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8/20 『汚い』って何だろう

8/20 『汚い』って何だろう

 実は、ブラウン先生がサンドラを抱っこして用を足させたいと
願うくだりには、作者の思い出、ルーツがあるのだ。


 僕は小3の時にちょっとした病気になった。入院までしなかっ
たからそれほど深刻な病ではなかったと思うが、二三日家で寝て
いたことがある。

 意識がはっきりせず、立つとふらついて、下痢もしていた。
 自分でトイレに立てないほどではないとは思ったが、いざ布団
から立ち上がってみると、よろけてしまい、その瞬間、

 「やばっ……」
 漏らしてしまった。

 すると、母はそういう事には敏感な人だから、たちまち風呂場
へ連れて行かれて後処理すると、布団に戻ってオムツを穿かされ
てしまったのだ。

 「今さらオムツなんて嫌だよ!!」
 僕はごねたが、聞いてもらえなかった。

 案の定、しばらくして、また……

 僕は知らん顔していたが、どういうわけか母は僕の異変を察知
する能力に優れている。

 「また、漏らしたの?」
 「うん」
 恥ずかしかったが、そう言うほかなかった。

 すると、彼女……
 「しょうがないわねえ」
 と言いながらオムツを替え始めたのである。

 「いいよ、僕が自分でやるから……」
 と言ったが聞き入れてもらえなかった。

 赤ちゃん時代と同じ姿勢、同じ手順で着替えが完了する。

 「ごめんね、汚いことさせて……」
 と言うと、
 「何言ってるの。子どものうんちが汚いわけないじゃない」
 と笑うのである。

 僕にはその意味が分からなかった。
 『だって、誰のうんちだってものは同じなのに……』
 なんて思ったのである。


 時、移って、今度は自分が2歳の子供をお風呂に入れる立場に
なった。

 すると、何かがぽかんと目の前に浮かんでくるのである。

 紛うことなき息子のウンコ。

 でも、それを……
 『大変なことしやがって』とも思わなかったし、そのウンコを
べつに『汚い』とも思わなかった。
 むしろ、『私の遺伝子を引き継ぐこの子は、私同様お風呂場で
ウンチをするのが好きなんだ』と笑ってしまった。
 そのウンコは、洗面器ですくって処理したが、二人は最後まで
ウンコの浮かんでいた湯船で身体を温めた。

 そして、その時……
 「子どものうんちが汚いわけないじゃない」
 という母の言葉を思い出したのだ。

 そういえば……
 母は子供の私が食べ残したぐちゃぐちゃになった料理でも平気
で食べていた。

 『愛されている』というのは、こういうことなんだと実感した
のである。

**************<了>*******

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tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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