2ntブログ

Entries

見沼教育ビレッジ(番外編) ~§1 罰当番~

*** 見沼教育ビレッジ(番外編) ***
§1 罰当番

******<登場人物>**********
 新井真治/家の主人
 秋絵さん/お手伝いさん
 子供たち/高坂知美(中2)
      河合春花・森野美里(小4)
      真里菜ちゃんと明日香ちゃん(小1)
 園長先生/子供たちの小中学校の校長先生
***********************

 真治氏は施設を離れると夕方遅くいったん自宅に戻る。
 というのも、そこでまだ一仕事残っていたからなのだ。

 彼の家は高級住宅街の一角にあった。
 そこは周囲がまだプロパンガスだった時代にあって、その区画
だけ都市ガスが敷設され、水洗トイレを可能にする下水が流れて
いる。

 大きな松や槇の木が囲う彼の家は、普通の建売住宅なら五軒や
六軒も建てられるほどに広く、南欧調の外壁や青い芝生、それに
小さいとはいえプールまである。彼自慢の家だ。

 そこへ、街灯が灯る時刻になって真治氏は帰ってきたのである。

 「ああ、これから帰る。……あと5分というところかな。……
今日はお嬢さん方、来てるんだろう?……で、玄関でのお出迎え
は?……そうか二人ね?……わかった、わかった……」
 彼がご自慢のフェラーリに備え付けられた自動車電話で話すの
は、家のお手伝いさん、秋絵さんだ。

 今回、家族はみんな見沼に出かけているから、家は彼女一人に
任されていた。

 「えっ、!今日は、全部で五人も来てるの?…………なるほど、
先生を入れたら六人ね。…………こっちは大丈夫だよ。とにかく
必ず五分で帰るから、粗相のないように……」
 彼はそれだけ言って電話を切る。

 「一番上は中二か……他人の目にふれさすには、ちょいと歳が
行き過ぎてないか」
 真治氏はポツリと独り言を言ってアクセルをふかした。


 このあとは、短い道中。
 自宅に近づくと、フェラーリ独特のもの凄いエンジン音が鳴り
響くから彼のご帰還は家にいる誰にもすぐにわかった。

 「さあ、あなたたち、お仕事よ。何て言うかは覚えてるわね。
ちゃんとご挨拶するのよ」

 真治氏は車をガレージに入れ終わる頃、そんな秋絵さんの声を
聞く。

 そうやって玄関先へ回って来ると……
 案の定、その玄関先ではまだ幼稚園児くらいの女の子が二人、
手持ち無沙汰で立っていた。

 「おじちゃま、お帰りなさい」
 いずれも真治氏を見つけるとすぐに駆け寄って来て……

 一人が馴れ馴れしく抱きつき、もう一人は……
 「かばん、持ちます」
 なんてなことを言う。

 この二人、真治氏のことを『おじちゃま』だなんて読んでいる
くらいだから、もちろん彼の子どもではない。
 近くの教会に預けられた孤児たちなのだ。

 実は、真治氏。こうした孤児たちの為に、お仲間たちと一緒に
『臨時の父親』なる一風変わったボランティアをしていた。

 このボランティア、教会の子どもたちを月に一度自宅に招いて
もてなすというもので、普段なら澄江夫人や美香や香織といった
子供たちも手伝ってくれるのだが、今、自宅に帰れるのは真治氏
だけ。
 しかも具合の悪いことに彼は今週『罰当番』に当たっていた為、
どうしても自宅へ帰らざるを得なかったのである。


 『罰当番』?……
 名前だけ聞くと、まるで真治氏が罰を受けるみたいに聞こえる
かもしれないが、そうではない。
 罰を受けるのはあくまで招いた子供たちの方。
 学校や寄宿舎、それに月一回行くお招れ先などでいけない事を
した子どもたちが、教師やシスターからだけなく、外部の人たち
からも罰を与えられるという制度だった。

 「いつも顔見知りにばかりお仕置きされていると、子供たちも
慣れてしまって、お仕置きの効果が薄くなります。ここは子ども
たちの為にも、新しい刺激をお願いしたいのです」
 とは園長先生の弁。

 悪者役にさせられるお父さんたちは、当初、気が進まなかった
が、園長先生に……
 「お仕置きは愛情。こうしたことは愛情溢れるお父様方にしか
お頼みできないのです」
 と、説得されて引き受けたのだった。


 真治氏は、お出迎えしてくれた子供たちがさっさと玄関を開け
て家の中へ戻ろうとするので、試しにその短いスカートをほんの
ちょっと捲ってみた。

 すると、そこに可愛いお尻がちょこんと覗く。
 二人は慌てて自分のスカートの後ろに手をやるが……
 
 「どうした?……恥ずかしいかい?」
 真治氏が二人に笑って尋ねると、二人はそろって振り返り……
 「恥ずかしい」
 と、正直に答えた。

 約束では自ら罪を告白しスカートを捲ってお尻へのお仕置きを
真治氏にお願いするという段取りだったみたいだが、どうやら、
二人とも短い待ち時間の間に忘れてしまっているようだった。

 「そうか恥ずかしいか……でも仕方がないな、恥ずかしい事を
するのがお仕置きだから……」
 真治氏が笑うと…

 とうやら二人、真治氏のナゾに気づいたとみえて、同じように
顔がほころんだ。
 そして、さしたる躊躇もなく短いスカートを目一杯引き上げた
のである。

 ショーツを穿いていない二人だから、おへそから下は、当然、
スッポンポンだった。

 それを見て真治氏の顔がさらにほころぶ。

 「ごめんなさい」
 「ごめんなさい」
 「今日、給食の時間に喧嘩をしました」
 「あたしも喧嘩をしました」

 ちび二人はどうやらこれをやらなければならないと思い出した
ようだ。

 「そうか、……でも、今は仲良しなんでだろう?」

 「うん」
 「そう」

 「そうか、それは良かった。お友だちとは仲良しでいなきゃね」

 真治氏とちびちゃんは顔を見合わせ再び笑顔に……
 ちびちゃんたちもお臍から下を丸裸にして笑っていたのである。

 ただ、園長先生からお仕置きを頼まれている真治氏としては、
このまま解放というわけにはいかなかった。
 そこで…

 「よし、話はわかった。わかったけど、本当はそれを真っ先に
言わなきゃいけなかったんじゃないのかい?……園長先生からも
そう言われたはずだよ」

 真治氏に指摘されて二人の顔が急に曇る。
 『しまった』
 と思ったのだ。

 ただ、これは二人に悪意があったからではない。10分も前に
言われたことなど幼児は単純に忘れてしまう。
 幼児は、たとえ5分10分前であっても興味のないことを長く
意識し続けることはできないのだ。

 もちろん真治氏も子育て経験者だからそのことは承知している。
だから、この二人にも過激な事をするつもりは最初からなかった。

 彼は少しだけ恐い顔を作って、幼い二人を怯えさせると……
 スカートを持ち上げさせたまま、回れ右をさせる。
 あとは、少しだけ小さな身体を支えるようにして…

 真里菜ちゃんに三つ。
 「パン、パン、パン」
 明日香ちゃんにも三つ。
 「パン、パン、パン」
 裸のお尻を平手で叩いた。

 もちろん、これもそんなに強くは叩かない。スカートの上から
お尻の泥をはたく程度だ。

 それでも許されて振り返った時、二人は青い顔をしていた。

 「怖かったかい?」
 真治氏が尋ねると…
 「はい」
 「はい」
 と、素直な答えが返ってくる。

 でも、これはお約束の言葉。たとえ大したことのなかったお仕
置きでも良家の子女は「怖かったです」「痛かったです」「恥ず
かしかったです」と挨拶しなければならないと親や教師から教わ
るのである。

 「よし、それじゃ、スカートを下ろしてお家へ入ろう」
 真治氏が許すとたんに二人にも笑顔が戻る。

 そして、まるで我が家にお客様を迎え入れる時のように、一人
が真治氏のかばんを持ち、もう一人が彼女たちには大仕事となる
重い玄関の扉を開ける仕事を手伝う。

 微笑ましい光景のなか…
 「やれ、やれ」
 真治氏は苦笑しながら我が家の玄関を入るのだった。

 もっともこれは彼女たちが幼い為に用意された軽いお仕置き。
 年齢が上になるにつれ、お仕置きもきついものになるのは当然
のことだったのである。


 真治氏がお出迎えの二人に先導されて居間へ行くと、秋絵さん
が夕食の準備をしながら待っていた。

 「あっ、坊ちゃま……いえ、その旦那様、お帰りなさいまし…
…美香お嬢様はお元気でしたでしょうか?」
 秋絵さんはご主人への挨拶もそこそこにさっそく美香のことを
気にかけてくる。彼女が真治氏のことを今でも思わず『坊ちゃん』
と呼んでしまうのは彼がそう呼ばれていた頃から働いていたから。
 秋絵さんはこの家では家族同然だったのである。

 「ああ、あいつは強いよ。学校からいきなり施設に移したから
さぞやしょげてると思いきや、これがそうでもなかったから安心
したよ。……あげく、自分から私の跡を継ぎたいだなんて言い出
しやがった」

 「まあ、頼もしいこと。さすがは、新井家のご長女ですわ」

 「なあに、世間を知らんだけのことさ……ところで、電話では
お客さんは五人と聞いていたが、あと一人は?」

 真治氏は、すでに玄関先でお出迎えを済ませたチビ二人に加え、
居間へ来る途中、階段の踊り場で壁の方を向いて膝まづく小学校
高学年くらいの少女二人を確認している。
 ゆえに、残りはあと一人だった。

 「あと、お一人は……」
 秋絵さんはそこまで言って、少しだけ考える。
 そして……
 「あっ、その方は……ただいま、入院中なんです」
 と答えた。

 彼女の意味深な笑いは、ご主人がその謎を解いてくれることを
きっと期待してのことだろう。

 「入院中?………どういうことだ?」
 真治氏はしばし考えたが、その答えが出ぬうちに、階段を一人
の老婦人が下りてくる。

 「まあまあ、ご主人、お帰りでしたか。申し訳ございません。
さっさと上がり込んだうえにご挨拶にも遅れてしまって……私、
ちょっと、入院患者の方を看ておりまして……」

 オープンなこの家の居間は階上からも素通しだ。

 「こちらこそ、私一人しか参加できなくて……恐縮です」

 「構いませんよ。ご無理を申してるのは私どもの方ですから。
あ、そうそう、今回もう一人、高坂和美という生徒を連れて来た
のですが、あいにく風邪でふせっておりまして、ただいまお部屋
をお借りして休ませております。じきによくなると思いますので、
その時、またあらためてご挨拶させますわ」

 真治氏は園長先生と挨拶を交わし、そこで秋絵さんが謎をかけ
た入院患者の意味を知るのである。
 そもそも風邪でふせっている生徒を先生がわざわざお仕置きの
場に連れてくるはずもなく、またすぐ治るというのも不自然で…
真治氏はその場で、入院中とは『今、お仕置きの最中で会わせる
ことができない』という教会の隠語だと悟ったのだった。

 先生は白髪をなびかせ上品な笑みをたたえて階段を下りてくる。
 と、その途中の踊り場で膝まづく二人の少女に気づいた。

 「あらあら、あなたたち、まだご挨拶してないの?」

 立ち止まり、二人を見下ろしながら尋ねると……
 二人は恐る恐る首を振る。

 「じゃあ、早くご挨拶しなきゃ。……ちゃんと前を向いて……
さあ……新井のおじさまにご挨拶なさい」

 園長先生は命じたが、二人がすぐに向き直ることはなかった。

 膝まづく二人のスカートは、すでに目一杯の場所まで捲り上げ
られ、ピン留めされて下りてこない。ショーツもすでに足首まで
引き下ろされていた。
 そんな状態で前を向いたらどうなるか、誰でもわかることだった。

 二人は真治氏が自動車電話を切った直後からずっと可愛いお尻
を丸見えにして踊り場の壁とにらめっこをしていたのだ。
 真治氏がここへ帰ってくれば、当然その時はご挨拶しなければ
ならないのは分かっていたが、その勇気が出ないままに踊り場で
固まっていたのである。

 真治氏もまた、玄関を入るなり二人の姿を確認はしていたが、
この格好の子どもたちに声を掛けてよいものかどうかためらって、
結局は、先に居間へと入って行ったのだ。

 「あなたたち、ここでのお作法は教えたわよね。なぜ、教えた
通りにできないの。恥ずかしいなんて言い訳は許さないと言った
はずよ」

 園長先生は二人を見下ろし、真治氏に挨拶するよう命じるが、
時期を失していったん固まった身体がすぐに動くはずもなかった。

 「………………………………………………………………」
 「………………………………………………………………」
 二人は押し黙ったまま動こうとしない。

 これが玄関先で出迎えた幼稚園児たちなら人の体の表裏なんて
そんなに関係ないのかもしれないが、十歳を超えた少女にとって
は、とてもデリケートな問題であり、重い決断だったのである。
 といって、『やらない』というわけにもいかなかった。

 「さあ、どうしたの?あなたたち、ご挨拶もできなくなったの?
……さあ、前を向いて、ご挨拶なさい」
 園長先生にせっつかれ、二人の顔は益々青くなる。

 どうやら、二人の進退は窮まったようにみえた。
 しかし、それでも決断できない二人。

 「どうしたの?ご挨拶も満足にできないの。だったら、さらに
厳しいお仕置きもあるのよ。知美お姉ちゃんみたいに三角木馬に
乗ってみる?」

 さらに厳しく迫る園長先生の処へ今度は真治氏がやってきた。

 彼は、何も言わず二人のショーツを引き上げると……
 「さあ、これでご挨拶がしやすくなっただろう。……前を向い
てごらん」
 と、優しい声で促す。

 慌てて園長先生が……
 「いけませんご主人。これはお約束ですから……」
 と止めたが……真治氏は聞き入れなかった。

 彼の言い分は……
 「もう、このくらいの歳になったら可哀想です。私たちの時代
とは違いますから……ここでできなかった分はお仕置きに上乗せ
すればいいでしょう。夕飯が冷めますから」
 真治氏は優しく微笑んで園長先生を説得。

 「…………」
 「…………」
 二人は園長先生の顔色をしきりに窺います。

 そして、園長先生が『仕方ないわね』というため息をついたの
を確認すると、やおら前を向き、あらためてご挨拶するのでした。

 「河合春花です。本日はお招きありがとうございます」
 「森野美里です。よろしくお願いします」

 「おや、おや、こんなに可愛い顔をして……とても、こんな子
たちにお仕置きが必要だなんて思えませんけど……先生、この子
たち、何をしたんですか?」

 真治氏がその大きな手で包み込むようにして二人の尖った顎を
すくい上げると、それを見ていた園長先生が苦笑します。

 「色々ですわ。教会脇の芋畑からサツマイモを失敬したり……
図書館にある高価な本に落書きしたり……いつだったか音楽室に
あるチューバの中で蛙を飼ってたこともありましたわ。とにかく、
この子たちの悪戯を数え上げたら、今週分だけでも十本の指では
足りませんのよ」

 「そりゃあ頼もしい。男の子並みだ。私も腕白盛りの頃はお尻
を叩かれない日は一度もなかったくらいです。学校で、家で、と
毎日でした。ごくたまに一日一度もお尻を叩かれない日があった
りすると、かえって寝つきが悪かったくらいです」

 「ま、ご冗談を……」
 園長先生が手を口元に当てて笑い、春花も美里もそれには僅か
に顔が緩んで微笑んだように見えた。

 「ところで、入院患者の方は……今夜は絶食ですか?」
 「いいえ、呼んでまいります。実はまだお仕置きの最中ですの。
ただ、こうした席で食事をさせるのも、お仕置きの一つですから、
お招れさせていただきますわ……」
 「そりゃあよかった。……ところで、本日の私のお役目は?」

 真治氏が尋ねると、園長先生は緩んだ顔をいくらか元に戻して
……
 「ご見学くださればそれで……ただし、今回はお口を出さない
ようにお願いします」
 と釘を刺したのだった。


 その日夕食、テーブルを最初に囲んだのは真治氏と園長先生。
それにノーパン姿で真治氏をお出迎えしてくれた幼稚園時代から
の親友、真里菜ちゃんと明日香ちゃん。それに、こちらも階段の
踊り場で長い間待たされていた春花ちゃんと美里ちゃん。
 この六人だった。

 こうした席は、本来なら、にぎやかです。
 この催しはお招れと呼ばれ、教会の子供たちにとっては楽しみ
の一つなのです。

 『臨時の父親』を名乗るお父様のお宅へお招れした子供たちは
大歓待を受けます。
 見知らぬ家でそれまで読んだことのない本や触れたことのない
玩具に出合って、食事もご馳走です。当然、教会で食べる食事よ
り美味しいに決まってます。
 それにお友だち同士はしゃぎあっていても、少しぐらい羽目を
外していても、この日は先生も少しだけ大目に見てくれますから
この日の食事風景はどこも大はしゃぎでした。

 ですが、ここはそういった意味ではまったく違っていました。
 何しろ、ここへ来た子供たちはお仕置きの為にお招れしたわけ
ですから、他のお招れとは意味が違います。これからお仕置きと
いう子どもたちのテンションがあがろうはずもありません。

 この先お仕置きがない真里菜ちゃんと明日香ちゃんは明るい声
を響かせていましたが、四年生の春花ちゃんと美里ちゃんは口数
も少なく、どこかうつろな表情です。
 それはこれから二人にはしっかりとしたお仕置きが用意されて
いるからでした。

 そんななか、少し遅れてもう一人、このお二人さんよりさらに
深刻な問題を抱えたお姉さんが階段を下りてきます。

 ただ、彼女はすでに中学生。先生方から大人になる為の訓練を
十分に受けていますから、こうした場合も、ふて腐れたり物憂い
顔をしてはならないと自分でわかっていました。

 ですから食堂のテーブルに着く時も、ここが痛いあそこが痛い
なんて素振りは見せません。気品のある顔立ちの中に深刻な顔は
隠して真治氏の前に現れたのでした。

 「大変遅くなりました。高坂知美と申します。今晩は、お招き
ありがとうごさいました。よろしくお願いします」

 真治氏は腫れぼったい目や椅子に座る仕草を見て彼女がすでに
厳しい折檻を受けていることを見抜きますが、それ以上にその凛
とした居住まいたたずまいに感銘を受けます。

 教会の子供たちは、決してお嬢様という立場ではありませんが、
その躾はある意味お嬢様と同様、いえ、お嬢様以上に厳しいもの
だったのでした。


 夕食は秋絵さんの手料理。
 時間を掛け腕によりをかけて作った料理は近所のレストランと
比べても引けをとりません。もちろん、子供たちは大満足でした。

 『お仕置き前で食事も喉を通らないのでは……』
 などと心配した真治氏の予想を見事に裏切ります。
 子供たちは現代っ子、『お仕置きはお仕置き』『食事は食事』と
ちゃんと使い分けてるみたいでした。

 一方、食欲旺盛な子どもたちを尻目に大人たちはおしゃべりで
盛り上がります。

 話題の中心はここにいる子どもたちのこと。

 『子供たちは教会の中で、いったいどんな生活をしているのか?』
 『友だち仲は?……虐めはあるのか?』
 『学校の成績は気にしないのか?』
 などなど、真治氏としてもそれは興味津々でした。

 真治氏は残酷なまでの体罰には反対でも、体罰そのものを否定
するつもりはありませんから……
 『子どもたちが、普段、どんなお仕置きを受けてるのか』
 そんなことも園長先生にしきりに尋ねていたのでした。

 「子どもたちの生活ですか?……それは、一般のご家庭と大差
ないと思いますよ。ただ、男の子も女の子も聖職の道へ進みます
から、礼儀作法や上下関係は少し厳しいかもしれませんけど……」

 「友だち仲ですか?……教会が理想の花園でなかったら信者は
どこに行くんでしょう?ここでは仲良しで暮らすことが当たり前
なんです。子供だってそれは同じ。だから、理由のいかんを問わ
ず、取っ組み合いの喧嘩をしたらお仕置きです。それでも女の子
なので、妬み嫉みはある程度仕方がないでしょうけど……露骨な
虐めなんてしたら……いえ、やはりありえませんわ」

 「学校の成績?……多くは望みませんけど、もちろん、怠けて
いる子はお仕置きを受けることになります。……成績が落ちた罰
というより、怠けた罰を受けることになるんです」

 「どんなお仕置き?……これも一般のご家庭と大差ないと思い
ますよ。スパンキングは平手も鞭もありますし、閉じ込め、締め
出し……強い気持で子どもの胸に教訓を植えつける時は、浣腸や
お灸、晒し者にするのも選択肢の一つですわ……ただ、優しさや
愛情なしにはそんな事しませんから子供たちもついて来るんです」

 園長先生は自分の教育方針を自画自賛で説明する。

 一方、子どもたちはというと、耳の痛い大人たちの話は、極力
聞かないようにしていた。その分、食べることに集中していたの
である。

 そんな、子供たちのもとへデザートが運ばれ、『やれやれ』と
思っていた矢先のことだ。
 真治氏が、またもや彼らの食事の味を落とす振る舞いに出る。

 「ところで先生、食事の後は、どのようになさいますか?」

 すると、園長先生……
 「春花ちゃんと美里ちゃんには、お灸をすえようと思います。
日頃の『悪戯』の分も含めて、20個くらい下半身に据えれば、
お腹も温まるんじゃないでしょうか」

 園長先生の言葉はどこまでも穏やか。でも、その穏やかな言葉
の内容を二人は聞かずに済ますことができなかった。

*** 見沼教育ビレッジ(番外編)~§1罰当番~***

コメント

コメントの投稿

コメント

管理者にだけ表示を許可する

Appendix

このブログについて

tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

最新記事

カテゴリ

FC2カウンター

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR