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アチャ子日記<2>

           アチャ子日記<2>

学校へ着くと、速攻で保健室。とにかく金山先生にこのオムツ
をとってもらわなければなりません。

 赤ちゃん時代以外でオムツを穿いたことのない人は分からない
でしょうが、これってとっても蒸れるんです。べつにお漏らしな
んかしなくても、天気のよい5月にこれを穿いて学校まで歩けば
オムツの中は汗でびっしょりでした。

 「先生、お願い」
 こう言って保健室へはいって行きます。
 用件を言う必要はありませんでした。朝一番に保健室に用があ
るとしたたいていこれだったのです。

 ところが、その日は混んでいて五台もあるベッドが全部うまっ
ていました。

 「あっ、綾子ちゃん」

 「あっ、アチャ子。あんたもオムツなの?」

 「朝、起きられなくて……炊事場の仕事さぼったら、こうなっ
ちゃったのよ。綾子ちゃんは……」

 「兄ちゃんと喧嘩。だいたい兄ちゃんが悪いのに、お母さんは
兄ちゃんにはお尻叩きだけで、私にはお浣腸だもん。やってられ
ないわよ」

 「私も、お父さんにイチヂク浣腸されて、最後はオマルよ」

 「オマルならまだいいわよ。私なんてお母さんにオムツさせら
れてそこにやらされたんだから」

 「わあ~可哀想。そこまでしなくてもいいのに……」

 「そうでしょう、人権蹂躙よ。お母さんなんて、私がどんなに
ハレンチな罰を受けて学校から帰ってきても平気なんだから……
きっとハレンチって言葉知らないのよ。自分もお風呂上りなんて
素っ裸で居間にやってくるんだもの。あきれかえっちゃうわ」

 そうまくし立てた綾子ちゃんが呼ばれて空いたベッドへ……
 そこのカーテンが閉じる時、綾子ちゃんとは手を振り合って、
しばしのお別れです。

 すると、私の番もすぐにやってきました。
 一人の子がベッドから出て行き、そこへ私が呼ばれたのでした。

 空いたベッドには前の子の残した汗とかおしっこの匂いなんか
もあってあんまり気持よくありませんが仕方がありませんでした。

 周囲のカーテンが閉じられ、ベッドの上に仰向けで寝ていると、
やがて金山先生がやってきます。

 「はい、アチャコ姫、オムツはずしね。どうしたの、今日は?」

 「朝の仕度に遅れたから……」

 「そう、じゃあ、これ、お母さんに?」

 「違います。お父さんがやったの」

 「そう、お父さんが……しっかりしてあるわ。……お仕置きは
これだけだったの?」

 「ええ……」

 「そう……ああ、綺麗なものね」
 先生は私の両足首を一まとめにして掴み高く上げると……

 『あっ、熱い!』
 大事な処を蒸しタオルで綺麗にふきあげます。

 「それはそうと……今日の朝テストの範囲はちゃんと予習して
きたんでしょうね」

 「ええ、まあ……」
 気のない返事に……

 「あなた、この間も落第点でここへ来てたじゃないの。今度は
パンツも脱がされてお鞭になっちゃうわよ。痛いわよ~~~」
 金山先生は私のお股に天花粉を叩きながら脅します。

 「…………」
 私も、正直その事には自信がありませんでした。

 そうこうするうちに新しいショーツが穿かされ、私は開放され
ます。私とのおしゃべりの間も金山先生の手は休んでいませんで
した。

 ですから、その所要時間も僅かに1分。手馴れたものだったの
です。

 ただ、この日に限って言えば、大人たちの私に対するお仕置き
はこれだけじゃありませんでした。

***************************

 普通のショーツをやっとの思いで手に入れた私は急いで自分の
教室へと向います。
 さっき金山先生が言っていた朝のテストを受けるためでした。

 『朝のテスト?……朝からテストがあるの( ・◇・)??』
 あるの。それも毎日。宿題と称してだけどね。
 お話の中で語ってないけど、うちは学校に着いたらまずお掃除
って学校なの。帰りの時もやるから一日二度もやることになるわ。
それが終わってから朝のホームルーム。その最後に漢字20問と
計算問題が20問を解かされるテストがあるというわけ。

 『凄い!……進学校だったの( ・◇・)??』
 そうじゃないけど、当時は物知りが優秀な生徒の基準だったら
先生としたら親へのサービスのつもりだったんじゃないかしら。
とにかく、生徒にしたら迷惑千万な話だけど。

 『じゃあ、毎日勉強してこなきゃいけないってこと(゜〇゜;)?』
 そういうことね。漢字問題は事前にレジュメが出されてるから、
それをそのまま覚えてくればいいわけだし、計算も授業で習った
復習の範囲だから猛勉強はしないけど毎日ってところがミソなの。
習慣だから、そんなにストレスはないんだけど、とにかく合格の
ハードルが高くてね。いずれも許される間違いは2問だけ。その
結果が発表される帰りのホームルームの時まで、いつもハラハラ
ドキドキだったわ。

 『それって、ひょっとして、2問以上間違えるとお仕置き?』
 ピンポン。大正解。合格しなかった子は教務主任の先生の部屋
でお尻をぶたれるの。
 
 『残酷!!(゜◇゜)ガーン……』
 そうでもないわ。鞭といってもそんなに痛くないの。テーブル
にうつ伏せになったところへ間違った数のスリッパが飛んでくる
けど、たいてい鼻歌混じりで耐えられる程度よ。問題は痛みより
罰を受けたって評判がたつのがイヤだったわ。

 『ポルノみたいなことはなかったんだ……(^∇^;)』
 当たり前じゃない。ただし、同じ週で3回も4回も不合格なん
てなると、日曜日に親と一緒に学校に呼ばれて特別反省ってこと
になるかもね。

 『特別反省?おお、懐かしい!石崎澄子さんの世界だ(^◇^;)』
 嬉しそうね。やっぱり坊やはそんな世界が好きなんだ。
 『だって、石崎澄子さんの小説からこの世界に入ったんだもん
そりゃあ、忘れられませんよ(^◇^;)』
 あれは小説だけど、当時は現実もそう遠くない処にあったから
多くの読者から共感が得られたんだと思うわ。
 昔は今みたいに『体罰=悪』ではないから、大人たちの誰もが
子供のお仕置きに罪悪感なんて感じていなかったの。石崎さんの
世界は戦前のお話だけど、戦後も私たちの頃までは似たり寄った
りだったのよ。


 教室へ行くとちょうど朝のホームルームが始まるところでした。

 「これは、うちのクラスの事ではありませんが、先週の日曜日、
お友だち同士三人で映画を観に行った子たちがいます。もちろん
みなさんは先生とのお約束を守れる賢い子たちですから、そんな
規律違反はないと思いますが、ちょっとした気の緩みがとんでも
ないことになりかねません。街中といってもあんな暗い場所へは
大人の人と一緒でなければ行ってはいけませんよ」

 担任の江口先生が話し始めると隣のミー子が私にちょっかいを
出してきます。

 「アチャ子、今日、金山先生にオムツ替えてもらったでしょう」

 「えっ……そんなことないよ」
 私はドキッとしますが、しらばっくれます。

 「だめよ、しらばっくれても……綾子が教えてくれたんだから」

 『あいつ……』
 私は綾子を恨みましたが、今さらどうにもなりません。

 「また、中原淳一の絵、真似してて遅くなったんじゃないの?」

 「さあ……知らない」

 私はこれ以上付き合いきれないとばかりに、横を向いてしまい
ますが、ミー子の言ってることは事実でした。
 当時、中原淳一さんのイラストは女の子に人気があって、憧れ
ていた私は暇さえあれば何度も何度も模写を繰り返していました。

 当然、寝る時間が削られます。特にうまくいってる時は途中で
やめたくありませんから、1時間2時間があっという間。
 気がつけば、夜中の12時を回っているなんてことも……

 子供ですから無理はききません。眠れなかった翌朝は、いつも
のように元気に起きるなんて、できるわけがありませんでした。
 となると、今朝みたいなことが起きるわけです。

 それでも、まだ親で止まってるうちはまだよかったのですが…

 朝のテストで不合格が続くと先生に目をつけられてしまいます。
当然、各教科の単元テストだっていい成績のわけありません。
 そうなると、いつものようにお友だちみんなで帰るというわけ
にはいきませんでした。

 帰りのホームルーム……
 「花井さん、あなたはちょっと残って…お話がありますからね」
 と呼び止められ……
 「……さあさあ、みんな、道草しないで帰るのよ」
 とほかの子は教室から追い払われます。

 他の子が完全に追っ払われたあと、教室には江口先生と私だけ
が残りました。先生は私のすぐそばに椅子を横付けにすると、私
の顔をまじまじと見ながらこんなことを尋ねます。

 「最近、何か嫌なことがあったかしら?お友だちに虐められた
とか…お父様、お母様に叱られたとか……」

 「べつに……」

 「じゃあ、お兄様は?……喧嘩してない?」

 「そんなことありません」

 「そう……ホントに?…………」先生は私の顔を穴のあくほど
見つめます。

 でも嘘はついていませんでした。ここ最近、誰かに虐められた
なんてことはありませんでしたから。
 そのことが江口先生にもわかったとみえて、先生は話題を変え
ます。

 「そう、だったら、誰か気になる子がいるかしら?」

 「えっ?気になるって……男の子ですか?女の子ですか?」

 「どちらでもいいわよ。いる?」

 「べつに…………」

 「そう、…………じゃあ、淳一さんはどうかしらね?」

 「えっ……」私はドキッとしました。
 もちろん中原先生は雲の上の人。私が一方的に憧れているだけ
で、何もあろうはずがありませんが、その名前を耳にしただけで
私の身体は敏感に反応してしまいます。

 「そうか、淳一さんの絵が好きなのね。あの方の描く女性は、
みな綺麗ですものね。女の子ならあんな風になりたいわよね」
 先生はわが意を得たりといった笑顔になります。

 「どうしてそんなこときくんですか?」
 私が尋ねると……
 「最近、あなたの成績が振るわないから、どうしてかな?って
思ったの」

 「大丈夫です先生。私、ちゃんとお勉強してますから」
 私は慌てて取り繕いましたが、すでに手遅れのようでした。

 そんな私の慌てぶりがおかしいのか、先生は口を手で押さえて
笑います。
 「あなたはちゃんとやってるつもりかもしれないけど、私から
見たら、大丈夫でないから、きいてみたの?……お友だちがそう
言ってたわ。あなた、中原先生の絵がとても上手なんですってね」

 「えっ……それは……」

 「いいのよ、どんなことでも夢中になってやることは大事だわ。
でもね、あなたはまだ小学生。やらなきゃならない事がたくさん
あるわ。それは、あなたがこれから大人になるまでに身につけて
おかなければならない大切なことばかりなの。……だからそれを
勝手にやめることなんてできないのよ」

 「(やばいなあ)」
 私は殊勝な顔はしていましたが、先生にどんないい訳しようか
とそればかり考えていました。

 「今朝の小テスト。あなた、今日まで三日続けて不合格なの」

 「でもそれは、ちゃんと罰を受けてます」
 江口先生が心配そうに尋ねますから、私は逆に胸を張りますが
……

 「それって、教務主任の滝川先生からお尻をぶたれましたって
ことなのかしら?」

 「…………」
私は頷きます。私の顔は『やってることはやってます』と言い
たげでした。でも……

 「あらあら、あなたを見てると、随分立派なことをしたみたい
だけど、不合格になったら滝川先生の罰を受ければそれでいいと
いう事ではないのよ。先生のお尻叩きはあくまで励ましだもの。
次はちゃんと合格しきゃだめでしょう?それが三日続けて不合格
じゃ、滝川先生もお困りよね」

 「ごめんなさい」
 結局はこう言うことになります。

 「ついでに言うとね、今日やった理科と社会のテストも不合格
だったって各教科の先生方から報告がきてるわ。そういうこと、
わかってる?」

 「ごめんなさい」

 私はごめんなさいを連発しますが、それは本心からというより、
先生が怒ってるみたいだから下手に火に油を注がないほうがいい
だろう程度の心持だったのです。
 ですから、次の言葉を聞いた時は震え上がりました。

 「今度の日曜日、特別反省会を開くんだけど……園長先生が、
あなたもお呼びましょうっておっしゃってるの。どうかしらね」

 『と……とく…特別反省会ですって!!!!』
 それはまったく予想していませんでした。

 特別反省会というのは反省会という名前になってはいますが、
要するに親を呼び生徒を吊るし上げてお仕置きする野蛮な催し物
のことです。子どもたちからは『日曜日の地獄行き』として恐れ
られていました。

 そんな怖いことになろうとは夢にも思っていなかった私は先生
の言葉に固まってしまいます。

 「あら、明日香ちゃんはまだ特別反省会に来たことがなかった
かしら……」
 先生はおとぼけで笑いますが、それで私の緊張が解けるはずも
ありませんでした。

 別に何の意味はありませんが、気がつくと、私は自分で自分の
お尻をかばっていました。

 「お父様のご都合がおよろしいといいんだけど……」

 江口先生は何気におっしゃいますが……
 お父さんに私の生のお尻を見せる。ひょっとしたら、みんなの
見ている前でお父さんから鞭打たれる。そんなこと、女の子には
想像するだけで卒倒しそうな出来事でした。


 「あっ、やっと出てきた」
 帰り道。私と一緒に帰ろうとミー子が校門で待っていましたが
……

 「どうだった?……先生怖かった?……お尻、大丈夫だった?
……今度の日曜日、親に無断で夜映画を観に行った子たちの特別
反省会があるみたいよ。……ね、面白そうだから一緒に見に行か
ない?……どうしたのよお?……先生に何か言われたの?」

 しつこく迫るミー子に耐え切れず、私は彼女を振り切るように
駆け出したのでした。


 家に帰った私は連絡帳をお母さんに見せます。もちろんそんな
もの見せたくありませんが、仕方がありませんでした。

 たちまち鬼の形相で迫ってくると思いや、その反応は意外にも
クールで……
 「あっ、そう。じゃあ新しい下着用意しておかなきゃいけない
わね」
 と、これだけでした。

 それは特別反省会の予行演習がない分助かったともいえますが、
女の子にとってはこんなふうに無視されるというのも辛いことで
した。

 そこで、今度は晩酌中のお父さんの処へ様子を窺いに行きます。
もちろん、望みは『あっ、ごめん、今度の日曜日は、どうしても
抜けられない用事があって出られないんだよ』というものだった
のですが……

 「反省会?行きますよ。可愛い可愛いアチャ子のためだもん」
 お父さんはそう言って私を膝の上で抱きしめます。

 「お酒臭い」
 私が苦情を言ってもお構い無しです。頬ずりをして、頭を撫で
て、私の好きな伊達巻を口の中にねじ込みます。

 朝もそうでしたが、お父さんにしてみたら私は永遠の赤ちゃん。
未だにオムツを穿いてると思ってるみたいでした。

 「ん?おいしいか?」

 『私は、赤ちゃんじゃないの。そんなのとっくに卒業したの。
今は立派なレディーなのよ』
 と、訴えたいところですが……

 「もぐもぐ」
 伊達巻が口の中に入ってくると、思わず昔の習慣が出て笑顔を
作ったりします。

 すると、あとはなし崩し的に……煮豆や酢の物、お刺身など、
お父さんの晩酌の肴は一通り味見することになるのでした。

 そして、それが終わったあとに、こう言うのです。
 「特別反省会はそれなりに良い経験だ。近頃思い上がった気持
を引き締めてくれる。アチャ子は自分のこと、もう大人に近いと
思ってるかもしれないけど、お父さんからみたら、お前なんか、
赤ちゃんの時と大差ないんだ。それが証拠にお母さんがうるさく
言わなかったら、今でも何もしないだろう。中原淳一の絵ばかり
夢中になって……」

 「……そっ、それは…………」
 私は恥ずかしくなって、思わずお父さんの胸の中に顔を埋めて
しまいます。それはお父さんが言うとおり私がまだまだ赤ちゃん
の世界にいる何よりの証拠だったのかもしれません。

 「幼い子というのは自分で自分の気持を切り替えられないから、
悪い行いをしたらそのつどお尻を叩いてあげないといけないんだ。
お前も街中でお母さんからお尻を叩かれてる幼い子と立場は同じ
なんだよ」

 「でも、私はそんな恥ずかしいこともう……私は町の中でお尻
をぶたれたりしないもん……」
 私が心細く反論すると……

 「それは、幼い子の場合、その場でお仕置きしてやらないと、
家に帰ってからじゃ、さっき自分がどんな悪さをしたのか忘れて
しまうからなんだ。君の場合はもうそこまで赤ちゃんじゃない。
自分の悪さを一週間先までだって覚えていられるからね。だから、
お仕置きは日曜日の特別反省会で十分ってことなんだよ」

 「だって、あれ、恥ずかしいから……」

 「それは仕方ないよ。恥ずかしいのもお仕置きのうち……我慢
するんだな……」

 お父さんは抱っこすると、次には私の色んな処をさわりはじめ
ます。頭やほっぺだけじゃなく、両手、両足、太股……オッパイ
もお尻も例外じゃありませんでした。

 そして、こんなこと、しょっちゅうなんです。もう少し年齢が
いけば対応が違うかもしれませんけど。でも、この時はまだそこ
までお父さんを拒絶してはいませんでした。

 要するに、当時小五の私はまだまだお父さんのミルク飲み人形。
何をされても、それがすべて私への愛だと信じられる幸せな日々
だったのでした。


***************************

Appendix

このブログについて

tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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