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第11章 貴族の館(7)

            第11章 貴族の館

§7 修道院学校のお仕置き(5)
   地下室見学ツアー<4>

 クライン先生はアリーナの前にしゃがみ込むと、幼いの両手を
とって諭す。
 「仕方がないわね。私、これでも慣れないあなたの為を思って、
随分加減して鞭を当ててたのよ。でも、動いた以上、新たな罰を
与えなければならないわ」

 「ごめんなさい」
 アリーナの口からも子供らしい言葉が漏れた。

 「先生、それはもうよろしいじゃありませんか。今日は私達が
お邪魔したので余計なプレッシャーを与えてしまったみたいです
し……」
 ニーナ・スミスがとりなしたが……

 「お気持は嬉しいんですけど、スミスさん、これはこの学校の
決まりなんです。生徒とは約束があって、『ちゃんと予定通りの
お仕置きを我慢したら、お友だちには自分の恥ずかしい姿を見せ
なくていい』という事になっているんです」

 「そうなんですか」

 「それを多少の有利不利で見逃すと、他の子達も些細な理由を
つけて罰を逃れようとします。それでは示しがつきませんから…」

 「わかります。私も子供達を預かっていますから……アリーナ
ごめんなさいね」
 ニーナ・スミスはアリーナの為に力になってやれない代わりに
その子り頭を優しく撫でた。


 大人達はさっそく準備に取り掛かる。
 クライン先生はさっそく舞台を見上げて担当のシスターに合図
を送り、その舞台の下では角材を口の字状に組んだ大道具が運ば
れてきた。

 そんな自分をお仕置きするためだけに働いている大人達の姿を
アリーナはどんな気持で眺めていたのだろうか。

 アリーナは普段あまり人から頭を撫でられる事を好まなかった。
だが、この時ばかりはニーナの大きな手が自分の頭頂部をさすっ
ていてもそれを払い除けようとはしない。

 「…………」
 今はどんな人肌さえも恋しかったのである。


 一方、舞台の上では……
 これまで大きな背もたれが目隠しになり、お友だちのお仕置き
を見学できないでいた子供たちが、今それを目の当たりにしよう
としていたのである。

 シスターが、座板の上で組んでいた両手を組み解く許可を出す
前にこんな注意をする。

 「今日は、一人、ちゃんとお仕置きを受けることができない子
が出てしまいました。あなたたちは、これからその子が受けるお
仕置きを心の中に焼き付けて、粗相のないようにお仕置きを受け
てください。わかりましたね」

 「はい、シスター」
 ほとんどの子が返事をしたが、シスターは声の聞こえなかった
子を見逃さない。

 「ベッティ。ご返事がありませんよ。聞こえましたか?」

 「はい、シスター」
 ベッティは渋々答える。

 もしも異性なら、いくらかでも興味がわくのかもしれないが、
同性のそれも年下の子の悲惨なんて見たくもなかったのである。
とはいえ、ベッティだって返事をしないわけにはいかなかった。

 「それから、これは大事な事ですから、ようく聞いてください。
これから見学するお友達のお仕置きを決して笑ってはいけません。
もし、他人の不幸を笑うような人がいたら、即刻舞台を降りて、
その子と同じ罰を受けてもらいます」

 「はい、シスター」

 「それと、ここでの様子は地上に戻っても決して誰にも言って
はいけませんよ。そのようなおしゃべりな子がいたら、やはり、
同じ罰を、今度は月曜日のミサの席で受けてもらいます」

 シスターはあらためて子供達の顔を覗き込んでからこう続ける。
 「もし、どうしてもおしゃべりがしたくなったら、全校生徒の
前でのお仕置きがどんなものかを、一度自分の頭の中で想像して
から、おしゃべりなさい。いいですね」

 「はい、シスター」

 舞台上でそんな注意がなされていた頃、舞台の下ではアリーナ
が大きな角材を口の字形に組んだ窓枠のような中で、バンザイを
させられ、Yの字の姿勢で固定されていた。

 信頼していたクライン先生にまで脅され意気消沈のアリーナは
大人達のなすがまま。服こそ着ていたが、両手は革紐で高く引き
上げられ、両足は爪先立ち。痛くはなくても決して楽な姿勢では
ないのだ。

 そんなアリーナが人心地ついて顔を上げると、そこで色んな顔
に出会った。

 平然と舞台の下を覗き込む者、両手で顔を被いながらその指の
隙間からこちら窺う者、背もたれの隅から覗く者など人の様子は
さまざまだが、すでに懺悔室に呼ばれてこの場にいないローザを
除き全員が楽しげにアリーナの方を見ていた。

 『ふう~~いいわね、こいつら』
 アリーナはため息をつき、素直にそう思う。

 子供は刹那刹那で生きている。自分だって、そう遠くない将来、
泣き叫ぶ運命にあるはずなのに、それが今の今でなければ彼らは
平気ないのだ。
 だからこうして友だちが受難にあっているのを見ると、それは
それで楽しい見世物だったのである。

 ましてや、さっきまで背もたれの壁を見ながら座板の上で両手
を組まされていた彼らにとっては、今の開放感が心地よかったの
だろう。たちまち、おしゃべりが始まっていた。

 「ねえ、あの子、どうなるの?」
 「知らないわ」
 「わたし、知ってる。あれってね、前のお尻をぶつための装置
なの。前に見たことあるもの」
 「前のお尻ぶつの!?」
 「たぶんね」
 「わあ、残酷」
 「でも、お尻より痛くないみたいよ。私が見たその子、痛そう
だったけど、痛そうにしてなかったもの」
 「どういうことよ?」
 「だから、お尻より痛くなかったってことじゃない。顔はしか
めてたけど、ものすごく大変って顔じゃなかったもの」
 「あ、私も見たことあるわ。ぶたれたところは見てないけど、
晒し者されてたわ。その子の場合はね、大の字にされてたの。両足、
目一杯広げさせられてて……」
 「わあ、それって拷問じゃないの?」

 話の内容はキツイが、誰もが自分の事は忘れて楽しそうに会話
していたのである。
 そこへ、何とシスターまでもが……
 「大の字どころじゃないわ。私の子供の頃なんか、逆さに固定
されて、逆大の字にされてた子が何人もいたのよ。今はそんな事
をされないだけでも感謝しなきゃ」

 「逆さまに!?」
 「じゃあ、スカートが捲れて、ショーツ丸見えじゃない」

 「それどころじゃないわ」
 シスターは悪戯っぽく笑う。
 「だって、そんな子は始めから服なんて着てないもの」

 「えっ!!じゃあ、お股、丸見え?」
 「そんなあ、……そんなのあまりに可哀想よ」
 「うっっ、想像したくないな、鳥肌たっちゃう……」
 こう言って自分での自分の胸を抱くその少女も顔は笑っていた
のである。

 「昔の子供に羞恥心はなかったの」
 シスターの言葉に……
 「うそ~~~」
 子供達全員が反応する。

 「……正確に言うと、あってはいけなかったの。大人達にそれ
を訴えても『気のせい』『気のせい』って言われ続けたわ」
 「どうして?」
 「子供をいつでも大人の言う通りにさせたかったからよ。……
お仕置きのたびに恥ずかしい恥ずかしいって言われたら何もでき
ないでしょう」

 「そんなの今でもよ。ちょっとでも、お父様やお母様、先生の
ご機嫌を損ねると、誰が見ていてもお尻をむき出しにしてぶつん
だから。羞恥心なんて認められてないのと同じだわ」

 「それでも、私達の頃から見れば、あなた達はずいぶん楽なの
よ。昔はもっともっと破廉恥な罰が多かったんだから……でも、
今日のあの子はそんなに厳しい折檻にはならないはずよ」

 「わかるんですか?」

 「だって、服は着てるし、大の字じゃなくYの字縛りだし……
何より担任のクライン先生があんなに穏やかな顔をしてるもの」

 シスターは伯爵一行と一緒に歓談するクライン先生を見ている。
 彼らは、次に泉へとやって来たローザと担任のフォン・ボルク
先生の動向を見つめて、自分達が晒し者にしたアリーナの方には
あまり関心を示さなかったのである。
 アリーナのことが本当に一大事なら、こんな態度は取らないと
シスターは判断したのだ。

 そのローザと担任のフォン・ボルク先生の組もやっている事は
クライン先生がアリーナにした事と大差なかった。
 ローザは汚れたお尻を綺麗に洗ってもらい、発育検査を受け、
熱い鞭に臨む。

 そこまで確認してから、一行は思い出したようにアリーナの処
へと戻って来たのだった。

 「どうかしら、久しぶりに見たお友達の顔は?」
 クライン先生がアリーナの耳元で囁く。

 「…………」
 アリーナがそれに答えられずいると……

 「覚悟はできたかしら?」

 「…………」
 それに対するアリーナの答えは小さく唇を噛むこと。

 「恥ずかしい?」

 「…………」
 それには俯いてみせた。

 「仕方がないわね。でも、やらないと終わらないわ。…………
ね、終わらせてしまいましょう」

 「はい」
 やっと、小さな声がでた。

 クライン先生はアリーナの藍色のプリーツスカートを無造作に
捲りあげて、その裾をピンで留める。すると、そこに残ったのは
血色のいい少女の太股と白いショーツ。

 「…………」

 さらに、その白いショーツにも手をかけて、それを太股の辺り
まで引き下ろすと、その白い綿はドーナツのように丸く円盤状の
厚みを残してそこに留まっている。

 「…………」

 残ったのはお臍の下に広がるぷっくりとした膨らみと割れ目。
 これが子供達が最善言っていた『前のお尻』
 それはアリーナが間違いなく幼い女の子である事を示していた。

 「さあ、勇気をもって大きな声で言うのよ。『私はお仕置きを
果たせませんでしたから、新しいお仕置きをいただきます』って」

 アリーナは先生の言葉を耳元で聞いて、それを言葉に出さなけ
ればならない。

 「私はお仕置きを果たせませんでしたから、新しいお仕置きを
いただきます」

 でも、それはあまりに小さい声だったので……
 「もう一度。もっと大きな声で」
 再びクライン先生が囁く。

 「私はお仕置きを果たせませんでしたから、新しいお仕置きを
いただきます」

 今度はいくらか大きな声にはなったが……
 「もう、一度。もっと大きな大きな声で」
 再度、クライン先生が囁く。

 「私はお仕置きを果たせませんでしたから、新しいお仕置きを
いただきます」

 やっと、アリーナから大きな声が出た。大粒の涙と一緒に……

 女の子が、普段は人に見せない処を見せながら叫ぶ大きな声。
涙も美しいアリーナの肢体に、カレンは思わず引き込まれた。
 それまで、あまりにも厳しい折檻に目を背け続けてきたカレン
なのに、この時ばかりは、年下の女の子の純粋な美しさに心引か
れたのである。

 そして……
 クライン先生が、手にした房鞭でアリーナの前の膨らみを叩き
始めると、突き上げる慟哭の感情と共に一つのメロディーが頭の
中を支配する。

 『美しいわ!女の子って、こんなにも美しいんだ!』

 カレンはあらためて鞭打たれるアリーナを見ながら感動する。
 11歳と侮るなかれ、アリーナが鞭の痛みからそれ以外のもの
得て身体を美しく変化させていく姿がカレンには見て取れるのだ。

 カレンは女の子たちへのお仕置きが、実は、性のレッスンでも
あることをその豊かな感受性ですでに嗅ぎ取っていたのだった。

 ところが、そんな外野の思い入れはともかく、当のアリーナは
というと、とにかく恥ずかしかった。この場にいたくなかった。
逃げ出したかった。先生からお臍の下を叩かれている鞭の痛みは
お尻を叩かれることを思えばぐっと楽なのだが、とにかく恥ずか
しくて恥ずかしくて居たたまれないのである。

 もちろん、大人達の前で裸になってウンチを処理してもらったり、
むき出しのお尻を鞭で叩かれたりすることだって恥ずかしい事に
違いないが、子供にとって大人というのは親切にしてくれる大事
な人たちではあっても普段は別の世界に住む異邦人たち。これに
対して、日頃から顔を合せ、いつもおしゃべりのネタを提供しあ
っている同世代の子供達は、アリーナと同じ世界に住む同郷人だ。
同じように醜態を晒していても、アリーナには恥ずかしさの重み
みたいなものがまるで違っていたのである。

 「なるほど、これが地獄部屋と言われる由縁なんですね」
 ニーナ・スミスがすべてを察して伯爵に語りかけると、伯爵も
……
 「見る方も、見られる方も、地獄なんです」

 「どうして?見られる方は恥ずかしいでしょうけど、見る方は
楽しいじゃない?みんな笑ってるし……」
 おしゃまなグロリアが割り込む。

 「とこかろが、そうでもないんだ。グロリア、君はここで見た
ことを、生涯、誰にも話さないでいられるかい?」

 「えっ……」

 「これを見学した子はここで起こった事を誰にも言えないんだ。
その約束をずっと守れるかい?」

 「……大丈夫だよ。先生とのお約束だから……」
 グロリアは伯爵に笑って答えたがその笑顔は少し自信なさげに
見える。

 「普段は黙っていられても、この部屋の事がお友達の中で話題
になった時、思わずおしゃべりしてしまった子が何人もいるんだ。
そんな子は間違いなくこの部屋へ呼び出されて、その時たまたま
居合わせた子供達の前で、自分が話した事と同じ内容の罰を受け
なければならないんだ。半年たって、一年たって、思わずおしゃ
べりしたばっかりにここで痛い思いや恥ずかしい思いをした子は
たくさんいるんだよ。そんないつ爆発するかわからない時限爆弾
を卒業するまで背負わされるなんて、僕は残酷だと思うけどなあ」

 伯爵の言葉にニーナ・スミスが反応する。
 「たしかに、女の子に『おしゃべりをするな』『嘘をつくな』
と言うのは酷ですわ」


 結局14回。アリーナはお友達が見ている前で曝け出したお臍
の下をクライン先生から鞭打たれた。

 房鞭は一回一回ではそれほど強い衝撃はないものの、さすがに
10回を過ぎればお臍の下の痛痒さが増して苦しくなってくる。
それがピークになった頃、アリーナは戒めを解かれたのだ。

 「よかったわね、アリーナ」

 ニーナ・スミスがあらためてアリーナを迎えてくれたが、ただ、
これでもアリーナのお仕置きがすべて終了したわけではなかった。

 アリーナと同じようにお尻洗いに抵抗し、成長検査を嫌がり、
お尻への鞭で暴れたお友達のローザと二人並んで、大きな木馬に
乗せられたのだ。

 二人は、木馬に乗る前、それぞれの担任であるクライン先生と
フォン・ボルク先生から服を脱がされたが一切何の抵抗もしなか
った。まるで、幼児が母親から着替えさせてもらう時のように、
ただじっとしていたのである。

 『ここへ来たら、言われるままに行動し、必死に耐えなければ
ならない』
 彼女達は大変な思いをしてそのことを学んだようだった。

 アリーナとローザはキャミソールと短ソックスだけを身に着け
て、これからたっぷり一時間、大きな木馬を揺らし続けなければ
ならない。
 もし止まってしまうと、木馬から下ろされてお馬さんの代わり
に騎手の方がお尻を鞭で叩かれることになるからだ。


 「この先はまだ何かありますの?」
 ニーナ・スミスが尋ねると……

 「5から7号路の先にもそれぞれ個室があって、素行に問題の
ある子や成績に問題のある子が特訓を受ける場所になっているん
ですが、そこには我々は行けないんです」

 「そこって、一日中お仕置きされる処でしょう」

 グロリアが口を挟むと、伯爵は少女を胸の上まで抱き上げて…
 「そうだよ、14歳から上のお姉ちゃまが一日中、色んな先生
から交代交代で訓練を受けるんだ」

 「学校にもその部屋から通うんだよね」

 「そうだよ、朝起きた時と寝る前には必ずお浣腸とお鞭の罰が
あるしね、学校に着て行く服もそれ用の特別なものなんだから、
とっても恥ずかしいし……学校で、ちょっとしたミスを犯しても
お尻に鞭が飛ぶしね。色々と大変だよ。毎日が地獄の苦しみなん
だ。………でも、14歳を過ぎてるからね。ここでは大人として
扱われてて先生や司祭様意外、罰を見学することはできないんだ」

 「なあんだ、つまんないの」

 「グロリアはお転婆さんだから。こんな処に入れられないよう
に注意するんだよ」

 「わかった」

 グロリアは元気よく答えたが…
 「本当かい?」
 伯爵は微笑みながらグロリアの赤いほっぺを人差し指でぷにぷ
にする。そして……

 「さあ、帰りましょう」

 一行はこうして地下室でのお仕置き見学ツアーを終え、地上の
明るい陽の光の世界へと戻っていったのである。

********************(7)****

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tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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