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第8章 愛の谷間で(1)

           << カレンのミサ曲 >>

 第8章 愛の谷間で

************<登場人物>**********
<お話の主人公>
トーマス・ブラウン<Thomas Braun>
……音楽評論家。多くの演奏会を成功させる名プロデューサー。
ラルフ・モーガン<Ralph Morgan >
……先生の助手。腕のよくない調律師でもある。
カレン・アンダーソン<Karen Anderson>
……内戦に巻き込まれて父と離ればなれになった少女。

(先生の<ブラウン>家の人たち)ウォーヴィランという山の中
の田舎町。カレニア山荘

<カレニア山荘の使用人>
ニーナ・スミス<Nina>
……先生の家の庭師。初老の婦人。とても上品
ベス<Elizabeth>
……先生の家の子守。先生から子供たちへの懲罰権を得ている。
ダニー<Denny>
……下男(?)カレニア山荘の補修や力仕事をしている。
アンナ<Anna>
……カレニア山荘で長年女中をしている。
グラハム<Graham>
……カレンの前のピアニスト

<カレニア山荘の里子たち>
リサ<Lisa >
……(2歳)まだオムツの取れない赤ちゃん。
サリー<Sally>
……(4歳)人懐っこい女の子。
パティー<Patty>
……(6歳)おとなしいよい子、寂しがり屋。
マリア<Maria >
……(8歳)品の良いお嬢さんタイプ
キャシー<Kathy>
……(10歳)他の子のお仕置きを見たがる。
アン<Andrea>(注)アンはアニー、アンナの愛称だが、先生が、
アンと呼ぶからそれが通り名に……

……(14歳)夢多き乙女。夢想癖がやや気になる。
ロベルト<Robert>または ~ロバート~
……(13歳)端整な顔立ちの少年
フレデリック<Friderick>本来、愛称はフリーデルだが、
ここではもっぱらリックで通っている。

……(11歳)やんちゃな悪戯っ子。
リチャード<Richard>たまにチャドと呼ばれることも……
……(12歳)ポエムや絵画が好きな心優しい子。

<先生たち>
ヒギンズ先生<.Higgins>
……子供たちの家庭教師。普段は穏和だが、怒ると恐い。
コールドウェル先生<Caldwell>
……音楽の先生。ピアノの他、フルートなどもこなす。
シーハン先生<Sheehan>
……子供たちの国語とギリシャ語の先生。
アンカー先生<Anker>
……絵の先生。
エッカート先生<Eckert>
……数学の先生
マルセル先生<Marcel>
……家庭科の先生

<ブラウン先生のお友達>
ラックスマン教授<Laxman>
……白髪の紳士。ロシア系。アンハルト家に身を寄せている。
ビーアマン先生<Biermann>
……獣医なので先生とは呼ばれているが、もとはカレニア山荘で
子供達のお仕置き係をしていた。今は町のカフェの店主。
アンハルト伯爵婦人
……戦争で息子を亡くした盲目の公爵婦人
フリードリヒ・フォン=ベール
……ルドルフ・フォン=ベールの弟
ホフマン博士<Hoffmann>
……時々酔っ払うが気のいい紳士

<ライバル>
ハンス=バーテン<Hans=Barten>
……アンのライバル、かなりのイケメン。
サンドラ=アモン<Sandra=Amon>
……12歳の少女ピアニスト。高い技術を持つがブラウン先生の
好みではない。

<幻のピアニスト>
セルゲイ=リヒテル(ルドルフ・フォン=ベール)
……カレンにとっては絵の先生だが、実はピアノも習っていた。

*****************************

§1 新たな目覚め

 カレンが目覚めたのは次の日の朝だった。
 野鳥のさえずりに、暖かい日の光。窓の外は少し冷えていたが、
ベッドの中は暖かい。

 カレンはその暖かさが自分のぬくもりだと気づく。
 そこはお父様の寝室。お尻がまだ少し痛かった。

 『そうか、私、お仕置きされて、お風呂に入って……』

 突然のフラッシュバック。そして、今、自分が素っ裸である事
にも気づくのだった。

 思わず毛布を自分の身体に引き寄せると……
 隣り住人が目を覚ます。

 「おう、カレン。目を覚ましましたか」

 お父様はいつもの声。
 でも、カレンはこの場から消え入りたかった。

 「どうしたの?……あっ、起きたんだ。よく寝てたね、あなた」

 隣りの隣りで寝ていたアンも目を覚ます。
 これで、一つの大きなベッドに寝ていた三人が、三人とも目を
さました。

 「カレン、大丈夫なの?あなた、昨日、お風呂場で倒れたのよ」
 アンがそう言ってまとっていた毛布を剥ぐとベッドの外へ。
 すると、彼女もまた丸裸だったのである。

 「ねえ、あなた、いつもその格好で寝てるの?」

 驚いたカレンが尋ねると……
 「違うわ。でも、昨日は、私たちお父様からのお仕置きだった
じゃない。その日の夜は純潔を示すために、お父様のベッドでは
裸で寝るのがこの家の決まりなのよ。だから、あなただって今は
何も着てないでしょう」

 「ええ、まあ……」

 「あっ、そうか、あなたは昨日お風呂場で倒れて、そのまま、
ここに運び込まれたんですもの」

 「えっ、それじゃあお医者様がみえてた時は、私、裸だったの」
 カレンは今さらながら顔を真っ赤にした。

 「そりゃそうよ。……でも、あなたその時、気がついてたの?」

 「そういうわけじゃあ、……でも、周りの雰囲気は何となく…」

 「なあんだ、あの気絶、仮病だったんだ。どうりで、お父様も
先生も何だかにやにやしてて……」

 「違うわ、仮病なんかじゃ」
 カレンは恥ずかしそうに声も小さかった。

 すると、お父様がカレンを気遣う言葉を……
 「大丈夫ですよ。今はパンツを穿いてますから……」

 「どういうことよ?」
 アンは迫ったがカレンは答えない。

 代わりにお父様が……
 「カレンは、見慣れないものを見たんでビックリしたんです。
それだけですよ」

 「見慣れないもの?」

 アンがわからないのでブラウン先生は言葉を継ぎ足す。
 「あなたには多分関係ない話です。何しろ、あなたという人は、
私とお風呂に入るとそれをよく握って遊んでましたからね。……
そんな人には何の抵抗もないんでしょうけど、世の中は、あなた
みたいな人ばかりじゃありませんからね……精細な心の持ち主も
いるわけです」

 「???」
 アンは最初それが分からなかったが、すぐにこう聞き返した。
 「ねえ、それって、私がごくごく幼い頃の話?」

 「ええ、そうですよ。今やられるとさすがに問題です」

 「ふふふふふふ。あっ、そう。そういうことかあ」
 アンは意味深に笑う。そして思いついたように……
 「ねえ、カレンってさあ、本当のお父さんとは一緒にお風呂に
入らなかったの?」
 と、尋ねた。

 「…………」
 ところが、カレンはそれには答えない。
 どう答えていいのかわからなかったのである。

 そんなカレンに代わって、またブラウン先生が答える。
 「アン、あなたもこの家を出たら分かるでしょうが、よそでは
こんなにたくさんお風呂をたてないんですよ。たとえ親子でも、
一緒にお風呂に入ることなんてないんです。私があなた方とこう
してお風呂に入るのは、日本人がやってるのを見て私が真似して
いるだけ。カレンが男性の裸を見た事がなくてもちっとも不思議
な事ではないんです」

 「へえ、お風呂って家(うち)だけの習慣なんだ」

 あんな厳しいお仕置きの翌日だと言うのにアンはいつも以上に
明るかった。そんな妹に励まされてカレンも少しずつ元気を取り
戻す。
 そんなカレンにお父様が……

 「私は子供達に隠し事を一切認めていません。身も心も、全て
をさらけ出してくれる子だけが、私の子供です。わかりますか?」

 「はい、お父様」

 「その純潔の証として、お仕置きしたあとは必ずその子を裸に
してベッドに寝かします。一晩添い寝です。あなたの場合はもう
大きくなってからここに来ましたら、それは大きなハンディだと
思いますが、あなたも私の娘である以上、我が家のしきたりには
従ってもらいます。いいですか?」

 「はい、お父様」

 緊張するカレンにアンが声をかけた。
 「大丈夫よ、カレン。お父様は何もしないから」

 「当たり前です」
 先生は気色ばんだ。

 ところが……
 「そうかなあ。幼い頃はよく抱かれた記憶があるんだけど……」
 アンが言うと、先生の頬が少し赤くなるのだ。

 「馬鹿なこと言わないでください。それは、あなたが寂しがる
から抱いてあげただけじゃないですか。おかげで、安心したのか、
翌朝はよくおねしょをしてくれましたよね」

 お父様にこう言われて、今度はアンが顔を赤らめるのだった。

**************************

 それからしばらくは平穏な日々だった。

 カレンは毎日学校へ行って授業を受け、(といっても同級生は
おらず個人授業なのだが)お父様の寝間で奏でるピアノも続けて
いる。すでに作った曲は100を越え、幼児用のピアノ曲集とし
て出版されるめどもたっていた。

 一方、アンは全国大会に向けて最終調整。練習場から、時折、
コールドウェル先生の罵声も響くが、最近はそれにも慣れてきて
『また、裸になってるのかしら』と思って通り過ぎるくらいだ。

 慣れたといえば、『お父様』にもだいぶ慣れたようで、今では
お風呂にもベッドにも一緒に入るが、もう何を見ても驚かない。
最初はぎこちなかった「お父様」という言葉も自然に出るように
なっていた。

 そんなカレンは、里子のなかでは一番の年長さんということも
あって、幼い子の面倒をみさせられることも多い。
 着替え、お風呂、食事……そして、最近ではお仕置きもカレン
の仕事になっていた。

 「だめよ、カレン、そんなに弱くちゃ。それじゃあ、撫でてる
のと同じじゃないの」
 よく、ベスに注意された。
 でも、最初は加減がわからないから、お尻を叩く手がどうして
も弱くなるのだ。

 そんなカレンは幼い子に人気があった。
 不始末をしでかした子がカレンの処へやってきては袖を引くの
である。

 「お姉ちゃん、お仕置きをお願いします」
 「あっ、ずるい。私も……」
 「えっ、私が先に来てたのよ……」
 幼い子たちにこう言われて戸惑うカレン。

 ベスに捕まる前に、カレンにやってもらって、免罪符を作って
しまおうという魂胆だった。

 そこへベスが顔を出すと蜘蛛の子を散らすように逃げてしまう。

 ベスは縦横共に体の大きな女性で、チビちゃんたちのお世話係
なのだが、という事は、この家では懲罰係でもあるわけで、今は
お姉さんぶっているアンでさえ、つい1、2年前まではその膝に
乗せられてお尻を叩かれていたのだった。

 「あんた、見るからにお嬢さん育ちだもんね。本当のお父さん
からは、お尻なんて叩かれたことなかったんだろう」
 ベスの大きな顔が降って来る。

 慌てたカレンは、つい……
 「そんなことありません」
 と言ってしまった。

 すると……
 「本当に?」
 再び、ベスの大きな顔が襲い掛かるのだ。

 「……」
 カレンは唾を飲み込む以外答えが浮かばなかった。

 「嘘はいけないね。……嘘をつく子がどうなるか……さっき、
あんたも見てたよね」

 そのどすの利いた声の主は、さっき、フレデリックを血祭りに
あげたばかりだ。

 「(まさか、そんな……嘘でしょう。そんなはずないわよね)」

 カレンは思ったが、事実はその『まさか』だったのである。

 「えっ!」

 カレンは、その太い腕に抱き抱えられると、テーブルのように
広いその膝にすえつけられる。
 あとは、チビちゃんたちと何ら変わらなかった。

 スカートが捲り上げられ、ショーツが下げられて、大きな手の
平がカレンのお尻に炸裂するのだ。

 「いやっ」
 カレンは最初恥ずかしさから悲鳴をあげたが……

 「パン、パン、パン、パン、パン」

 何もしないで耐えられたのは五六回。
 以降は、何とか抜け出そうと必死にならざるを得なかった。

 「パン、パン、パン、パン、パン」

 「いやあ、もう、だめえ、やめて……」
 彼女が泣き言を言い始めるのに十回も必要ではなかった。

 「あらあら、お嬢様がもうそんなはしたない声をだすのかい。
だらしないよ」
 ベスは皮肉を言うと、また、かまわずまだ叩き続ける。

 「パン、パン、パン、パン、パン」

 「いやあ、いやあ、いやあ、いやあ」
 カレンの口から気の利いた言葉が出てこない。
 足をバタつかせ、必死にベスの頚木(くびき)から抜け出そう
とするが、相手はプロ、30回が終わるまでは自由にさせてくれ
なかったのである。

 「ほら」
 まるで悪戯猫を庭に放り出すようにカレンを床の上に放り出す
と、ベスは、必死にお尻を擦りつづける少女を見ていた。

 もちろん、カレンにしても自分がベスからそうやって見られて
いることは承知していたが、お尻擦りをやめることができない。
 その時はそれほど痛かったからだ。

 「みんな、その痛みを抱えて大きくなるんだ。あんた一人が、
それを知らないなんて不幸だからね。ちょいと、お尻のほこりを
祓ってやったけど、感じたかい?」

 ベスはカレンに尋ねたが、カレンはその意味が分からず、ただ
ただお尻を擦るばかり。
 呆れたベスが再びカレンを膝の上に乗せたが、それにも彼女は
抵抗しなかった。

 「お譲ちゃん、女の子はお尻をぶたれると感じるものなのよ。
お父さんが臆病だと、娘は可哀想だね。楽しいことがみんな後回
しになっちゃって……」
 ベスは意味深な言葉を投げかけるが、カレンはまだそれを理解
する体にはなっていなかったのである。

 そんな報告をベスから聞いたブラウン先生は……
 「やはり、そうですか。ごくろうさまでした」
 と言うだけで、取り立てて表情も変えなかったが、心の中では
ニンマリ。胸をなでおろしたのだった。

********************(1)***

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このブログについて

tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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