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見沼教育ビレッジ / 第1章 / §8

****** 見沼教育ビレッジ (8) ******

******<主な登場人物>************

 新井美香……中学二年。肩まで届くような長い髪の先に小さく
       カールをかけている。目鼻立ちの整った美少女。
       ただ本人は自分の顔に不満があって整形したいと
       思っている。
 新井真治……振興鉄鋼㈱の社長。普段から忙しくしているが、
       今回、娘の為に1週間の休暇をとった。
 新井澄江……専業主婦。小さな事にまで気のつくまめな人だが、
       それがかえって仇になり娘と衝突することが多い。
 新井香織……小学5年生で美香の妹。やんちゃでおしゃべり、
       まだまだ甘えん坊で好奇心も強い。
 ケイト先生…白人女性だが日本生まれの日本育ちで英語が苦手
       という変な外人先生。サマーキャンプでは美香の
       指導教官なのだが、童顔が災いしてかよく生徒と
       間違われる。彼女はすでに美香の両親から体罰の
       承諾を得ており、お仕置きはかなり厳しい。

**************************

 「お帰り」
 「お帰り」
 「お帰りなさい、お姉ちゃん」

 お父さん、お母さん、それに妹の香織が、一斉に挨拶します。

 「…………」
 こんなこと普段なら当たり前なのに、その時はとても嬉しい事
だったのです。

 お母さんにハグされ、妹を抱きしめます。
 ただ、部屋の一番奥、お気に入りの椅子までここへ持ち込んだ
お父さんの処へは、さすがにすぐには足を運べませんでした。

 ケイト先生がお母さんと挨拶を交わす中で……私はむしろ今日
知り合ったばかりの先生の背中に隠れるようにして立っています。
 普段だったら真っ先に飛んでいくはずのお父さんとは、どこか
視線を合せづらくなっていました。

 そんな様子が気に入らないのか、
 「どうした、美香?私の処へは来てくれないのか?」
 お父さんが痺れを切らして不満を言います。

 すると、それに答えたのは香織でした。
 「無理よ。だって、お姉ちゃん、せっかくのバカンスをパパの
お仕置きのせいで潰されちゃったんだもん。機嫌がいいはずない
じゃない」

 「そうか……やっぱり、そういうことか……」
 お父さんは私を見て苦笑です。それには、少し侮蔑的な表情も
混ざっていました。

 『すねやがって……』
 という思いがあったのかもしれません。

 でも、私の思いはそう単純ではありませんでした。
 もちろん、ここに強制連行された恨みはあります。でも、それ
以上に『お父さんが私のことを今でも怒っているんじゃないか』
という不安が心から拭い去れなかったのでした。

 そんな私の様子をお父さんは見透かしたようにこう言います。
 「美香、怒らないから、ここへおいで」
 
 お父さんは私の足が微妙に震えていたのを見逃しませんでした。

 「はい、お父さん」
 こう言われたら、娘としては行かないわけにはいきません。
 これでもお父さんの良い子ではいたいと思っていましたから。

 男の子は体力がありますし父親とは同性ですから生理的なこと
も含めてわかるはずです。ですから、そこまでは怯えないのかも
しれませんが、女の子にとって父親はとてつもなく大きな存在。
特に怒られた時は、まるで鬼の棲みかに乗り込む桃太郎ように、
気を引き締めなければなりませんでした。


 私がお父さんの処へ行く決心を固めると……
 ケイト先生も私が独りにならないよう、一緒にお父さんの処へ
やってきます。

 「私が、美香さんを担当する指導教官のケイト辻本です」

 名刺を差し出し、大人の挨拶。
 ケイト先生が私と父の間の緩衝材となってくれたのでした。


 「お嬢さんへのご心配事は親しすぎる同性の友達関係だとか」

 「ええ、この子を預かってくださっている学園長からお手紙を
いただいて……それが、気になりまして……」

 「私もあちらの園長先生や寮長先生にお会いしてそのあたりは
詳しく伺いましたが、それ自体は大きな問題ではないと思います。
これは男女に限らずそうなんですが、思春期のはじめ、子供たち
がそうした同性への強い思慕を抱くのはごく普通のことですから」

 「そうなんですか」
 父は小さくため息をつきます。

 「ただ男の子と違って女の子の場合は、こうしたことに夢中に
なりがちで、深入りすると学力の低下に繋がります。お父様は、
それがご心配なのでしょう」

 「ええ、うちには男の子がいませんから、いずれこの子に養子
を取って会社を任せることになると思うのですが、その場合でも
娘には一定の教養を積んでもらわないと……」

 「わかります。このことで学校の成績が下降ぎみなのをご心配
されているわけですね」

 「そういうことです。べつに一流大学を卒業して会社の事業に
参加させようと思ってるわけじゃないんです。平凡な専業主婦で
いいんです。ただ、そうであっても一定の教養は必要でしょうし、
……それに……婿さんの手前も、男性より女性に興味があったん
じゃ具合が悪い」

 「なるほど」
 ケイト先生の顔が思わずほころびます。
 それを押し隠すようにして先生はこう続けたのでした。

 「では、キャリアウーマンというより、よりよい奥さんになる
ためのプログラミングということでよろしいですね」

 「けっこうです。お願いします」
 父はソファに座ったまま深々と頭をさげます。そしてこう尋ね
たのでした。
 「それで、具体的にはどのようになさるのでしょうか?」

 「良妻賢母型で育てる場合に一番大事なのはルーツの確認です」

 「ルーツ?」

 「ルーツといってもご先祖という意味じゃなくて、自分が誰に
どのように愛されて育ってきたかを確認する作業が必要なのです」

 「????」

 「もっと、具体的な手順を言えば、美香さんには一度赤ちゃん
に戻ってもらうことになります。オムツをはめて哺乳瓶でミルク
を飲んで、ガラガラを振ったら笑ってもらいます」

 「????」
 父にしてみたら、先生のお話はいま一つピンときてないみたい
でしたが、私はもっと驚きです。
 『えっ!?何言ってるのよ!聞いてないわよ。そんな話』
 でした。

 「私たち家族は、どのようにすれば……」

 「ええ、ですから、美香さんを中学二年生ではなく赤ちゃんの
ように扱ってくださればそれでいいんです。授乳、オムツ替え、
……あくまで赤ちゃんとして一緒に遊んでくださればいいんです」

 「でも、そんなこと、今さら、美香がやってくれるでしょうか」

 父が不安そうに尋ねると……
 「やってもらうのではありません。この場合はやらせるのです。
素直に従わなければ可哀想ですがきついお仕置きが待っています」

 「なるほど」
 父は唖然として頷いていました。

 「もちろん、最初は恥ずかしくて嫌なことでしょうが、女の子
というのは、すぐに慣れます。その場その場の与えられた環境に
自分を順応させる能力はもともと男の子より優れていますから」

 「そうなんですか……」

 「ええ、女の子がどこにお嫁に行っても自分なりに生きる道を
見つけられるのはその順応性のためなんです。赤ちゃん返りは、
そのための訓練の一つなんです。……それと、もう一つ。幸せの
確認、という意味もあります」

 「幸せの確認?」

 「赤ん坊には何一つ自由がありません。その代わり親が何でも
してくれますから、ある意味人生で一番幸せな時期もあるんです。
そうした自分の幸せのルーツを再確認する事が、その後の人生で
困難へ立ち向かう時に大事なエネルギーとなるんです。私たちは
赤ん坊時代に得た幸せ感が、どれほど大事かを統計的に確認して
いますし、たとえそれが後発的なものであっても、一定の効果が
あることも経験済みなのです」

 「三つ子の魂百までも……ということですかな?」
 お父さんの顔にやっと笑顔が戻りました。

 「一見、馬鹿げて見えるやり方にも理由があるんです。すでに
お渡しした資料にそうしたことは詳しく書いてありますからご覧
ください」

 「なるほど、そういうことでしたか…………それで、私どもは
美香とどのように接すれば……」

 「特別なことは何もありません。普段通りに接してあげていい
と思います。ただし、最初の一週間だけは、赤ちゃんとして扱い
ますから、その時はご協力をお願いします」

 「協力というのは……」

 「主には授乳とオムツ替えです。特に、オムツ替えはお子さん
が大きいので大変だと思いますが、娘のためだと思ってご協力を
お願いします。こうしたことは、やはり他人より親子の方がいい
ので……それと……」
 先生は少し申し訳なさそうに声を低くしてこう続けます。
 「もし美香さんが赤ちゃんらしくないことをしたら、この私が
お仕置きします。かなり厳しいこともすると思いますが、それに
ついては口出しなさらないでください」

 「わかりました。頂いた資料をもっと詳しく読めばよかったん
ですが、不勉強で申し訳ない。実は、ここのことは私の秘書から
聞いて知ったんです。彼女もまたここの出身者のようで……」

 「それは、きっとキャリアウーマン型のカリキュラムを受けら
れたんだと思います。その場合はまったく別の人格になります。
でも、美香さんの場合は、良妻賢母型でよろしいんですね」

 「ええ、結構です」

 『何が結構よ、私はちっとも結構じゃないわよ。私、これから
どうなっちゃうの?』
 私は大人たちの会話を間近で聞いていてとてもショックでした。

 そんな私に、お父さんが声をかけています。
 でも、ショックを受けてる私は、すぐには頭の回線が繋がりま
せんでした。

 「美香、美香、……どうした?美香……聞こえないのか美香」

 途中から、ようやくお父さんの声が聞こえ始めます。

 「…………」
 慌てて父の方を見ると……お父さんはご自分の膝を軽く叩いて
います。それは『この膝に来なさい』という合図なのですが……

 私は、すぐにそこへ行く気にはなれませんでした。

 「おや、おや、どうやら臍を曲げられてしまったか……先生、
この子はやさしい子で、これでは休暇で帰るたびに真っ先に私の
膝に乗ってきたものなんだが……こんな処に連れて来たから……
どうやらそれを根に持ってるみたいですね」
 と、お父さん。

 「違いますよ。私がいるからですわ。美香さんも、もう14歳、
お父さんのお膝は、さすがに人前では恥ずかしいんでしょう……」
 と、ケイト先生。

 でも、私の心はそのどちらでもありませんでした。

 実は、例のロッカーでの出来事が私の頭の中ではまだ尾を引い
ていたのでした。
 あれは微かに触れた程度なのに、私の鼻の頭はあの時の感触を
覚えているのです。
 父の膝を見ても、それが鮮明に蘇ります。

 『お父さんだって同じ物を持ってた』
 そう思うと近寄れませんでした。

 「では、私は、夕食を済ませてからあらためてうかがいます」
 「まあ、先生、そうおっしゃらず、夕食はご一緒に……」
 母が止めますが……

 「いえ、合宿に入ると家族団欒で過ごせるのは食事の時ぐらい
ですから、そうした時は遠慮いたします。その代わりそれ以外の
時間はほぼ一日美香さんと一緒にいますので、そこはご承知おき
ください」
 先生はそう言って席を立ちました。

 ただ、部屋を出る時、私のブラウスの襟や棒タイを直しながら
……。
 「あなたはお父様の思われ人。女の子はね、そんな人を大事に
しなくちゃ生きていけないの。勝手は気ままは許されないわね。
いいから、お父様のお膝へ行って、いつものように甘えなさい」

 「えっ!」

 「これは命令。指導教官としての最初の命令よ」

 「命令?」

 「そう、命令。もし、私がこの部屋にいる間にお父様のお膝に
乗らなかったら、お仕置き」

 「えっ…だって……」

 「だってもあさってもないの。我を張って隣の子みたいになり
たくないでしょう」

 「隣の子って……(えっ!!!?)……(嘘でしょう!!)」
 私の脳裏に途中から昼間のお庭で出合った少女の映像が浮かび
ます。

 「……(何で、そんな事ぐらいでお仕置きされるのよ)……」
 そうは思いましたが枷に挟まれ裸で転がり込んで来た女の子の
事を忘れることは出来ません。ですから嫌でもお父さんのお膝に
乗るしかありませんでした。


 その様子を見て安心したのか、ケイト先生は一旦我が家を離れ
ます。

 一方、私はというと……
 お父さんのお膝に乗ってしまえば、もう昔の私でした。
 妹の香織とお父さんのお膝を奪い合います。

 私は全寮制の学校はお父さんお母さんに会えないから寂しいと
愚痴を言い、学校で起こったことをあれやこれや何でも話します。
 あること、ないこと、尾ひれをつけて……いったん話し始める
と止まりませんでした。

 でも、お父さんはそんな私の話を楽しそうに聞いてくれます。
 思春期になって、口うるさいお母さんとは口げんかすることも
多くなりましたが、お父さんとは昔のまま。
 口数は少なくとも、まるで大仏様に抱かれているような安心感
で、私を包んでくれます。

 そのせいでしょうか、お父さんって、私のお尻やオッパイに、
平気で手を伸ばしますが、私が抵抗したことはほとんどありませ
んでした。

 お父さんのお膝の上では、香織と二人、スカートがまくれ、シ
ョーツが見えても平気で笑っていられます。
 こんな場所、世界中探してもここだけでした。

 ここは私の秘密の場所。普段、学校ではお父さんの悪口ばかり
言っていますから、友達にはこんな姿は見せられませんでした。

 そんなお父さんが食事のあと、あらたまって私に宣言します。

 「私はここの規則だそうだから、一週間は美香と一緒に暮らす
けど、明日からはケイト先生がお前の親代わりだから、どんな事
でも先生に相談して、先生の指示に従って暮らさなきゃいけない。
いいね」

 「はい、お父さん」
 私が神妙に答えると……

 「ねえ、お姉ちゃん、今日からお仕置きなんでしょう。どんな
ことされるの?」
 香織がお父さんに抱きついて聞いてきます。

 でも、それには……
 「お仕置きなんかじゃないよ。お姉ちゃんは試練を受けるだけ。
お勉強をみてもらうだけさ。……そうだ、お前も、今学期は成績
が下がってたなあ、一緒にやってもらおうか」

 こう言うと、香織のやつ笑いながらお父さんの部屋から逃げて
行くのでした。


****** 見沼教育ビレッジ (8) ******

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tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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