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12/3 御招ばれ<第2章>(1)

12/3 御招ばれ<第2章>(1)

*)ソフトなソフトなお仕置き小説です。私的にはですが(^◇^)

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 <主な登場人物>

 春花……11歳の少女。孤児院一のお転婆で即興ピアノが得意。
     レニエ枢機卿が日本滞在中に彼の通訳をしていた仁科
     遥との間につくった隠し子。
 美里……11歳の少女。春花の親友。春花に乗せられて悪戯も
     するが、春花より女の子らしい。絵が得意な少女。
     植松大司教が芸者小春に産ませた子。
      二人は父親の意向で母親から引き離されこの施設に
     預けられたが、彼女たち自身は父母の名前を知らない。

 安藤幸太郎……安藤家の現当主、安藤家は元伯爵家という家柄。
       町外れの丘の上に広大なお屋敷を構えている。
        教養もあり多趣味。当然子どもは好きなのだが、
       その愛し方はちょっと変わっていた。
 安藤美由紀……幸太郎の娘。いわゆる行かず後家というやつ。
        日常生活では幸太郎の世話を焼くファザコン。
        子どもたちがお泊まりにくればその世話も焼く
       のだが、彼女の子供たちへの接し方も世間の常識
       にはかなっていなかった。

 柏村さん………表向き伯爵様のボディーガードということだが
       秘書や執事、探偵といった仕事まで幅広くこなす。

 三山医師………ほとんど幸太郎氏だけが患者というお抱え医師。
        当然、幸太郎氏の意図を汲んで動く。

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 次の御招ばれの日が来ました。

 招待してくださるお父様たちがホールにずらりと居並ぶなかで、
春花と美里は、他の紳士たちと談笑する大西先生の脇を、抜き足
差し足ですり抜けていきます。
 そう、まるで門限破りした子が親に見つからないようにそうっ
と家の中へ入り込む、そんな感じでした。

 『どうして二人がそんなことをしたのか?』ですか……

 だって、このお二人さん、もうここ何ヶ月も続けて大西先生の
処へご厄介になっているでしょう。それが今回は方向転換して、
他に適当な家はないかと物色しているもんですから、大西先生に
見つかりたくなかったのです。

 どうやら二人には、大西先生と顔を合せるのは気まずいという
思いがあるみたいでした。

 でも、大西先生は紳士ですからね、そんな二人が逃げるように
安藤伯爵のもとへ出かけて行ったとしても何も言いません。
 先生は、先月、二人に茜さんへの厳しいお仕置きを見学させて
いましたからね、『あれを見てきっと嫌気がさしたんだろう』と
分かっていたみたいでした。

 ですから、全ては承知の上……

 「おや?あの二人、今日は先生のところに来ませんね。鞍替え
されちゃいましたかね?」
 話相手の渡辺さんにからかわれても、先生、余裕の笑顔でした。

 「いや、いいんですよ。二人には、先月、娘のお仕置きを見せ
ちゃいましたから……。きっと、それが恐かったんでしょう」

 「おやおや、それはまたどうして?娘さんのお仕置きそんなに
急を要するようなことだったんですか?そんなこと二人が帰って
からでもよかったでしょうに……」

 「もちろん普段ならそんなことしませんよ。ただ、あの子たち、
本気で私のところで暮らしたいという希望を持ってるみたいで。
だったら、私の方も『本気で娘として育ててあげますよ』という
つもりで、わざとそういうところも見せたんです」

 「なるほど、『娘として本気で受け入れるためにはお仕置きも
当然、受け入れてもらいますよ』というわけですな。生真面目な
先生らしいや」
 渡辺さんは笑います。

 「でも、そんなことしたら、あの二人、もう二度と先生のお宅
に来なくなっちゃうんじゃありませんか?」
 渡辺さん心配してそう言うと……

 「別にそれはそれで構いませんよ。無理強いする必要もありま
せんから。それより、あの子たちには今のうちにいろんな家庭を
知っておいて欲しいんです。将来、あの子たちが聖職者となった
時、こちらも浮世離れした説教は聞きたくありませんから」
 先生はあっさりとこう言い放ちます。

 ただ、先生、心のうちでは……
 『二人はいずれ私の処へ戻る』
 という確信めいたものはあったみたいでした。


 春花と美里の二人はとあるおじいさんの処へとやってきます。
 そこでは、すでに数人の子供たちがこのおじいさんの前に並ん
でいました。

 二人はその列に迷わず並びます。

 「やっぱり人気あるわね。安藤伯爵様」
 春花が美里に耳打ち。
 「私、こんな絵で大丈夫かしら?」
 美里は心配そうに持ってきた自分の絵を眺めます。
 「そんなのやってみなきゃわからないでしょう。とにかくチャ
レンジあるのみよ。抽選の列に並ぶのはそれからでもできるもの」
 春花は意気軒昂。この時彼女は小さなオモチャのピアノを抱え
ていました。

 実は、このお招ばれ会。子供の側だけでなくお父さん側も施設
の子どもたちを指名することができました。
 もし、相思相愛ならめでたく親子カップル成立というわけです。

 大西先生の場合は、お金持ちというほどではありませんから、
お招ばれの定員は二人だけですが、安藤伯爵の場合は、町一番の
資産家ですから、子どもたちをいつも12名以上も招待してくれ
ます。

 広いお庭にはたくさんの遊具が並び、図書室には毎週通っても
読みきれないほどの本があります。もちろん食事だって豪華です
し、天蓋つきのベッドなんて恐らくここ以外ではお目にかかれな
いかもしれません。

 ですから、そんなにリッチなお宅で週末を暮らそうと、多くの
子どもたちが手に手に自慢の品を携え、伯爵様のご指名を得よう
として売り込みをかけてきます。
 春花と美里が並んだのもまさにそのための行列だったのでした。

 子どもたちは、自分の番がきて伯爵の前に立つと、自分が最も
得意とする自慢できる芸を披露します。

 歌の上手い子は歌を歌いますし、楽器のできる子はそれを演奏
してみせます。手先の器用な子は自分で刺繍した手袋やハンカチ
をプレゼントするというのもごくポピュラーな方法でした。

 いえ、いえ、なかには女の武器を使う子も……

 「おじいちゃま、抱っこ」
 そう言って、いきなりおじいちゃんのお膝に飛び乗る子もいる
のです。

 伯爵様は車椅子生活ですが、子ども好きで知られた人ですから、
たとえ少々お膝に負担がかかってもそんな子を邪険にはしません。
 もし、笑顔の少女の頭を伯爵様が優しく撫でてくれたら、もう
女の子の勝ちでした。

 ただこれには年齢制限や体重制限がありますから、ごく幼い子
に限られます。春花や美里にはもうその資格がありませんでした。


 そんな幼い子の飛び道具を見た後に、とうとう春花と美里の番
がやってきます。

 二人は、この時伯爵様だけでなく、その後ろに控える大人三人
からも自分の芸を見られることになります。
 というのも、伯爵様はご高齢で病がちでしたから、どこへ出か
ける時もお医者様と看護婦さん、それに屈強なボディーガードの
三人を引き連れていたのです。

 「安藤のおじいちゃま、どうか、私たちを自宅に招待してくだ
さい。お願いします」
 「安藤のおじいちゃま、どうか、私たちを自宅に招待してくだ
さい。お願いします」
 心臓が飛び出そうな緊張のなか二人は美しく揃ったハーモニー
で安藤老人に売り込みを掛けます。
 実は、どちらが最初か決めていなかったのです。

 その二人の声に伯爵様は満面の笑み。ですから、まずは第一歩、
そこは成功したみたいでしたが……でも、すぐに鋭い質問が飛ん
できます。

 「君たちは、たしか…大西君の処へよく遊びに行ってたみたい
だけど、今日はそちらへは行かないのかね?」

 予期しない質問に二人は戸惑いますが、春花が意を決して先月
のことを……。

 「先週も大西先生の処へ行ったんですが……そこで娘さんの、
お仕置きを見ちゃって……それで、他の処でもいいかなあって」

 「なるほど……それで恐くなって、今週は私の処へ来たという
わけか……でも、君たち自身はぶたれたりしなかったんだろう?」

 「ええ、それは……」
 
 「そうか、君たちが何か粗相をしたわけじゃないんだね」

 「……はい」
 
 「よし、よし、だったら問題ないな……で、君たちは何を披露
してくれるのかな?」

 「………………………………………………」
 出し物を伯爵様にせがまれた二人、踏み出すのに少しだけ勇気
が必要でしたが、この時は先に美里ちゃんが動きます。

 「わたし、伯爵様のために絵をかきました」

 「そうか、見せてごらん」
 老伯爵は、美里ちゃんが差し出す絵を受け取る瞬間、その手を
とって美里ちゃんの身体をそっくりご自分の膝の上へ乗せてしま
います。

 車椅子生活の伯爵でしたが、その腕力は相当のものでした。

 こうして、おじいちゃんは美里ちゃんをお膝に乗せてその絵を
鑑賞することになります。

 「パステルと水彩か……ん?……これは……ほう、これ私かね。
なかなか上手じゃないか。特徴をよくとらえてる。下手な似顔絵
描きよりよほど味があっていいじゃないか」
 伯爵様は笑顔。好感触でした。

 「こちらは、水彩の風景画か。ここの中庭だね。綺麗な風景だ。
風がそよいでいる感じがよく出てる」

 こちらも好評価でしたが、突然、伯爵はボディーガードの柏村
さんを呼び寄せます。そして……
 「柏村、水彩の道具を借りてきてくれ」
 と、命じるのです。

 思わず柏村さん、『えっ!?水彩絵の具ならこちらに……』と
言おうとして口をつぐんでしまいました。
 実は伯爵、自分で描いた絵を見せに来る子があまりに多いので
絵の具はいつも手元に準備しているのです。

 しかし、柏村さんはその事にはふれませんでした。
 「承知しました」
 と一言だけ。絵の具を借りに舎監の部屋へと出かけます。

 その水彩の道具が届くまで、老伯爵は美里ちゃんの絵を褒めち
ぎります。そして、学校の事、寮での生活、お友だちの事などを
丁寧に尋ねたのでした。

 その間、おじいちゃんは美里ちゃんの身体を触り続けます。
 頭をなで、髭剃り後のざらざらした自分の頬を押し付けて頬ず
りしたり、まだ可愛らしい両手も両足もごつごつとした皺枯れた
大きな手で揉み上げます。
 太股も、ショートパンツを穿いた股間も伯爵には無関係な場所
でした。

 「あっ……」
 美里ちゃんにしたら気持のよいはずもありません。思わず声を
上げそうになりますが、何とかギリギリ耐えられる程度だったの
で我慢します。
 すると、伯爵様はさらにエスカレート。

 「あっ、あ~~ん」
 とうとう切ない声が出てしまいました。

 本当なら、横っ面張り倒してお膝から降りるところかもしれま
せんが、美里ちゃんにはその気はありませんでした。
 いえ、正確に言うと、最初はあったんですが、段々にその気が
なくなってしまったのです。

 悩ましく不快な思いを切ない快感へと変化させるテクニックを
伯爵は熟知しています。

 「あっ…あああ……(はあ)(はあ)……いやっ……あああっ」
 最初は嫌がっていた伯爵の指を美里ちゃんが自ら待ち望むよう
になるまでさほど時間はかかりませんでした。

 「ああっ、あつい……いやあ~……だめえ~~~」
 抱かれている伯爵様に聞こえないような小さな吐息が漏れます。
 そのあたりは老獪そのもの。伊達に70有余年、プレイボーイ
として生きてきてはいませんでした。

 「御前様、行って参りました」
 柏村さんが絵の具を借りて戻って来るまでわずかに10分ほど
だったでしょうか。もうその頃には、美里ちゃんは家で10年も
飼われている飼い猫のように伯爵様の懐に抱かれて甘えていたの
でした。

 「ほら、見ててごらん」
 伯爵様は美里ちゃんの絵を画板に張り付けると、絵の具を溶い
て自ら筆を取り描き始めます。

 美里ちゃんを膝に乗せたまま、画板も膝の上で……
 それって、とっても窮屈な姿勢なのですが、見る間に見違える
ほど美しく仕上がりました。

 「影はこうやってつけるんだ………光の当たってる部分は……
…こうやると立体感がでるだろう。………よし、ぐんと見栄えが
よくなった」
 伯爵様は、最後には美里ちゃんの筆を握らせ、その上から自分
の手を被せて補正していきます。

 「きれい」
 美里ちゃんは感嘆します。
 それはまるで別の人が描いた絵のようでした。

 「よし、これでいい。……どうだい?私のタッチは嫌いかい?」
 伯爵様のお膝の上で美里ちゃんは首を振ります。
 「よくなったと思います」
 「そりゃあよかった。これは額に入れて、……そうだな食堂に
でも飾ってあげるよ。だから、今週はそれを見に私の処へいらっ
しゃい」

 美里ちゃん、絵は不合格だったかもしれませんが、お招ばれに
は合格したみたいでした。


 「次の子は……ああ、春花ちゃんって言ったけ」
 伯爵様は春花ちゃんが自己紹介をする前にその名前を言い当て
ます。

 というのは、春花ちゃんがこの施設ではちょっとした有名人だ
からでした。

 いえ、学校の成績がいいとか、運動ができるとか、他の子には
できない特技があるといったそんな名誉なことではないんです。
 悪戯が好きな彼女、幼い頃から先生や友だちに悪戯を仕掛けて
まわる困ったちゃんだったのです。

 そのため、毎日のように先生からお尻を叩かれては庭の晒し台
に括り付けられる日々。おかげでここへ出入りする大人たちも、
自然とその名前を覚えるようになったというわけでした。

 「春花ちゃんは何を見せてくれるのかな?」
 伯爵様が尋ねると、即座に…
 「見せるんじゃないわ。聞かせるの。私のピアノを聞いてくだ
さい」
 春花ちゃんはそう言って、抱えてきたオモチャのピアノを床に
デンと置きます。

 「おう、そうか、そうか、それは失礼したな、じゃあ聞かせて
もらおうか」
 伯爵様は丁寧に大人の応対をしますが、何しろ相手は子ども、
そして玩具のピアノですからね、内心、その出来栄えなんて期待
していませんでした。

 案の定、春花ちゃんは右手だけで黒鍵もない小さな鍵盤を叩き
始めます。
 でも、それは意外なものでした。
 「ほう……」
 伯爵様も驚くような美しいメロディーだったのです。

 『ハ長調にまだこんな麗しい旋律が残っていたなんて……でも、
いったい何と言う曲だろう?聞いたことがないが……』
 こう思った伯爵様は春花ちゃんの演奏が終わるや盛大な拍手の
次にこう尋ねたのでした。

 「よかったよ。春花ちゃん。この曲は何という名前なの?」

 すると春花ちゃん、きょとんとした目を伯爵様に向けて、逆に
意外なことを尋ね返すのです。
 「今日は何月何日?」

 「11月8日だよ」
 「そう、じゃあ『11月8日』」
 「11月8日って?」
 伯爵様は一応ご自分の記憶をたどってみましたが、そんな名前
の曲は思い当たりませんでした。

 そんな伯爵様の怪訝な表情を見て春花ちゃんは……
 「だから、今の今作ったんだもん。出来立てほやほやよ。名前
なんてあるわけないわ。だから、譜面に書くときはいつも今日の
日付だけ入れておくの。偉い作曲家さんの作ったのを弾いた方が
よかった?」

 「そういうわけじゃないけど……じゃあ、今のは即興なんだ」
 伯爵様は驚きます。でも、春花ちゃんはあっけらかんとして…
 「そうよ、私の思いつき。その時の気分で指が勝手に動くの。
だからもう二度と弾けない。カレン先生がいれば楽譜に起こして
もらえるけど……(はははは)そういうのじゃだめ?……だって、
私、他に特技なんてないから……」
 最後は苦笑いでした。

 ところが、伯爵様の方はまんざらでもない様子で……
 「カレン先生って老シスターの?」
 「そうよ、おばあちゃん。カレン先生のピアノを悪戯してたら、
筋がいいって褒められちゃった。あなたはメロディーメーカーと
しては非凡なものがあるわねって……ねえ、非凡って何?」

 伯爵様は非凡の説明はせず、さらにこう尋ねます。
 「それじゃあ、今までもそうやって何曲も弾いてきたのかい?」

 「そうよ、新しいメロディーが浮かぶととにかくカレン先生の
処へ行くの。毎晩でもOKよ。……そこで先生が譜面におこして
くれるわ。でも、名前は付けないのよ。日付だけ。だから、今の
曲は11月8日って曲なのよ」

 春花はどうせだめだろうと思っていました。だめもとのチャレ
ンジだったのです。
 だって、ピアノの上手な子はこの施設に何人もいますから……
 ところが……

 「じゃあ11月10日や11月11日も弾いてくれるのかな?」
 「えっ!?」
 「私の家に来て、居間にあるうちのピアノで弾いてほしいんだ。
11月10日と11月11日」

 「ほんと!?」
 美里ちゃんに続き春花ちゃんもお招ばれ、合格のようでした。


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tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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