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朝のしきたり < 第 4 回 >

❈❈❈❈❈❈❈❈❈❈ [ 第4回 ] ❈❈❈❈❈❈❈❈❈❈


お話がまたあさっての方向へ向いてしまいましたね。
僕の悪い癖です。すべてに落ち着きがなくて集中できないんです。
ごめんなさいネ。
m(_ _)m

てなわけで、朝の続きですが・・・。

朝ご飯が終わると部屋着を着替えてランドセルを持ってきます。
(^^ /""

もちろん朝の支度は自分でしますが、毎朝すぐに出かけられるわけ
ではありませんでした。
いつも玄関先でお母さんが待っていて、その場で気をつけの姿勢を
とらなければなりません。
(*_*)

女の子たちはさしたる時間がかかりませんが、男の子には厳しくて、
シャツの襟を直したり、はみ出した裾を半ズボンの中に押し込んだ
り。

それだけではありません。丸いつばのついた帽子を取って髪の毛を
なでつけたり、皺になったハンカチをアイロンの当たった新しいも
のに取り替えたりも。

おまけに、それが終わるとランドセルの中身が調べられ、忘れ物が
ないかをチェック。
(-。-;)

「それじゃあ僕ぼくの苦労は(T_T)?」
「それならはじめから全部お母さんが自分でやればいいじゃないか」
と叫びたいくらいです。

でも、本当にそう叫んでしまうと。

「何言ってるの!あなたのためにやってるんでしょうが。あなたに
まかせてたらホームレスの子供みたいにして駆け出すじゃないの」
(⌒o⌒)
ってひどい言われようなんです。

決してそんなことないんですよ。(T.T)

そして自分の仕上がりに満足すると、白い襟のあたりにお気に入り
のコロンをふりかけて一丁上がりとなるんですが、この一連の儀式
だけで一人3分から5分はかかります。本人はもとより他の子供達
にとってもそれは退屈な時間でした。

[えっ?たった3分や5分で!?]
と思ったあなた。あなた、大人ですね。(ー_ー;
子供は3分はおろか30秒でも退屈してしまう生き物なんですよ。
(¬―¬)

子供たちが退屈すればどうなるか。

当然、お友達を見つけてじゃれ始めます。
お姉ちゃんにとってそれは僕やみいちゃんをおもちゃにすることで
した。
帽子の顎紐を弾いたり、靴をはかせるふりをして遠くへ投げたりと、
とにかくろくなことしません。

極めつけはあがりかまちに腰を下ろしていたみいちゃんの頭へ腰を
落として乗っかかるとおまたでぐりぐり始めたんです。
(+_+)

「どうだ、気持ちいいだろう」
だって…。

こいつは本当に女の子だろうか?(@_@)
と思う一瞬です。

たしかに、見ればスカートも穿いていますし、お風呂に入ればおへ
その下に男の子なら当然あるべきものがありませんから、女の子に
間違いはなさそうなんですが、その言動は普段から女の子を拒否し
ているかのようでした。

そんな彼女は当然お母さんやおばあちゃんの悩みの種でした。
男尊女卑の思想がまだ根強い当時の田舎では学級委員の選挙ですら
正副の別をもうけていて、女の子は副学級委員という役職に就くの
が通例でした。
つまり女の子は男の子のサポート役という位置づけだったのです。

[えっ?おれ、おまえとあんまし歳かわわらないけどそんなじゃな
かったぞ!]

ごもっとも。m(_ _)m
あとで知ったのですが、文部省はそんなこと言ってません。
男女一名ずつを学級委員にしなさいと言っているだけです。
ところが、それではうちの田舎は収まりがつかないらしくて……で、
結局、こんな形に……。

本来リベラルな考えの教育関係者ですらこうなのですから一般家庭
はもっと徹底していました。

お母さんだってご飯も炊けないでお嫁に来た身ですからネ。
いくら自分の働きで家族を養っているといっても肩身は狭いわけで
すし……おばあちゃんにしても「このうえ孫まで同じ様にになった
んじゃたまらん」という危機感があったみたいです。

[ねえ!お父さんってさっき朝ご飯の時いたじゃないか。あの人、
働かないの?]
(*_*)

そうだ、そのこと説明してませんでしたね。
あの人、働かないんです。
(T_T)

うちは、商売上の名義人は一応お父さんになってるけど、実質的な
経営者はお母さんなんです。

お父さんは書道の展覧会を主催したり、東洋哲学の本をだしたり、
骨董品を集めたり、と文字に書くと見栄えはいいんですが、およそ
お金になることは何もしない人なんで、お爺ちゃんやお婆ちゃんは
とっても頭を痛めていたそうなんです。

そこでお爺さんとしても、『家を継ぐ者がこれじゃあ』と思案した
あげく、家事なんかできなくてもいいから商売のできる女の人をっ
てたずね歩いたら、お母さんに巡り合ったってわけなんです。

当時お母さんはお父さん(ぼくから見ればおじいさん)が亡くなっ
たので大学進学を断念、お兄さん(僕から見ればおじさん)と一緒
に家業を手伝っていたんですが、評判の商売上手で、商売仇からも
「女にしとくにはもったいない」と言われていました。

でも、花嫁修行はさっぱり。学校時代から家事のような仕事に興味
がなかったみたいです。

ですから、お母さんの親代わりだったおじさんも最初にこの話を持
ち込まれた時は、笑って一蹴したそうなんですけど、おじいさんの
熱心な誘いと、ちょうど事業を大きくするためにまとまったお金が
必要だったこともあって、泣く泣く妹をお嫁にだすことに……。

結婚式の前日、
「何でもいいから理由つけてさっさと帰ってこい」
ってお兄さんから耳打ちされたって、お母さんがうち明けてくれた
ことがあります。

だからお母さんは本当に何の家事もできないんだ。

だって朝夕の食事や洗濯、運動会で使う赤白の玉や絵画教室で服を
汚さないために着る割烹着を縫っくれたのも全部お手伝いのハナお
ばあちゃんだもん。

うちのお母さんはお母さんなんだけど主婦じゃないんだな(>_<)

でもって、そんなお母さんも娘にはまともなお嫁さんになってほし
いと思ってるらしく、日舞なんか習わしてるんだけど、とにかく、
お手本が何もできないんじゃ説得力もないし……(;_;)

そこで出来上がったのがメジラってわけで……みんなお姉ちゃんの
ことは……

「女にしとくにはもったいない。そのうち生えてくるじゃないか。
だけどありゃあ、おふくろさんからの遺伝だな」
って……

お母さんは町の噂に「確かにそうだなあ」って思う時もあるみたい
だけど、でも、完全に諦めたわけじゃないんだ。
だからこの時だって「ほら、やめなさい。おばあちゃんが来るわよ」
とは言ったんだけど、時すでに遅しだったんだ。

その時はすでに近所に住んでるおばあちゃんが玄関の前に立って
た。
開け放たれた玄関からはお姉ちゃんの悪ふざけが丸見えになってた
んだ。

「ほれ、あんたは何をしとるんじゃ。出世前の男の子の頭に股ぐら
なんぞ突っ込んでからに。おまえは女の子なんじゃぞ」
その声はメジラだけでなくお母さんの心臓にもよくなかったみたい
です。

おばあちゃんはお姉ちゃんを払いのけ、みいちゃんの頭を大事そう
になでつけます。
そして、こうも言うのでした。

「明子さん、こういうことは幼い時にはっきりさせといた方がええ
んじゃないやろか」

この時お母さんはお姉ちゃんの顔をものすごく怖い顔で睨んでいま
した。
そして、僕にコロンを振りかけると、

「そうですねえ」
とだけ答えます。
そして、ぱんぱんと両手を叩いて、
「さあ、行ってらっしゃい。早くしないとバスに間に合わないわよ」
と僕たちを送り出すのでした。

ただし、お姉ちゃんも一緒になって玄関を出ようとすると、

「サキちゃん、あなたは残ってちょうだい。今日はちょっとお話が
ありますからね」

お母さんの呼び止めにお姉ちゃんの顔は真っ青に変わっていまし
た。
これから何が起こるのかお姉ちゃんはこの時すでに身の危険を感じ
ていたのでした。

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tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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