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§6 <天使の庭で>

§6 <天使の庭で>

 私は学校の中庭をよく利用する。ここはお父様たち専用の庭、
子どもたちは立ち入れない。そもそもここは同じ敷地に建つ修道院
の一部なのだ。丹精された草花に囲まれて木陰のベンチに腰を下ろ
すと天使たちが群れ遊ぶ噴水からオゾンの風が吹いてくる。子ども
たちの学校とは腰の低いバラの生垣が結界となっていた。オフホワ
イトのマリア様も穏やかに微笑んで、ここは疲れた心と身体を癒し
てくれる最高の場所だったのである。
 ま、それだけでも十分なのだが、好事家たちにとってはお楽しみ
はこれだけではないようで、ここでは、他ではではちょっとお目に
かかれない種類の催し物が連日のように繰り広げられるのだ。
 実際お父様たちの中にはこの催しもの見たさに足しげく通う人も
珍しくなかった。
 「よくお目にかかりますね」
 「ええ、根がスケベなもので…」
 東亜自動車の元会長は隠しようのないほどの大きな身体で、少し
照れながらつぶやく。それでも屈託のない笑顔だった。
 「ただ、今日は娘が出て来やしないとそれが気がかりなんですが
……」
 「大丈夫でしょう。聞くところによるとお嬢さんは優等生だそう
じゃないですか」
 「いやぁ、だといいんですが、こればかりはわかりませんよ」
 二人は雑談や読書で時間を繋いだ。それはいつ始まるのかわから
ないからだ。たいていはのどかな昼下がりなのだが……いずれにし
ても突然、噴水先の舞台(一階テラス)に役者が表れることになる。
 そして、この日も……それは突然に表れたのである。
 「さあ、いらっしゃい。あなた何度言ったらわかるの」
 甲高い女性教諭の声がしたかと思うと、彼女は女の子の腕を引っ
張り建物から出て来た。
 右手を強く引っ張られているのは11歳位だろうか、困惑した顔
が何とも可愛い。腰が引け、さも嫌々ながらというのが、遠くから
でもよくわかった。先生が小さな手を強く引っ張るたびに少女の肩
まで伸びたストレートの髪がなびき、やがて舞台の中央へと引き寄
せられる。
 『あれ?あれは?』
 私がまだ少女を確認しないうちに会長が席をたった。
 「……?……!」
 それでかわかったのだ。
 「それでは、私はこれで…」
 軽く会釈すると、彼はその場を去る。
 そう、今まさに出て来たのは不幸にして彼が抱える里子の一人、
茜ちゃんだった。
 亀山では自分の預かった子どもを自らお仕置きしてはならない。
こうした場合もその場には立ち合わないのが暗黙の了解事項だった。
 数人の大人たちが少し遠くで見守る中、茜ちゃんは先生のお膝の
上でスパンキングを受け始める。
 何が原因なのかはわからないが、こんな場合、男たちにとっては
その理由などはどうでもよかった。ただただ少女の赤くなっていく
お尻と堪えられずあげる悲鳴だけがお目当てだったのである。
 安藤先生もおっしゃっていたが、『男は女性に二つの事を期待して
いる。一つは美しく気高い姿。もう一つはこれ以上ないほどのあら
れもない姿。どちらが欠けても男はその女を愛さない』
 しかし、亀山にはその二つがものの見事に同居しているのだ。
 無論、東亜自動車の元会長にしたところで、当初は私たちと同じ
火事場見物(?)を目論んでいたのかもしれない。それが自分の娘
(里子)とわかって目算が狂った様子だった。
 亀山のお父様は、寄るべなき身の上の孤児たちにとっては最後の
砦いわば救い主(神様)なのだ。だからその存在はママにも増して
絶対的。お父様はその子が自分の抱える子どもかどうか問わず亀山
に住む全ての子ども達への愛の供給者でなければならなかった。
 だからこそ家長としての権威も絶対的で、子供たちはどんな些細
な事でも滅多に逆らうことはない。しかし、そんな私たちへの絶対
的な服従も、実は、ママの「おじ様も私と同じように敬いなさい」
というお言いつけあっての話なのである。亀山の親子はあくまで仮
の親子だが、その心根は巷の親子と何ら変わらないのだ。
 それに、こう言っては何だが、お父様が御自分の娘の痴態を見た
いと願うならそれは何も中庭などに出向く必要はない。ママにその
希望をそれとなく伝える、というより匂わすだけでよいのだ。
 数時間後、彼は自宅にいながらにして娘の裸を思う存分に楽しむ
事ができたのである。

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tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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