時間にお友だちととっくみあいの喧嘩
を始めたため、ここに晒し置くものなり』か」

 私は今日の登校時、お姉様からズボンもパンツも脱がされて、
お尻叩きされていたので、意趣返しとばかりわざと大人のような
抑揚をつけて、大きな声を張り上げて立て看板に書かれた罪状を
読み上げます。

 当然、お姉様は渋い顔でした。

 「しっ、しっ……帰れ。帰りなさいよ」

 私を追い払おうとしますが、あちらはあまり大きな声を出せま
せんから、それももどかしい様子でした。

 私はわざと大仰な身振りで辺りをうかがいます。というのも、
こうした場合は事故がないようお目付役の先生がそばにいるのが
普通だったのです。

 幸いその時は5メートルほど離れた処にお姉様の喧嘩相手の子
が晒されているのですが、先生はそちらに手を取られていました
から小さい声ならまだ出せましたが、私がなかなか離れてくれま
せんので、つい声が大きくなって…

 「だから、帰れって言ってるでしょう!」
 とうとうその声が先生に届いてしまったようでした。

 「由美子さん、なんて大声だしてるの。………あら、啓治君が
来てたのね」
 森脇先生が駆けつけます。

 「啓ちゃん、お姉様、もう少しここでご用があるから向こうへ
行っていなさい。ね」
 先生にこう言われたら引き下がるより仕方がありません。本当
は罪状の書かれた看板に引っ掛けてあるトォーズでお姉様のお尻
をビシャとやりたかったのですが、それは新たな姉弟(きょうだ
い)喧嘩のもとになると思って先生が私を遠ざけたようでした。

 えっ、そんなことができるのか?(^_^;)

 ええ、これができるんです。ピロリーに捕まった罪人のお尻は
先生の許可があれば生徒でもトォーズでピシャッとやれたんです。
僕もごく幼い頃はよくやっていました。

 でも小学校も高学年になると力もついてきますし色気もでてき
ますからね、先生たちが敬遠することが多くて……先ほど話した
公開処刑はむしろ例外で、10歳を越えた女の子が裸になってお
仕置きを受ける場合、男の子は閉め出される事がほとんどでした。

 この時も僕は鶏を追うように庭の外へと誘導されます。

 庭の入口にある木戸を出ると錠を下ろされてしまいましたから
これで万事休すって感じに見えますが、実は数々の探検の成果と
してこの裏庭を覗き見できる場所をすでに確保していましたから
早速そちらへ直行します。

 場所は時計台の最上部にある屋根裏部屋。時計台を登る階段は
子供が乗っても今にも抜け落ちそうだし、辺り一面埃だらけで、
蜘蛛の巣をいくつもかき分けなければならない困難な行程ですが、
すでに色気づいていた僕は興味津々、その程度の困難は大した事
ではありませんでした。

 「よし、ばっちり」

 壊れた板壁の隙間から二本のピロリーが見えた時は狂喜乱舞。
ただし、たどり着いた時は制服が真っ黒になっていました。

 かなり遠い距離からでしたから、何もかも鮮明に見えるわけで
はありませんが、意外にも下界からの声は聞こえてきますから、
それで十分楽しめます。

 腹這いになった私の股間はすでに半ズボン越しに床板を『窮屈』
『窮屈』と言いながら押し続けています。こんな事ほんの半年前
まではないことでした。

 えっ、この間の公開処刑の時だって同じじゃないか?(^_^;)
 確かにそうなんです。あの方が過激でしたし色々なものを見る
ことができたんですけど、あれはお義父様たちのお祭りのような
ものでお義父様たち大人は楽しめたでしょうけど、僕たち子供は
あの中で大人と一緒になっては楽しむことなんてできません。

 それに比べて今回は、独りでのぞき見というハレンチな方法で
すから、それだけでもググッと感じるものがあります。

 本当はこの時間、私にはピアノのレッスンがありますからさぼ
ればお仕置きなのですが、それにも増してこのショーは見たいと
思ったのでした。

 最初に目に飛び込んできたのは由美子お姉様のママ。そう森下
先生です。

 『えっ、先生、いつの間に来たんだろう?』
 僕の目はまずお姉様のピロリーに釘付けになります。

 「まったく、いつまでたっても世話をかける子ね。あなたは、
今、謹慎中の身なのよ」

 「わかってる」お姉様はちょっとふてくされたような小さな声。

 「よく言うわ。わかってないからこんな騒ぎを起こすんでしょ
うが……私は今、とっても忙しいの。これ以上、私の仕事を増や
さないで欲しいもんだわ」

 ママはそう言いながらもお姉様が挟まれている大きな厚い板を
一旦外します。

 「ごめんなさい」
 お姉様はほっと一息、ひょっとしたらこれで許されたと思った
のかもしれません。しかし、それは早合点でした。

 「ごめんですむなら警察はいらないわ」
 ママはこう言いながらお姉様のオムツを取り外し始めます。

 「…………」
 お姉様はこれで、自分がまだ許されていない事を知ったようで
した。

 それにしても、お姉様としては唯一身につけているものを剥ぎ
取られているわけですから本来なら『やめて!』とか何とか叫び
そうなものですが、お姉様はまるでそうなることが約束されてい
たかのように静かにしていました。

 「さあ、この台の上に乗りなさい」
 ママの指示で低い跳び箱ほどの高さの台に乗るとお姉様は再び
大きな厚い板に首と両手首を挟まれるのでした。そして、今度は
その台に乗った分、相対的に頭が下がりお尻が上がることになり
ます。

 その窮屈そうポーズのまま…
 「足を開いて………もっと………もっとよ………まったく、…
…何ちまちまやってるの。私は両方の足を開きなさいって言って
いるのよ。聞こえた?」

 「はい、ママ」

 「ママじゃなくて先生。学校では私はあなたのママじゃなくて
先生でしょう。幼い子に言って聞かせるようなことを今さら言わ
せないの」

 「ごめんなさい。森下先生」

 ママが手伝ってお姉様の足がようやく60度くらい開きました。
 こちらは遠く高い位置から見ていますから、細かなところまで
見えませんが、向こうに回り込めば女の子自身が丸見えになって
いるはずでした。

 「本当は我慢を教えなきゃいけないから、お浣腸の方がいいん
でしょうけど、今週はすでに公開処刑でやってるし、森脇先生が
彰子ちゃんの処で使ってらっしゃるから、こちらは鞭にします。
12回しっかり心に刻むんですよ」

 「え~~~12回も~~~」
 お姉様が不満そうに言うと…

 「あっ、そう。12回で不足なら倍の24回にします」
 「そんなあ~~~」
 お姉様は悲劇のヒロインみたいに見えますが、その声はどこか
甘えて聞こえました。お姉様にとってここにいる女性は、やはり
『森下先生』なんて呼ぶ人ではなくママそのもの。そばにいると
赤ちゃんの時代から慣れ親しんだ匂いがします。その胸を見ると
今でも抱きつきたくなります。
 そのためでしょうか…

 「ピシ~ッ!」
 「ひぃ~」

 公開処刑の時よりお尻に当たる鞭の音が高く大きく響きます。
お尻に巻き付くトォーズの痛みはお尻だけじゃなくて身体全体に
圧迫感を与えます。だから「ひぃ~」という悲鳴もことさらでは
なく自然に口をついて出てしまうのでした。

 「ピシ~ッ!」
 「ひぃ~」

 「ピシ~ッ!」
 「ひぃ~」
 「まったくうるさいわね、このくらい黙って受けられないの!」
 ママは腰に手をやってお姉様を睨みます。

 「ごめんなさい」
 「あんまりだらしのない態度だと本当に24回にするからね」

 「ピシ~ッ!」
 「……ぃ~」

 お姉様が頑張れたのは次の一回だけ。また…
 「ピシ~ッ!」
 「ひぃ~」

 「ピシ~ッ!」
 「ひぃ~いやあ~~~」
 「何がいや~よ。こっちがよっぽどいや~だわ」

 「ピシ~ッ!」
 「ひぃ~」
 鞭の音は高くママはカンカンですが、これはお姉様にとっては
それほど不幸なことではありませんでした。鞭の音が高いので、
よほど堪えるようにぶってるはずだと端からは見えますが、事実
は逆で相手が堪えるようにぶつ時の方が音はむしろ低くなります。

 そんな時は猿轡までして不慮の事故にそなえますが、この場合
は必要がなかったみたいでした。

 つまりこれは森下ママが娘に意地悪している訳ではありません。
むしろわざと高い音を響かせて、『娘をこんなにも厳しく仕付け
ています』というパフォーマンスをしているだけでした。

 そして、そんなことは暗黙の了解事項として娘も知っています
から、こちらもいつもよりちょっぴりオーバーリアクションです。

 とはいえ、これはお姉様が鞭に慣れているからのこうなるだけ
のことで慣れていない人が受ければどのみち痛さに耐えかねて、
思わず首や手首を縮めては挟まれている板にこすりつけることに
なります。地団駄を踏んで、顔を歪めて、腰をひねって、そりゃ
あ端で見ていられないほど惨めです。

 恐らくその当時の私がその鞭を受けていたら、そうなっていた
はずです。でも、お姉様の場合は僕より身体も大きいし、二年も
経験豊富ですから鞭に対する胆力が十分についています。それを
考えると、お姉様にママが本気で罰を与えるつもりはないようで
した。

 もっともこれはあとで冷静になってから感じたことで、時計台
の屋根裏部屋で見ていた時は、その高い音が響くたびに、大興奮
して、しきりに腰を床に打ち付けていました。(^^ゞ

 一方、彰子ちゃんの方はというと、森脇先生がお浣腸の準備を
していました。これはお薬の入った容器を高い処に吊り下げてお
き、そこから伸びるカテーテルという管をお尻の穴に差し入れて
その高低差を利用してお薬をお腹の中へと入れるという高圧浣腸
です。

 公開処刑の対象にならなかった彼女は今週まだ浣腸のお仕置き
を受けていません。児童の体に負担をかけるからという理由で、
亀山ではお仕置き浣腸は一週間に一度だけと決められていました。
ですからお姉様は免れましたが彰子お姉様は当然のごとくお浣腸
の罰を受けなければならなかったのでした。

 私はそんな彰子お姉様を不憫だとは思いつつも凝視してはいま
せんでした。やっぱりそれってばっちいですからね、子供の私に
お浣腸は興奮の対象ではありませんでしたから。

 とはいえその様子はやはり気になるのです。そのあたりは微妙
な心理の綾でした。

 お浣腸が100㏄ほど入り苦悶する彰子お姉様の様子は、遠く
からでも容易にうかがい知れます。特に、時間が経過してお腹が
苦しくなると、腰を振り始め地団駄を踏みダメだと分かっていて
も挟まれた首や手首を激しく動かして枷から逃れようとします。

 その時、ぎーぎーというその音がここまで上がってきますが、
それはと殺場に向かう牛の泣き声にも似て悲しい姿です。いえ、
現に僕だって同じ立場に立ったことがあるんですからお姉様への
同情は禁じ得ません。

 なのに、なのに、こんな時、僕の心は悪魔が支配します。

 『ふふふふふふ、もうすぐ爆発するぞ、楽しみ、楽しみ。バス
ケットにみんなぶちまけちゃえ。…でも、やった後、彰子お姉様
ってどんな顔をするのかなあ。こりゃあ見物(みもの)じゃあ~』

 僕は彰子お姉様の苦しむ姿を見つめながら、内心…いえ、内心
だけじゃありません、にやけきった顔を羽目板にこすりつけ床を
叩いて二人の様子を笑っていたのでした。

 「あっ、やったあ~~」

 お姉様は僕の予想した通り足下にある大きなバスケットにお腹
の中の物をすべてぶちまけます。ピローでのお仕置きはこうした
場合を想定して足下には盥(たらい)ほどもある大きなバスケッ
トにボロ布を幾重にも敷き詰め急な粗相に備えることにしていま
した。

 「もういいの、もういいのよ、泣かないの。今さらどうしよう
もないでしょう。……これはお仕置きなんだから仕方がないの。
それより、もう、まだお腹にあるんなら出しちゃいなさい。着替
えた後に教室なんかでまた粗相すると、それこそみんなの笑い者
になっちゃうわよ」

 森脇先生は彰子お姉様をなだめながらも、その粗相を手際よく
処理します。

 そんな先生の姿を見ていて、僕は一つ不思議なことに気が付き
ました。だってこれって僕だったらとっても嫌な仕事のはずです。
誰だってそのはずです。なのに先生は嫌そうな顔を見せません。
むしろ楽しんでいるかのようのです。それが子供の僕には不思議
で仕方がありませんでした。

 そんな私も子供ができてやっとその理由がわかりました。森脇
先生は彰子お姉様にとってママですが、お姉様もまた、森脇先生
にとっては我が子なんです。それに気づけば理由は簡単なことで
した。

 最近は自分の産んだ子供の戻したものも食べられない親が多い
と聞きましたがそんな人たちにはこの気持は分からないかもしれ
ません。(^_^;)

 いずれにしてもその時の僕は有頂天、周りに気を配ることなど
ありませんでした。
 そんな私がいきなり襟首を持たれて張り付いた床から引き剥が
されます。

 「えっ!」

 驚いたなんてもんじゃありません。本当に心臓が止まるんじゃ
ないかと思いました。

****************************

〘 第 12 回 〙 お仕置きのあとは……

          亀山物語
                     合沢啓治(著)
〘 第 12 回 〙 お仕置きのあとは……
***************************

<主な登場人物>


私(合沢啓治)/亀山愛育院の孤児。由美子の弟。

小島先生   /私の家庭教師であり、実質的には僕のママ。

大石胤子   /亀山村の村長さん。(三代目)女王様。

榊原 美里  /同級生の恋人。片想い。

森下景子先生 /由美子お姉様の家庭教師(ママ)であり、
       /かつ、学校では担任の先生でもある。

合沢由美子  /私をリンチにかけたお姉様の一人。私の姉。

小川静子   /泣き虫。リンチ四人組の一人。

桐山香織   /おっちょこちょいで早とちり。四人組の一人。
       途中でお灸をすえられそうになる。

安西遥香   /優等生だが、今回の事件に関与。四人組の一人。
途中でお漏らしをしてオムツ替えをさせられる。

美代子と彰子 /今回私のリンチには加わらなかったお姉様。

 お義父様  /亀山の子供たちは誰もがお義父様の子供として
(合沢徹)   /その家で家庭教師(ママ)と一緒に暮らしている。

 お義母様  /お義父様の奥さん。元々はお義父様のお付き合い
(合沢早苗)  /で亀山に来たのだが、今は子供たちにも優しい。

桐山高志 /幼稚園児(5歳)。由美子のお友達、香織の弟。 

 大原先生/高志君のママ。

 おばば様/亀山のお灸担当係。子供たちの実母を知る老婆。

****************************
****<12>********************

 「ん?坊主、何してる」

 私を抱き上げ自分の懐の中に収めたのは玄さんという時計守の
おじさんでした。
 髭もじゃらで厳つい顔をしていますが、心根のやさしい人で、
この時計台にはよく連れて来てくれました。

 ここからさらに階段を登って屋根裏部屋まで行くと、そこは、
亀山の中でも一番高い処ですからかなり遠くまで見渡せます。

 遠くを走る汽車やはるか彼方にぼんやりと見える町並みを見て
いると、そのどこかに本当のお母さんがいるようで感傷的になる
こともしばしばでした。ですから…

 「どうした?こんな処で…今日はてっぺんまで登らないのか?」

 玄さんはこう言いましたが、どうやらすぐに僕の目的がわかっ
たようでした。

 「何だ、…お前、あれを見てたのか?なるほど、てっぺんまで
登ると女の子がかえって遠くなるというわけか」
 玄さんは恥ずかしそうにしている私の頭をなでます。私は照れ
くさくて玄さんの胸に顔を隠しましたが……

 「お前も一丁前に女の子の裸が見たくなったか?」
 と追求されると、それには…
 「違うよ、たまたま見えただけだから…」
 と応じたのですが、通じるはずもありません。

 「いいんだぞ、男の子なんだから自然なことだ」
 こう言ってもう一度頭を撫でます。
 普通は11歳ともなればこんなこと嫌がる子が多いのかもしれ
ませんが、ここでは大人のこうした愛撫を嫌がってはいけないと
繰り返し教わってきましたから、この時もあえて抵抗はしません
でした。

 すると、玄さんはこの窮屈なスペースであぐらをかきその中に
私をいれて頬ずりまでします。愛おしくて仕方がないそんな様子
で抱きしめるのでした。

 玄さんはあれで10分も僕をもてあそんだでしょうか、でも、
それがここで女の子の裸を見ていたことを他言しない条件だった
のです。

 「いいか、服の汚れをできるだけ落として帰るんだぞ。ママが
心配するからな。そして、どうして服が汚れているのかって尋ね
られたら、玄さんと一緒に時計の修理をしてたって言えばいい。
間違ってもお姉ちゃんたちがここでされてた事を他所で口にした
らいかんぞ。おまえ、また虐められるからな」

 「わかった。分かったから、家まで肩車で送ってよ」
 僕がおねだりすると…

 「しょうがない奴だなあ。だいたいお前はもう重過ぎるんだ。
こんな重いやつを肩に乗っけたらこっちの首の骨が折ちまうよ」
 なんて言いつつも、結局は肩に乗せてくれます。

 前にも言いましたが、この街に住む人で子供が嫌いな人なんて
誰一人いませんでした。子供を見れば愛撫したくてたまらない。
そんな無類の子ども好きだけがこの亀山に住むことを許されてい
たからなんです。

 ここでは誰もが通りすがりの子供を自由に抱いてあやせますし、
抱かれた子供もそれを嫌がりません。大人に抱かれて嫌がれば、
ママや先生たちからお仕置きが待っているからそうするのですが、
おかげで子供たちの方にも免疫ができてしまって、見ず知らずの
人にいきなり抱かれても怖がるような子は誰もいませんでした。
大人の人になされるがまま笑顔で抱かれ続けます。それがまた、
大人を喜ばせ次はもっと愛されることになります。

 そんなハッピーな環境は、何よりお義父様たちの願いであり、
そんな環境が用意されているからこそ、お義父様たちはわざわざ
ここへ移り住むのでした。

 そんな私たちの事を無菌室で育てられた実験動物みたいに言う
人もいます。確かに当たらずとも遠からずでしょうけど、でも、
少なくとも不幸は感じていませんでした。
 そうなんです。あんなにも厳しいお仕置きに毎日のようにさら
されていても、大人のように大きくなった身体をもてあそばれ、
赤ん坊扱いされていても『少年(少女)時代は不幸でしたか?』
と問われれば、おそらくここの子供たち全員、答えはNoだと思
います。

 大人を百%信頼してそこで甘えて暮らすという生き方は巷では
できにくい特殊な環境かもしれませんが、決して不幸じゃありま
せんでした。現にお仕置きを受けた後は大人たちはいつも以上に
優しいですし、そうやって優しくされることで子供たちもその人
の気持を理解できるようになりますから。

 『雨降って地固まる』っていうことでしょうか。
 ママにお仕置きされるとそれまで以上にママと一緒にいたいと
いう思いが逆に強まるんです。本当ですよ。σ(^◇^;)

 そんなこんなで、亀山では、お仕置きでその人との人間関係が
ぎくしゃくしたり、心が傷ついたということはありませんでした。
 偉そうなこと言っちゃったけど、本当かなあ。(^_^;)
 でも、僕はそう思ってます。(^◇^;)


 さて、その日の夕食。僕たちお泊まり組はお義父様やお義母様
のお隣に席を取ります。それ自体は自然な習慣だったのですが、
ここに特注の幼児椅子が登場するやいなや、他の子供たちの顔が
ほころび始めます。それはこの椅子が何を意味するか、みんなが
知っているからでした。

 「由美子お姉様、お仕置きされたのよ」
 「ほら、彰子お姉様もよ」
 「何されたのかしら?」
 「鞭じゃない」
 「そうじゃないわ、ちらっと見たけど、裏庭のピロリーにこの
二人捕まってたみたいなの」
 「えっ、そうなの。じゃ、お浣腸?」
 「彰子お姉様はね。でも、由美子お姉様は、この間公開処刑で
今週分のお浣腸はすんでるから、きっとお鞭のはずよ」
 「二人ともやめなさいよ。お食事の席でお浣腸の話なんか」

 こんな会話が交わされている食堂で、二人は用意された特注の
幼児椅子に予定通り座ります。
 ファミレスなんかに用意されてる幼児用の椅子。勿論サイズ的
には少し大きく作ってありますが、あれに中学生が座るわけです
から、傍から見ればもうそれだけで滑稽です。

 由美子お姉様がお義父様の右脇、彰子お姉様はお義母様の左脇
でした。でもって空いているお義父様の左脇には私が、お義母様
の右脇は由香ちゃんという九才の可愛い妹が席を占めまています。

 お仕置きに関係ない私と妹は座面の高さを調整しただけの普通
の椅子でしたが、お二人が腰を下ろした椅子には前に小さなテー
ブルが付いていまして、この椅子に座ると、前のテーブルが邪魔
して料理にまで手が届きません。つまりお姉様二人は自分で手を
伸ばして好きな料理を食べられないというわけなんです。

 『じゃあ、絶食!』(◎-◎;)
 いえいえ、そんなことはありません。何かとお仕置きの厳しい
亀山ではありますが『食事抜き』『おやつ抜き』というお仕置き
だけはありませんでした。

 考えてみてください。子供が大好きという大人が二人も、すぐ
そばに寄り添ってるんですよ。どうするかわかるでしょう。
(^0^;)

 『!』(◎-◎;)

 「ピンポーン!」当たりです。(^◇^;)この二人の親は、
自分の食事もそっちのけで両脇を囲む子供たちに食事をさせます。

 特に自分では食事ができない可哀想な子(?)にはスプーンに
料理を乗せて口元まで運んでくれるんです。
 そう、まるで離乳食をもらう赤ちゃんみたいにです。
 親切でしょう。(^^ゞ

 ま、女の子たちにしてみると、この儀式は屈辱的で、そのこと
自体がお仕置きじゃないか、なんて勝手にほざいてましたけど、
本心は違うんじゃないかと僕はみています。

 『おまえはやられたことがあるのか?』(◎-◎;)

 当たり前田のクラッカー。(う~ん、あまりに古すぎた)
 ここに住んでる子供たちでお義父様お義母様のスプーンで食事
をしなかった子なんて誰もいませんよ。

 もっとも僕はスプーンパクリの食事のことを別に何とも思って
いませんでしたけどね。
 だって、楽じゃないですか。何もしないのに料理の方が勝手に
口の中に入って来るんですから。(^^ゞ

 それだけじゃありませんよ。僕なんて、わざと赤ちゃん言葉で
話しかけてお義母様のご機嫌を取ると拘束椅子から出してもらい
お義母様の膝の上で食事をしたことだって何度もありました。

 ええ、亀山ってところは偉そうにしてるより、甘え上手な子が
得をするように出来ているんです。

 ごく幼い頃ですけどね、お義母様に抱かれている時に、本物の
おっぱいが目の前に現れたのには、さすがに面食らいましたけど、
でも、据え膳食わぬは男の恥とか言いますから、ありがたくいた
だきました。(^^ゞ

 『これって、愛なの?お仕置きなの?』(◎-◎;)

 だからさっきから言ってるでしょう。お仕置きって、愛の一部
なんだって。

 これだってもともとはお仕置きされた子をねぎらうために始め
たみたいなんですけどね。なかには『嫌なことをされてる』って
思う子だっているでしょうから、その場合はお仕置きの延長って
ことになります。

 実際、自尊心の強い子の中には耐えられない子がいて、あまり
にいやいやがキツいもんだから、とうとう下はすっぽんぽんで、
コーナータイムさせられたなんてケースがありましたけど……

 それは特殊なケース。大半の子は営業用の笑顔を全面に出して
お義父様やお義母様子のお小言を聞き流しながら口元まで届いた
スプーンをぱくりとやって食事します。(≡^∇^≡)

 「いいこと、二度とこんなおいたをしてはいけませんよ。もし、
これから一週間の間いい子でいたら、あなたが欲しがってたGI
ジョーのお人形を買って上げますからね」
 なんて言われながら食事をするんです。

 うまく立ち回ると色々得することも多いので、『焼け太りだ』
なんてお仕置きされなかった子からひがまれることも……。

 この二人のお姉様たちもそこは女の子ですからね。ちゃっかり
しています。この赤ちゃん食事会で日頃欲しいと思っていた物を
色々買ってもらう約束を取り付けたみたいでした。

 『お仕置きに関係ない子は何ももらえないのか?』(◎-◎;)
 もちろんそんなことはありません。お泊まりの日はクリスマス
や誕生日と同じで、お義父様サンタさんから沢山のプレゼントが
届きます。

 ただ、昼間お仕置きがあった子には……
 『それでもお前たちをを愛されてるんだよ』
 という実感を与えてから寝かしたいというお義父様お義母様の
配慮なんです。

 だから、子供の方も普段以上に赤ちゃんとして振る舞うことが
求められるのでした。
 食事もそうですし、寝る時もお泊まりする他の子の見ている前
で、わざとオムツを穿かされます。もちろん、それを嫌がったり
悲鳴を上げたりしてはいけませんでした。

 「キューピットはいつも裸だよ。だけど恥ずかしがらないだろ
う」
 お義父様は夜のオムツ換えでお尻バンザイをしている子が恥ず
かしがると、いつもこんな事を言っていました。

 そうは言っても、こっちだって生身の人間ですからね、10歳
を越えたらそりゃあ恥ずかしいです。でも、それが僕たち子供の
仕事だと思って割り切るしかありませんでした。

 『割り切れない子もいるの?』

 いますね。これだけ甘々の環境で育ってるのにプライドが高い
というか、自尊心が強いというか……それは、巷でなら当たり前
なのかもしれないけど、順応性のない子は不幸になりますね。

 ただ……
 そんな子はどうしてもお仕置きが多くなるから、その時は……
 『またやられてる。可哀想に……』
 って思ってたけど……でも、今、思い返してみると、そんな子
はそんな子なりに大人たちのお仕置きで遊んでたんじゃないかっ
て思えちゃうんですよ。

 『???』

 だって、そんな子だってここでは見捨てられるわけじゃなく、
お仕置きの後はやっぱり他の子と同じように可愛がってもらえて
たし、厳しいお仕置きを受ければ受けるほどその後のべたべたも
濃厚になるから、私たち以上にその子は赤ちゃんにされてたとも
言えるわけで……

 何より、大人になったその子たちって、僕たち以上に亀山を愛
しているし、社会に出てからも何かと亀山のこと気にかけてて、
奉仕してるもの。

 『奉仕?』

 そう、ここのOBやOGは社会で成功すると何かにつけて後輩
たちを援助してくれるんです。

 学校の校舎や修道院なんてここ出身の土建業者が建てたものが
ほとんどだし、学校の制服も毎年新しいデザインの物がアパレル
関係のOGから送られてきます。肉や野菜は専属契約を結ぶ近く
の農家からやってくるけどそれ以外の食料品や学用品、電化製品
なんかも、みんなみんなここの出身者が提供しているです。

 ついでに言うと、近くにある総合病院の医療スタッフなんて、
半分以上がここの出身者だから仮病なんか使ってばれちゃうと、
この病院に送り込まれてハレンチな検査でヒーヒーいわされちゃ
うんだ。みんな恐れて『魔の病院』って呼んでるくらいだもん。

 もちろんママ(先生)の中にもここの出身の人は少なくなくて
……『恐怖のお仕置き連鎖』なんだ。(>_<")

 彼女たちにしてみればここがふる里。ここがお家。どんなにお
仕置きが厳しかったとしても、それを含めて生活習慣を変更して
欲しくないって思うようなんですよ。

 『一大勢力?』(◎-◎;)

 ま、そうなのかもしれませんけど、最近はちょっとでも厳しく
お仕置きすると「虐待だあ」なんて言われてしまいますからね、
あまり世間には知られないようにしてるんです。

 『あなたもお仕置きは支持?』

 そうですねえ。それで子供が不幸になってるなんて思えません
から。要は愛されている人から受けるかどうかじゃないですか。
愛されていないと感じる人からは髪に触れられただけでも虐待と
感じますよ。


***************************

〘 第 13 回 〙中華屋さんでの思い出

          亀山物語
                     合沢啓治(著)
〘 第13回〙 中華屋さんでの思い出
***************************

<主な登場人物>

私(合沢啓治)/亀山愛育院の孤児。由美子の弟。

小島先生   /私の家庭教師であり、実質的にはママ。

大石胤子   /亀山村の村長さん。(三代目)女王様。

榊原 美里  /同級生の恋人。片想い。

森下景子先生 /由美子お姉様の家庭教師(ママ)であり、
       /かつ、学校では担任の先生でもある。

合沢由美子  /私をリンチにかけたお姉様の一人。私の姉。

小川静子   /泣き虫。リンチ四人組の一人。

桐山香織   /おっちょこちょいで早とちり。四人組の一人。
       途中でお灸をすえられそうになる。

安西遥香   /優等生だが、今回の事件に関与。四人組の一人。
途中でお漏らしをしてオムツ替えをさせられる。

美代子と彰子 /今回私のリンチには加わらなかったお姉様。

 お義父様  /亀山の子供たちは誰もがお義父様の子供として
(合沢徹)   /その家で家庭教師(ママ)と一緒に暮らしている。

 お義母様  /お義父様の奥さん。元々はお義父様のお付き合い
(合沢早苗)  /で亀山に来たのだが、今は子供たちにも優しい。

桐山高志 /幼稚園児(5歳)。由美子のお友達、香織の弟。 

 大原先生/高志君のママ。

 おばば様/亀山のお灸担当係。子供たちの実母を知る老婆。

****************************
****<13>********************

 話を元に戻すけど、二人のお姉様たちはベッドインする時には
下の毛をすっかり綺麗にされてから、オムツだけを穿かされて、
寝かされるんだ。

 『最後のお仕置き(◎-◎;)!』

 そうじゃないよ。オムツだけでも身につけてさせてくれるのは
お義父様の配慮なんだ。だって当番でお泊まりする子はすっぽん
ぽんだもん。(^^ゞ

 『(◎-◎;)!』

 そう、パジャマも下着も何にもなし。全裸でベッドインだから、
お義父様もお義母様も添い寝した子供たちには触り放題という訳
です。(^_^;)

 『おちんちんも触られた?』(◎-◎;)

 はい。お義父様からもお義母様からも(^◇^;)

 お尻の穴に太い指が入ってきたり、鼻の頭や顎の先、ほっぺた
なんかを舐められたなんてしょっちゅうです。ちなみに、指先は
特にお気に入りみたいで、普段お膝の上にいる時にもよくしゃぶ
られました。(^0^;)

 でも、卑猥な感じってのはありませんでしたよ。相手の心の中
までは知りませんけど、こちらはそれで変な気持になったことは
ありません。

 何と言っても私たちは天使ですからね。そんなことで騒ぎ立て
たりはしないんです。σ(^◇^;)

 このあたりがきっと世間から『あいつらは子供妾だ!』なんて
陰口をたたかれる所以なんでしょうけど、今では『それが何か、
問題でも?』と開き直ってます。

 そんなふうに訓練されて育てられたせいなのかもしれませんが、
それでお義父様やお義母様が満足されるなら、私に不満なんてあり
ませんもの。

 ママとの間もそうですけど、濃厚な愛に身を委ねている時って
とっても気持がいいんです。本当に身体がとろけてしまうんじゃ
ないかって思えるほどのエクスタシーが、射精とは無関係に存在
するんです。本当ですよ。(*^_^*)

 そんなシチュエーションに性的な色が付くのは、実は、亀山を
離れてからなんです。

 お話がまたあさってにの方向に行きかけているので戻しますが、
この日の夜、お仕置きでお泊まりした由美子お姉様をお義父様は
ゴルフを誘います。

 公開処刑の時も誘いましたからこれで二度目です。大人なら、
『これは何かあるな』とにらむところでしょうが、お姉様には、
その意図がわかりませんでした。

 「ええ、ではお供します」

 お姉様自身は、最初それほど乗り気ではありませんでしたが、
結局お付き合いする事になりました。というのも、ゴルフはとも
かく亀山の子供たちにとって亀山を下りて外の空気を吸えるチャ
ンスはそれほど多くないのです。

 『ピクニックと思えばいいから』という軽い気持で受けたみた
いでした。

 亀山のゴルフというはゴルフ場を一日貸し切って行います。
 みなさん有名人ですから見かけない子供と一緒の処を文屋さん
にスクープされないようにという配慮でした。

 いえ、ゴルフ場だけではありませんよ。子連れでお出かけする
場所はデパートであろうと、遊園地であろうと、劇場、避暑地、
その他何でも目的地は貸し切りでした。

 『え、そんなに簡単に貸し切りってできるのか?』

 大丈夫なんですよ。(*^^)v
 それはすべてどちらかの家のお義父様の持ち物か関係先なんで
すから。

 私達はお義父様の財産に直接手をつけることはできませんが、
進学、就職、独立、何をやるにもお義父様から援助を受けていま
した。

 その日のゴルフは安西家との対抗戦でした。といっても、この
ゴルフは競技ではありません。一つのボールをその家の子供たち
が順番に打っていって少ない打数で入れた家が勝ちというもの。
 家族で楽しむお遊びです。

 とりわけチビちゃんが登場すると、クラブを握る可愛らしい手
をお義父様が包み込むように握ってスイング。実際上はお義父様
が打ってしまいます。

 そのホールごと勝った方は負けた方に何かおねだりできますが、
賞品といってもお義父様のポケットマネーでどうにでもなる程度
の物しか出ません。
 子供たちが持ち回りで賞品を得ていき、片方に賞品が偏るよう
なら、そちらのお義父様がボールをわざとあさっての方へ打って
ハンデを作るといったことまでなさいます。
 そういった意味では八百長試合でもあったわけです。

 親睦が目的ですし、気晴らしができたらそれでよかったのです。
ですからプレー中は無礼講。お姉様たちはファッションを決め、
おすまししてクラブを振っていましたが、男の子やチビちゃん達
は短いパターでチャンバラなんか始めちゃいます。
 でも、今日ばかりはちょっとやそっとのことではお仕置きされ
る心配がありませんでしたから心の休養にはなったみたいでした。

 ちなみに、安西さんの処でも子供たちの中に厳しいお仕置きを
受けたばかりの子がいて、そのあたりの事情はうちと似通ってい
ます。
 どちらのお義父様も子供たちに苦いお薬を飲ませた後、口直し
にと甘い飴をなめさせようとしたのでしょう。これはそんな飴の
役割を果たす行事だったのです。

 そんなこんなで無事、親睦ゴルフは終了。9ホールだけ三時間
くらいかけて回りました。

 そして、そのお昼。安西のお義父様は知り合いのレストランへ
私たちを誘ってくださったのですが、なぜか、お義父様がそれを
丁寧にお断りになります。

 実は、ゴルフは外出するための大義名分。これからが行く処が
どうやら本当の目的の場所だったようでした。

 ベンツが丘陵地にあるゴルフ場を出て向かったのは横浜の市街。
それも下町の一角でした。

 ポンコツの国産車ばかりが並ぶ駐車場に、ベンツとワーゲンを
止めて合沢家の人たちが入ったのは風采の上がらない店主が経営
する薄汚れた中華屋。普段こうした催し物の時にお義父様が利用
するレストランとは比べるべくもありません。

 「いらっしゃい」

 店主の無愛想な声に一同は店の中へ入りますが、中も外観同様、
一目で安物とわかる椅子やテーブルに囲まれています。おまけに
そのぐらつくテーブルには、女中部屋にさえこんな物は掛かって
いないだろうとという薄汚れたビニールのテーブルクロスが……
 幼い僕でさえ、そこは違和感のある場所でした。

 ただ、ここもお約束通り貸し切りです。

 総勢12名がおのおの好きな処に陣取ると、さほど広くない店
の中は合沢家の一族だけで満席になります。

 そんななか、お義父様が由美子お姉様にだけは自分の隣に座る
よう命じます。

 「ぼくも……」
 さっそくそう言って甘えてみたのですがですが……
 「今日はだめだ」
 つれなく拒否されてしまいます。

 お父様の隣りを射止めたのは、由美子お姉様だけ。今日だけは
誰もお義父様のお膝を許されませんでした。

 「何にいたしましょうか?」

 恐る恐る中年のウェートレスが注文を取りに来ます。
 そりゃあ、これだけの大所帯。しかもお義父様はイギリス紳士
然としていて明らかに場違いな雰囲気です。
 そんなことからでしょうか、メモを持つ手はすでに震えていま
した。いえ、それだけではありません。すでに額も汗でびっしょり。
 ただでさえ、薄汚れた店内なのに、食欲がなくなります。

 「何を食べたい?」

 お義父様は由美子お姉様に尋ねますが、どうやらその表情は、
僕と同じで『こんな場末の中華屋では食べたくない』という様子
でした。

 「私、このお店のお料理のことはよく分かりませんから、お義
父様と同じものをいただきます」
 お姉様が素っ気なく答えるので…

 「メニューも見ないでそんなことを言うのはこのお店にも失礼
だぞ。いいからメニューを開きなさい」
 お義父様にこう言われてはお姉様もそうせざるを得ません。

 そこでお姉様が渋々メニューを開くと、今度は…
 「酢豚と書かれている処を指してごらん」
 こう言われますからお姉様は不審そうな目をしつつもその通り
にします。

 このあたりからお姉様はどうも様子がおかしいと思っていたの
かもしれません。
 お姉様が酢豚と書かれたメニューを指さすと、注文を取りに来
た中年ウェートレスがその皺くちゃの顔をメニューに近づけてい
きます。

 「(この人、目が悪いのかなあ)」
 と思いました。何しろその顔はお姉様の指に触れるんじゃない
かという処まで接近しましたから。

 その光景は明らかに異常でした。

 驚いたお姉様が指を引っ込めると、今度はお義父様が…
 「それじゃ分からないだろう。もう一度指してあげなさい」
 と言うのです。

 口で言えばすむはずのやりとりをなぜこんなことしているのか
私にはまったく理解できませんでした。

 おまけに、お義父様は落ち着かない様子のウェートレスを自分
のすぐそばに引き寄せると、自らその手をいきなり取ってお姉様
の指の上に無理矢理乗せてしまいます。

 「これだそうだ。酢豚」
 お義父様が注文すると…

 「……あっ、は、はい」
 ウェートレスは一拍おいて小さな声で答えます。

 ほんの一瞬の奇妙な出来事。ひょっとしたら一秒もなかったか
もしれません。でも、その婦人にとっては瞬時にして永遠の感触、
神の手に触れたのも同じショックだったに違いありませんでした。

 「………………」
 お姉様は、当初動揺したように見え、少し時間がたつと不機嫌
そうな様子でメニューを覗き込みます。
 そして、それで顔を隠しながら私に尋ねるのです。

 「他の子は?…啓治、あなた何が食べたいの?」

 私だったら見過ごすようなこと。でも、そこはさすがに女の子。
こんな事だけでお義父様の意図を感じ取ったみたいでした。

 お姉様は、それ以降も中年のウェートレスを追い求めるような
視線の動きは見せませんでしたが、ただ、いつも以上におすまし
して食べていました。こんな食堂で……

 帰りしな、お義父様はその中年ウェートレスから赤いセーター
を託されます。しかしそれはお義父様が受け取ることのできない
ものだったのです。

 何度か押し問答の末、お義父様は一旦それを受け取りましたが、
赤いセーターは、次の報告の日に他の物と一緒に彼女のロッカー
に入れてあったそうです。

 亀山に我が子を預けた実の母親はおばば様によって全身にお灸
をすえた後、鍵を一つ与えられるのですが、これは、以後半年に
一度だけ、我が子の成長記録と沢山の写真を収めた報告書を受け
取るための私書箱の鍵でした。

 その荷物が届くのが報告の日なのです。

 ただし、これは亀山からの一方的なもので、母親の方から手紙
や品物をここに入れても我が子には届きません。
 そして何より、この報告を二回連続受け取らない時はもう報告
はやってこないことになっていました。

 幸い由美子お姉様の母親は毎回この報告を受けていましたから
娘が今どんな顔をしているか、どんな身体つきなのかも知ってい
ました。ですから、お店に入ってきたとたん、それが我が子だと
分かったはずです。

 一方、お義父様も事前に人を頼んでロッカーから報告書を持ち
帰る婦人を付けさせていました。こちらも彼女が由美子お姉様の
母親だと知っていたはずでした。

 ただし、子供たちが18歳になる前に実の母親に会わせる事は
お義父様といえどできません。ですから、あくまで偶然を装い、
この店に立ち寄ることにしたのです。

 その後、お姉様が一度だけお義父様に事の真相を尋ねてみた事
があったそうですが、その時も…

 「あれは偶然あそこに入っただけ。ウェートレスがどんな人か
私は覚えていないよ」
 とそっけなかったそうです。

 ですが、由美子お姉様にとっては、これが公開処刑やその後の
厳しいお仕置きに対する一番の癒しとなったのは確かでした。

 その後、お姉様の部屋には、とある中年婦人の肖像画が小さく
掲げられましたが、それは、あの時のウェートレスを思いだして
描いたものに違いありませんでした。

 亀山の孤児たちは、仲間内では、よく実の母親のことを興味の
ない存在のように言います。今お世話になっているママやお義父
様がすべてだと……。
 ですが、それは強がっているだけ。そう思っていないとここで
は暮らす気力が湧いてこないからそう言っているだけの事なの
です。
 本気でそう思っている子なんて一人もいませんよ。

 母親なんて、ごく自然に得られた人にとっては『そんなもんか』
という程度のものでしょうけど、得られなかった者にとっては、
どこまでも『永遠のマドンナ』であり、『永遠の憧れ』なんです。

 お義父様やお義母様、もちろんママは大好きですが、どんなに
親切にしてもらっていても、やっぱり実の母親に会いたいという
思いは生涯心のどこかに持ち続けているもの。

 母への思いは神様と同じように手の届かないものなのですが、
その幻影は神様より遙かに身近で感じるものだったのです。


(追伸)
 あの赤いセーターは確かに次の報告日にロッカーに入れられて
返されましたが、後日、まったく同じように作られたセーターを
お姉様が着て写真に収まっていたのを見たことがあります。

 きっとお義父様がまったく同じに作らせたんでしょうね。由美
子お姉様はそんな器用な人ではありませんから。(∩.∩)

            
***************** <終> *** 

5)閉じこめ

5)閉じこめ

 押入とか、自分の部屋とか、納屋あるいは蔵なんかに閉じこめ
られることなんですが、家がコンパクトになった今日ではあまり
経験のない人も多いと思います。
 私が子供だった頃は団地のような処に住んでる人の方が少数で
したから、家には比較的余計なスペースがあって子供を閉じこめ
ておく場所にそれほど不自由はしませんでした。
 ですから私と同世代の人は大半がこの経験は持っていると思い
ます。
 もっとも効果のほどがどれほどあったかは疑問でして、幼い頃
なら押入に入れられるだけでも恐怖でしょうが、大きくなると、
むしろ自分の部屋にいる方が心が安らいだりして何とも困りもの
です。(^^ゞ
 ただ、西洋ではスパンキングもそうなんですが、日本より親が
厳しく子供に接するみたいで、この閉じこめも『次のごはんまで』
なんていうような短時間ではなく、一日二日三日はては一週間や
十日なんていうのまであったんだそうです。そのためでしょうか
部屋には室内便器が用意されていて、母親が朝それを掃除に来て
くれるんだそうですが、許してくれるかどうかは、あくまで父親
しだいで、おまけに許してもらうためには目の玉が飛び出るほど
の鞭を覚悟しなければならなかったりして、話を聞いた私は同情
を禁じ得ませんでした。
 そんな怖い話ばかりを散々ステイ先の子に聞かされ、西洋人の
父親ってのはとにかく怖いんだとばかり思っていましたから、彼
と一緒にやったイタズラで鞭をもらうはめになった時は、正直、
おしっこをちびりそうに恐怖したものです。
 でも、実際に受けてみると、それはそれほどではありませんで
した。
 ただ、隣で一緒に受けたその子は天地が裂けんばかりに騒いで
いましたから『あまりにわざとらしい』とその時は思ったのです
が、今にして思うと…『西洋人だってよその子はやはり本気では
叩きにくい』という事でしょうか。それに彼の場合は、私が叩か
れた時よりぐっと幼い頃からやられてるわけで、その逃れがたい
恐怖心というのがあったのかも…あのオーバーアクションも幼児
体験のなせる技なんでしょう。

4)締め出し

4)締め出し

 子供たちへのお仕置きは何も直接身体を痛めるものばかりでは
ありません。例えば、おねしょをした子が自分の粗相した布団を
背負わされて町内を一周させられたりとか、聞き分けのない子が
パンツ一つのいでたちで庭や玄関に放り出されたりなんていうの
は割にどこでも行われていたお仕置きでした。
 小説の世界じゃないので、さすがに真冬はありませんけど、と
いって気候のよい頃ばかりではなかったように思います。やはり
男の子が多いんですが、ならば女の子は皆無かといえば、それも
違っていました。
 このお仕置き、寒さもさることながら恥ずかしさが先に立って
そりゃあ堪えました。
 もちろん恥も外聞もなく家の中に入れてくれるように戸を叩い
て泣き叫ぶ子もたくさんいましたが、ある年齢を超えるとそれも
恥ずかしくて、結局、一時的に近くの物置に身を隠すか、もっと
年齢がいくと、そこの親に見つからないで彼の部屋に上がりこめ
るような友だちを頼ったりしました。
 親の方も鷹揚なもので自分で締めだしておいて二時間ぐらいは
探しもしましせんから、ある時などその友だちの部屋で夜明かし
したこともあったぐらいで、私が現れた時は警察に捜索願を出そ
うかどうか思案しているところでした。
 その時はまだ世の中が平穏で牧歌的、ご近所みんな顔見知りで、
性善説のおつき合い。だいたい児童ポルノなんてのもありません
から、たとえ子どもを裸で放り出しても、そんなに気遣う必要が
なかったんでしょうね。
 繰り返しますが、当時にあってはこれはうちだけのお仕置きで
はありませんでした。

Appendix

このブログについて

tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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