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お仕置きの蔵 <2>

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お灸のお仕置きを扱った読みきり小説です
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        お仕置きの蔵 <2>

 「さてと……それでは、どんなお仕置きがいいかな。……お尻
叩きはこれから学校でやってくださるだろうから、それはそちら
にお任せするとして……お浣腸は真理子が勝手にすましちゃった
みたいだしな。あとは、……やはり、お灸かな」

 父は、穏やかで、にこやかで、独り言のように『お灸』という
言葉をつぶやきますが、私にしてみたら全身の毛穴が一気に鳥肌
へと変わる言葉でした。

 そう、それって学校でいただく鞭のお仕置き以上に恐怖だった
のです。

 今の子どもたちは、そもそもお灸がどんなものかを知らないと
思いますが、私がまだ子供だった時代はこれがまだ盛んに行われ
ていました。

 やり方は簡単。艾(もぐさ)と呼ばれる綿埃を固めたみたいな
小さな塊を皮膚に直接乗せて、それに火をつけるんです。
 台座なんてありませんから直接肌を焼きます。

 その熱いのなんのって……拷問みたいなものです。
 大の大人でも、火が回る時は自ら手ぬぐいを噛んで我慢したり、
たまらず「ヒィ~~」という声を上げるほどでした。

 それを幼い頃にやられてごらんなさいな。
 トラウマ間違いなしです。

 ですから、親サイドからみると効果覿面。
 お灸を一度でもすえられた子は……
 「そんなことしてると、またお灸だよ」
 なんて親に言われようものなら、まるでマンガみたいに、その
動きがピタッと止まってしまうのでした。

 こんなにも効果絶大のお仕置きというのは他にありませんから、
親たちはこれが子どもの肌に火傷の痕を残す危険があると知って
いても、このお仕置きがなかなかやめられなかったのでした。

 当然、私もそんなトラウマを受けた一人です。
 ですから、お灸という言葉を聞いただけで今でも緊張します。
 お父さんの宣告を聞いた瞬間もショックの余りただ呆然として
いました。

 ただ、お母さんがお線香や艾の袋を戸棚から取り出しているの
を見て我に返ります。

 「ごめんなさい、お父さん、何でもしますから、お灸だけは、
お灸だけはしないで」
 私はお父さんの膝にすがりつきます。
 中学2年生でしたが、これだけは恥も外聞もありませんでした。

 もちろん、親子ですからこれには多少甘えの気持はあったかも
しれませんが、でも、もしこれが鞭のお仕置きだったら、ここま
ではしなかったと思います。
 それくらいお灸というのは特別なお仕置きでした。

 「ね、やめてよ。……あんなのされたら、私、お嫁に行けなく
なっちゃうよ」
 私は父の膝で懇願します。

 お灸はもの凄く熱いというのもそうですが、火傷の痕が残ると
いうのも女の子には大問題でした。

 ですから、多くの親たちも娘の将来を考えて人目につく場所は
なるべく避けてすえるようにしていました。

 ただ、それでもお尻のお山やお臍の下には必ず据えられます。
特にお股の中へ据えられる時は、たとえそこが目立たない場所で
あっても、女の子としては自分の体の一部であり急所ですから、
ショックは大きいものだったんです。

 そんな乙女の思いを知ってか知らずか、昔の親は残忍でした。

 「大丈夫だよ。人目につくような場所には据えないから……」
 父は励ますように笑います。

 でもこれ、何もうちの父だけの特別な感性ではなかったと思い
ます。

 他の親たちも、お臍の下にあるビーナスの丘にはやがて下草が
はえて火傷の痕は隠れるだろうし、お尻のお山もお医者様と将来
の旦那様以外には見せることはないだろうから……と勝手に思い
込んでいました。

 いえね、自分の娘がTバックのようなものを身につけるなんて
当時の親たちは想像していなかったんです。
 もちろん大事な娘が婚前交渉だなんて、頭の片隅にもなかった
ことでしょう。

 厳しいお仕置きは今では単純に虐待としかとらえられませんが、
昔は、清純なままで結婚して欲しいと願う親の気持の裏腹だった
ように思うんです。


 「まずは服を着なさい。いつまでもその姿じゃ風邪をひくよ」

 お父さんは落ち着いた口調で、私に服を着るように命じます。
 でも、それは許されたということではなく『お灸のお仕置きを
これからしっかりやりますよ』という父なりの宣言でした。

 母が私のそばに身につける衣服をひとまとめにして置き、私は
半べそをかきながらもそれを一つずつ着ていきます。
 もう、諦めるしかありませんでした。


 着せられた服は、私がお気に入りにしている白いワンピ。
 一瞬、これを見てドキンとします。

 というのは……
 今日はお浣腸ではありませんが、昔、受けたお浣腸のお仕置き
ではお気に入りだったよそ行きの服をオマルの中に敷かれたこと
があったのです。

 「いいから、ここで用を足しなさい」
 両親に鬼のような顔をされて仕方なくオマルに跨ります。

 おまけに、汚してしまったその服を自分で洗わされたうえに、
それを着て街のデパートまでお遣いに出なされたのでした。

 私は気が違ったように何度も洗い直し、何度も嗅いでみました。
幸い臭いは染み付いていません。いくらかシミが残っていますすが、
それも気づく人はまずいないでしょう。

 ですから、客観的には何ら問題ないわけですが……
 だからって私の心に問題がないわけではありませんでした。
 こんな屈辱的な見せしめ辱めがどれほど私の心を傷つけたか…

 『誰かに臭うって言われるんじゃないか』
 『このシミを正体を知られるんじゃないか』
 そんなことばかり考えていました。
 デパートの中を歩く私は計り知れないほどの不安と恐怖で卒倒
しそうだったのです。

 お灸の痕のように人目に触れる不安こそありませんが、受けた
ショックはそれ以上だったかもしれません。

 でも父は男性。そんな娘の気持を慮ることはありませんでした。

 「何言ってるんだ。いい薬だ。恥ずかしいのもお仕置きだよ」
 と、これだけだったのです。


 私はレースで飾られた白いワンピースを着ながら、昔、汚して
しまったよそ行きワンピースのことを思い出していました。

 そして、着替え終わると再び父の前に正座します。

 「お父様、お灸のお仕置きをお願いします」
 両手を畳に着いて、頭を下げて……
 少々時代錯誤ですが、女の子はやらないわけにはいきませんで
した。

 私だって、どうしてこんなことしなきゃならないのか分かりま
せんが、男の子のように「オヤジさあ、どうしてこんなことしな
きゃいけないのさあ」なんて突っかかる勇気もありませんでした。

 女の子は何事も『お付き合い』が大事です。
 訳なんか分からなくても、それで相手が満足したり納得したり
するのなら、『それでいいかあ』と思ってしまうのでした。

 「どうしようか。幾つぐらい据えたらいいのかな?」
 お父さんが逆に目の前の私に尋ねてきます。

 これって、意地悪な質問でした。
 誰だってたくさんお灸を据えられたいなんて思っていません。
できるだけ少ない数を言いたいのですが、もし、私の答えた数が
お父さんが思っていた数より少ないと、反省が足りないと思われ
て、さらにキツイお仕置きってことになりかねません。

 可愛っ子ぶって……
 「一つ」
 なんて答えはNGでした。


 『どうしようかなあ~10じゃ少ないよね。……20じゃ……
まさか30以上なんて言わないよね』
 私の頭はもうパニックでした。

 そんな私にお父さんは助け舟(?)を出します。
 柔和な表情、穏やかな声で私に提案してくれたのでした。

 「どうしようね、そうだね。足の指の股に四つずつ、八箇所。
お臍の下の原っぱに三箇所。お尻も同じ場所に三回で、六ヶ所。
……あとは、尾てい骨の上にも三箇所くらいいるかな。……そう
そう、真理子もいつの間にかオッパイが大きくなってきたことだ
し、乳首の辺りにも小さいのを三つばかりやっておこうか。もう、
お前もそろそろ女を自覚しなくちゃいけない年頃だからね。……
いいかな、そんなところで……」

 お父さんの柔和な顔につられるようにして……
 「はい」
 私は思わず笑顔で答えます。快諾ってな感じでした。

 でも、それは……
 あれこれ思い悩むことから開放された喜びで、思わず手拍子に
口をついて出た返事だったのですが、冷静になって考えてみれば、
これって、今までにない数の多さ。
 私は今までにたくさんのお灸を一度に受けたことがありません
でした。


 「(えっ!?)」
 私は我に返ってすぐに顔を青くしますが、もう後の祭りでした。

 「よし、では私の膝に乗ってごらん。足の指からやろう」
 お父さんは正座したご自分の膝を叩いて、さっそく私のお尻を
催促します。

 「はい、お父さん」
 私は気乗りがしませんでしたが、行かないわけにはいきません
でした。

 幼い子のようにお父さんの膝の上にお尻を乗せて抱っこされ、
両足は畳につけて膝を立てます。後は何もする必要がありません
でした。

 お母さんが靴下が脱がせて、前回据えた場所を確認します。

 ちなみに、この時、お父さんは私の身体を押さえるだけ。お灸
そのものはお母さんの仕事だったのです。

 「まったく、あんたって子はいつになったらお灸のお仕置きを
卒業できるんだろうね」
 母はそう言って、小さな小さな艾を足の指の付け根に乗せて、
お線香を近づけてきます。

 私は幼い頃からお転婆でしたからお仕置きのお灸も幼い頃から
のお付き合いです。特にこの足の指の間は、そこが目立たないと
いうこともあって据えやすかったのでしょう。幼い頃は家の柱に
縛り付けられ、大泣きするなか、過去に何度も据えられた場所で
した。

 「あなた、おとといは、帰ってきたの何時だったのかしら?」
 「……七時です」
 「お父さんのお帰りが遅いのを知ってたのね」

 「(あっ、熱い!!)」
 右足の親指と人差し指の間に錐を立てられたような痛みが走っ
て、私は一瞬身を縮めます。

 ここは場所柄艾も小さいので、火が回るとすぐに消えてしまい
痛みは一瞬なのですが……

 「火曜日の朝、お父さんが『今さっき真理子とすれ違ったけど、
不機嫌そうにして何も言わなかったが、あいつ、何かあったのか』
っておっしゃってたけど……あなた、あの時お父様に朝のご挨拶
しなかったの?……それって、ひょっとして週末の英語のテスト
が悪かったから?」
 「(えっ!?それはお父さんには秘密してあげるって、言った
じゃないの。何で今頃そんなこと言うのよ)」
 普段は、物分りのいいようなことを言ってるお母さんですが、
こんな時は、ここぞとばかりに平気で私の秘密をばらしにかかり
ます。

 「女の子は何があってもご挨拶だけは忘れたらいけないの……
よく覚えておきなさいね!」
 「(あっ、熱い!!)」
 今度は人差し指と中指の間にピンポイントで痛みが走ります。

 もちろん、これも痛みは一瞬でした。

 「この間あなたのシーツを洗濯した時、少しごわごわがあった
けど……あなた、まさか、オナニーなんてしてないでしょうね」
 「してません!!」
 私は一瞬にして顔が真っ赤になり思わず大声が…

 それは母が嘘を言ったからではなく私の大事な秘密だったから
でした。

 「(あっ、熱い!!)」
 今度は中指と薬指の間が……

 もう、お分かりでしょう。母はこんな時、私が過去に犯した罪、
隠しておきたい秘密を足の指に艾を乗せて一つずつ父に報告する
のでした。

 右足で四つ、左足で四つ、指の股は、全部で八箇所あります。
日頃から私の一挙手一投足に目を光らせている母にしてみたら、
八つの罪を父に密告するチャンスがあるわけです。
 『これでも足りないくらいよ』って母は言うかもしれませんが、
八つの罪を父に密告された私は、まるで丸裸にされた気分でした。

 卑怯、卑劣、破廉恥……母にどんな罵声を浴びせても、今さら
どうにもなりませんでした。

 そんな母の密告や讒言を聞いて父がすぐに反応することはまず
ありませんでしたが、私の心が穏やかであろうはずもありません。

 むしろ、父はそんな私を心配してくれます。
 母の言葉に心が裸になって震えている私を、短い時間でしたが
優しく抱きかかえてくれました。

 ひょっとしたら、優しく私を抱きながらも母の言葉の中に本当
にお仕置きが必要な事を探していたのかもしれません。
 そこはわかりませんが……。
 いずれにしてもお仕置きの中の休憩時間。それは不思議なひと
ときでした。

 「大丈夫、誰だって完璧な一日なんてないから……間違ったら
謝ればいい。罰を受けたらいいんだ。その勇気さえあったらいい
んだよ。大丈夫、真理子はいい子だよ」
 結局、この日も父は母の讒言に耳を貸しませんでした。耳元で
お父さんに優しい言葉を掛けられ私は幼い日の真理子に戻ります。
父の懐で甘えます。

 こんなことがあるから、お仕置きなのかもしれません。
 こんなこと、虐待や刑罰ではないことでしょうから……


 さて、そうはいっても、私もいつまでも甘えていられる訳では
ありませんでした。
 お仕置きはむしろこれからが本番だったのです。

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このブログについて

tutomukurakawa

Author:tutomukurakawa
子供時代の『お仕置き』をめぐる
エッセーや小説、もろもろの雑文
を置いておくために創りました。
他に適当な分野がないので、
「R18」に置いてはいますが、
扇情的な表現は苦手なので、
そのむきで期待される方には
がっかりなブログだと思います。

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