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6/11 女の都 ~16~

6/11 女の都 ~16~

*)本日、体調不良で筆が進まなかった。
 つまらないので無視してください。次回、また頑張ります。


 ケイトにとって夜の読み聞かせは、オナニーを指摘されて仕方
なくやり始めたことでしたが、妹たちのたくましい想像力に触れ
るうち、ケイト自身も夜のベッドが楽しくなります。

 ナンシーやエリザベスは自ら描いたイラストをはめ込みますし、
マリアやポーラは自分で作曲したメロディーをBGMに使います。
エレーナやローラにいたっては、想像力がたくまし過ぎて原作は
題名と固有名詞以外何も残っていませんでした。

 それでも楽しかったのは妹たちの感性が豊かだったから……

 『この子たちって、お勉強だけじゃなくて、芸術的なセンスも
相当なものだわ。やっぱり頭の良い子って何やらしても非凡なの
ね』

 感心しきりで付き合ううちに、ケイトはキーウッド先生が指摘
する男の子らしい受け止め方という意味が少しずつ分かってくる
のでした。

 「私、あの子たち見ていて思うんです。『この子たちって単純
に悲劇が嫌いなんじゃなくて、自分の力ではどうすることもでき
ない現実に耐えられないんじゃいか』って……女の子って色んな
ことに感情移入しますけど、それってあくまで『私』っていう殻
の中から見ているだけで、その問題に本気で同化なんてしません
もの。私は私、あなたはあなた、そんなこと当たり前なはずなの
に、あの子たちときたら、どんな些細な事にもその気持がすぐに
同化してしまうみたいで……だから悲しいお話に耐えられないん
じゃないかって思うんです」

 それをキーウッド先生にぶつけてみますと……

 「それがわかれば立派なものだわ。あなた明日から教師になれ
るわよ」

 「茶化さないでくださいよ」

 「茶化してなんかいないわよ。中学生とは思えない洞察力だわ。
……要するに男の子ってね、自分とは何の関係もないことにまで
純粋に自分の事として置き換えてしまうの。心がうぶなのよ」

 「だって、それは誰だって……」
 ケイトが思わず口走ると……

 「本当に?」
 キーウッド先生は疑わしそうにケイトの顔を覗く込みます。

 「えっ!?」

 「だってあなたが言ったのよ。女の子は自分の殻を破って同化
なんかしないって……」

 「あっ、それは……今はそうというだけで……幼い頃は……」
 ケイトは言葉に詰まります。

 「私たちは外からの情報と自分をはっきり分けて考える習慣が
ついてるけど、男の子ってね、年齢がいってもそれがあいまいな
子が多いの。常に自分が矢面に立ってるって気持でいるのかな。
だから、どんな事にも『自分が、自分が』ってことにこだわるで
しょう」

 「ええ、それは感じます。たとえそれが偶然でも、他人が助け
てくれたにしても、とにかくうまく事が運べば、めでたし、めで
たしでいいじゃないですか。みんなで『よかったね』って喜べば
いいと思うんですけど…それが、あの子たち駄目みたいなんです。
お友だちがせっかく解決策を教えてあげてるのに、とたんに真っ
赤な顔して怒り出すんです。……おかしいです。……そのあたり
ちょっと、変わってます」

 すると、キーウッド先生は笑い出します。
 ケイトにとってはそれってとっても意外な反応でした。

 「私、おかしなこと言いましたか?」

 「いいえ、あなたは女の子なんだし、それは真っ当な考えよ。
でも、男の子は違うの」

 「えっ?どういうことですか?」

 「『自分はこれができる。これができた』ってこと。それが、
あの子たちの値打ち。プライドなんですもの。女の子の場合は、
逆でしょう。たとえ、自分でそれができるにしても『人がやって
くれた。やってもらった』ってことが嬉しくないかしら……」

 「えっ!?……(それはそうですけど)でも、結果が同じって
ことは、それって単なる自己満足にすぎないってことじゃあ?」

 「そう、自己満足よ。大いなる自己満足。でも、それが私たち
には欠けてるの」

 「どういうことですか?」

 「人間の歴史は、いわば馬鹿げた自己満足が沢山集まって発展
してきたようなものなのよ。一つ一つは愚かな行為でもそれが山
と集まった中に未来の発展を約束するダイヤモンドが隠れている
ものなの。他人に同情してもパーフォーマンスだけで、自ら手を
差し伸べない。何をやるにしてもすべて他人がやってくれる事を
期待するというのでは社会は発展していかないわ」

 「……????それって……ひょっとしてオニオン星への批判
でしょうか?」

 「そう捉えてもらっても結構よ。この500年間オニオン星は
実質的に女だけでやってきた。それはそれで穏やかで平和な社会
だったかもしれないけど……でも、それでは進歩は止まったまま。
周りの星からも、置いてけぼりをくってるのが現実なの。だから、
もう一度、今、男の血を入れようとしているのよ」

 「男性が社会にいないと進歩しないってことですか?そんなの
おかしいです。この500年間、この星からだって色んな発明や
発見が出てますよ」

 「確かに小さな改良はいくつもあるけど、でも、他の星々にも
自慢できるような大きな発明や発見があったかしら?」

 「そういうのは……他の星から特許を買って……」
 ケイトの言葉は途中から弱々しくなってしまいます。

 「それってジリ貧ってことよね。決して良いことではないわ。
この星にも研究者はいるのよ。頭のよい子もたくさんいるわよ。
でも、何かにつけ人の目が気になる女の子たちにとって、結果や
成果は二の次になりがち。おざなりな意欲では競争に勝てないわ。
人の目を無視して、どうあってでも自分の夢を叶える、自分の力
で成功させるという強い信念は、やはり男性に比べれば、女性は
弱いものなの。だから、そうした風土を変えていく為にも、社会
の中で男性をもっと増やさなきゃって……上層部も思い始めてる
わけ」

 「そうした特性をあの子たちが持っているってことなんですね」

 「そういうこと。あの子たちは私たちの祖先が持っていた男の
血を受け継ぐ女の子なの。……いえ、偉そうな事を言ってるけど、
私もあの子たちを育てていくなかで、『へえ~、男の子ってこう
なんだ』って驚かされたことが沢山あったわ。あなたが驚くのは
当然よ。……でも、どの子も普段は優しい女の子。それもわかる
わよね」

 「はい、先生。……つまり、男の子と女の子では、何に対して
プライドを持っているかが違うってことなんですね」

 「そういうこと。そのプライドを上手くくすぐってやるとね、
あの子たち、純粋な分だけ扱いやすいのよ。……何しろ、女の子
みたい自分という殻が強くないから、おだてに乗りやすいの」

 キーウッド先生は片目をつぶって、子供たちの秘密をケイトに
伝授したのでした。


***************************


 <寄宿舎>
担任の先生/キーウッド先生
子供たち /ナンシー。ポーラ。グロリア。エレーナ。
エリザベス。ローラ。マリア。
図書室長 /シスターサンドラ(お婆さん)
王子様たち/マイク。フランク。ケリー。

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tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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