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朝のしきたり < 第 1 回 >
❈❈❈❈❈❈❈❈ ちいちゃんの思い出 ❈❈❈❈❈❈❈❈
******* (第1章)朝のしきたり ********
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ TK(著)~~
<登場人物>
僕(小2)……ちいちゃん
長男だから何かと優遇されている幸せ者
弟(小2)……みいちゃん
僕よりちょっぴり気弱だけどとってもよい子
姉(小5)……お姉ちゃん
近所ではメジラと呼ばれ恐れられている乱暴者
茜ちゃんとも呼ばれている
従姉妹(中1)…セイちゃん
僕はマリア様みたいに思ってるお姉ちゃん
お父さん……お金にならないことばかりして暮らしている道楽者
お母さん…… 怒ると信じられないほど怖いけど普段は優しい一家
の大黒柱
おばあちゃん……お姉ちゃんにはなぜかやたら厳しいお灸マニア
お手伝いさん……ハナさん
お母さんの代わりに主婦しているおばあちゃん
***************************
❈❈❈❈❈❈❈❈❈❈ [ 第1回 ]❈❈❈❈❈❈❈❈❈❈
まあ子供とどう戯れるかはその家の個性かもしれないけれど、僕の
家はちょっと変わっていた・・・と思う。
「思う」というのは、ほかの家の子になったことがないから。
変わっているかどうかはみなさんが判断してください。(^0^)
朝、お母さんが僕たちを起こす。
「ちいちゃん、みいちゃん朝ですよ」ってね。
これはごく普通のこと。
でも、いとこやお姉ちゃんに言わせるとここからが変みたい。
いわく、
「私たちが鼻を摘んでもお尻蹴ってもあんなにすやすや寝てたのに
お母さんが呼んだだけでどうしてそんなに急に飛び起きられる
の?」
「今の声ようく聞いてないと聞こえないくらい小さな声だったのに
夢のなかまで届くのね」
二人はとっても不思議がります。
(¬―¬)
たしかに不思議だけどげんにそうなんだからしょうがない。
どんなに楽しい夢を見ていてもお母さんの声がすると二人して目が
覚めてしまう。
それがどんなに小さな声でもやっぱり同じなのだ。
そしてこれはお姉ちゃんやいとこのセイちゃんには起こらないこと
らしい。僕たち男の兄弟だけなのだ。
(^_^)
でもね、そんなことは僕らにはどうでもいいこと。
起きたらまずやることがあるからね。
(^o^)
たいてい起きるのが「みいちゃん」(双子の弟)と一緒だから競争
になるけど、お布団を蹴ったらお母さんの待つ台所へダッシュする。
(^^ /""(^^ /~~
そしてまずはお母さんの腰のあたりに体当たり。
「おっはよう~(^0^)おっはよう~(^0^)」
って言ってお母さんのエプロンで顔をすりすり。
これは僕だけじゃないよ。たいてい向こうの腰ではみいちゃんが同
じことをしているから。
(⌒o⌒)
で、これが終わるとテーブルにおめざましが用意してあるからそれ
をむしゃむしゃ。
(^3^)(^3^)
[おめざましって何だ?](@_@)
おめざましというのは・・・要するに『朝ご飯の前のおやつ』
でも、ほんのちょっぴりなんだよ。
羊羹半切れとか、金平糖が五粒とか、そんなもんなのネ
(+_+)
でも僕たちには楽しみなんだなあ・・これが・・フフフ)^o^(
で、それが終わると顔を洗って歯を磨く。
[えっ?歯磨きは食事のあとじゃないのか?](¬―¬)
固いこと言わないの。これは我が家の習慣なんだから。
でもって、パジャマを着替えたら行くところがある。
朝、きっかり起きて来るのはこのためなんだ。
子供を釣るエサにしてもあまりにショボイお菓子だけどお母さんに
義理だてして行かなきゃいけない所があるんだ。
[断れるかって?]
もち、強制(+_+)。
『今日はおめざまし食べてないからいいでしょう』なんてわけには
いかないのだ。
[それって、そんなに辛いことかって?]
辛いというより退屈なんだなあ・・(*_*)
ここにはおねえちゃんもいとこのセイちゃんもやってくる。
つまり子供たちは全員参加なんだ。
で、何をするかなんだけど……やるのはお母さんだけ。
子どもたち四人を仏壇の前に正座させると、自分もそのすぐ後ろに
正座して、古い古い蛇腹になった本を読み始めるんだ。
あまりに近くで読んでるから僕の頭に息がかかったり唾(つばき)が
飛んだりする。
(+_+)
お姉ちゃんに聞いたらあれは般若真経っていうお経なんだって。
そのわけのわからない呪文を正座して聞いてなきゃいけないんだ。
お線香の煙が部屋中漂って煙いし、退屈だし、何でこんなことしな
きゃいけないのかさっぱりわからない。
でもお母さんはだけは真剣で、よそ見なんかしてるとたちまち大き
な手が頭の上にやってくる。
でもって頭を鷲掴みにすると仏様の方へ向き直させるんだ。
おまけにただでさえ煙たくて仕方がないお線香の煙をほかの子以上
に頭に擦り込まれたりもするんだ。
お経を読みながらだよ。(;_;)
これってお仕置きだよね。(T_T)
でもお姉ちゃんに言わせると違うんだって。
でも、ちょっぴりだけどいいことだってある。
お母さんはお経が終わると、子供たちを一人ずつ抱き締めて、
「今日も一日この子がよい子でいますように」
って、仏様や観音様にお願いするんだ。
その時お顔全体で、お母さんのおっぱいをすりすりできる。
普段は、
「ほらあ、もう赤ちゃんじゃないんだから甘えないの!」
って叱られてばっかだけどこの時だけは赤ちゃんしててもいいん
だ。
これもおめざましのお菓子と同じで、ほんのちょっぴりだけどね。
(^.^)
で、これがすまないと朝のご飯にならないからお母さんはちゃんと
起きない子に厳しいんだよ。
(⌒o⌒)
「お勤めに起きてこない子に朝ご飯はありません」
ってみんなが食べてるのに僕だけ後回しになかったことがあった。
しかもその時は裸にされて仏間に連れて行かれたあと、あの呪文を
唱えながらだっこされてこれでもかってくらいお線香の煙を体じゅ
うに塗りつけられちゃった。
(T_T)
お勤めってそんなに大事なことなのかなあ。
とにかく我が家では大事な儀式なんだよね。(+_+)
お勤めが終わるといよいよ朝ご飯。
食堂に行くとお勤めの間にハナさんが料理を並べていてくれる。
ちなみにお母さんは自分で料理を作ることがほとんどない。
お父さんが言ってたけどお母さんが作れるのはサンドイッチぐらい
なんだって。お嫁に来た時はご飯もたけなかったって。
だからハナさんがお休みの日曜日の朝はいつもパン食なんだ。
でもってこの頃になるとお父さんが起きてくる。
のっしのっしって感じで、象さんみたいにゆっくりゆっくり廊下を
歩いてくるんだ。
そして眠そうにおはようって言って一番奥の一回り大きくて立派な
椅子に腰を下ろすんだ。新聞広げて。
[えっ?、お父さんはお勤めはしなくていいのかって]
いいみたいだね。それだけじゃないよ。我が家ではお父さんは全て
において特別なんだ。
[どう特別なのか?だって]
だって、遅くまで起きててもお母さんが文句言わないし、おかずも
僕たちより多いし、学校にもいかないし、お掃除も手伝わない。
とにかくいばってるんだ。
そのくせお姉ちゃんやセイちゃんにはやさしくて、お姉ちゃんなん
かお母さんに叱られそうになると「パパ~パパ~」ってお父さんの
所へすぐに逃げ込むんだ。
でも僕たちにはあんまりやさしくない。不公平だよ、まったく。
(¬―¬)
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******* (第1章)朝のしきたり ********
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ TK(著)~~
<登場人物>
僕(小2)……ちいちゃん
長男だから何かと優遇されている幸せ者
弟(小2)……みいちゃん
僕よりちょっぴり気弱だけどとってもよい子
姉(小5)……お姉ちゃん
近所ではメジラと呼ばれ恐れられている乱暴者
茜ちゃんとも呼ばれている
従姉妹(中1)…セイちゃん
僕はマリア様みたいに思ってるお姉ちゃん
お父さん……お金にならないことばかりして暮らしている道楽者
お母さん…… 怒ると信じられないほど怖いけど普段は優しい一家
の大黒柱
おばあちゃん……お姉ちゃんにはなぜかやたら厳しいお灸マニア
お手伝いさん……ハナさん
お母さんの代わりに主婦しているおばあちゃん
***************************
❈❈❈❈❈❈❈❈❈❈ [ 第1回 ]❈❈❈❈❈❈❈❈❈❈
まあ子供とどう戯れるかはその家の個性かもしれないけれど、僕の
家はちょっと変わっていた・・・と思う。
「思う」というのは、ほかの家の子になったことがないから。
変わっているかどうかはみなさんが判断してください。(^0^)
朝、お母さんが僕たちを起こす。
「ちいちゃん、みいちゃん朝ですよ」ってね。
これはごく普通のこと。
でも、いとこやお姉ちゃんに言わせるとここからが変みたい。
いわく、
「私たちが鼻を摘んでもお尻蹴ってもあんなにすやすや寝てたのに
お母さんが呼んだだけでどうしてそんなに急に飛び起きられる
の?」
「今の声ようく聞いてないと聞こえないくらい小さな声だったのに
夢のなかまで届くのね」
二人はとっても不思議がります。
(¬―¬)
たしかに不思議だけどげんにそうなんだからしょうがない。
どんなに楽しい夢を見ていてもお母さんの声がすると二人して目が
覚めてしまう。
それがどんなに小さな声でもやっぱり同じなのだ。
そしてこれはお姉ちゃんやいとこのセイちゃんには起こらないこと
らしい。僕たち男の兄弟だけなのだ。
(^_^)
でもね、そんなことは僕らにはどうでもいいこと。
起きたらまずやることがあるからね。
(^o^)
たいてい起きるのが「みいちゃん」(双子の弟)と一緒だから競争
になるけど、お布団を蹴ったらお母さんの待つ台所へダッシュする。
(^^ /""(^^ /~~
そしてまずはお母さんの腰のあたりに体当たり。
「おっはよう~(^0^)おっはよう~(^0^)」
って言ってお母さんのエプロンで顔をすりすり。
これは僕だけじゃないよ。たいてい向こうの腰ではみいちゃんが同
じことをしているから。
(⌒o⌒)
で、これが終わるとテーブルにおめざましが用意してあるからそれ
をむしゃむしゃ。
(^3^)(^3^)
[おめざましって何だ?](@_@)
おめざましというのは・・・要するに『朝ご飯の前のおやつ』
でも、ほんのちょっぴりなんだよ。
羊羹半切れとか、金平糖が五粒とか、そんなもんなのネ
(+_+)
でも僕たちには楽しみなんだなあ・・これが・・フフフ)^o^(
で、それが終わると顔を洗って歯を磨く。
[えっ?歯磨きは食事のあとじゃないのか?](¬―¬)
固いこと言わないの。これは我が家の習慣なんだから。
でもって、パジャマを着替えたら行くところがある。
朝、きっかり起きて来るのはこのためなんだ。
子供を釣るエサにしてもあまりにショボイお菓子だけどお母さんに
義理だてして行かなきゃいけない所があるんだ。
[断れるかって?]
もち、強制(+_+)。
『今日はおめざまし食べてないからいいでしょう』なんてわけには
いかないのだ。
[それって、そんなに辛いことかって?]
辛いというより退屈なんだなあ・・(*_*)
ここにはおねえちゃんもいとこのセイちゃんもやってくる。
つまり子供たちは全員参加なんだ。
で、何をするかなんだけど……やるのはお母さんだけ。
子どもたち四人を仏壇の前に正座させると、自分もそのすぐ後ろに
正座して、古い古い蛇腹になった本を読み始めるんだ。
あまりに近くで読んでるから僕の頭に息がかかったり唾(つばき)が
飛んだりする。
(+_+)
お姉ちゃんに聞いたらあれは般若真経っていうお経なんだって。
そのわけのわからない呪文を正座して聞いてなきゃいけないんだ。
お線香の煙が部屋中漂って煙いし、退屈だし、何でこんなことしな
きゃいけないのかさっぱりわからない。
でもお母さんはだけは真剣で、よそ見なんかしてるとたちまち大き
な手が頭の上にやってくる。
でもって頭を鷲掴みにすると仏様の方へ向き直させるんだ。
おまけにただでさえ煙たくて仕方がないお線香の煙をほかの子以上
に頭に擦り込まれたりもするんだ。
お経を読みながらだよ。(;_;)
これってお仕置きだよね。(T_T)
でもお姉ちゃんに言わせると違うんだって。
でも、ちょっぴりだけどいいことだってある。
お母さんはお経が終わると、子供たちを一人ずつ抱き締めて、
「今日も一日この子がよい子でいますように」
って、仏様や観音様にお願いするんだ。
その時お顔全体で、お母さんのおっぱいをすりすりできる。
普段は、
「ほらあ、もう赤ちゃんじゃないんだから甘えないの!」
って叱られてばっかだけどこの時だけは赤ちゃんしててもいいん
だ。
これもおめざましのお菓子と同じで、ほんのちょっぴりだけどね。
(^.^)
で、これがすまないと朝のご飯にならないからお母さんはちゃんと
起きない子に厳しいんだよ。
(⌒o⌒)
「お勤めに起きてこない子に朝ご飯はありません」
ってみんなが食べてるのに僕だけ後回しになかったことがあった。
しかもその時は裸にされて仏間に連れて行かれたあと、あの呪文を
唱えながらだっこされてこれでもかってくらいお線香の煙を体じゅ
うに塗りつけられちゃった。
(T_T)
お勤めってそんなに大事なことなのかなあ。
とにかく我が家では大事な儀式なんだよね。(+_+)
お勤めが終わるといよいよ朝ご飯。
食堂に行くとお勤めの間にハナさんが料理を並べていてくれる。
ちなみにお母さんは自分で料理を作ることがほとんどない。
お父さんが言ってたけどお母さんが作れるのはサンドイッチぐらい
なんだって。お嫁に来た時はご飯もたけなかったって。
だからハナさんがお休みの日曜日の朝はいつもパン食なんだ。
でもってこの頃になるとお父さんが起きてくる。
のっしのっしって感じで、象さんみたいにゆっくりゆっくり廊下を
歩いてくるんだ。
そして眠そうにおはようって言って一番奥の一回り大きくて立派な
椅子に腰を下ろすんだ。新聞広げて。
[えっ?、お父さんはお勤めはしなくていいのかって]
いいみたいだね。それだけじゃないよ。我が家ではお父さんは全て
において特別なんだ。
[どう特別なのか?だって]
だって、遅くまで起きててもお母さんが文句言わないし、おかずも
僕たちより多いし、学校にもいかないし、お掃除も手伝わない。
とにかくいばってるんだ。
そのくせお姉ちゃんやセイちゃんにはやさしくて、お姉ちゃんなん
かお母さんに叱られそうになると「パパ~パパ~」ってお父さんの
所へすぐに逃げ込むんだ。
でも僕たちにはあんまりやさしくない。不公平だよ、まったく。
(¬―¬)
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