2ntブログ

Entries

小暮男爵 ~第一章~ §6 / 朝の出来事 /


小暮男爵/第一章

<<目次>>
§1  旅立ち         * §11 二人のお仕置き②
§2 お仕置き誓約書    * §12 ランチタイムの話題
§3 赤ちゃん卒業?    * §13 お父様の来校
§4 勉強椅子        * §14 お仕置き部屋への侵入
§5 朝のお浣腸       * §15 お股へのお灸
§6 朝の出来事       * §16 瑞穂お姉様のお仕置き
§7 登校           * §17 明君のお仕置き
§8 桃源郷にて       * §18 天使たちのドッヂボール
§9 桃源郷からの帰還  * §19 社子春たちのお仕置き
§10 二人のお仕置き① * §20 六年生へのお仕置き

***<< §6 >>****/朝の出来事/*****

 朝の辛い儀式(お浣腸)が終わると私の身体は河合先生の手に
委ねられます。
 パジャマだけでも着ることができてやれやれ一息というところ
ですが先生と一緒に向かうバスルームでは再び裸にならなければ
なりませんでした。下着を身に着ける事ができるのはその後です。

 遥ちゃんもまだそうですが、我が家で小学生というのは自分で
自分の身体を洗うことができません。
 子供の身体は家庭教師の先生が洗う決まりになっていました。
 ですから、バスルームに着くと私たちは再び裸にさせられます。

 ただ、朝のバスルームというのはお風呂が沸いているわけでは
ありません。あくまで身体を洗うことだけが目的でした。
 バスルームで合流した私と遥ちゃんは、二人して冷たい洗い場
に裸で並び立ちます。当然、前はすっぽんぽんなのですが、別に
どこを隠すということもしませんでした。

 「どうだった?久しぶりのお父様は?」
 「どうって?」
 「久しぶりに抱っこしてもらったんでしょう?」
 「そ……そんなことしないわ。私、もう子供じゃないもん」
 私は見栄をはります。だって、この歳で赤ちゃんみたいに抱き
合って寝てたなんて言いたくありませんから。

 「どうだか……あんたは甘え上手だもん。また上手に甘えて、
お父様に何か買って貰う約束したんじゃないの?」
 遥ちゃんは羨ましそうな目で含み笑いです。

 「そんなことあるわけないじゃない」
 私は少しだけ語気を強めます。

 河合先生はこんな時、たとえその子達のすぐそばにいても何も
おっしゃいません。ただその会話に嘘が混じると、先生の手荒い
ボディーウォッシュをやり過ごさなければなりませんでした。

 『痛い!!』
 その時、私は思わず腰を引きます。

 それは河合先生のスポンジがお股の中で暴れたから。つまり、
嘘をついているからでした。

 「ほら、腰を引かない。無駄なおしゃべりはしないの」
 先生に叱られます。

 河合先生のスポンジは無遠慮に私の股間をゴシゴシしますが、
どんなに痛くてもそれで悲鳴を上げることは許されませんでした。

 河合先生の仕事は身体洗いだけじゃありません。歯を磨いて、
下着を穿かせて、髪をセット、お家の中だけで着る普段着を身に
つけさせるところまで、その全部が河合先生のお仕事なのです。

 一方、子供たちはというと、それにただただ耐えるだけが仕事
でした。

 どうしてそこまで?子ども自身にやらせればいいじゃないか?

 確かにそうですが、要はお父様の前に出る時、子どもたちだけ
では完璧に仕上がらないというのがその理由のようでした。

 あれで15分位もかかったでしょうか、やり慣れている先生の
手際のよさは天下一品です。ただし、その間、私たちは河合先生
のお人形ですから何もできません。
 『こういう髪型がいい』とか、『今日はこのお洋服で』なんて
注文も出してはみますが、それもあくまで河合先生しだい。
 彼女がダメと言えばだめ。私たちに決定権はありませんでした。

 そのあたり子供の立場は辛いところです。

 でも、これが中学生になると一変します。誰の手も借りません。
朝は自分で起きてバスルームに行き、顔をや身体を洗い、自分で
髪をとかします。その日に着る服だってクローゼットから自由に
選ぶことができました。
 もちろん、それをお父様が気に入るかどうかは別問題ですが、
自由の幅がぐんと増えることは確かです。

 女の子にとって自分で自分を装えるってとっても大事な事です
から小学生の私たちには隣りで作業する中学生のお姉さまたちが
羨ましくて仕方がありませんでした。

 ただ、そうは言っても良いことばかりではありません。実は、
困った事もあったんです。

 私たちは家庭教師の先生にお任せですから、どんなに寝ぼけて
いても先生がベッドから引きずりだしてくれますし、バスルーム
でふらふらしていても勝手に身繕いが済んでしまいます。

 ところが中学生になると、そうはいきませんでした。

 まず、必ず自分で起きなければなりませんし、自分で身繕いを
しなければなりません。『今日は疲れてるから今日だけお願い』
というわけにはいきませんでした。

 そのうえ、シャワーを浴びて身を清めたり、髪をとかしたりと
いった作業は担当の家庭教師が目を光らせていますから手抜きも
できません。
 お父様の待つ大食堂では子供たちの誰もがきちっとした身なり
で現れなければなりませんでした。

 戦後、爵位がなくなったと言ってもお父様は元男爵。ご本人は
家にいる時でも常にきちっした身なりをなさっています。
 ですから、子供たちにもきっとそうして欲しかったのでしょう。
『子供だからだらしのない身なりをしていても仕方がない』とは
お考えにならないみたいでした。

 目やにをつけたまま食堂のイスに座ろうものならまず顔を洗う
ようにお命じになりますし、寝癖を残したぼさぼさの髪や上着の
ボタンが外れているのもNG。スカートの裾からほんの少しだけ
シミズがはみ出していただけでも家庭教師が付き添って化粧直し
です。

 とはいえ、朝寝坊は大半の子に起こるもの。
 この日の朱音(あかね)お姉ちゃん……いえ、中学生になりま
したから朱音お姉様ですね……朱音お姉様を襲ったのもそうした
不幸でした。

 朝の食堂では、お世話になっている男の子二人、女の子五人の
合計七人が身なりを整えて朝の挨拶にやってきます。

 一番上は高校三年生の隆明お兄様。
 背が高く、細面で、目鼻立ちもはっきり、その日本人離れした
ルックスから妹たちの間では『ハーフよね、絶対』『お父様って
イギリス紳士じゃないかしら』という声が一般的でした。

 ただ、本当のところはわかりません。
 実は、お父様たち、後々のことを考えてここへ連れて来るのは
3歳までで父母共に身元の知れない子と決めていたのです。
 隆明お兄様がハーフかどうかはお父様もご存知ないことでした。

 二番目が高二の小百合様、
 肩まで伸ばした黒髪が美しい気品漂うお姉様。凛とした物腰は
すでに大人の女性を感じさせます。
 でも、こんなお姉様でさえも、お父様は私たちの前でむき出し
のお尻を叩いたことがありました。
 我が家はそういう家だったのです。

 このお二人は、私たちのような子供から見ると兄弟というより
むしろお父さんとか、お母さんといった感じに見えます。
 というのも、このお二人は身体が大きいだけでなく、言ってる
ことやってることが立派過ぎて私たちとは話がかみ合わないから
でした。

 何か言われる時は、たいてい雲の上から言葉が降って来る感じ
で、つまらないんです。
 こちらが返す言葉も、「はい、お兄様」「はい、お姉さま」と
しか言えませんでした。

 ま、その代わり、よく抱っこしてもらいましたから、そういう
意味でもお父さんお母さんみたいだったんです。

 この下は中学生。三年生の健治お兄様、二年生の楓お姉さま。
そして一年生の朱音(あかね)お姉さまです。

 このグループはお父様からある程度独り立ちを認められていま
すから、自分で自分の身体を洗うことができますしクローゼット
にあるどんな服でも自由に選んで着ることができます。

 ただ数年前までは私たちと同じ立場だったわけですから、まだ
子供時代の雰囲気も残しています。

 私たちが冗談を言ったり、こちらがふざけても受けてくれます。
読んでるマンガが同じだったりもしますから話も合いやすい関係
でした。

 その中学生グループの一人、朱音お姉さまがこの日の朝はなか
なか食堂に現れませんでした。

 他の子はとっくにお父様へのご挨拶を済ませ席に着いています。
最初の料理、ポタージュだってすでにテーブルに乗っています。

 そんな時でした。
 バタバタという足音が近づいてきたかと思うと、いきなり一陣
の風が食堂に吹き渡ります。
 とても急いでいたのでしょう。『ドン』という普段ならしない
はずの音がしてドアが開いたのでした。

 少し前かがみになって激しい息遣いが私の座る席までも聞こえ
そうです。

 「女の子じゃないみたいね」
 どなたかがそうおっしゃいましたが、まさにそんな感じでした。
ゲームやマンガに出てくる『艱難辛苦を乗り越えて、今、お城の
大広間に乗り込んだ若き勇者』といったところでしょうか。

 精悍な感じはすると思うのですが……
 でも、こんな登場の仕方、お父様にはあまり歓迎されませんで
した。

 遅ればせながら朱音お姉さまが朝のご挨拶にお父様のそばまで
行くと、お父様の方で手招きします。
 『もっと顔を近づけなさい』
 ということのようでした。

 「お前、目に何かついているぞ」
 まずは、お姉さまの目やにをナプキンで払い除けてから、その
全身を一通り見回します。

 「凄い格好だな。髪ぼさぼさ、上着のボタンは外れていて……
ん?……そのスカートの裾からチラチラ覗いているそれは何だ?」

 お姉さまは朝のご挨拶をしようと思ってそばに寄ったのですが、
これでは何も言えなくなってしまいました。

 「昨日の夜のお相手は誰だ。萩尾望都さんか?竹宮惠子さん?
それとも、大島なんとかさんかな?」
 お父様は家庭教師の武田京子先生を通じてお姉さまが夜な夜な
夜更かししてマンガを読んでいたのをご存知だったのです。

 ちなみに、お父様世代が読んでいた漫画は今のような形式の物
ではありません。手塚治虫先生登場以前の作品です。『のらくろ』
あたりでしょうか。単純で滑稽なショートストーリー。
 お父様は、複雑なストリー展開や人の情愛、感情の機微などを
マンガが伝えられるだなんて思ってらっしゃいませんから、漫画
は全て低俗な悪書だったわけです。
 当然、娘が夜更かししてまで読むものではありませんでした。

 「おまえは、まだ自分で自分の事が管理できないみたいだな」

 「…………管理って……」
 こう言われて、お姉さまは何か言いたげだったのですが……

 「お前はまだ子供だってことさ………………先生……武田先生」
 お父様はこう言って中学生専属の家庭教師武田先生を呼びます。
 武田先生は私たちでなら河合先生にあたる方、同じ役目でした。

 「先生、ご苦労だけど、この子を洗ってやってくれませんか?」
 お父様は、捨て猫でも処理するように朱音(あかね)お姉様を
武田先生へ依頼します。

 「はい、承知しました」
 武田先生は一流大学を出た立派な才女ですが、ここではお父様
に雇われているわけですし、そもそもこうなったことについては
ご自分にも責任があると感じられたのでしょう、二つ返事で引き
受けられると、朱音お姉さまを連れて食堂を出て行かれました。

 で、どうなったか?

 どうって、特別な事は何もありません。お姉さまが久しぶりに
私たちと同じ朝の体験をしたというだけです。

 身体をゴシゴシ洗われて……「ほら、腰を引かない」とかね。
 髪をセットしている最中……「ほら、脇見しない!」とかね。
 出してきた服に文句を言うと、「贅沢言わないの。あなたには
これが似合ってるんだから」とかね。
 言われたんじゃないかなあと思います。

 ただ、武田先生からは念入りに洗っていただいたのでしょう。
朱音お姉さまが食堂に戻られた時はもう大半の子が朝食をすませ
ていました。
 中には早々席を立つ子もいて、そんな時になってようやく朱音
お姉さまが準備を終えて食堂に戻ってきたのでした。

 遥と私は、その時もまだお父様の席で何やら話していました。
 子供の役得で、お父様のお膝の上はいつ登ってもセーフティー
エリア(安全地帯)だったのです。

 今のように情報がたくさんある時代ではないので、お父様から
の情報は子供たちにはとっても新鮮で貴重なんです。
 色んな話題や知識がそこにはありますから、食事が終わっても
私たちはできる限りお父様のそばにいたのでした。

 そこへ武田先生と一緒に朱音お姉さまが食堂に帰ってきました。
 もちろん、今度は一部のすきもなく仕上がっています。
 まるで、これから舞踏会にでも行くみたいでした。

 「わあ、綺麗!」
 「こんな素敵なドレスで食事するの?」
 二人の目の前をお姫様が通過します。

 「お…おはようございます。お父様」
 武田先生に背中を押されて少し緊張気味にご挨拶。
 そりゃそうです。さっきお父様に叱られてこうなったわけです
から朱音お姉さまだって心から笑顔というわけにはいきません。

 「おうおう、綺麗だ。綺麗だ。見直したよ。女の子はやっぱり
こうでなちゃいけないな…………武田先生、ご苦労様でした」
 感嘆の声を上げるお父様。余計な手間をとらせた武田先生をも
ねぎらいます。

 「やはり、ちゃんとしていれば朱音が姉妹の中で一番綺麗だよ」

 たとえお世辞でもお父様にこう褒められれば、朱音お姉さまも
まんざらでもないのか、はにかんで笑顔がこぼれます。

 ただ、我が家の場合。これでめでたしめでたしというわけには
いきませんでした。

 「よし、では食事にしようか。でも、その前に……朱音。鏡を
持って来てこの椅子に敷きない。お前もその方がはっきり目覚め
ることができるだろうから……」
 お父様は、ご自分の隣りにある椅子の座面を叩きながら、朱音
お姉さまに命じます。

 お父様がおっしゃる『鏡』というのは本当の鏡ではありません。
 鏡を椅子に敷くなんておかしいでしょう。

 ここでいう鏡はまるで鏡のように磨き上げられた鉄の板のこと。
 その冷たい金属の板を座面に敷き、その上に裸のお尻を乗せる
という罰なのです。

 実はこれ、学校でも同じ罰がありますから、女の子にとっては
わりとお馴染みのお仕置きなのですが、さらに我が家では、その
鉄板を冷やすための専用冷蔵庫まで用意してありました。

 キンキンに冷えた鉄板の上に裸のお尻を乗せればそりゃあ目は
覚めるでしょうが……

 「はい……」
 朱音お姉さまは短く答えてその冷蔵庫に向かいます。

 その瞬間、お父様は、まだ食堂に残っていた健治お兄様にだけ
ここを出るよう指図されましたが、他にも残る女の子たちには、
何もなさいません。

 もちろん、食堂にまだ残っていた数人のお姉さまたちも事情は
ご存知です。でも、そもそもそんな事に感心を示す人などここに
はいませんでした。

 というのも、これって学校でも家庭でもわりと頻繁に行われる
罰なので、私も含め女の子たちはすでに全員が経験済み。今さら
驚きませんでした。
 それに何より女の子が女の子のお尻見てもしょうがありません
から。

 ただ、そうはいっても本人は別です。だいいちトイレでもない
こんな人前でショーツを脱ぐのは恥ずかしいことですし、お尻が
鉄の板に当たる瞬間、その冷たさに思わず顔色を変えないように
気を配ったりもします。

 幸いロングスカートが裸のお尻を隠してくれますから外からは
普通に食事をしているように見えますが、キンキンに冷えた鉄の
板はよく尿意を呼びさましますからそれも要注意でした。

 そして、それをなんとか我慢していると……
 「どうした?……行って来なさい。こんな処でお漏らしなんか
したら、それこそ恥ずかしいよ」
 こんなことをお父様に言われてしまいます。
 これもまた恥ずかしいことでした。

 冷たい椅子に腰掛けて独りでする食事なんて誰だって嫌です。
 だから「こんな物いらない」と言って席を立ちたいのですが、
特別な理由なく食事を抜くことをお父様が許してくださらないの
でそれもできませんでした。

 『出されたものは全て食べること』
 この場に限らずこれがお父様の厳命ですから、子供たちが食事
を拒否することはお父様のお言いつけに逆らうことになります。
 覚悟を決めて席を立つこともできますが、その場合は、当然、
それなりのお仕置きを覚悟しなければなりませんでした。

 朱音お姉さまは重い手つきでスープを口に運びます。

 もったりもったりとした様子。
 そんなゆっくりとしたペースに、今度は、お父様が動きました。

 「ほら、いいからお口を開けて、このままじゃ学校に遅れるよ。
ほら、あ~~ん」

 お父様は自ら大き目のスプーンに料理を乗せてお姉さまの口元
へ運びます。

 お姉さまは恥ずかしくても、それをパクリっとやるしかありま
せん。

 「よし、その調子だ。お前にはまだこの方が似合ってるな」
 お父様にこんな事を言われても、やはり黙っているしかありま
せんでした。

 「美味しいか?……美味しかったら『はい』って言いなさい」
 「はい……」
 恥ずかしそうな笑顔から小さな声が聞こえました。

 二口、三口、スープをお姉さまの口元へ運ぶと、今度はお肉を
切り分け始めます。

 今度はフォークに突き刺して……
 「あ~~~ん」

 「ほら、もう一口。…………よし、食べた」
 お姉さまは口元を汚しながらお肉を頬張ります。

 「よし、もう一つだ…………頑張れ~~」
 一方お父様はというと、もう完全に朱音お姉さまを赤ちゃんに
して遊んでいました。

 「おう、いい子だ。よく食べたねえ。……ほら、もう一口……
おう、えらいえらい。今度はサラダにするかい?」

 お父様の問いに口いっぱいにお肉を頬張っている朱音お姉さま
は口が開けられません。

 「サラダ嫌いかい?ダメだよ。野菜もちゃんと食べないと……
誰かさんみたいに便秘しちゃうからね。………よし、口を大きく
開けて……あ~~入った入った。……お前はやっぱりその笑顔が
最高に可愛いよ。お前を独り立ちさせるのちょっと早かったか。
また、小学生に戻るか?私と一緒にネンネしようか?」
 お父様はお姉さまをからかいながらひとり悦にいっています。

 でも、こんな赤ちゃんみたいな食事に朱音お姉さまが歯を喰い
しばっているかというと……

 もちろん、恥ずかしいことなんでしょうが、お姉さまの顔は、
どこかお父様に甘えているようにも見えます。

 お父様の給仕が早くて思わずゲップなんてしちゃいますけど、
お姉さまの笑顔がすぐに復活してお父様を喜ばせます。

 「おう、ちょっと早かったか。じゃあもっとゆっくりにしよう」

 食事するお姉さまにとって両手は何の役にもたちません。イヤ
イヤすることもできません。今は、お父様に向かって笑顔を作る
ことだけが仕事みたでした。

 これってお姉さまに与えられた罰と言えば罰なんでしょうけど、
こうやってお父様と食事するお姉さまの姿は、時間の経過と共に
どこか楽しげなもへと変わっていきます。

 ですから……
 『いいなあ、私もやってもらおうかなあ』
 なんて思ったりして……小学生は不思議なものです。

 でも考えてみたら、朱音お姉さまだって数ヶ月前までは小学生
だったわけで、中学生になったからって瞬時に全てが切り替わる
というわけではないようでした。

 そして、テーブルの料理が三分の一くらいなくなったところで、
朱音お姉さまはやっと自分の手で食事をすることができるように
なったのでした。

 ただ……
 「武田先生。朱音は、今日の午前中、体育の授業がありますか」
 その空いた時間にお父様が武田先生に尋ねます。

 「いいえ、今日は体育の授業はありません。午前中は特に体を
動かすような行事はないと思います」

 武田先生の答えは朱音お姉さまを再び震撼させます。
 いえ、それは私にもわかる結論でした。

 ところが……
 「さあ、あなたたち、そろそろ学校へ行く準備をしないと遅れ
てしまいますよ」
 河合先生が呼びに来て、私たちはそれから先の様子を見る事が
できませんでした。

 でも、その様子は見なくてもだいたいわかります。
 だってそれは私たちにも沢山経験のあることだったからでした。

 おそらく朱音お姉さまはたくさんのイラクサをショーツの中へ
これでもかと言わんばかりに詰め込まれるはずです。

 まるでオムツみたいになったパンツを穿いての通学。
 これって歩くとまるでアヒルみたいですから傍目にもお仕置き
を受けたとすぐにわかるのでした。

 しかも、この罰はただ歩きづらいというだけでなく、登校後に
イラクサを取り去っても、なかなか痒みがとれないのです。
 そこで症状が悪化しかねない体育が午前中にある時はやらない
のが不文律になっていました。

 二人は廊下に出てから顔を見合わせて笑い転げます。

 そりゃあ、私がそんな事されたらとっても嫌ですが、他の子が
お父様の目の前でスカートを持ち上げ、そこに表れたパンツも、
お父様から引きずり下ろされて、その中にたくさんのイラクサを
詰め込まれているなんて想像しただけでも愉快な事でした。

 「あなたたち、笑いすぎよ。……もっと他人を思いやる気持を
持たなきゃ」
 河合先生に注意されて酔いは醒めますが、それまではお腹抱え
て笑い転げていたのでした。

***********<6>*************

コメント

コメントの投稿

コメント

管理者にだけ表示を許可する

Appendix

このブログについて

tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

最新記事

カテゴリ

FC2カウンター

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR