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5/31 女の都 ~12~

5/31 女の都 ~12~

*)この項、まったくHありません。

 エレーナは長い廊下を戻る途中もキーウッド先生の腰を抱いて
離れません。それまでの辛い思い出を消し去るには、これが一番
よい方法だと知ってるみたいでした。

 「ほら、甘えないのよ。あなた、そんなに小さな子じゃないで
しょう」
 先生は腰を振ってエレーナを払い除けようとしますが、こちら
も笑っています。本気じゃありませんでした。

 こうしてじゃれて遊んでやることが、この子にとって何よりの
癒しだと先生も気づいていたからなのです。

 途中、図書室を通りましたが、すでに清書の時間は終わって、
部屋は空っぽ。みんなミサに行き、それも終わって、そろそろ朝
ごはんを食べに食堂へやってくる頃でした。

 「やったあ、今日は清書もミサもなしね。大ラッキーだわ」
 エレーナは喜びますが……

 「何言ってるの。お仕置き受けた子にそんな役得あるわけない
でしょう。バイブルの清書はもちろん、今日ミサで歌った賛美歌
も夜のうちに清書して提出するのよ」

 「なあんだ、やっぱりやるのか」

 「当たり前でしょう。お仕置きがあったからお勉めはしなくて
もいいってことにはならないわ」

 「ああ、また自由時間がなくなっちゃう」

 「仕方ないでしょう。あなたが悪いんだから……但し、オムツ
はもう脱いでもいいわよ」

 「えっ、いいの?」
 
 「だって、そんなの穿いてたら、蒸れてお尻があせもだらけに
なっちゃうわ。あなたが反抗的な態度ならこのまま着けさすけど
……」

 先生は腰にしがみついていたエレーナを両手でしっかり抱き上
げ、まるで赤ちゃんを高い高いであやすように、その身体を揺さ
ぶります。

 「あなた、これからいい子になるんでしょう?」

 先生とエレーナがにらめっこ。
 どちらもの笑顔でした。

 先生の顔より高い位置にいたエレーナが……
 「はい、先生。エレーナはこれからいい子になります」
 と答えて話は決まります。

 ただ、エレーナの本当の気持はちょっぴり複雑でした。
 『これってふかふかでけっこう気持いいのよね。ひょっとして
このままでもいいかな……なんてね』
 そんな思いも、心の片隅にあったみたいです。


 さて……
 エレーナはトイレでキーウッド先生からオムツを外してもらう
と、普段のショーツに穿き替えます。

 「ほら、今だって凄い汗じゃないの。こんなの一日じゅう穿い
てられないわ」

 あのトイレでは随分と恥ずかしい思いをしたエレーナですが、
こうしてキーウッド先生の前だと裸になってもさして恥ずかしい
とは感じません。

 それは、物心つく頃から先生がずっとお母さんの代わりをして
きたから。キーウッド先生というのはエレーナだけでなくクラス
メイト全員にとって『先生』と呼ぶ『お母さん』だったのでした。

 そんなエレーナがお母さんと一緒に食堂へと入ってきます。

 食堂は幼い子から高校生まで大人数が一堂に会しますすから、
女の熱気がむんむんと立ち込めています。それはとりもなおさず
女の子が『女』を営業している証でした。
 衣装、髪型、仕草、言葉遣い……相手を意識してはれるだけの
見栄をはって自分を高く見せようと競争しています。

 ところが、そんな争いにエレーナは参加しませんでした。
 ここでも彼女、先生の腰にしがみついてはさっきと同じように
甘えてみせます。ハズバンドが見つかったエレーナにとって女の
営業は必要ないことのようでした。

 女の都には、昔からお仕置きにまつわる不文律があって、罰が
終わった子は……『よく頑張りました』ということでしょうか、
しばらくの間、大人に甘える時間を与えられます。
 エレーナの今がそうでした。
 
 「ケイト、ご苦労様。慣れない仕事で大変だったわね。みんな
いい子にしてたかしら?」

 「してたよ。先生」
 先生はケイトに尋ねたのですが、グロリアがその中に入り込み
ます。

 「大丈夫です先生。みんな、とてもおとなしくミサに参列して
いましたから……」

 「ほらほら、抱きつかないのグロリア。あなたにやってあげた
ら、他の子にもしてあげなきゃならなくなっちゃうわ」

 「だって、エレーナは先生にくっついてるじゃないのさあ!!
……あっ、わかったわ、お仕置きされたからなんだ。ねえ、先生、
そうなんでしょう?……ねえ、エレーナ。サンドラのお婆ちゃん
から、あなたどんなお仕置きされたの?……お浣腸?……ねえ、
エレーナってばあ……あなた何されたのよ。やっぱり、お浣腸で
しょう」

 しつこく食い下がるグロリアに先生は一喝します。
 「グロリア、おやめなさい。食事の前ですよ」

 「は~い」
 口を尖らせ不承不承の返事を返したグロリアにキーウッド先生
は続けます。

 「エレーナはお仕置きなんて受けてません。シスターサンドラ
からご注意を受けただけだわ。お小言が長くなってしまったから
ミサにも出席でなくなったの。あなたのように見てもいないこと
を他へ行って言いふらすようだったら……あなたこそ、お浣腸の
お仕置き必要ね」

 「えっ!?……」
 こう言われてしまうと、グロリアだって二の句がつげません。

 「わかりましたか?」

 「は~い」
 グロリアは恐々答えるしかありませんでした。

 「いいわ、それで……覚えておきなさい。口は災いのもとよ」

 キーウッド先生は、このままほおっておけば、尾ひれがついて
どんどん広がってしまうグロリアの口害から、エレーナの名誉を
守りたいと考えたのでした。

 「エレーナ、あなた、私の隣にいらっしゃい。今日はあなたが
お姫様の席よ」

 先生のお隣はお姫様席と呼ばれ、本来なら先生の為に振舞われ
る料理をその席に着いた生徒も一緒にいただくことができます。
まさに特等席なわけですが……

 ただ、その席にエレーナが座れるというのは修道院学校の常識
としては、お仕置きが終わった直後だからに他なりません。
 『でも、たとえそれが分かっていても、他へ行っておしゃべり
してはいけませんよ』
 キーウッド先生はグロリアにそう諭したのでした。

 他人の名誉を守ってあげる思いやりは、修道院学校の美徳です。
でも、ともすれば女の子たちが忘れがちな美徳でした。

 では、エレーナの方はどう思っていたのでしょうか。

 自分がお姫様席にいることはお仕置きを受けたと宣言している
ようなもの。決して名誉なことではありません。これから先、口
さがないお友だちの陰口だって心配です。

 でも、今こうしてキーウッド先生から優しくしてもらっている
こと、自分を認めてもらっていることが彼女の支えでした。先生
との絆はこれから先の安心や励みに繋がりますから、彼女がこの
席を毛嫌いする理由もありませんでした。

 むしろ、この機会にエレーナは先生に甘えます。
 色んな料理を取り分けてもらい満面の笑みで舌鼓。場合によっ
てはスプーンで口の中まで運んでもらうことだってありました。

 「どうしたのポーラ?あなた、羨ましいのかしら?」
 先生は自分もそこに行きたいと言わんばかりのポーラに尋ねま
すが……

 「べつに……」
 彼女はそっぽを向いてしまいます。

 お仕置きの後大人たちがその子に優しいのは誰もが知っている
常識。でも、だからと言って、わざとお仕置きされようとする子
はいませんでした。

 それは小学生でも歳相応の矜持というものがありますし、お仕
置きの内容があまりに厳しくて、このくらいの役得では足りない
ということでもあったようです。

 でも、それでも……
 『私もお姫様席に行きたいなあ』
 ポーラがエレーナを見て憧れるのも事実でした。


 食事が終わり、他の子がすべて席を離れてから、先生はあらた
めてナプキンでエレーナの口元を綺麗にします。そして、自分の
目の前に立たせてからこう注意するのでした。

 「今日あなたは本来なら一日中着けてなければならないオムツ
を外してるけど、それは罰を免れたからじゃないのよ。罰を猶予
しているだけ。今日一日は、他の子だったら『いけませんよ』と
叱られるだけの場合も、あなたに限っては、最初からお尻叩きに
なります。……そのことは覚悟しておきなさいね」

 「……それって、他の先生もですか?」
 恐々尋ねると……

 「そう、他の先生も一緒。厳しいわよ。心してちょうだいね」

 「はい、先生」
 ちょっぴり緊張のエレーナ。

 「大丈夫、良い子にしてればいいだけよ」

 「はい、先生。大丈夫です」
 エレーナに笑顔が戻ると……

 「よし、良い顔になったわ。その調子で頑張ってね。それじゃ、
今度は国語の時間にまた合いましょうね」
 キーウッド先生はエレーナの心を解きほぐすように優しくハグ
して別れます。

 ここまでが、お仕置きを受けたエレーナの役得。
 これから先、彼女に特別な役得はありません。
 他の子と同じ。いつもの日常へと戻っていくのでした。

****************************

 <寄宿舎>
キーウッド先生
子供たち/ナンシー。ポーラ。グロリア。エレーナ。
エリザベス。ローラ。マリア。
図書室長/シスターサンドラ(お婆さん)

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tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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