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見沼教育ビレッジ (4)

            見沼教育ビレッジ (4)

******<主な登場人物>************

 新井美香……中学二年。肩まで届くような長い髪の先に小さく
       カールをかけている。目鼻立ちの整った美少女。
       ただ本人は自分の顔に不満があって整形したいと
       思っている。
 新井真治……振興鉄鋼㈱の社長。普段から忙しくしているが、
       今回、娘の為に1週間の休暇をとった。
 新井澄江……専業主婦。小さな事にまで気のつくまめな人だが、
       それがかえって仇になり娘と衝突することが多い。
 新井香織……小学5年生で美香の妹。やんちゃでおしゃべり、
       まだまだ甘えん坊で好奇心も強い。
 ケイト先生…白人女性だが日本生まれの日本育ちで英語が苦手
       という変な外人先生。サマーキャンプでは美香の
       指導教官なのだが、童顔が災いしてかよく生徒と
       間違われる。彼女はすでに美香の両親から体罰の
       承諾を得ており、お仕置きはかなり厳しい。
 キャシー……ふだんから襟足を刈り上げたオカッパ頭で、短い
       フリルのスカートを穿いている。お転婆で快活な
       少女。ケイト先生は元の指導教官で、離れた今も
       会えばまるで仲のよい親子ようにじゃれあう関係。
 堀内先生……普段は温厚なおばあさん先生だが、武道の達人で
       たいていの子がかなわない。美香が卒業するまで
       ケイト先生からキャシーを預かっている。

 その他……百合子先生。/お隣りの子の指導教官

**************************

 「ねえ、先生、連れてって……いいでしょう……」
 キャシーはケイト先生の腕を強く引いてまたもやおねだり。
 それって、まるで幼児が親に向かって遊園地に連れて行くよう
だだをこねているのと同じだった。

 実は、公開処刑が行われる公園へは指導教官が付き添わなけれ
ばそもそも入ることが出来なかったのである。

 一方、ケイト先生はというと……
 「そうねえ、どうしようかしらねえ……」
 そんなキャシーの猛攻をのらりくらりとした調子で受け流して
いる。

というのも、これがキャシーだけならまだいいのだが、美香に
は少し刺激が強すぎるのではないかと考えていたのだった。

 と、その時である。

 「あら、あら、何かもめごとかしら?」

 低い声がキャシーの耳元に突き刺さる。
 とたんに、キャシーがその場で立ち上がった。

 それまで散々甘ったるい声を出していたキャシーが、いきなり
直立不動になったのだから、美香だってこれはいったい何事かと
びっくりだ。

 声の主は、白髪の乾いた髪に深い皺を刻んだおばあさん。老女
と呼んで差し支えない人だった。
 その人にケイト先生も立ち上がって深々と一礼する。

 「ケイトさん、どうしました?」
 このおばあさん、まずはケイト先生に事の次第を尋ねた。

 「実は、キャシーが今日の公開処刑を今日ここへ来たばかりの
新井美香に見せたいとせがむものですから、今、どうしようかと
思案しておりまして……」

 「なるほど」
 事情を理解した老婆が、今度は美香へ視線を移すと……

 「あなたね、新井美香さんというのは……」

 「あっ、はい……」
 周りの雰囲気から美香も緊張せざるを得なかった。
 『この人、きっと偉い人なんだわ』
 美香は思ったのだ。

 実際、その判断は間違っていなかった。彼女はこのビレッジの
幹部クラス。一教員にすぎないケイト先生とは身分が違っていた
のである。

 「美香さん。あなた、お父様と一緒にお風呂に入ったことある
かしら?」

 『えっ、お風呂?……どういうこと?』
 美香は、その瞬間、先生がなぜそんな事を訊くのか理解できな
かったが、とりあえず、正直に答えた。

 「あります。父は私が背中を流すと、とても喜びますから…」

 「そうなの。それは感心ね。うらやましいお父様だわ……その
時、あなたも一緒に裸になってお風呂に入るのかしら?」

 「昔はそうでしたけど、今は……ちょっと、恥ずかしくなって
……」

 「何年前まで一緒にお風呂を楽しんでたの?」

 「おととしくらいまでです。…あっ、去年も何度かありました。
……家族旅行の温泉で…ですけど……」

 「そう、それじゃあ、あなた、お父様の身体は見たことあるの
ね」

 『お父さんの身体を見たことがあるかってどういうことだろう』
 美香には老先生の謎が理解できなかったが、とりあえず……

 「はい、先生」
 と、答えたのだった。

 すると……
 「いいんじゃないですか、ケイト先生。…父親とでは感じ方が
違うかもしれませんが、何事も勉強と考えていいと思いますよ」

 この鶴の一声で話は決まり、ケイト先生も、美香が公園の中を
歩くことを許可したのだった。


 帰り道は二人増えて四人の道中。キャシーの参加で明るい道行
となったが、何より変わったのはそのルート。
 今度はフェンスの外側ではなく、公園の中を通って帰ることに
なったのである。

 公園の入口で、二人の教員は自分のカードを警備員にかざして
入る。その際、『この子たちも…』と、一言口ぞえすればそれで
よかった。
 この公園は、一般の入場者はもちろん、ここの生徒であっても
先生と同伴でなければ中に入ることが許されないエリアだった。

 「やったあ~」
 キャシーは、公園に入れたのがよほど嬉しかったのか、ゲート
をくぐるなり満面の笑みで公園内をあちこち走り回る。

 でも、美香はというと……
 『ここって、はしゃぐような処かしら。ただ木が生い茂ってて、
花壇があって、ベンチがあって、それに、噴水、東屋……こんな
公園、どこにでもあるじゃないの。……あの子、ホントにまだ、
子供ね』
 キャシーのはしゃぎぶりを冷ややかな目で見ていたのである。

 「ねえキャシー、ここって何か特別なものでもあるの?だって、
見た感じ普通の公園じゃないの」
 キャシーがひとしきり運動してから自分のそばに戻ってきたの
で美香が尋ねてみると……

 「だからあ、今日は男の子の公開処刑が見られそうなのよ。…
…こんなチャンス滅多にないんだから……」

 「公開処刑って……男の子もここに来るの?」

 「さっき、食堂であなたにも話したはずよ。この間、男の子と
女の子が逢引してるところを先生に見つかったって……うちはね、
男女問わず恋愛厳禁だもん。デートが見つかっただけでも、当然、
お仕置きってことなの」

 「それがここであるの?」

 「そういうこと。……こういう場合、例外的に男の子もここへ
呼んでお仕置きするの」

 「じゃあ、……その……そんな時は女の子も男の子のエリアへ
行ってお仕置きを受けるの?」
 その恐ろしい光景を想像して、美香の瞳孔が目一杯開く。

 「さすがにそれはないわね」
 子供の会話に割り込んだのはケイト先生だった。

 「いくら厳しく対処するといっても、男の子と女の子では受け
るショックが違うもの。ただし、女の子の方には甘いということ
にはならないわ。そういうことって、女の子の世界の中では当然
公開処刑だし、体罰も、ひょっとしたら男の子以上かもしれない
わ。……あなた、知ってるかな?『見るは法楽、見られるは因果』
って言葉」

 「見るは法楽?……見られるは因果?……何それ?……」
 最初、分からなかった美香だったが、途中で思い出した。
 「……ああ、見世物小屋の入口なんかで叫んでる口上ですね」

 「ピンポ~ン。そうそう、それそれ。ここはそういう場所なの。
青天井の大きな見世物小屋。だから、お客さんとして先生と一緒
に見物するぶんには、こんなに面白い見世物はないかもしれない
けど……もし、お仕置きとして連れてこられたら、シャレになら
ないほどの生き地獄よ」

 「ここでお仕置きされるんですね」

 「そういうこと。特に見せしめの罰ではここがよく使われるの。
この公園、もともと先生たちの憩いの場だから、生徒も特に許可
された子以外入ってこないし、もちろん一般人の出入りもなくて、
プライバシーが守れるから、ここではけっこう厳しいお仕置きが
行われるのよ」

 「だから、見るだけなら法楽なのか……」

 「そういうこと。……見るだけじゃないないわよ。参加だって
できるんだから……」
 今度はキャシーがその中へ割り込む。

 「参加?……私たちがお仕置きに参加するの?」

 「そうよ。ほら、あそこの東屋に誰かいるみたいだから行って
みましょうよ。やり方を教えてあげるわ」

 キャシーは美香の手を引っ張ると、その東屋へ。


 (美香の回想)

 私は、キャシーが独りで暴走してるんじゃないかと思って振り
向きましたが……すぐ後ろにいた先生二人もその事に対して咎め
だてする様子はありませんでした。

 「わかった。わかったから、そんなに引っ張らないでよう」
 私はキャシーに文句を言いながらも着いて行きます。

 キャシーが私を連れて来たのは青い瓦屋根の東屋でした。

 東屋というは簡単に言うと公園内の休憩所みたいなところで、
ここは六畳ほどの広さがある建物。建物といっても壁や窓はなく、
あるのは屋根とそれを支える柱だけですから、中の様子が外から
素通しで見えます。

 『ここでもやってるの!!』
 私は思いました。
 女の子が一人、東屋の中に設置されたピロリーに掴まっている
のが見えるのです。

 自分の家の庭で一度体験済みでしたからショックはその時ほど
大きくありませんが、それでも同性がこんなことされているのを
見るのは心地よいことではありませんでした。

 当然のようにその子も全裸でしたが、なぜか大きな袋を頭から
被せられていましたから顔はわかりません。

 「ねえ、あれ、誰なの?」
 私は思わずキャシーに尋ねてしまいます。
 すると……

 「そばにいる先生が担当教官だろうからから、察しはつくけど
……ほら、この子、頭からすっぽり袋を被せられてるでしょう。
こういう時は、その子が誰かわかっても、『誰々ちゃん』って、
声をかけてはいけないルールになってるのよ。……だから、あと
で教えてあげるね」

 キャシーが私に耳打ちします。

 「ねえ、この子何したの?」
 私は同じようにキャシーに耳打ちしました。

 すると……
 「それは、そこに書いてあるわ」
 キャシーは入口の掲示板を指差します。

 そこには彼女のものでしょうか、ショーツが一枚掛けてあり、
黒板には……
 『私は、テストの時間にカンニングをしてしまいました。もう
一度、真人間になってやり直したいので、どうか、皆さんご協力
をお願いします』
 と書かれています。

 この文言から、もちろん、これがカンニングの罰だという事は
分かったのですが、『皆さんご協力をお願い…』の意味がわかり
ませんでした。

 そこで……
 「ねえ、ご協力って、何するの?」
 と、キャシーに尋ねてみると……

 「ご協力って?ああ、あれね。要するに、この子のお仕置きを
手伝って欲しいってことだわ」

 「お仕置きを手伝う?……それって私たちも?」

 「そうよ。ここでは、お仕置きのお手伝い、先生じゃなくても
生徒でもいいの。この子のお尻に火の出るような鞭を与えて反省
を促すの」

 「そんな、残酷な……」

 「ちっとも残酷じゃないわよ。むしろ感謝されるわ。……ほら、
あそこに『30/12』って書いてあるでしょう。……あれはね、
現在12名の方から鞭をいただきましたって印なの。この子は、
どのみちあれが『30/30』つまり30人の人から鞭打たれる
までこの枷から開放してもらえないの。だから、あなたも、私も、
あの子のお尻をぶってあげれば、あの子だってそれだけ早く開放
されるわけだから、あの子から感謝されるってわけ。人助けよ」

 「……私、」
 私はそう言っただけでしたがキャシーは行ってしまいます。

 「あっ、待ってよう」
 私は慌ててキャシーを追いかけようとしましたが……彼女は、
すでに東屋の中。そこへ立ち入る勇気はありませんでした。

 しばらくすると、まだ外に立っていた私に向かってキャシーが
手招きします。

 そこで、恐る恐る私も中に入ってみると、いきなりそこにいた
先生に……
 「あなたも、やってくださるの?」
と、尋ねられ、ゴム製の一本鞭を手渡されそうになります。

 私は、その鞭をまるで不浄な物でも差し出された時のように、
両手を突き出して拒否。後ずさりしたのでした。
 「いえ、違うんです。私は関係ありませんから……」

 いくら行きがかりとはいえ、自分とは何の関係もない女の子の
お尻をぶつなんて、良い子を装ってきた私の常識では考えられま
せんから当然こうなります。

 「あらあら、残念ね。あなた、こうしたことは初めてかしら?」

 先生がやさしく問いかけますから……
 「は……はい、先生」
 怯えながら答えると……

 「難しく考える必要はないのよ。この子のお尻をぶつことは、
虐めとは違うの。誘惑に負けそうになるこの子の心の弱さを強く
する大事なお仕事なんだから……名誉なことなのよ」

 再度、先生に勧められます。
 すると、そばで聞いていたキャシーまでもが……

 「やってあげなよ。さっきも言ったけど、もし、あなたがやら
なかったら他の人がやるだけのことなの。どのみち、30人って
ノルマは決まってるんだから……」

 「えっ、そんなこと言わけても……私……鞭なんて使ったこと
ないし……」

 「だから、いいんじゃない。先輩にしてもそれは好都合のはず
よ」

 「えっ!?(そうか、この人、私たちより年長よね)」
 確かにその通りです。枷に繋がれたその人は私たちより身体も
一回り大きく、胸もお尻も私たちより成熟しています。

 『そうか、弱い者をぶつわけじゃないのね』
 変な安心感が生まれたのも事実でした。

 「だってあなたのような子がぶってもあまり痛くないでしょう。
それでいて一人分稼げるんだもの。芸達者な先生達に厳しくされ
るより、よっぽどラッキーだわ」

 『そうか、そういうものなのか』
 私はキャシーの言葉を単純に信じてしまいます。

 いえ、本当のことを言うと、こんな立派なお尻を、一度、鞭で
しこたま叩いてみたかったのです。
 まさに本心は好機到来なんです。
 でも、私は女の子、そんなこと表立っては言えませんでした。

 「じゃあ、先輩のためにやってみます」
 私の顔は『あくまで周りの勧めで仕方なく』という風に作って
ありましたが、内心の顔は笑っています。
 いえ、すでに笑いが止まらなくなっていました。

 『今まで、お父さんやお母さんからぶたれたことはあるけど、
人をぶつのはこれが初めてよ。お人形さんのお尻と違って、緊張
するなあ』
 鞭を持たされて足が震えているのは、怯えていたからだけでは
ありませんでした。可憐な少女の正体は、その心の内に分け入れ
ば、恥知らずなインプ(小悪魔)だったのです。


 胸の高まりを抑えきれず私は順番を待ちます。
 最初はキャシーでした。

 彼女は慣れた様子で鞭を空なりさせると、その先っちょをお尻
のお山に着けて小さく軽く叩き先輩の緊張を高めます。
 そして、その鞭が、膝まづく先輩のお尻を離れて、大きく弧を
描くと……再び急降下して来て……

 「ピシッ~~」

 東屋の天井に鞭音が反響。
 先輩は身体を固くして耐えます。
 お土産は豊満なお尻についた赤い一本の線でした。

 「あと、二つね」
 とは先生の声。

 そこでキャシーが再び鞭を空なりさせると、先輩の身体一面に
鳥肌が立ちます。
 それは、キャシーの鞭が先生方と同じ威力を持っていることの
証明だったのです。

 パターンは同じです。
 鞭の先っちょがお尻のお山をくすぐってから、やがて離れ……
大きく弧を描いて空中に舞うと……急降下して……

 「ピシッ~~」

 東屋の天井に鞭音が反響し、先輩は身体を固くして耐えます。
 抜けるはずのない厚い板の穴から両手を引き抜こうとするのは
それだけ痛かったからでしょう。
 お土産が増えて、赤い線は二本になります。

 「あと、一つ。これがラストよ」
 先生の声に、キャシーは余裕の笑顔で返事をします。

 その後のキャシーは、前の二回と同じでした。
 鞭のさきっちょがお尻のお山をくすぐり、やがて、大きく弧を
描いて空中を舞ったかと思うと、急降下して……三たび、大きな
お尻を鞭がとらえます。

 「ピシッ~~」
 「いやあ~~」

 東屋の天井に鞭音が反響し、同時に先輩の悲鳴が聞こえます。
 先輩の身体は相変わらず枷に繋がれたままでしたが、その体は、
まるで溶けた雪だるまのように、だらんとピロリーの厚い板に垂
れ下がります。


 お土産の赤い鞭筋は三つ。
 これを六本にするのが私の仕事でした。

 キャシーの動作の見よう見まね。
 「ピシッ~~」
 東屋は音響装置がいいのか。予想以上に反響します。

 そして、二発目……
 「ピシッ~~」
 「いやあ!!!」

 『私なんかの鞭で、そこまでしていただかなくても』
 なんて、こちらが恐縮したくなるのような悲鳴があがります。
そして、ピロリーが本当に倒れるんじゃないかと思うほど、枷に
捕まった先輩はその両手首と自分の首を必死に抜こうとしたので
した。

 「お譲ちゃん、あなた、なかなか筋がいいわよ。では、ラスト
ね」
 先生の声に送られて、私は再び大きな弧を描きます。

 「ピシッ~~」
 「いや!」

 最後、先輩も踏ん張って、あまり大きな悲鳴になりません。

 すると、鞭初心者の私は……
 『あれ、なぜ悲鳴が小さいんだろう?……失敗しちゃったのか
なあ。何がいけなかったんだろう』
 と、思ったのでした。


 たった三回の鞭でしたが私の身体は激しく上気していました。
 興奮状態の私はケイト先生や堀内先生がいつこの東屋を訪れた
のかも知りませんでした。

 お二人は、やはりそれが義務だと思われたのでしょう。
 私たちと同じように鞭をとって、先輩に対し三度の戒めを行い
ます。

 でも、それは、私たち子供が振るった鞭に比べてことさら強い
というものでもありませんでした。

 おそらく私たち二人がきつく叩き過ぎたので調整されたのかも
しれません。
 先輩にとって、先生方は救世主。私たちこそがお邪魔虫だった
ようでした。


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tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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