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4/30 閉じ込め

4/30 閉じ込め

*)ショートショート

 ある日、僕は姉と一緒に一つの部屋に閉じ込められた。勿論、
何かしでかしたはずだが、悲しいかな今となってはそれが何だっ
たのか思い出せない。

 この時、姉は11歳。僕はまだ幼稚園だったが、二人でゲーム
をしたり、絵を描いたりして過ごす。お互いのん気なのか、鈍感
なのか、とりたてて泣き叫ぶなんてことはなく時間だけが過ぎて
いく。

 部屋からは出られなくても、時間がくればいずれ開放される。
両親が自分たちを見捨てたりはしない。そんな自信もあった。

 ところが、この時はけっこう開放までに時間がかかった。
 すると、姉の方が何だか落ち着かない様子を見せ始めた。
 腰をかがめ、両手をお臍の下辺りにやる。

 オシッコがしたくなったのだ。

 西洋なら子供を閉じ込めてもベッドパンがあるから問題ないが
日本の家ではまずそんなものはない。

 女の子が部屋の中でオシッコだなんて日本じゃ許されない。
 可哀想に思ったが、僕もどうにもならない。

 すると、僕までもよおしてきた。

 でも、僕は男の子だから我慢なんてしない。勉強机に乗り、窓
を開ければ、どくだみの植えてあるお庭へチャア~とできるのだ。

 と、ここでお母さんが庭にいるのがわかった。

 「お母さ~~ん、お姉ちゃん、オシッコしたいって」

 すると、

 「あっ、忘れてた」
 こう言ってお母さんが入口の引き戸の鍵を開けてくれた。

 お姉ちゃん、お臍の下を押さえてへっぴり腰、小走りで部屋を
出て行く。

 僕もトイレに着いて行くと、「シャー」という音が聞こえてる。
 あれって、女の子は男の子以上に勢い良く出るみたいだね。岩
をも砕くって音だったもん。

 それ聞いてると、何故か楽しい。
 訳はわからないけど、何故か楽しい。

 それだけ、たったそれだけのこと。

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tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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