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4/25 舐めて育てる

4/25 舐めて育てる

*)エッセイです。

 私の母は決して賢い人ではなかった。学校時代も勉強や裁縫は
まったくできない。明るい性格と体力だけが取得の人である。

 ふとしたきっかけで、母が父と結婚する前、恋仲だったという
男性に出会ったのだが、正直、びっくりした。

 たしかに彼、事業で成功してお金持ちにはなっていたのだが、
通された部屋はいわゆるキンキラキンの成金趣味。彼の身なりも
言葉遣いも母が私に求め続けた美的センスとはかけ離れていた。

 もともと父方母方ともに親戚にインテリが多い家系で、なぜ、
母がこの人を好きになったんだろうとその時は思ったが、すぐに
考え直した。
 むしろ、体育会系だった彼女にしてみればそんな人だったから
こそ心が通いあえたのかもしれない。

 しかし、現実はそう甘くはなかった。今では成功している彼も
その時代はまだ貧しい家の青年。だから、親兄弟から『家の格が
違うだろう』と反対されてしまったのだ。

 それで、本意ではなかったかもしれないが、私の父と結ばれる
ことになる。
 すると、彼女、ここで180度自分の生き方を変えてしまう。

 誰に対しても丁寧な言葉で応対し、どこのお嬢様が書いたのか
と思うような日記をつけ、教養書を読みあさり、生まれた僕にも
体力より学問、下品に見えるものは家の中に何一つ置かなかった。
 要するに嫁いだ家の家風に添って暮らそうとしたのだ。

 僕はそんな嫁いだあとの母の姿しか見ていないから、初恋の人
を見て『どうして?』と思ってしまったのである。

 そんな彼女だが、変えられないものもあった。
 純で、荒々しく、向こう見ずな男勝りの気性である。

 その気性は当然我が子へも向けられる。つまり子育てで現れる
のだ。

 『我が子への完全なる支配』

 そりゃあ母親が赤ん坊を支配して当たり前だが、彼女の場合は
度が過ぎていた。

 その典型例が舐めるということ。

 よく、動物の母親が生まれたばかりの我が子を舐めるシーンが
あるが、あれと同じように僕はやたらと母親から舐められていた。
 うちの場合は、『抱っこして戯れにほっぺたをちょこっと……』
なんて生易しいレベルじゃない。お風呂上りの裸の身体を、全身
くまなく舐めまくるのだ。

 まさに動物的な感性(愛情表現)だ。

 そりゃあ、オーラルセックスなんて大仰なものじゃないけど、
オチンチン、オッパイ、お臍だって例外じゃなかった。
 もちろん、当人(僕)が嫌がらないからやってたんだろうけど、
小学校2年生か3年生くらいまではその習慣が続いていた。

 この他にも、便秘になった時、僕のお尻の穴に指を入れて肛門
マッサージをしたり、自分の口で噛んで柔らかくしだお肉を僕の
口に入れたり、逆に僕が吐き出したお肉を平気で食べたりなんて
のは日常茶飯事。風邪をひいた僕を『とにかく暖めなければ』と
抱きしめ続け、ついには脱水症状を引き起こさせたことも……。

 つまり何をするにも『これでもか』というほどやらないと気が
すまない人だったのである。

 そんな濃厚なスキンシップのせいか、私にも子守さんはついて
いたのだが、何をするにも「お母さん」「お母さん」の日々。
 お母さんの許可なしには、何もしない、何もできない子だった。

 ある程度、歳がいって慌てた母が、「ほら、でれでれしないの」
「あっち行ってて」なんて叱ってみても、やはり何かあるたびに
やってきては「お母さん」「お母さん」なのだ。
 叱られようがお仕置きされようがここが一番居心地がいいから
いつもお母さんの腰にへばりついている。そんな少年だった。

 自分の生い立ちから、子供は勝手に自立するものと思い込んで
いた彼女、そこは誤算だったようで、実は『我が子への完全なる
支配』というのは自立させる時が一番大変だったのである。

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tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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