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[ 第 2 回 ] 小テストと懺悔室

             [ 第 2 回 ]

******** 小テストと懺悔室 ********

 朝一番のお仕事はお掃除。うちでは朝登校した時と夕方下校する
前の二回もお掃除の時間があるんだ。
 他の学校は一回だけって聞いた時は正直羨ましかったよ。

 で、それが終わると今度はテスト。
 漢字の書き取りと算数の計算問題が二十問ずつ出るんだ。

 元々やったところだし出題範囲も先生が教えてくれるから普通に
勉強していれば問題ないんだけど、人生色々あるじゃないですか。

 どうしても見たいテレビがあったとか、明日、ピアノのレッスン
があるのにまだ満足に弾けてないとかね。

 そんな時はたまに合格点までいかない事もあるけど、たいていは
放課後残されてその分やって帰ればいいだけ。そのくらいではね、
天下のお仕置き小学校(?)、三愛学園じゃお仕置きのうちに入ら
ないんだ。
 
 などと言いつつ、実際には泣いちゃったこともあるけどね。
 (ノ_・。)

 ただ、その次の日も、さらにその次の日もってなっちゃうと……
『僕、し~らない((^。^;)ノ』ってことになっちゃう。

 もちろん全てがお仕置きに直結してる訳じゃないけど、そんな子
が許してもらえる可能性はもの凄く低くなるんだ。

 土曜の午後か日曜に親同伴で呼びつけられて、悲鳴が上がるよう
なお仕置きされてたなんて話、毎月のように誰かから聞かされてた
気がするもの。

 怠け者にはお仕置き。昔は方程式が単純だったんだ。

 もちろん、これで終わりじゃないよ。三愛では、まずお仕置きが
あって、それから、それからなんだよね。事情を聞いてくれるのは
……

 うちでは、まず罰(お仕置き)が先なの。…>_<…

 園長先生の前に引き出された時だって、僕が必死に弁明してたら
(^△^;)
 先生、急に笑いだしちゃって……(⌒-⌒;)

 「あなたみたいな子がいるからお仕置きが先でなきゃいけないの
よ」って言われてしまいました。

 「最初に事情を聞くとね、罰を免れようとしてあることないこと
まくし立てる子がいるの。そして自分のついた嘘がいつしか心の中
で本当の事になっちゃって、やっかいなことになるのよ……」

 「それに罰があるとわかっていればぎりぎり迄努力しようとする
でしょう。それも大事なことだわ。…何より最初のお仕置きが全て
じゃないの。後からもっと厳しくもできるし事情を聞いてフォロー
してあげることもできるでしょう」

 これが園長先生の言い分なんです。

 「あなたには六回の愛を与えます。しっかりお馬さんにつかまっ
てなさい」

 先生は問答無用って感じで宣言するとお尻叩き専用の拘束台に僕
を乗せて半ズボンだけじゃなくパンツまで脱がしちゃうんだ。
 きゃ(/\)

 うちの学校は大人たちが簡単に子供のパンツを脱がすの。
 きっと、修道院のおばちゃんたちストレスが溜まってるんだね。

 園長先生はたっぷりのアルコールを染み込ませた脱脂綿を使って
準備が整った恥ずかしいお尻の山を丹念に拭き清めます。
 きゃ(/\)

 これも三愛のしきたり。表向きは消毒ってことらしいけど、子供
って体温は大人より高いからすうすう感も強くて脅かしには効果的
なんだ。

 「さあ、行きますよ」
 トォーズと呼ばれる平たい革紐鞭が最初は小さく弱く二三回僕の
お尻を叩いているけど、そのうち大きく弧を描いて振り下ろされま
す。

「(ひぃ~~)」

 もちろん、これって文部省さんだって想定していないような露骨
な体罰。でも、お父さんやお母さんに学校でこんな事されたって泣
きついても何もしてくれないんです。

「だって、それは入学前からのお約束だもの。そもそも、あなたが
悪いんでしょうが……」
 なんて言われてチョン……相手にしてもらえないんだ。(-_-#)

 「僕、入学前にそんなこと訊いてないぞ~~」
 なんて言っても後の祭りなんだよ。(`ε´) 

「(ひぃ~~)」

始めから痛いのは分かっていたから歯を食いしばって頑張ったけど

「ひぃ」

 今度はちょこっと声が出た。本当はぶたれているお尻を擦りたい
けど必死に我慢したんだ。
 そんなことして鞭の数が増えたらえらい事だからね。

「い~~~~」

 三回目は本当に痛くて声もでない。ほんのちょっぴりだけど、お
しっこも漏らした。つまり、やっとの思いで耐えたんだ。(>_<)

 三愛の先生たちって、この子がどの程度だったら声を出さずに
耐えられるか、大暴れしないか、ちゃんと加減が分かっていて、
そのぎりぎりでぶってくるの。

 それだけじゃないよ。
 『こいつ、今ぶたれてる事とは別のことで悩んでるな』
 なんてことまで分かっちゃうんだ。
 もの凄い職人技の持ち主なんだから。(>_<)

 僕も二年生になって、入学した頃から比べると随分楽になったと
いうか、お仕置きに慣れたんだね、きっと……
 入学したての頃は、とにかく大男というか大女たちに捕まっての
お仕置きだろう。恐怖のあまりやられる前から本格的にお漏らし
したことだってあるんだ。

 「ひぃ~~痛い」

 「だめえ~~ごめんなさい」

 「いやあ、いやあ、いやあ」

 本当は何言ったのか覚えてないけど、どうせこんなことだろうと
思うんだ。最初はあまりの事に怖くて泣き叫んじゃった。
 本当は黙ってお鞭は受けないといけないんだけど一年生だから
ね、声を出すなって言っても無理なんだ。

 『お尻から血が出たか?』

 ははは(^◇^;)そもそもそんなに強くぶたないもん。お尻がほんの
ちょっと赤くなるだけ。幼い子のお仕置きって上級生のような苦痛
や辱めより脅かしがメインなんだって、『いつも優しい先生が怖い』
って感じてくれれば、それでお仕置きは成功なんだって……
 小田切先生が言ってたよ。(*^_^*)

 だけど低学年の子なんて赤ちゃんと同じようなものだから堪え性
がまったくないだろう、ちょっとしたお仕置きでも最初の頃は大仰
に騒いじゃうんだ。

 もちろん、園長先生はそんなこと百も承知だからお鞭の最中に泣
き喚いても上級生のように責めたりはしないよ。
 この時も……

 「よし、よし、おしまいにしましょう。よくがんばったわね」

 途中で切り上げて、以後は園長先生のお膝で抱っこ。

 「さてさて、今はどんな風にお勉強してるのかしら?おうちでは、
言われた通りにちゃんとお勉強してるのかしら?」

 園長先生はお仕置きが終わると、必ず僕の頭を撫で撫でして、
こんな風に尋ねるんだ。他の先生のときもそうだけど、三愛では
お仕置きの後は必ず抱っこ。これがお決まりなんだ。

 で、僕が……
 「ピアノの発表会が来週の日曜日にあって今は忙しいんだ」って
言うと……

 「そう、だったら来週からは頑張りましょうね」
って、そう言って開放してくれたんだ。

 『ラッキー(*^^)v』
 ってなもんだけど、発表会の翌週は覚えなきゃいけないことが倍
になってひ~ひ~言う羽目になった。(>_<)
 ただ、それからのお仕置きはなかったよ。

 うちの場合、お仕置きとしてはこれでも軽い方なんだよ。ピアノ
練習をやらなきゃならないっていう大義名分があったからね。

 でも、差別もあったんだよね。

 僕たちの中にマンガ家を目指してる子(もちろん子供の夢だけ
ど)がいて、本当は『マンガを描くのに忙しくてお勉強の時間が
とれませんでした』って言いたいんだけど、そんなこと言っても
許されなかったんだ。

 当時の常識としては、ピアノはよくてマンガはダメなんだ。
 どっちも好きでやってるだけ、つまるところ同じ趣味なのにさあ、
おかしいでしょう。
ヾ(゜0゜*)ノ?ヾ(゜0゜*)ノ?

 今でこそ、「マンガ家になりたい」なんて言っても親は驚かない
だろうけど、当時はマンガってとっても低く見られてたからね。
 お母さんに言わせると、「低俗」で「猥雑」で「下品」で「幼稚」
なんだって……僕はとっても面白いと思って友だちから借りて読ん
でたけどね。

 うちの場合は、自分のお小遣いで買ってもお母さんに見つかると
取上げられちゃうからね、家の中には置いとけないんだ。

 そんなわけで……
 『マンガ描いてて勉強時間がなくなりましたあ』((^。^;)ノ
なんて明るく言うのは絶対にNGなんだ。

 つまりそんな子は……『サボってた』『怠けてた』とみなされて
お仕置きされることになるんだ。

 親も先生もこれは同じ意見だよ。マンガ描いてるのは遊んでるの
と同じ、無駄な事してるのと同じだもん。

 だから、そんなことしてた子の運命は悲惨なんだ。
 前にも言ったけど、土曜日や日曜日の午後に親と一緒に呼び出さ
れて、まずは担任の先生からお説教。(-_-#)

 それで済めばいいけど……
 くどくどとしたお説教にじれてしまって……
 「わかったからもういいでしょう」(-_-#)
 なんて、思わず口走ってしまうと……(実際、そう言いたくなる
ほどくどいんだ)

 「先生、もう少しはっきりとした形でこの子に分からせたほうが
良いのかもしれませんね」

 なんてね、それまで部屋の隅で何があってもニコニコ顔でお話を
聞いていた園長先生が腰を上げたら僕たちは大ピンチなんだよ。
キタ━━━━(゚◇゚ )━━━━大魔神!!!!

 「由美子(仮名)ちゃん。向こうのお部屋でこれまでのことをマ
リア様に懺悔しましょうか」
 園長先生が背筋の凍るようなことを言い出すんだ。

 何?これだけ聞いてるとたいしたことじゃないように聞こえる?
要するに懺悔すりゃあいいんだろう?って……

 ははははは(^◇^;)……甘いね(ー_ー;
 それはね、あの部屋に入ったことがないからだよ。

 園長先生の言う向こうの部屋というのは懺悔の為だけに作られた
特別なお部屋のことで、小学生の頃はそこに入るだけでもとっても
怖かったんだ。

 四畳半くらいの小部屋なんだけどね、窓はないし、照明も電気は
なくて蝋燭だけ。
 ゆらゆらと揺れる炎に照らされて、先生方の顔やマリア様の像が
浮かび上がると、もうお化け屋敷状態だもん。低学年の子なんか、
それだけで泣き出しちゃうんだ。

 しかも、そこでは服を脱いで裸になって懺悔しなきゃならない。
男の子も女の子もみんなすっぽんぽんで懺悔するんだ\(^O^)/

 入口は映画館並みの厚い扉で仕切られてるから防音はばっちり。
部屋の中も当時としては珍しく空調がきいてるから快適……

 と、ここまでは問題ないんだけどね。この懺悔のいやらしい処は
まず一回じゃ終わらないってことなんだ。(-_-#)

 「マリア様、私はお家でのお勉強時間にマンガを描いていました。
ごめんなさい。次に過(あやま)ちを犯した時はどんなお仕置きも
受けますから、どうか今回だけはお許しください」

 ま、こんな感じかな……
 たいてい先生が考えたこんな文章を暗記させられて、先生たちや
お父さんお母さん、とにかくその部屋にいる大人たち一人ひとりの
前で膝まづいて懺悔しなきゃいけないんだ。

 最後はマリア様の前でも懺悔する決まりなんだけど…、そこまで
いきつくのが大変なんだ。

 この懺悔は膝まづいて両手を胸の前に組むだけじゃ足りなくて、
一回一回服を脱いで素っ裸にならなきゃいけないんだ。

 一回一回って、ダメだった時にまた服を着るの??どうして??
裸のままじゃいけないんだ。(?_?)エ?

 いけないの。(-。-;)

 どうして??(?_?)エ?

 よく知らないけど、園長先生の説明では『私に隠し事やまやかし
はありません』ってマリア様に伝えるためには服を脱ぐところから
始めなきゃいけないんだってさ。
 とにかく、うちはそういう細かいしきたりにうるさいんだよ。
(-_-#)

 おまけに、やれ「声が小さかった」とか「早口で分からない」と
か「泣きながらじゃだめ」とかね……色んな理由でダメだしされて
五六回はやり直しさせられるんだ。

 すると、もう一度服を着て、最初からだもん。辛いんだよ、コレ。
(;゜∇゜)ぇまた?

 子供だからね、しまいにふて腐れることだってあるだろう`ε´)
 でも、そうすると、十回でも二十回でもやり直しさせられるんだ。
 とにかく完璧にできるまでは一時間でも二時間でも妥協しないで
やらされるんだ。

 僕も一度ヒステリー起こしちゃって、二時間も出てこれなかった
ことがあったもん。

 最後は意識朦朧としてて、自分で何やってるのかわからなかった
くらいだけど、それでも終わると園長先生は僕を抱き上げて……

 「よく頑張ったわね、あなたの気持はマリア様に伝わったわよ」
 っておっしゃったんだ。

 この時は嬉しくてね、おばあちゃんがマリア様に見えたよ(^^ゞ

 これが僕たちのお仕置き基本形。

 規則や約束を破れば必ずお仕置き。そのあと事情を聞いてくれて
最終的な罰が決まるんだけど、最後は、必ずお膝に抱っこされて、
頭をなでなで、ほっぺすりすり、あんよやお手々をもみもみされて
大人たちの体臭をたっぷり嗅がされてから開放されるんだ。(+_+)

 上級生になると、さすがに『僕、もう赤ちゃんじゃないんだぞ!』
って主張した時もあるんだけど……

 「何言ってるの。あなたはまだお父様お母様の赤ちゃん。ここで
は先生の赤ちゃんでもあるのよ。こんな可愛いオチンチンしてて、
大人になったとでも思ったの」

 と訳の分からないことを言われてチョン。(あ、チョンって議論
打ち切りって事だよ)要するにぼく達は六年生でも赤ちゃんなんだ。
(∩.∩)

 それに、そのお膝の上ではちゃんと笑顔を作って見せないと…

 「あら、あら、おかしいわね。まだ反省が足りないのかしら?」

 なんて言われて、お仕置きのやり直しになっちゃうんだ。
 いやはや、お子ちゃまは辛いよ。(ノ_・。)


**********バイ、バイ、(^ー^)ノ*********

超狭軌道 <小>
*)この写真は記事とは関係ありません。

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このブログについて

tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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