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10/19 昔、長男に生まれると……(2)

10/19 昔、長男に生まれると……(2)

 昨日の続き。
 昔、長男として生まれると、他の兄弟より物質的に豊かだった
し、他の兄弟以上に父母、祖父母がよく面倒を見てくれた。
 こんなこと書いてると『きっと楽しい子供時代だったんだろう』
なんて思われるかもしれないけど、これがそうでもないんだ。

 世の中はギブアンドテイク。色々やってもらったってことは、
その結果だって求められるんだ。成績優秀で品行方正。そんな、
絵に描いたような少年を求められても、こっちも困るんだけど、
そのパフォーマンスだけは演じなければならないから、私生活が
とても窮屈なんだ。
 大人たちが決めた日課や計画に沿って行動させられるからね、
自由気ままにしていられる時間が少なかった。いつも誰かに干渉
されてる感じだった。

 もちろんお母さんは僕の面倒をよくみてくれたけど、それって、
どこか『長男を育てている義務で、こうしています』ってところ
があって、母と子が本当に打ち解けていたのか疑問もあるんだ。

 その点、弟は、僕より成績が落ちるし、勉強抜け出して草野球
ばかりやってたから、「お兄ちゃんを見習いなさい」っていつも
怒られてた。お仕置きもされてた。
 でも、それって逃げ出せたらそれもできたわけで、長男の僕に
はその隙は与えてくれなかったんだ。

 弟がなにかと問題を起こしてお母さんの折檻を受けるのは日常
茶飯事だったけど、終わると屈託のない笑顔でお互い抱き合った
り、転げまわったりしている。

 その点、僕は問題をあまり起こさないからお仕置きされること
も少ないけどお母さんの屈託のない笑顔をあまり見たことがない。
変顔しあってお互い転げまわって笑いこけたりはしないんだ。

 「あんた、そんな馬鹿騒ぎなんて望まなかったじゃない」
 とは、お母さんの言い分なんだけど、僕からすると、そういう
こと望んでもやってくれなかったような気がするんだよ。だから、
始めからそんなこと望まなかったって……

 もちろん、お母さんは僕を優しく何度でも抱きしめてくれたよ。
幼い頃、苛めっ子がちょっとでも僕にちょっかいだそうものなら、
鬼のような形相で追っ払ってもくれたんだけど、僕にはその追っ
払われた苛めっ子を泣きながら追いかける幼い女の子の姿が忘れ
られないんだ。
 その子にとってはことの是非より、人間として苛めっ子は魅力
ある人物だったはずなんだもん。

 「あなたは何も問題を起こさないんだもの、お仕置きなんて、
必要ないでしょう」
 と、よく母に言われた。でも、これって褒め言葉なんだろうか。
一歩外へ踏み出す勇気がないだけなんじゃないか?
 そんな疑問がわいた時、お仕置きに不思議な憧れを抱くように
なったんだ。

 愛情って、生の気持をぶつけ合って生まれるもんだと思うんだ。
 子供が悪さしたら大人は怒るよね。そしてそれをやめさせよう
としてお仕置きするよね。それは教育とかじゃなくて人間として
の生の気持だよね。

 僕は人間関係で大事なことは美辞麗句や理屈よりその生の気持
だと思うんだよ。だから、所詮は他人でしかない教育評論家と称
する人たちが、物知り顔で、お為ごかしに、お仕置きのことを、
『あんなものは百害あって一利なし』みたいに否定する姿を見て
いるとね、どうにも違和感を禁じえないんだ。

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tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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