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2/25 サマースクール(午前中)

2/25 サマースクール(午前中)

 *)僕の好きなプリズンものですが、Hはごくわずかです。

 午前中はどこも授業です。8時から12時まで、全国の系列校
から選りすぐられた劣等生達は、さらにその能力に応じてクラス
分けされて、そこでびっちり絞られます。

 私のクラスはGクラス。

 桃園学園は伝統的に成績がABCでつけられていて、Aは優秀
な生徒。Bがまあまあ。Cは一応合格という程度。
 もちろんこのABCの子はこんな合宿関係ありません。

 D以下が落第なんですが、その落第点にも種類があって、Dは
もう少しがんばりましょう…Eが努力が必要…Fが先生に相談。
 このEFあたりからが怪しくなります。

 でも、その先に、さらにGという評価もあって、これなんかは
箸にも棒にも掛からない生徒という意味でした。

 私は、いつも期末テストを白紙で出すようにしてましたから、
割り当てられる教室はいつもGクラス。でも、これは予定通りで
した。
 もともと避暑が目的の私は、なまじEやFのクラスよりこの方
が逆に気が楽だったのです。

 Gクラスは高校の授業にさえついていけない子が大半ですから、
授業の内容も中学レベル。頭の中を空っぽにして白河夜船で授業
を聞いていても、脳細胞を2%ほど活動させてアイドリングして
さえいればそれで十分でしたから私的には助かります。

 ただ、私はともかく他の多くのクラスメイトたちは授業を聞い
ていると、それが子守唄のように聞こえて条件反射的に眠くなる
人たちですから、教室にはいくつもの眠気覚ましが用意されてい
ました。

 例えば、手蜀のローソク。こっくりこっくり居眠りを始めた子
を見回り役のシスターが起こして回るのに使います。
 シスターから肩を叩かれた子はアウトです。
 でも効果は覿面で、手の甲に数滴垂らせばそれで十分でした。

それでも睡魔の誘いに負けそうな子にはパンツを脱いでもらい、
お尻をじかに座面にくっ付けて座り直してもらいます。
 あとは、その子が眠くなるたびに先生が教壇にあるスイッチを
入れてあげれば、その愛がたちどころにその子のお尻に伝わって
生徒の背筋がピンと伸びる仕掛けでした。

 通称、電気椅子。物騒なネーミングですが、もちろん、いくら
気持いいからといっても天国まで行くことはありませんのでそこ
は安心でした。

 ただ、それでもダメな場合もあります。
 その場合は仕方がありません。
 教壇の脇にある小机にうつ伏せになって、先生のもっと直接的
な愛をお尻に受ける事になります。

 小学生のチビちゃんたちならスリッパ。中学生には幅広の革鞭。
高校生になるとケイン(籐鞭)が一般的でした。

 年齢に応じて鞭の種類は違いますが、「ピシッ!」という衝撃
と共に全身の毛穴が開いて、頭の天辺から電気が抜けて行く効果
は一緒でした。

 この他にも、まだ幼い子の場合には熱いタオルや冷たいタオル
で見回りのシスターたちがお顔を拭いてくれるなんてサービスも
ありました。

 とかく劣等生というのは長時間椅子に座っているのが苦手です
から、まずはその訓練からです。先生も生徒を寝かさないように
色んな工夫をしているようでした。

 えっ!、私ですか?

 ええ、一応全部経験済みです。


 さて、こうして30分の授業が終わると、次は今やった単元の
テストが20分あって、これがここの一時限なんです。

 テスト結果は、悪いお点でも特別な罰はありませんが、合格点
に届かない子には午後の自由時間はありませんでした。

 Gクラスくらいになると、普段、学校で先生にあまりかまって
もらえない寂しさからなんでしょうか。自由時間をつぶしては、
先生と仲良くなる子が沢山いました。

 私も先生と仲良くなろうと、補習の補習にもよく参加しました
が、あまりやりすぎると……

 「わかってるのに、分からないふりをするような子には特別な
お仕置きが必要ね」
 なんて怖い顔で睨まれたことも……

 でも、それはあくまで例外。普段の先生方はとても優しくて、
私がなぜここに来ているのかを知ったうえで、快く抱いていただ
きました。

 幼い日の私は家庭で満たされない分をここでまとめて抱かれる
ことで、次の学期への英気を養っていたのです。


 さて、話を戻しましょう。

 朝の食堂で、ぎりぎりまでサリーとおしゃべりしていた私たち
でしたが彼女はEクラスですからここで別れなければなりません。

 「お昼、また一緒に食べようね」
 名残惜しい気持を振り払って私はGクラスへと向います。

 Gなんて特殊なクラスですから、例年人数がそんなに多くあり
ませんでした。生徒は五、六人といったところでしょうか。でも、
一番手の掛かる生徒たちでもありますから、授業先生を受け持つ
先生以外にも助教としてシスターが二人もついています。

 当然、ここで同じ学校の生徒に会うなんて滅多にありませんで
した。でも、この日は……

 教室に一歩足を踏み入れた瞬間、私の全身が凍りつきます。

 『どういうことよ!』

 おどおどと落ち着きのない生徒たちに混じって、一人だけ背筋
をピンと伸ばして、黒板をまっすぐに見つめている孤高の少女が
……。

 「あら、チッチ。偶然ね、あなたもこのお教室なの?」
 その子が私に気づいて微笑みました。

 「オマル!あなた、何やってるのよ。こんな処で……」
 私が驚くと……

 「何やってるはないでしょう。私も授業を受けに来たのよ」
 涼しい顔で言いますから、開いた口が塞がりません。

 彼女の名前は小川真由美。あだ名のオマルは本来名前から来て
いましたが、『便器みたいでイヤ』って本人が言うのでかえって
友達からはそう呼ばれるようになっていました。軽い虐めです。
 それはともかく……

 「どうして、あなたがここにいるわけ?」

 私の驚きに彼女は涼しい顔で……
 「それはこっちのセリフよ。どうしてこんな素敵な場所がある
のに教えてくれなかったのよ。私たち、友だちでしょう」

 「素敵な場所って……あなた、正気なの?……ここは劣等生の
溜まり場なのよ」

 「知ってるわよ、そんなこと。さすがに朝の浣腸にはちょっと
ビビッたけど……でも、ほかの子も同じことされてたから、別に
私一人じゃないみたいだし、あれはあれで楽しかったわ」

 「相変わらず能天気ね。楽しかったって、あなたってどういう
感性してるのかしら」

 「だから、そこはあなたと同じでしょうよ。……あなたこそ、
どうしてこんな処にいるわけ?」

 「それは……」
 私は言葉に詰まります。

 「私ね、あなたが普段『夏はいつも避暑地の別荘で過ごすの』
なんてキザなこと言うもんから『それっていったいどこだろう』
って、ずっと、思ってたのよ。それで、真理絵をとっちめたら、
チッチは毎年ここだって言うじゃない」

 「何だ、真理絵が裏切ったのか」

 「あの子、責めないでよ。あたし、ヤクザの親分に恨まれたく
ないから……」
 オマルが悪戯っぽく笑います。実際、真理絵のお父さんは全国
に名をとどろかす有名なヤクザの親分でした。

 「最初は、私も目が点になったけど……でも、考えてみれば、
あなたが毎年ここに来るってことは、そんなに居心地が悪かろう
はずがないわけだし……何より、何かしら魅力があるはずよね。
……だから、ま、風変わりな別荘だけど、私も参加してみよう
と思ったの。……あら?変な顔して……いけなかったかしら?」

 「別にいけなくはないけど……あなたってヒマね。世間の子は
今頃受験勉強で必死だっていうのに……こんなところで油売って
ていいのかしら?そんなことじゃろくな大学にいけないわよ」

 「うちの親と同じで嫌なこと言うはね、あなたって……でも、
そのあたりもあなたと同じなの」

 「どういうこと?」

 「私も受験に興味なんてないもの。大学はいける処でいいって
最初から決めてるの。…それに、夏休みだからって実家に帰って
みたところで、行く処行く処付き添いが着いて回るような家なの
よ。恋愛どころか、映画一本自由に観られないわ。…小学生じゃ
ないつうの。…だから、それならいっそ…ね、良い考えでしょう」
 最後は甘えるように私を見つめます。

 「よくないわよ!」

 大声を出してしまいましたが、こうなっては仕方がありません。
私の秘密基地はこうして悪友オマルに知られてしまったのでした。


**************************
 Gクラスの数学を担当するのは今年から斉田先生。でも授業の
やり方は同じでした。もともと端にも棒にもという生徒相手です
から、授業も難しいことには一切手をつけません。最初は中学の
教科書のそれも基礎的な内容を、猿でもわかるように懇切丁寧に
講義してくださいます。

 もちろん、それって他の子たちにはしてみたら、有意義なこと
ありがたいことなんでしょうけど、私やオマルにしてみると……
それって退屈で、退屈で……

 『あ~~あ』
 欠伸を押さえるのに必死にならなければならない拷問でした。
 手の甲に蝋涙が落ちると熱いですし……パンツを脱いで椅子に
座ると冷たいですし……もちろん、みんなの前でお尻をぶたれた
ら、そりゃあ恥ずかしいですから……

 そこでこんな時はインナートリップ(私の造語)に限ります。
 どういう事かといいますと……

 『さも授業を聞いているようなふりをしながら、実は、頭の中
では別のことを考えて楽しんでいる。一応、指された時の用心に
頭の2%だけは教室に残しておきますが、あとは夢の世界で遊ぶ
んです。成果物は色々。詩作、作曲、物語……中にはHな妄想も
含まれていました』

 私だけじゃありません。おそらくオマルだって授業中、意識は
この教室にはないと思いますよ。


 そうやって、どうにかこうにか30分の授業をしのぎきると…
 次はその授業がちゃんと理解できたかを試す確認テストに移る
わけですが、ここからはとたんに忙しくなります。

 20分あるテスト時間を惜しんで5分で仕上げます。
 とにかく早ければ早いほど次の授業までの休み時間が増えます
から、必死で解いていきます。

 私はいつもの通りやっているだけですが、どうやらオマルの奴
も私の異変に気づいたらしく、彼女も解答スピードを上げて私に
ついてきていました。

 結局……
 「先生、できました」
 私がそう言って席を立ったとき、オマルもすでに最後の問題に
取り掛かっていました。

 「……あら、千賀さん。もう出来たの?もっとゆっくりと考え
た方がよくなくて……見直しも必要よ。ケアレスミスがあるかも
しれないでしょう」
 
 斉田先生が、答案を提出して教室の外に出たがっている私に、
嫌味なことをおっしゃいますから……
 「ちょっと貸して!」
 私は、今出来上がったばかりのオマルの答案を持ち上げます。

 そして、私と彼女の二つの答案をしっかり見比べてから……
 「大丈夫ですよ先生。間違ってる処は一つもありませんから」
 と、言ったのです。

 すると、さらにしつこく……
 「どうして、間違ってないって分かるの?」
 なんて尋ねてきますから、思わず声が大きくなってしまって…

 「だって、二人の答えが一緒なんですもの。間違ってるはずが
ないでしょう!」
 私は、とっさに私にとっての正論を吐くと、二人分の答案用紙
を教卓の上に置き、オマルの手を引いてさっさと教室を退出して
しまったのでした。


 「ねえ、あんなこと言っていいの。先生、教室出る時も何だか
苦笑い浮かべてたわよ。あたし、あとでお仕置きなんてイヤよ」
 教室を出てオマルが心配そうに言いますから……

 「たぶん大丈夫よ」

 「たぶんって……」

 「仕方ないでしょう。次の授業まで時間がないんだもの。あそ
こで油を売ってる暇はないわ」

 「どういうことよ」
 
 「いいから、いらっしゃいよ。どうせ、あなた、私が、ここで
何をしてるのか知りたくて来たんでしょう?」

 私はオマルの手を引き、小走りで学校の中庭の垣根を越えて、
お隣りのお庭へと入っていきます。

 「ねえ、ここは学校じゃないの?」
 「そうよ、伯爵様のお屋敷」
 「大丈夫なの?」
 「もち、大丈夫よ」

 いつものように小道を通って庭の片隅。六角形の形をした離れ
が一軒、団扇サボテンに囲まれて建っていました。

 「コンコンコン」
 窓を叩いて中の老人に私が来たことを知らせます。

 「おう、智香ちゃん。お入りなさい」

 ロッキングチェアに揺られる老人が許可を出す前から私は窓を
開けて部屋の中へと身を乗り出していました。

 「やめなさいよ。窓からなんて、お行儀わるいわよ」
 オマルが私の上着の裾を持って止めますが……

 「いいの、いいの、おじちゃんの図書室にはここから入るのが
一番いいんだから。表になんて回ってたら時間がもったいないの
よ。どうせ20分でまた戻らなきゃならないんだもん」

 「相変わらず、せわしないのう。先生に言って、午前中だけで
もここにいられるようにしてあげようか?」

 優しい気遣いでしたが……
 「気持は嬉しいけど、いいわ、そんなこと気にしなくても……
私、補習でここに来てるんだもん。やることはやらないと他の子
に悪いでしょう」

 「律儀じゃのう……それはそうと、窓の外はお友だちかな?」

 おじちゃんに指摘されて、私はまだオマルが部屋の中へ入って
いない事に気づきます。

 「何やってるよ。大丈夫だから入ってらっしゃいよ。体育音痴
のあなたでも、そのくらい乗り越えられるはずよ」

 オマルは私にそそのかされてやっと窓からこの部屋へ進入する
決心がついたようでした。

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tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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