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〘 第10 回 〙 一週間のオムツ

          亀山物語
                     合沢啓治(著)
〘 第10回 〙 一週間のオムツ
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<主な登場人物>


私(合沢啓治)/亀山愛育院の孤児。由美子の弟。

小島先生   /私の家庭教師であり、実質的には僕のママ。

大石胤子   /亀山村の村長さん。(三代目)女王様。

榊原 美里  /同級生の恋人。片想い。

森下景子先生 /由美子お姉様の家庭教師(ママ)であり、
       /かつ、学校では担任の先生でもある。

合沢由美子  /私をリンチにかけたお姉様の一人。私の姉。

小川静子   /泣き虫。リンチ四人組の一人。

桐山香織   /おっちょこちょいで早とちり。四人組の一人。
       途中でお灸をすえられそうになる。

安西遥香   /優等生だが、今回の事件に関与。四人組の一人。
途中でお漏らしをしてオムツ替えをさせられる。

美代子と彰子 /今回私のリンチには加わらなかったお姉様。

 お義父様  /亀山の子供たちは誰もがお義父様の子供として
(合沢徹)   /その家で家庭教師(ママ)と一緒に暮らしている。

 お義母様  /お義父様の奥さん。元々はお義父様のお付き合い
(合沢早苗)  /で亀山に来たのだが、今は子供たちにも優しい。

桐山高志 /幼稚園児(5歳)。由美子のお友達、香織の弟。 

 大原先生/高志君のママ。

 おばば様/亀山のお灸担当係。子供たちの実母を知る老婆。

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****<10>********************

 由美子お姉様はこのあと一週間ほどお義父様の邸宅で寝泊まり
する事になりました。
 お姉様に対する公のお仕置きは済みましたが、お義父様として
は何か物足りなく感じておられたのでしょう。とりわけ姉と弟が
仲良くしているところを見てみたい、そんな欲求から、お姉様に
ここへ泊まり込むようお命じになったようでした。

 当然、私も一緒。とんだとばっちりでした。

 ちなみに私たち里子はいわば居候(?)の身ですから、普段は
お義父様の邸宅ではなく、同じ敷地内にあるママ(家庭教師)と
一緒の建物で暮らしています。

 私のママは小島と言い、お姉様のママは森下という姓でした。
つまり二人は同じ敷地内であっても別々の建物で暮らしています。
腹違いならぬ、先生違いの姉弟なんです。ただ、合沢のお義父様
にしてみれば、そこに区別はありません。

 今回の事件も、お姉様が単によその子を虐めたというだけなく、
手下を使って弟をリンチにかけたのがお気に障ったみたいでした。

 「えっ!一週間もお義父様の処で寝るの!」
 私はママに対して不満を口にしましたが、もちろん請け合って
もらえるはずもありませんでした。

 お義父様の処へ行ってお泊まりするのは何もこれが初めてでは
ありません。家の子には月に一回や二回お泊まり当番みたいなの
があってその晩はお義父様の布団に一緒に寝ます。だからそれは
いいのですが一週間は長すぎると思ったのでした。

 というのも、私は大の甘えん坊でマザコン。寝る時も常にママ
と一緒に寝たかったのです。
 ただ、お義父様の処へ行ってのお泊まりは何も悪いことばかり
ではありませんでした。

 お義父様の処へお泊まりした子は朝夕の食事もお義父様たちと
同じテーブルに着く事ができます。そこには普段私たちが座る席
には並ばない豪華な料理が並んでいましたから、子どもたちには
楽しみの一つでした。

 私はお義父様のお膝の上から好きなものを指さして取ってもら
います。それはちょっとした優越感で、特にデザートはお義父様
におねだりして何でもかんでもちょっとずつ運んでもらっては、
結局全部食べていました。

 飽食の時代となった今日では食事で子どもを釣るなんてピンと
こない話かもしれませんが、当時は日本もまだまだ貧しい時代。
子供にとって美味しい食べ物は魅力的だったのです。

 それともう一つ大きいのがテレビです。テレビはすでにママと
一緒に住んでる長屋(コテージ)にもありましたが、これは有線で、
マンガさえも事前に検閲されて届きます。つまりビデオ。

 亀山には、当時まだ高価だったビデオ装置が司祭様の執務室に
設置してあって、刺激的な場面や子供にとって好ましくない内容
は司祭様がみんなカットしてしまうのです。

 「今週はなぜ鉄人28号が映らないの?」
 「司祭様が見てはいけないって判断なさったからよ」
 「来週は?」
 「さあ、はっきりとは言えないけどたぶん大丈夫でしょ」
 こんなママとの会話がしょっちゅうでした。そのたびに悔しい
思いをします。

 それがお義父様の居間では生の放送を見ることができるんです。
これは子供たちにとっては友だちに自慢できるまたとない情報で
した。とりわけ番組がカットされた週にそこに居合わせたりした
ら、翌日はヒーロー間違いなしだったのです。

 ことほどさように亀山の情報管理は徹底しています。もちろん
性に関する本や雑誌などは子供の目の届くところには一冊も置い
てありませんでした。

 こうして情報管理を徹底しているからこそ、天使の心を持った
子供たちが親や教師に絶対服従で暮らすことができるのでした。

 そんな絶対服従はもちろんお姉様だって同じことです。その日
お義父様のお屋敷に行ってまず私の目に飛び込んだのは、そんな
絶対服従の場面でした。

 居間に通された私はいきなり由美子お姉様がオムツ一つの姿で
お義父様にごめんなさいをしているところを目撃します。

 お姉様は厚い絨毯の上に正座すると、頭を床にこすりつけてい
ます。

 「私が悪うございました。どうぞお許しください」

 立会人は森下先生。つまり彼女のママです。ママは自分が預か
った子がお義父様たちに嫌われないよう細心の注意を払います。
お姉様に対する公のお仕置きはすでに済んでいましたが、それで
お義父様やお義母様の溜飲が下がったかどうかは分かりません。
ですから、あらためて由美子お姉様にお義父様の前でオムツ一つ
で謝るよう言いつけたのでした。

 「よい、もうよいよ。今日は寒い。風邪をひくから早く何か着
なさい。ただな、お前は今回の首謀者だ。公のお仕置きは四人が
みんな同じになったが、お前には、もう少し何かしてもらわんと
釣り合いがとれんじゃろう」

 「はい、承知しています」

 「そこでだ。お前には今日から一週間、オムツを穿いてもらう。
うんちもおしっこもそこにしてもらう」

 「……」
 この時、お姉様は一言も発しませんでしたが、思わず冷や汗が
こめかみを流れるのと一緒に唾を飲み込むのが分かりました。

 当たり前です。いい歳をして今さらオムツに粗相なんてできる
はずがありませんから。
 そんなお姉様の気持ちをもてあそぶように笑顔のお義父様は、
次にはこうおっしゃるのでした。

 「……もし、オムツにするのが嫌なら私たちの前でしなさい。
ここでやってもいいよ。赤ちゃん時代に戻ってオマルに跨って、
オシッコやうんちをするんだ。それはどちらでもいいよ。ただし、
無理に我慢するようなら躾浣腸をして家じゅうの人に見てもらう
からね、そのつもりでいなさい。いいね」

 「………………」
 お姉様はしばらく口を開きませんでしたが、ママが…
 「ご返事は?」
 と言って促すと、ようやく重い口を開いて、
 「はい、お義父様。承知しました」
 とぼそぼそっと口ごもるように答えます。

 「それとだ、この一週間の間は毎日二時間、啓治の勉強をみて
やってほしい。いいね」
 「はい」
 それは突然のことで私もびっくりです。

 こうして、私とお姉様の一週間がスタートしたのでした。

 私の場合はお義父様の処から学校へ通うというだけで、生活に
特別大きな変化はありませんが、お姉様はオムツ生活ですからね、
やっぱり大変だったようでした。

 朝、女中さんから新しいおむつを穿かせてもらうと、私の手を
引いてお義父様お義母様へのご挨拶。これいつもはママの仕事で、
私の場合、朝はママの胸の中で目を覚ますと、まずは顔を洗い、
パジャマを私服に着替えてママと一緒にお義父様の母屋へご挨拶
に行きます。

 居間にはここで暮らす12人ほどの孤児たちが上は15歳から
下はゼロ歳まで一斉に集まってきますからとても賑やかです。

 「おはようございますお義父様。今日もよい子でいます。元気
な子でいます。お義父様の天使として頑張ります」

 小学生ならこんなご挨拶を例の乙女の祈りポーズで行うと、ご
褒美にお義父様が頭を撫でてくれたり、お膝に抱っこしてくれた
りして、『おめざまし』と呼ばれるお菓子を握らしてくれます。

 これはチョコレートやビスケットがほんの一欠片(ひとかけら)
入っているだけの包みなんですが、これにもちゃんとお礼を言わ
なければなりませんでした。

 「ありがとうございました」

 お義父様へのご挨拶が済むと、おめざましを食卓へ持って行き、
席に着いてから食べます。もちろん一欠片ですからあっという間
になくなりますが、それでも朝から甘い物を口にできますから、
子供としてはルンルン気分です。

 食堂は奥の一段高いところがお義父様やお義母様が食事をされ
る細長いテーブル席で、そこには昨日お泊まりした子どもたちも
一緒に座っています。
 他の子供たちは各先生方、つまりママと一緒に丸いテーブルを
囲むのがしきたりになっていました。

 ですから、この日は母親代わりのお姉様に手を引かれて居間で
お義父様にご挨拶を済ませるともらったおめざましをお義父様の
席で食べていました。

 「だめよ、啓ちゃん、そこはお義父様のお席でしょう」

 お姉様にそう言われて、右手を強く引っ張られましたが、私は
居座ります。実際、お義父様は自分の席に子どもがいたとしても
それを叱るような人ではありません。この日の朝も、こどもたち
からの朝の挨拶を受けたお義父様が食堂へやってくると、私をみ
つけて……

 「おう、啓ちゃん、おめざましは美味しかったか?」

 そう言って、ゴボウか大根でも引き抜くように私を持ち上げる
と、膝の上に抱いてくれたのでした。

 昨日の夜お泊まりしたのは私より年下の子が一人だけ。その子
はお義母様の膝に乗りますから、お義父様のお膝はまだ空いてる
わけで、子供としては利用しない手はありませんでした。

 ただ、こんな風にお義父様やお義母様のお膝をありがたがるの
はごく幼い子か小学生くらいまでの男の子で、女の子は小学校も
高学年くらいになると一人で食事したくなるみたいでした。

 私は女の子ではありませんから、お義父様の膝の上からあれが
欲しいこれが欲しいと言っては手当たり次第に料理を食い散らか
します。おかげで食事が終わる頃には口の周りが料理の油でべっ
とりと汚れていました。

 それをお義父様にナプキンで綺麗にぬぐってもらってから自分
の顔をお義父様の胸でぐりぐりこすりつけます。
 まるで幼児がやるようなことですが、ここではそういった事は
いっこうに構わないことでした。

 規則を守ってさえいれば、甘える分には誰にどれだけ甘えても
よかったのです。自慢にはならないでしょうが私はこの時期まで
家に『マイほ乳瓶』なるものを隠し持っていて気が向けばママに
授乳してもらっていたのです。
 (つまりママも応じてくれていました)

 もちろん授乳自体は親子のお遊びですが、それが許されるほど
亀山の子供たちは大人に甘えていました。

 なのにお姉様ときたらお義父様に媚びを売ることもなく背筋を
伸ばして取り澄ました顔で食事をしているじゃありませんか。
 私の目にはむしろその事の方がよほど不可思議な光景と映った
のでした。

 で、食事が終われば、お姉様は再び私の手を引いて部屋へ戻り
ます。お義父様の処へお泊りする時は南西側に突き出した一部屋
が二人の勉強部屋でした。ここにすでにランドセルを始めとして
主だった学用品がすべて運び込まれています。

 でも、普段、お姉様とは離れて暮らしていますから僕には勝手
の違う事ばかりです。
 まごまごしているとお姉様がランドセルに時間割通りの教科書
やノートなんかを詰めてくれました。これも普段はママがやって
くれていたことなのです。

 当然、私服から制服に着替えるのも彼女の仕事です。
 「ほら、バンザイして…」
 「ほら、ズボンに足を入れて…」
 「ハンカチはこれを持って行きなさい」
 もう何から何までお母さんと同じ仕事を彼女は引き受けていた
のでした。

 その仕事が終わって僕の準備ができてからお姉様は自分の事を
始めます。亀山の男の子は大人たちに甘えるだけで何もできませ
んが、女の子たちは後輩の面倒をみることができるように厳しく
仕付けられていました。

 こうして二人の通学準備が整ったところへお義母様がやってき
ます。
 お義母様は私の通学準備が完璧なのを見て大変満足そうでした。

 「これはあなたがしてあげたの?」

 「はい」

 「良い心がけね。女の子はこうでないといけないわ。それじゃ、
これをお持ちなさいな」
 お義母様は二通のお手紙をお姉様に渡します。そこにはオムツ
少女が困らないよう、色々な配慮を求める文面がしたためられて
いました。

 「一通は担任の先生。もう一通は保健の先生にお渡しなさい。
そして学校に行ったらまず保健室へ行ってオムツを脱がしてもら
いなさい。それは放課後下校する時に、また穿いて帰ってくれば
いいからいいから……」

 「でも…」

 「大丈夫、心配いらないわ。だいいちこの暖かいのにそんな物
で体育なんかやったらお尻じゅうあせもだらけよ。そのあたりは
お二人に手紙を書いたからうまく取りはからってくれるはずよ」

 「はい、ありがとうございます」

 「お礼にはおよばないわ。あなたへの罰はすでに終わってるん
ですもの。今さらオムツを穿くことはないわ」

 「はい、お義母様。感謝します」

 「ただ、おばば様からすえられたお灸の痕は、三四日治療しな
きゃならないので、夜は私たちの前でお尻バンザイをしなければ
ならなくなるわね。それと、お義父様の見える位置で、オマルに
跨っておしっこをしなければならないわ」

 「あっ、はい」
 由美子お姉様にとってお義母様の提案が好ましくないのは確か
です。ですからその顔はちょっぴり曇りますが、すべてはお義父
様とお義母様の間で起こることですから、まずはよしとしなけれ
ばならないと思ったのでしょう。すぐに笑顔を取り戻して、それ
ほど暗い影はありませんでした。

 「だって、『丸一日、娘がおしっこをしませんでした』なんて変
でしょう。分かるわね」
 「はい、お義母様」

 お姉様は笑顔で答えます。13にもなった娘が親の前でオマル
を使うなんて巷の常識では考えられないでしょうけど、普段から
学校でも家庭でもうんちの時は必ず大人に見てもらう習慣になっ
ている亀山ではそれはそんなに変なことではありませんでした。

 このうんちの量が記録されてその後その子にお浣腸のお仕置き
があった時どのくらい浣腸液を入れるかの参考になります。

 ちなみに、お尻を拭く時も自分でトイレットペーパーは使いま
せん。先生やママから「さあ、モ~さんになりますよ」と言われ
ると、四つんばいになってお尻を高く上げ、その姿勢のまま待っ
ていると拭いてくれます。これは「今でもあなたは赤ちゃんなん
ですよ」という戒めで、自分がまだ子供であることを確認させる
ためでした。

 「あなたも何かと大変だけど、もうちょっと頑張ってみなさい。
来週の日曜日はきっと良いことがあるから…」

 「えっ、来週の日曜日ですか」
 お姉様が念を押しましたから、お義母様は慌てて…
 「ばかねえ、その時はお仕置きも終わってるし、何より気持ち
が晴れるでしょう。それだけよ」
 こう言ってごまかしたのです。その時はその日曜日に何がある
のか、私はもちろん、お姉様も全く理解していませんでした。

 お義母様は部屋を出ていこうとしましたが、思い出したように
振り返って…
 「あっ、それから……この一週間は謹慎期間ですからね、もし
粗相があれば、どんな小さなものでもみんなお仕置きの対象よ。
それと昼食が終わったら保健室でメンタムをお股に塗ってもらっ
て百行清書。終わらなければ放課後やればいいわ」

 「はい、お義母様」

 「まあ、あなたはそんな事ないでしょうけど、中にはお仕置き
が終わったうれしさに後の事をすっかり忘れてしまってお仕置き
のやり直しを受けた子もいるの。気をつけてね」

 「はい、お義母様」

 お姉様は殊勝な顔でご返事しましたが、中にはくどい物言いに
じれて…
 『そんなの分かってるから言わなくていいわよ』
 なんてうそぶく子もいます。でも、それは決して本人のために
はなりませんでした。

 いえ、そんなに露骨な返事をしなくても、不愉快な思いが顔に
出てしまっただけでも、そんな子には、あとで別のことを理由に
してキツいお仕置きが待っています。

 女の子の世界では長々とくどくどしいお説教を申し訳なさそう
に聞くのもお仕置きの一つでした。


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このブログについて

tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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