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初めてのお仕置き<4>

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 §4 鞭

 「お灸のお仕置きありがとうございました」
 正座する両親を前に私も正座してご挨拶。

 心の中はちっともありがたくないんですが、とにかく、やらな
ければお仕置きは終わりませんから仕方がありません。清美さん
もその下の双子のチビちゃんたちも、この家の子どもなら全員が
お仕置きの時にやらされる儀式でした。

 「はい、これからはいい子になりましょうね」
 お母さんのこの一言があって、やっと一息です。

 お灸のお仕置きのあとは、すえられた場所に軟膏を塗ってもら
い、またまた白いブラウス、紺のプリーツスカートに着替えます。
思えば、お仕置きのたびに着せ替えられて、この時の私は両親の
着せ替え人形でした。

 でも、大切なお人形ですからそこは大事にはしてもらえます。
お仕置きが終わった私は、しばらくの間、両親から代わる代わる
にだっこされて過ごします。

 「ほら、高い、高い」
 お父さんは相変わらず幼稚園児ののように私を扱います。
 もうそんな事されても素直に喜べない歳になっていましたが、
お仕置きから開放された安堵感からでしょうか、この時はなぜか
素直に笑顔がでます。まだ、ちょっぴりぎこちないですが、他の
子供たちと同じようにお父さんにもお母さんにも甘える事ができ
たのでした。

 すると、その抱っこの中で二人は意外なことを私に打ち明けて
くれたのでした。

 両親は私の扱いについて、最近まで悩んでいたそうなんです。

 歳もすでに11歳。他人に気を使うおませな女の子ですから、
今さら清美のように子ども扱いするより、このまま自立した少女
として育てた方がいいんじゃないかと当初は考えていたんだそう
です。
 けれど、私の成績が下がり始めたことで……

 「しっかりしてるように見えても、やはり、子供は子供だよ。
とにかく、一度、身も心も私たちが抱いて育ててやらないと……
このまま思春期に入ったらもっと大変なことになるんじゃないか」
 って、お父さんが心配したことから、このお仕置きが決まった
そうなんです。

 ところが、いざやろうという段になったら、お父さんが逃げ腰
になっちゃって、それをお母さんは「ずるい」って怒ってました。

 「でも、こうして、お仕置きも無事すんだことで、一安心だわ。
ほら、この子の目、私に甘えてるもの」
 お母さんが私を赤ちゃんのように抱いて嬉しそうに言います。

 「本当かい?そんなふうには見えないけどなあ」
 お父さんは懐疑的ですが、お母さんには確信があるようでした。

 「恵子ちゃん、あなたもいずれはお母さんになる身だから覚え
ておきなさい。どんなに厳しいお仕置きにもしっかりついてきて、
終わると、すぐに甘えられるのが本当の親子なの。あなたはそれ
に合格したの。だから、これで名実共に、あなたは清美と何一つ
変わらないこの家の娘になったのよ。あとは、たくさん甘えて、
……たんさんお仕置きをされて、……また、たんさん甘えて……
を繰り返すだけ。子どもの生活はその繰り返しだもの。それが、
何より幸せな子どもの生活だし、そうやって大人になっていくも
のなのよ。お仕置きを経験しない子は、羅針盤を積み込まないで
船出するのと同じ。幸せな航海はできないわ」

 お母さんのこんな言葉が今でも記憶に残っています。


 私とお父さん、お母さんとのじゃれあいは、その後小一時間も
続いたでしょうか。その間、お父さんは私を肩車したり、さっき
やった飛行機でお庭を走り回ってくれましたし、お母さんとは、
次の発表会で着るドレスの品定めなんかをして過ごします。

 実は経験としては前にも同じような事をした記憶があります。
 ですが、その時はまだ心が開放されてなくて、こんな晴れやか
な気持にはなれませんでした。

 今は……
 とっても厳しいお仕置きがあって、無理やり「私たちがあなた
のお父さんとお母さんです」というのを承認させられて……私は
それに何も言えなくて……
 悪い言い方をすれば、この時の私って、お父さんお母さんから
手篭めにあった娘みたいなものなんです。
 でも、そうやって自分の居場所が定まると、不思議な事ですが、
全てのことが吹っ切れて『こんなにも幸せなんだ』と感じる事が
出来るようになったのでした。


 ですが、楽しい時間というのは永遠には続きません。
 突然、お母さんとお父さんがこんな事を言い出したのです。

 「あなた、今日から始めるんでしょう」

 「そうだな、早い方がいいだろうから、今から始めようか」

 「鞭は……ケインになさいますか、それともトォーズの方が」

 「いや、一通り全部持ち込んでくれ、この子は初めてだから、
どれが合うかもまだ分からないから、一通り全部試してみよう。
あ、それから眠気覚ましのローソクは忘れないように……」

 「わかってますよ。大箱で用意しましたから大丈夫ですわ」

 いきなり始めた二人の会話が具体的に何を言っているのか私に
はわかりませんでしたが、それが私のお仕置きに使われるんだと
いうことだけははっきりとわかりましたから、私の顔はたちまち
青くなります。

 『どうしてよう。お仕置きはすんだはずでしょう』

 私の不安な顔に気づいたのでしょう。お母さんが……

 「これから、お父さんがあなたの為に勉強をみてくださる事に
なったの。三箇所もあった講演を全部キャンセルして、あなたに
つきあってくださるんだから、あなたも気を引きしめて頑張って
頂戴ね」

 「一日に三箇所も?」

 「一日って?……何言ってるの、一日であなたが元に戻るはず
ないでしょう。あなたの面倒をみる二週間で三箇所よ」

 「二!?……二週間も……(聞いてないわよ。そんなこと)」

 「その間は、あなたもお父さんと一緒にここで寝泊りするのよ」

 「えっ、私、ここで寝るの?」

 「そうよ。お父さんと一緒のお布団よ」

 「おとうさんと一緒!?」

 「そうよ、親子なんですもの。べつに問題ないでしょう」

 お母さんは簡単に片付けますが、思春期の入口に差し掛かった
娘としては、それは大いに問題です。

 『実の父親だって今なら一緒のお布団なんて無理だと思うのに』

 「嫌なの?」
 私の曇った顔を見て、お母さんが尋ねます。

 「えっ……」
 私は下を向いてしまいました。

 普段だったら『嫌です』ってきっぱり言えてたかも知れません。
でも、たった今、本当のお父さんになったばかりの人の願いを、
今度は『嫌です!』とは言いにくかったのでした。

 「やってあげなさいな。お父さん、あなたのために講演を全部
キャンセルして、一週間も前から下調べなさってたわ。……私が
『そんなことなさるより家庭教師を雇った方が安上がりだと思い
ますけど…』って申し上げたら、怖い顔なさって、『馬鹿、お金
の問題じゃない。目の前で娘が崖から落ちそうになっているのに
他人を頼んでどうするんだ。責任のない他人に任せられる話じゃ
ないだろう』ですって……久しぶりにお父さんの怖い顔を見たわ」

 お母さんがお父さんをプッシュします。
 すると、そばで聞いていたお父さんが乗り出してきて……

 「どうしても、嫌だったらそれは無理にとは言わないよ」

 見かねたお父さんが譲歩してくれたのですが、今度は私が……

 「大丈夫です。……でも、変なことしませんよね?」
 なんて言いますから……

 「変なこと?」
 お父さんは少し考えてから……
 「当たり前じゃないか。そんなに私が信用できなければ、また
お尻叩きから始めてもいいんだよ」
 と、笑顔です。

 ですから、その件は仕方がありませんでした。

 ただ、問題はこれだけではなかったのです。
 むしろ『お父さんと一緒に寝る』なんてことはささやかな問題
なんだと…私は、その後、気づかされることになるのでした。


 私はお父さんにお姫様だっこされて書斎へ戻ります。
 すると、お父さんから下ろされた処に、ちょっと小ぶりのテー
ブルが用意されていましたから、私はてっきり、これで勉強する
ものと思ったのです。

 ところが……
 「何してる、こっちだよ」
 お父さんが、『こっち』と言って指差すのは、お父さんが普段
使っているデスク。大きな天板の上に普段だったら沢山の資料が
山積みになってる場所だったのです。

 でも、気がつけば、そこは綺麗に取り片付けられていました。
さらに近づくと……いつもの資料の代わりに、今日は、私が普段
やっている参考書や問題集なんかが置いてあります。

 「さあ、座って」
 椅子も普段お父さんが使っているものでした。そこに、何枚も
座布団が敷いてあります。

 恐る恐る座ってみると、目の前にはお父さんが手書きした国語
や算数の問題が数枚並べてありました。

 「椅子の高さはどうだい?君がお勉強しやすい高さにするから
ね」

 お父さんの声がすぐ隣りからするのでそちらを向くと、そこに
お父さんの顔の、どアップが……

 「(わあ!ビックリした)」

 お父さんは普段お母さんが使わない足踏みミシンの椅子を隣り
に持ち込んで座っていたのです。その距離30センチ。普通の息
だって顔に掛かりそうな至近距離でした。

 お父さんとの距離があまりに近いので、椅子の高さより本当は、
『もう少し、離れて』って、言いたかったのですが、たった今、
お仕置きされたばかりの私はその言葉を飲み込んでしまいます。
 おかげで、それから先も親子はお互いこの体勢で勉強する事に
なるのでした。

 「いいえ、これでいいです」
 私は少し遅れて椅子の高さの返事をします。
 すると……

 「だったら前にある問題を解いてごらん。時間は気にしなくて
いいから……ゆっくりでいいよ」
 お父さんはご自分で作成した問題を私に解けと命じるのです。
もう、椅子に座ったらさっそくテストでした。

 ところが、コレ……
 「……えっ……」
 私は問題を読んで面食らいます。

 学校で受けているテストでは解ける問題の方が多いのにここに
ある問題は、どれも習ったことのある単元で、見覚えのある問題
なのに全然解けないのです。

 「……(えっ、これどういうことよ)……」

 「8割といいたいけど、7割解ければ合格にしてあげるからね」
 お父さんは言いますが、とても、そんなにたくさん解けそうに
ありませんから慌てます。

 私は段々泣きそうになりました。いえ、泣いてしまいました。
 だって、こんなに解けないテストを受けたことがありませんで
したから……

 でも、そりゃそうなんです。
 だって、お父さんは一週間も前から私のテスト結果を解析した
上で、担任の先生にも面会して、私のウィークポイントを徹底的
に洗い出し、さらに一ひねり加えて問題を作ったのです。
 つまり、これは今の私専用のテストだったわけです。

 ですから……

 「35点に……こちらは45点。とても100点満点のテスト
結果とは思えないな。……こっちはちょっとましで……それでも
60点か。……お母さん、こりゃあ二週間じゃ足りないかもしれ
ないよ」
 何だか勝ち誇ったようなお父さんの声を、私は恥ずかしそうに
聞くはめになるのでした。

 いえいえ、事はそれだけではすまなかったのです。

 「大丈夫ですよ。この子、まだ寝てるのよ。ここらで少し目を
覚まさせた方がいいわ」
 背後にお母さんの声がしますから、振り返ると……

 お母さんは部屋の中央に置かれたテーブルの脇にいました。
 さきほど、私が自分の勉強机じゃないかと思ったあれです。
 その時はテーブルだけポツンと置いてありましたが、今度見た
時は、テーブルの上に毛布が丸めて置いてありますし、隣りには
キャスター付きのワゴンがあります。

 「……(あれは、お浣腸の時の)……」

 そうなんです。このワゴン、お浣腸の時、節さんが押して荷物
を運んできたあれだったんです。
 当然、嫌な予感がします。

 ワゴンには、籐でできた細いステッキのような棒や幅広の革の
ベルト。さらには、大きめのおしゃもじや使い古しのヘアブラシ
なんかも乗っています。

 それを見た私は……
 『よかった、お浣腸じゃないんだ。でも、あれ。何だろう?』
 と思ったのです。

 私はともかくここでお浣腸が行われないことだけが喜びでした
から自然と笑顔がこぼれます。でも、私にとって事態はそんなに
楽観できるものではありませんでした。

 「そうだな、初日のことだし、今日の予定は潰れてもあとから
取り返しがきくから、最初はとびっきりのをやってみるか」

 お父さんのこの一言で私の運命が決まってしまいます。

 その直後、私はお母さんに呼び付けられますから、怪訝な顔で
行ってみますと……
 「これ、穿きなさい」
 いきなりニットのパンツを渡されたのでした。

 「えっ?……まだ、寒くないからいらない」
 こう言って断ると……お母さんは笑いながら、
 「そういう事じゃないわ。寒さからじゃなくて、お父さんから
あなたを守りたいの」

 「?????」
 私にとってお母さんの言葉はまったく意味不明でした。

 というのも、私は一度としてお鞭のお仕置きを経験したことが
ありません。あのワゴンに乗っていたお道具が私のお尻を励ます
ものだなんて知らなかったのです。

 清美さんは鞭の経験者でしたが、私はそのお仕置きを手伝った
ことがありませんし、清美さん自身もその事をあまり語りたがり
ませんから、私にその情報は伝わりません。

 というわけで、私はこの日までお鞭のお仕置きに関する限り、
ヴァージンだったのです。

 「いいから、穿いて。ショーツの上からじゃ、あなたが可哀想
だわ。……お父さんのはもの凄く痛いのよ」
 お母さんの言葉で、私はこの時初めて自分がこれから鞭打たれ
ようとしていると気づくのです。

 「えっ!嘘でしょう!」
 今頃驚いても手遅れなのですが……

 「だって、お仕置きは終わったって言ったじゃない」
 お母さんに泣き言を言いますと……

 「これはお仕置きじゃないもの。お父さんがあなたを励まして
くださるの」

 「だって、罰を受けるの同じじゃない」

 「同じじゃないわ。お仕置きは罪の清算だから、今さら謝って
も取り返しはつかない。どのみち決められた罰は受けなきゃなら
ないけど、励ましの方はこれからの事だもの。あなたが注意さえ
していれば、新たな罰にはならないわ。あなたの頑張りで減らせ
ることだもの。同じではないのよ」

 変な理屈です。お仕置きとどこがどう違うのか、狐につままれ
たみたいなのですが、でも、これって両親の間では筋が通ってる
みたいでした。

 「恵子、おいで」

 お父さんに呼ばれて行ってみると、さきほどのテストで、私が
ケアレスミスをした処ばかりを指摘します。その箇所3箇所。

 「今度から、こんな事が起きないように注意するんだよ。注意
さえしていれば間違わずにすむところなんだから……」
 と、ここまでは穏やかに話しを聞いていたのですが……
 次の言葉に衝撃を受けます。

 「この三箇所を忘れない為に、鞭を三つ。お尻に受けるんだ。
これからもこんな間違いをしでかすたびに鞭を受けなきゃならな
いからね、気をつけるんだよ」

 「えっ!!!!そんなの聞いてないよ」
 私は甘えた声を出しますが……

 「大丈夫だよ。清美だって、下のチビ二人だって、そうやって
お勉強してるんだよ。恵子にできないはずないじゃないか」

 お父さんにこう言われると、たしかに思い当たる節がありました。
そうなんです。これまで私だけが特別扱いだったから気づかない
だけ。それが取り払われただけだったのでした。

 「さあ、いいから、あのテーブルでうつ伏せになるのよ」

 お母さんは私をせき立てます。
 私のつかの間の天国はあっという間に地獄へと逆戻りでした。

 仕方ありません。覚悟を決めて、私はテーブルに乗った毛布を
どけようとしましたが……

 「それはどけちゃだめよ」
 お母さんがたちまち注意します。
 「そこにお臍を乗っけて、うつ伏せになるの」

 私はお母さんの言う通りにします。
 すると、私のお尻が他の部分より高くなって、お父さんの方は
お尻に狙いを付けやすくなります。
 一方私はというと、踏んづけられたヒキガエルみたいに絶望的
で屈辱的な心持ちでした。

 「まだ慣れない事だから、ビックリして間違いがあってもいけ
ないだろうし、ハンカチを噛まして、両手を押さえておいてくれ」

 お父さんはお母さんに対して冷静に指示を出します。

 おかげで、私はハンカチで猿轡を噛まされ、両手を拘束されて
惨めさが加速してしまいますが、安全のためには仕方のないこと
でした。
 実際、私の両手を押さえたお母さんがこんな事を言います。

 「しっかり、歯を喰いしばって頑張るのよ」

 そして、その通りになったのでした。

 お父さんは、私の短いスカートを捲って跳ね上げると、先ほど
穿いたばかりのニットのパンツに、ケインの先をチョンチョンと
当てます。
 それが不安をかきたてた次の瞬間。

 「ピシッ」
 鞭が一閃(いっせん)して私のお尻に当たります。

 「ひぃ~~~~~」

 目から火花。背筋に電気が走り、それが頭のてっぺんから抜け
ていったと思ったら、身体が海老ぞりになっていました。

 11年の短い人生ですけれど、今までに、お尻がこれほど強い
衝撃を受けたことはありません。
 その衝撃があまりに凄かったので、私は泣くことさえすぐには
できなかったのでした。

 幸いニットのパンツのおかげで、この時は、ケイン特有のヒリ
ヒリする痛みや火ぶくれ水ぶくれにはならずにすみましたが、二
階から落ちて尻餅をついた。そんな感じの衝撃だったのです。

 そして、もう一閃(いっせん)……
 「ピシッ」

 「ひぃ~~~~~」
 
 その衝撃は一発目の余韻がまだお尻に残っていますからさらに
強烈です。お尻を叩かれただけなのに、身体が一瞬浮き上がった
気がしたほどでしたから。
 
もちろん、目からの火花も背筋の電気も一発目と同じでした。
ただ、二回目はそれが両手両足の神経にも作用して、電気の抜け
る場所が頭のてっぺんだけでなく、手の指、足の指からも抜けて
いったのです。

 「……(死ぬ~~~もうしないで)……」
 私は心の中で叫びましたが、無駄でした。

 さらに、もう一閃(いっせん)……
 「ピシッ」

 「ひぃ~~~~~」

 今度は歯が浮いてジーンとしびれて電気が顎からも抜けて行き
ます。
 いえ、もう一つ、私の大事な処にもその衝撃はやってきたので
した。

 一旦外に向った電気が今度は別のルートから子宮へ向って殺到
します。
 『子宮がジンジン痺れてる』
 それが分かるなんて、もちろんこれが初めての経験でした。


 この時のお父さんの励ましは約束通り籐鞭で三回だけ。
 終わったから、お母さんが猿轡を外してくれたのですが……

 「もう、しない。ごめんなさい。お父さんにもうしないように
言って、お願い、お願い」

 私は怯えて震えて目の前のお母さんに泣きつきます。
 こんな醜態見せたくありませんが、自然にそうなってしまった
のです。これはそのくらい怖いくて痛いお仕置きでした。

 ですから、テーブルを離れると、すぐにお母さんに抱きついて
そこで抱かれて小さくなっていました。
 もちろん、お父さんの顔なんて絶対に見たくありません。

 そんな私を気遣ってお母さんは一時期とっても優しくしてくれ
ました。泣きついた私の身体を優しく抱いてくれましたし、その
手で私の目を被い、お父さんの姿が見えないようにもしてくれた
のです。
 しかし、それもまた長い時間ではありませんでした。

 「あなたをこのままずっと抱いててあげたいけど、そうはいか
ないわ。あなたにはお父さんの力が必要なの。お父さんの力なし
にあなたは生きていけないわ。怖いからって、縮こまってくても
幸せにはならないのよ。飛び込まなくちゃ。『男は度胸女は愛嬌』
って言うけど、本当は女の子の方こそ度胸がないと生きてはいけ
ないのよ」

 私はお母さんに説得されて、お父さんのもとへ戻ります。

 いえ、正確には戻る決心をしただけ。どうしても自分の力では
そこへ行けないから、お母さんに抱かれたまま、お父さんの膝の
上に移されたのでした。

 お母さんから私を受け取ったお父さんは怒ったりしません。

 「痛かったかい。今度からはもうそんなに強くぶたないからね」

 椅子に座ったお膝の上に私を乗せて何度も何度もなだめてくれ
ました。
 そうやって、一時間。お勉強はしないでひたすら頭をなでなで、
ほっぺすりすり、お手々やあんよをもみもみ、といいった時間を
過ごしてから、また勉強を始めるのでした。


 それから二週間。
 私は、朝から晩まで、寝床までもお父さんと一緒という生活で
した。それだけでもきっと拷問なのかもしれませんが、勉強して
いる時は事態がもっと深刻でした。
 
 鞭だって、初日ほどきつくはなくても毎日のようにテーブルに
しがみつかなければなりませでしたし、ちょっとでも眠気を催す
と、蜀台で燃えている蝋燭の蝋涙が手の甲に落ちてきます。

 勉強時間中はお父さんとの真剣勝負。ちょっとした気の緩みも
許されなかったのです。

 蝋涙ってお灸ほどではありませんが、そりゃあ熱いです。揺ら
めく炎の下から垂れてくるのは不気味です。
 ですから、大人になってSM雑誌にこれと同じような事が載っ
ているのを見て時は笑ってしまいました。思えば親子のお仕置き
ってSMみたいなものなのかもしれません。

 だって、お父さんと一緒にそんな拷問の時間を過ごすうちに、
最初は嫌いだった狭くて葉巻臭いその空間が次第次第に居心地が
よくなっていったのですから。

 そして二週間が終わる頃には、お父さんのふかふかなお膝の上
と飛び切り痛い鞭と熱い熱い蝋涙がなければ勉強できない身体に
なっていたのでした。

 ですから、今度はそんなお父様中毒から抜け出るのに、また、
苦労する羽目になるのでした。


******************(4)****

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このブログについて

tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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