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9/13 ローソクのお仕置き

    9/13 ローソクのお仕置き

*)何か入れ込まなきゃいけないと思って入れたエッセイ。
  当人しかわからないことですからスルーしてください。


 昔は世の中にないようであるのがお仕置きだった。昔だって、
今と同じように建前は親にしろ教師にしろ『体罰で子どもの心は
動かせない。今の世の中、何より子どもの自主性を尊重してのび
のびと育てなければ立派な大人にはなれない』なんて、大人たち
は偉そうなことを言ってたんだ。

 ただ、実際の家庭生活、学校生活ではそう綺麗事ばかりも言っ
ていられなかった。元気一杯の子どもの前では、お仕置きなくし
ては収拾がつかなくなる事だって多かったからだ。

 お仕置きは手っ取り早く子どもを黙らせる手段として幼い子を
中心に世間で広く用いられていた。

 もっとも、子どもの立場からすると……
 『大人たちは普段からみんな癇癪持ちだ。その大人たちの癇癪
がこうじて堪忍袋の尾が切れた時、彼らは突如として凶暴になる。
言葉の代わりに大きな平手が飛んでくるのだ。ほっぺたに当たる
か、お尻に当たるかはその家のしきたりによるが、ただ、これで
改心したという仲間に出会ったことがないのは不思議なことだ』
 となる。

 幼い時はいきなりパンパンとやられるケースがほとんどだが、
年長になってくると、長いお説教のあとにやってくることも。

 いずれにしても、こうした事が外に漏れると外聞が悪いので、
本人はもとより兄弟に至るまで「この事はお外で話しちゃだめよ」
となる。……ところがだ、母親の厳命もこれが結構お外に漏れて
いた。

 私も、本人が否定するお仕置きを、その妹や弟たちから何件も
聞いたことがある。(尾ひれがついている可能性があるので百%
真実とは限らないが……)

 どのようにお仕置きするか、その方法は家によってさまざま。
閉じ込め、締め出し、平手や物差しによるお尻叩き、なんてのは
ポピュラーだったけど、お灸やお浣腸といったことも、当時なら
あながちフィクションとばかりは言えなかった。

 ただ、そんな中にあってなぜかローソクによるお仕置きだけが
聞いたことがない。(もちろん狭いエリアの話だから偶然だった
のかもしれないけど)
 これはとても不思議なことだった。

 思うに、スパンキングもオーバーザニーによる平手ならともか
く、鞭では親子の一体感に乏しい。お灸では痕が残りやすいし、
お浣腸は後処理が大変だから、お仕置き単体ではなく医療行為の
ついでに行われる場合がほとんど。うんちを我慢している子ども
の耳元で母親が昔の悪さをねちねちと蒸し返すのだ。あまりにも
姑息な手段だから子どもにも評判が悪かった。

 そんな問題を解消して、ローソクのお仕置きは『あり』だな、
と個人的には思うのだ。
 蝋涙を落とす時、母親は我が子の手をしっかり握っているから
一体感はあるし、お灸のように痕も残らない。もちろん、後処理
だって白い蝋の塊をはがすだけだから簡単にできる。

 よい事ずくめのように思えるのだが、私の周辺では聞いたこと
がなかったのである。

 ただ、文献にはこの事例があって、名前は忘れてしまったが、
たしかスウェーデンの王様で、子どもの頃受けたローソクによる
折檻が原因でローソクがトラウマになり、夜になってもローソク
の炎が怖くて、いつも日が沈むとすぐに寝てしまったという逸話
を聞いたことがある。

 だから、『日本にだってこれを試した親はきっといるはずだ』
と思うのだが……。

 私の場合、ローソクはないがお灸の経験はあって、これは母に
抱き抱えられながらやられてしまった。

 その時、母が……
 「熱いけど、我慢するのよ」
 なんいて言うから必死に我慢したら、その痕が、その後水ぶれ
になっちゃって、母と大慌てで大学病院へ行くはめになった。

 母としては、『きっと熱がるはずだから、その顔色を見て火を
消せばいい』ぐらいに気楽に考えていたようだった。
 ところが、私が熱がりもせず、(いや、熱かったけど言われた
通り我慢しただけ)母に握られた手を、それほど強く引こうとも
しなかったから起きた事故だったのである。

 以来、母はお灸をお仕置きに使わなくなったし、それまで以上
に私にはやさしくなった。
 赤ちゃんごっこが始まったのもちょうどその頃だったのである。

 オムツをはめられ、哺乳瓶でミルクを飲み、ガラガラが振られ
れば笑わなければならない。
 『どうして、こんなことしなきゃいけないんだよ!』
 とは思いつつも時間が経つにつれて順応してしまった。

 ただ、これはこれで私にとってはお仕置きみたいなものだから、
もし、あの時のお仕置きが、お灸ではなくローソクだったら……
『超マザコン児』は誕生しなかったんじゃないか……とは思うの
である。

 

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tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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