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バカボンちゃんのスクールライフ(3)

バカボンちゃんのスクールライフ(3)<小説/我楽多箱>

 バカボンちゃんは子供付き合いは苦手だが、別に暗い性格では
なかった。大人とはよくしゃべるし、独楽鼠のようによく動く。
むしろ、AD/HD(注意欠陥/多動性障害)の気があって日頃
あまり落ち着きがなかった。

 そんなバカボンちゃんに、先生が「これは焦らなくていいのよ。
落ち着いてやってね」といってあるテストをやらせた。
 クラス全員の子が参加するテストだが、先生はバカボンちゃん
の日頃の言動をみて、『この子にはこんな注意をした方がいいだ
ろう』と思って特別に注意したのだ。

 ところがバカボンちゃんはバカだから、先生の注意を……
 『僕はゆっくりやればいいのか』
 と思ってしまう。

 そこで出た結果は、クラスでビリから三番目。

 『あまり、IQが低いようですと、せっかく入学していただき
ましたが、退学していただくこともあります』なんて脅かされて
いたバカボンちゃんのママは結果を聞いて大慌て。

 学校へ飛んでいくと……
 「お母さん大丈夫ですよ。息子さんを退学にはしませんから」
 という先生達の言葉にも耳を貸さない。
 「お願いします。もう一度やらせてください。絶対に、こんな
はずありませんから」
 の一点張りで、再テストを必死にお願いしたんだ。

 そこで仕方なく。本当に仕方なく、バカボンちゃんだけ再試験。
 『親がそれで納得するなら、いいだろう』ということで形だけ
やってみた。

 この時、ママはバカボンちゃんを膝に乗せると、
 「とにかく急いでやるのよ。解けるだけ解くのよ。わかった。
今度、悪いお点だったら、お母さん、本当に死んじゃうからね」
 なんて脅すのである。

 怖くなったバカボンちゃんは今度は必死になって問題を解いた。
もう少し歳がいけばそのくらいじゃ驚かないだろうけど、そこは
小一(小二?)の子、簡単に信じちゃう。
 お母さんが死んじゃったら大変だからだね。そりゃあもう必死
だった。

 そこで、出た記録。
 お母さんの膝の上でやったから、あくまで参考記録なんだけど、
このテストの形式が変更されるまでとうとう破られなかったみた
い。まるでマンガみたいにシャカシャカと問題を解いていく姿を
見て、先生方は、みんな目を丸くしてたもん。

 とにかく、ママはこれで溜飲を下げて、鼻高々で帰っていった
んだけど……でも、これって、
 『バカボンちゃんって本当は天才なんだ。凄いなあ』
 ってことにはならない。

 ほかの子だって、同じようにママが膝に乗っけてやらせたら、
やっぱり成績はぐ~~んとアップしたと思うよ。
 幼い子にとってお母さんの存在は絶対だし、何よりお膝の上は
安心感が他とは全然違うもの。そもそも記録が伸びて当然だよ。

 バカボンちゃんの能力はやっぱりビリから三番目なんだ。

 だから、この現象のことを言うなら、『火事場の馬鹿力』
 だって、テスト終了後、バカボンちゃんは、ちょっぴりだけど
お漏らししてたもん。よっぽどママに『死ぬ』って言われたのが
怖かったんだよ。

 むしろ、『最後まで解けなかった』って茫然自失だったんだ。

 先生たちは大人だから、バカボンちゃんママが怒鳴り込んでも、
みんな紳士的に対応してたけどね。
 でも、きっと………

 『とんでもない親子を入学させちゃったな』
 って思ってたはずだよ。

 バカボンちゃん自身も、彼女が学校で問題を起こすたびに……
『困った親だなあ。恥ずかしいなあ』って思ってたくらいなんだ
から……
 

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tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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