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見沼教育ビレッジ (7)

****** 見沼教育ビレッジ (7) ******

******<主な登場人物>************

 新井美香……中学二年。肩まで届くような長い髪の先に小さく
       カールをかけている。目鼻立ちの整った美少女。
       ただ本人は自分の顔に不満があって整形したいと
       思っている。
 ケイト先生…白人女性だが日本生まれの日本育ちで英語が苦手
       という変な外人先生。サマーキャンプでは美香の
       指導教官なのだが、童顔が災いしてかよく生徒と
       間違われる。彼女はすでに美香の両親から体罰の
       承諾を得ており、お仕置きはかなり厳しい。
 キャシー……ふだんから襟足を刈り上げたオカッパ頭で、短い
       フリルのスカートを穿いている。お転婆で快活な
       少女。ケイト先生は元の指導教官で、離れた今も
       会えばまるで仲のよい親子ようにじゃれあう関係。
 堀内先生……普段は温厚なおばあさん先生だが、武道の達人で
       たいていの子がかなわない。美香が卒業するまで
       ケイト先生からキャシーを預かっている。
 樺山先生……規律担当の先生。四十過ぎの中年で黒縁メガネと
       タイトスカートがトレードマーク。『疑わしきは
       お仕置き』というのが信条。
 峰岸駿………男子エリアで暮らす高校2年生。背が高く美形。
       夜這い事件では恵子ちゃんの罪も被ってしまう。

 その他……百合子先生。/お隣りの子の指導教官
      京子先生/体育の先生。お仕置きも多く陰険との噂
          もあるが、生徒たちからは好かれている。

**************************
 
 「あなた、私が何も知らないと思ってるの」

 樺山先生はそう言って、恵子ちゃんに皺くちゃになった一枚の
便箋を突きつけます。

 すると、恵子ちゃんはそれを受け取りはしましたが……
 押し黙ったまま、それを開いて読もうとはしませんでした。

 「あなた部屋のゴミ箱から出てきたわ。こういうものは人目に
つかないように処分するものよ。それもしないで、炭焼き小屋へ
遊びに行くなんて……あなたもずいぶん舞い上がっていたのね」

 「……私……」
 恵子ちゃんは、何か言わなければならないと思っていたのかも
しれませんが、声にできたのはそれだけでした。

 「そこには、あなたが、炭焼き小屋で待ってるから来て欲しい
と書いてあるわ。……あなたにしては、随分と積極的ね」

 「…………」

 「駿君は好青年だから、きっと男義を出して罪を被ってくれた
んだと思うわ。……おかげで、あなたは人前でお尻を出さないで
すんだわけだから……そりゃあ、あなたにとっては大ラッキーで
しょうけど……それで、片付けていい問題かしらね」

 「……私は……何も……そんなこと……駿ちゃんに頼んだわけ
じゃないし……」
 恵子ちゃんの言葉は途切れ途切れ。まるでオシッコにでも行き
たいかのようにもじもじした様子で弁明します。

 「そりゃあ、あなたが頼んでないのはそうでしょうね。私も、
このことは彼が独りで判断したことだと思うわ。でも、それでは
私の気持がすまないの」

 「そんなあ、だって、あれは、さっき終わったことでしょう。
……それに……私が彼を呼んだっていう証拠はあるんですか?」
 恵子ちゃんは、やばいことになったと思い、思わず言葉に力が
入ってしまいます。

 でも、それって樺山先生には逆効果でした。

 「あなた、何か勘違いしてるわね。駿君がお尻をぶたれたこと
でこの件が全て終わった訳じゃないのよ。あれはあくまであなた
と駿君が逢引したことを咎めただけ。その罪の清算がすんだだけ
だわ」

 「どういうことですか?」

 「だって、あなたは駿君をここへ呼び寄せる手紙を書いて彼に
渡してるみたいだし……炭焼き小屋の鍵だって、部外者の駿君が
そのありかを知ってるはずがないでしょう。そもそも、消灯時間
を過ぎて外出するのは重大な規則違反よ」

 「だって、あれは……………………」
 恵子ちゃんはそう言ったきり言葉が繋がりませんでした。

 「だってあれは駿君が無理やり私を脅して…とでも言いたの?」

 「…………」
 恵子ちゃんが恐々頷きますと……

 「あなた、警備員のおじさんに発見された時、どんな格好して
たかわすれたの?」

 「……(えっ?)……」

 「最もお気に入りのワンピース姿で……普段は宝石箱に入れて
あるリボンをしてなかったかしら?……脅されて連れ出されたと
いう人が、わざわざそんな粧し込んだ格好で外に出るかしらね?」

 「…………」
 恵子ちゃん、真っ青で足元が震えています。
 もう、何も言えないみたいでした。

 そんな恵子ちゃんに樺山先生は追い討ちをかけます。
 「それに大事なことを一つ……女の子の世界ではね、そもそも
証拠なんていらないの……証拠がないといけないのは男性の世界
だけよ。……女の子や子どもの世界では、親や教師は怪しいって
思えばそれで罪は確定。子どもは罰を受けなければならないわ。
……知らなかった?」

 樺山先生の笑顔は私たちにも不気味に映りました。

 「あなたには、消灯時間を過ぎて外出した規則違反で罰を与え
ます」

 「だって、あれは、駿ちゃんに脅されて……無理やり……」
 恵子ちゃんは必死になって最後の自己弁護を試みましたが……

 こんな時、女の子にはよく効く薬がありました。

 「お黙り!!!」
 と一言。

 樺山先生の剣幕に、恵子ちゃんも口を閉じるしかありませんで
した。

 「あなたが独りで炭焼き小屋へ行くところは何人かの人が見て
るけど、その時、駿君が一緒だったと証言した人は誰もいないの。
駿君の証言は嘘だと思ったけど、どうせあなたをかばってのこと
だろうと思ったから許したの。あなたもそれはそれとして駿君の
好意を受けていいのよ。但し、罰は罰としてちゃんと受けなさい。
事実を捻じ曲げることは許さないわ」

 「だってえ~……」
 恵子ちゃんは甘えたような声をだします。
 それって、男性には有効かもしれませんが……

 「いい加減にしないと、街じゅう素っ裸で歩かせるわよ」

 樺山先生、最後は語気荒く言い放ったのでした。

 その剣幕は隠れている私たちにも伝わります。
 ですから、そ~~~と、そ~~~と退散しました。

 結局、この時の罰で恵子ちゃんは管理棟1Fの床磨きをさせら
ることになりました。
 みんなの前で鞭でぶたれることを考えれば、この方がよかった
のかもしれませんが、誰もが通る1Fロビーで掃除婦さんみたい
なことをやらされたわけですから、お嬢様育ちの恵子ちゃんには
辛い罰でもありました。


 さて、私たちの方のその後なんですが……
 私は、こんな危ない目にあってはたまらないとばかり帰ること
を提案したのですが、キャシーの奴、聞き入れませんでした。

 そこで、渋々二件目の覗き見を敢行することになります。

 一軒目は、それでも大道具の陰からこっそりでしたから、まだ
足場もしっかりしています。でも、二件目は、もっと危ない場所
からの観察だったのです。

 実は私たちのいる道具部屋と男性用の控え室は大きなロッカー
で区切られていました。
 そこで、キャシーの提案は、部屋を間仕切るロッカーの破れた
背板の部分から進入。その鍵穴から向こうの部屋を覗こうという
わけです。

 一人一個の割り当てではありましたが、それにしても中は狭く
足場も悪いですから、当初から困難は承知の上でした。

 「ねえ、こんなことして、本当に大丈夫なの?」
 キャシーに尋ねると……
 「大丈夫よ。たしかここには使用禁止の張り紙がはってあった
はずだから、このロッカーへは荷物を入れないはずよ」

 私はキャシーの言葉を信じてやってみることにします。
 いえ、私も峰岸君をもっと間近で見られるチャンスだと思い、
乗ったのです。
 ただ、今にして思えば、若気の至りと思うほかはありませんで
した。

 たしかに、ロッカー自体はキャシーの言う通りでした。
 窮屈でしたが、鍵穴から向こうの部屋が見えます。会話も聞こ
えます。峰岸君が、例の褌姿でテーブルに寝そべり、梶先生から
お尻にお薬を塗ってもらっているところがバッチリ見えます。

 予想していたより少し遠い位置でしたが、でも、これなら十分
楽しめます。
 私はルンルン気分だったのです。

 ところが、しばらくしてお薬を塗り終わると峰岸君はテーブル
を下りどっかへ行ってしまいます。

 『えっ!?どこへ行ったのかしら?』
 鍵穴というのは狭いですから広い範囲が見えません。

 峰岸君がいったん視界から消えるとどこへ行ったのかまったく
分からなくなってしまったのでした。

 そして、心配して探し回ること十数秒、彼はいきなり私の鍵穴
の前に現れます。

 『えっっっっっっっっ!!!!!』
 私は慌てます。

 でも、私が目の前のロッカーに潜んでいるなんて駿君知る由も
ありません知りませんから、悠然として最後の下着を外し始めた
のです。

 『あっ……あわわわわわわ』
 もちろん、声なんて立てられません。

 そして、今度はいきなりロッカーのドアが開いたのでした。

 驚いたの何のって……
 いえ、正確にはその暇さえなかったかもしれません。
 駿君の荷物の上に乗っていた私は、泡を食った拍子にそこから
転げ落ちます。

 でも、悲劇はそれだけではありませんでした。

 慌てた私はその場ですぐに膝まづいたのです。
 裸の男性の足元で膝まづく。それがどういう結果に繋がるか。
もちろんその時はそんな事を考えて行動する余裕がありません
から、それって一瞬の出来事です。

 私の感覚では、ロッカーが開いた瞬間、辺りが明るくなって、
もう次の瞬間は、私の目の前に彼の一物がぶら下がっていた。
 そんな感じでした。

 でも、人間不思議なもので、だからってすぐには反応しません。
その色、形、大きさ……その全てを目の前でじっくりと見てから、
私は我に返り悲鳴をあげたのでした。

 しかも、片手でそれを思いっきり払い除けた反動で、そいつが
鼻に先にちょこんと当たるというおまけまで付いて……
 もう散々でした。


 その後は、どこをどう逃げたのか自分でもわかりません。
 とにかく、夢中であえいでいるうち外に出られた。そんな感じ
でした。

 「あら、随分時間がかかったのね。ケイト先生、あなたたちを
探しに行かれたのよ。キャシーはまだなの?」

 堀内先生に出合いましたが、どうして本当の事が言えましょう
か。
 「それが……途中で、キャシーとはぐれちゃって……」
 そう言ってもじもじするしかありませんでした。

 そのうち、思いがけない場所からすました顔でキャシーが現れ
ます。彼女もきっとあれから隙を見て逃げてきたんでしょう。
 もちろん、堀内先生に彼女も本当のことは言いませんでした。

 「ここのトイレが混んでたんで、ちょっと遠くまで行って借り
たんです」
 なんて言っていましたけ……思えば、女の子の口は嘘ばっかり。
これじゃあ、女の子はみんな天国へは行けないかもしれません。


 さて、しばらくするとケント先生も戻り、私たち四人は再出発。
でも、野外劇場で時間を使ってしまったこともあり、私たちは、
もうこれ以上この公園に留まっているわけにはいきませんでした。

 公園を出て街に戻るとキャシーの家を確認。彼女とは、そこで
別れて、私は再びケイト先生と二人になります。

 すると、先生が信じられないことを言うのでした。

 「どう、峰岸君の裸は魅力的だったかしら?」

 「えっ!!!」
 私の顔色が変わります。
 だって、今の今の出来事なんですから……

 「ああ、立派なお尻でしたね。あんなにぶたれたら可哀想……」
 私は、引きつった笑顔で答えます。

 でも……
 「そうじゃないの。あなたたち、峰岸君を訪ねて楽屋へ行って
きたんでしょう。怒らないから言ってごらんなさい」

 やっぱり、あのことばれてたみたいでした。

 「それは……」
 私は返事に困ります。

 すると……
 「梶先生がね、『そういえば、二匹の可愛い鼠さんたちが遊び
に来てましたよ』って教えてくださったのよ。一匹はあなたよね。
そして、もう一匹はキャシー。……違う?」

 私、色々考えたのですが……結局は……
 「ごめんなさい」
 ということになったのでした。

 「いいのよ、気にしなくも……どうせ、キャシーに誘われたん
でしょうから……それにね、異性の裸に興味があるのは何も男性
の専売特許とは限らないわ。女の子だってそれはあって当然よ。
ただ、このことは、堀内先生には言わないようにね。あの先生、
腰を抜かすともう二度と立てないかもしれないから……」
 ケイト先生は笑っています。
 そして、それだけ言うと、あとは何も言いませんでした。


 そうこうするうち、私たちはここで暮らすための自分の家へと
戻ってきました。

 すると……
 郵便受けには、両親、それに妹の名前が追加されています。
 玄関を入れば、見覚えのある靴が並んでいました。

 そこで居間へと行ってみると……
 お父さん、お母さん、香織、みんなそこに揃っています。
 家族の顔を見ただけなのに涙が溢れます。
 今日一日の中で、こんなに嬉しいことはありませんでした。

****** 見沼教育ビレッジ (7) ******

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このブログについて

tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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