2ntブログ

Entries

§10 <天使の庭で>

§10 <天使の庭で>

 茜ちゃんは二三冊の本を大事そうに抱えてやってくるとベンチに
腰をおろした私の前でペコリとしてから、そのまま勢いよく私の膝
の上に飛び上がる。
 あっという間もあればこそ、ドスンという重みが膝にかかる。
 『おいおい』
 と言ってみたかったが、彼女の屈託ない笑顔に負けて頭を撫でて
しまった。
 「ねえ、これよ、この式、これってどうやって解くの?」
 彼女はそそくさと栞(しおり)を頼りに本のページを捲ると単刀直入
に尋ねる。
 「ほらほら、慌てないの。解き方がわかっても数式のたてかたが
分からないと意味がないだろう」
 私は入れ込むじゃじゃ馬を落ち着かせるようにさらに抱き寄せる。
 そして、ほっぺたのうぶ毛が私の息でそよぐ光景を楽しみにいく
つかの設問に数式のたて方や解法を教えてやったのである。
 解法は一度教わると二度と私の手を煩わせることがなかった。
 「解法は誰かに習ったの?」
 「最初はちょこっとお姉様。でも、あんまり丁寧に教えてくれな
かったからしつこく聞いたら…こんなのは中学生になってからやれ
ばいいのとか言っちゃって……意地悪言うから、あとは自分で本を
見て覚えたの」
 「そうかあ、独学なんだ。そりゃ凄い!今なら中学生のお姉様た
ちにだって負けない力があるよ」
 「ホント!?やったあ!」
 「でも、鶴亀算の方はまだ完璧にはいかないんだろう?」
 野太い声にはっとしてあたりを見回すと高遠のおじ様だ。彼だけ
ではない、いつの間にか周囲におじ様達が集まっていて私たちの
様子を羨ましげに覗き込んでいた。
 「いいのよ、あれは…問題解決」
 「どうして?」
 「だって連立方程式で解けば……こちらの方が簡単だもの」
 「なんだ、それで方程式を教えて欲しいって言ったのかあ。……
でも、鶴亀算は算数としての考え方を身につけるのには大事な訓練
になるからね、おろそかにしてはいけないんだよ」
 「答えが合えばいいんじゃないの?」
 「今は良くても、これから学年が進んで高い次元の数式に取り組
まなければならなくなると、どうやって答えを導きだしたかが大切
になってくるんだ」
 (((((((・・;)そ~~と覗いてみる
 「ふ~ん」
 気のない返事だが、それは今、問題を解いている最中だからだろ
うと好意的に解釈した。
 「先生、この子は女の子には珍しく算数が好きみたいですね」
 「特に算数が、というのではなく何に対しても好奇心旺盛ってと
ころでしょうね」
 「お父様は?この道?」
 「さあ┐('~`;)┌私にはまだ何も…でも、お気に入りみたいです
から、この子が望めば、あるいは男の子たちの進学クラスに入る
かもしれませんわ」
 「すると、四年生の大学へ行って、末は博士か大臣か……」
 「さあ、それはどうでしょう。女の子は何かにつけて飽きやすい
ですから……」
 私は茜ちゃんを膝の上に乗せて30分も頑張った。亀山では日頃
から膝を鍛えておかないと楽しみが半減します。(^-^)
 「さあ、もういいでしょう。他のおじ様のところへも行かなけれ
ばならないわ」先生はその時そうおっしゃったが、気がつけば私た
ちの周囲を取り囲んだおじ様たち輪がぐんと狭まっている。
 待ちかねたおじ様たちの中には茜ちゃんの頭を撫でたり、進んで
方程式の解法をレクチャーする人までいた。
 そう、すでにこの時、茜ちゃんはここにいるおじ様たちのアイド
ルになっていたのである。
 「さあ、おじ様にお仕置きをお願いしなさい」
 「え~~もう少しいいでしょう!」
 「だめです。桐山のおじ様には特にお世話になったんだからパン
ツを脱がしていただいた方がいいかもしれないわね」
 「嫌よ、どうしてそうなるのよ」
 「だって、その方が今習った事を忘れないでしょう」
 「嘘よ、そんなの」
 真に受ける顔が何とも可愛い。
 「おいで」
 そう言って彼女を裏返しにするとその顔がさらにひきつる。
私は茜の短いスカートを捲るとおもむろにショーツに手を掛けて
みた。すると、今度は観念したような顔になる。その可愛いことと
言ったら…
……でも、こちらもそう時間を引き延ばせない。
 「ほら、いくよ」
 そこで、ショーツの上から二つ三つどやしつけてやる。本当は
もっとあやしていたいところだが…
 「ほら、終わったよ」
 こう言って開放するしかなかった。
 すると、膝を降りるなりまたペコリと頭を下げて次のおじ様の
処へ。
 我々おじ様たちができるのはこれだけ。これで不満なら今のお父
様から茜ちゃんをもらい受け、自分の子どもにするしかない。ただ、
私はこれで満足。今の今まで茜ちゃんが座っていた暖かい重みが私
の心の奥底をしばらくは揺さぶり続けてくれるからそれで十分だ
った。
 どんな高級ワインも豊潤なブランデーも彼女の笑顔にはかなわな
かったのである。
 この後、茜ちゃんは二三人のおじ様のお膝で可愛がられると、
最後はお父様の胸に収まった。一旦は席を立ったお父様が、頃合を
見計らって公園の隅で彼女を待っていたのだ。
 すると、当然と言えばそれまでの事だがお父様への対応は私たち
とはまったく違っている。いきなり首っ玉にしがみつくと、膝の上
にでは『この子はこんなにも小さかったか?』と思わせるほど身体
を小さく縮めてお父様の小さな胸の中に納まろうとするのだ。
 言葉だって……、
 『これじゃあまるっきり赤ちゃんじゃないか』
 私は二人の会話を聞いていて呆れてしまった。
 「あ~ちゃんね、今日、ママからおちおき受けたの。とっても痛
かったんだから。それに、おぢちゃまたちが見てるところでなんだ
から……とっても恥ずかしかったんだから……ママに、あ~ちゃん
はもう大きな赤ちゃんなんだから、大人の人の見ている処ではパン
ツを脱がさないでくださいってお願いしてよ~~」
 「しょうか、しょうか、それは災難だったったねえ。でもね、
先生もあ~ちゃんを立派にしようってお仕事だからね、お仕置きは
仕方ないんだよ」
 「仕方なくないよ。あれって、とっても恥ずかしいんだから…」
 「しょうか、嫌か……でも、嫌な事をするのがお仕置きだから
なあ」
 茜ちゃんはそれから先もお父様のお膝の上で15分も甘え続けた
のである。

                                 <了>

コメント

コメントの投稿

コメント

管理者にだけ表示を許可する

Appendix

このブログについて

tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

最新記事

カテゴリ

FC2カウンター

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR