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12/29 ぼくんちの食事風景

12/29 ぼくんちの食事風景

 このブログで、僕はよくお母さんに溺愛されてたとか、過保護
だったとか自慢(?)してるけど…それって、大人になった今だか
らそう思ってるだけで、子供時代はそんな風に思ったことなんて
一度もなかった。

 日常生活で、空気や水の存在をいちいちありがたがらないのと
同じで、子供時代、母親のしてくれてることはごく当たり前の事
だったからだ。

 むしろ、少しでもそれが気に入らないと『うざったい』としか
思わない。
 子供なんてわがままな世間知らずだから、これが自然なんだ。

 そんな子供時代、母親がやってたことで一番うざったいことが
食事だった。

 普通の家庭では、よほどの幼児でもない限り、食事って一人で
するもんだと思うけど……うちの場合は、小学校時代を通して、
母が膝の上に抱くか、すぐそばにひき寄せて、スプーンで食べさ
せるのが一般的だった。

 もちろん全てじゃない。大半は一人で箸を使って食べるんだけ
ど、嫌いな物があると、どうしてもそこには箸をつけたがらない。
 そんな時、母は僕たち兄弟を幼児とみなして、身体をぐぐっと
引き寄せて拘束すると、その嫌いなもの……例えば、ほうれん草
なんかをスプーンに乗せて、僕たちの口に運ぶのである。

 当然、食べたくないから口を閉じているのだが……
 「あ~~~ん、しなさい」
 こう言って口を開けさせる。

 逆らうと、鼻を摘まれるから苦しいし、大きな顔が目の前に迫
ってくるから、怖くて口を開けるしかなかった。

 「噛み、噛み、しなさい」
 こう言われながら頭を撫で撫で……顔は笑顔に戻っているが、
飲み込むまでは監視されているからごまかせなかった。

 仕方なく口の中で何回かくちゃくちゃやって涙目で飲み込むと
ほっぺすりすりがご褒美だった。
 ちなみに、僕はほうれん草とプリンやゼリーが苦手だった。

 うざったいけど……
 「好き嫌いがあると大きくなれないのよ」
 と言われると仕方がなかった。

 こうして、お母さんのご機嫌をとったあとは、大好きなお肉。
 これだって、一般家庭じゃまずやらないだろうなと思う方法で、
うちでは食べることになるのだ。

 まず、お母さんがお肉を口の中に入れてもぐもぐする。
 こうして柔らかくなったら、(昔のお肉は今と違って固かった)
それを口の中に箸を入れて取り出し、もう一度ソースを付けて味
付けすると、スプーンに乗っけて僕の口元へ……

 ま、普通の人の感性なら、『そんなもの食べられるか!』って
なもんだろうけど……
 僕はお母さんの唾のついたお肉を喜んで食べていた。

 だから……
 「美味しいか?」って聞かれると、当然のように「おいしい」
って答えたんだ。

 母だってそこは同じ。僕が吐き出してしまった食べ物を平気で
食べてたもん。親子なんだからこれが普通なんだ。

 今は、『母親の口の中の菌が子供に移る』とか言って、そんな
ことはしないみたいだけど、いいじゃないか、あとで歯を磨けば
いいんだから……

 お仕置きもそうだけど、今の世の中、親子のスキンシップを削
ぐ方向ばかりで動いてるもんだから、今の子は知識としての善悪
は知っていても、感性で善悪を感じ取れてないよね。罪の意識が
どっか他人事。客観化され過ぎちゃって実感が伴ってないんだ。
だから、何かのきっかけで容易に犯罪へ走っちゃうんだよ。

 こんなことやってて、子供が本当に幸せな人生を送れるのかな?
って思っちゃうよ。

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tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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