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初めてのお仕置き<3>

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 §3 お灸


 お義父様はお尻叩きの終わった私の両脇を持ち上げて高い高い
したり、頬ずりしたり、くすぐりっこしたり、まるで幼女のよう
にスキンシップします。

 すると、まだ子供だったんでしょうね。お尻叩きのお仕置きの
直後ですが、それによってお義父様が嫌いになったわけではあり
ませんから、それにはたっぷりの笑顔をお義父様にサービスして
お付き合いしたのでした。

 「さあさあ、いつまで甘えてるの。そんなに抱っこして欲しい
なら私が隣りの仏間でたっぷりやってあげるわよ」

 お義母様にこう言われて、私の心臓がその瞬間「ドキッ!」と、
特別な脈を打ちます。
 反応したのは、『仏間』という言葉でした。

 今は仏間のある家も少なくなりましたが、昔は仏様やご先祖様
を祀る部屋が必ずあって、その仏壇の引き出しにはこれまた必ず
艾が常備されていました。

 そう、反応したのは仏間から連想されるお灸のお仕置きです。

 昔の子供にとって『仏間』という言葉は『お灸のお仕置き』と
同義語みたいにして脳裏にインプットされていましたから『仏間』
と聞いただけで反応する子も少なくありませんでした。

 この建物はもともとお義父様のおばあさまにあたる方が隠居所
として使っておられたので隣りには立派な仏間があります。実際、
その部屋で清美さんがお灸がすえられたのも一度や二度ではあり
ませんでした。

 私たち子供にとって仏間へ連れて行かれるということはお灸を
すえられることを意味します。ですから……

 「さあ、恵子ちゃん、仏間へ行ってパンツをとり替えますよ」
 とお義母様に言われても、私の耳には……
 『さあ、恵子ちゃん、仏間へ行ってお灸をすえますよ』
 としか聞こえなかったのでした。


 楽しい時間は長続きはしないものです。
 私はお義父様のお膝を降りると、渋々お義母様のもとへ……

 すると、お義父様が……
 「私も行くのかい?」
 と言いますから……

 「何、おっしゃってるですか、今さら……普段の事なら私でも
やってしまいますけど、今日はこの子にとって初めてのお仕置き
なんですよ。『私はここの家の娘になったんだ』って実感させる
大事な日なんです。一家の主人であるあなたがやらなきゃ示しが
つかないじゃありませんか」

 お義母様のボルテージはあがります。
 お義父様はそれに呑まれたみたいでした。

 「あなたはここでパジャマを着替えて、10分くらいしたら、
隣の部屋へ来てください。それまでに全てこちらで用意しておき
ますから」

 お義母様は私の手を引くと、鼻息荒く部屋を出ます。

 一見すると、男の強い時代ですから逆のように感じられるかも
しれませんが、実際は、多くの家で父親より母親の方が女の子の
お仕置きには積極的だったのです。

 生理の違う男性は女の子が泣けば嘘泣きでもすぐに真に受けて
『可哀想、可哀想』ってしてくれますが、同性である母親は自分
も同じ経験をしてきていますから、そうは簡単には騙されません。
 娘が何を考えているのか、男性よりはるかによくわかるんです。
ですから、腹黒い娘の言動に怒りがこみ上げることも多くて……

 『お父様が帰ったらお仕置きします』
 なんて、お父さんを持ち出しては脅しをかけてきます。これは
実の母もお義母様も同じでした。

 ただそのためには、娘にとってお父さんという存在が怖くなく
ては意味がありませんから、何か理由のある時に、母親がこんな
怖いお仕置きを企てるのでした。

 一方、お父さんはというと、『娘を厳しく躾けなければ……』
なんて考える人はむしろ稀で、大半の人はただただ娘が抱きたく
て仕方がないみたいでした。

 ただ、そんな大人たちのからくりに私が気づくのはもっと成長
してからのこと。
 11歳のこの時は、お父さんもお母さんも…いえいえ、大人は
皆『大きくて』『強くて』『偉い人』だと思い込んでいました。

 仏間に入るなり、そんな偉い人の一人であるお義母様から…
 「これに着替えて……」
 って、またも体操服を渡されます。

 もちろん、濡れたパンツももちろんお取替え。女同士ですから
着替えそのものに問題はないのですが……
 やはり気になるのは、節さんが私たちのそばで準備している艾
やお線香の匂い。

 『いやだなあ』
 節さんを恨んでも仕方ありませんが、明るい顔の節さんを見る
と、憎しみがこみ上げてきます。
 幼い頃に一度でも経験したことのある人はたいていこの匂いに
トラウマを持っていますから敏感です。

 私はまだ何もされていないのに、涙が溢れてきてこぼれそうに
なっています。
 立っているだけでまたオシッコを漏らしそうです。
 実の母にこれをやられたのははるか昔の幼稚園時代。
 あれから六年も過ぎているのに、恐怖の記憶は決して色あせる
ことなく、まるで昨日のことのように思い出すことができるので
した。

 そんな私に気づいたのでしょう。お義母様が声をかけます。
 「どうしたの?…怖いの?……怖くないって言ったら嘘よね。
私だって、母から何度もやられたのよ。お風呂に一緒に入った時、
あなたも私の背中見たでしょう。あれって一回や二回じゃあんな
にならないのよ」

 『えっ!あれって……そうなんだ』
 私は声を出さずに驚きます。
 確かに一緒にお風呂に入った時それを見かけたのは事実です。
でも、それはあまりに見事な灸痕でしたから、きっと別の何かだ
と思っていたのです。
 それに比べれば、私の火傷の痕なんてちっぽけなもの。近くに
顔を近づけなければ見えないほどでした。

 「どうしたの?今頃驚いてるの?……昔は保険制度がなくて、
お医者様の治療費がとっても高かったから、僻地に住んでいたり
貧しかったりするとそうたびたびお医者様にかかれないでしょう。
自分たちで何とか治療しようとしてこうなったの。べつにこれが
全部お仕置きでついた訳じゃないのよ」

 「…………」
 私は少し胸をなでおろします。

 「何だ、安心しちゃった?……自分も、あんな風ににされるん
じゃないかと思ったのね。……大丈夫よ。昔は毎日のようにすえ
られる子もいたけど、今は『お医者様と旦那様以外にお尻は見せ
ない』なんて時代じゃないもの。ビキニの水着だって、ちゃんと
着れるわ。……それにね、そうたびたびやっていたら、慣っこに
なってしまって、お仕置きの効果が薄れるでしょう。……だから、
お灸のお仕置きはここぞと言う時だけのとっておきなの。………
分かったかしら?」

 お義母様はこう言っておいて私の顎を二本の指で持ち上げます。

 「……ただし、今日がその『ここぞという時』なのよ……」

 お義母様は不安げな眼差しの私の顔を覗き込んで微笑みます。
 すると、女の直感でしょうか。背筋が寒くなります。
 『この子、まだお灸でいけそうね』
 ひょっとしたらそんな事を思ったのかもしれません。
 お義母様に見つめられると、なぜか白雪姫の継母のイメージが
だぶるのでした。

 「大丈夫よ。ほかの子もみんなやってきたことだもん。あなた
だけ耐えられないなんてことはないわ」
 こう言われれば……

 「はい」
 こう答えるしかありません。

 そうこうするうち……
 「もう、いつでもいいですよ」
 という節さんの声。準備はすっかり整ったみたいでした。


 私が節さんの声の方を振り向くと……そこには子供用の小さな
敷布団が敷かれ、傍らには仏壇から拝借したお線香や線香たて、
マッチなどと共にお盆の上に金平糖ほどの小さな艾が十個ほど、
三角錐の形に綺麗に整えて並べてあったのです。

 そのお盆をお義母様に見せながら節さんが尋ねます。
 「奥様、大きさとしてはこのようなものでよろしいでしょうか」

 「ええ、けっこうよ。このくらいの年恰好の子にはそんなもの
でちょうどいいわ。……あと、主人を呼んできてちょうだい」

 お義母様は艾の大きさを納得して、節さんがお義父様を呼びに
行かせます。いよいよ私へのお灸が始まるのでした。

 「恵子さん、ここでもご挨拶がありますよ。ちゃんと正座して、
両手を着いて、頭を下げるの」
 お義母さんは畳の上でのお辞儀の仕方を教えてくださいます。
 「言葉は同じ。『私の不始末にお灸のお仕置きをお願いします』
って、これだけでいいわ」

 たしかに子供の方から『お仕置きをお願いします』だなんて、
変かもしれませんが、これは我が家では大事な儀式でした。
 もし、拒否すると別のお仕置きが追加されますから、子供達に
してみれば否応なしだったんです。


 緊張した空気の中、お義父様が部屋に現れます。
 いつものようににこやかな表情。まるで、ここで何が行われる
のかを知らないようなやさしい笑顔でした。

 そう言えば、私、このお義父様が怒った顔をしたのをほとんど
見た事がありません。いつでしたか……

 「私はこのお家で一番偉い人だから、私が怒ってしまったら、
子供たちの逃げ場がなくなるでしょう。それはお仕置きより辛い
ことだからね。なるだけ怒らないようにしてるんだ。…お父さん
だって子供たちを叱りたい時はあるんだよ。だけど、そういう時
はね………たいてい『お母さんに頼むんだよ』」
 私を抱き上げて、嬉しそうにこうおっしゃっていました。
 最後の言葉は小声で耳元で内緒話をするように……

 もともと、我が家のお仕置きは、お義父様やお義母様が激情に
駆られて子どもを折檻するというケースはほとんどありません。
約束事を守らない子が約束に従って罰を受ける。大半がそんな形
のものだったのです。

 さて、話を戻しましょう。

 正座した私の前にお義父様とお義母様が並んで正座します。
 もちろんこれは私がご挨拶するのを期待してのことですから、
私はその期待に応えなければなりませんでした。

 「『私の不始末にお灸のお仕置きをお願いします』」

 私は三つ指をついてお仕置きをお願いします。
 すると、お二人は顔を見合わせてお互い微笑んでいらっしゃい
ましたが、そのうちお義父様の方が……

 「頼まれてしまいましたね。それでは仕方がないので、やって
あげますか」
 少し悪戯っぽい笑顔で立ち上がります。
 そして、まだ座っていたお義母様に向って……

 「どうします?私が最初に押さえましょうか?」
 と尋ねますから、お義母様も……

 「そうですね。最初の方がきついですから、お父さん、やって
いただけますか」
 こう言って、立ち上がったのでした。

 話が決まったみたいなので、『私はどうすればいいのかしら』
と思って、お義父様の姿を探して後ろを振り向こうとしたまさに
その時です。
 何の前触れもなく、私は背後から襲われます。

 「いやぁ!!」
 悲鳴は不可抗力です。

 後ろから私の両脇に両手を入れてきたお義父様が、私の両方の
太股を鷲掴みにして抱き抱えます。

 「えっ!」
 驚きと同時に私の身体がたちまち宙に浮き上がります。

 「…………おとうさま!」

 後ろを振り返ってお顔を確認しましたから驚きは一瞬ですが、
心臓が止まるほどの衝撃を受けました。
 おまけに、その格好は幼児がおトイレをする時にやってもらう
のと同じ姿なのですから、恥ずかしくて仕方がありませんでした。

 そんな私の気持を知ってか知らずかお義父様はその格好のまま、

 「ブ~~ン」

 飛行機のつもりでしょうか、部屋を一周してから敷かれていた
子供用の布団の上に胡坐をかいて座ったのです。
 そして、その胡坐の中に私を置いて、こんな事を言うのでした。

 「これからお灸をすえるけど、それがすんだら、私のことは、
『おとうさん』だ。『さま』を付けちゃいけない。お義母様も、
これからは『おかあさん』だよ」

 「???」
 私はその意味がわかりませんでした。私は、よかれと思って、
『お義父様』『お義母様』と呼んでいたのですから。
 でも……

 「『様』ってつけるのは丁寧でいいのかもしれないけど、それ
って『本当のお父さんお母さんとは別の人』って意味で使われて
るみたいで余所余所しく響くからね。私も、お母さんも、そんな
呼ばれ方、本当は好きじゃないんだ。私たちはね、恵子ちゃんの
本当の『お父さん』『お母さん』でいたいから、私たちのことは
『おとうさん』『おかあさん』って呼んでほしいいんだ。………
いいかい?」

 「はい、おとうさま…いえ、お父さん」
 私は痛いところをつかれました。
 亡くなった両親とお二人を分けて呼びたいという思いが私の心
の中にあったのはたしかなのですから。

 「これから、お灸をすえるとね、君の身体には火傷の痕が残る。
それは小さいけど生涯消えないから、君はこれから先、私たちを
ずっと恨み続けるかもしれないけど…その傷は、私とお母さんが
背負い続ける十字架でもあるからね。私たちが、君を本当の娘と
して生涯守り続けるという証でもあるんだ」

 「…(えっ!うそ!この傷って消えないの?嫌だそんなの)…」

 私は、この時、お義父様から何か凄いことを言われているとは
思っていたのですが、11歳の馬鹿娘に理解できたのは……これ
からお義父様の事は『おとうさん』お義母様の事は『おかあさん』
と呼ばなければならないという事とこの傷が生涯消えないという
こと。この二点だったのです。

 「これからは、甘えん坊するのも、お仕置きで泣くのも、私と
お母さんの二人だけだ。私たち二人だけが、この世で唯一の君の
お父さん、お母さんなんだからね」

 「……(そんなこと言ったって、本当のお父さんとお母さんを
忘れられないよ)……」
 私はそう思いましたが、女の子の世界というは、何事によらず
融通とお付き合いの世界ですから、後先考えず、あっさりとこう
言ったのです。

 「はい、おとうさん」

 「ありがとう。これからはずっとそう呼んでくださいね」
 私はお父さんの満足そうな顔を見るとほっとします。
 そして…

 「お母さんもいるよ。……これからは、お義母様じゃなくて、
『おかあさん』だ」

 「はい、おかあさん」

 すると、お母さんも笑顔で……
 私はこれで八方丸く収まったと思って安堵したのですが、当然
のことながらこれからが大変だったのです。

 「それでは始めましょうか。……まず、あんよを前に出して」

 お母さんの指示に従ってお父さんの胡坐の中でも正座していた
足を投げ出すと、お父さんがいきなり私の上半身を羽交い絞めに
してお母さんがブルマーとショーツを太股へ引きずり降ろします。

 「(あっ)」
 両親のあまりの早業に私は声をたてる暇さえありませんでした。

 「(あっ)」
 今度は、いきなりお母さんが私の身体を裏返しにします。
 私は、『お尻が危ない』と思いましたが、そうではありません。

 「ああ、これね。あなたが、昔、すえられたっていうのは……」
 お母さんは、かつて実母にすえられた灸痕を確認したかったの
です。

 そして、そこを指で何度もなでなですると……

 「ここは、残しておきましょうね」
 そう言って、再び私の身体をひっくり返します。

 当然、私のお臍の下は、二人に丸見え。割れ目だってくっきり
見えていますが……

 「…………」
 でも、私にはどうすることもできませんでした。泣くことも、
笑うことも、ひょっとしたら驚いた表情さえしていなかったかも
しれません。
 ただ、ただ、成り行きを見守るしかない。この時はそんな感じ
だったのです。

 昔の事ですから、お灸を子供のお仕置きに取り入れている家は
何も私の処だけではありません。身体検査の日には、女の子でも
お灸の痕が見られる子が何人もいました。
 ただ、うちはここからが厳しかったのです。

 お母さんは脱脂綿に消毒用アルコールを含ませると、私のお臍
の下の膨らみを丹念に拭き清めます。

 「あっ……」
 思わず声が漏れました。

 これって直接的なお仕置きではありませんが、そこを拭き取る
事で『お灸をすえるのはここですよ』と宣言されてるようなもの
ですし、子どもは体温が高いので大人以上にアルコールを塗られ
た処がスースーします。

 おかげで、まだ艾も乗せられていないというのに緊張感だけは
MAXで、私は思わず起き上がろうと上半身に力を込めましたが、
そこはお父さんの太い腕が羽交い絞めにして押さえ込んでいます
から、それこそピクリともしませんでした。

 この時、上半身はお父さん。腰の辺りはお母さん。足首もすで
に節さんによって抑えられていましたから、私の体は大人三人に
よってどのみちどうにもならないほど完璧に押さえこまれていた
のでした。

 「あなたも、清美のお灸を見学したことがあるから知ってるで
しょうけど、我が家ではお灸のお仕置きの時は懺悔をする決まり
なの。私の言う通り、懺悔するのよ…………」

 「………………」
 私はおかあさんに言われて、頷いてみせましたが……

 「なあに、その横柄なお返事は…ちゃんと『はい、おかあさん』
って言えないのかしら?」

 お母さんに睨まれましたから、慌てて……
 「はい、おかあさん」

 「でしょう。わかってるじゃない。だったら、そんな横柄な事
しないの。そんな事してると、ここへ乗せる艾の数が増えますよ」

 お母さんは私のお臍の下、もうすぐ下草がはえ始める膨らみを
指でじらすようになで続けています。
 それは、お灸をすえられる子供にとってはくすぐったくて怖い
出来事だったのです。

 「『私は、1学期、怠けていて、お父さんお母さんをがっかり
させるような成績を取ってしまいました』…………言ってごらん
なさい」

 「私は、1学期、怠けてお父さんをがっかりさせる……」

 「お父さんだけじゃなくお母さんもよ」

 「あっ……お母さんをがっかり……」

 「最初からよ」

 「私は、1学期、怠けていて、お父さんやお母さんをがっかり
させるような成績を取ってしまいました」

 「『二度とこんな事が起きないように、沢山お灸のお仕置きを
して、私が目が醒めるようにしてください』」

 「沢山お灸のお仕置きをして……」

 「『二度とこんな事がおきないように』が抜けたわよ」

 「……二度とこんな事が起きないように、沢山お灸のお仕置き
をして…………」

 「『私が目が醒めるようにしてください』」

 「私が目が醒めるようにしてください」

 「『お願いします』」

 「お願いします」

 私はようようのことで、おかあさんからの口移しの懺悔を言い
終えます。

 すると、おかあさんはすでにべそをかいてる私の顔を刺すよう
な鋭い視線で睨みつけると、節さんが用意してくれた艾の一つを
指で摘んで、私のお臍の下の膨らみに乗せます。

 「(あっ!!!)」
 私はもうこの時点で、身体じゅうに震えがきていました。
 もちろん寒かったからではありません。怖かったからなんです。

 最初の艾は、身体の中心線、蟻の門渡りと呼ばれる場所に置か
れます。
 そして、すでにお線香立てで煙を立てていたお線香を一本摘み
上げると…吐息で灰を落とし、火のついた赤い部分をさらに赤く
してから艾の小山に移しかえます。

 「(あっ!!!)」

 艾のお山は頂上が一瞬赤くなり、それがすぐに黒くなって消え
たように見えますが、火の手はお山の中を通って、やがて私の肌
に食いつきます。

 「いやあ~~~~」

 柔肌を直接焼かれるわけですから、そりゃあ熱いです。
 いえ、熱いというよりむしろ痛いと言うべきかもしれません。
錐で揉まれているような強烈な痛みが10秒ほど続きます。

 「ひぃ~~~~~」
 たった10秒。でも、それは強烈な10秒でした。

 「どう、少しは応えたかしら?……でも、一つじゃわからない
わね。……もう一ついきますよ」

 お母さんはすでに嗚咽でひくひくやっている私の事など眼中に
ないとばかり、二つ目の艾を一つ目の右横に置きました。

 やり方はさっきと同じです。やはり、お線香を一度吐息で吹い
て熾(おこ)してから…………

 「いやあ~~~~もうしません。もうしません。……」

 私は無駄な泣き言を繰り返しましたが……

 「そうよ、もう二度とこんな恥ずかしい成績取らないで頂戴。
でも、そのためには、今の惨めな自分をよ~~く覚えといてもら
わないと……そのためには、二つじゃ足りないわね」

 お母さんはさう言って三つ目を最初の灸痕の左横に置きました。
 あとは同じです。

 「いやあ~~~~ごめんなさい。悪い子でした。もうしません。
許して、許して、許して、ごめんなさい。ごめんなさい。……」

 私は最初こんな惨めな雄たけびをあげるつもりはありませんで
した。我慢できると思っていたのです。でも、もうこれは自然に
そうなったといった感じで、自分の決心とは関係なく、途中から
は『ごめんなさい』の連呼になったのでした。

 そして、四つ目。元に戻って最初の灸痕の処でもう一度です。

 「いやあ~~~~もうしないで、ごめんなさい。悪い子でした。
もうしません。許して、許して、ごめんなさい。ごめんなさい…」

 結局、お母さんが四つ。
 選手交代で、今度はお父さんからもお母さんがすえたすぐ下に
四つ。同じ要領ですえられます。

 二人で合計八回。
 私は艾に火がつけられるたびに『ごめんなさい』を連発。七転
八倒の火炎地獄を経験するはめになるのでした。


 最後に…
 「あらあら、あなたってよっぽどおしもにしまりがないのね」
 お母さんの声が遠くで聞こえていましたが、もうその時は何も
する気力がありませんでした。

 普通なら恥ずかしさのあまり両手で顔を被うところでしょうが、
そんな事さえもせず、私はただぼんやりと天井を見つめるだけで
した。

 「よく頑張ったね」
 お父さんが私の頭を撫でて微笑み、お母さんが濡れたショーツ
を取り替えます。
 されるがままの赤ちゃん状態ですが、その時はそれが不思議と
楽しいと感じてしまうのでした。

*****************(3)******

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このブログについて

tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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