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10/27 御招ばれ(12)

10/27 御招ばれ(12)

*)ソフトなソフトなお仕置き小説です。私的には…(^◇^)

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 <主な登場人物>
 春花……11歳の少女。孤児院一のお転婆で即興ピアノが得意
 美里……11歳の少女。春花の親友。春花に乗せられて悪戯も
    するが、春花より女の子らしい。絵が得意な少女。
 大西泰幸……中世史の研究をする大学の先生。実の子はすでに
    医者として独立、『茜』という養女をもらっているが、
    春花や美里も養女にしたいという希望を持っている。
 大西一枝……大西泰幸の妻、専業主婦。茜を厳しく躾けるが、
    茜は彼女を慕っている。
 大西茜……大西泰幸の養女。13歳で春花や美里よりお姉さん
    だが、楚々とした感じのお嬢さんとして躾けられている。
 高瀬先生……古くから大西家に出入りしているお医者様。特に
    子供達へお仕置きがある時は浣腸や導尿などでお手伝い
    もする。
 明子さん……長い間大西家に仕えている住み込みの女中さん。
    大西家の生き字引。

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 現れた茜ちゃんはトレードマークだった三つ編みを解いていま
した。自由になった髪がストレートに肩へ流れると、今までとは
印象が少し違って見えます。ほんのちょっぴりですが、お父さん
にもその姿は大人に見えました

 茜さんはお約束の白いレースのワンピースをさらりと着こなし、
白い短ソックスに黄色いアヒルのスリッパを履いていました。
 そして、お母さんが自分のものをおまじないに振りかけたので
しょうか、ほのかに薔薇の香りが漂います。

 「何だか大人の人みたいに見えるね」
 春花が言えば……
 「ほんと、キレイ」
 美里の思いも同じでした。

 ただ、妹たち二人を見た茜さんはというと、心穏やかではあり
ませんでした。

 そんな不安げな茜さんの肩を抱くように、今度はお母さんまで
が現れます。

 「なんだ、父兄同伴かい」
 お父さんはお母さんに皮肉を言いますが……

 「仕方ありませんよ。この子は女の子。しかもまだ幼いんです
からね。あなたが恐いんですよ。誰かが着いててやらないと……
こんな処でお漏らしでもしたら大変でしょう」

 お母さんは茜さんを擁護したつもりなんでしょうか?
 茜さんは顔を赤らめます。

 いずれにしても、大西家では二親がともに子供へ厳しく接する
ということはありませんでした。
 今日はお父さんがお仕置きをするというのですからお母さんは
茜さんのサポート役だったのです。

 「あのう、あの子たち、ずっと、ここにいるんですか?」
 茜さんは、さっそく目障りな二人につけて尋ねますが……

 「いけないかい?」
 お父さんから薄情な答えが返ってきます。

 「そうだよ。……実は、今日も施設の院長先生からこの子たち
を里子にお願いできないかというお話があってね、今、考えてる
ところなんだ」

 「そうなんですか……」
 茜ちゃんは気のない返事を返します。
 茜ちゃんにしてみれば、家族の中だけならいざ知らずお仕置き
をこんな子たちに見せるなんて…という思いが心の中で渦巻いて
いたに違いありませんでした。

 「ついてはね、この子たち、これまではお客さんとしてうちに
来ていたから、うちの楽しいところしか知らないでしょう。でも、
うちにも辛いことはたくさんあるよね。それを今回見せてみて、
それでもうちに来たいというなら呼んであげようかと思うんだ」

 「えっ、それじゃあ、私のお仕置きをこの子たちに見せるの?
私、生贄なんですか?」
 茜ちゃんは歯切れ悪く尋ねますが……

 「生贄なんて人聞き悪いなあ。……ところで、茜は、今日何か
おいたをしたのかい?」
 お父さんは皮肉たっぷりにこう尋ね返す始末でした。

 「…………」
 これには茜ちゃんも返す言葉がありません。お父さんの前で、
茜ちゃんは下唇を噛むことしかできませんでした。

 「そんなに深刻にならなくても大丈夫だよ、たとえこの二人が
うちに来ることがなくなっても、ここでのことは街には漏れない
から……」

 「どうしてですか?」

 「この子たちは『教会の子供たち』だからね。私たちとは住む
世界が違うんだ」

 お父さんは、茜さんを安心さそうとしてこう言ったのですが、
その言葉が、どれほど茜さんを励ますことになったかはわかりま
せん。
 分かっているのは、今日はこの妹分二人の前でこれから醜態を
晒さなければならないという現実だけでした。

 ちなみに『教会の子供たち』という用語はその子たちが単なる
捨て子ではなく、教会関係者が神に背いて創ってしまった子ども
たちのことを言います。このため、一般の孤児たちとは異なり、
親からそれなりの養育費も出ていますし、シスターたちの扱いも
丁寧です。
 ただ、その将来は決められていて大半が聖職者。子どもたちは
隔離された世界の中で大人になり、世間で注目されるような職種
につくことは認められていませんでした。


 「じゃあ、始めようか。……こっちへ来て座りなさい」
 少し顔の表情を引き締めてお父さんが茜さんを呼び寄せます。

 茜さんに与えられたのは、妹分二人が座っているようなソファ
ではありませんでした。どこの学校にも置いてあるような座面が
硬い木でできた粗末な椅子。
 そこに今の茜さんの立場が現れていたのです。

 「先日、学校から今学期の中間テストの結果をみせてもらった
んだけど……芳(かんば)しくなかったみたいだね」

 「ちっ、やっぱり、そのことなんだ」
 茜さんは思わず舌打ちをします。実際、お母さんからその事で
お父さんが怒っているみたいだとの情報を得ていましたから本当
は自制しなければならないのでしょうが、お父さんとの間の気安
さが顔を出してしまいます。

 「何だか不満そうだね。『何だ、そんなつまらないことで私を
呼びつけたのか』って顔をしているよ」
 お父さんの顔は笑っていますが、舌打ちされた側の人が面白く
ないのは誰でも同じことです。もちろん、相手がお父さんでも、
それは同じでした。

 「今学期の始め、私は茜の為にスケジュール表を作ってあげた
けど……あの通りできなかったみたいだね」

 「そんなことは……」
 茜さんは伏し目がちに小さな声で否定しようとしましたが……

 「手元の記録ではたしかにやったことになってるけど、もし、
本当に私の指示通りにやっていたのなら……こんな結果にはなら
ないはずだよ」

 「それは……」

 「それは、やってもいない勉強をやりましたと私に報告してた
ってこと……つまり、私に嘘をついていたということだよね」

 「えっ……」
 茜ちゃんは『嘘』という言葉にひっかかりを覚えて顔をあげま
すが、『じゃあ、どれほど真剣にやっていたんだ』と問われたら、
それには自信がありませんでした。

 「小学校の頃はどうだったか覚えているかい?」

 「『どうだった』って何が……」

 「勉強だよ。どうしてお勉強してたか、覚えているかい?」

 「それは……」
 茜ちゃんは再び頭を下げて嵐の過ぎ去るのを待ちます。

 「えっと……」
 俯くその顔は確かに申し訳なさそうな顔にも見えますが、内心
は、『あ~あ、お小言早く終わらないかなあ』と思っていただけ。
 何よりこうしていればお父さんの恐い顔を見ずにすみますし、
お小言が頭の上を通り過ぎていきますから楽だったのです。

 そんなことですから……
 「茜、聞いているのかい?」
 なんてお父さんに強く言われちゃいます。

 「えっ?」
 茜ちゃんは思わず顔を上げましたが、その時すでにしっかりと
寝ぼけ眼でした。

 「忘れちゃったかな。小学校の頃のことは……」
 「あっ……はい……あっ、いいえ」
 お父さんは相変わらずの笑顔ですから茜ちゃんはその顔を見て
ほっと一息です。

 でも、お母さんは大人ですし、何より長らく夫婦ですからね、
お父さんの気持は茜ちゃんよりよくわかっていました。

 「覚えてます。テストのお点が悪いと、そのたびにお母さんが
家庭教師をやってくれて……もし、そこでも答えを間違えると、
お尻をぶたれてました……」
 消え入りそうな声で茜ちゃんは答えます。

 「そうだね、小学校では単元ごとにテストがあるから、各教科
一学期で10回はテストがある計算だもんね。茜ちゃんも、毎日
毎日痩せる思いだった訳だ」

 「…………」

 「その点、中学校では一学期に行われる主なテストは、中間と
期末の二回だけだもんね。今はずいぶん楽になったと思ってるの
かな。……それで気が抜けちゃったというわけだ」

 「(えっ、何が言いたいのかしら?)」
 茜ちゃんはお父さんの言葉に身の危険を感じます。
 それって、女の第六感というやつでした。

 「茜。これはテストのことに限らないけど、幼い時というのは
何かにつけてお仕置きが多いんだ。……それも、おいたをしたら
すぐにぶたれる。覚えてるだろう?」

 「…………」
 茜ちゃんは小さく頷きました。

 「それが大人に近づくと、お仕置きの回数は減るものなんだ。
勿論、分別がついておいたの回数が減ったというのもあるけど、
私たちもまた、大きくなった子に、些細なことまでとりあげてお
仕置きをするより、もう少し様子をみようと思うんだ。……その
間に自分で心を入れ替えてくれることを期待してね」

 「…………」

 「だけど、それって、いつまでもってわけにはいかないんだ。
一定の期日を区切って、それまでに成果が見えない時は…………
頭のいい茜だったら、お父さんの言ってることわかるよね」

 「…………」
 茜ちゃんにはお父さんの言っている事が分かるのですが、その
結果どうなるかは認めたくありませんでした。

 「テストも同じ。一学期に二回しかテストがないからその間は
遊んでいてもいいってことにはならないんだ。中間や期末までの
計画を自分で立てて勉強しておかないと……あとでこうむる罰は
小学校の時のお尻ペンペンぐらいじゃすまないんだよ」

 お父さんのお説教を、相変わらず申し訳なさそうな顔で居眠り
しながら聞いてる茜ちゃんでしたが、これではまずいと思ったの
でしょう。お母さんが割って入ります。

 「そうね、ちょうどいい機会だから、今日は中学生のお仕置き
がどんなものか経験してみるのがいいかもしれないわね」

 その瞬間、茜ちゃんの目が一瞬にして醒めます。
 というのも、幼い頃からお仕置きの大半はお母さんによるもの。
お母さんがお仕置きについて話せば、たとえ自分のことではなく
ても緊張します。お母さんの声は茜さんにとっては起床ラッパと
同じだったのでした。


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tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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