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庄屋の奥様(10)
***** 庄屋の奥様 (10) *****
「では、この鞭で悪魔を叩き出すことになりますが、よろしいかな」
「あ~~~お願います」
奥様は深い吐息とともに神父に願いましたが、それは悔恨という
のではなく、憧れや願望からくる切ない響きを私に感じさせます。
こうなることは分かっていた。いや、こうなって欲しいと願って
いたということでしょう。さすれば、彼女の歓喜にも似た悲鳴の
謎もとけます。
「ピシッ」
巻き付くような革の鈍い音がしたかと思うと、雪のように降り積
もった蝋が弾け、白い奥様の肌に数本の淡いピンクの筋が残ります。
「あ~神様。お許しください。私の体に巣くう悪魔を追い出して
ください」
懺悔の言葉が終わるのを待って、もう一撃。
「ピシッ」
「あっ、あ~、神様。このか弱き女に愛のお慈悲を。孤独に負け
ない勇気を」
「ピシッ」
「ああ~、後生です。すべてあなたのなすがままに。私はあなた
に使えるしもべでいたいのです」
鞭はその後も続き、背中やお尻だけでなく、太股や当たればただ
ではすまない谷間の中にまでもおよびます。
「ぎゃあ、………………」
そこに当たった瞬間だけは、女性らしい悲鳴のあと、しばらくは
息が詰まるのか、懺悔の声がすぐには出てきませんが、しばらく
して痛みが治まると……
「この痛みと引き替えに安らかな心がとりもどせますように」
それまでと同じような懺悔が続きます。
「ピシッ」
「あ~、私はこうしている時にしか幸せを感じられない。それは
罪なのでしょうか。煉獄の炎に焼かれてもよいのです。神よ、私
に安らぎを」
神父も奥様の長い懺悔に必ずつき合っていました。そして、それ
が終わったのちでなければ、次は絶対に振り下ろさなかったのです。
たっぷり時間をかけ、たっぷり三ダースの鞭が振り下ろされるや、
奥様の口からは懺悔の言葉がとぎれます。
最後は、みみず腫れで真っ赤になったお尻にさらにもう一振り、
赤い嵐が舞い降りて……、
「ピシッ」
「このあたりで神の国へまいりましょう」
一言、こう言っただけでした。
すると、その言葉が合図だったのでしょう。神父はナインテール
を片づけます。
次に、待ちくたびれて居眠りを始めていた二人の少年を起こして、
二人に手伝わせて、高々と上げていた奥様の足を静かに下ろして
いきます。
そして、奥様を敷物の上に丁寧に寝かせると毛布をかけてから、
三人は静かに部屋を出て行ったのでした。
*********************(10)***
「では、この鞭で悪魔を叩き出すことになりますが、よろしいかな」
「あ~~~お願います」
奥様は深い吐息とともに神父に願いましたが、それは悔恨という
のではなく、憧れや願望からくる切ない響きを私に感じさせます。
こうなることは分かっていた。いや、こうなって欲しいと願って
いたということでしょう。さすれば、彼女の歓喜にも似た悲鳴の
謎もとけます。
「ピシッ」
巻き付くような革の鈍い音がしたかと思うと、雪のように降り積
もった蝋が弾け、白い奥様の肌に数本の淡いピンクの筋が残ります。
「あ~神様。お許しください。私の体に巣くう悪魔を追い出して
ください」
懺悔の言葉が終わるのを待って、もう一撃。
「ピシッ」
「あっ、あ~、神様。このか弱き女に愛のお慈悲を。孤独に負け
ない勇気を」
「ピシッ」
「ああ~、後生です。すべてあなたのなすがままに。私はあなた
に使えるしもべでいたいのです」
鞭はその後も続き、背中やお尻だけでなく、太股や当たればただ
ではすまない谷間の中にまでもおよびます。
「ぎゃあ、………………」
そこに当たった瞬間だけは、女性らしい悲鳴のあと、しばらくは
息が詰まるのか、懺悔の声がすぐには出てきませんが、しばらく
して痛みが治まると……
「この痛みと引き替えに安らかな心がとりもどせますように」
それまでと同じような懺悔が続きます。
「ピシッ」
「あ~、私はこうしている時にしか幸せを感じられない。それは
罪なのでしょうか。煉獄の炎に焼かれてもよいのです。神よ、私
に安らぎを」
神父も奥様の長い懺悔に必ずつき合っていました。そして、それ
が終わったのちでなければ、次は絶対に振り下ろさなかったのです。
たっぷり時間をかけ、たっぷり三ダースの鞭が振り下ろされるや、
奥様の口からは懺悔の言葉がとぎれます。
最後は、みみず腫れで真っ赤になったお尻にさらにもう一振り、
赤い嵐が舞い降りて……、
「ピシッ」
「このあたりで神の国へまいりましょう」
一言、こう言っただけでした。
すると、その言葉が合図だったのでしょう。神父はナインテール
を片づけます。
次に、待ちくたびれて居眠りを始めていた二人の少年を起こして、
二人に手伝わせて、高々と上げていた奥様の足を静かに下ろして
いきます。
そして、奥様を敷物の上に丁寧に寝かせると毛布をかけてから、
三人は静かに部屋を出て行ったのでした。
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