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4/21 亀山物語<外伝>~3~

4/21 亀山物語<外伝>~3~

*)これは一応小説の一部なんですがHシーンありません。

 「お義父様、ご病気なんですか?」
 香澄さんの部屋へと帰る途中、廊下でそう尋ねてみると……

 「あまりよくないみたい。だから、亀山も引き払ってこちらへ
戻られたくらいだから……ただ、私だけはどうしても手放したく
ないとおっしゃられて、女王様に無理言って連れて来ちゃったの」

 「女王様?」

 「そう、亀山の女王陛下、絶対君主、…グレートマザーなんて
呼んでる人もいたわ。……亀山って、実質的には彼女が経営して
いるの」

 「じゃあ、あなたのお義父様は?」

 「そこのお客様。子供のパトロン。うちのお義父様に限らない
けど、お義父様ってレストランで食事をするお客様みたいなもの
なの。店主はできるだけ美味しいもの、お客様に喜ばれるものを
と思って料理を提供するけど、それがたとえ不味かったとしても
お客様が自ら厨房で料理を作ることはないでしょう。それと同じ」

 「?????」

 「わからない?……無理ないわね。亀山で暮らしたことのない
あなたには意味不明よね」
 香澄さんは私の当惑した顔をみて笑います。

 「ねえ、お義父様って桐山さん一人だけじゃないの?」

 「そうよ。亀山には45軒のお家があるから少なくとも45人
のお義父様がいらっしゃるはずよ」

 「そんなに!」

 「いずれも功成り名を遂げたご隠居さんって感じのおじいさん
ばかりなの」

 「それって孤児を育てるボランティアをやってらっしゃる方々
なの?」

 「違うわ。皆さん相当な大金を払ってるみたいだもの。見返り
なしにそこまではなさらないわ」

 「見返りって?」

 「あなた、私の部屋に行ったんでしょう」

 「ええ」

 「だったら、気づかなかった?」

 「えっ?……ああ、あのベビーベットのことかしら……」

 「お義父様たちが単にお金を寄付するだけじゃなく、わざわざ
移り住むのはその為なの」

 「ん?どういうこと?」

 「だから、お義父様たちにしてみたら、自分の思い通りになる
子どもが欲しいの。『裸になれ』と言えば喜んで服を脱ぐし……
『赤ちゃんのように』と願えば、哺乳瓶でミルクを飲むような、
そんな従順な子がお望みなのよ」

 「……それって……つまり……あなたも……そうなの?」
 私は恐々尋ねてみました。
 すると、意外にも明るい声が返ってきます。

 「そうよ、私も亀山の子だもの、それは同じよ。……あそこは、
孤児と言っても赤ん坊の時でないと引き取らないし18歳になる
までは実の親でも面会できないシステムだから、時間はたっぷり
あるでしょう。その間にお義父様やお母さん、先生……とにかく
目上の人には絶対服従の精神を子供たちは叩き込まれるってわけ」

 「じゃあ、今でも……そのう……あなた、赤ちゃんの格好する
ことあるの?」

 「お義父様が望めば、喜んでやるわよ。……おかしい?」

 「えっ!」
 私は心臓がドキンとしました。

 「もっとも、最近は私も身体が大きくなり過ぎちゃってるから、
お義父様もオムツの取替えまではご覧にならなくなったけど……」

 「えっ!……」
 私はあらぬことを想像してしまい、全身に鳥肌が走らせますが、
香澄さんはまるで意に介した様子がありませんでした。
 それどころか……

 「赤ちゃんもそうだけど、最近は、ご病気もあって昔のように
お仕置きしてくださらないが残念だわ」

 「オシオキ?」

 「そう、叱られることよ。あなた親にお尻叩かれたことない?」

 「そりゃあ……」

 「亀山は凄いのよ。男の子だろうと女の子だろうと、どんなに
幼い子でもハイティーでもお尻丸出しで叩かれるの」

 「あなたも……」

 「もちろん、私、お転婆だったから幼い頃は毎日のようにやら
れてたわ。亀山のお義父様たちってね、そういう子どもの泣き顔
や悲鳴が大好きなの。ぶつのはたいていお母さんや先生方だけど、
終わるとね、お義父様がお膝に抱いて優しくしてくださるのよ」

 香澄さんは屈託のない笑顔、まるでそれが楽しい思い出だった
かのようです。

 「へえ、厳しいんだ」

 「お尻叩きだけじゃないわよ。赤ちゃん姿でお浣腸されたり、
お灸をすえられたり、下半身丸出しで木馬に跨ったり廊下に立た
されたり……とにかく色々よ」

 「残酷なのね……」

 「そうかしら……そうでもないわ。だって悪いことしなければ
お仕置きなんてされないもの。……何もしないのにお仕置きだけ
やってるわけじゃないのよ。……それに何より、お義父様たちは
そんな子どもたちのハレンチな姿がお気に入りなのよ。だから、
お母さんも先生も、ご機嫌とってるところがあるの」

 「でも、それで、心が傷ついたりしなかった?」

 「全然」香澄さんは首を振ります。
 「私たち生れ落ちた処はそれぞれ別々でも、みんな一年以内に
亀山に引き取られてるから、もともとお義父様のもとで生まれた
ようなものなの。……気がついたらお義父様やおかあさんや先生
が周りにいて、そこが人生の始まり。……他の世界なんて知らな
いし、何より、お義父様も、先生も、お母さんも普段はとっても
優しかったから、どんなお仕置きがあっても、だから心が傷つく
ってことはなかったわ。……わたしはね」

 「…………」
 怪訝そうな私の顔をみながら香澄さんは続けます。
 「あなたは外の人だからわからないでしょうけど、亀山では、
子供がお仕置きされるって、あまりに当たり前すぎて、女の子に
『あなた、なぜスカートはくの?』って聞くようなものなのよ」

 「そうなの……」

 「今の私は、分別がつきすぎて悪さなんかしなくなったけど、
そうやって育ったせいか、時折お仕置きされて泣いてた頃の自分
が無性に懐かしくなることがあるわ。…だから、最近まで小さな
しくじりをしでかしてはお義父様からお仕置きを頂いてたの」

 「わざとってことよね……そのことは当然お義父様も感づいて
らっしゃるんでしょう」

 「もちろんよ。おままごとみたいなものだもの。……その時は
とっても優しくとっても厳しく叱ってくださったから、心の中が
とっても熱くなれたの。……でも、それも今は病気が重くなって
しまったから、それもできなくなっちゃって……」

 『だから、学校であんな憂鬱そうな顔をしてたんだ』
 私は、義理とはいえお義父様をそんなも慕える香澄さんが羨ま
しく思われました。
 私の場合、実の父とは顔を合せるたびに口喧嘩で、そんな関係
にはなれませんでしたから……

 ただ、私の心の奥底にも香澄さんと同じ思いが眠っている事は
自分でもうすうす感じていたのでした。

****************************
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 二人は香澄さんの部屋へと戻って来ました。
 すると、すでにドアの前に若いメイドが独り立っています。

 「お嬢様、お茶をお持ちしてよろしいでしょうか?」
 「ええ、お願いするわ。私はココアでいいわ。詩織さんは?」
 「じゃあ、コーヒーで……」
 「あら、ごめんなさい。うちは未成年にはコーヒーとコーラを
お出ししないのよ。お義父様が『あれは、子供には有害だ』とか
おっしゃってて……でも、それ以外なら、大抵何でもあるわよ」
 「じゃあ、私もココアを……」
 「かしこまりました。……あ、それから…松下先生がお友だち
との歓談が長引くとお勉強の時間が押してしまいますから早めに
切り上げるようにと、ご伝言を賜っております」
 「わかったわ、承知しましたとお伝えして……」

 こんな会話のあと、私と香澄さんは部屋の中へ……

 「何だかお勉強時間にお邪魔しちゃったみたいですね。……私、
帰りましょうか」
 「いいのよ、変に気を回さないで。あと30分くらいどうって
ことないから安心して。松下の婆さん、昔から心配性なのよ」

 「松下先生って……」

 「お義父様が私の事を心配して亀山から連れて来たの家庭教師。
昔からそうなんだけど、今でもできが悪いとパドルでお尻を叩か
れるわ。女同士だから、そこは遠慮がないの」

 「それじゃあ、やっぱり大変じゃないですか、私、帰ります」

 「だから、いいって……私、あなたにもうしばらくここにいて
欲しいの。だってあなたには他の生徒にはない何かを感じるもの。
お話していて面白いわ。お友だちになれそうだもの」

 「いいんですか?ほんとうに……」

 「ええ、大丈夫よ。……ほら、見て、これが私の揺りかごよ」
 香澄さんは、四方を柵で囲われたベッドを軽く押してみます。

 すると、どうでしょう。その大きなベッドがまるで揺りかごの
ように揺れるのでした。

 『これって、本当に揺りかごなんだ』
 先程も一度見ましたが、それは何度見ても不思議な代物でした。
 サイズだけが大きい世の中どこにでも転がっていそうなベビー
ベッドなんですが、そのそばに寄るだけで、まるで自分が赤ん坊
に戻ったような気分になるのでした。

 「特注品ってことですよね」

 「そうみたいね、これも亀山から持って来たの。向こうでは、
お仕置き用だったから最初はとっても寝にくかったわ」

 「お仕置き用?」

 「そう、亀山では、悪さを繰り返す子には赤ちゃん返りという
お仕置きをさせることがあるのよ」

 「赤ちゃん返り?」

 「一日赤ちゃんに戻されるお仕置きのことよ。朝、お浣腸され
てオムツをはめられたら、あとはずっと、ここに寝かされるの。
食事は哺乳瓶のミルクだけ。おなかはすくし寂しいし退屈だし…
もし、催してきたらそれこそ大変。必死で頑張ることになるわ。
時々見回りに来る先生にも気取られないようにしないといけない
しね……」

 「おトイレには行かせてくださいって言えないんですか?」

 「それがだめなの。そんなこと言っても『あなたオムツ穿いて
るでしょう。そこにしていいのよ』なんてイヤミを言われて泣く
ことになるわ。…もっと厳しい先生になると、あらためてお浣腸
されることだってあるんだから」

 「もし、漏らしちゃったら……」

 「もちろん、先生がオムツを取り替えてくれるわよ。……でも、
いくら女同士でもウンチ漏らしたオムツを取り替えられるなんて
恥ずかしいもの。みんな夜の九時まで必死に我慢することになる
わ」

 「凄いのね、亀山のお仕置きって……」

 「とにかくお義父様たちが喜びそうなことは何でもやらされる
の。お尻叩きでも、お浣腸でも、お灸でも……しかも恥ずかしい
なんて言っちゃいけないんだから……貞操なんて文字、亀山には
どこにもないわ」

 「お灸なんかもすえられるんですね」

 「ええ、お灸は多いわよ。これはスペシャリストがいるから…」

 「スペシャリスト?」

 「そう、おばば様って言ってね、亀山の主みたいな人よ。……
亀山の子供たちは大半が彼女に抱かれて最初街へとやってくるの」

 「どういうことですか?」

 「もし、母親が自分の生んだ子を亀山に預けたいと思ったら、
まず裏山の麓に住むこのおばば様の処を訪ねなきゃいけないの。
そこで、まず引き受け先となるお義父様を探してもらって、話が
まとまったら、その母親はおばば様から身体の七つの場所にお灸
をすえられることになるの」

 「どうしてそんなことするんですか?」

 「一番大きな理由は本人確認のためよ。昔はDNA鑑定みたい
なものがなかったから、母と子に同じ灸痕をつけて18歳で再会
する時にそれで証明にしたの。……それと、どんな理由があるに
せよ自分の生んだ子を他人に預けるんだからそれなりのお仕置き
は必要ってのがおばば様の考えだったわ」

 「へえ……でも、そのお灸って子供の方にもすえるんでしょう」

 「子どもの方も二歳になると、母と同じ処にお灸をすえられる
ことになるわ。もし、おばば様が亡くなっても判別がつくように
だって……」

 「二歳の子にお灸……」
 私は言葉に詰まりました。

 「残酷な話でしょう。でも仕方がないの。それが亀山のしきた
りだから。その代わり、その後は親切なお義父様が何かと面倒を
みてくださるわ。お灸は悪さをするようになった子供がおばば様
から据えられるケースがほとんどなの。大事な証拠を消さない為
にも色揚げは大事な儀式なんだって……私もよくやられたわ……
結局うちの親は18になっても娘の処へ会いにこなかったけどね」

 「えっ、じゃあ、そのあとは……」

 「私の場合は親が迎えにこなかったからお義父様に引き取って
くださったけど、大半の子は短大か四年制の大学に進学するわ。
そこまではお義父様が援助してくださるの。いずれにしても卒業
後は自分で稼ぐことになるけど……あっ、ただし結婚相手は別よ。
それはお義父様がご存命ならお相手を見つけてくださるケースが
多いわ」

 「自由恋愛とかはできないんですか?」

 「そんなことないわよ。ただ、私たちって物心つくころから、
お義父様絶対で生活してきたでしょう。お義父様が決めてくださ
った方でもそんなに拒否反応はないのよ。それにそうした方って
大半が……」

 香澄さんはそこでほんのちょっとためらいましたが思い切って
言ってしまいます。
 「私たちを厳しく指導してくださる方だから私たちも頼りがい
があるの。そうした方を一からみつけるより楽なのよ」

 それは今の香澄さんとお義父様の関係に同じということのよう
でした。

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このブログについて

tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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