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9/28 御招ばれ(2)

9/28 御招ばれ(2)

*)ソフトなソフトなお仕置き小説です。私的には…(^◇^)

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 <主な登場人物>
 春花……11歳の少女。孤児院一のお転婆で即興ピアノが得意
美里……11歳の少女。春花の親友。春花に乗せられて悪戯も
    するが、春花より女の子らしい。絵が得意な少女。

 林先生……舎監の先生。普段から生活指導は厳しく、孤児達が
    お仕置を受けない日はないくらいだが、子供たちからは
    からは慕われているシスター。

 院長先生……おばあちゃん先生。めったに怒らない優しい人。
    このため、友達から虐めにあったり、林先生からきつい
    お仕置きを受けたりすると駆け込む避難所になっている。

 大西泰幸……中世史の研究をする大学の先生。実の子はすでに
    医者として独立。『茜』という養女をもらっているが、
    春花や美里も養女にしたいという希望を持っている。

 大西茜……大西泰幸の養女。13歳で春花や美里よりお姉さん
    だが、楚々とした感じのお嬢さんとして躾けられている。


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 二人は、大人たちがいなくなったピロティで再びおしゃべりを
始めます。

 最初は膝まづいたまま小声で……

 「びっくりしたあ」
 「びっくりなんてもんじゃないわよ。心臓が止まるんじゃない
かと思ったわ」
 「林先生、今日が御招ばれの日だって知っててこんな事させた
のかなあ」
 「さあね、でも、もしそうだったら相当な悪魔ね」
 「悪魔?それはちょっと可哀想よ」
 「どうしてよ。私たち、危うく死ぬまでずっとみんなに言われ
そうな大恥かくところだったのよ」
 春花の声が高い天井から跳ね返って戻ってきます。

 御招ばれの日というのは、その名の通り、孤児たちが一般家庭
に御招ばれする日のことで、月に一度、土曜日の午後出掛けて、
日曜日の午後学園に帰るスケジュールでした。

 招待するのは日頃から聖園学園を援助している後援会の人たち。
 もちろん、いずれも身元の確かな人たちでした。

 二人は同じ姿勢に疲れたのでしょう。春花が足を崩してあぐら
座りをすると、美里もすぐにマネをします。

 そうやって楽な姿勢になると、二人の会話は段々と声が大きく
なっていきます。
 でも、本人たちはそのことに気づいていないようでした。

 「だいたい、林先生って、結婚したことあるの?」
 「さあ、分からないわ。でも、普段は「私は神様と結婚したの」
なんて言ってるじゃない」
 「そんなの嘘よ。嘘に決まってるわ。きっと、男に捨てられた
のよ。だいたい見たこともない神様とどうやって結婚するのさ」
 「それは……」
 「あの曲がった性格は、誰からも相手にされなくて、仕方なく
修道院に来たよ。やけっぱちなのよ。決まってるわ」

 と、その時でした。

 「誰がやけっぱちなの?」
 二人の頭のはるか高いところから林先生の顔が現れます。

 二人は慌てて壁の方を向いて膝まづきますが、当然のことなが
ら手遅れでした。

 「おあいにくね、私は、男性に捨てられたからでも相手にされ
なかったからでもないの。純粋に神様のもとで暮らしたいから、
ここへ来たのよ。それ以外にシスターになった理由なんてないわ。
あなたたちも、そんな他人の心配してるより、まずは自分たちの
心配をした方がいいんじゃないかしら」

 林先生の忠告に二人は期せずして唾を飲み込みました。

 「あなたたち、このままじゃ、夜の鞭のあとは這ってベッドに
戻ることになるわよ」

 厳しい鞭打ちを暗示する言葉。実際、そんな子の噂はあちこち
で耳にしますから……

 「(ヤバイなあ)」
 「(嫌だなあ)」
 林先生の言葉は二人の背筋を一瞬にして凍らせるのでした。

 ところが……
 「と、言いたいところだけど、今日は御招ばれの日ですからね。
特別に許してあげます。ただし、これに味をしめて、また同じ事
を繰り返すようなら、お招ばれは中止して、お仕置きに切り替え
ますからね。そこいらは、よ~~~く、覚えておきなさいね」

 林先生はこう言って二人を解放してくれたのでした。

 「やったあ~」
 「ラッキー」
 二人は小躍りして食堂ホールへ向かいます。

 もうその時は、『また同じ事をやったらお仕置き』なんていう
林先生の言葉はすっかり忘れていたみたいでした。


 食堂にはさっき危うくお尻を見られそうになった大人たちの他
にもたくさんの紳士淑女たちがにこやかに語らっていました。
 彼らはこの週末ここの孤児たちを自宅に泊めるボランティアを
していたのです。

そして、そのお招ばれに出かける子どもたちもまた、普段より
ちょっぴりおめかしをしてすでにスタンバイしています。

 まだ経験の少ない下級生は、日頃面倒をみてくれるシスターが
一緒に着いていってお泊りさせますが、慣れてる上級生や中学生
はすでに品定め、お金持ちで、ハンサムなおじさんのいる家庭で
週末を過ごしたいと夢を膨らませていたのでした。

 実際、ボランティアの人たちは孤児を自宅に招くと精一杯歓待
してくれますから、日頃孤児院では出ないような料理を食べられ
るだけでも孤児たちにはメリットがある催しだったのです。

 特に、春花と美里の場合は……

 「先生、遅れてごめんね」
 美里が、静かに座っている大西先生の首っ玉に、いきなりしが
み付けば……
 「先生、夕食は何出してくれるの?私、今夜はビーフシチュー
がいいなあ」
 春花は、ちゃっかりそのお膝に腰を下ろすと、今夜の夕食まで
オーダーしています。

 二人にとってこの紳士はすでに他人ではありませんでした。
 五月の連休に初めて出会ったカップルでしたが、以降は月一回
この催しが開かれるたびに大西先生が必ずこの二人を指名します
から、二人も大西先生と急速に親しくなっていきます。

 この夏休みには、十日間のお泊まりまで経験していましたから、
今ではまるで家族のようにじゃれあう関係になっていたのでした。

 ただ、この日の大西先生は一つの重大な判断をしてここに来て
いました。
 ですからその事を率直に二人に告げます。

 「実はね、君たち二人を私の養女に迎えたいと思っているんだ」

 「養女?」
 「私たち、先生の娘になるの?」

 「そうだ」

 「私たち、先生をお父さんって呼ぶんだよね」
 「おばさんがお母さんで…茜さんはお姉さん?」

 「そんなになるのは嫌かい?」

 「それは……」
 美里は口ごもりましたが……
 「大丈夫だよ、私は……おじさん優しいもの」
 春花は即答します。

 「ただ、今、決めなくていいんだ。……実を言うとね。今日、
私の家に二人を行っていったら、君たち二人が『養女なんて嫌だ』
って言いだすんじゃないかと思って心配してるんだよ」

 「どうして?……私、おじさん好きだよ」
 「私だって、おじさん好きだよ。おばさんも、茜ちゃんも……」

 「ありがとう、春花ちゃん、美里ちゃん。だけどね、今までの
お泊りは、君たちはお客さんだったんだ。お客さんには良い思い
で帰って欲しいだろう。だから、みんな優しく接してきたけど、
もし、君たちが僕の家族になったら、優しい事ばかりじゃなくて、
厳しいことだって起こるんだ」

 「どういうこと?」
 美里は首を傾げましたが、春花にはその意味がすぐに理解でき
たみたいでした。

 「お仕置きね」

 「えっ!」
 美里は慌てて春花の顔を見ます。
 だって、これまでそんな事一度もなかったことだからでした。
自分たちがぶたれたことはもちろん、茜さんがお仕置きされてる
ところも見たことがありませんでした。

 でも、大西先生は、『もし養女になったらそれもあるんだよ』
と警告したのです。

 「茜の奴、今日、ちょっとしくじりをしてね。お仕置きをする
予定でいるんだ。今までだったら、そんなこと君たちがいる間は
避けてたんだけど、今回はそれを見てもらおうと思ってるんだ。
当然、気持の良いものじゃないよ。でも、もし私の娘になったら、
嫌でもそうしたことは出てくるからね。普段通りの生活をやって
みて、それでも、私の処へ来たいなら、喜んで受け入れるけど、
もし、それを見て、こんな処は嫌だと思ったら私の娘になる話は
断ってもいいんだ」

 「…………」
 美里はいきなりの重い決断に口を開きませんでしたが……
 「それって……もし、私たちが養女になったら、やっぱり、茜
さんと同じお仕置きを受けるってことですよね」
 春花の方がむしろ冷静でした。

 「そういうことだ。だから、おじさんとの関係も今日で終わっ
てしまうかもしれないけど、あとで『こんなはずじゃなかった』
って言われたくないからね。あえて、正直に本当の処を君たちに
見てもらおうと思うんだ。……どうだい?……着いて来るかい?」

 こんな事をわざわざ宣言されてしまうと、二人ともまだ子ども
ですから、そりゃあ怖気づいてしまいますが、そこへ、林先生が
やってきました。

 「どうしたの?良いお話よ。あなたたちはまだ子供で知らない
でしょうけど、先生はこのあたりでは有名な学者さんなの。実直
で信頼も厚い町の紳士なのよ。実直な方だからこそ、本当だった
らしなくてもお仕置きの話までなさって、あなたたちを迎えよう
としてるんでしょう。そんな人に、『養女に…』って誘われたら、
断る手はないわね」

 林先生にそう言われると二人の心は動きます。
 実際、お仕置きは大人の専権事項。養子に迎える子どもにわざ
わざ断りを言う大人なんて他にいませんでした。

 「……はい」
 春花は少し唇を噛んでいつも通り大西先生のお家へ行く返事を
します。
 「……私も……」
 美里も答えます。こちらの乗り気はいま一つでしたが、ここで
春花と別れて週末を独り寮で暮らしたくないという思いが強くて、
この日は渋々OKしたのでした。


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tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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