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[ 第 1 回 ] 日曜日の朝

♪♫♭♮♯♪♫♭❈❈❈ <登場人物> ❈❈❈♪♫♭♮♯♪♫♭

【おうちの人たち】~蔵川家~

僕(小2)……ちいちゃん
これといって才能はないが、長男だから何かと優遇されている
 幸せ者

弟(小2)……みいちゃん
僕よりちょっぴり気弱だけど、理数系に強く、感受性も豊か。
 とっても可愛い顔をしているからみんなに好かれている。

姉(小5)……お姉ちゃん
近所ではメジラと呼ばれ恐れられている乱暴者。
 姉御肌で体育会系。茜ちゃんとも呼ばれている。

従姉妹(小6)…セイちゃん
 事情があってうちで預かっているけど、清楚で上品、頭もいい。
 僕はマリア様みたいに思っている。清美お姉さん。

お父さん(質屋店主)
 東洋哲学と書道が生きがい。お金にならない事ばかりしている
 道楽者。お母さんには頭が上がらない。

お母さん(お父さんの奥さん)
 怒ると信じられないほど怖いけど、普段は優しい一家の大黒柱

おばあちゃん(お父さんのお母さん)
 近所におじいちゃんと住んでいる。お姉ちゃんにはなぜかやた
 ら厳しい。メジラお姉ちゃんの天敵。お灸マニア。

ハナさん(お手伝いさん)
家事がまったくできないお母さんに代って我が家の主婦をして
 いるおばあちゃん

♪♫♭♮♯♪♫♭♪♫♭♮♯♪♫♭♪♫♭♮♯♪♫♭♪♫♭♮

❈❈❈❈❈❈❈❈❈ [ 第 1 回 ] ❈❈❈❈❈❈❈❈❈

       ❈❈❈❈❈  日曜日の朝  ❈❈❈❈❈

 倉川家の朝は早い。平日は僕たちを学校へ送り出さなきゃなら
ないから戦場のように忙しいんだ。

 のんびりしているのはお父さんだけ。彼の仕事は幼い僕たち
(双子)の子守りだけなのだが、それも義務ではないらしく寝床
から起きてこないことも多かった。

 逆の見方をすれば、彼はこの家で相手にされていなかったとも
言えるのだ。

 悪い人ではないよ。ぼく達にとっては……
 よく抱っこしてもらったし色んな処へ連れて行ってもらった。
自転車の乗り方やお習字の書き方を最初に教えてくれたのもこの
人なんだ。

 ただ、生来の怠け者でね、働かない人だったんだ。

 普段はお習字をやってるか本を読んでるね。そうそう天井から
床まで届くような大きな和紙(大幅って言ったっけ)に書いたの
を部屋中に何本も掛けて、お友達と批評しあったり、近所にある
お寺の住職と禅問答みたいなわけの分からない会話をして笑って
たりもする。

 要するに変人だったんだ。

 もちろん婿養子なんかじゃないよ。江戸時代から続く倉川家の
れっきとした嫡男。名義上は店主だし、お店(質屋)番もするん
だけど、子どもの僕らからみても熱心じゃなかった。

 ある日、クレームにやってきた人がお父さんを前に長々訴えた
あげく……

 「あんたじゃ話にならん、店主を出しなさい、店主を……」
 と言ったのを覚えてる。

 きっと、お父さんはアルバイト店員ぐらいにしか見えなかった
んだろうね。
 でも、無理もないって感じなんだ。(^ニ^)

 そんなお店の実質的な経営者はお母さん。
 だから、普段はとっても忙しく働いていたんだ。

 自慢じゃないけど、幼稚園へだって二人して路線バスに乗って
行ったんだ。忙しいお母さんは玄関先でいってらっしゃいするだけ。
 今ねえ、幼稚園の子が親に手を引かれて通園してるのを見ると、
「甘ったれやがって」なんて思っちゃうんだよね。(`ε´)

 そんなお母さんも日曜日は休む。
 いや、お店は365日無休のお店なんだけど、日曜日、それも
午前中は滅多にお客さんがこないからね、お母さんものんびりし
てるんだ。

 だいたい10時ごろまでは布団の中にいるよ。
 で、ぼくたちはその両脇で寝ている。お母さんの左側が僕で、
右側がみいちゃん。

 どうでもいことだけど、僕がチイちゃんと呼ばれてるのは裾子
で小さいから。弟がみいちゃんなのは、彼がいつも母親の右側に
いるからで名前とは関係ないんだ。

 また、話がそれちゃったけど……(^^ゞ
 いえね、お母さんがいつまで寝ていたって構わないんだけど、
お母さんって人は僕たちにも一緒に寝てろって強制するんだよ。

 つまり、本当は僕たちもう起きたいのに布団から出さしてくれ
ないんだ。

 「ほら、お布団から出ないの。まだ、ネンネの時間よ。日曜日
ぐらいゆっくりでいいでしょう」

 常に自分本位な彼女は、家族の誰もがお腹がすいているという
現実には目もくれないんだよね。
 だから、「お腹がすいた」なんて言って見るんだけど……

 「そんなに急がないの。まだ、お店が開いてないわ」
 彼女はそう言ってぼくを再び自分の懐の中に抱き入れるんだ。

 ちなみに、平日は、お手伝いのハナさんがいるから朝ごはんを
作ってくれるだけど、日曜日は、そのハナおばあちゃんもお休み
だからね、なおのこと、お母さんはゆっくりしているんだ。

 たとえこちらにやる仕事がなくても他人が目の前で働いてるの
に布団の中には居にくいんだってさ。

 というわけで、そのぐうたら朝寝坊に付き合わされる僕たちは
仕方がないからたいていお母さんのおっぱいで遊んでる。

 小二の子にしてはちょっと幼いけど、お母さんのオッパイの先
をぷにぷにしたり、舐めたり、しゃぶったりの独り遊び。
 でも、おかあさんがそれに文句を言うことはないんだ。

 時にはミイちゃんも参加して二人で馬乗りになってやってみる
んだけど、この人、全然堪えないんだ。( ̄O ̄)Zzz

 むしろ……
 「おっぱい欲しいの?いいわよ、でも、でないわよ」
 なんて言っちゃう人なんだから。

 えっ、そんなことして楽しいか?

 ん~~微妙だね。そりゃあ小二ってまだ赤ちゃんに近いからね、
そんな事してても強い違和感があるわけじゃないだ。ミルクなん
か出なくてもお母さんのおっぱいは楽しいよ。ただ、うちのお母
さんってAカップなんだ。仰向けに寝るといよいよおっぱいって
呼べるようなものはなくて先っちょだけなんだよ。( ̄q ̄)

 そこで下の方を探検に行くと……
 「そこはダメよ」
 って言われちゃうんだ。

 そこで、その日は仕方なくミイちゃんはメジラの方へ行った。
 メジラはミイちゃんを抱くようにいつもお母さんの右側で寝て
いるからね、寝返りを打てば抱き合えるくらい近いところにいる
んだ。

 一方、僕はセイちゃん(清美お姉さん)の方へ行ってみる。
 お姉さんはこの中では唯一の中学生で従兄弟。そのせいだろう
か、僕たちのお母さんとはちょぴり距離がある。
 他人の家でご飯を食べさせてもらっているという負い目がある
のか日頃からとても慎みぶかく、また清楚にしていた。

 ここにこうやって寝るのもすでに中一なら拒否してもよさそう
なもんだけど、『僕ら兄弟の面倒をみてほしい』というお母さん
の大義名分を受け入れてここで寝ているんだ。

 健気だろう。(・。・)
 お姉ちゃんは自分の部屋もふかふかのベッドもお家の中にちゃ
ん用意してあるんだよ。一緒にざこ寝しなくてもいいのに、それ
でも、ここで僕らと一緒に寝ているんだ。
 お母さん、ああ見えて結構寂しがりやなんだよ。

 「おねえちゃま」
 僕はお母さんにさえあまり使わない幼児語で声を掛ける。
 すると、お姉さんはは優しく抱き入れてくれるのだ。(*^_^*)

 健気だろう。(・。・)
 僕は嬉しいけど……☆ヽ(∇⌒*)よろしぅ♪

 これがメジラなら、鼻の先でおっぱいを突いてみたり、よだれ
を垂らしたりですぐに姉弟ケンカになるんだけど、僕も清美お姉
ちゃまの前ではそんなことはしなかった。

 お行儀よく寝袋代わりにそこで体を丸めて寝るだけ。清楚で、
品のよい子の場合はこちらもそれで十分だったんだ。

 そうこうしているうちに時計が10時を打つ。

 その音を聞いてようやくお母さんが起き上がった。
 まだ寝たりないが仕方がないといった寝ぼけ眼で布団を出ると、
箪笥の引出しを開けて中の財布を僕に向かって無造作に投げる。

 中身は8歳の子が持つには大金だけど、彼女はそんなことを気
にするような人ではないんだ。

 「チイちゃん、ミイちゃんとパン買ってきて」

 「何でもいいの?」

 「何でもいいよ。アンパンとクリームパンとジャムパンは五つ。
あとはあなたたちの好きなのでいいから」

 頭をぼりぼりかきながら胡坐座り。めったに口にしないタバコ
をふかすことも……でも、こんなにお行儀の悪いお母さんを見る
のはこの時だけだ。

 『あっ、お股もかいた』(◎-◎;)

 ま、メジラの母親だから、地はこんなものなんだろうけど……
普段とりすましているのは田舎では名家とされる倉川家に嫁いだ
プレッシャーから居住まいを正しているのかもしれない。

 ちなみにパンがいずれも菓子パンなのは、当時、田舎のパン屋
にはまだ惣菜パンというものがなかったから。もちろん食パンは
あったけどお母さんにとってはバターを塗るのさえ面倒だった
んだ。
 当然コンビニ弁当なんてものもないよ。要するに安直にお腹に
入るものと言えば菓子パンくらいしかなかったんだ。(^◇^)

 もちろん、世間一般では主婦と呼ばれる人たちが日曜日だって
忙しく働き家族の為に朝ごはんを作ってたよ。でも、我が家では
ハツおばあちゃんがお休みの日曜日はその仕事をする人がいない
からね、こうなるのだ。

 お母さんができないのは何も炊事だけじゃないよ。
 洗濯も、裁縫も、とにかく家事と名の付くものはまったくだめ
だったんだ。

 「いくつ買ってくるの?」

 「いくつでもいいから、早く行ってちょうだい。お母さんお腹
がすいてるの。けちけちしないでいっぱい買ってくるのよ。足ら
ないより余った方がいいんだから」

 だいたいいつもこんなやり取りがあって、僕たち兄弟が朝食の
買出しに行かされるのが通例だった。

 15分後、二人で抱えられるだけのパンを抱えて帰ってくると、
お父さんも起きて居間でお茶を飲んでいた。
 正確に言うとお父さんはもっと早起きをしていてその間は自分
の趣味の時間を楽しんでいたのだ。

 この人、怠け者だけどもの凄く立派なジェントルマンだからね、
「朝飯まだか」とかね「こんな菓子パンが食えるか」とか「お前
も女なんだから料理ぐらい勉強しろよ」なんて正論は一度も言わ
なかった。(^◇^)

 台所の流しに山と積まれた汚れた食器類を背に、お父さんは
ぼく達が買ってくる菓子パンをみんなと一緒においしそうに食べ
るんだ。

 で、それが終わると、いつもの朝の儀式、仏間に四人の子供達
を並べて般若心経を唱えるという、あれをやるんだ。

 『日曜日ぐらい休めばいいのに』とぼく達は思っていたけど、
ずぼらなお母さんがこれだけは休まなかった。

 で、その日もいつものように菓子パンを食べてから朝のお勤め。
お線香の煙で頭すりすりも終わったから『やれやれ、これで自由
の身』と思った瞬間だった。

 「茜ちゃん、ここへお座りなさい。……たしか、あなたとは、
大事なお約束がありましたよね」

 僕はその瞬間、偶然にもメジラの顔を見たけど、それは色黒の
彼女の顔でさえそれとわかるほど顔面蒼白だったんだ。

 僕はかかわりを恐れてその場を立ち去ろうとしたんだけど……

 「チイちゃん、今日はちょっと待って…ミイちゃんも、ここに
いてちょうだい。…あっ、それから、ごめんなさいね清美さん。
あなたにも手伝ってほしいの」

 お母さんの声のトーン、物腰はさきほど僕に財布を投げた時と
はまったく違っていた。

 ただならぬ気配。(@_@;)
 子供だから細かなことはわからないけど、お母さんが何か重大
な決意をしてこの場に臨んでいるのは、8歳の頭でも容易に感じ
取ることができたんだ。

●○♪♫♭♯♪♫ (^o^)/~ Bye Bye ♭♯♪♫♭♯◆◇

[ 第 2 回 ] 仏間での出来事

❈❈❈❈❈❈❈❈❈  [ 第 2 回 ] ❈❈❈❈❈❈❈❈❈

    ❈❈❈❈❈  仏間での出来事  ❈❈❈❈❈

 姉(メジラ)はすでに正座し、他の三人もその場で正座すると、
お母さんが重い口を開いた。

 「実は、茜ちゃんが、先週、理科と社会で落第点を取ったの。
これは、普段なら落第点のテストなんて公開しませんが、今回は
……あえて見てもらいます」

 そう言ってお母さんが大事そうに取り出したのは、お経の本に
挟んでおいた二枚の紙だった。

 「げっ!」「何、コレ?」ヾ(゜0゜*)ノ?ヾ(゜0゜*)ノ?

 二人とも驚いたのなんのって、そこには『35点』と『45点』
って書かれてたんだ。

 ぼく達はまだ低学年だからね点数を取りやすいけど、それでも
80点以下のテストなんかお母さんに見せたことがなかった。
 85点のテストを持って帰って来た時なんか、殺されるんじゃ
ないかって思うほどすごい顔で睨まれたもん。

 100点とっても当たり前という顔をしているお母さんにこれ
を見せるのはずいぶん勇気がいっただろうなあと思ったけど……
 お姉ちゃんはこれを見せ損なっていた。

 『わかるけどねえ』(^_^;)

 そればかりではないんだ。どうしようか、答案用紙を見ながら
窓辺で思案していた矢先、お母さんに部屋へ踏み込まれてしまった
お姉ちゃんは、慌ててその二枚の紙を窓から捨ててしまったんだ。

 『あとから拾いにいけばいい』
 最初はそう思ったようなんだけど、事はお姉ちゃんの思う通り
にはならなかった。

 風邪に舞った二枚のテスト用紙は、お姉ちゃんが二階から降り
てくるより早く裏の垣根を越えてお隣さんの庭へ。
 親切なそこのおばさんがその日のうちにお母さんの元へ届けて
はくれたんだけど……それがどんな結果をもたらしすか……あと
は誰にでも容易に推測がつくよね。

 「そう言えば、先週の月曜日、お姉ちゃんオムツで学校に来た
よね。あれかなあ」

 「たぶんそうだよ。あの日、随分周りを気にしてたけど、いつ
もより短いスカートだったから、ビニールのオムツカバーが見え
見えだったもん」

 ぼく達はひそひそ話をした。

 学校へ相談に行ったお母さんに園長先生はお姉ちゃんのために
放課後の居残り勉強を手配してくれたんだけど、お母さんが期待
していたこの件でのお仕置きはなかったんだ。

 そして……
 「あまり、厳しい折檻はなさらないように」
 という園長先生の口ぞえまでもらって一旦は帰宅したんだけど
恥をかかされたと思っているお母さんの怒りは収まらないんだ。

 結局……
 「月曜日は園長先生が『お勉強に差し障りがでますから』って
オムツはとってくださったけど、あなた、その後私に約束したわ
よね、居残り勉強が終わったらみんなの前でお仕置きを受けます
って……」

 「は、……はい」

 「覚えてるならいいわ。今日はお灸をすえます」

 「はい」
 メジラがしおらしく小声で答える。親に『お灸をすえます』と
言われて子供は簡単に『はい』とは言えないものなんだ。メジラ
にしてもそれなりの覚悟があったんだろうね。こんな光景、年に
何回も見られるものではなかった。

そんな従順な態度に気をよくしたのだろうね…

 「いいわ、今回はお股の中だけは許してあげます」

 お母さんの方が若干折れて話はまとまったんだ。(^_^;)

 「私の前にいらっしゃい」

 お母さんはメジラ、いえ、茜お姉ちゃんを自分の膝のすぐ前ま
で呼び寄せると、その両手を取ってまずはお説教するんだ。

 「いいですか、悪いお点を取ったことはもちろんいけない事です。
でも、もっといけない事はそのことで嘘をついたこと、そして自分
の悪い行いを隠そうとしたことです」

 お姉ちゃんはこの時すでに泣いてたけど、それは反省してたと
いうよりこれから先のお仕置きに怯えてという感じだった。
 だから……

 「ところで、あなた、どんな嘘をついたの?」

 「えっ?……それは……」
 お母さんのとっさの質問に答えられずにまごつきます。

 「えっと……テスト用紙を窓から投げちゃって……その……」

 「それだけ?…………」
 お母さんは『呆れた』という顔でした。

 「………………………」   

 「いいこと、三愛の単元テストというのは業者さんが作るやさ
しいテストなの。特別なお勉強はいらないの。学校で与えられた
課題をこなしていれば十分100点がとれるようになってるの。
それがどうして35点とか45点になっちゃうの?あなたねえ、
天野さんちでお勉強しますって出かけたけど、あれ、お勉強して
なかったんでしょう」

 「えっ、そんなこと……」
 お姉ちゃんはそこまで言って口ごもります。

 「どうせ、二人でマンガ見て時間潰してたんでしょうが……」

 「えっ……」
 思わずおねえちゃんの顔が上がります。

 「ほら、みなさいな。大方そんなことじゃないかと思ったわ。
そもそもそれが一番最初の嘘でしょう。それがなかったら、悪い
お点も取らないし、テストをお母さんに隠す必要もなかったんだ
から…」

 「………………」

 「御免なさいじゃないの?」

 「えっ……」

 「いいわ、答えられなければ…あなたみたいな馬鹿な子には、
理屈で説明するより、身体で覚えさせないとダメみたいだから」

 お母さんは上体を起こすと、膝まづいた姿勢のままで仏壇の方
へ向かいます。

 「…………」
 そこで両手を合わせて軽くお祈りをすませると、仏壇の引き出
しから何やら取り出し、お明かりから移した新しいお線香をお線
香立てに立てて戻ってきます。

 左手に赤い紙袋、右手には火のついたお線香立て。何をやるか
は明らかでした。

 「ごめんなさい」
 お姉ちゃんは謝りますが……

 「今さら何言ってるの!いいのよ謝らなくても……」
 と、熱のない冷たい返事が返ってきます。

 「いいこと、お尻のお山に片方三つずつ。お臍の下にも三箇所、
前にすえてあげた処があるでしょう。そこに三回ずつすえてあげ
るわ。そのくらいならあなただって我慢できるでしょう」
 お母さんは半紙の上で艾を小さく固く丸めて、すえる分の数だ
け作り置きをします。

 「それで……合計、何回になるかしら?」
 
 「えっ……と……それは…………」
 ただでさえ舞い上がっているお姉ちゃん。いきなり質問されて、
鳩が豆鉄砲を食った時のような目をしています。

 「……九回」
 正確に答えられるはずがありませんでした。

 「何言ってるの。十五回でしょう。そのくらいすえてあげれば、
あなたの頭の天辺にも『これは悪いことしたんだなあ~~』って
信号が届くはずよ」

 「そんなあ~~」
 お姉ちゃんの顔はもう泣きそうです。当初の予想より厳しいの
で戸惑ってる様子でした。

 「何がそんなあ~~よ。あなた、いつからお母さんの愛が受け
られなくなったの?」
 お母さんがひと睨みすると、

 「……」
 お姉ちゃんは体全体を使って顔を左右に激しく振ります。

 「いいのよ。嫌なら今すぐここを出て行っても………うちには
清美さんっていう立派な女の子がいるんだから……」

 「…………ごめんなさい」
 お姉ちゃんは小さな声でつぶやきます。
 そんなこと言っても、お母さんの怒りが収まらないことは承知
していますが、寄る辺なき身の上のお姉ちゃんはそれ以外何も言
えないのでした。

 もちろん、お母さんが自分を見捨てるはずはないとわかっては
いるのですが、子供はそれでも不安なのです。

 「さてと……それではここへ来なさい。うつ伏せになるの」
 艾を作り終えたお母さんは、正座した膝をぽんぽんと二回ほど
叩いてお姉ちゃんを促します。

 「…………」

 お姉ちゃんに別の道は残っていませんでした。
 『お母さんのお膝の上で熱いおやいとを必死に我慢する』
 どう考えてもそれしか道はなかったのです。

 「…………」

 なかったのですが、だからといって……
 『それではさっそくお邪魔します』☆ヽ(∇⌒*)よろしぅ♪
 とはいかないわけで、お姉ちゃんはしばらくその場を動きません。

 「どうしたの?さあ、いらっしゃい。……ほかの子たちも遊び
に出たがってるのよ。それとも、あなた、この間みたいにお父様
からやっていただきたいのかしら?」

 「…………」
 お母さんにこう言われて、お姉ちゃんはより一層激しく首を横
にします。

 「だったら、いらっしゃい。まごまごしてると、本当にお父様
がいらっしゃるわよ」

 こう言われて、お姉ちゃんはやっと重い神輿を上げたのでした。


●○♪♫♭♯♪♫ (^o^)/~ Bye Bye ♭♯♪♫♭♯◆◇

[ 第 3 回 ] お灸のお仕置き①

❈❈❈❈❈❈❈❈❈ [ 第 3 回 ] ❈❈❈❈❈❈❈❈❈

    ❈❈❈❈❈  お灸のお仕置き① ❈❈❈❈❈

 お母さんのお膝にうつ伏せになると、お姉ちゃんのお尻がぽっ
こりとそこに乗り、短いスカートからはすでに白いショーツが
見え隠れ。

 お尻叩きならこの姿勢でもいいのでしょうが、お灸はもっと
残酷なことになります。

 「あっ」

 小さな驚きの声が聞こえ、お姉ちゃんの右手が思わず後ろへ
回り込もうとしました。
 お母さんがお姉ちゃんのスカートをめくったのです。

 『お仕置きだからじっとしてなきゃ』
 衝動的な身体の動きをお姉ちゃんが理性で抑えたのを確認
して、お母さんはパンツもずらしてしまいます。

 お姉ちゃんは畳の上に両手で土手を造りその中に顔を埋めて
静かにしていますが、こちらからもその顔が興奮と羞恥で首筋
まで真っ赤なのがわかりました。

 「清美さん、そこのバスタオル取ってくださる」
 お母さんは清美お姉さんにバスタオルを注文すると、それを
四つ折にしてお姉ちゃんのお臍の下に引き込みます。

 続いて……
 「あっ、それから……ほら、そこ出してあるアルコールの……
…そうそれ、お盆ごとこちらへお願いね」

 お母さんが目配せした部屋の片隅には始めから用意しておいた
のでしょう、消毒用アルコールの薬ビンと脱脂綿が乗ったお盆が
置いてありました。

 お母さんは清美さんが届けてくれたこげ茶色のビンを開けて、
アルコールを脱脂綿に充分染み込ませます。
 そして……

 「あぁぁ」

 当然の事のようにそれをお姉ちゃんのお尻の山に擦り込んだ
のです。

 僕たちの学校で覚えてたのでしょうか、お尻叩きの時もお浣腸
の時も、そしてこうしたお灸の時も、お母さんはお仕置きの前に
は必ず子供のお尻をこうやってアルコール消毒します。

 『これから厳しいお仕置きの始まりですからね』

 そんな合図にお姉ちゃんは身を固くして待つしかありません
でした。

 僕たちもアルコールは学校やお家で幾度となく経験がありま
すが、幼い頃お仕置きが怖くてお漏らしをするというのは、だい
たい酷い事をされいてる最中というよりもこの瞬間だったんです。

 お仕置きは刑罰とちがって出来ることに限りがありますから、
できるだけ小さな衝撃で最大限の効果がでるように大人たちは
工夫します。これもそんな工夫の一つでした。

 幸いお姉ちゃんはお漏らしは免れましたが、すでにお尻太股は
鳥肌、寒いわけでもないのに全身が小刻みに震えだしています。

 「お姉ちゃん、可哀想だね」
 みいちゃんが言えば、ぼくも…
 「ほんと、もっとごめんなさいすればいいのに」
 なんて勝手なことを言っては応じていました。

 二人が思わずそんな会話をしてしまうほどこの時のお姉ちゃん
は可哀想な状態だったのです。

 「では始めます。これからお母さんが授ける愛をしっかり受け
止めなさい。愛は甘いものだけではありません。とっても苦いも
のもあるんです。それをよ~くあなたの身体で受け止めなさい。
いいですね」

 お母さんはあらためてお線香に火をつけながら諭します。
 でも、お姉ちゃんからご返事がないので、もう一度、強く言い
なおしたのです。

 「………茜さん、いいですね」(-_-#)

 「はい、お母さん」(>_<")

 「よろしい。……これまではあなたも幼かったのでおばあさま
や武田のおばさん(お隣のおばさん)にしっかり身体を抑えてお
いてもらってましたけど、今日は清美さんにその役をやってもら
います。…………清美さん、お願いね」

 「えっ!?」
 いきなりのご指名に清美お姉さんは戸惑った様子ですが、拒否
も出来ませんから…
 「あっ、はい」
 受けるしかありませんでした。

 「茜、清美さんがやってくださるって、そのままの格好でいい
からお礼をいいなさい」
 お母さんは優しく言いますが、その顔はどこか勝ち誇ったよう
にも見みえました。

 「あ……ありがとうございます」
 お姉ちゃんはすでに涙声です。

 「あっ……はい。こちらこそ」
 実は、清美お姉さんがこの時一番戸惑っていたようでした。

 「茜、あなたを抑えてくれるのが今日は清美さんなので、あま
り激しく暴れるとお姉さんの顎を蹴り上げてしまいますからね。
必死に我慢なさい」

 「はい」

 「やがては誰の力も借りず一人で我慢しないとね」

 「はい」

 「もしあなたが暴れてお姉さんの手が離れるようなことがあっ
たら、お父様をお呼びしてお股の中にお灸をすえていただきます
からね。そのつもりでいなさい」

 「…………」
 お姉ちゃんはその瞬間ショックで一瞬声が出なかったみたい
です。

 男の子の僕たちにはよく分かりませんが、女の子はお母さんに
お仕置きされるのと、お父さんにされるのでは随分と心持が違う
ようでした。

 「ご返事は?」
 再びお母さんに促されて…

 「はい」
 今度も小さな声でした。

 「あなたもそろそろ山猿を卒業して一人前の女性になる訓練を
始める頃にきてるわね。でも、その前に…洗いざらい恥をかいて
おく必要があるから、今年の夏はヤングレディースの合宿にでも
参加させてみましょうかね」

 お母さんは独り言でも言うようにお姉ちゃんに語りかけながら
最初の二つをお姉ちゃんのお尻のお山に乗せていきます。
 そこには、すでに以前すえられた痕が、大豆くらいの大きさで
残っていました。

 ヤングレディース合宿というのは男の子には関係ありません
が、彼女たちの噂話を聞く限り、レディとなるための資質を身に
つけるための地獄の特訓ということでした。

 「さてと……清美さん、この子の両足首を押さえてね、あまり
暴れるようなら手を離しても構わないわ。そのあとの事はさっき
言ったようにこの子が引き受けるでしょうから……」

 「さてと……」
 おかあさんのその言葉を合図に、やがて白い煙がひと筋ふた筋
すうっと上がって、 

「いやあ、いやあ、あああ、ああああ」

 お姉ちゃんは小刻みに足の甲を叩いて熱さ痛さを体から逃がそ
うとします。本当はもっと強く畳を叩きたかったのでしょうが、
そうすると清美お姉さんが手を離してしまい、自分はお股の中に
やいとをすえられかねません。

 「ひぃ~~いやあ~~いやあ~~~熱い、熱いごめんなさい」

 二度目はたまらず涙声が出ます。

 「だらしないわね、このくらいのことで…いつもの威勢はどこ
へ行ったの?……ちょっとお仕置きされるとピーピー泣き言ばか
り言って……だらしがないわよ」

 「いやいやいや、ごめんなさい、もうしませんもうしません」

 「…はい、はい、わかったわ。ここはもう一回だけよ。これで
おしまいにします」

 お母さんは終始穏やかな口調で諭しますが、いったん堰を切っ
たお姉ちゃんの泣き言は止りません。

 「いやあ、いやあ、もうしません、もうしません、ごめんなさい」

 体を半分よじり、上目遣いにお母さんを見て哀願してみました
が……今度は一転。

 「何見てるの?お仕置きはまだ終わってないのよ。まっすぐ前
を向いてなさい」(-_-#)

 お母さんの強い意志に跳ね除けられてしまいます。

 元の姿勢に戻ったおねえちゃんは乱れた呼吸をを飲み込むよう
に自分を落ち着かせようとしていました。

 「あ~~あああ~~~ああああ~~~~いいいいいいい」
 お姉ちゃんはそれだけしか言いませんでした。言葉にならない
声が部屋中に響きます。

 三回目は声もさらに大きくなり身体を揺すって両手の拳を畳に
叩き付けますから、思わず清美お姉さんも抑えていた足首を一瞬
離してしまいます。
 ところが……

 「いや、いや、いや……」

 思わずお姉ちゃんがその場を這って逃げ出そうとしましたので、
それではいけないんだと気がついてまた抑えてくれました。

 「まったくあなたには呆れるわ。このくらいの事で逃げ出そう
とするなんて…これだから弟たちに示しがつかないんでしょう。
馬鹿にされるんでしょうが……」(-。-;)

 おかあさんはおかんむりです。

 お灸は連続してすえられると二回目、三回目は一回目よりさら
に熱く感じられます。いつもは一回だけのお灸を三回すえられる
というは単純に三倍厳しいお仕置きになったというのではありま
せん。お姉ちゃんにすれば、さらにもっともっと厳しいお仕置き
だったのでした。

 「幸い、粗相だけはしなかったみたいね」
 お母さんは、お姉ちゃんのお臍の下に手を入れると、不始末が
なかったかどうかを確認します。

 そして……
 「もういいわ。今さらあなたの根性なしを責めても仕方がない
から……さあ、表もやってしまいましょう。……次は仰向けよ」

 お仕置きは次のステージへと進みます。

 お姉ちゃんはお母さんの指示でうつ伏せの状態から仰向けに体
を入れ替えようとしましたが、その瞬間でした。

 「パンツなんて引き上げなくていいわ。どうせまた脱ぐんだか
ら……」
 と、また叱られてしまいました。

 「清美さん、今度はその子の頭の方をお願い。始まったらその
子の手を軽く押さえてもらうけど、今はおざぶを二つ折りにして
その上に茜の頭を載せておけばいいわ」

 「あっ、その前に…台所へ行ってポットのお湯を洗面器にあけ
て持ってきてちょうだい。そのついでにお父様が使ってるT字の
剃刀とタオルも……」

 そこまで言うと清美お姉さんの表情が思わずこわばりますが、
それをお母さんも察したのでしょう……

 「大丈夫よ、お父様には断ってあるから…もう使わないわよ」
 と笑顔で語りかけるのでした。

 「…茜、あなたは両手を胸の前で組むの。終わるまではその手
を決して離さないのよ。万が一にもお仕置きの艾を払い除けよう
ならただではおきませんからね」

 「……あ、それから、チビちゃんたち。あなた達にもお手伝い
がありますからね。お母さんのそばへいらっしゃい」

 お母さんは僕たちにまでてきぱきと指示を出します。
 そして、一通り指示を出し終わると……

 「よっこらしょ」

 お姉ちゃんの裸のお尻を正座した自分の膝の上に重そうな仕草
で載せるのでした。


●○♪♫♭♯♪♫ (^o^)/~ Bye Bye ♭♯♪♫♭♯◆◇


[ 第 4 回 ] お灸のお仕置き②

❈❈❈❈❈❈❈❈❈ [ 第 4 回 ] ❈❈❈❈❈❈❈❈❈

    ❈❈❈❈❈  お灸のお仕置き② ❈❈❈❈❈

 いつもは賑やかなお姉ちゃんがまるで人形のように静かに時を
待っているなか、清美お姉さんが洗面器を持って戻ってきました。

 「ありがとう清美さん。あなたのような子が娘だと大助かりよ。
あなたは茜の頭をお膝の上に乗せてあげてね」

 お母さんはこう言いながらもお姉さんの持ってきた品物で早速
準備を始めます。
 洗面器のお湯でタオルを湿し、まずは茜お姉ちゃんのスカート
を捲ってその割れ目を露にします。

 正直、僕たちだってお姉ちゃんとは毎日のようにお風呂へ入る
けどお姉ちゃんの割れ目をこんなに間近で見るのは初めてでした。

 「…………」
 声には出しませんが、恥ずかしそうなお姉ちゃんは身の置き所
なく静かにしています。

 お仕置きは何もぶったり抓ったりといったことだけではありま
せん。こんな事も、特に女の子の場合は立派なお仕置きとなるの
でした。

 「まあ、あなたのお歳ではこんなものでしょうけど……」
 お母さんは半笑いを浮かべてお姉ちゃんのお臍の下を擦り
ます。そして……

 「でも、一応やっておきましょうね」
 そう言ってお湯で湿したタオルでそのあたりを綺麗に拭き取る
と、お父様愛用のT字剃刀を使ってじょりじょり。

 僕たちの目にはそこはつるつるで髭なんて生えてないように
見えましたが、ほんの僅か、産毛のような柔らかな毛が伸びて
いたみたいです。

 「これでいいわ」
 お母さんは満足そうに仕上がりを手の指で確認すると、今度は
再び例のものを取り出します。

 例のもの……
 そう、アルコールを湿した脱脂綿です。

 「すうすうするけど我慢してね」

 今までお湯のぬくもりで暖かくなっていたその場所が急に熱を
奪われてすうすうします。

 これは次に起こる恐怖の前ぶれと子供たちなら誰でも体感して
しまいますからお姉ちゃんの顔も否応なしに緊張感に包まれます。

 「はっ」
 小さな吐息が聞こえました。

 そんなお姉ちゃんにとって、艾がそこに並べられていくさまは
見ているのでさえ辛いでしょうから目を閉じてしまいますが……

 「目を開けなさい。自分のお仕置きを確認するの。隠したり、
逃げたりでは何にもならないわ」

 お母さんの声は、いつもより低くて小さな声だったのですが、
それだけに凄みがありました。
 ですから、お姉ちゃんも目を開けてあらためて自分のお臍の下
に並べられていく艾を眺めます。

 当然、火をつけるところも……
  
でも、火のついたお線香の頭を艾に当てたのは、実はお母さん
ではありません。僕たちだったんです。

 「お姉ちゃまがこれからよい子になりますようにってお地蔵様
や観音様にお願いしながらすえるのよ」

 そう言いながらお母さんは僕たちの手を包み込んでアシスト。
全てのもぐさに点火したのでした。

 最初は僕が点火した艾がお姉ちゃんのお臍の下を焦がします。

 「ああああ、いいいいいい、ひひひひひひひ」

 お姉ちゃんはひきつけを起こした赤ちゃんのように身体を硬直
させ、言葉にならない低い声をだして、その熱さを必死に体から
逃がそうとしていました。
 その光景は熱いと言うより、凍えて寒いと訴えるようだったの
です。  

 「さあ、今度はミイちゃんの番よ。お姉ちゃまかよい子になり
ますように、お地蔵様、観音様お守りください」

 やり方は同じです。そして、お姉ちゃんがひきつけを起こす処
までは同じだったのです。
 ただ、最後の一瞬は体を大きくよじって、本当に辛そうでした。

 「ほら、茜ちゃん、清美さんがあなたの為にせっかくお膝を枕
として貸してくださってるのに撥ね退いたりしたら失礼よ」

 「はい、お母さん」

 あのお姉ちゃんが、この時は従順に答えたのですが……

 「いいわ、次のお灸でまた枕を跳ね除けたりしたらお股の中に
もお灸をすえます。いいですね」

 「はい、お母さん」

 「いいご返事だこと。あなたもお仕置きの時ぐらいは女の子ら
しさが見えるようになったわね。その調子で素直で忍耐強くして
ないと女の子は幸せにはなれないの。我を張ってても何もいい事
はないのよ」

 お母さんはお姉ちゃんを優しく諭します。でも、それで許した
という事ではありませんでした。

「さあ、もう一度よ。お股の中を火事にしたくなかったら頑張り
なさい」

 こう言って、やはり前二回と同じ場所に艾を置き、最後は僕が
一箇所、ミイちゃんが一箇所、そしてお母さんが一箇所、火をつ
けたのでした。

 「ああああ、いやいやいや、ひいひいひい、ややややや」

 その時はそれまでのどのお灸の時より大きなうめき声が部屋に
響いて、お姉ちゃんの頭は再び清美お姉さんのお膝を飛び出して
しまいます。

 お姉ちゃんにとって三回目は、三人交互にすえたために時間差
が生じてより長く熱さに耐えなければならなかったみたいでした。

 でも、お母さんは……
 「いいわ、今日は頑張ったから……」
 とすまなさそうな顔のお姉ちゃんをねぎらってそれ以上責めま
せん。

 笑顔のお母さんはお姉ちゃんを背中から手を入れて抱き寄せ
ると、涙をタオルで拭き、静かに膝の上で抱きしめます。
 そして…

 「ばあ」
 まるで本物の赤ちゃんを抱いてるみたいにあやすのです。

 「わあ、まるで本当の赤ちゃんみたい」
 ミイちゃんが言えば…

 「ぼくもだっこ」
 と甘えてみます。
 まだ二年生ですからね。成長したと言ってもお姉ちゃんに比べ
ればお母さんのおっぱいは近い処にありました。

 ただ、お姉ちゃんにしてみると、お母さんは同性。しかも自分
の身体も変化し始めて、大人への扉はもう間近に迫っています。
そんななか、その懐で甘えられる喜びに100%浸ってはいられ
ませんでした。

 その微妙な変化をお母さんも当然知っています。知っていて、
あえてこう言うのです。

 「あなたは自分でずいぶん大人になったと思っているみたい
だけど、私やお父さんから見ればまだまだ可愛い赤ちゃんなの。
あなたの身体も心も、みんなみんな私たちの愛の中にあるのよ」

 お母さんはお姉ちゃんに優しく頬ずりをします。でも、その顔
がお姉ちゃんの顔と触れ合うなかでほんの少し変化して、何だか
引き締まったようにみえました。
 そして、こう続けるのです。

 「だから、あなたはお母さんたちに隠し事や嘘をついてはいけ
ないし、身体のどの部分もまだお父さんとお母さんのものなの。
おっぱいも、お尻の穴も、お股の中も、今はまだあなたが勝手に
使っていい場所は一つもないし、隠しておける処も一つもないわ
……分かるかしら?」

 「はい、おかあさん」
 お姉ちゃんにとってそれは自分がオナニーをしたことへの注意
だとわかったようでした。

 「よかったわ。あなたが頭のいい子で……」
 お母さんはまた柔和な笑顔に戻ってまた赤ちゃんをあやすよう
にお姉ちゃんの身体を揺すります。

 でも、そのあと、お姉ちゃまには再び試練が訪れるのでした。

 「さあ、それでは茜ちゃんに今言ったことの証を見せてもらい
ましょうかね」

 お母さんはそう言うと、お姉ちゃんを薄い布団の上に仰向けに
して寝かせて、まるでこうするのが当然だ言わんばかりに、その
両足を跳ね上げたのでした。

 そしてお姉ちゃんがそれにとっさに抵抗すると、少し強い調子
で……
 「さっき、言ったことがまだわかってないみたいね?あなたの
身体は、まだお父さんとお母さんの愛の中にあるの。いやいやは
できないのよ」

 お母さんに言われてお姉ちゃんは観念したようでした。

 お母さんはお姉ちゃんの両足を跳ね上げてその中を濡れタオル
で丹念にしっかりとふきあげます。
 その様子が面白くてぼく達は後ろで見ていました。

 すると、それに気づいたお母さんが振り向きますますから……
『やばい、叱られるかな』と思ったのですが……

 「あら、あなたたち、お姉ちゃんのお股なんか見たいの?」

 こう言うのです。そして、お仕事の手を休めて、それまで遠慮
がちに開いていたお姉ちゃんのお股を両手で大きく広げてくれた
のでした。

 「…………」「…………」

 いえ、もう少し歳がいけば別の感情がわいたかもしれません
が、二人の第一印象は……

 「何だかぐちゃぐちゃしてて気持悪いね」
 「ぼく男の子でよかった。やっぱりおちんちんがあったほうが
いいもん」
 というものでした。

 次はお母さんに矢継ぎ早の質問攻めです。
 「ねえ、お姉ちゃんって赤ちゃん産めるの?」
 「赤ちゃんってどこから出てくるの?」
 「ねえ、おしっこってどこから出るの?」
 「ねえ、女の子っておしっこする時もそこをトイレットペー
パーで拭くんでしょう」
 「ねえ、女の子ってなんでお股を隠したがるの?」
 「そうだよ、そうだよ、僕なんてお父さんやお母さんの前でも
裸ん坊さんで平気なのに、お姉ちゃんはいつもこそこそしてる」

 お母さんはそのすべてに答えたわけではありませんでしたが、
おしっこの穴と赤ちゃんが出てくる穴だけはこの時教えてくれた
のでした。

 もちろんぼく達はその後ろでお姉ちゃんが真っ赤な顔や真っ青
な顔をしていたなんて知る由もありませんでした。

 実は、僕たちがお姉ちゃんのお股の中を見る機会というのは、
この時ばかりではありません。中学に入るまでの短い期間でした
が、数回、お姉ちゃんはぼく達に『女の子の生きた標本』として、
その恥ずかしい処を見せなければなりませんでした。

 お母さんは商売なんかしていていますからお姉ちゃんへの女と
しての躾もままならず、普段からキツイこともしていましたが、
お姉ちゃんへのお仕置きとしては、ぶったり叩いたりするより、
この方がよほど堪えると思ったのでしょうね。

 虐待?

 そりゃそうでしょうけど、それって今の基準で見ちゃいけない
と思いますよ。今と昔では親子関係の濃密さが全然違いますから。
 だって、この親子、今でもとっても仲がいいんですから……


●○♪♫♭♯♪♫ (^o^)/~ Bye Bye ♭♯♪♫♭♯◆◇

[ 第 5 回 ] 日曜の午後

❈❈❈❈❈❈❈❈❈ [ 第 5 回 ] ❈❈❈❈❈❈❈❈❈

     ❈❈❈❈❈   日曜の午後   ❈❈❈❈❈

 お仕置きがあった日もなかった日も我が家の日曜日の午後は、
近くのデパートと決まっていました。
 ま、近くといってもバスで15分位はかかるんですが…(^o^ゞ
そこに行って夕方まで過ごします。

 お店は日曜日も一応営業していますが場所柄もあって日曜日は
お客さんが極端に少ないですし、頼りないお父さんでも店番位は
できますから……(^o^ゞ

 今の人にはピンとこないでしょうが、昭和30年代デパートと
いうのは一大娯楽施設だったんです。今ならショッピングモール
といった処でしょうか。
 ですから、当然子供たちにとっては楽しい処でした。

 到着するやまずは大食堂で食事。もともと起きる時間も遅いの
でお昼も遅くて1時過ぎから2時が昼食時間でした。

 そこで僕たちが必ず注文するのがお子様ランチ。赤いケチャッ
プご飯に旗が立っていて、お菓子までついていて、最高のご馳走
だったんです。
 お姉ちゃんたちは気取って大人の注文するようなハンバーグや
チキンカツを注文していました。

 で、お腹が満たされると今度はお母さんにお付き合いして衣類
を買います。お姉さん二人はそんな事が楽しいのかもしれません
が、ぼくたちは退屈なので屋上や玩具売り場に避難。

 今もそういう処はあるでしょうが、当時デーパートの屋上には
子供向けの色んな遊具があって、自動車の運転ゲームをやったり
ピンホールゲームで得点を競ったりして暇つぶしには最高の場所
だったんです。

 一方、玩具売り場では今度の誕生日やクリスマスプレゼントの
物色です。今のようにあちこちから情報が入りませんから下調べ
は大切な子供の仕事だったんです。

 そんなこんなで時間はあっという間に過ぎ去りました。
 普通の家庭だったらひょっとして心配するかもしれませんが、
うちはお母さんが楽天的な人ですから子供だって放し飼い状態。
お母さんが見つからないと、店内放送で呼び出してもらうという
テクも心得ていました。

 ま、いつもじゃありません。普通は適当な時間に戻って来るん
です。でも、女たちはたいていまだ買い物を楽しんでいました。
 そして、私達にもこれが似合うの似合わないのとごたくを並べ
ながらいくつか下着や服を買い求めるのです。

 その後、専門店街へ行って宝石や帽子なんかをウィドーショッ
ピング兼買い物。つまらないけど、お付き合いです。

 ぼく達はおまけです。
 ああ、でも学校の制服の仮縫いなんかは僕たちの仕事でした。
 これは本人がいないとできませんから……
(え、今はやりませんかね?当時の制服は全てオーダーでした。
指定されたお店で職人さんに頼んで作ってもらうんです。子供は
成長が早いですからね、年に二回作ることもありました)

 で、それが終わるとデパグランド(=当時は食料品の売り場が
1F。つまり地下じゃないんです)に行って夕食のおかずなんか
を買って帰ります。

 デーパートって、単に買い物だけが目的なら外商部を呼びつけ
ればいいわけで、わざわざ出向く必要もないのですが、お母さん
にとっては大事な気晴らしだったんです。
 ですから、音楽会でも美術展でも興味をひくものがあればそっ
ちへまわってました。

 そんな時はたいてい僕たちはお留守番です。もちろん、ご一緒
してもいいんですが……『だって、退屈なんだもん』(ノ_・。)

 実際、普段のお母さんは働き者でした。平日の睡眠時間って、
3、4時間じゃなかったでしょうか。私たちが厳しいお仕置きを
受けても彼女に着いて来たのは、子どもたちがみんなお母さんの
そんな姿を見ているからなんです。

 『あなたは怠け者ね( ̄O ̄)』って言われて、お父さんみたい
に『むっ、(-_-#)あなたには言われたくない』って反論できない
んですよ(*^^*ゞ

 ただ、そうやって働いて稼いだお金を貯めるという事はしない
人でした。

 『宵越しの銭は持たねえよ』

 まさに江戸っ子気質。あればあるだけ惜しげもなく使いまくっ
てましたからね、お家の経済はいつも火の車だったんです。

 あれはいつでしたかねえ。本当に財布がすっからかんになっ
てしまい、『今晩のおかずを買うお金もない』なんて緊急事態が
あったんです。

 (おうちはお金を貸すのが商売の質屋さんなのにおかしいで
しょう。(?_?)でも、本当のことなんですよ。( ̄▽ ̄;)) 

 その時、お母さんは慌てず騒がず実家に電話。
 「あっ、兄ちゃん、お金ないから持ってきて」
 信じられないほどあっさりしています。

 ところが、伯父さんのお店もその時動ける人がいなくて、アル
バイトさんみたいな人がお金を預かって50キロ離れた嫁ぎ先に
向かったんですが、途中道に迷ってしまい、結局我が家に着いた
のは、日もとっぷりと暮れた夜の8時半。

 最後は家族が家の前に代わりばんこに立ってオート三輪が到着
するのを待ってました。ちなみにその日の夕食は、「器さげる時
にお金を払うから」という店屋物ですませました。(’-’*)♪

 えっ?『わざわざ現金を持ってこなくても、銀行で振り込めば
カードですぐに出せるじゃないか?』(?_?)って…困りますねえ
読者さん。読者さん現代人ですね。これは昭和30年代のお話。
ATMなんてそんな便利なシステムまだありませんよ( ̄▽ ̄;)

 ま、それはともかく、お母さんはそんな人でした。

 さて、デーパートから帰るとチビちゃんたち(つまり僕たち)
二人は書道教室へ。それが終わると自宅に戻ってピアノの練習。
さらにそれも終わると、次の日の予習と復習をお母さんと一緒に
こなします。

 ええ、日曜日といっても夜は忙しいんですよ。
 日曜日だけじゃありません。一週間のうちにはに五つも六つも
色んな習い事を抱えてました。

 こう書くと、さも『よい子ちゃんしてた』みたいに見えます
が、本当は二人ともイヤイヤやってたんです。(>_<) (x_x)
 二人ともまだ幼かったのでお母さんが「やりなさい」と言えば
拒否できませんでした。

 僕たちがそんな不満をお父さんに愚痴ると……
 「そうか、お前たちは寄る辺なき身の上だもんなあ」
 と言ってくれたんです。

 その言葉自体は強く印象に残りましたが、何しろこのおじさん、
家の中では僕たちと同じ弱い立場の人ですからね、何もしてくれ
ませんでした。(^◇^;)

 我が家はお母さんの絶対君主制だったんです。

 特にお母さんの家庭教師役は強烈で、二人を居間のちゃぶ台に
座らせると山と積まれた問題集の中から自分で選りすぐった問題
を次から次へと出していきます。

 通常二時間くらいなんですが、僕たちが勉強している間は常に
息がかかるほど近くに居て、お店にお客さんが来てもよほどの事
がない限り出て行きませんでした。

 わき見ダメ、あくびダメ、ため息ダメというなか、何度も同じ
系統の問題を間違えると、ほっぺたは抓られるし、手の甲は抓ら
れるし、頭ははたかれるしで、この2時間は10秒たりとも気を
抜く暇がありませんでした。

 いえ、それだけならまだいいんですが……
 『こいつら、だらけてる』
 と判断した場合はもっと悲惨なことになります。

 いきなり強烈な力で腕をねじ上げられると、そのまま引きずら
れるようにお風呂場へ直行。
 服のまま、風呂桶の残り湯を何杯も頭からぶっかけられます。

 「目がさめたかしら」(ー。ー;
 って……

 『始めから覚めてるよ。それより寒いよ』(゜Д゜≡゜Д゜)

 今なら完全に児童虐待。でも、お母さんはまったく平気。
 もの凄く怖い顔で僕を睨んでる。(-_-#)

 それは、怖くて、辛くて、悲しい儀式なんだけど……
 そもそもお母さんは悪いことしたなんて思ってないんだ。

 お母さんは濡れた服を脱がせて、裸ん坊さんの身体を拭いて、
また新たな服(たいていパジャマ)を着せてからこう言うんだ。

 「時間がないの。急ぐわよ」(ー。ー;

 『時間がないならこんなことするな!』
 という発言は封印して、僕はお母さんに抱っこされる。

 抱っこされたまま居間に行くと、そのままお母さんのお膝の上
でお勉強が再開。

 「ほら、次はこれやって」
 目の前に新たな問題が現れるんだけど、これってさっきまでと
違って目の前の問題しか見えないんだ。

 『あのうねえ、この姿勢だとね、お母さんのおっぱいと大きな
腕が邪魔してミイちゃんの様子が見えないんだけど……』
 などと思いつつ問題に取り掛かる。

 そのうち……
 『ま、仕方がないか』
 と諦める。

 できたら、頭よしよしだけが励みだ。

 こんな感じかなあ。僕たちの勉強風景。

 もちろんお風呂場へ連れて行かれるのはぼくだけじゃないよ。
 ミイちゃんのこともあるし…両方いっぺんに…ってことだって
あるんだ。

 そして、そのうちぼく達『おねむ』が強くなって本当にネンネ
するんだ。

 もちろんお母さんがおしまいって言うこともあるけど……
 問題を解いてる最中にそのまま寝てしまうこともある。

 お母さんは不満そうだけど、そのうち……
 『ま、仕方がないか』
 と諦める。

 そして、僕たちを抱っこしてお布団の中へ入れてくれるんだ。
 いつも三人一緒のお布団でネンネ。

 これは僕も思ってるしミイちゃんも思ってるけど、ミイちゃん
がお母さんに抱っこされてお布団に運ばれていくのを見ていると…
 『僕は何で起きてるんだろう?損したなあ』
 って思うんだ。

 ぼく達は大人たちの間では仲のよい兄弟だってことになってる
けど、お母さんの愛をめぐってはライバル同士なんだもん。

 『今日も一日幸せでした。明日も幸せな一日でありますように』
 お母さんのつぶやきは半分夢の中で聞きながらぼく達はネンネ
するんだよ。

 『明日も幸せな一日でありますように』


●○♪♫♭♯♪♫ (^o^)/~ Bye Bye ♭♯♪♫♭♯◆◇

Appendix

このブログについて

tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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