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10/18 昔、長男として生まれると……

10/18 昔、長男として生まれると……

 僕は長男として生まれた。
 今の人にしてみると、それって『一番最初に生まれた男の子』
という意味でしかないんだろうけど、僕が生まれた昭和30年代
にあっては、それは特別な意味を持ってたんだ。

 僕が生まれたのは戦後だから、制度としての『家』は、すでに
なくなってたんだけど、人々の意識の中には、『家を守る』とか
『家を継ぐ』なんて気持がまだまだ強く残っていて、家の後継者
の第一番目の候補者が、この長男なんだ。
 
 つまり、時代劇で言えば、『お世継ぎ』ってことになるのかな。
 当然、大事にされた。され過ぎたというべきかもしれない。

 僕の田舎は特に封建思想の根強い地域だから、その辺が極端で、
産着に始まって、玩具、ランドセル、学習机、おやつに至るまで
次男以下とは生活のすべてで差がついていたんだ。

 おかげで、弟はいつもブーブー言ってたんだけど、お母さんは
きかなかった。長男と次男で差をつけるのは当たり前の事だって
彼女は信じてたみたいなんだ。

 こんな事書いてると「わあ~~長男って得じゃん」なんて思う
かもしれないけど、ところがどっこい、そうでもないんだ。

 例えば、お入学の時に買ってもらう学習机。僕としては近所の
子と同じキャラクターものが欲しかったんだけど……
 「いけません、あんなちゃらちゃらしたもの」
 と言われて、届いたのは……大人たちがよく書斎に置いている
木製デスク。そりゃあキャラクターものより値段は高いかもしれ
ないけど、子どもにしてみたら、そういう問題ではないからね。

 もちろん、机だけじゃないよ。椅子もベッドも本棚も、部屋に
あるものすべてが大人仕様なの。ランドセルがなければ子供部屋
ってわかんないよ、きっと……

 そうそう、筆箱も大人がよく持ち歩いていた重厚な皮製のペン
ケース。
 その後泣いて頼んで、像が乗っても壊れない筆入れもいちおう
買ってはもらったんだけど、学校へ持って行くのはやっぱりNG
だったんだ。

 僕としては、すべてキャラクターもので揃えてもらってた弟の
方がよほど羨ましかったよ。

 長男というのは家の看板だからね。世間様に恥ずかしい格好は
見せられないという思いが強くあったみたいなんだ。

 これって何も物だけじゃないよ。学業だってそれなりの実績が
求められるのは長男だけで、次男以下には『成績はよいにこした
事がない』程度。出来なくてもあきらめてくれるからこっちの方
が楽なんだ。

 お母さんは、あきめることが許されない長男の僕に対しては、
つきっきりで勉強を教えてたもん。当然、『成績が悪い!』って
叱られるのもたいてい長男(僕)なんだ。

 『弟より勉強時間は長いし、習い事も多いし、長男なんて何の
得があるんだろう?損ばっかりじゃないか』
 って思ってたよ。

 ただ、色々かまってもらえる分、お母さんとの距離が他の兄弟
より近かったのも事実で、長男には…甘えん坊で、依頼心が強く、
楽天的、普段は、ぼ~~っとしているなんて特徴があった。

 こんな子だからね、お母さんが、「お仕置きします!」なんて
角を出しても、じたばたしないで、自分からパンツを脱いじゃう
ようなところがあって、昔から『長男の甚六』なんて呼ばれてる
けど、あれって、あながち間違いじゃない気がするんだ。

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tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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