2ntブログ

Entries

6/3 女の都 ~13~

6/3 女の都 ~13~

*)小説

 キーウッド先生の子供たちは食事が終わると、自分たちの教室
へと向います。その教室の空いたテーブルの一つに腰を下ろして
本人認証用のタブレットを指定の場所に差し立ててればそれで
OK、三面鏡になったディスプレイに先生が現れ教科書が映し出
されて授業が開始されます。

 持ち込んだタブレットにその子の全情報がインプットしてあり
ますから、教科書のようなものを持ち歩く必要はありません。
 子供たちが持ち歩くのは、自分で作成したA4サイズのノート
だけ。このノート、質感といい、簡単に鉛筆書きできるところと
いい、一見すると単なる紙のノートに見えますが、手でなぞれば
過去のどんなデータも浮かび上がらせることのできる便利な電子
手帳でした。

 図書室に置いてある本も大半がこの形式のノート。これを見れ
ば、その子の勉強の過程だって克明に知ることができますから、
教師にとっても優れもののアイテムでした。

 この日、ケイトは数学の授業についていけず、先生から1年前
の自分のノートを持ってくるように命じられます。先生としては、
そのあたりで何かを取り違えて覚えてしまったんじゃないか、と
疑ったからでした。

 そこで、ケイトは慌てて図書室に走りますが、図書室近くまで
来ると、部屋の中から耳慣れない声が聞こえていました。

 「何だよこれ、すっげえなあ」
 「ほんとにこんな事してたのか?」
 「俺もこんな時代に生まれたかったなあ?」

 『えっ?何なの?』
 それはまるでパイプオルガンが話しているように低い声でした。
女の子たちとは声のトーンが違うのです。

 訳が分からず、ケイトがドアをノックしますと……
 何やら慌てて何かを隠すような物音が……

 そして……
 「どうぞ」
 という声がしたので、ケイトは部屋の中へと入ってみました。

 すると、いきなり鼻につく匂いが彼女を襲います。
 『うっ!!何なの!?これ?』

 それは単なる人の体臭なのですが、ケイトにしてみると、それ
までに嗅いだことのない匂い。粗野で荒々しく動物を感じさせる
ものでした。

 『まるで熊の檻にいるみたいだわ。まさかこんな処に熊なんて
連れ込まないわよね』

 確かに熊はいませんでしたが、そこには三人の人間が……

 『えっ!!!?』

 出くわしたのはケイトより年上の若者三人。
 いえ、ケイトにしてみたらそれは『三人の人間』という言葉に
なるのかもしれません。
 だって彼女、この瞬間、生まれて初めて『男性』という生き物
を見たのですから……

 『何なの?この人たち?』
 ケイトは未知との遭遇に驚き、戸惑います。

 でも、それって単純に不快とか、不愉快というものではありま
せんでした。

 急に心臓が高鳴り始め、胸を締め付けられるような切ない想い
が体中を締め上げます。こんなことは初めて。顔が真っ赤に紅潮
していたこともこの時は自分ではわかりませんでした。

 『うそ……この人たちって……ひょっとして王子様たちなの?』

 ケイトはいずれも美形の顔立ちの青年たちを見て思います。
 というのも写真でなら彼らを見たことがあったからでした。

 「やあ、こんにちわ。……どうしたの?そんな変な顔して……
僕たち何か変かい?」
 一人の青年が声を掛けてきました。

 「いえ……」
 ケイトは答えますが……

 「フランク、変に決まってるじゃないか。ここは修道院、城の
中じゃないんだぜ」
 と、別の青年が……

 「そうか、この子、まだ中学生くらいだもんな、僕らを見るの
これが初めてってわけだ。よし、ならば僕からご挨拶を……」

 三人目の青年は最も積極的で、ケイトの足元まで歩いて来ると
そこに片膝をついて……
 「姫、どうかこの中から好きな者をお選びください」
 と挨拶します。

 『えっ!?』
 ケイトは意味が分からずまごつきます。何の戯言か彼女はまっ
たくわかりませんでした。

 でも、ケイトがこのまま成長し、20歳になったあかつきには
この三人のいずれかと初夜を迎えることになります。
 そうなった時には、あらかじめお見合いのパーティが催され、
ケイトは相手を選ばなければなりません。その時、彼女はきっと
こう言われることになるのでした。

 「姫、どうかこの中から好きな者をお選びください」
 と……

 オニオン星の女の子にとって王子様とお見合いは、一世一代の
晴れ姿。
 青年はその時の仕草を真似たのでしたが、それはケイトにとっ
てはまだ先の話、今のケイトは、いきなり現れた異性を前にその
ショックからまだ立ち直れないでいたのでした。

 「ねえ、君の名前は?」
 膝まづいていた男の子が立ち上がって尋ねます。

 「ケイトです」

 「いい名だね、聡明な女性に多い名前だ。僕はマイク……あの
にやけて笑ってる背の高いのがフランク……すまし顔で気取って
るのがケリーだ」

 「みなさん、男性なんですか?」
 ケイトが今さらながら素朴な疑問をぶつけてみますと……

 当然、答えは……
 「三人ともそうだよ。普段はお城に住んでるから王子様なんて
呼ばれてるけど……僕らのこと、知らない?」

 「えっ……」
 ケイトが言葉に詰まると、マイクの後ろから声が飛びます。

 「種馬って言ってやった方が、その子には分かりやすいかもな」

 その声を聞いて、マイクは自嘲的に笑いました。
 たしかに、王子様と言っても彼らの方が相手を選べるわけでは
ありません。求められた女性と子孫繁栄のために一夜を供にする
だけなのですから、種馬という表現も、まんざら間違ってはいま
せんでした。

 しかもこの種馬たち、いずれ劣らぬかなりの美形ときています
から、ケイトは彼ら三人が自分のそばにいるというだけで何だか
妊娠させられそうに感じてしまうのでした。

 「ねえ、君、知らないかなあ、ここに学校OBのノートがまだ
保管してあるって聞いたんだけど……」

 「えっ、王子様って、ここの卒業生なんですか?」

 「そうだよ、子供の頃はお城からここに通ってたんだ。周りが
女の子ばかりだろう、やれ挨拶がないの、靴が汚いの、シャツが
ズボンからはみ出てるの、廊下を走るな。とにかく規則ばっかり
うるさくて息が詰まりそうだったよ」

 「そうそう、やたら規則が多かった。でも、先生は優しかった
じゃないか。よく悪戯もしたけど、女の子みたいにあまりぶたれ
た。『男の子だから仕方がない』とか言われてね」

 「女の子の方がぶたれることが多かったんですか?」

 「そりゃそうさ。ここは本来女の子の世界だからね、良い意味
でも、悪い意味でも僕ら男の子は祭り上げられていたんだ」

 「今は、この学校に男の子はいませんよね?……見たことあり
ませんから」
 ケイトが尋ねると……

 「いないと思うよ。他の学校にはいるけど、ここにはいないん
じゃないかな」

 「男の子なんて学校にとっては邪魔な存在。迷惑だから持ち回
りにしてほしいって思ってるみたいだよ」

 「どうしてですか?」

 「だって先生がおっしゃってたけど、男の子がいると女の子は
勉強に身が入らなくなるし、オナニーも増えるからなんだってさ」

 「…………」
 ケイトは思わず心臓をえぐられる思いでした。
 彼女のオナニーは百合の世界。女の子だけで男の子は登場しま
せんが、それでもオナニーなんて言われると緊張してしまいます。

 「そうだ、君、本当に知らないかな、OBのノート。ケリーが
学校時代に書いた小説を見つけたいんだ」

 「小説って…そんなもの教科のノートに書いてたんですか?」

 「暇をみつけてちょくちょくね。その時は軽い気持だったから
まとまっていないんだけど、今度、同人誌をだすことになって、
その時のアイデアを入れてみたくなったんだ」

 「授業中に小説だなんて……そんなことしていいんですか?」

 「よくはないさ。でも、さっきも言ったろう。男の子ってね、
わりと自由なんだよ。悪戯やっても、オナニーがばれても、勉強
さえちゃんとやってたら、あとは大目に見てくれてたんだ」
 と、フランク。

 「もっとも、取材半分興味半分で女の子のお仕置きを覗こうと
して見つかった時は……あれは怖かったけどね」
 と、ケリー。

 マイクも…
 「あっ、シスターサンドラのことだろう。あの婆さん、怒り出
すと、前後の見境がなくなるもんなあ」
 と応じます。

 「顔、真っ赤にしてさあ、まさに烈火のごとくって感じだった
もの。で、結局、その時は鞭が36回。終わった時は、さすがに
お尻の形が元に戻らないんじゃないかって本気で心配したよ」

 「オーバーだなあ」

 「本当さあ。あの婆さん、子供相手にケイン振り回して本気で
ぶつんだから。児童虐待もいいとこさ。殺されるかと思った」
 
 「大丈夫、いくらケインでお尻ぶたれたって、死んだ奴なんて
いないから」

 「お前、やられたことないからわかないのさ」

 男の子たちの大きな身体からは声も自然と大きくなります。
 すると、その声に同調するように入口のドアが開きました。
 入って来たのはその噂の主、シスターサンドラでした。

 「随分と賑やかね。坊やたち、相変わらず元気だけはいいみた
いだけど、でも、ここは図書室なの。もっと静かになさい」

 「はい、先生」
 三人は苦笑いを浮かべながら恐縮します。
 三人はすでに青年。坊やなんて呼ばれる風貌ではありませんが、
ここに来れば少年の昔に戻れるみたいでした。

 「ケリー、あなたの小説見つかったわよ。昔、ノイマン先生が
抜書きしてまとめてくださってたみたいなの。面白かったって、
ご伝言いただいてるわ」

 喜ぶ男の子たちを見ながらケイトの未知との遭遇は終了します。

 「ケイト、御用が済んだらあなたは教室へ戻りなさい」
 シスターサンドラにこう言われてしまったからでした。

 でも、時間にして僅か10分足らずの出来事が、ケイトにして
みたら、映画10本分では足りない感動となって心に残ることに
なります。

 『あ~やだ、どうしたのかなあ、身体の芯が熱いわ』
 ケイトはそんな思いを胸に教室へと帰って行ったのでした。

**************************

 その日の夜から、ケイトはベッドの中で悶々とした時間を過ご
すことになります。

 昼間は忙しくて、夢を見る暇がありませんが、ベッドに入ると
不思議と三人の青年が大写しになって頭の中に浮かん出てくるの
です。

 でも、最初それは甘い恋物語なんかではありませんでした。

 熊のように大きな三人の青年が、自分の身体にのしかかろうと
するのを必死に振り払って逃げる映像ばかり。
 熊に襲われる恐怖のシーンばかりでした。

 そして、次の日の夜は、とうとう逃げ切れず自分が熊の餌食に
なってしまいます。

 『何なのよ、コレ!どうしてこんな夢見るの!』
 ケイトは嘆きます。

 でも、哀れな自分を嘆くうち、ケイトの心の中には新たな快感
が生まれるのでした。

 のしかかられる自分、食い尽くされる自分の身体が、死体では
なく火照って熱くそれが心地よいと感じられるのです。

 すると、いつしか自分を食い散らかしたはずの熊が自分のお腹
の中にいるのに気づきます。そこでうごめていているのです。
 それは今までに感じたことのない得体の知れない快感でした。

 『不思議、変な気持、麻薬ってこんな感じかなあ』
 切なさが、乳首を震わせ、あごを震わせ、両足の指を曲げさせ
ます。そして……

 『もう、一歩』
 そう思うとき、彼女の右手はお臍の下に滑り込んでいました。

 『ああ、だめ、もう我慢できない』
 その言葉を残してケイトの理性は消滅。

 若い体は小さな突起を立ち上がらせるのに時間なんてかかりま
せん。

 あとは百合の世界で遊んでいた時と同じ。
 エクソシストのようにベッドがカタカタと揺れ、行き着く処迄
行き着けば、後は睡魔がさらなる快楽へと彼女を運んでいきます。

 『あ~~私の王子様~~フランク、フランク、フランク、……
わたし、幸せよ~~』
 うわ言のような言葉で頭の中をフランクの顔で充満させます。

 彼女は枕に涙を落とし、その指の先に幸せを感じて、その夜は
ぐっすりと眠ることができたのでした。

***************************

<寄宿舎>
担任の先生/キーウッド先生
子供たち /ナンシー。ポーラ。グロリア。エレーナ。
エリザベス。ローラ。マリア。
図書室長 /シスターサンドラ(お婆さん)
王子様たち/マイク。フランク。ケリー。

コメント

コメントの投稿

コメント

管理者にだけ表示を許可する

Appendix

このブログについて

tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

最新記事

カテゴリ

FC2カウンター

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR