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初めてのお仕置き<2>

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 §2 お尻叩き

 私はお義母様(おかあさま)から身なりを整えてもらいます。
 
 まだ少し放心状態の私に任せていたらいつまでかかるか分から
ないと思われたのでしょう。てきぱきと体操服が脱がされ、通学
の時によく着る白いレースのブラウスと丈の短いフリルスカート
が次の衣装です。

 丁寧に櫛を通して髪がセットされ、涙に濡れて腫れぼったい顔
も蒸しタオルが消し去ってくれました。

 そこにはお浣腸の時の修羅場はどこにもありません。
 お義父様の書斎へ行く前、お義母様が私を普段の恵子に戻して
くれたのでした。

 それだけではありません。お義父様の処へ行った時のご挨拶を
この場で予行演習させられたのです。

 「いいこと、お父様の前に出たら……まず足元に膝まづいて、
両手を胸の前に組むの。清美もやってたら見て覚えてるでしょう。
……ここで、やってごらんなさい」

 私はお義母様の足元に膝まづくと、ゆっくりと両手を胸の前で
組みます。

 「……(え~~と、何て言うんだっけ)……」
 清美さんはもの凄く真剣に何か懺悔してたみたいですが、言葉
は思い出せません。仕方がないのであたりをキョロキョロしだす
と……
 仕方ないといった顔でお義母様が教えてくださいました。

 「『お父様、私の不始末に対してお仕置きをお願いします』よ。
人間、自分に関わらないことは覚えないわよね」
 お義母様はすでに笑っておいでです。

 「あ、はい…『お父様、私の不始末に対してお仕置きをお願い
します』」

 「そう、それでいいわ。……自分で『お仕置きをお願いします』
なんてお芝居じみてるけど、男の人って、こういう時代がかった
ことが好きなの。相手が好きな事はやってあげるにこしたことが
ないでしょう」

 「はい……大丈夫です」

 「ただし、お父様の前では今みたいに決して笑っちゃだめよ。
あなた、今、ほほが緩んでた。それじゃ台無しね。こういうもの
は悲しいって顔をして言わなきゃ意味がないの」

 「はい、お義母様」
 私の顔はさらに緩んでしまいました。

 「今日は初めてのことだし、ちゃんとご挨拶できれば、あまり
荒っぽいことはなさらないと思うけど……」
 お義母様はそこでしばし考えてから…
 「それでもお仕置きはお仕置きなんだから、それなりに覚悟は
しておきなさい。あなただって亡くなったお父様からお尻くらい
は叩かれたことあるんでしょう?」

 「……は、はい、平手でなら何回か……」

 「鞭は?竹のものさしとかスリッパなんかでは……?」

 「いいえ」

 「そうね、まだ、幼い時だったからね……鞭は遠慮なさったん
でしょうね」

 「ごめんなさい」
 私は暗い顔をなさったお義母様を見てその場の空気から思わず
謝ってしまいますが……

 「べつにあなたが謝ることではないでしょう。でも、お父様の
ご判断は賢明よ。幼い頃に鞭を使うと疎外感を持つからできれば
避けた方がいいの。家のチビちゃんたちは今でもお父様のお膝の
上でお尻ぺんぺんだけよ。鞭のお仕置きはまだヴァージンなの。
……でも、あなたの場合はもう11歳だし……ひょっとしたら、
決断なさるかもしれないわね」

 「清美さんには私より年下だけど、もう鞭を使っていらっしゃ
いますものね」

 「(はははは)あの子は特別。世間様から見れば凄い事をして
いるように見えるかもしれないけど、あれはあれで、お父さんと
二人してじゃれあってる時間が大半なんだから……」

 「あれで……」
 私は小声でつぶやきます。

 「そう、あれでよ。……あらあら、脅かしちゃったかしら……
そんな深刻な顔しないでちょうだい。あの子は特別なの。お転婆
なくせにお父さんとは仲がいいもんだから、何かやらかしても、
お父さんの前に出るとすぐに甘えぐせがでちゃって……それで、
いつも逆に厳しくされちゃうのよ」

 「お灸とかも……」

 「そう、それもすでにあちこちすえられてるわ。女の子だから、
親としては、できるだけ目立たない処に…とは思ってるんだけど
あの子の場合は手遅れね」
 お義母様は明るく笑います。そして、思い出したように……
 「……そうだ、あなた、お灸は未経験かしらね?」

 「いえ、一度だけ……」

 「そう、気がつかなかったわ。どこ?」

 「お尻です。幼稚園の時、悪さして……」

 「そうなの、でも小さいものでしょう。私、あなたとお風呂に
入ったこと何度かあるけど、気づかなかったもの……うちはね、
チビちゃんたちも含めてすでに全員が経験者よ。本当は痕が残る
から、できたらやりたくはないんだけど、他のお仕置きと比べて
も効果が絶大なもんだから……親はついつい頼っちゃうのよ」

 「そうなんですか」

 「あなたも親の立場になってみればわかるわ。でも、大丈夫よ。
お義父様の逆鱗に触れるようなことになっても、痕の残るような
艾はつかわないように頼んであげるわ」

 「……(なんだ、やめるように頼んではくれないのか)……」
 私は図々しいことを思います。

 「安心した?」
 お義母様はそう言ってすぐに私の顔色に気づきます。
 「……あら、どうしたのそのお顔は…『母親だったらどうして
やめるように頼んでくれないんだろう』ってお顔かしら?」

 「いえ、違います」
 私は慌てて否定しましたが、図星でした。

 「今日は初めての本格的なお仕置きだから、『家のお仕置きは
こんなですよ』『こんな怖い事もしますよ』『こんな恥ずかしい
事だってありますよ』というお披露目なの。だから、一通り全部
やらされるとは思うんだけど、本格的なのは、『お尻ペンペン』
くらいで、鞭やお灸なんかは、この次だわね」

 「……(簡単に言わないでください)……」
 私はお義母様があまりにあっさりおっしゃるので心の中だけで
ちょっぴりすねます。
 すると……

 「そんな深刻な顔しないでちょうだい。大丈夫よ。ああ見えて、
お父さんって、女の子には優しいの。そもそも暴走するような人
じゃないわ……さあ、もう行きましょう。お待ちかねよ」

 「……はい」
 私は心なしか元気を取り戻して出発します。


 二人は長い廊下を通り抜け、お義父様の書斎が見える中庭へ。

 赤い三角屋根の書斎が目に飛び込んで来ると思わず足を止めて
しまいましたが、その後は中庭の石畳をお義母様に肩を抱かれる
ようにして歩き、ようやく『麒麟堂』という額まであがっている
いかめしい黒塗りの玄関ドアの前に立ちます。

 お義父様の書斎は一部屋というのではありません。一戸建住宅
のように独立したもので、当然、玄関と呼べるものがありました。
 そこで……

 「いいこと、中に入ったらまず最初に悲しい顔で膝まづいて、
『お父様、私の不始末に対してお仕置きをお願いします』って、
懺悔よ。……いいこと、笑っちゃだめよ」
 私は耳元でお義母様から最後のレクチャーを受けたのでした。

 私達は玄関で靴を脱ぎ、スリッパに履き替えて書斎のドアの前
まで来ます。ここまで来れたのも、お義母様の付き添いがあった
から。私一人だったら逃げ出していたいたかもしれません。
 お仕置きのために書斎を訪れるって、そのくらい怖い事だった
んです。

 私は一つ大きく深呼吸すると、体中の勇気を振り絞ってドアを
叩きます。
 「コン、コン」

 「どうぞ、入りなさい」
 それはいつもと変わらない穏やかなお義父様の声でした。

 「失礼します」
 恐る恐るドアノブに手をかけると、古い蔵書のカビ臭い匂いが
まず鼻を突きます。

 「うっ!」
 私は思わず顔を背けます。
 何度かお邪魔していますから部屋の中の様子は知っているはず
なのに、ここへ来るたびに同じことをしてしまうのでした。

 厚い絨毯の上には、玄関にあったものとは別のスリッパが用意
されていて、その中の小ぶりなものに足を滑り込ませると、遠く
逆光の中で声がします。

 「待ってたよ。さあ、入って」

 びっくりするほど広い部屋ではありませんが、子供の私には、
その部屋は広くて、暗くて……お義父様がお仕事をなさっている
処にだけ窓があってそこだけ明るいのです。でも、そこまでは、
なぜかとても遠く感じられたのでした。

 お義父様は、この時、窓辺の事務机で何か書き物をされていた
ご様子でしたが、すぐに立ってソファの方へ移ります。

 「こっちへいらっしゃい」

 私はお義父様の声に引っ張られるように歩き出しはしましたが、
天井までも届く大きな本棚を右左と見ながらゆっくりと進みます。
 お義父様のご本に興味なんかありませんが、とにかく怖かった
からまっすぐお義父様の方を向けないのです。

 どんなにやさしい声でも、お義父様はお義父様。自分より遥か
に体が大きくて、遥かに力の強い男の人です。そして、何より、
11歳の少女にとっては、自分よりはるかに偉い人です。
 そんな偉い人から、今まさに叱られようとしているのですから、
その顔を直視する勇気がなかったとしても不思議ではありません。

 これは私と実の父との関係もそうでしたし、清美さんだって、
そこは同じはずでした。普段はどんなに仲良しな親子でも、父親
が一旦怖い顔をみせると、娘たちはたちまち唇を震えさせて怯え
ます。

 そのあたりは今のフレンドリーな父親とは大きく違っていたの
でした。

 私はお義父様と視線を合わさないように進み、すでにソファで
腰を下ろして待っていた父親の足元まで辿り着くと、さっそく、
お義母様との約束を果たします。

 どぎまぎしていた私はスリッパも脱がずその場に膝まづいて、
胸の前で両手を組み…とにかく、声を振り絞りました。

 「お父様、私の不始末に対してお仕置きをお願いします」
 と、やったのでした。

 棒読みの台詞はまるで感情なんてこもっていません。
 『こんなんで、反省してるって言えるのか!』
 って、お芝居ならお客さんから物を投げられそうですが…でも、
お義父様は私の気持をわかってくださったみたいで……

 「『ごめんなさい』だね。わかったよ。その作法はお母さんに
習ったの?…………そう……いい子だ。おいで……」
 お父様の両手が目の前にやってきました。

 「…………」
 もし、これが本当のお父さんの手なら、私はすぐに抱きついた
はずです。
 でも、私はその手に逡巡してしまいます。

 『お尻をぶたれるかもしれない』などと、深読みしたからでは
ありません。純粋に怖かったからでした。
 お世話になっている人です。可愛がってもらっている人です。
でも、大きな人です、男の人です、偉い人です……そういう人は
少女にとってはやはり怖い人でした。

 『でも、そんな人の誘いに、女の子はこの床でへたり込んでは
いけない』
 それを教えてくれたのはお義母様でした。

 「あっ!」
 とたんに私の身体が浮きます。

 お義母様の両手が私の両方のわきの下に差し入れたかと思うと、
私の身体は簡単に宙に浮いてしまいます。

 「ほら、お父さんがせっかく抱いてくださるって言うんだから、
そういう時は、ちゃんと抱いてもらわなきゃ。あんたはまだ子供
なの。大人より赤ちゃんの方に近いんだから、嫌々なんかしたら
損するよ」
 お義母様はそう言ってソファでくつろぐお義父様の膝へと私を
運びます。

 「(はははは)」
 顔の引きつったお愛想笑い。
 お義父様と久しぶりに目が合います。でも、どんな顔をしたら
いいのかがわかりません。

 ただ、その優しい声は相変わらずです。

 「私のお膝は嫌かい?」

 「……」
 私は激しく首を振ります。それまで散々避けておいて、今さら
『嫌いじゃありません』とは言いにくいのですが、私はお義父様
が本当に嫌いではありませんでした。
 ただ、実の父のように何でも許せるかというと、そこには当然
問題があったのです。

 「震えてるね。怖いんだ。無理もないよね。『お仕置きするよ』
なんて言って呼んだんだもの。そりゃあ怖いよね」
 お義父様は私の頭を優しく撫でてくれます。

 ただ、その時の私はというと……
 確かに体は震えていたかもしれませんが、すでに覚悟は出来て
いました。もう、こうなってはどうにもなりませんから……
 『どうにでもなれ!』だったのです。

 それより……
 『あっ!お義父様、パジャマ穿いてる』
 って思いました。
 『上はちゃんとセーターなのに……』
 私がお義父様に抱かれて気にしたのは、その服装の事でした。

 今、私を抱きしめているお義父様の上着は、肘あてに軟らかな
駱駝の皮を使った高級なカシミアのセーター。
 でも、下は普段着のパジャマです。
 このアンバランスが、女の子の私には気になったのでした。

 「恵子ちゃん、私は嫌いかい?」
 お義父様が尋ねますから、私は首を横に振ります。

 「ありがとう、私も恵子ちゃんが好きだよ。頭はいいし気立て
はいいし。啓治(私のお父さん)は果報者だな。………でもね、
女の子はお嫁に行くと、そこの家のお姑さんをお義母様お義父様
って呼ばなきゃいけないんだ。赤ちゃんの時からのお父さんだけ
がお父さんじゃないんだ。そのことは知ってるよね?」

 「……はい」

 「女の子はお婿さんは選べても、そのお姑さんまでは選べない。
神様に与えられた場所で、神様から与えられた人達と幸せになる
しかないんだ。そこの人たちを喜ばせてね」

 「…………」

 「ここも同じだよ。私たちは君の為に精一杯の事をしてきた。
これからだって、不満があれば何でも言っていいんだよ。できる
限りのことはしてあげるからね。だから君も、私たちを喜ばして
欲しいんだ。君の精一杯で……でも、君の精一杯って、こんな物
じゃないだろう?」

 「……だから、お仕置きなんだ」
 私は小さな声でつぶやきました。
 抱かれた胸の中では、お義父様がよく吸う葉巻の匂いが残って
います。

 「そうだね、さっきは僕も、お仕置きって言葉を使ったものね。
でも、それって体罰とか折檻って意味じゃなくて、本当は、君を
励ましたいだけなんだ。『恵子ちゃん、頑張れ!』ってね………
言葉だけでは伝わらない事も少し強い刺激が加わると伝わり易く
なるからね、お母さんと相談してやってみようって決めたんだよ」

 お義父様は、ゆっくりとした口調で話し、膝の上に抱いた私の
頭をゆっくりと撫で始めます。

 それは最初の頃、逆に私の緊張を高めていました。
 『いつ、ぶたれるのかしら』
 と、そればかり考えていましたから、そこは居心地の悪い空間
だったのです。

 でも、蒼いセーターに染み付いた高級な葉巻の香りを嗅ぐうち
に、何だか、この膝が安らぎの場になってしまって、私の目蓋を
しだいしだいに重くしていきます。

 「……(眠い)…………」
 お義父様のお話が十一歳の少女には難し過ぎるというのも原因
だったのかもしれません。

 でも、私だって肝心なことだけは分かっていました。

 『今さら無事じゃすまない。お義父様にお付き合いしなきゃ』
 難しいことは分からなくても、これだけわかっていれば女の子
は十分だったのです。

 それだけわかって、私はお義父様のお膝で半分寝てしまいます。
 遠くで大人たちの会話が聞こえてはいるのですが、まるで音楽
を聞き流しているように話の中身に興味はありませんでした。
 お義父様の胸の中で、私はそれほどまでにリラックスしてしま
ったのでした。

 「まあ、肝の据わった子だこと。これからお仕置きされようと
いうのに……あきれたわ」
 お義母様の声が遠くで聞こえます。

 「いいじゃないか、このまま寝かせとこう」
 お義父様はこう言ってくださったのですが……

 「いけません。二人で話し合ったじゃありませんか……それで、
今日は、お尻叩きとお灸と、最後は鞭も経験させようって……」

 「わかってるさ」

 「分かってたら、逃げずにちゃんとやっていただかないと…」

 「別に逃げてはいないよ。ただ、今でなくても、もう少し私に
慣れてからの方がいいかと思って……」

 「いいえ、今じゃなきゃいけないんです。先月、家族で行った
温泉旅行でこの子も私達と一緒にお風呂に入ったじゃありません
か。あなたの布団で一緒に寝たでしょう。それは私たちとの生活
にも慣れてきた証拠ですわ。むしろ、最近では自分一人が家族の
中で浮いてることを気にし始めてるんです。こんな時こそ、あな
たの力が必要なんです。あなたが父親の威厳を示せば、あの子も
自分の居場所がはっきりして、勉強にも実が入るはずですわ」

 「そういうもんか?」

 「そういうものです。あなたに女の子の心を解説しても仕方が
ありませんけど、自分の居場所が定まらなくて不安でいるより、
心置きなく暮らせる家庭があるなら、お仕置きなんてされても、
その方がずっと楽なんですから……」

 「でも、あまり強引なことしたら、泣くんじゃないか?」

 「当たり前じゃないですか。そのためにやってるんですから。
女が泣くのは呼吸してるのと同じ、いちいち気にしてたらきりが
ありませんよ。それに、清美の方はいつも泣かしてるじゃありま
せんか」

 「あれは、昔からの甘えん坊で、私にもなついてるから……」

 「この子だって、それは同じ。あなたにすでになついてます」

 「そうかなあ……」

 お義父様は懐疑的でしたが、お義母様は断言します。
 「私が言うんだから間違いありません。さあ、お願いしますよ。
今日は最初ですから、きつめにやってくださいね。それが何より
この子のためなんですから……」

 お義母様はここまで言うと、すやすや顔の私のほほを軽く指で
叩きます。

 「ほら、おタヌキさん。起きてくださいな。お義父様がやって
くださるそうよ」
 お義母様は目をつぶったままの私に声をかけてきました。

 お義母様にしてみれば、私はタヌキ寝入りを決め込むずるい子
という事になるのでしょうか?
 でも、私だって、今さらここでタヌキ寝入りしたところでどう
にもならない事ぐらい分かっていますから、罰を免れようとして
お義父様のお膝で居眠りしていたわけではありません。

 このお膝が純粋に気持よかったから、うとうとしていただけな
のです。
 ですから、お義母様の、『……今日は最初ですから、きつめに
やってくださいね。……』という言葉だって私の耳にはちゃんと
届いていました。

 「さあ、もう一度、最初からよ。今度は、ご挨拶したらすぐに
お仕置きですからね」
 お義母様は、プロデューサー気取りで指図します。

 そして、二度目のご挨拶。

 「お父様、私の不始末に対してお仕置きをお願いします」

 お義父様の足元に膝まづいた私を、今度はお義父様自身が抱き
かかえて、ご自分の膝の上でうつ伏せにします。

 車に轢かれたヒキガエルみたいにお義父様のお膝の上で身体を
押しつぶされると……
 「これから、『お尻、痛いたい』するけど我慢するんだよ」
 幼い子を諭すようにそう言って、私の丈の短いスカートが跳ね
上がります。

 その時、白い綿のショーツが、お義父様からもお義母様からも
丸見えになったはずでした。

 もし、これが清美さんなら……
 「ごめんなさい!もうしません」
 「いい子になるから、やめてお願い」
 「だめえ、お尻壊れるから~~」
 と、ぶたれる前からこんな調子で大音響が部屋中に響き渡りま
す。

 もちろん身体だってじっとなんてしてません。無駄と分かって
いても、あらん限りの力を振り絞ってジタバタやって、お義父様
お義母様をてこずらせたことでしょう。

 私はそんな妹の様子を思い出して思わず笑ってしまいました。

 いえ、こんなこと、女の子にとっては凄くショックな出来事の
はずですから、最初からこうださったら私だってお義父様のお膝
でジタバタしていたかもしれません。
 でも、お仕置きが間延びしてしまったせいで、私には、今起き
てることにまるで現実感がありませんでした。何だか、みんなで
お芝居をやってるみたいだったのです。

 「パン……パン……パン……パン……パン……パン……パン…」

 やがて、お義父様の平手が私のショーツの上に炸裂します。
 でも、それもそんなに力が入っていませんでした。軽くお尻の
泥をはたくような、そんな感じでしたからから、私も……

 『何だ、大したことないじゃない』
 なんて軽く考えていたんです。

 もちろん、実の父からもお尻を叩かれたことはありましたが、
その時は三つ四つ強烈なのが飛んできて、すぐに大泣き。
 「ごめんなさい」「ごめんなさい」「もうしません」を連呼する
うち、いつの間にか抱っこよしよしされていて、それでおしまい
だったのです。

 ところが、お義父様のお仕置き、お尻ペンペンは、一つ一つの
威力こそ小さいものの、五回が十回、十五回でもやむことはあり
ませんでした。

「パン……パン(あっ)……パン(あ~)……パン(いや)……
パン(だめ)……パン(痛い)……パン(いやあ、痛いよう~)」

 十回を過ぎてほんの少しずつ痛みを感じ始めたお尻の状態は、
回数が重ねるごとに辛くなっていきます。
 十五回を過ぎる頃から、顔が歪み始め、二十回を待たずに私の
口から悲鳴が漏れ始めます。

 「パン」
 「いやだあ~~やめてえ~~~」
 泣き言を言うのは悔しかったけど仕方がありませんでした。

 「パン」
 「いやあ~~痛いよう~~」

 「パン」
 「ア~~~もうしない、もうしない」

 「パン」
 「ごめんなさいもうしません」

 「パン」
 「やめて、やめて、やめて~~~」

 結局、三十回。
 終わった時の私は全身鳥肌で毛穴全開。体中に悪寒が走るなか、
お尻だけが火照っていました。

 お義父様は決して途中で力を込めたりはなさいません。最初も
最後も同じ力だったはずなのですが、二十回を過ぎたあたりから、
私のお尻は地獄を経験します。

 一つぶたれるたびに……
 「もうしません」
 「ごめんなさい」
 「やめて、やめて」
 の連呼。
 とにかく大声で何か叫んでいないと痛くて気が狂いそうでした。

 身体だってそうです。
 お義母様に両手を、いつの間にかやってきていた節さんに両足
を押さえていただかないと、とてもお義父様の膝の上には乗って
いられないくらい手足をジタバタさせるお転婆娘だったのです。

 何の事はない、私もまたお義父様の前で清美さんと同じ醜態を
晒すことになったのでした。


 「よしよし、よく頑張ったね。偉いよ。よ~く我慢したもの」
 お義父様は私を膝の上に抱いて慰めてくれます。

 『それにしても、お義父様のお胸はなんて心地いいんだろう』
 私は泣きながら、心ひそかにお義父様の胸の感触を楽しみます。
 火照ったお尻がお義父様のお膝に触れて少し痛いけど、それは
私にとっては幸せな時間でした。

 少し落ち着いてから、お義母様が赤ちゃんみたいにお義父様に
抱きついている私の顔を覗きこんで尋ねます。
 「どうかしら?ペンペンされたお尻は?……落ち着いた?」

 「はい」
 私はお義父様の膝に抱かれて、べそをかいて答えるしかありま
せんでした。

 「あなたは、清美のお尻ペンペンを見てて、このくらいの事で
ジタバタしてみっともないと思ってたみたいだけど……お尻ペン
ペンも結構大変なのがわかったでしょう。これが中学になったら、
五十回、七十回って引き受けなければならないの。………でも、
そのたびにお漏らしじゃ。お父様も大変だわ」

 私は、最初、お義母様の言葉の意味がわかりませんでしたが、
そのうち、自分のショーツが濡れていることに気づきます。
 そこで、恐る恐るそうっと下の方を確認すると……私のシミは
お義父様のパジャマにまで……

 「……(お義父様、それでパジャマ穿いてたんだわ)……」
 私は恥ずかしくてお義父様の胸の中へ顔を隠してしまいます。

 「よし、よし、いい子、いい子」
 お義父様は私がその事に気づいたのを承知で、それでも濡れた
パジャマのまま、謝りもしない私を抱いてくださったのです。

 「……(甘えすぎかなあ)……」
 でも、女の子にとってこんな幸せがあるでしょうか。
 この時の私はもう完全に幼女の昔に戻っていました。


******************(2)******

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このブログについて

tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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