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第3章 童女の日課(7)

<The Fanciful Story>

             竜巻岬《14》

                            K.Mikami

【第三章:童女の日課】(7)
 《悪戯オンパレード》<1>


 前にも説明したが、チップス先生は高齢である。動作も鈍く、
しかも話す内容も、たとえ聞き逃しても不自由がない程度の常識
的なもの。
 となれば、退屈するのは仕方がないのかもしれない。

 そこで生徒としては空いた時間を有効に活用すべく色々な内職
を始めるのだが、それでも、これまでは好きな本を読むくらいが
せいぜいだった。そこへ脱退したはずのケイトが小さな鏡を持ち
込む。

 彼女は、先生が黒板の方を向くたびに、太陽光線を反射させて
先生の薄くなった頭を光り輝かせるというアイデアを思いついた
のだ。そして、先生がこちらを振り向く瞬間、角度を変えて先生
が光の存在に気がつかないようにする。

 このスリルに満ちた遊びはたちまち他の三人にも広がった。

 彼らは、いかに長い間先生に光線を当てていられるかを競い、
やがて授業そっちのけでこの暇つぶしに興じるようになる。

 しかし、この愉快な遊びもそう長くは続かなかった。
 一週間後、ケイトが悪乗りしてしまう。それまで密告もせずに
いてくれた助教師のスワンソンさんにちょっかいを出したために、
眩しがる彼女の様子に不審を抱いた先生がケイトの鏡を見つけて
しまったのだ。

 当然、鏡は取り上げられケイトはお仕置き。黒板の前に引き出
されると、両手を頭の後ろに組んで前かがみになるポーズを要求
された。

 その姿勢でお尻を六回。
 それはお転婆童女に対する処置としてはこれまでと何ら変わら
ない儀式に思えた。

 ところが…

 「……<No>……」

 チップス先生は助教師が差し出すいつものトォーズに首を振る
と、わざわざ隣の部屋まで行き、自ら気に入った籐鞭(ケイン)を
探し出してきた。

「ピュー、ピュー」

 彼はその調子を見るべくケイトのすぐ脇で二度ほど空鳴りさせ
てみる。そして何の合図もなくいきなり、

 「タッタッタッ」

 数歩助走をつけておいて目一杯振りかぶった位置から一直線に
ケイトのお尻目ざして振り下ろしたのだ。

 「ビシーッ」

 鈍く唸るような音が教室に漂うとそれはショーツ一枚など何の
防御にもならないほどの威力だった。

 「ビシーッ」

 よろめいたケイトが体勢を立て直すと、間をおかずふたたび、
低周波が教室内に響く。

 「ビシーッ」

 「…あっ…」

 鞭には慣れっこのはずのケイトの口から、思わずうめき声が聞
こえたことで、事の重大性が他の三人にも伝わるのだった。

 「ビシッー」

 「…ひいっ…」

 気がつくと彼女の膝は笑いが止まらなくなっている。

 「ビシッー」

 「いやあ~」

 次に鞭が振り下ろされる瞬間、

 「やめて!」

 ケイトの禁じ手がほんの一瞬チップス先生の始動を遅らせたが、
先生は最初に決めた六回目を放棄しない。ケイトにしてもそれは
百も承知の事。だから、それほどまでに切羽詰った叫びだった。

 「ビシッー」

 腰を伸ばしてまっすぐに立つことを許されたケイトの唇が細か
く振るえ、鼻をすする嗚咽も膝の震えも止まらないでいる。
 こんな彼女を三人が見たのは初めてだった。

 「ケイト、君は私をただの老いぼれと侮っているようだがね、
老いぼれていても私は男なんだよ。だから弱い者苛めは大嫌いだ
し、君のお尻の形を変えることぐらい、造作もないことなんだ。
分かったかね」

 「はい先生」

 「今夜の反省会では、コリンズ先生に同じ罰をやってもらう。
……そこで君も分かるだろう……男と女の力の差を……そして、
それが分かったら、二度とこのようなことはしないことだ」

 「はい先生」

 三人はまるで幼児のように従順になったケイトにただただ呆れ
るばかり。

 その時は三人とも声をかけづらかったが、それでも夜になると
気になるらしく、コリンズ先生の処から帰ってきたケイトを捕ま
える。

 「ねえ、どうだった」

 女の子はこうした時に残酷なものだ。反省会でコリンズ先生に
同じ六回の鞭打ちを受けてベッドに帰ってきたばかりのケイトを
取り囲むと、しきりにその感想を求めた。

 「やめてよ!どうでもいいでしょう、そんなこと……」
 ケイトは煩わしそうに三人を払い除けるとベッドに倒れこむ。

 男社会ならこれで終わりだが、女の子の世界は違う。
 頼まれもしないのに…今、「やめてよ!」って払いのけられた
はずなのに、リサとアリスがケイトの手当をする。

 彼女たちはケイトのスカートを勝手に捲り上げると……
 冷たいタオルで剥出しになったお尻を冷やす。

 「いたっ。もっと丁寧に乗せなさいよ」

 八つ当りするケイトに困惑する二人。
 ……でも、やはり聞いてみたかった。

 「ねえ、やっぱりチップス先生の方が凄かったの」

 「いいでしょう。そんなこと…」

 邪険にされたリサは、お尻に乗っけたタオルを掴むと、
 三十センチ程の高さから再びケイトのお尻目がけて投げつける。

 「ひぃ~」

 ケイトは思わず声をあげるとそのまま海老ぞりになった。
 そして、さも恨めしそうにリサの方を振り向くと、彼女を睨み
つけたのである。

 しかし、だからといって口をきかないというのではない。
 仕方がないという表情は見せながらもケイトは重い口を開く。

 「要するに痛みの質が違うのよ。チップス先生のは骨身に沁み
る感じなの。だから、内蔵が破裂したかと思ったわ」

 「大仰ね。お腹をぶたれたわけじゃないのよ。たかがお尻よ。
どうして内臓が破裂するのよ」

 「本当よ。女の先生にぶたれても痛いのはお尻の皮かせいぜい
筋肉までだけどさあ、チップス先生のは体の骨が全部ばらばらに
なったんじゃないかと思ったんだから」

 「本当に?」

 「何よその疑うような目は。だったらあんたやってもらったら
いいじゃない。あんたなんて、おしっこちびるから」

 「嫌ねえ、変なこと言わないでよ。私、そんな弱虫じゃないわ」

 リサもアリスもケイトの痛みが分からない。ケイトがショック
を受けているのだからよほど強烈だったのだろうとは思うのだが、
それがいったいどんな物なのかは、やはり経験しなければ分から
なかった。

 ところが、この会話に一切加わらなかったアンが、
 翌日……

 「何の真似かね。アン」

 彼女は授業が始まると持ち込んだ鏡を使って正々堂々チップス
先生の顔を照らしつけたのだ。

 そして、教壇に呼びつけられると……
 「実は、昨日はケイトだけしか見つかりませんでしが、私たち
三人もずっと鏡で遊んでいたんです。ですから、私達もケイトと
同じようにお仕置きしてください」

 アンはチップス先生に毅然として言い放った。
 勿論、これにはチップス先生も驚いただろうが、何より驚いた
のは、事前に何の相談も受けなかったリサとアリスだった。

 「アン、やめてよ。私はスワンソン先生にまで光を当ててなん
か……」
 リサは途中まで言い掛けて思わず口をふさぐ。

 気まずい雰囲気が教室内に漂った。ただ、チップス先生として
も昨日は勢いに任せての事だったが、今日はそこまでテンション
を高める自信がない。

 「あなたたちは、そんなにもこの老人にやって欲しいのですか?」
 最後はむしろアンの情熱に押し切られる形で、チップス先生が
決断したのだった。

 「三人とも、両手を頭の後ろで組んで、前かがみになるんだ」
 三人全員のお仕置きが決まる。

 「ビシーッ」/「ひぃ~~」
 「ビシーッ」/「いっっっ」
 「ビシーッ」/「いやあ~~~ごめんなさい」

 「ビシーッ」/「ううううう」
 「ビシーッ」/「あっっっっ」
 「ビシーッ」/「もうしませんから~~~」

 「ビシーッ」/「あぁぁぁぁぁ」
 「ビシーッ」/「やぁぁぁぁぁ」
 「ビシーッ」/「いやだあ~~許してお願い」

 昨日と同じ鞭、やはり同じように振りかぶって、数歩の助走を
つけて……しかし、それは昨日ほどの威力はなかった。それでも、
三人がその鞭の威力を理解するのに六発も必要なかった。

 「ビシーッ」/「しない、しない、もうしませんから~~」
 「ビシーッ」/「だめえ、ぶたないで、もういい、もういい」
 「ビシーッ」/「だめえ~~~死んじゃう、ごめんなさい」
 三発目からは、まるで悪戯坊主を父親が折檻しているかのよう
に我を忘れて泣き喚いたのである。

 結果。
 リサは歯の根があわず熱病患者みたいだったし、アリスにいた
ってはお漏らしまでする始末だったが……
 ただ、アンだけが比較的冷静だったのである。

 その日の夜、お尻を腫らして泣き叫ぶ二人の子供を尻目にいつ
も喧嘩ばかりしているアンの所へケイトがやってくる。

 「昨日はありがとう」

 「何が……私は何もしてないわ。お礼ならその二人に言うべき
よ。私はお尻をぶたれたかっただけ。おもいっきり男の力でね」

 「お父さん、厳しかったんだ」

 「………」アンはただ静かに頭を振る。

 あとはケイトがアンのお尻を濡れたタオルで冷やしワセリンを
ぬって手入れしただけ。ただそれだけで夜が更けていった。

 次の日のシャワー室。四人並んでいつものようにメイドに体を
洗って貰いながらアンがぽつりと言った。
 「このままじゃ一番早く少女になれるのはやっぱりケイトね」

 「…………」
 違わなかった。だからそれには誰も反論できない。

 「ねえ、ケイト。今度何かやるときは私達も誘ってくれない」

 「………」
 アンの誘いにケイトは答えない。
 するとアンは他の二人に……
 「ねえ、あなたたちだってその方がいいでしょう」
 これも間違いではなかった。

 「………」
 だから他の二人も口を開かないのだ。

 「ケイト、あなたしかいないわ。私達を少女にできる人は……
わかるでしょう私の言ってる意味。……アリスはお嬢様だし……
リサは監獄暮らしですっかり気が弱くなってるの。私も、常識に
捕われすぎてて子供じみたことなんて今さらできないわ」

 アンが話終わらないうちにケイトが噛み付く。
 「要するに私がこの中で一番ガキだってそう言いたいわけね」

 すると、アンは……
 「そういうことよ。今頃気づいたの?」

 「ちよっとあんた、否定しなさいよ。不愉快ね。あんたは私に
頼み事をしてるのよ」
 と、ここまでは威勢が良かったが、これから先は言葉が穏やか
になる。
 「……でも、仕方ないか……事が事だから………わかったわ。
でも私についてくるんならそれなりに覚悟はしといてね。今まで
みたいに平穏無事にはすまないわよ。それでいいの」

 「私はOKよ」
 リサが答える。そしてアリスも……
 「私も大丈夫よ」

 こうして四人は再びスクラムを組んで少女を目指すことになっ
たのである。

**************************

 手始めに狙われたのは美術のハワード先生だった。
 美術といっても童女たちに創造的作業はなく、来る日も来る日
もイコンの制作とデッサンばかり……要するに模写の作業ばかり
なのだ。

 いくら女の子が忍耐強く長時間の単純作業にむいているといっ
ても飽きてくる。ましてケイトは、一度少女にあがった経験から
少女になれば自由に風景画を描いたり、蝋けつ染めやガラス細工
など創造的な活動ができることを知っていたのでなおさらだった。

 そんな鬱積した思いを晴らすチャンスが訪れた。この日、先生
は授業の途中で抜け出して町へ行かなければならない用ができた
のだ。すると……

 「先生、このメディチ。描きいいようにしていいですか」

 ケイトの言葉に先生は深く考えずに「いいよ」と言ってしまう。
『置いてある角度を変えるのだろう』ぐらいにしか考えなかった
のかもしれない。しかし、彼女はこの言葉に『悪戯をしますよ』
という意味を込めていたのだ。

 先生が教室を離れるとケイトはさっそく作業を開始する。

 「アン、アリス、リサ、みんな来て」

 ケイトは三人を引き連れると先生のアトリエへ行って何色もの
ペンキと筆を持ってきたのだ。

 「どうするの。こんなもの持ってきて」

 「決まってるじゃない。この胸像真っ白で描きにくいでしょう。
だから着色してあげるの」

 「いいの、そんなことして」

 「いいんじゃないの。先生は描きいいようにしていいって言った
んだから」
 ケイトは笑って答える。

 「これ、塗った後で落とせるの」

 「まず、無理でしょうね。………おや?……どうしたの?……
やるの、やらないの?」
 ケイトは腰に両手を当てて三人の答えを待つ。

 「ねえ、これでどのくらい叱られそう?」

 「いいことリサ。悪戯ってのはね、後先の事を考えてやるもの
じゃないの。打算があったらそれは陰謀。打算を考えたらやめる
べきことをあえてやるから悪戯なのよ。……わかったかしら?」
 ケイトは悪魔チックな笑みを浮かべる。

 「ケイトの言うとおりね。私達これまで打算で考えてきたから
本当の悪戯ができなかったんですもの。いいわ、私やる」
 アンがまず最初に筆を取った。

 「おやおや、たかが悪戯に一大決心ね。でも、仕方がないか。
……どうなのリサは?」
 ケイトに促されると

 「どうか罰が小さくて済みますように」
 リサもお祈りをしてからこわごわ筆を取る。

 最後に残ったアリスも
 「お母さま、ごめんなさい」
 ケイトの手から目をつぶって絵筆を一本引き抜く。

 ただし、リサとアリスに限って言うと、当初はこれから悪戯を
始めようという雰囲気ではなかった。無理やり悪に加担させられ
ているといった感じだったのだ。

 ところが、ものの十分も経たないうちに主客転倒。

 「駄目よ、アン。そこは断然緑だわ」
 「ケイトやめて、そこは私が塗るんだから」
 「だいたいケイトはセンスが悪いのよ。私が手伝ってあげる」
 「アン、黄色持ってきて…それはオレンジ色じゃない。馬鹿ね、
レモン色の方に決まってるでしょう」

 この悪戯を存分に楽しんだのは無理やりやらされていたはずの
リサとアリスの二人組だったのである。

 「どう、なかなか素敵でしょう」
 「あなたたちじゃこうはいかないわね」
 二人は、作品を自画自賛。出来上がりにすっかり満足していた
彼女たちは自分たちのまわりに誰がいるのかまったく気がついて
いなかった。

 「なるほど素敵だ。私もこんなに鮮やかなメディチを見たのは
初めてだよ」

 二人はその低く聞き覚えのある声に一気に血の気が引く思いが
した。振り返る必要もないが、確認してみると……

 「……!……」
 「……!……」

 案の定、そこにはハワード先生が立っている。
 夢中になった二人が時間の観念を忘れていたのに対し、用件が
早くすんだ先生は生徒のことを心配しておっ取り刀で帰ってきた
のだ。

 「これは四人の共同制作かい」

 すると、ケイトがそれに答える。
 「先生。私が『描きやすいようにしていいですか』って言った
ら『いいよ』っておっしゃいましたので……お言葉に甘えて」

 「なるほど、首謀者はケイト君か。でも、君がこれを塗った訳
じゃないだろう」

「……………」

 ケイトは一瞬まわりの友達を慮り、彼女たちの意志をあらため
て確認すると、先生に答えを返した。

 「……はい」

 「だろうな。君にはこれは無理だ。見事な色彩感覚だ」
 先生は感心した様子だ。そして……
 「まあいい。今日はこれをデッサンしよう。そして、水彩で色
を着けてみようじゃないか。好きな色でかまわないよ。君達の色
のセンスを見たいから」

 ハワード先生がこう言ったのできっとリサはこれでお仕置きは
なくなったと思ったのだろう。安堵した彼女は肩を落とし大きく
息をついたのだ。

 すると、先生がそれを見ていて、すかさずこんなことを言う。

 「どうしたんだい、リサ。そんなに落ち込んで………せっかく
やった悪戯にお仕置きがつかないので残念なのかい。大丈夫だよ。
今日の事は『許されない悪戯がありました』ってコリンズ先生に
報告してあげるからね。お仕置きだって後日たっぷりやってあげ
るから、何も心配しなくていいんだよ」

 先生は悪戯っぽく笑う。そしてそれは現実のものとなったので
ある。


 その日の夕方、コリンズ先生は反省室に四人全員を呼び出す。
これはマンツーマンが原則の反省会では異例のことだった。

 「今日の美術の時間は、なかなかユニークなことをやらかした
みたいね。だから罰もユニークなのを用意したの。ここ二三日で
メンスの始まる人いるかしら……」

 「………」誰も答えない。

 「正直に言わないとあとで余計な恥をかくことになるわよ」

 「………」しかし、やはり誰も答えなかった。

 「よろしい、それは幸いね。では、四人ともまずこれを着けて
ちょうだい」
 コリンズ先生が手渡したのは、厚手の革でできた一見ベルトの
ような物だった。

 「何ですか。これ…」
 アリスが尋ねると、コリンズ先生だけでなく仲間三人も驚いた
ようにアリスの顔を覗き込む。

 「そう、あなた知らないのね」
 コリンズ先生は小さく笑みを浮かべると、アリスから一旦その
ベルトを取り上げて……
 「私が着けてあげるわ。スカートの裾をまくって…」

 アリスはあたりを見回す。すると他の子も同じようにしている
ので恐る恐る先生の指示に従ったのである。すると、アリスの前
に膝まづいた先生からさらに注意事項が……

 「あ、それから。今日はお仕置ですから地肌に直接着けないで、
ショーツの上から着けてくださいね」

 先生は半分ほどたくしあげられたネグリジェの裾の中へ手を入
れると、あっという間にアリスの股間にそれを装着したのだった。

 「さあ、これでよし。ご自分で見てご覧なさい」

 アリスが確認すると、革のベルトは腰に巻かれたのち、背骨の
あたりで一方が分れ、お尻の割れ目を通って股上をはい上がると
お臍の下あたりで腰のベルトと出会い鍵を使い再び一体となって
いる。

 「アリス、これは貞操帯っていうのよ。あなたも名前ぐらいは
聞いたことがあるでしょう。本来の目的は別にしてここではオナ
ニーの防止やお仕置きの補助具として使うの」

 『これが貞操帯なのね』
 アリスはまだ幼女の頃お茶会の席でリサがこの装着を命じられ
てべそをかいていたのを思い出していた。

 「みなさんにはこれを月曜日まで着け続けてもらいます」

 「え!月曜日まで…」

 「そうですよ。あすは美術の時間がありませんし、あさっては
日曜日でしょう月曜日の午前中チップス先生に事情をご説明して
午後の時間と取り替えていただいたので、その時お仕置きをして
いただけるそうです」

 事情が飲み込めないアリスを除き他の三人はコリンズ先生の話
に顔が真っ青だった。

 自室にかえった子供たちは口々に不満をぶつける。

 「普通はこんなの一日だけじゃない。それが二日半だものね」

 「この週末はブルーね。今月はメンスが二回もって感じだわ」

 「まったく陰険なのよ。こんなことやらせるなんて」

 「仕方がないでしょう。それだけのことやっちゃったんだもの」

 そんななかアリスがまた周囲を驚かす。
 「ねえ、これってトイレの時はどうするの」

 しばし誰からも声がでなかった。

 「つまりそれが陰険ってことなのよ」

 「この三日間私達にそれは禁句になるわね」

 「お嬢様、お嬢様はこんなことされた事がないからわからない
でしょうけど。これを取り付けられるとね、トイレはできないの。
少なくとも大の方はね」

 「!」

 アリスはこの時初めてことの重大さに気がついたのだった。

 この懲罰、実は恥を捨ててかかれば小だけはなんとか可能なの
だが、それは、お漏らしのあと濡れたパンツを穿いたままにして
いるのと実質的には同じ事で、女の子としてはとても勇気のいる
ことだったのである。

 とはいえ、大は我慢すればなんとかなるが、小の方は、時間が
たてばたつほど苦しくなる。その夜そして次の午前中はまだなん
とかなったが、土曜日の午後からはしだいに口数も減り誰の体も
頻繁に尿意を訴えるようになった。

 自然、食事も喉を通るはずがない。
 四人はお腹が減っているにもかかわらず、出された食事に手を
つけることができないでいたのだった。


************<了>***********

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このブログについて

tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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