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第3章 童女の日課(7)

<The Fanciful Story>

               竜巻岬《15》

                             K.Mikami

【第三章:童女の日課】(8)
 《悪戯オンパレード》<2>


 四人は土曜日の夕食をほとんど残していた。そして、日曜日の
朝食にも誰も手をつけようとしない。

 「帰ろうか」

 リサが言うとそれには誰も反対しなかった。どうせ食べないの
だから腹ぺこの身には目の毒になるだけ。四人とも腰を浮かしか
けたのである。すると、

 「席を離れてはいけません」
 食事係のメイドが慌てて四人を制止する。

 「どうしてよ。食べる食べないは私達の自由でしょう」
 ケイトが噛み付くとそのメイドは

 「これはペネロープ様のご命令なのです。皆様の食事の皿に、
たとえパンひとかけらでもあるうちは部屋へ帰してはいけないと
言われているのです」
 と言って譲らない。

 『そうはいってもね』
 四人は同じ思いで顔を見合わせる。たとえ、ペネロープにそう
言われてもだからといって食事に手をつける気にはならなかった
のだ。

 やがて、食事が終わり少女やレディーたちが部屋へ戻っていく
とそこへペネロープがやってきた。

 「どうしたの、ずいぶんと食が細いようだけど。どこか具合が
悪いのアン」

 「……いえ、今日は食欲がないんです」

 「昨日の夕食もだったでしょう。いくらかでも手をつけていた
のはケイトのお皿ぐらいだったかしら」

 「私、便秘ぎみなんです」
 ケイトがそう言ったとたん他の三人の厳しい視線が彼女に向く。

 「そう、そうなの。ということは……アン、立ってごらんなさい」
 ペネロープの指示にしたがってアンが椅子から腰を浮かすと…

 「スカートをあげてご覧なさい」
 アンはもちろんいやだったが、やるしかなかった。

 「そう、そういうことだったの。わかりました。……とにかく、
神から与えられた食物をないがしろにしてはいけません。童女で
あるあなたたちには特段の事情がない限り与えられた食事を残す
権利はないのよ」

 「はいお母さま」

 「それが終わったらまずシャワー室へ行きなさい。それから、
ミサよ。遅れないようにいらっしゃいね」

 「はいお母さま」

 ペネロープが去り、童女たちの顔には心なしか元気が出た様子
だった。

 「ねえリサ。シャワー室にもこのベルトをつけて入るの」

 「当然そうよ」

 「だったらショーツが…」

 「濡れるわ。でも、こんな時はお母さまがメイドに鍵を預けて
おいてくださるから新しいショーツに着替える時だけは貞操帯を
外してもらえるの」

 「え、だったらトイレへ行けるの」

 「それは無理よ。ショーツを着替える間だけだもの。でも、お
しっこはできるでしょう。シャワー室で」

 「え、シャワー室でおしっこするの」
 アリスの大声に古株の二人が角を出す。

 「ちょっとあんたたちそれでも女の子なの」

 「こっちはまだ食事中なのよ」

 こうしてペネロープの好意により四人は日曜日の朝に一度だけ
小用をたすチャンスができた。三人はさっさと用をすませてシャ
ワー室を出ていったが、アリスだけが取り残されている。

 「さあ、早くしないとミサが始まってしまいますよ。みんなの
前でお漏らしするよりここの方がよっぽどいいでしょう」

 最後まで抵抗するアリスに係のメイドがお尻を一つピシャリと
叩く。

 とたんに暖かい物がショーツの中に溢れやがて両足の太ももを
伝って降りていく。降り注ぐ冷たいしぶきの中で涙するアリス。

 「さあ、お腹のなかを空にしちゃうの。恥ずかしいなんて言っ
てられないでしょう。もうお仕置きの時までにこんなチャンスは
ないんだから……これに懲りたらつまらない悪戯はしないことね」

 泣きだしてしまったアリスに中年のメイドは教師のような説教
をして送り出してやるのだった。


 月曜日の朝、四人にとっては長いお仕置きのフィナーレがやっ
てくる。彼女たちはハワード先生が自らの創作活動や授業の合間
に憩う控え室に集められた。

 「これから、君たちには、少女たちの前で絵のモデルをやって
もらう。君たちが立派な芸術作品をこしらえてくれたおかげで、
できなくなったデッサンの授業の代りだ。ものの十五分も、同じ
姿勢を取っていればいいんだから、鞭でぶたれるより楽だろう」

 「裸で…」恐る恐るリサが尋ねると先生は即座に否定する。

 「いやいや、衣裳はあるよ。リサ、君は農家の娘だ。ケイトが
羊飼いの少年。アンは悪戯天使。アリス、君が一番いい役だ。昔
のお嬢様をやってもらおう」

 ハワード先生がそう言ってる間にメイドたちがさっそくやって
きて着付けにかかる。

 「君たちは、その衣裳をつけて私が指示する姿勢のままじっと
していればいいんだ。テーマは『哀願』。親や主人に哀願する時
の表情をリアルに絵にしたいんだ。といっても君たちは役者じゃ
ないから演技はできない。そこで…」

 彼は簡便式の浣腸器を取り出す。

 「誰でも名優になれるこの秘薬を使うことにする。これなら、
条件さえ整えば誰だって迫真の名演技をすることができるからね」

 四人は誰彼となく顔を合わせ、そして、諦めるしかないことを
確認するのだった。

 やがて準備は着々と進んで、四人全員が四つんばいに。

 『あっ』『おっ』『うっ』『えっ』

 四人のお尻にいっせいに簡便式の浣腸器が突き立てられる。
 これは日本で言ういわゆる無花果浣腸と同じようなものだが、
ここの場合、使い捨てではないために、この前は誰が使ったのか
わからない。その不安感そして不快感があった。

 量は二倍に希釈したグリセリンが三十cc。演技中にアクシデ
ントがあってもいけないし、何より二日半の蓄積があるからそれ
で充分だったのである。

 四人はさっそく舞台となるアトリエへむかう。
 すると、期せずして拍手が湧き起こった。アトリエは、四つの
ブースに仕切られており、どこでも少女たちが数人画板を抱えて
今や遅しとモデルの登場を待っていたのだ。

 リサは足枷をはめられた少女が地面にお尻をつけて上半身だけ
を起こし、神に許しを請うところ。書き割りはのどかな田園風景
だが清教徒の衣裳をまとった男達が彼女を取り囲み、告知板には
『私は淫らな行為をしました』と書いてある。

 ケイトは、羊小屋の柱に両手を鎖で縛られ、これから主人に鞭
打たれようとする少年の役。書き割りにかかれた羊の足元にコン
ドームの箱が描き足されているところがみそだ。

 アンは、大きな帆立貝を背にしたビーナスの膝の上で、お尻を
叩かれている天使の役。
 どこのブースも人物まできっちり書き割りに描き込まれている
が、ここだけは美人で評判のハワード夫人がビーナス役で特別出
演している。

 そして、アリスは、両親の前に膝まづいて哀願する少女。衣裳
から見て十九世紀後半のブルジョワ家庭であろうか。書き割りの
片隅にはすでに鞭打ちの準備がメイドたちによって整えられて
いる。

 もちろん四人の童女たちにとってはこんな舞台設定など気に掛
けている余裕はない。時折くすくすと忍び笑う少女たちの声さえ
も耳に入らないほどに彼女たちは一つのことに集中していなけれ
ばならなかったのだ。
 しかも……

 「アリス、もっと顔をあげて」

 「アン、むやみに顔を動かさない。それじゃデッサンできない
だろう」

 「ケイト、柱に顔を着けるんじゃない。顔をこちらに向けて」

 「リサ、とってもいい表情だけど、まさかもう漏らしたんじゃ
ないだろうね」

 ハワード先生が時々意地悪なことも言いながら四人を叱咤激励
してまわる。

 五分もたてば、四人とも全身脂汗でびっしょりとなり息も荒く
なる。

 十分過ぎる頃には……

 「頭を振るんじゃない」

 たとえ、そう言われてもこれ以外に薄れゆく意識を呼び覚ます
ことができない。
アリスの目にも、リサの目にも、すでに大粒の涙が光っていた。

 だから……

 「さあ、もうすぐ終わりだよ」

 ハワード先生の言葉は描く少女たちに投げ掛けられたものだが、
描かれる童女たちにとっても貴重な気付薬となったのである。

 「さあ、時間だ。おしまいだよ」

 先生はそう言うと舞台と客席の間に設けられたカーテンを引く。

 やがて広いアトリエのあちらこちから……

 「*******」

 最後まで残っていたアリスのブースでも…

 「駄目だよ。アリス。ここでやるんだ」
 ハワード先生はアリスの少女らしい哀願にも儼として突き放す。

 結局、アリスも室内便器(bedpan)に跨がるしかなかったので
ある。

 「*******」

****************************

 童女たちの日曜日はもちろん学校はお休み。でも、ミサに出た
あとの彼女達は何もすることがない。レディーになるまではTV
やラジオはもちろん、新聞さえも見ることができない。付き添い
がなければ村へも降りられないのだ。

 そんな彼女たちが決まって集まる場所があった。
 お城に付属する修道院の鐘つき堂の上だ。そこは四つの大きな
鐘の真下までタラップがあって、その一番上の段はやや広めにな
っている。ベッドとしては狭いが物思いにやふけるには重宝する
空間だったから、彼女達は違法は承知でいつもたむろしていたの
だった。

 「退屈ねえ。どうしてお母さまは私たちにテレビを見せてくれ
ないんだろう」

 「決まってるじゃない。里心がついて逃げ出すからよ。そんな
心配がなくなった子だけをレディーとして認めるの」

 「あ~あ、いつになったらレディーになれるのかしらね」

 「羽があったらなあ。今すぐ飛んでいくのに」

 と、いつものように愚痴を言い合ってる時だった。これだって
決して今日に限ったことではないのだが、突然夕刻を告げる鐘が
鳴りだす。

 「グァ~ン。グァ~ン。グァ~ン」

 「わあ、もうこんな時間なの」

 とにかく真近で鳴りだすのだからたまったものじゃない。四人
はたちまち耳を押さえるとタラップを降りていく。

 「わあ、私、耳が壊れそうよ」

 「ねえ、これからどこへ行くの」

 「どこって……行く処なんてどこにもないでしょう。鐘が鳴り
止んだらまた上に戻りましょうよ」

 「でも、今度はまた一時間後に鳴るのよ」

 「そうだ、鐘を叩く棒があるじゃない。あの膨らんでる処に布
を巻き付ければいいのよ。そうすれば音も小さくなるわ」

 「でも、ばれない」

 「わからないわ。やってみなきゃ」

 「それはいいけど。そんな適当な布があるの」

 「あるでしょう。みんな一枚ずつ穿いてるじゃない。鐘も四つ
だしちょうどいいと思うんだけど」

 「穿いてるってそれもしかして……」

 「そう、それ。形といい大きさといいちょうどいいじやない。
第一伸びるから紐で縛る必要がないわ」

 「ねえ、ケイト。それってひょっとして悪戯?」

 「そうよ。みんな、当然、協力してくれるわよね」

 「えっ……、私、昨日コリンズ先生から一ダースも鞭をらった
ばっかりよ」

 「それがどうしたの。いやなの」

 「いやって訳じゃないんだけど……」

 「大丈夫、一度やってみてあんまり音が小さくなり過ぎるよう
ならやめるわ。すぐにばれたら悪戯としても面白くないもの」

 ケイトはこう言ったが、幸か不幸かショーツ巻き付け作戦は、
頃合良く鐘の音を小さくしてくれ、実験は大成功だったのだ。

 それから二週間余り、多少音色の悪くなった城の鐘は童女たち
のショーツを巻き付けたまま鳴り続けた。

 最初はすぐにでも発見されてしまうのでは、と鐘が鳴るたびに
その音色に気を配っていた童女たちも、この頃になると四人集ま
っても鐘のことは話題にならない。当然、鐘の音が昔に戻ったと
しても誰もそれに気がつかなかった。

 そんなある日のこと。四人が揃ってペネロープに呼ばれる。
 こんな場合には まず誉められることは期待できない。ただ、
鐘の事をすっかり忘れていた彼女たちはビニール袋の中に入った
自分たちのショーツを見て初めて事の重大さに気付いたのだった。

 「これは三日前に鐘楼の定期点検にきた技師さんがご親切にも
届けてくださったものです。持ち主が分かったのでお返しします。
あなたたちのでしょう」

 ペネロープはそれだけ言うと目を閉じてしまう。
 その言葉は抑揚を押さえた物静かな調子だが、それだけに凄味
があって彼女の秘めた決意が童女たちにも伝わってくるのだ。

 四人は恐る恐る自分のショーツを手にしたが、本来ならば出る
はずの謝罪の言葉が、ペネロープのオーラに圧倒されたのか出て
こない。

 そうこうしているうちに再びペネロープがこう言い放った。

 「あなたがたは私の子供たちです。ですから私の信じる神様の
子供たちでもあるのです。その神様をないがしろにする行為は、
どのような理由があっても許されません。どのように許されない
かはコリンズに伝えてありますからそこへ行ってお聞きなさい」

 ペネロープはそれだけ言うと二度と口をきかなかった。ききた
くなかったというべきか。いずれにしても四人の童女たちはそれ
がどういう結果をもたらすにせよ、コリンズ先生の処へ行くしか
なかったのである。


 その夜、童女たちはやっとの思いでベッドに辿り着いた。本来
ならここで、今日のお仕置きはやり過ぎよとか誰々に比べて自分
のは不公平だったとか百花繚乱のおしゃべりが展開されるのだが、
今日に限っていえばどのベッドからも声がでない。

 「う~ん」

 時折、低い唸り声がするだけ。まさにそこは野戦病院の趣だっ
たのである。

 そこへ少し遅れてコリンズ先生が入ってきた。
 彼女は何も言わず四人の手当を始めるが、これにも童女たちは
何の反応もしめさなかった。

 『まだお仕置きするんですか』とか『(手当てしていただいて)
ありがとうございます』といった言葉がでてこないのだ。

 四人はなされるままに手当を受けるとそのまま眠りこんだ。
 そして、コリンズ先生もまた薄いマットと毛布を持ち込むと、
その夜は童女たちの部屋に泊まり込んだのである。


 次の日の朝、メイドがいつものように洗濯物を取りにくる。

 「さあさあ、起きてください。お折檻の翌朝だからといって、
起きなくていいというルールはここにはありませんよ」
 彼女はいつものようにシーツをはぎ取っていく。

 「さあ、手を離して」

 リサのベッドへやってくると、寝坊助が思わず自分の寝ていた
シーツを掴んで離さない。

 二人の睨めっこがしばらく続いた後、メイドに促されてリサは
渋々手を離したが、おかげて自分の粗相がばれてしまう。

 「……しょうがないね。子供ならよくあることだけど…」
 メイドはため息をつく。
 「私の親もきつい処のある人だったから私もたまにありました
よ。すると翌朝さらに折檻が増えてね。子供って何て不幸なんだ
ろうって恨んでましたっけ…」

 事情はアリスも同じだった。あまりのショックやストレスに、
生理的な機能が追い付かなかったのだ。

 「おやおや……昨日のお折檻はよほどきつかったんでしょうね。
もっとも、ペネロープ様にしてみれば、あの鐘は革命で焼け落ち
たご実家のお屋敷に唯一残ってた遺品ですから大切になさるのも
無理はないですけどね。あんたたち、手をつけたものが悪かった
のよ」

 ケイトだけはそっぽを向いたままでシーツは掴まなかったが、
やはり事情は同じだった。

 「さあ、用がすんだらさっさと出ていきなさい。こちらには、
まだ大事な仕事が残ってるの」

 おしゃべりなメイドに何もかもばらされてはたまらないと思っ
たのか、コリンズ先生はメイドを追い返してしまう。実際四人に
対するお仕置きは昨夜の折檻でもまだ終わってはいなかったのだ。

 「今日のシャワーはありません。みなさんは、これで体を洗い
ましょう」
 メイドを追い出したあとコリンズ先生は洗面器にお湯を用意
する。

 四人は痛む体をおしてその場でネグリジェを脱がなければなら
ない。素肌が現われると昨夜受けた鞭傷が体のあちこちに残って
いるのがわかる。胸、お腹、 背中、太もも、もちろんこんな事
は今までに一度もないことだった。

 「では、もう一度ベッドに横になりなさい」

 コリンズ先生の指示に四人は無言で従う。

 二度にわたる高圧浣腸、雨霰と降り注いだ鞭、意識朦朧となる
まで言わされた懺悔の言葉、その他筆舌に尽くしがたい責め苦の
数々が彼女たちから一切の言葉を奪っていたのだ。

 コリンズ先生は、四人の両手足を大の字にしてベッドポストに
括り付けると、やんごとなき刑罰執行人の到着を待った。

 先生はこれから先何が起こるかを説明しないが、この不自由な
姿勢が意味するものの答えは簡単に導きだすことができる。ただ、
だからといって特段の恐怖も湧かなかった。彼女たちはそれほど
までに疲れきっていたのである。

 やがて、この朝の儀式をつかさどる司祭がメイドを一人つれて
やってきた。

 『やっぱり』
 四人は思う。

 彼女は何も言わず入ってきて、あたりを一瞥、そのままアンの
ベッドへと押し掛ける。そして、これまた何も言わず、いきなり
アンのネグリジェの裾を捲り上げると、ショーツをほんのわずか
割れ目が見える程度まで引き下げたのである。

 そのあとはアンが予想していた通りのことが起こっただけ。

 『……う~……熱い……痛い……いや……助けて……』

 ペネロープは昨夜の折檻で痛んだ体を癒すべくあちこちのつぼ
に灸を下ろしていく。これに対しアンは自分のお腹の方からほの
かに立ち上る煙をぼんやりと眺めながら五分間も顔をしかめ続け、
心の中で苦痛を叫び続けたのだった。

 「よい子になりますか」

 最後にペネロープが諭しても、すぐには答えが返ってこない。
今の彼女はそれほどまでに必死に耐えていた。熱さにというより、
体に火を付けられたというショックに……そして何より取り返し
のつかない粗相に耐えていたのだ。

 コリンズ先生が
 「さあ、よい子になりますっていうの」

 アンの耳元で口添えしたので、やっと……

 「よい子になります」
 という言葉がアンの口から出たが、彼女はこの時すでにかなり
の量を失禁していたのである。

 慌てたコリンズ先生が
 「あらためて浣腸しましょうか」
 と提案したが、ペネロープはそれには首を振る。

 実際、幸か不幸か他の子は、先におねしょをした為そのような
問題は起きなかった。

 ペネロープは、他の三人に対しても同じ灼熱地獄を加えると、
そのいずれからも「よい子になります」という約束を得て部屋を
出て行ったのである。

 『やれやれ』
 四人の思いは同じだった。

 四人にやっと生気が戻る。ところが、ここまでやってもまだ、
四人に対するお仕置きは終わらなかったのである。

 次の日から二十日間、四人は普段より一時間も早く起こされる
と、中庭へ集合。キャミソールとショーツだけの出立ちで、ある
特殊な体操をやらされたのだった。

 「ショーツをおろして、両手は頭の後ろ…前かがみになります。
……アン、もっと頭を低くするの。ほら、もっと。もっと。……
全員が揃わないと先へ進まないから他の子に迷惑がかかるわよ」

 こうして全員がお尻を高く上げるポーズを取ると、彼女たちの
後ろで控えていたメイドたちが、革紐鞭を四人のお尻に一撃ずつ
ゆっくりと間をおいて放っていく

 「ピシャ」

 「アン、こんなことぐらいでぐらついてどうするの。あなたは
この中じゃあ一番のお姉さんなのよ」

 「ピシャ」

 「リサ、姿勢を崩さないの。あまりにだらしないと、やり直し
させるわよ」

 「ピシャ」

 「ケイト、もっともっと、お尻を高く上げて。あなただけまだ
お尻が低いわよ」

 「ピシャ」

 「アリス、しっかりしなさい。あんた寒いの。お膝が笑ってる
わよ」

 コリンズ先生は全員が正しい姿勢で静止できるまで待ってから、

 「体を元に戻して。……ショーツを上げて。……きおつけ。…
………もう一度ショーツを下ろして。……今度はしゃがみます」

 その場にしゃがみ込んだ彼女たちの足元には、小さな篭が二つ
用意してあって、その一つには何枚もの真新しいハンカチが入っ
ている。その一枚を抜き出すと、

 「……アリス、まだ早いわよ。やり直し。前から後へ、全部、
きれいに清めるのよ。それには最低でも二十秒はかかるでしょう。
ちょこちょこなんてのはだめよ」

 ここでしゃがんだまま性器や肛門をハンカチで奇麗に拭き取る
と、次の号令でそれをもう一つの篭に入れて立ち上がるのだ。

 「よろしい。ショーツを上げて立ち上がります。……きおつけ。
腰に両手を当てて休め」

 これで一回りだ。ほどなく、

 「きおつけ。ショーツをおろして、両手は頭の後ろ…前かがみ
になります」

 次の回の号令が始まる。

 童女達は、この鞭とお尻拭きのセットを毎朝二十回もやらされ
るのだ。噂を聞きつけて少女たちにの中にも早起きが増える。
 とりわけしゃがんでのお尻拭きはトイレを見られているようで
これまでにない恥ずかしさと羞恥心を童女たちに与えた。

 「もう、慣れたわ」

 アンもケイトもリサやアリスが愚痴を言うたびにそう言い返し
続けたが、心のなかは違っていた。あのお尻拭きのポーズは何度
やっても何度見られても、やっぱり恥ずかしいのだ。

 彼女たちがこの屈辱的な体操から解放され、やっと今回の事件
でのお仕置きが終了したのは十一月も末、もうあたりは冬の装い
に変化し始めていた頃だったのである。


******************<了>*****

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このブログについて

tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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