2ntブログ

Entries

5/2 だんまり

5/2 だんまり

*)エッセイ(?)思い出(?)何だかよくわかない話。

 お仕置きって何もぶったり叩いたり辱めたりするだけじゃない。
子供にただプレッシャーをかけるだけのお仕置きというのもある。
例えばそれが『黙んまり』だ。

 要するに、親が子供に口をきかなくなる。今の言葉でいうなら
無視というやつだ。

 これって、けっこう子供には堪える。それまで必ず返ってきた
答えが返ってこない。ご飯とかおやつとかはくれるし、着替えも
してくれるし、お風呂にも一緒に入るけど無言。

 『まずいなあ』
 という思いだけがずっとつきまとって、もの凄いプレッシャー
なのだ。何より、他のお仕置きと違ってお仕置きされてる時間が
長いのがいただけなかった。

 特に太郎君、「お前、口から先に生まれただろう」と言われる
くらいのおしゃべり好き。特にお母さんと一緒にいれば、女の子
並みかそれ以上、会話が途切れることがなかった。

 それがいきなり、相手が口をきかなくなるんだから、もの凄い
不安で泣き出すことも何度かあった。つまり、こんなささやかな
ことでもお仕置きの効果はあったのである。

 ただ、太郎君の場合、そのお母さんがこれまた子供並に感情の
起伏の激しい人だったから自分の方も長くは持たない。二三時間
が限界で、それ以前でも太郎君が泣き出すと許してしまう。

 いや、それもただ単に許すだけじゃなくて、それから先、しな
くてもよい事まで始めるのだ。

 だんまりのお仕置きが終わった太郎君、気がつけば赤ちゃんの
格好というのがよくあった。

 さすがに小学校も高学年になるとそういうこともないけど、低
学年の頃までは、お母さんの方もそれまで溜めに溜め込んでいた
ストレスを一気に発散させてくるのだ。抱っこして、おんぶして、
速射砲のように言葉が出てくる。

 気がつけば、オムツをはめられ哺乳瓶をくわえさせられてる、
なんてケースがよくあった。もちろん、無意味なことなんだよ。
でも、彼女こんな形でしか子供を愛せないのだ。

 こうなると、太郎君だって逆に『もうわかったから』って逃げ
出したいところだが、そうはいかない。
 こんな格好でお外へは出られないから、実質お仕置きは続いて
いるのかもしれない。

 しかも、夜は夜で、お勉めが待っている。
 もう、とうに用のなくなったお母さんの生のオッパイを舐めて
絵本を読んでもらう。

 「ずっと、ずっとお母さんの愛の中にいます。可愛い、可愛い
赤ちゃんでいます」
 こんな言葉を一緒にくるまったお布団の中で何度も何度も言わ
されるのだ。

 繰り返すが、太郎君のお母さんは街で会えば普通のお母さんだ。
ただ、12歳で精神年齢が止まっているので、こんな形でしか、
息子を愛せなかったのである。
 そして、太郎君もそれにお付き合いするしかなかった。

 でも、それはそれで幸せだったような気がする。
 太郎君の描く小説が浮世離れしているのは多分にこの為なのだ。

***************************

コメント

コメントの投稿

コメント

管理者にだけ表示を許可する

Appendix

このブログについて

tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

最新記事

カテゴリ

FC2カウンター

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR