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第10話 ②

<続>亀山からの手紙

第10話 ②

 彼らは夕食の前にはお風呂をすませており、夕食後は、楽器の
練習やバレイや日舞なんかを習っている。そして、幼稚園児が寝
息を立てる頃になって、お父様やお母様にお休みのご挨拶をしに
やってくるのだ。

 この頃になると、子供たちはお父様やお母様の前で習っている
楽器を披露しなければならなかったり、お父様が自慢げに話す昔
話なんかを聞かされるはめになる。いわば里子としての営業活動
を強いられるわけだ。

 しかし、苦労というほどの苦労はなく、折を見て欲しいものを
ねだったり、退屈なら、お父様のお膝の上で抱きついたまま寝て
しまってもよかった。

 そして、下のチビちゃん二人が片づいた後、お父様はちょっと
大きめのチビちゃんである小学校高学年の子らをコテージに訪ね
る。

 彼らは楽器のレッスンを受けた後、割り当てられた勉強部屋で
明日の確認テストのための勉強をしていて、それが終わった頃に
なってお父様が部屋にやって来る算段になっていた。

 だからこの間お仕置きをいただいた真里ちゃんにしても、仮に
ママのお言いつけ通りにやっていれば、お父様がお部屋にいらっ
しゃった時はすでに四回連続で正解を出していてテストの対策は
終わっていなければならないわけで、それができていないという
のは、それまで何かしらさぼっていたに違いなかった。

 この日、お父様が勉強部屋を訪ねたのは僕が夕食の時お世話に
なった(?)真奈美ちゃんの部屋だった。

 お父様が部屋に入ると、彼女はすでに勉強が終わったらしく、
ランドセルに勉強道具を詰め始めていた。

 「もう、終わったのかい?」
 「はい、終わりました」
 「何か分からないことがあるかい?……どんなことでも教えて
あげるよ」
 河合氏は真里のことがあって先を急がなくなったようだが……

 「大丈夫です。明日のテストでお父様の名を辱めるような事は
いたしませんから」
 と、亀山では優等生のお答え。

 いや、自分でも言っていたのだが、何だが、あらためて聞くと
吹き出したくなるほど恥ずかしい。脇を向いて思わず笑ってしま
った。

 「ありがとう、じゃあ、おいで」
 河合氏はそう言うと、真奈美の目の前で中腰になって、両手を
広げる。

 亀山では『さあ、お父様に抱かれにいらっしゃい』という合図。
子供としてはイヤとは言えない合図だ。

 「ようし、良い子だ」
 河合氏はご機嫌で真奈美を拾い上げると、満面の笑みでほっぺ
たを擦りつけながら、抱っこしたまま部屋を出る。
 そして、長い廊下を通って自分の寝所へと真奈美を連れ込むの
だった。

 広い寝室には大きなダブルベッドが二つも並んで置いてあり、
小さな舞台の天井に飾られたミラーボールがビロードのベッドカ
バーに反射して、辺りはまるで夜の湖面のように光り輝いている。

 そこで真奈美はお父様の求めに応じてフルートを吹き、歌を歌
った。

 ファーストオブメイやイエローサブマリンを自分なりに器用に
アレンジして吹き、トップオブザワールドを英語で歌うとお父様
は大満足。

 もともとこうした芸事は、自分の為というよりお父様を喜ばす
為に習っているのだ。

 「君もこんな処で演奏したことがあるんだろう」
 「ええ、僕はピアノでしたけど、演奏が下手でしたから辛かった
です。いつも間違えてばっかりで……」
 「でも、それで叱られたりはしなかったんだろう」
 「それはそうですね」
 「親はね、自分のために一生懸命に弾いてくれれば、それで十分
幸せなんだから……」

 お父様は乙女の祈りをして跪く真奈美をソファーの上にに引き
上げると、その膝の上に下ろして高級チョコレートの箱を開く。

 まるで宝石箱でも見るように目を輝かせる真奈美に「どれでも
好きなものを取りなさい」と勧めるのだ。

 「君の頃も夜のお菓子はあったんだろう?」
 「ええ、今日一日よい子でいたご褒美として…でも、お仕置き
なんかあって良い子でなくても、やっぱりもらいましたけどね…」

 「天野さんは優しかったんだ」
 「ここのお父様はどなたもやさしいです。そもそもよほど子供
好きでなければ、こんな処へ移住して来ないと思いますから」

 「そりゃあそうだ。……ん、もう一つ欲しいのか?……よしよし、
もう一つだけだぞ。それが終わったら歯磨きをしてネンネだ」

 河合氏はママに夜の歯磨きの用意をしてもらう。
 使うのは練り歯磨きと塩。それを指にとって歯と歯茎を丁寧に
マッサージしてもらうのだ。

 「最初は女王様に言われてね、『何もそこまで』と思ったけど、
これがやってみると、結構楽しくてね。なるほど、ここではあり
とあらゆる機会を利用して、子供と触れあって楽しむんだと実感
したよ」

 「僕なんて、小学校時代はお母様から毎日フェラでしたよ」

 「天野先生の奥様というと、美容業界の女傑とうたわれた……」
 「天野美津子です」
 「天野美津子。天野美容室の……あの女史か。そうか、彼女に
そんな趣味があったとは知らなかったなあ」

 「巷での実績は知りませんけど、とにかく、子供が大好きな人
なんです。私が『お風呂はすみました』なんて言っても、『だめ
よ、まだ汚れてるから私が洗ってあげる』って、わざわざ寝室に
大きな盥を持ち込んで行水させるんです。……そして、ベッドに
転がしたら、とにかく体中をキスしまくるんですから………戯れ
ですけどね」

 「なるほど……その中にはオチンチンも、というわけだ。……
じゃあ、お母様が嫌いだった?」

 「いえ、そういうことじゃありません。とにかく物心ついた時
からずっとされてることですからね、もう、習慣になっちゃって
て……」

 「なるほど、物心つく前からなら…問題ないのか」
 「えっ?」
 「なにしろ、僕は真里にとっては外様だからな……」

 河村氏は少し自虐的に笑うと、真奈美を膝の上で仰向けにして
歯磨きを始める。もちろん、これだって親がやらなければならな
い訳はなく、子供の口の中に指を入れると、それが心地よいから
多くのお父様がやっているだけのことなのだ。

 「ん?気持ちいいか?」
 「……」
 真奈美は笑って答える。

 逆に子供といえど本当に不快ならこの笑顔は出せないだろう。
彼女は新しい父親をすでに受け入れているように見えた。

 終わると、ママが、自分が含んだ水を吐き出すためのボールを
口元に用意する。つまり、この瞬間は、普段厳しいママが自分の
下にいてメイドの様な仕事をしているというわけだ。
 そしてそれをさせているのが、今こうして抱かれているお父様
なのだ。子供はお父様の膝の上で大人の上下関係を実感するのだ
った。

 「(お父様って、やっぱりママより偉いんだ)」

 理屈では分かっていてもそれを肌で感じる機会は少ないから、
そういう意味でも有意義なのかもしれない。

 歯磨きが終わると、お父様は子供を自分の目の前に立たせる。
そして、やおら着ている服を一枚一枚丁寧に脱がせる。

 ブラウスやスカートはもちろん、スリーマーやショーツ、靴下
まで……残らず剥ぎ取って、すっぽんぽんにしてしまうのである。

 もちろん真奈美はそれを嫌がらない。実をいうと、真里もここ
までは抵抗しなかったのである。しかし、その場に跪き胸の前で
両手を組んで、次の言葉が出てこなかったのだ。

 「今日も一日。お父様のよい子でいました。どうか明日も一日
よい子でいますように。お父様の元気な赤ちゃんでいますように」

 これはどんな幼い子もやらされるお父様へのオネムのご挨拶。
そしてこの後、お父様が差し出す右手の指をおしゃぶりしなけれ
ばならない。
 これは『極楽では人々が差し出す指を赤ん坊がしゃぶって乳を
貰う』という仏教説話から来ていて、亀山の子はこれをしなけれ
ばお父様のベッドに入ることが許されない。というか、そもそも
お父様の家にいること自体許されない。
 真里はこれができなかったのである。

 対照的に、真奈美はお父様の人差し指と中指それに薬指を丹念
に舐めた。

 「美味しいか?」
 お父様の問いかけにも真奈美は笑顔を絶やさない。
 お父様にしても、愚問は承知の上での問いかけだ。

 「そうかそうか」
 お父様の笑顔は、私たち大人には決して見せることのない全て
を許す慈悲の笑顔だった。
 そして少女への返礼がこの抱っこしての頬ずり。

 彼はこのまま真奈美を抱いてベッドへはいる。親としてはこの
瞬間が何より至福の時なのだ。私は抱かれた経験しかないが、そ
れは抱かれていても分かることだったのである。

 この後、ママは部屋に残るものの、実質的にはパパと娘、二人
っきりの世界だ。そしてこの後、お父様の懐に飛び込んだ娘は、
この一週間自らに起こった出来事の全てお父様に物語る。
 彼女は自分の全てをお父様に聞かせなければならなかったので
ある。

 この内容はママと相談して事前にある程度話の内容を詰めては
いるのだが、中身は何も誇らしいことばかりではない。お仕置き
されたことなんかも包み隠さず話さなければならないのだ。

 もし、お話の中にお父様が期待したものがないと……
 『あれはどうなったの?』 
 なんて言われてしまう。

 前にも述べたが、お父様のもとには娘に関する有りとあらゆる
情報が入ってくる仕組みになっているから、そもそも隠しようが
ないのだ。

 内容によっては口にするだけで顔から火が出るほど恥ずかしい
こともあるが、お父様に問われれば、それを拒否するすべは子供
の側にはなかったのである。

 ただ、それで叱られるかというと、そうではなく、どんな事も
大きな胸がしっかりと受け止めてくれたのだった。

 ベッドの中での会話は幼い子と同じく大半がたわいのない四方
山の話。隣のベッドに入ってるママも、実はお目付役として起き
ているのだが、ママが二人の会話に口を挟むことはなく、娘は、
一人でお父様を接待しなければならない。

 つまり、同じ小学生といっても四年生から上はお父様に対して
百%受け身ではいけなかったのである。

 そして、私の例でも分かる通り、お父様やお母様というのは、
ある種の目的を持って私たちと接しているのだから、ベッドの中
では、かなり際どいことまでしてくるのだが、羽目を外して一線
を越えてくることはなかった。

 ここでは、外からの情報、とりわけ性に関する情報が徹底的に
カットされている。大人といえどもそうした情報は例の図書館へ
行かないと入ってこない。そうした環境の中で、子供たちは物心
つく前からずっと大人たちに抱かれるだけ抱かれて育つ。

 『大人は偉くて優しくて子どもを守ってくれる人』として教え
込まれるのだ。オモチャが欲しいドレスが欲しいといった物欲も
ここでは大人を介してでないと手に入らない事は亀山の子供なら
誰もが知ってることだ。
 だから、ママやお父様に限らずおよそ『大人』に対する親近感
が巷のそれとは比べものにならないくらい強くて、世間でいうと
ころの『他人』はここでは存在しないのである。

 そこまで徹底して純粋培養した子供たちを出資者である大人達
が、大いなる理性をもって一線を越えないぎりぎり線で楽しんで
いる。
 それが亀山という楽園の構図だった。

 ベッドインした子供たちは、手足を揉まれ頭を撫でられお尻を
さすられほっぺや乳首を舐められる。性器を触られることだって
ここでは日常茶飯事だ。

 しかし、その一線さえ越えなければ、何をしてもよかったし、
相手もそれを許している。

 牧歌的で野放図な愛は厳しい見方をすれば子供を手込めにして
いると見えなくもない。しかし、ならば赤ん坊は母親から手込め
にされているのかというと、そうではあるまい。

 性欲を卑しいもの、忌むべきものと考える人たちは性欲を子供
と切り離すことが可能でありそれこそが尊いことだと考えている
ようだが、それはあり得ない理想を追っているにすぎない。

 性欲をもつ大人が子育てに関わる以上、それを抜きにして語ら
れる親子関係は、理想論というより、むしろ不適切と考えるべき
なのだ。

 要は、手込めにされた子供がその後幸せに生きられるか否かで
あり、その基準で子育てや教育は考えられなければならない。

 と、これは女王様の持論だが、私もいわば女王様の子だから、
同じように思うのである。

 膨大な愛の海でイルカにお尻を突かれながらその泳ぎ方を覚え
て育った子供は、やがて陸に上がり自らも膨大な愛の海を作って
そこに我が子を泳がせる。そして、時々イルカになって我が子の
お尻をこづきながら陸に上げてやる。

 そんな太古の昔から続く人間の自然な営みが、今途絶えようと
しているのは悲しいことだ。

 おう、そうだ一つ忘れ物があった。
 実は、真奈美が寝入った頃になって、14歳以上のお姉ちゃま
二人が相次いで『お休みの』の挨拶にやってきた。
 彼らはすでに赤ちゃんを卒業しているので、お父様のベッドに
裸で入ることはないが、指をしゃぶる亀山独特の挨拶はやらなけ
ればならない。

 それぞれにベッド脇に置かれたフィンガーボールでお父様の指
を丁寧に洗うと、本当にそこからミルクが出てるんじゃないかと
思うほど美味しそうにお父様の指をしゃぶる。

 そして、歳下の子たちと同じようにこの一週間の様子をお父様
に物語ったあと、なんとお父様とベッドを共にしたいと望むので
ある。

 巷では思春期の少女が、父親の、しかもこの場合は血の繋がら
ないお父様のベッドで添い寝するなんて、信じられないだろう。
 実は、私も現役時代、お母様には随分可愛がられて育ったが、
さすがに14歳になってからはお母様と添い寝したことがない。
 何かが起こるなどとは思わないが、恥ずかしさが先にたって、
できないのだ。
 なのにこの子たちは平気なのである。

 「ねえ、今夜はお父様と一緒に寝てもいいかな?」
 「えっ、わたしも……」
 その瞬間はお父様より私の方が驚いた。

 一方で新しいお父様を頑なに受け入れない子がいるかと思えば、
もう一方で、すでに大人に近い身体をしているのに、今でもお父
様と一緒にベッドで過ごしたいと願う子もいる。
 女の子というのは実に不思議な生き物なのだ。

 「悪いな、合沢さん。こういう仕儀だから……今夜のところは
客間のベッドを使ってくれないか」
 そういう河合氏の顔はにやけてさえ見えた。

 さすがに素っ裸ではない。パジャマは着ている二人だが、共に
あっけらかんとして先に奥のダブルベッドを占拠している。

 「(ひょっとしたら、何かおねだりじゃないですか?)」
 私がそんな顔をすると…
 「(それでもいいよ)」
 という顔が帰ってきた。

 ということで、河合氏とは無言のまま、顔と顔で挨拶してその
夜は別れたのだった。

   

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このブログについて

tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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