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真紅の薔薇の蒼いトゲ <2>

         真紅の薔薇の蒼いトゲ<2>

********** オムツの洗濯 *********

 自己紹介では新入生全員が舞台でお漏らしをしました。
 でも、これはやむを得ないことであり、学校としても予定通り
なのです。

 だって穿いたオムツに粗相するまでずっと先輩達の質問攻めに
会うわけですから、最初からどんなに頑張ってみても無駄なわけ
です。

 要は、『上級生には絶対服従しなければなりませんよ』という
寮の規則を悟らせるのがこの会の目的だったんですから。
 実際、新入生の中にはその趣旨を知っている子もいました。

 ならば、そんな子は敵の計略の裏をかいてさっさとお漏らしを
してしまいそうなものですが、そうはいきませんでした。

 これまで散々美しいものと醜いものとを使い分けて育てられて
きた私たちにしてみたら、その垣根をいきなり取っ払えと言われ
てもそれは簡単なことじゃなかったんです。

 誰だって無駄と分かっていても、結局は限界まで我慢すること
になります。
 中には、『ピアノを習っていました』なんて余計な事を言った
ばっかりに演奏途中で力尽きた子もいましたが、大半は、椅子に
座って泣くことになるのでした。

 女の子の世界って、見られてる表の世界へのこだわりは相当な
ものですが、ひとたび楽屋に回ってみると、こんなものなんです。
 ハレンチなことも平気でしますし汚いことにも驚くほど無頓着。
ねたみ、嫉妬、権力欲だって男性には負けませんから、女の花園
を生き抜くには大変な努力が必要なんです。

 実は、こうした女の悪癖を最も強く受けるのが1年生でした。

 ニーナ女学院の1年生(新入生)が奴隷だという事実は、生徒
先生を問わずここにいるすべての人が知っていることなのですが、
残念ながらSNSなどなかった時代、その情報は学園の外にまで
あまり広がってはいませんでした。

 多くの子が厳かな入学式のあと寮に帰ってこの自己紹介の席で
その事に気づくことになります。

 昼間出会うニーナ女学院の生徒たちは、とってもおしとやか。
先生方も声を荒げたりなさいませんから、学園全体がとても静か
なんです。一番大きな声は小鳥のさえずりでしょうか。
 掃除が行き届いていてどこを見ても塵一つ落ちていない校内は
まさに女の園と呼ぶにふさわしい場所だったんです。

 つまり入学希望者はそんな昼間の顔だけみてここに決めるわけ
ですから、誰もが『私の判断に間違いはない』と確信するに違い
ありませんでした。

 ところが、若き淑女(ヤングレディー)たちの夜はまったく逆。
 そこはハレンチと狂乱が支配するソドムとゴモラの世界。
 清楚や品位などといった言葉は、常に制服と一緒にハンガーに
掛けられたままになっていたみたいでした。

 いえ、決して寄宿舎に秩序がないわけではありませんよ。
 寮にも伝統的な揺るぎない秩序は存在します。
 でも、それは民主的でないというだけのことでした。

 昼間の学校が園長先生を頂点にいただいたした縦社会であるに
対し、寄宿舎は『女王陛下』と呼ばれる最上級生の寮長を頂点と
する厳格な身分社会。

 どこが違うかと言うと、昼間は厳しくとも法による支配ですが、
夜は身分がものを言います。
 そこに規則や法が入り込む余地はありませんでした。

 上の身分にある者は下の者に対して合理的な理由なしに何でも
できます。体罰を与えることはもちろん、お気に入りの子を一晩
泊めて愛することも……逆に、気に入らなければどんなな虐めも、
それは望みのままなのです。

 対する一年生(新入生)は、ここでは最下級の身分ですから、
上級生からどんなに理不尽なことをされても、ただただ耐え忍ぶ
しかありません。

 彼女たちが寮内で命令できるのは食堂の調理場で飼われていた
猫のタマくらいでしょうか。とにかく、一年間は忍従の日々です。

 そんな中世的な秩序の中で生まれたのがこの自己紹介の儀式。

 でも、上級生にしてみたら、これはささやかなおもてなし。
 本当のお楽しみは、むしろこれからだったのです。


 自己紹介をして、特技を披露して……オムツの中をずっしりと
重くして……短い時間の会はひとまず終了しましたが、上級生に
とって新入生は一年ぶりのご馳走なわけですから、これで開放と
なるわけがありませんでした。

 饗宴はまだまだ続きます。

 新入生たちの次なる任務は、裏庭に出て自分の汚したオムツを
脱ぐこと。
いえ、オムツだけじゃありません。そこで着ていた服はすべて
脱がなければなりませんでした。つまり全裸になることでした。

 「さあ、どうしたの?さっさとなさい?」
 「ほら、上級生のお言いつけはどんな事でも絶対に守るという
マリア様の前での宣誓を忘れたのかしら?」
 「上級生に従うのはあなたたちの義務なの。さあ、早くして」

 時は夜。冷たい風が通り抜ける裏庭に明かりはなく、不断なら
そこはすでに真っ暗なはずでしたが、親切な上級生たちが今日に
限って四方八方からライトがあたるようにしてくれています。

 もし裸になったら、誰の顔かも、誰のお尻かも、割れ目だって
しっかり見える明るさです。
 要するにスポットライトを浴びて、新入生だけのストリップが
始まるのでした。

 もじもじしていると、役付きの上級生たちが次々に心無い言葉
を投げかけます。

 「さあ、早くなさい。風邪ひくわよ」
 「まさか、その姿でベッドに入るつもりじゃないでしょうね」
 「あ~、まさかその姿で部屋に戻るつもりじゃないでしょうね。
嫌よそんなの。ここは上級生と下級生が同室なんだよ。あんたの
うんちの臭いを嗅ぎながらなんて寝られやしないじゃないの」
 「そうそう、女の子でしょ、自分で汚した物は自分でしっかり
洗ってね」

 規律委員、風紀委員、生活委員……
 おろおろする新入生たちを尻目にきりっとしまった顔のお姉様
たちは、冷たい視線で見下ろします。

 と、ここで一人の新入生が口を開きました。
 「あのう……これは何ですか?……ここにオムツを入れてどう
するんですか?」

 ヒナ子ちゃんでした。
 彼女は目の前に置かれた盥やその中にある洗濯板がわからない
みたいで……周囲の上級生たちも思わず失笑です。

 私もそうでしたが、私たちは自分の下着を洗濯したことが一度
もなかったのです。
 そうした仕事はこれまでお手伝いさんとか女中さんと呼ばれる
人たちの仕事でしたから。
 でも、ここではそれも私たちの仕事に加わります。

 ちなみに、これは読者さんが分からないかも知れないので付け
加えますけど、当時は紙おむつというものがまだありませんから、
赤ちゃん用のオムツは古い浴衣の生地を短冊状に裂いて作るのが
一般的でした。

 これは紙おむつのように使い捨てではありませんから、どこの
家庭でも洗濯して何度でも使い回します。
 当然、その洗濯も当時はお母さんの仕事だったのです。

 「あら、あなた、盥を知らないの?」
 「そうね、今は電気洗濯機があるものね」
 「ここにもそれはあるけど、あいにくそれって共用なのよ」
 「そんなのを洗濯機で洗ったら機械の中にあなたたちのうんち
が残っちゃうでしょう。そんなの誰だって嫌じゃない。だから、
自分で汚したオムツは自分で洗ってちょうだいね」

 「あのにう~これから?……私が?……これ、洗うんですか?」
 ヒナ子ちゃんが怪訝そうに口走ると……

 「あらあらご不満かしら?でも、ここではあいにく女中さんも
お手伝いさんもいないの。オムツだけじゃないわよ。これからは
下着だって自分の分は自分で洗うのがここの習慣なのよ」

 私たちはその家にあって望まれて生まれたわけではありません。
むしろ厄介者です。でも、実家は大半が俗福な環境でしたから、
自分の下着も洗濯は下女まかせ、自分で自分の下着を洗う習慣は
これまでありませんでした。

 ですから、ヒナちゃんだけでなくこれを自分で洗えと上級生に
言われた時は裸になれと言われた時以上にショックだったんです。

 「そんなことできません。こんな、ばっちいもの」
 敬子ちゃんは上級生にもおくせず主張します。

 でも、ここはそれが許される場所ではありませんでした。

 「呆れた……ばっちいですって……あなた、これはあなたの身
から出たものなのよ。自分の責任で処理するのが、当たり前じゃ
なくて?」
 「そうそう、あなたたち、もう小学生じゃないのよ。自分の事
は自分で処理しなくちゃ」

 私は思わず……
 『何言ってるの!この原因作ったの先輩の方じゃないですか!』
 って口走りそうになりましたが、寸でのところで飲み込みます。

 規律委員や風紀委員、生活委員といった強面で眼光鋭い上級生
たちの鋭い視線に気後れしたのかもしれません。

 それに、気がつけば……
 「!!!!」

 見学者は役付きの上級生だけではありませんでした。
 今は寮の窓という窓が開いていてそこに多くの人影が見えます。
恐らくほとんどの上級生が私たちの裸を楽しみにしていたに違い
ありませんでした。

 それが分かると、なおのこと口を閉ざすより仕方がありません。

 ま、同性のそれもまだまだ未発達の裸を見ても上級生の感情が
高ぶることはないでしょうが、他人が困っている様子や恥ずかし
さに震える様子は純粋に見世物として楽しめます。
 ここではこの手の催物に参加しない人の方がむしろ変人でした。

 それだけここでは生徒の連帯意識が強いということでしょうか。

 そういえば、一般的に新入生の寝起きする場所は同学年だけの
大部屋と相場が決まっています。ところが、ここでは中三高二の
先輩たちと一緒の三人部屋で暮らすことになります。

 新入生は同室になる二人先輩にいつも監視されながら小間使い
などもしながら学校の勉強や寮のしきたりなどを教わります。

 この時も大義名分は同室の先輩に盥を使ってのお洗濯を習うと
いうもの。決して、いじめではありませんでした。

 私を指導してくださった一人目は中三の香山理沙先輩。
 一見すると冷たく頭が良さそうで取っ付きにくい感じにも見え
ますが、長い髪を自然にかき上げる姿はチャーミングで、中学生
とは思えないほど大人びていて憧れてしまいます。

 その香山先輩に、私は入寮前のガイダンスで教わったとおり、
まず膝まづいて、まだ貧弱な胸の前で両手を組むと……
 「よろしくお願いします」
 と、ご挨拶。

 この仰々しいご挨拶をここでは何万回としなければなりません
でした。

 素っ裸でこのご挨拶はちょっと世間じゃ考えられないところで
しょうけど、ここではこれも常識。
 女の子同士、何のわだかまりも持っていないことを示すには、
これが最も簡単な方法なのだそうです。 

 私の挨拶に香山先輩はとても満足そうな笑顔で、下着を一組、
私の目の前に差し出します。

 すると……
 「あなた、素直ね。いい心がけだわ。さあ、これを着なさい」

 「いいんですか?」

 「いいの、いくら女の子同士でもそれでは私も恥ずかしいから
……いいこと、女の子は、目上の人を信じて素直にしてする子が
結局は一番得するようにできてるの。わすれないでね」

 香山先輩はそう言ってスリップを一枚差し出してくれました。
 先輩の意外な優しさに感激してしまいましたが、ただ、誰もが
先輩から下着をもらえるわけではありません。
 なかには、泣きじゃくってその場を動かなくなる子や衝動的に
その場から逃げ出してしまう子も……
 そんな子は依然として裸のままです。

 きっと、心がパニックになってしまったんでしょうね。
 いきなりこれですから、無理もありませんけど……

 「……ほらほら、泣いてても何も始まらないの。ここでは誰も
助けてはくれないんだから、自分で生きていくしかないのよ……
ほら、立って、立って……」
 彼女を指導する先輩が少しだけ落ち着きを取り戻した新入生を
立たせると……今度は……

 「両手を膝に着けて……そうそう、それでいいわよ……じっと
してなさい……(ピシッ)」
 その声が聞こえて振り返ると、上級生の革紐鞭が可愛いお尻に
炸裂したところでした。

 こんなもの、ここでは軽いご挨拶程度なんですけど……
 これを見てさらに驚いたのでしょうね、今度は別の子が、我を
忘れて逃げ出します。

 もちろん今日ここへ来たばかりの新入生が、ナチの強制収容所
みたいなこの場所から逃げ出せる訳がありません。

 いくら暗闇に向かって一直線に走ってみても行き着く先は寮を
取り囲むフェンスまで。
 頑張ってそこを抜けられたとしても学校を取り囲むフェンスは
5mもありますし、さらにその先も、有刺鉄線を載せたフェンス
が敷地全体を取り囲んでいます。

 ここは何重ものフェンスで取り囲まれた、さながら捕虜収容所
のようなありさまだったのです。

 一分後、逃げ出した新入生は規律委員の二人に両脇を抱えられ、
両足をバタバタさせながら元の場所に戻ってきました。
 本当はもっと駆けっこがしたかったんでしょうが、両足が地面
に着かないのではどうにもなりません。

 他の生徒達からもゲシュタポと呼ばれている二人の上級生から
解放された新入生は最後の抵抗をみせてその場にうずくまります
が……

 「ほらほら、手を焼かせないの。あなたが逃げられるわけない
んだから……ここはそんじょそこらの刑務所より警備が厳重なの。
へたに逃げ出すとドーベルマンに噛み殺されるわよ………ほら、
いつまでも泣いてないで立ってちょうだい……」

 上級生の忠告にも激しく頭を振るばかりでしたが……

 そのうち……
 「いいから、立つの!!!言うことをききなさい!!!」

 先生に強い言葉でどやされると、少しびびったんでしょうか、
思わず泣き止みます。
 それは彼女が本心から泣いていないことの証ですから、周囲の
視線はさらに厳しくなります。

 嘘泣きの涙は男性には通用しても、女性には通用しないもの。
ここで彼女の負けは確定したのでした。

 「あなたがどんなに頑張ったって、一度犯した罪は罰を受けて
精算するまで消えないし、ごねればごねるほど罰は重くなるわ。
しかも罰がどんなに重くなっても、うちには割引って制度はない
から、それも覚えときなさいね」

 「はい、ごめんなさい」
 蚊の泣くような声が夜の静寂を這って来て私の耳にも届きます。

「世間では言いつけを守れない子はお仕置きって決まってるの。
あなたのおうちはそうじゃなかったのかしら………さあ、後ろを
振り返らない。……両手を膝に着けて……お尻を上に上げる……
……なんだ、やればできるんじゃないの」

 上級生はせわしなくお仕置きの姿勢を取らせると、60センチ
くらいのよくしなる定規で脱走兵のお尻を……

(ピシッ)(ピシッ)(ピシッ)(ピシッ)(ピシッ)(ピシッ)」

 六回くらいでしょうか甲高い音が夜空に響いては暗闇に消えて
いきます。

 この手の鞭は私も受けましたが、どうにもならないというほど
痛いものではありません。
 ただ、気が動転してる子を反省させるにはこれで十分でした。

 先輩たちは私たちを言葉で諭すのではなく、どうしたら許して
もらえるかを下級生に考えさせます。
 つまり、自主的に謝らせ、自主的に罰を受けたいと申し出る様
に仕向けるのです。

 もちろん中には一筋縄ではいかない子だっていますが、そんな
子の為には一筋縄ではいかないお仕置きが容易されていて……。
 どちらが先に参るか、火を見るより明らかでした。

 この学校は厳然たる身分社会ですから、学年が一つでも違えば
扱いがまったく違います。おまけに先輩たちが新入生や下級生に
罰を与えたいと思えばそれも自由。誰の許可もいりませんでした。

 しかも反抗的な子と言っても、ろくな躾もなされていない庶民
のお転婆娘ではありません。いずれ劣らぬ名家の出身なわけです
から、家での躾だってそれなりにできています。
 できる我慢はしているのです。

 でも、それでも我慢ができないほど、彼女たちは追い詰められ
ていたのでした。

 女の子はいつまでも裸の山猿ではいられません。
 我慢はしますが、それもある一線を越えると……それから先は
理性の歯止めが利きませんでした。

 そんな時、子供たちに冷静さを保たせるのが、この鞭だったの
です。

 あの子たちだって冷静になって周りを見渡していれば、そこに
お利口さんが何人もいますから、こうした時は本心とは別の事を
しなければならないと悟ります。
 この鞭はそのことに気づかせる鞭。忖度を覚えさせる鞭でした。

 寮では目上の人に対する礼儀や作法、文字や言葉づかいなどを
こうして実地に教わることになります。

 『痛い思いをしなければ子供はものを覚えない』
 とは、今でこそ虐待ですが、当時にあってはこちらの方が常識
だったのです。

 私は、この時は幸い鞭をもらいませんでしたが、それは、私が
思慮深かったからでも、悲しみを感じなかったからでも、その場
から逃げ出す勇気がなかったからでもありませんでした。

 あまりの環境の変化に気が動転してしまい、どうしてよいのか
頭の整理が追いつかず、頭の中が真っ白になっていただけのこと
だったのです。

 それが証拠に、本来なら私の仕事だったはずのオムツの洗濯を
先輩お二人が私に代わって今まさに洗ってくださっているのに、
私はただぼんやりと眺めていたのです。

 夢遊病者のようになっていた私の手を取って教えてくださった
のも、中三の香山理沙先輩とそのさらに上、高二の霧島遥先輩で
した。
 この二人が私と同室の先輩ということになります。

 お二人は私の汚したオムツを率先して洗ってくださいました。
 何度も何度も盥の水を取替え、洗濯板を使って洗います。
 何だか本当のお母さんみたいです。

 私は途中で自分の立場に気づいて恥ずかしい気持と申し訳ない
気持が入り混じり、何度も「ごめんなさい」を連発しましたが、
とうとう最後まで汚れたオムツを実際に洗ってくださったのは、
同室の先輩、香澄先輩と霧島先輩だったのです。

 「ごめんなさい、汚いことさせちゃって……」

 「そんなに恐縮することはないわ。慣れれば何でもないことよ。
ここでは他人のウンチを握らずに卒業する子なんて誰もいないの。
つまり、あなただって、いずれは、コレ、やることになるのよ」

 「えっ?」

 「ここでは育児の時間というのがあって、オムツ替えも課題の
一つになってるんだけど、ここには本物の赤ちゃんがいないから
同級生がそのお相手になるの」

 「……ペアってこと?……」
 この時は具体的なことが理解できずにボ~っとしていましたが。

 「そう、ペア。どういうことか、分かるでしょう?……えっ?
分からないの」
 そう言って香澄先輩が私の首筋で囁きます。

 「…………」
 正直、その場の様子を想像して、ぞっとしました。
 今の今ですもの、想像しやすかったのです。

 「あなただって巨大な赤ちゃんがやってしまったウンチべちょ
べちょりのオムツを取り替えさせられるし、あなた自身も、その
赤ちゃん役をやらされることになるわ」

 「……(そんな)」
 私は話を聞いただけで悲しくなります。

 「ちなみにあなた、お友だちのオムツを取り替えるのと自分が
赤ちゃんになるの、どっちがやってみたい?」

 「………………どっちも嫌です」
 私は思わず語気を強めて答えましたが……

 「残念ね、ここでは学校の授業だけでなく普段のお仕置きでも
これがあるの。悪さが過ぎる子は、お友だちを浣腸してあげて、
そのオムツを替えてあげるとか、逆に自分がお浣腸してもらって、
オムツを取り替えてもらうとか……または、その両方。とにかく
色んなパターンがあるわ」

 「私の父は……」
 そう言ったきり、私は次ぎの言葉が出てきませんでした。
 『私の父は』の次はいったい何を言おうとしたのでしょうか、
それさえ忘れてしまっていたのです。

 そんな私の心を見透かすように霧島先輩が……
 「ここは普通の寄宿舎学校とは違うの。入って来る子はみんな
名家のお嬢様ばかりだけど、みんな訳ありの子ばかりでしょう。
親の方も娘のことにあまり関心のない人が多くて、みんな規則で
お尻のお山に大きなお灸の痕をつけて卒業していく事になるんだ
けど、これまでそれを咎めた親御さんは一人もいなかったそうよ」

 「オキュウ?」

 「あら?そう、あなた、まだお灸を据えられた経験がないのね」

 「へえ~ほんと?それは幸せね。だったらこれは言わない方が
よかったかもしれませんね」

 「そうかもしれないわね……とにかく、いくら言っても悪さが
治らない子にはとってもよく効くお薬があるってことだけ覚えて
おけばいいわ」

 確かにそうです。お灸はそれほど強い効果がありましたから。
 でも、やられた方はそれ以上に大変だったのです。

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このブログについて

tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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