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[ 第 1 回 ] 朝の通学

              [ 第 1 回 ]

      ****** 朝の通学 ******

 僕が通っているのは私立の小学校。東京のような大都会には沢山
あるだろうから、そんなこともないんだろうけど、僕の育った田舎
では私立の小学校なんて県下にたった二つしかない。
 おかげでそれなりの苦労もあったんだ。

 ほとんどの子が早起きしないですむ近くの公立小学校に通う中、
特徴のある制服を着せられてバスや電車に乗るだろう。周囲の人達
が物珍しそうに僕を見るのが嫌だったんだ。

 お母さん言わせるとね、「本当は別の学校にいれてやる予定でい
たんだけど、園長先生が直々に我が家にお見えになり、どうしても
とおっしゃるから断りきれなかった」んだそうだ。

 それに「二人とも身体が弱くておとなしい性格だから幼いうちは
そんなに競争の激しくない処の方が……」と思い直して入学させた
んだって。
 
 その代わり、授業料は二人分免除してもらってたんだ。(*^^)v

 この学校はね、遠いの。
 まずは、お家近くのバス停から40分かけて大きな町のバスター
ミナルまで行って、そこからポンコツスクールバス(最初の頃はボ
ンネットバスだったなあ)に乗って15分位行った処にあったんだ。
 すごい山の中だよ。ヾ(゜0゜*)ノ?ヾ(゜0゜*)ノ

 この山はもともと修道院のもので、そこに付属して創られた学校
だったんだ。こじんまりした学校でね、グランドはテニスコートく
らいしかないんだ。
 一クラス12、3人で一学年二クラス。全校生徒あわせても15
0人もいなかったんじゃないかな。

 でもね、そのくせ先生は一クラスに二人もいたんだ。
 これを言うとよその子たちはたいていみんな驚くよ。
\(◎o◎)/!
 だって、たいていの小学校は先生といえばクラス担任一人だけだ
からね。

 うちの場合は正規の先生が授業をしている傍らでシスターでかつ
教員免許を持っているという先生が教室を回って分からないところ
を教えてくれるんだ。

 このシスター先生は面倒見がよくて……というか、よすぎてかな、
おいたが過ぎたり、勉強が遅れがちになると日曜日なのに学校へ出
て来なさいって言うんだ。

 おいたの治らない子にはお説教、勉強の遅れている子には補習が
待ってるの。

 「ありがたいことじゃない」なんてお母さんは気軽に言うけど…
(*^_^*)
 日曜日を潰されたこちらは別にありがたくなんかないよ。(-_-#)

 「あ~あ、イヤだなあ。先生ってそんなに暇なのかなあ」
 なんてぶつくさ言いながら日曜日のバスで愚痴ってた。(^◇^)

 日曜日に開く学校のおせっかいはそれだけじゃなくて、教師さん
や先生方、父兄も総がかりで困ったちゃんをお仕置きするイベント
まであったんだ。…>_<…

 『このところ成績が落ちた』『いくらお仕置きしても悪い素行が
治らない』なんて生徒は日曜日に親と一緒に呼ばれてレクチャーを
受けるんだけど、それが高じてお仕置きもやりましょうということ
になったみたいなんだ。

 いずれにしても残酷な話さ。いたいけな少女(少年)を大人たち
がよってたかって修道院で折檻するんだよ。

 僕も、ぶったり叩いたりじゃないんだけど、シスター先生から親
子してたっぷり油を絞られたことが何度かあった。
 中には『家に帰ってからこういうお仕置きをして欲しい』なんて、
はっきり言う先生もいたくらいなんだ。

 凄いだろう。昔の先生って……真実なのよ∈^0^∋

 今の人たちからするときっと信じられないだろうね。担任の先生
がお父さんやお母さんに向かってお子さんをお仕置きしてください
だなんて。(@_@;)
 ありえないよね。(^_^;)

 でも、当時はそのくらい子供へのお仕置きは当たり前だったし、
先生もどんなお仕置きが最も効果的かを真剣に考えた末の提案だっ
たんだ。

 もちろん、当時だってお上から『体罰はダメ』っていうお達しは
届いてたと思うよ。だけど、現場は適当に無視してたみたいだね。

 なぜって……体罰に消極的な先生より少しぐらい怖い先生の方が
父兄からは人気があったもの。『体罰反対』だなんて声はそれほど
大きくならなかったんだ。

 三愛学園は幼稚園から短大まである大きな組織だったけど、その
いずれでも『愛あるお仕置き』が教育のコンセプトだったんだ。

 わっ、また脇道に脱線してしまった。(^_^;)
 では、順を追ってまたお話し、し直します。m(*^▽^*)m

 僕とみいちゃんはまず路線バスの営業所へ行く。当時はそこから
200mほど離れたところにあるバス停が起終点だから、本来なら
そこで待ってなきゃいけないんだけど、『そこは吹きさらしで寒い
から』ってお母さんがこの営業所の人たちに頼み込んで冬の間だけ
ここから乗せてもらうことにしてたんだ。

 本当はいけないんだよ、そんなこと。バス停以外で乗客を乗せち
ゃあいけないことになってるから。でも、これも体罰同様、当時は
鷹揚だったみたいだね。

 その冬場だけの約束が、そのまま夏になっても居ついちゃって、
二人はいつしかこの営業所のアイドルみたいになってたんだ。

 僕が先に顔をだすと「ほらほら、本当はここから乗れないんだぞ」
なんて意地悪を言うくせに、みいちゃんが先に顔を出すと「おう、
チビたちきたか」なんて言ってみいちゃんだけ天井に頭をぶつける
くらい高い高いをするんだ。

 みいちゃんは僕より可愛かったからね、よく運転手さんや車掌さ
んに抱いてもらってたよ。
 やっぱり子供は可愛いほうが得です。(`ε´)

 営業所の中はストーブ(当時はダルマストーブ)が炊かれていて
暖かかったけど、ものの数分でバスが出ちゃうからそこに長居した
ことはないんだ。

 『だったら、バス停で待っていてもいいじゃん』
 なんて言わないでよ。
 実はここに来るともう一つの役得があるんだ。
 
 というのはここで乗ると確実に一番前の席が取れる。
 これが僕たちには何より嬉しかったんだ。
 
 一番前の席。
 今のバスの一番前はお客さんが乗降する為の扉になってるだろ
う。だけど、僕とみいちゃんがまだ幼かった頃はそもそもバスにも
車掌さんが乗っててね、その人が車内でキップを売ったり、踏切で
はバスの誘導なんかをして、バスの運行を補助してたんだ。

 つまり、今みたいに運転手さんが運賃の徴収なんかしないからね、
一番前に扉なんかいらなかったんだよ。

 ドアは真ん中付近に一箇所だけ。その扉の処に車掌さんがで~ん
と構えてた。ちなみにドアの開け閉めは手動。今は大半電光掲示に
なってる方向指示幕だって車掌さんや運転手さんが手でハンドルを
回して変えてた時代なんだ。

 僕はこのお手伝いが好きでね、帰りの営業所ではよくやってた。
 えっ、そんなのいけないことじゃないのか?って……
 いいじゃないか、幼児のささやかな楽しみなんだから……
 そんなこと言い出すから現代人は嫌いだよ。(`ε´)

 それはともかく、当時一番前にドアがあるのは路線バスじゃなく
て観光バスと相場がきまってたんだ。

 で、その一番前なんだけどね、二人がけのシートになってること
が多くて、そこに二人並んで座りたいから最初の最初にバスに乗れ
る営業所へ二人して通ってたんだ。

 だって、そこから見えるパノラマは運転手さんが見ている景色と
同じだろう。最高さあ。\(^O^)/\(^O^)/

 一日の始まりはこうでなくちゃ。(;⌒▽⌒)σ σ(⌒▽⌒;)

 後ろでちょこんと座って時間を潰してる子の気が知れなかった
よ。
 『こいつ何が楽しくてバスで通ってるんだろう』(ー_ー;
 って思ってたね。

 で、そんな楽しい時間はあっという間に過ぎ去って、僕達は電車
の駅に隣接する大きなバスターミナルへとやってくる。

 ここには電車を使ってくる子や他のバス路線から来る子なんかが
大勢いてね、みんなここで落ち合うんだ。

 まず、バスを降りるとシスター天野がバス扉の前で待ってる。

 このおばあさん、いつも僕たちを乗せてきたバスの車掌さんたち
に「ありがとうございました」って言うんだ。
 そして、僕たちをバスセンターの隅の隅、奥の奥にある学校行き
のバスが出る乗り場へとお手手繋いで連れて行くのがお仕事なんだ
よね。

 「ねえ、僕たちもう赤ちゃんじゃないし、毎日のことだから案内
なんかしてくれなくてもいいよ」
 ってよく言うんだけど、必ず僕たちの手を引いてスクールバスの
出る場所まで連れて行くんだ。

 『迷子になったら困るでしょって…それより恥ずかしいんだけど』
(。・_・。)ノ(*^-^*)

 で、ポンコツバスに乗ると、今度は二人目先生、若い高宮先生が
車内で待っててすぐに点呼表にチェック。そうやってみんなが予定
通りに乗り込めば出発となるんだ。

 このバスの中は見慣れたお友達と一緒だからね。いつもふざけあ
ってて、先生からはいつも「静かにしなさい!」って怒られてた。

 あっ、これってどうでもいいことだけど、学校近くにも停留所が
あったから、そこまで路線バスで来る子やおうちの人に自家用車で
送ってもらう子もいて、全員がこのスクールバスを利用してたわけ
じゃないんだ。

 さてと……学校へ着くと、当然、みんなバスを降りるんだけど、
降りたらまずしなくちゃいけないことがあるの。

 校舎の入り口に設置してある大石胤子先生の胸像に、「おはよう
ございます」って大きな声でご挨拶。
 一回ペコンって頭を下げてから校舎に入らないといけないんだ。

 大石胤子って誰?(・。・)

 はははは(^∇^;)知らないのも無理ないか。
 僕たちの学校を創った人。つまり創立者のおばちゃんだよ。

 一度も会ったことのない人になんで挨拶しなきゃいけないのか、
さっぱりわからないけど、この儀式はとっても大事で、どんなに急
いでいても登下校の際は必ず頭ペコンをしなきゃいけないんだ。

 もし、忘れて通り過ぎたところを先生に見られたりすると……。
 (ー_ー;

『お仕置き』(;-_-;)

 嘘みたいだろう、たかだかそんな事で?って思うだろう。
 でも、本当なんだ。

 うちは仲良し子よしの集まりだから小学校なのに幼稚園みたいだ
なんて言われるけど、ある意味躾には厳しくて、ご挨拶なんかも、
意地はってやらなければ先生方もやるまで絶対に妥協しないんだ。

 しかもそうこうしているうちにお仕置きだけは追加されていく訳
だから、どんな馬鹿な子だって先生には逆らえないって悟ることに
なるんだよ。

 胤子先生の像に一礼するのも本当は訳なんてないんだろうけど、
『先生がやりなさいって言えば必ずやらなきゃいけないんだ』って
ことを分からせるためにやってるんだよ、きっと。

 うちにはそんなどうでもいいような決まりごとがたくさんあって
困りものだけど、低学年のこの頃は先生の言う事は何でもはいはい
って聞いてたからノープロブレムだったです。(^_^)b

 本当かなあ( -_・)?

 ま、それはともかく、校舎に入ると日本式の下駄箱が並んでて、
そこで上履きに履き替える。
 ま、これ自体はごく自然なんだけど、ここには他の学校ならまず
いないような人が待っているの。

 誰だと思う?

 ははは(^◇^;)園長先生。

 どうしてこんな処に園長先生なのかは謎だけど、うちの園長先生
というのは園長室にいつもで~んと腰を下ろしてなくて、一日中、
園内どこかを見まわってる腰の軽い人なんだ。
 下駄箱付近では主に入学間もない1年生に声を掛けているね。

 もち、笑顔。(*^_^*)

 上級生は、今さらって感じだから…「おはようございます」って
お義理に言うだけでパス。∈^0^∋

 でも凄い観察力でね。あんなに沢山の子がいっぺんにそこを通る
のに、服装が乱れてる子やご飯粒をほっぺにつけてる子なんかは、
即、呼び止められるんだ。

 万が一にも泣いてたりなんかしたら、大変なんだよ。
 (ノ_・。)……ヽ(∇⌒*)
 「どうしたの?……おなかが痛いの?」
 「お母さんに叱られた?」
 「お友達に嫌な事言われた?」
 なんてのから始まって根掘り葉掘り聞かれるよ。

 でも、誰だって大人には話したくない事だってあるだろう。
 特に女の子なんて、たとえ友達に虐められててもそれを先生の処
へは持ち込みたくないもの。

 だから作り笑いなんかしてその場を切り抜けようとするんだけど
……(^∇^;)

 「お待ちなさい」(ー。ー;
 鋭い目が光るね。それまでの恵比寿様みたいな笑顔が嘘みたいに
怖い顔になるんだ。

 『子供のお芝居に騙されるほど私はもうろくもしてないよ』
 って感じだね。

 で、どうなるかっていうと……
 園長室に連れ込まれて洗いざらい白状させられる。
(゜Д゜≡゜Д゜)
 白状しなければお仕置きされる。お浣腸やお灸だって園長先生の
バックにはあるんだもん、そりゃあ怖いよ。
(`Д´≡`Д´)??

 女の子が教えてくれたけど、詰問というよりまるで拷問って感じ
なんだってさ……

 「だって、私は虐められてる方なのよ。どうしてこんなことされ
なきゃいけないのよ」
 って、とうとう自分で白状しちゃったんだって……

 もちろん、これで終わりじゃないよ。
 今度は虐めた側の子が呼ばれて仲直りさせられるんだけど、この
やり方がこれまた凄いんだ。
 世間の常識はここでは通用しませんよって感じなんだ。

 虐めてた方、虐められて側、どちらの子も相手にお浣腸をかけて、
オムツをはめさせて、お漏らししたうんちを処理させるんだ。

 (○_○)そ、そんなことしたら余計に相手が嫌いになって逆効果
じゃないか?

 僕もそう思うけど、先生たちはこれでいいって言うんだ。
 実際、僕も相手は男の子だけど一度経験があるよ。(・。・;)

 ん!…で?…どうだったの?(;¬_¬) (@_@;)

 そりゃあ、その時は死ぬほどイヤだったけど、その後は不思議と
その子と折り合いがついたんだ。
 特別好きになったとかじゃないんだけど相手の子の存在を認めら
れるというか許せるようになったんだなあ。
 これって相手も同じだったと思うよ。

 同じ釜の飯ならぬ同じオムツのうんちってわけなんだ。(^_^;

 うちはとにかく仲良しにだけはこだわるからね、喧嘩はもちろん、
悪口、陰口、嫌がらせ、もちろん無視ってのもダメなんだ。とにか
く相手が嫌がる何をやっても相手に奉仕する罰が与えられるから
ね、どの道仲良くするしかないんだよ。

 お浣腸は極端でもそのお友達の為に毎日花を飾ってあげるとか、
給食用のコースターに刺繍をしてあげるとか、宿題教えてあげると
かね……その時の程度に応じて色んなことをさせられるんだ。

 で、相手もそれに対する心からのお礼の手紙を書かされるんだ。

 最初は、お仕置きだし、お互い仕方なくやってるんだけど、そう
やってお付き合いが始まると、たとえ相手が好きにはならなくても
その存在が疎ましくはなくなるんだ。

 ん?(;¬_¬)
 それにしてもお友だちのオムツ換えなんて……って、言いたいん
だろう。

 でもね、園長先生曰く……
 「人間のやることに汚いなんて事はありません」
 なんだってさ。

**********バイ、バイ、(^ー^)ノ**********

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このブログについて

tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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